こたえなんていらないさ

舞台オタクの観劇感想その他もろもろブログです。

「はいからさんが通る」宝塚初心者による2回目観劇の感想(11月3日ソワレ)

先月に続き、はいからさん、11月3日ソワレにて2回目の観劇に行ってまいりました…!
インターネットで再び出会った皆さん、こんにちは。先月この記事を書いたものです。
anagmaram.hatenablog.com
1回目の観劇があまりにも楽しくて楽しくて…実はもう3週間くらい前になるんですね、早い。何よりも公演が無事に続いていて、本当に嬉しい限りです。

観劇後には無事に(?)様子がおかしくなり、こんなエントリーもあげていましたが、
anagmaram.hatenablog.com
現在のステータスとしてはこの記事にあるとおり、「宝塚に関する積極的な検索を己に禁じている(※沼落ちへの速度を緩やかにするための抵抗)」という状況なので、知識量は10月の観劇時からほぼ変わっていません!笑
そんな初心者の「沼落ち実録レポ」として以下お楽しみいただければ幸いです。積極的に自分を面白がっていくスタイル!



2回目の観劇も、始まってすぐのオープニングで「やっぱりこんなの!!!楽しすぎるに決まってるじゃん!!!」になりました。あまりにも楽しい。も~~っ最高!!!
登場人物が次々に華やかに登場しては、アップテンポなテーマを生き生きと歌い上げ、客席からは手拍子が。
こんなの、今が令和なことを忘れて、わたしの中では時は大正ロマネスクです。
広いステージをいっぱいに使っているので、本当にどこを見たらいいのかわからなくなる…。

前回は上手、今回は下手でちょうどきれいにバラけた視界になったので嬉しかったです!
やはり銀橋があることで、ぐっとこちらとの距離が近いものになる感覚があります。他ジャンルのおたくとしては、「銀橋、羨ましい」というシンプルな感想が思わず湧いてくるほど。

わたしの中で、はいからさん=少尉の話をしなくては(必死)みたいな感じなので、いきなりそのあたりの萌え転がりからお届けしますね。

◆この少尉がやばい2020。「もう…来ちゃいました。」

いきなり意味不明な見出しをつけてすみません。興奮するんじゃないよ全く。
はー。。。もう。まじでこの少尉がやばい2020です。無理すぎ。。。無理ッ!!!かっこよすぎてしぬ…。
いちばん「ウオォ(※言語化不能状態)」になってしまうのが、このセリフです。。
少尉の急な小倉への転属を知らされ、自らの責任を感じてその場を駆け去った紅緒。
彼女に追いついた少尉が、紅緒の「来ないで!」というとっさの拒絶に対して返す、「もう…来ちゃいました。」の一言。ウアァァ。。。。
いやあの、マジでどこからそんなお声を…?ちょっとまって…。
そんなの、あまりにも愛に溢れすぎていて、愛が表面張力どころかもう、コップのふちからざばざばに溢れかえってますよ少尉…。
ほんの少しだけ困ったような、でも明確に「自分は貴方の隣に座りたいんだ」と告げる意思のこもった声。
それはどこまでも柔らかく、慈愛といった印象を受けるもので。。
たったひとつの、このごくごく短いセリフだけで、いったいどれだけの人が身悶えしているのでしょうか。。心底恐ろしいよぉ…!涙
銀橋の真ん中あたりなのかな?に座ってかわされるやり取りなんですが、オペラで見てたら、少尉ったら脚を銀橋につながる階段にかけてらっしゃるとお見受けしました。いやそんなの、目の前で見てた人、しぬじゃん…ってなった。下手サイドから見てもしんだ。まじで無理。かっこよすぎて意味がわからん。


ていうかさ、いや少尉、紅緒さんのこと好きすぎじゃない!?ってなる。まじでほんと、大好きだよね!!?
もうひとつたまらん…となるのが、伯爵家から追い出されよう作戦で、もんぺ姿で伊集院家に乗り込んできた紅緒を迎えるシーンです。
伊集院家と花村家、それぞれの祖父母による悲恋から繋がる婚約話の詳細を聞いた紅緒が、「ちょっとまって!じゃああなた、お祖母様のためにラブ抜きの結婚をするつもりなの!?」と咎めるように叫ぶところ。
それを受けた少尉の、「…ラブ抜き。」の一言がまた。。ウオォ…(しんでいる)

まーた、ここもすごい顔なさいますよね。「ははーん、愛がないと思ってらっしゃる?面白いお嬢さんですね…(※こちらには愛しかありませんが?)」みたいな。ギャーッ…
なんかもう「?????」みたいな顔になる。見ててどうしたらいいかわからなくなりすぎる。いや別にどうもしなくていいから、見てるだけでいいから。落ち着いてわたし。
あのベスト姿の少尉めちゃくちゃダメですね…なんかこう、紅緒を自分のテリトリーに迎え入れたことによる”余裕”が、やばいんすよね…。
ソファーでそしらぬふりで紅緒を追い詰めたかと思えば、最後は不意打ちでおでこに軽く口づけをして去っていく。ッカーーーー!!!!!!!
そんなのさぁ!紅緒のことほんとに超好きじゃん!大好きじゃん!余裕あるふりしてて実は余裕ないパターンかもしんないじゃん!!!
…って見てる側はめっちゃ興奮するのですが、一方の紅緒本人にはばっさり「エゴイスト!!!」って切り捨てられちゃう少尉。不憫でございます…!笑


なんというかですね、いうなれば、直球どストレートのロマンチック剛速球だと思うんです。少尉という存在。
よそのジャンルのおたく、そんなのこれまで受けたことがないので(まじで耐性がない)、バッターボックスでぽかんとして、ひたすら球を見送ることしかできません…

いやーーすごい。なにがすごいのかうまくいえないんですけど、宝塚ってすごい、になる。

どこか可憐さのあるような、夢そのものを突き詰めたような世界観は、たぶん宝塚じゃないと作り出せないものなんじゃないかしらと。。
「現実離れしたものが、その場にリアルに息づいている」という観劇体験は、わたしにとってはなにも珍しいものではなく、むしろ2.5次元でとても慣れ親しんだものではあるんですが、なんかやっぱ、、それを表現する上での力学というか、力の偏り方は、両者でかなり異なっている印象なんですよねぇ。。
その似ている部分や差異を、言語化できたらすごく面白そうだなとは思うんですが、なにせまだ全然インプットが足りないので、今出せる単語は「宝塚ってすごい」だけになってしまいます。笑


その他にも好きな少尉はたくさんいるんですが、

  • シベリアで隊員に紅緒の写真を見せたあとの「実物は可愛いんだ!」少尉(なんだよう!プンスカ!みたいな感じで言い募ってて、ここ、めっっちゃ可愛い)
  • 「必ず…帰るから…!」に至る下手→銀橋中央に移動してくる手負い少尉(倒れてるところのお顔、美の圧によりオペラ越しに目がつぶれた)
  • 高屋敷にサーベルを突きつけるまあまあ長い時間、微動だにしないつま先立ち少尉体幹!!????なる。背筋美しすぎない!!??)
  • 反政府主義者の集まりに乗り込んだところで、シュピッ!!!!!と軍帽を鋭く放り投げ少尉(たぶん今別に軍帽投げる必然性ないんだけど「かっこいいから投げる!」なのでつまり、かっこいい!!!)
    • 追記:ここで少尉が軍帽を投げているのは「印念中佐に向けられた銃口を遮るため」と教えていただきました!必然性あった失礼しましたー!笑
  • 火に包まれた教会で紅緒を抱き起こし、気付けに水を飲ませようと水筒から水をあおり「スカーーーーーーーン!!!!!」と勢いよく水筒を投げ捨て少尉(水筒がベコベコになりそうでしんぱい)

などなど…。
まぁあれです、全部好き!っていうやつです…エーーーーン!!!少尉、意味わからんくらいかっこいい!!!!!!

◆その他の登場人物について

お察しのとおり「少尉…!」botのため、すみません…キャパが少尉で逼迫しており全然ご期待に添えず、そしてどうしても浅いんですが、でも1回目に比べてより広く全体を楽しめた気がします!

まず、環がとても好き!誰よりも袴の似合っていた華族のお嬢様が、二幕になるとボブカットに真っ赤なローウエストのワンピースで出てくる小気味よさ。大正時代、すてき…ってなる(※思考が単純)。
あと歌の迫力がちょお~かっこいいです。突き抜ける高音の迫力にはとにかくびっくり!
一幕冒頭での「殿方に選ばれるのではなく、わたしたちが選ぶのです」のセリフを地で行く形で、鬼島軍曹を追って満州支社に転勤願いを出すわ!と言い残し、じゃあね!と爽やかに去っていく様子がかっこよくて。
紅緒とは違った形の、よりさばけて自立心の強い自由闊達なモガを体現していて、あ~好きだな~って思いました。

そしてそんな環に選ばれる鬼島軍曹。…いや、かっこいいよねッ!!!
札付きのはみ出し者として小倉からシベリアまで来ることになった彼。自分をかばって行方知れずになった少尉のことを気にかけ続けて、東京にまでやって来る義理堅くて熱い心、環が惹かれたのはそのあたりかなぁと思ったりしながら見ていました。
というか、ビジュアルがお強い。隻眼で頬には刀傷。うーん…そんなの、どうしたって鉄板のかっこよさだ!!
何より、なんとも言えず「色気」を感じます。前髪で隠れがちの眼差しが、ちらりと周囲を見やる様子がかっこいい。


そして冬星さん。えーん…冬星さん、まじでめっちゃいい人…
紅緒と出会った直後は「俺は徹底した男尊女卑だ!」なんていうけれど、紅緒の抱えている事情や、それを踏まえてもへこたれずひたむきな彼女の様子に、正面から惹かれていくところ、冬星さんもまたまっすぐな人なんだなぁ…と感じさせられて愛しさを覚えます。
冬星さんが紅緒を好きになった時点で、それは「自分ではない誰かのことを大切に思っている女性」への恋心なんですよね。。
だからきっと、わかりやすい形でそれが報われるとはきっと本人も最初から思っていないんじゃないかな、って気がするのです。
求婚も、彼女に恋した自分の気持ちのためにというよりは、つらい立場に置かれた紅緒をどうにか救ってやりたくて、幸せにしてやりたくて…だったのかなぁと。
極めつけが、花婿衣装なのに、ひとり青空の下、失恋の歌を歌う冬星さん。見ていてほんとうに「うわーーん!!!涙」という気持ちになる。
その表情は決して寂しそうなものではなくて、どこかじんわりと充実を覚えているような、ごく優しいもので。
出自や家庭内の確執に囚われていた自分を、紅緒はある種解き放ってくれた存在でもあり、そうして新しい未来へ導いてくれたことを噛みしめるようなMy Dearの歌詞、本当に切ない。。
いやまじでめちゃくちゃ切ねえ!!!冬星さんも幸せになってね!!!!!!!涙

◆その他全体的な感想シリーズ

うまくまとめられないので全体的な話!(と書いて無理やり収めようとしている)
前回と全く同じことを言ってる気がしますが笑、観劇体験としての充実が、すごいです。楽しい。。。楽しいしか出てこない…。
視界の華やかさ、ゴージャスさには度肝を抜かれます。まだ慣れない。「めっちゃ盆回る!衣装豪華!人数多い!」って思いながら見てます。笑
今は感染症対策でオケは録音だけれど、普段だとこれが生演奏なんですよね…?そんな贅沢ってある?割と真面目に意味がわからないよ…!?


はいからさんを見ていて印象に残っている好きなポイントが、音楽による心情のつなぎ方が、とても自然で、見ていて気持ちがひとりでに物語に沿っていくところです。
特に一幕の後半に、少尉と紅緒のふたりでデュエットされる「風の誓い」。あの曲の美しさ、ハチャメチャに泣いてしまう。。
物語のラストに再び流れてきたとき、マスクの中がびたびたになるくらいに泣いてしまいました…。
お話の展開的に、ハッピーエンドを迎えるまでの間、けっこうな傷の負い方をした人が散見されるので、わかりやすくスッキリしたラスト、という感じにはならない可能性もあるところ、
あの清涼感をまといながらも切ないメロディーが、凝った過去も一緒くたに押し流していくような印象を受けます。
失ったもの、もう取り戻せないものも多いけれど、あなたがいるから歩いていける。大切なものは今目の前にある、だからきっと大丈夫。
そう互いに確かめ合うようなラストのデュエット「風の誓い」リプライズ。
地震で焼け野原になり、何もなくなった東京の地には、冗談社の人々のように、青空のもとで再起を誓った人たちが、きっと二人の他にもたくさんいるはず。
二人だけに閉じた幸せのラストなのではなくて、二人を取り巻く世界全体への希望を感じさせるようなあの美しい幕切れが、本当に素敵でした。


…のあとにほんっとうに間髪入れずにフィナーレ始まるので、びっくりします!笑(なにがすごいって着替えのスピードがすごそう…)
きのうはぜひこちらも!とおすすめされた黒燕尾バージョンを見たんですが、印象が全然違って!!!
軍服バージョンは、よりお芝居パートの空気を色濃く残しているような印象がありました。やはりそれは衣装のイメージのせいかな!
一方で黒燕尾バージョンは、「あ~~~これって世間でイメージされるザ・タカラヅカだ!」って思わせられるような、正統派の印象でした。
オールバックで隙なく決めたヘアスタイルで、ずらっとスタイルのいい男役の皆さんが並ぶ様子…全体的にスタイルがよすぎて、何を見てるのかなんだかよくわからない気持ちになりました。。
あとフィナーレのバージョンが違うと音楽も違うんですね!びっくり!!!
タンゴっぽいアレンジ(でいいのかな)されているけど、えーっとこれは有名なロシア民謡では…?と思ったんですが、そのものズバリで「黒い瞳」だった!曲名思い出せなかった!(ル・サンクに書いてあったまじ便利!!!)
つまり大正バージョンも浪漫バージョンも、どっちもロシアの音楽ですが、少尉および紅緒的には因縁の地やけどそれはいいんか?と思ったりもしましたが…まぁかっこいいからいいか!笑


そしてさ~~~。デュエットダンス…。
本編ですでに、少尉の”恋心の権化”みたいな様子をさんざっぱら見ているのですけど、なんかまたそれとは違う方向性で、や、やばい…。
物語の延長線上で、二人のその後の結婚式をイメージしているそうですよ~というのは既に教えて頂いているんですけれど、だとしてもさぁ!!??
柚香光さんが、ものすごぉぉぉく、愛しいものを見る眼差しで華優希さんを見つめていらっしゃるので…これこそどうしたらいいかわからなくなりました。う、受け止めきれねぇ!!!
「人類、そんな愛しいものを見る目つきできます???」になった。ハッピーオーラやばい。なんぴとたりともあそこには割って入れねぇ!って感じですごい。無敵だった。
美しすぎて幸せそうすぎて、眩しさにやっぱり昨日も目が焼けました…視神経に大ダメージが…!
なんかやっぱりこのプロトコルを処理する術を持ち合わせていないので、結論が「どうしたらいいかわからない」になってます。わからない!!!笑
トップコンビを尊ぶとはこういう気持ちなの…?になります。自分の内側に照らしても過去に類似の感情を抱いたことがない…どうしたらいいんだ!!!笑





あーーー今回も好き勝手たくさん書いた。たのしかった。笑
宝塚を軸に日比谷という街を見ると、まじでなんだか知らない街に見えました。シャンテの真横が宝塚劇場って、正直、昨日初めて気づいた(実話)。
まずやたら紫の袋持ってる人たくさんいるな!?になって面白かった。あれが噂に聞くキャトルレーヴの袋…!
昨日は「宝塚グラフ」「歌劇」「ル・サンク」の3冊と、舞台写真と、はいからさんの出たばかりのブルーレイを買い、そんな自分もしっかり紫の袋を手に帰りました。笑


宝塚は大海原であり軽井沢であり別荘地なので(※過去記事参照)、いまだに検索は解禁していません!が、とりあえず昨夜はグラフ最新号の柚香光さんで、無事息の根が止まりました。
その後「歌劇」をよんだら、柚香さんによるテンションを表す擬態語に「わっしょい」がたくさんでてきて、わっしょい…?となるなどしています。わっしょい…。エッ?か、可愛…!?(動揺&混乱)
そしてブログではこんな風に気軽にフルネームでお呼びしているけど、「ツイッターではお名前を出せない」みたいな状態になってます。うむ、なかなかに重症です。
そもそもフルネーム以外に呼び方が…「れいちゃんって呼べばいいんだよ!」って言われたけど、そんなの無理無理無理!!!!何が無理なのかよくわかんないけど、とりあえず無理!!!!!!


以上、2回目の現地観劇を終えた初心者による、リアルタイム沼落ちレポでした!

恋を読むVol.3「秒速5センチメートル」10月24日・10月25日公演を見た(いきなり第二話の感想だけ)

恋をテーマにした朗読劇シリーズ「恋を読む」の3作目となる「秒速5センチメートル」。
有楽町のヒューリックホールに、この土日で見に行ってきました。
原作は、言わずもがなの有名アニメ短編映画。
今回わたしが見たのは、21日から始まった全5組のうち、最終組となるまりおくん、まあやさん、生駒ちゃんの回でした。
www.tohostage.com



以下は、原作に照らした解釈をできているわけではなく、あくまでも舞台として今回の「恋を読む」を見た上での、いちまりおくんファンの個人的な感想、といった文章です。
そして更に!順番がめちゃくちゃなんですが、ど~しても「第二話 コスモナウト」の話をしたくてしかたないので!いきなりその話だけ書きます…!笑
(以下、感想部分はとつぜん「である・だ」調になります、読みにくくて恐縮です。)





◆「何も言うなという、強い、拒絶」

第二章の貴樹…ほんっと、見てて「こんな男の子が東京から転校して来たら、そりゃ〜好きになるに決まってるよ!」の一言だった。それに尽きる。あれは反則。
都会の空気をまとった大人びた空気、どこか他人行儀な優しさの表現が、本当に出色…!と、推しを大絶賛したい気持ちになりながら見た。。
絶対脈なんてないよ~とわかってても、あんな子が転校生としてポンと生活圏に現れたら、好きになってしまうのも無理はない。花苗の恋心、あれは本当に仕方ない、抗いようなんてないと思う。


いきなり一番言いたい部分の話をするけれど、やっぱり何よりも衝撃的だったのは、帰り道で花苗を「拒絶」するシーン。
花苗から裾をギュッと掴まれた瞬間の貴樹の表情に、本当にやられた。。
そんな顔を好きな人からされたら、こっちの心がバラバラに砕け散る…と思うような。
心臓の真ん中にいきなり冷たい手を突っ込まれた感覚のするような、それはそれは恐ろしい顔。
オペラグラス越しの視界に、見たことのないような推しの表情がくっきりと浮かんで、初見時は本当に息を飲んだ(し、毎公演やっぱりものすごい顔をしていた…)。
花苗のモノローグにある通り、それは凄まじいまでの、明確で強い「拒絶の現れ」だった。


そしてその表情は、花苗が貴樹のシャツの裾を引いた瞬間から始まっている。
いったいどうしてそんな顔を…と、胸を突かれるような気持ちになりながら考えたのだけど、
おそらく貴樹にとっては、「裾を不意に強く引かれる」というその行為そのものが、かつて明里とたった一度過ごした時間の記憶を形作る、大切な要素の一つになっているからじゃないだろうか。


「第一話 桜花抄」で、雪による電車の遅延に次ぐ遅延ののちに、ようやく駅で出会えた貴樹と明里。
待ちわびた再会の直後、明里が貴樹のコートの裾を「ギュッと掴み」、貴樹が「一歩分、彼女の方に引き寄せられる」というシーンがある。

体の向きは違えど、花苗からそれに似通った動作を受けた瞬間、貴樹の中には不意に、明里との思い出が強くこみ上げたんじゃないだろうか。
誰にも見せずに奥深くに仕舞い込んでいる、自分にとって大切にすぎるその思い出に、急に他者に割って入られたように感じてしまったから、貴樹はあれほどまでに強烈な拒絶のまなざしを、花苗に向けたのじゃないだろうか…。
だからこそ、花苗にとっても、決して告白などするまいと思わざるを得ないような圧が、そこに生まれたんじゃないだろうか。
…と、思わずこうして理由を考えたくなってしまうほど、貴樹のあの表情は恐ろしくて忘れられない。あーーー。推しのあんな顔…見たことなかったよ…!?(※わかりづらいけど、これはめちゃくちゃ喜んでいます…)
というか、あの顔が決まらなかったらこの話、成立しないも同じなのでは…?と考えると、まりおくん!流石だ!!!涙

◆「ここではない何処か」を希求する心

ユッコ、コタロウ、花苗と4人でいるシーンに、とても象徴的だと感じるのだけど、貴樹はひとりだけ、そこにいるのに、「いない」ように見える。
意識的にか無意識的にか、彼はそこにいる自分を是としておらず、心は他所に彷徨っている。
そんな第二話の貴樹はずっと、「ここではない何処か」を、ひとり探し求めているように見えた。
東京の大学を受ける、という進路を聞いた花苗は、やっぱり、と返す。「だって、どこか遠くに行きたそうだもん。…なんとなく。」と笑顔で続ける彼女は、その点に関してはとても正確に、貴樹の本質を射抜いている。


「コスモナウト」で、貴樹は明里に送れないメールをひとり手元で打ち続けている。
でも、そこにあるのはきっと、既に純粋な恋心ではなくなっているのではないか。わたしにはそんなふうに思えた。
まだ見ぬ場所をひたすらに希求する、彼の中に凝った叫びのような何かが、「送るあてのないメールを打つ癖」だったんじゃないだろうか。
届かないことはわかっていて、でも手を伸ばさずにはいられない。もっと言えば、どこに手を伸ばしたいのかもよくわからない。
でもはっきりとある「ここではなくて、何処か違うところへ行きたい」というその気持ちだけで、はるか向こうの空の上に手を目一杯に伸ばそうとしている、それが「コスモナウト」の貴樹だと思った。


遠野くんは東京からきた男の子だから、私たちとは違ってどこかシュッとしていて、洗練された空気を持っていて、爽やかさを感じさせるような大人びた優しさが似合う。
きっと花苗だけじゃなく、貴樹はまわりの同級生から、そんなふうに思われているに違いない。
それはおそらく、半分くらいは当たっているんだけど…。でも一番の芯にあるのは、貴樹は自分の周囲を取り巻く世界に興味を持てていない、ということなんだろう。
貴樹は、居場所を自分でまだ選ぶ力のない、”子供”としての不自由さに苛立ち、でもそれをストレートに外に出せるほどの積極的なわがままさもなく、ただ鬱屈した気持ちをどこかに引きずって、日々を漂っている。
花苗は「貴樹くんはすごく優しいけれど」と繰り返し述べるけれど、その優しさはおそらく、興味の無さから来るものだ。どうしても、そう思わずにはいられなかった。

◆結局、貴樹は花苗をどう思っていたのか?

…と、ここまで書いたことは、きのう1、2公演目を見たあとに浮かんだ感想を急いでまとめたものになる。
しかし、今日3、4公演目を見たときに、また違う解釈が浮かんできた。
なぜなら、まりおくんの演技がけっこうな度合いで、変わっている(ようにわたしには思えた)からだ。


今日の2公演の貴樹は、そこにいるけどいない、という雰囲気が、いくぶんか和らいでいて、より第一話に近い、あの頃の13歳の貴樹と地続きな空気感で、そこに立っているように思えた。
素朴さ、みたいなものが、冷たい優しさの代わりに少し色合いを強めているように見えて。


高台に立っている貴樹の元へ花苗がやってきて、進路調査票で紙飛行機を折る夕暮れ時のシーン。
真っ白な進路調査票を手に「わたし、明日のことも、よくわからなくって」と笑う花苗に、「きっと、誰だってそうだと思うよ」と返す貴樹。そのあとに続く「余裕ないんだー。」の半ば独り言のような声は、ごく柔らかな響きだ。
紙飛行機を飛ばした花苗の、「ロケットの打ち上げ、貴樹くんと一緒に見たいなって」という言葉に、「…うん。」と答える表情にも、さほど閉ざされたものはなくて、自然に微笑んでいるように見えた。
そのあとの「話せてよかった。」の言葉にも、社交辞令のようなものは見えなくて、思ったままにぽろっと言葉をこぼしているように感じられたのだ。


なんだか当たり前に、花苗との時間をリラックスして過ごしているようなその様子を見て、「あれ…?」となった。
貴樹は、花苗と過ごす時間に対する心地よさや、ほんのりとした好意を、ある程度自覚的に抱いていたんじゃないだろうか…?と、思えてきたのだ。
興味がないゆえの優しさで、決定的な何かを曖昧に回避しているだけ、と言い切るには、なんだかちょっと違うような…と。
「一緒に帰ろう」っていうどこか無責任な言葉も、その場の出来事の動きに流されるように、発しているだけではなかったのかもしれない?と。


しかし。それでもやはり、例の拒絶のシーンの凄まじさは変わらなかった。
「どうしたの。」の一言で、徹底的に花苗の言葉を封じ込めた貴樹は、彼女のほうを振り向くことなく、ただ静かに歩みを進めていく。
その顔に浮かんでいる、なんとも言えない諦念を感じさせるような、静かに湖の底に沈んだような表情を見つめていて、あぁ…と心に浮かんだことがあった。
たぶん、あのシーンの貴樹は、自分に失望しているんじゃないだろうか。
自分に好意を寄せてくれている女の子に対して、反射的にとはいえ、取り返しがつかないほどの拒絶を示してしまったこと。
そんなふうにしか「ここにいる」ことができないでいる自分に対して、貴樹はぼんやりとした苛立ちと諦めを感じ、じわりとひとり、失望感を抱いているのではないだろうか。


しかし、あまりにも歯がゆいけれど、それを振り払うほどの強い意志を持つ選択を、彼はとらない。
貴樹は、その自分の閉じこもり方からくる世界への接し方が、周りにどういう影響を及ぼしているのか、まだわかっていないのだと思う。
もしも、あとほんの少しだけ、目をはっきりと見開くことができたら。
諦めの代わりに、いまある目の前の出来事を真っ直ぐに見つめることができたら、もしかすると変わっていた何かが、あるかもしれない。
でも、そのほんの少しが、貴樹にはどうしようもできない。彼は、自分の後を歩きながら涙を流す少女に、かけるべき言葉を探し当てられない。
だから、花苗の隣にいるのに、貴樹は決して彼女と同じ世界にたどり着くことはなく、二人はすれ違っていってしまう。そんなふうに思った。


◆「いま、ここ」を力強く生きる花苗

花苗は、地元である島をごく自然に愛している。それを象徴するかのように、彼女が熱心に取り組んでいるのは、島を取り囲む海に出て行うサーフィンだ。
これ以上なく、しっかりといま自分のいる場所に根を下ろしている彼女と、ここではない何処かへ行きたい貴樹とでは、どうしても、結びあえる点が見つからないのも無理はない。


特に印象的だったのが、花苗の声に出さない「告白」のシーンだった。
拒絶を受けた日の別れ際、花苗は貴樹に言葉で想いを伝えることを諦めて、ジェスチャーゲームと茶化して、体の動きだけで静かに告白をする。
胸の前で腕をクロスさせた花苗は、少しの間だけ、切なげにじっと貴樹を見つめたあと、視線を静かに落として、左右に一度ずつ、ゆっくりと体を傾けてみせる。
生駒ちゃんのその姿は、なにか真摯な祈りを託すようで…その行為は、間違いなく花苗自身のためになされたものであるように思えた。
決して叶うことはない、彼を好きであるという自分のその気持ちを、愛しいものとして扱って、せめて弔ってあげようとでもするような。


「終了ー!残念でした!…じゃあまたね。バイバイ!」
ジェスチャーを受けて、何かを言いかけようとする貴樹をそう明るく遮って、花苗は笑顔さえ浮かべてみせる。


貴樹と別れたあとのモノローグで、想いと一緒に涙を零す花苗。
自分の内側に、どうしようもなく貴樹を思う気持ちがあることを、彼女は正面から認めている。
そしてそれには決して行き場がないことを知りながらも、その事実を丸ごと、受け止めようとする。
そこには、花苗のもつ、年相応の眩しいエネルギーがあるように思えた。
進路を決められないという花苗だけれど、彼女はそれでもごく自然に、自分の人生の主人公たらんとしている。
実らない恋を、そのまま飲み込んで、とりあえず前に進んでみる決意がある。
だからこそ、「コスモナウト」のラストは、半年ぶりに波の上に立てた、と告げる、明るい表情の花苗で、幕を下ろすのだと思う。
手ひどい失恋を経たあとなのに、溌剌としたあの笑顔。生駒ちゃんの花苗は、本当にエネルギッシュで、ナチュラルで、素敵だった。



いや…推しのセリフが一番少ないのが「コスモナウト」なんですけれどね、、なんといいますか、一番意外な姿が見られたのが第二話だったので…思わずそこから言語化してしまいました。
ちょっとあの在り方はたまらなかったです。あんなものを見せてくれるなんて…にくいねぇぇ…!となってしまいました…。す、好きだ~~…。これだから、推しているんだな…。になってしまった。


四人でのジェスチャーゲームのアドリブは、毎回違ってすごく楽しそうで、お客さんも笑っていて楽しかったなぁ。
貴樹のアドリブの回答がなぜか千秋楽だけ、自信満々にハリのある声で「なまはげ!」だったんだけど、花苗とユッコが「あながち間違ってない」って小声でやり取りしてたのには笑ってしまった。
そのあとのシーンでユッコにジェスチャーを強いられた花苗が「…またなまはげになっちゃう~!」ってこぼしているのも可愛かったな。


紙飛行機のところは、本当にそういうの、よくないですよ!そんなだから女の子を悲しませんだよ貴樹のばかやろう!になりながら見てました。許せん…ナチュラルボーンモテ男め…!(※貴樹って別にそういうキャラじゃないような気がするんですけれど、あのシーンに関してはあれですね。中の人の素のかっこよさに、絵面がめちゃくちゃ引き上がっていますね…)
肘をついて花苗の手元を覗き込む姿は、まるで気まぐれな猫が何かのようで、どこかちょっと気だるげな声の出し方が…「だーかーらぁー!そんなことされたら、好きになっちゃうって言ってんでしょー!?バカー!!!」だった。キレた。かっこいいわ!!!バカー!!!なった。花苗がかわいそうだ!!!



原作映画はもういつかわからないくらい前に、たぶん2回以上は見ている…んですが、話のごく細かな部分はわりと忘れてしまっており、
全体的な構成や、抱いた印象をおぼろげに掴んでいる程度、という状態だったので、逆にまっさらな気持ちで楽しめたような気がします。
…というくらい、本当に細部を忘れているのでね!
今回書いた解釈が「そんなん原作通りだろ!」だったり、反対に「全然違うわ!」な点は、いずれもどうかご勘弁くださいますと幸いです!笑
これはあくまでも舞台の感想だからっ…!(逃げ)


朗読的という表現手法や、応援している俳優さんが主人公を演じていることなど、たぶん色々理由はあると思うんですが、原作を見たときの感想とは、意外なほどにだいぶ違うものが残りました。
第一話・第三話と、全体の演出などについては、ちょっとまた別でなんとか頑張って書けたらと思います…!書けるか…!?

「宝塚」という沼、もとい大海原を前にしたオタクの逡巡~検索の禁じられた世界で~

先週、「初めて宝塚を見に行ったよ!」という観劇記録を書いたところ、想像以上にかなりたくさんの人に読んでいただきました。
anagmaram.hatenablog.com

いやマジで、思った以上にヅカオタの方に届いてしまった。すみません&ありがとうございます…!笑
やはりそこは舞台オタクのはしくれ、「初見かつ他ジャンルの人の新鮮な感想って、どうしても面白いものだよね!」という把握がありまして、せっかくなら面白がってもらえたらいいな…と思いながらしたためた記事なんですが、これもまた思った以上に面白がっていただけて、何よりでした!
読んでくださった皆様ありがとうございました。
好意的に受け取ってもらえて、とにかくありがたいの一言です!


さて、はいからさんを見たわたしのその後。
内面がもうね、だいぶやばいことになってるんですが、とりあえず今のわたしは無駄に(?)運命に抗おうと試みており…
あとから読み返すときっと未来の自分が面白がるので、ここ最近の心の動きを書き留めておきたいと思います!

◆(自主的に)検索の禁じられた世界

とりあえず今、わたしは自分に「検索」を禁じています。

「え、何どういうこと?」ってなると思うんですが笑、とにかく宝塚に関する検索を己に禁じているんです。
暴れる右手を封じ込め、「柚香光さんについて調べたいけど…調べないッ…!」みたいな謎のあらがいをしている最中です。それはなぜかと言いますと!

なにかに突然ハマったオタクなら誰しも覚えがあると思うのですが、人間の、いやオタクの「これについてもっと知りたい!」という探究心、そこから生まれるエネルギーには、本当にものすごいものがありますよね。軽く発電とかできそう。
とにかく知りたい!というピュアな本能に忠実に従って動き始めること、それはイコール沼への高速落下のはじまり。
検索をしたら最後、誰に背中を押されるでもなく、後は勝手に転がり落ちていくだけ…。

舞台周りでじゃぶじゃぶと趣味の沼を泳ぎ回って8年目、もうまもなく10周年も見えて来ようというオタクなので、自分のこの「掘り下げ力」には、変な話ですが十二分な自信があります。落下の仕方が鮮やかすぎることに、自負心があると言えるくらいです。

…なので、ある意味逆張りのように、今はひたすら「自分から新しい情報をとりに行かない」ことにしているのです。検索は禁止!笑
(トップになられる過程とはどんなものなの?5つある組ごとにやっぱり特色や違いがあるんですよね、柚香光さんは…役を離れたときどういうタイプの方なんだろう…公演スケジュールってどんなふうに決まってるの?チケットってどうやって取るの?同期ってやっぱり特別なのかしら、公演っていろんな種類があるみたいだけど大まかに言うとどう分類されて…本当は知りたいことはたくさんある!!!笑)


なにか、新しい好きに出会ったとき。
これまでの私は、まるで生き急ぐかのような猛スピードで情報の海を転がり回り、四方八方に触手を伸ばしては情報を瞬時につかみとり咀嚼を試み、己の内面に「好き」の牙城をせっせと築き上げる…そういうオタク人生を歩んできました。
たぶんこの本質は、この先もずっと変わらないと思われます。とにかく出会ってしまったら最後、気の済むまで突き詰めずにはいられない…!という性の持ち主です。
その初期の勢いこそが、楽しさの源泉になっていったりもしますよね。


しかしその一方で。
趣味における重要なテーマに、わたしは「持続可能性」というものを自分に対して掲げています。
好きは大切で日々を支えるエネルギー源であり、なにものにも替え難い。しかし、その好きを追い続けるだけの体力・財力・時間は常に有限…というのは、古今東西、オタクの共通した悩みではないでしょうか。
趣味が大好きだからこそ、息切れしてしまわないよう、自分にとって心地よいペースを保つコツが必要。
厳しい目で己の手綱を引いて心を落ち着けることも、時に重要だと思っています。


今のわたしにとって、宝塚は出会ってしまった新しい「好き」の候補です。
この前のめりな興味の持ち方、知れば知るほど面白そうでワクワクと心が浮き立ってしまう状況から、ほぼ間違いなくそうだと思います。
なので、最終的に行きつく結果(=沼落ち)はおそらくもう決まっているだろう…と、うっすら未来を覚悟しました。笑

しかしなるべく、その「ドボン!」の結末までの速度を、可能な限り緩めてみたい…というのが今の目論見なのです。
高速で駆け抜けて、楽しく溺れていくのも体験として最高なんですが、たまにはそうじゃないアプローチを試みてもよいのかなと。
なにせ、宝塚は軽井沢で別荘地。(※冒頭リンクの前記事参照)
本宅は本宅で、引き続きしっかりと守っていくという使命があります。そのためにはやはり「持続可能性」をシビアにみつめていかねばなりません。
初期衝動って本当に凄まじいエネルギーを持っているので、ただでさえ我を忘れやすい(=財布から紐が消失する)自分には、これくらい意識的なブレーキが必要なように感じたのでした。

◆沼ではなく、それは「大海原」である

そして、なぜ上記のようにブレーキを利かせられる(と思い込んでいる)方針を立てられたのか…というと、それは何もわたしのメンタリティによるものだけではありません。
それは”宝塚”というジャンルをとりまく総合的な印象に影響されたものです。


そう、このジャンル、あまりに広大すぎて、向き合っていると逆にゆったりとした気持ちになるというか…

そうなんです。沼なんかじゃない。この広大さ、底の知れなさ…
これは間違いなく、大海原だ。


なぜ「宝塚=海」だと感じるのか、その個人的な背景をちょっと解説します。 
わたしがこれまで長く慣れ親しんできている界隈=2.5次元は、まさに発展途上にあるといえるジャンルです。
ジャンルとしてはもう定着したと感じますが、やはり総体としては、新しい地平を目指して走り続けている最中の、まごうことなき開拓者であると思います。
わたし自身、2.5次元の演目をたくさん見る方かといわれると実はそうでもないんですが、「入り口がテニミュ、これまで一番回数を通ってきた演目が刀ミュ」である以上、オタクの所属といいますか、心持ちの背景にはやっぱり2.5次元が大きな位置を占めています。


特に大好きで初期からずっと追い続けている「ミュージカル『刀剣乱舞』(略称:刀ミュ)」に関しては、セットがこんなに豪華になった、公式ペンライトがグレードアップした、会場がどんどん大きくなった…!と、運営全般にかけられるお金が明らかに豊かになってきていることを体感して、この数年を過ごしてきました。
2015年、ちょうど5年前の秋に、刀ミュくんが今はなきAiiA 2.5 Theater Tokyoで産声をあげて走り出した頃からを知っているので、お客としても自然と「一緒に走ってきた」感覚があるのです。
「こっちの方に行ってみるから、ついてきてよ!」「うん、わかった!」というやり取りを作品シリーズとの間に交わし、すさまじい勢いでの彼の成長、演目の発展をそれは嬉しく見守ってきました。
なので正直、刀ミュに関しては、やろうと思えば「あの頃のこれはこうで…」と、滔々と蘊蓄を語り出す、古参オタクムーブが容易にできてしまうくらいです。(※それゆえ、なるべくやらないように気をつけています。)
つまりはそれくらい、一個人が歩みをつぶさに追ってくることが可能な範囲の規模感であったとも言えるのです。


しかし一方、宝塚はというと…
100年を超える伝統、兵庫と東京に自前の専用劇場を持ち、全5組のうち複数組が同時並行で演目を上演する体制。
「いやそんなの、どうやったって追い切れるはずがない…!」と、素直に真っ先に思いました。
わたしから見ると、縦にも横にも恐ろしいほどの広がりがあり、どちらに向かって進んでいったら良いものか、見当がつかないような果てしなさに感じられます。

しかしだからこそ逆に、正面から向き合ったとき、ある種の気楽さがあるようにも思えたんですね。
これだけ広い世界なんだから、どこをどう辿っていくか、本当に個々人次第だし、アプローチは多種多様に広がりうるなぁとすんなり思えたのです。
かまり立ちからいきなり猛スピードで走り出したやんちゃな5歳児(※刀ミュ)の隣で、全力で伴走してきたような必死さとは、全く違う景色が見える世界なんだな、と。


気づけばわたしは、見知らぬ景色を前に、ひとり呆然と佇んでいました。
目の前に広がっているのは、美しく光をたたえる真っ青な海。
ざぶんと波が打ち寄せる波打ち際で、とりあえず途方に暮れていると、
通りすがりの人が「ここから先どう過ごすかは、あなた次第ですよ、好きになさい」と優しく微笑み、そっと立ち去っていきました。

さて、どう過ごしましょうか。
海を眺めるだけで満足ならば、砂浜にパラソルを立ててデッキチェアに寝そべっていてもよい。
はるか沖の波頭のちらちらした輝きにぼんやりと見惚れていてもよいし、気が向いたらちょっと靴を脱いで、浅瀬でパシャパシャ水の感触を楽しんでもよい。
もうちょっと欲が出たら、浮き輪を取り出して沖に浮かんでみてもよいし、決意ができたらいきなりモーターボートを持ち出して水面をかっ飛ばしてもよい。


今のわたしは「この大海原で、どういうふうに遊んでもらっても構いませんよ」と、鷹揚に手招きをされている気持ちなんです。

「そっかぁ、じゃあ好きなペースでのんびりと♪」とか呑気なことを考えていたら、突然の高波で沖に拐われていくオチなのかもしれませんけども…!


◆検索を禁じた結果の最近のわたし

大海原を目の前にして、意地になって検索をせず、じゃあどう過ごしているのかというと、手元にあるものは繰り返しての摂取を可としています。もう手元にあるんだからしょうがない(?)。

その結果として「隙あらばポーの一族のCDを聞いている」みたいな人間になっています。かと思えば在宅勤務中のお昼休みの間に、ブルーレイでポーの一族のフィナーレだけ再生してみたり…(20分だからいけるやろ!と思ったらいけた)(試すなや)

…すると不思議なんですが、この間現地で見たせいか、新しい情報はほぼ入れていないのに、どんどん勝手に理解が深まっていってしまってて…あ、アレ?みたいな感じです。
うちに秘めた掘り下げ力がすでに唸り始めている。こわい。落ち着いて。じっとしてて!唸らないで!!!

なんでしょう…例えばなんですけど、この間はいからさんで、真っ白い光のかたまりのような若々しいデュエットダンスを見たのですが、ポーの一族のデュエットダンスはそれとはタイプが全く異なりますよね。大人の色気というか…いやそんな平板な言葉で表してはもったいない美しさがある…。
醸し出される雰囲気について、トップコンビの明日海さんと仙名さんは劇中ではカップルではないものな…などとつらつら考えていたのですが、
「娘役からのあのどこか挑戦的なまなざしは、本編では主人公より年上・かつ初対面のときに瞬間的に憧れの存在だったことを表しているのかしら…」みたいなことが浮かんできて、た、たのしい…
みたいな解釈はおいておいても、もうね、あのお二人のデュエット、美しすぎてくちがあいてしまう…。客席に体を向けてユニゾンで並んで踊るところの美しさったら。言葉が出ない!
わたし仙名彩世さんめっちゃ好きです…!(急に告白すな)
いやなんかもう、「アーー好きーーー!!!」しか出てこなくなってしまう…ほんと…来月、推しとの共演が見られるはずだったのに…超くやしいいいいい!!!!(※るろ剣京都編)
稽古場映像も「好き…」しか出てこないです。好きです。娘役さんの稽古場のスカート、とっても可愛いですね…。ボーナストラックと題してブルーレイにとつぜん稽古場映像が入ってるの、けっこうな罠じゃない?
なんせ、テニミュの頃からいわゆるバクステ=バックステージと呼ばれる稽古場映像に慣らされた体なので…た、たのしい…


…みたいな感じです。手遅れ感すごくないか???(冷静なツッコミ)
手持ちの映像とCDだけでこんなに楽しめてるのに、これで検索したらまじでやばいことになると思いません?
逆に情報の飢餓状態に置くからこうなるのかしらと思ってみたり…


本当に、これからどうこの広大な大海原とお付き合いしていこうかなぁ…と、まだ波打ち際でウロウロ駆け回っている最中です。
どんなスタイルで海に出ていくのか、じっくり、じわじわと見極めていけたら…という希望的観測…!
いやーどうなるかな。とりあえず、すでにめっちゃ楽しいです。
とりあえず、、はいからさん、まだちょっと先ですが、黒燕尾見に行ってきますね!!!(※前回のフラグを回収して終わります!)

宝塚花組公演「はいからさんが通る」を見た@東京宝塚劇場

近くて遠いお隣の国に、初めて足を踏み入れた!
東京宝塚劇場で、「はいからさんが通る」を見ました。人生初(劇場での)宝塚…!

気づいたらまんまと(?)劇場にこの身が運ばれてしまっていた。いったいどうして?

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開演前と幕間に撮れる写真。他舞台だと撮影全般NGが基本なので宝塚ならでは感

初めてこのブログを読む方向けに解説しておきますと、この文章を書いているのは

  • ここ7年ほど舞台おたくをやっており(入り口は2.5)ミュージカル全般大好きでわりと色々見る
  • 俳優さんにれっきとした推しがいる*1
  • 宝塚は映像でしか見たことがない
  • そのくせはるな檸檬さんの「ヅッカヅカ」を愛読していたため、謎に用語知識だけはある(?)

…みたいな人間です。
そういうやつが書いてる感想なんだな、と色々さっぴいて読んでください!
もしもうっかり出会ってしまったヅカオタの方がいらっしゃいましたら、「オッこんなところに初めて宝塚を見た感想があるぞ!しめしめ」くらいな感じで、面白がっていただけると幸いです…。

◆チケットがお値打ちすぎる。めくるめく夢体験!

…テンプレみたいな見出しになったけど本当にそう思ったんだ!笑
見に行くに至った背景などはあとで書くのですが、見に行きたいと漏らしたところ話がトントン拍子に進み、いつの間にかチケットがばっちりご用意されることになり、最終的にちょっと動揺しました。心の準備が…!
「お前…ついに宝塚を見てしまうのか?」という謎のプレッシャーと、「やばい超楽しみ!!!」のテンションがないまぜになった状態で、東京宝塚劇場に向かったんですが、
もうねほんと、

ちょうたのしかった

はーーーーーーたのしかった…見終わって「たのしかった…たのしかったなぁ…」って50回くらい言ってた。たんのしかったーーー!!!


はいからさんが通る、テーマソングからもうテンションがおかしくなれます。時は大正ロマネスク♪って、そんなの頭から離れなくなるやつ、全員で踊るオープニング、全オタクが好きになるやつ!!!(主語が巨大)
サビ最後の「はいからさんがと・お・る♪」の振り付けとメロディだけで、もうしょっぱなから最高になりました。いやほんとに、最高ですね???

原作の内容はうっすらとしか知らない状態で見たのですが、説明不要の「ザ・古き良き少女漫画!」の世界にとりあえずどっぷりとつかればOKなので、楽しさしかなかったです。
「目が!目が!!視界がつねにたのしい!!!なんだこれは!!!」だった…。
もう衣装が全部かわいい。女学生の袴もメイド服も園遊会のドレスもモガのワンピースも、本当に全部かわいい…
紅緒さんのハチャメチャにおきゃんなところ、も~~ちょ~~かわいくて…一幕で頻繁に着ている黄色い普段着のワンピースのディティールがたいへん。レースたっぷりのヨークに裾の細かなフリルにリボンサッシュベルト、白いレース日傘…!


とりあえず、一幕終わったあとは「チケット代に対して情報量が多すぎる!」って叫んでいました。
「だってあの人数で、あのお衣装で、あのセットで…?このあとまだ二幕とフィナーレあるんですよね!!??なのにチケットこの値段でいいんですか!??」なった。
いやほんとすごい。歴史と伝統に裏打ちされた福利厚生が怖い。
あとそもそもフルカラーのパンフレットがたった1000円なのは頭おかしい!!!
なんていうか、出したお値段に対する満足度が異様に高すぎる。。。まじでびっくりしました。すげえや。


二幕は猛スピードで話が展開してくので、原作を知らないと途中で「ごめんもっかい説明して!」ってならなくはなかったんですが、
でもまぁ文脈がある意味わかりやすく少女漫画なので、そこはだいたいセオリーで理解できてしまうところがあり、勢いで見れました。
そして本編が終わって呆けているところに、まじで間髪入れずにフィナーレ始まるのでビビった…フィナーレの曲がラフマニノフのピアノ協奏曲第二番のアレンジだったのもしぬほどかっこよかったです…何事?なりました。
しかもバージョンが2つあるんですってね!?「軍服が大正バージョンで黒燕尾が浪漫バージョンです!」って教えてもらって「ハーーッ(嘆息)」ってなりました。大正!浪漫!!!(※言ってるだけ)
昨日見たのは大正バージョンだそうです。男役の皆さん、キラッキラのシルバーの軍服がイケ散らかしててやばかったです。いやどうなっとるん。
そしてデュエットダンス…まぶしい…焼かれるッ…!ってなりました。「幸福感を具現化してみました!」みたいな花嫁と花婿で、あまりにもまぶしすぎた…。
華優希さんのドレスが真っ白なだけでなく、ラメが織り込まれているのかな?キッラキラの素材で、本当に光のかたまりみたいで…おふたりが上手側で手を取り合ってぐるぐる回ってるところ、照度が高すぎて目が焼けた…なに…?


色々混乱して、見終わったあとこうなった。


(宝塚だってば)

◆「生で見てはいけなかった」はずの…

あの、、そしてね、、、ちょっとブログを書く上で論点ををずらそうとしてたんですけど、
もういさぎよく諦めますね?

少尉むりかっこいい


いやずるい~~~~あれはずるい~~~~~いや、無理でしょ…
柚香光さん演じる伊集院忍少尉が。。わけわからんくらい、かっこよすぎて。。。詰んだ…(詰むな)
「そんな少女漫画な人いる?!」ってなった…見た目が少女漫画じゃん…存在が少女漫画じゃん!!!!!!!!
あの少女漫画独特の線の細さ(しかもドイツハーフ!)を、そんな絵から抜け出た感じでできますか!?…できるんだ!!?だった。

「うーんこれは宝塚じゃないとできない表現だわ」と、見事すぎて天を仰ぎました。なるほど、こういうことか~という説得力があった…。唸ってしまう。
この世に存在しないタイプのかっこよさってそういうことね!と。男役にしかないかっこよさってこれを言うのか…!と。
だって、何!?あの足の長さと顔の小ささ!?なにがどうなったらそうなるの!??ブーツを履いてる御御足の長さと細さ…。スタイルがおばけだった。
途中で軍帽をピュッと投げるところはずるすぎてずるかった。
銀橋を歩いてこられると「アッだめですこっちに来ないでください」になりますね。…なにをいっているのか?


そして、真っ当な少女漫画のヒーロー的「恋心」の表現なさり方が…やばかったです…ウアァ…。
声ににじませる恋心の在り方が素敵すぎた…みたいなことを初見で言いますか普通。そういうとこだぞあなぐま。お前はそういうこと言うからかんたんに沼るんだぞ。(セルフ説教)
なんというのか、紅緒さんを想うセリフのひとつひとつが、陽光みたいなあたたかさを含む声で、いやちょっと、存在があまりにも光すぎんか!?なりました。
いやーーーほんとに…紅緒さんに対する包容力が…なにそれ…おそろし…いやかっこ良…すご…。。。
主人公のヒロインに対してなにがあっても愛を貫く様子が、少女漫画のヒーローにしかないやつだ…ファンタジーの具現化だな!?夢かな!?って。


まじでほんと、


ほんとこう思った。ほんとさ~!おまえはなんでそんなに迂闊なんだよ~!!!わかってたのになんで行ったんだよ~~~!!!
(見たかったから…)

◆見に行く前になにがあったのか

いや別になにもないんです、なにもないんですけど…
映像で過去に見たことのある宝塚の演目についてここらでちょっと解説します。

実のところ、映像できちんと見たことのあるその内訳がものすごく偏ってまして、「ポーの一族」(2018年花組)と「エリザベート」(2014年花組)だけなんですね。
もはやそのラインナップ、小池先生のおたくである。
(数年前に、友人から花總まりさんが娘役時代に出演されていた映像も貸してもらって見たのですが、何年の公演なのかは失念…!)


ポーの一族は、だいぶ前に会社の先輩がスカステ焼いてくださったのを見たんですが、後日自分でブルーレイを買いました。(理由:好きすぎて)
エリザベート東宝版に並々ならぬ思い入れがあり、日本初演の礎になった宝塚版もどれかはちゃんと見ておきたいなと思い、フォロワーさんのおすすめにありがたく乗って2014年花組を買ってめっちゃ楽しんだ、というのがわりと最近の話です。
「スターアングルって何…すげー!」ってなったりして楽しみましたマジで。福利厚生すごいな~!


で、ポーに関してなんですが、原作が好きだったので、シンプルに見てみたい気持ちが当時からありました。たいそう話題になっていましたよね。
とはいえ、超人気演目を馴染みのない人間がそうそう見に行けるもんでもないので、当然見る機会はなくそのままになっていた…という事情があったんですが、先述の先輩にディスクをいただいてありがたく拝見し、小池先生演出+原作文脈で、ものすごく楽しんで見ました。

…その中でね。「あーーーこれは絶対にまじまじと見たらダメだ」と思ったのが、ほかでもない、柚香光さんだったんですよねぇ…。
なんていうか、本能が敏感に危険を察知した…。
びっくりしたのがフィナーレの映像で。「ちょっと待ってくれ、アランの時とちがいすぎない!?なんでいきなりそういう感じ?!」ってひっくり返りまして…いやだってウインクとかまじおっかなくない!?噛み付くようなウインクってこのことか!と膝を打った。かみついてた。んぎゃー。
トップの明日海さんがどちらかというとなんともいえずノーブルな感じでいらしたので(だとしてもエドガーとの振り幅には驚かされるのですが)、その対比というか、いい意味でのケレン味みたいなものに驚いて、とりあえず見なかったことにしたんですよね…。華がやばい。
いや~おっかないおっかない。近寄ったら大変なことになる!と思って、そっと心のなかにしまいこみました。


そしてその後、トップに就任されたというのは普通に舞台おたくをやっていると風の便りで耳に入ってくるので(※不思議だけど入ってくるのよね)(※それはお前がうっすら気にしているからでは?←)、
「あ~~~~なるほど了解しました!近寄りませんね!」って思ってたんですよね。思ってたのよ。
なのに、なんでホイホイ見に行ったんだろうね!!!?


昨日のソワレ以降、頭の中を少尉が通りすぎるので、「通らないでほしい」ってなっています。(※少尉ははいからさんではない。)
友人の友人がヅカオタで今回チケットを用意してくださったんですが、「なんで今まで宝塚見てなかったの?」って言われるほどでした。
このリアクションの良さ、連れて行き甲斐がありすぎたそうです。ヘヘッ。
舞台おたくを長年やっていると「オタク的二親等」には必ずヅカオタの方がいるような気がします…!笑
見に行って楽しむだけですごく喜んでもらえて私まで嬉しくなりました。歓迎されるのってありがたい。笑顔で沼に誘われている事実からは目をうまく逸らしつつ…


とはいえね!本当、生身の人を好きになるおたくをやって久しいので、自己に対する傾向と対策はもういやというほどわかっているので、いのちだいじに過ごします!笑
「総員!守れェーーーーッ(財布を)」ってかんじです。いやほんとうに。命がいくつあっても足りなくなるからっ…
一緒に見に行った友人とは「たまにいく別荘地としよう」という約束を交わした。
家訓:宝塚は軽井沢で別荘地!
たまに遊びに行かせてください!!!(いくんかい)

◆つまり、それくらい、楽しかったです

…という感想でした!(どんなだよ)

あそこまで「お客さんを絶対に楽しませる、キラキラしたものだけを見せる!」っていう、ある種執念のようなプライドで作り込まれている劇場空間、他に類を見ないような気がしました。
前提として”観劇”なんだけど、普段慣れ親しんでいるミュージカルとはやっぱりどこか違う体験。
独特の完成された世界観、本当に面白いな…と思います。
開演前のアナウンスやパンフレットで述べられる「ようこそお越しくださいました」っていう日本語が好きすぎます。
非日常への丁寧ないざないに、手を引かれるまま身を委ねればよい完璧な夢の空間がそこにある。そしてそれはやっぱり、長く培われてきた時間の為せる技なのだろうなと…。
100年を超える伝統を守ってきた矜持の在り方は、やっぱり外から見てもかっこいいです。


春に予定されていた公演は、スケジュールが何度も何度も変更され、大劇場では公演中止を経たりもして、そこからの今回の、東京公演なんですよね。
親の仇か何かのような風当たりの強さに晒されていたエンタメ全体の中でも、常に凛としている印象だった宝塚のその姿勢には、舞台が好きなおたくとして、勝手に力をもらっていた瞬間がありました。


この先だってどうなるかわからないし、興行にとっては苦しい状況が続いているのも事実だと思うのですが、
こうして実際に足を運んで、その輝きをお客として受け取らせてもらえたことは、これも勝手にではあるけれど、とてもとても嬉しい出来事でした。


東京での公演が無事に千秋楽を迎えられることを、心から祈っています。
素敵な時間をありがとうございました!たぶんまた行く!黒燕尾見なきゃ!!!(フラグ)

*1:推しは黒羽麻璃央くんです!るろ剣で仙名彩世さんと共演するの、ちょうたのしみにしてました…

「山崎育三郎 Premium Concert 2020 ~幻のトートからのエール~」10月4日ソワレ(黒羽麻璃央くんゲスト回)を見た

山崎育三郎さんのコンサートを、昨日配信で拝見しました。
千秋楽となる4公演目、10月4日ソワレのゲストに、まりおくんが出演なさったため…!涙
www.ken-on.co.jp


発表になったときからでしたが、本当に、本当に、育三郎さんには感謝しかありません。
こんな機会がもたらされるなんて、思ってもみなかった…
今回のコンサートは、本来育三郎さんのファンクラブ限定の催しであるところ、
10月4日公演に関しては一般にも配信が開放され、おかげでわたしもリアルタイムで見ることができました!


「幻のトートからのエール」とタイトルにあるとおり、冒頭では育三郎さんがご出演中の朝ドラ「エール」にちなんだ楽曲がいくつか披露され、
動画をまじえたトークコーナーを挟んだのちに、怒涛のエリザベート・トートメドレーが次々に歌い上げられるという、とんでもなくゴージャスなコンサートでした。
というか、ここまでエリザづくしになるとは…!育三郎さんのトートに、しっかりと魂抜かれました。。


そしてなぜ「幻」なのかというと、言うまでもなく…
今年上演予定だった東宝ミュージカル・20周年記念版「エリザベート」は、全公演中止を余儀なくされました。
これまで長らくルキーニ役として活躍してこられた育三郎さんは、今年初のトート役として帝国劇場の公演に出演、
まりおくんは新たな史上最年少のルキーニ役として、帝国劇場デビューを果たすはず、でした。


今回コンサートという形ではあるものの、見ることが叶わないままだった姿、焦がれていた歌声に、思いがけず会うことができました。。
以下主にまりおくんについてになりますが、感想を書き残します。(※いつもどおり、全力で冷静さを欠いておりますがなにとぞご容赦ください。。)


◆ロミオ&ジュリエットより「世界の王」

まず育三郎さんによる「エール」ゆかりの楽曲披露が終わったあと、えっもう!?というタイミングでステージ上に呼び込まれたまりおくん。
そこから二人で披露されたのが、「共通の作品」として紹介されたロミジュリより、「世界の王」でした。

…もうさ~~!!!涙(いきなりダメになるな)
このあとにエリザの楽曲が来ると思ってる時点でやばいのに、ここで世界の王はさ~!!!泣くに決まっててさ~!!!涙
育三郎さんは2011年の初演ロミオ、まりおくんは2019年再演版のマーキューシオです。(※当時どちらもWキャスト)

いや…育三郎さんと二人で推しがデュエットしてるっていうその事実でもう尊すぎてだめだし、どうしたって大好きな曲すぎるし、
そして去年何度も聞いた曲だからこそ、まりおくんの歌唱力がはっきりと伸びていることもわかって。もう。。
無理すぎる。嬉しすぎてどうにかなる。この時点で、顔面が涙で崩壊した。
だってさほんと、声の出方が全然ちがうんだもん~!「新しいルールは 俺たちが作るんだ」のボリュームよ~…!涙


間奏では「まりおダンス」を無茶振りされてましたが笑、振り付け覚えてるんだね!バッチリ踊って決めてみせたまりおくん、さすがでした。
この間奏での「まりお、ダンス踊ってよ!」の依頼は、育三郎さんからその場で初めてぶっこまれた提案のようで、推しは「…こわっ!笑」って動揺してましたが、
「でもやっぱ若手って勢いが大事ですよね!」とすぐに切り替えて本番に突っ込んでいったのも、本当に度胸と負けん気が持ち味のまりおくんらしい一コマでした…好きすぎる…
間奏後半で育三郎さんのターンにあわせてターンするところ可愛かった。。
世界の王歌ってるまりおくんみると「世界一かっこいい」って感想しか出てこなくなることをまた思い出した。今回もやっぱり世界一かっこよかった…。
ロミジュリにもまた出てほしいよーーー!の気持ちを新たにしてしまった…。

◆出会ってしまった、まりおくんの「キッチュ

エリザベートのトートメドレーとして、一幕ほぼすべてのナンバーを立て続けに歌いきった育三郎さん。
一幕の楽曲を終えたMCコーナーののちに、二幕冒頭といえば?…ということで、まりおくんのキッチュが披露されました。


ここでもう、書く手がいったん止まってしまう。。感情が濁流みたいに暴れて出口でつっかえるばかりで、うまく言葉に置き換えられない…
見たくて見たくて、心から焦がれていて、だけど目にすることできないままだった姿。
それを、今回見ることが叶ってしまいました…。


わたしはこれまで、尾上さん・成河さん・育三郎さんのルキーニを、劇場やDVDで見てきましたが、
昨日見たのは、明確にその誰とも違う「まりおくんだけのルキーニ」でした。
役を内側に落としきって、自分のものにしていたことがわかる歌唱でした。
聞き慣れたまりおくんの声ではあるけれど、今まで聞いたことのない声の使い方や表現方法にあふれていた。
声を濁らせながらもはっきりと通す方法や、決められた音階に乗った上で語り口調のように崩して歌う方法。
どんなふうに歌うんだろうと、想像を働かせることしかできなかったあの有名すぎる曲が、推しの歌声で耳に届いてきて…もうどうしていいかわからなかったです。
PCの大きなモニターで見てたけど、なんかもう受け止められなくて、見ながら最終的に椅子ごと後ずさってしまった…。


馴染みのないコンサートという環境だし、先輩からお呼ばれしているゲストだし、生演奏に乗せて歌う経験もまだ少ないし、緊張しているに決まっていて、そこから来る不安定さが滲むことは否めなかったけれど、それでも本当に本当に、素晴らしかった。ルキーニだった。
まりおくんはこうしてルキーニという役を生きるつもりだったんだなってことが、ぐさぐさと突き刺さるように伝わってきて、ただひたすら泣きました。
眠れなくなるほど追い詰められたという稽古期間の果てに掴んだものは、ちゃんと結実していたんだねって。

ルキーニになると、そういう表情をするんだ、そういう体の使い方をするんだな…って、一挙手一投足に目が吸い寄せられるようでした。
ギラついた目つきで不敵そうに顔中に広げられる笑み。
リズムに乗りながら、ふらっと体をひらめかせる予測のできない動き。

本来予定されていたエリザの上演期間は、約4ヶ月ありました。公演が実現していたら、その間、いったいどれほど成長していただろうか。
見ているとどうしても、嬉しさと悲しさと、いろんな気持ちがごっちゃになってこみ上げて混乱してくる。

けれど何より、嬉しかったです。
そこには、本当に心から楽しそうに歌うまりおくんがいました。
その生き生きと喜びにあふれる姿を見られたことが、例えようもなく、嬉しかったです。

◆からの、まさかの。「闇が広がる」

そうしてワンワン泣いているところに、間髪入れずに入ってくる「闇が広がる」のイントロ。
二幕メドレーに入る前に、まりおにルキーニとルドルフやってもらいます!と予め宣言されてはいたんですが、もうちょっと。キャパが!!!キャパがない!!!なった。
「いや、いまキッチュ浴びたところだから待って!闇広待って!おたくしんじゃうから!!!」だった…。

まず出だしからして、まりおくんのルキーニ→ルドルフへの「秒か!?」ってなるほどのスパーン!切れ味するどい切り替えに、しにました。。推しのもつあの、役者魂よ…!涙
ゆっくりと下手から歩み寄ってくる育三郎さんのトートの気配に、はっとして振り向くその姿。所在なさげにハンドマイクを両手で握りしめ、気持ち猫背気味に立つその姿…いや、どうなっとるん!?ルドルフやんけ!??なって、マジで頭が混乱した。
そうか…推しの闇広…聞けてしまったのか…。


これは去年散々書いたことなんですが、まりおくんがエリザに出演するとしたら、順当に考えてルドルフだよな!ってずっと勝手に思っていたので、
ルキーニ役だとわかったとき、嬉しいやら受け止めきれないほどに驚くやらでまぁ大変でした。
このリンクを貼りながら、去年の秋のあの果てのないほどの晴れがましさを思うなど…(己を痛めつける行為)
anagmaram.hatenablog.com
「そうかぁ、つまりルドルフのチャンスはないんだよな!それはそれでちょっと残念~」って思ってもいたんだけど、
…なのにさ。見れてしまったよ。どういうことなの…?涙
ルドルフのパートで、サビ前に張り上げる「我慢できない」の高音がわたしはとっても好きなんですが、
それをまりおくんの声で…?ガチのトート様とのデュエットで聞けるなんて、誰が思ったか!?っていう…ほんと…(混乱)
ルキーニとはまた全然違う意味で、あり得ないようなものが見られてしまったことへの動揺が、凄まじかったです…。
入り一拍早くてヒヤッとしたりはあったけどちゃんと処理して乗り切ったし!えらかったすごかった!
不安に揺らぐ儚げな皇太子が、たしかにそこにいました。。
わたし夢見てたのかな?ってなった。うん、夢だったのかもしれない…。

◆確かな実力と、あたたかさに溢れる時間

最後に、コンサート全体についての感想です!
今回拝見していて、育三郎さんの人気の理由がものすごくよくわかる~!と思ったコンサートでした。
なんていうか、発するオーラが明るくて賑やかで、なんともいえずに場をぱっと明るくする力のある方ですよね。
そのあたりなんとなくですが、まりおくんとも共通点がありそうに感じて、育三郎さんがまりおくんを気にかけてくれるのはさもありなん…!みたいな気持ちに(おふたり、波長が合いそう)。
ご自身のファンについて「みんなすっごくいい人だから!」っておっしゃるところには、めちゃくちゃほっこりしました。

そしてまりおくんについて「これからすごく活躍していくと思う」と言ってくださったり、ファンの方に「まりおのこともよろしくね!」とたくさん紹介してくださったり…
見ていて感謝の念が高まりすぎて、天井ぶち破りそうになりました。ありがたいを表現する語彙が足りない。この感謝をどう伝えれば!?となったのでとりあえずブログに書いています!!!育三郎さん、本当にありがとうございます…!


そうして優しいまなざしを向けてくださり、デビューを実現しそびれてしまった後輩へ、形は違えども、重ねた努力の成果をお披露目する場を作ってくれて。
さらには本来ファンクラブの方むけのコンサートなのに、配信チケットをわたしたちも買えるようにしてくださって…。
ファンの皆さんも本当にあたたかくまりおくんを迎え入れてくださって、終演後にタグを追っていたらたくさんの方が褒めてくださっていて、また涙がでました。嬉しすぎた。優しい世界にいちおたくとして、とにかく感謝を申し上げております…
ミュージカル界で押しも押されもせぬ活躍をする先輩が、新しく挑戦の入り口に立った若手に手を差し伸べて、ぐっと引っ張り上げようとしてくださっている姿に、本当に胸を打たれるような思いになりました。


そしてなにより、育三郎さんのトート!
それこそルキーニの印象が強いため、聞いてみるまでどんなタイプの黄泉の帝王なのかイメージが全然ついてなかったんですが、すごく魅力的でした…!
普段拝見する”プリンス”としての光の輝きとは、全く異なる力強さで。こんなに太い声で歌われるんだ…!とびっくり。
2020年のエリザ、実現していたら、本当に三者三様にまったく色の異なるトートだったんだな…とわかって…。
トートの楽曲について「続けて歌うもんじゃないな」って仰ってましたけど、流石としか言えない堂々とした歌いこなしっぷりには圧倒されました。
たしかにあの勢いで、畳み掛けるようにトートの楽曲ばかりって相当に消耗しそうですよね…!
かなりハードな試みではあったと思うのですが、ファンの方になるべくすべてを届けたい!という心意気にあふれているように勝手ながら感じて、プロ意識というかエンターテイナーとしてのプライドというか、とにかくかっこよかったです。

本来ならば、育三郎さんトートのチケットも当然持っていたので(まりおくんの帝劇初日は育三郎さんがトートでしたし)、
本当に。。どうしたって、劇場で観たかった。。

でもいつか、叶う日はきっと来ると信じて待ちます。

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(終演後に更新してくださったインスタで、まさかの小池先生がいらしてたと知って更にひっくり返った…こいけせんせーーーっ涙)




春からずっと、どこにも行き場のない気持ちを抱え続けて、
時間はだいぶ経ったけれど、それでもまだ塞がらない穴が心の中には残っていて。
そうして長いこと、さまよわせるしかできなかった思いを、どうにか昇華させる一端をいただきました。

感謝してもしきれないです。本当に、素晴らしい夢のような時間を、ありがとうございました。


アーカイブは明日10月6日の22時まで購入可能だそうなので!ご興味ある方はぜひ!涙
わたしはこのあと限界までアーカイブを見まくります!!!(視聴は明日の23時59分まで可能だそうです!)
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「配信で舞台観劇の初日を迎えられるか?」という、答えの出ない自問自答

直近の悩みについて。

  • とある作品の全公演(初日や千秋楽だけでなく、上演される全ての公演)が、リアルタイムで配信される環境において、
  • 自分が実際に持っている観劇チケットより早い「初日」の配信を見るかどうか

ということに、今ものすごく悩んでいる。

 

 

具体的に言うと、刀ミュ幕末天狼傳についてだ。今月の後半に銀河劇場で公演が始まるが、その全公演が、平日土日の区別なく、リアルタイムで配信されることが既に発表されている。

ミュージカル『刀剣乱舞』 ~幕末天狼傳~の公演全日程LIVE配信が決定! | ミュージカル『刀剣乱舞』公式ホームページ

 

まず前提として、60公演が予定されている演目においての全公演配信、どう考えても簡単にできることじゃないと思う。それにも関わらず、先月末から始まった源氏双騎出陣ともども、全公演配信を実現してくれていることが、そもそもありがたすぎる…ということは、まず最初に述べておきたい。

いま、あらゆる舞台演目は、感染症対策で座席数を減らざるを得ない状況にある。

満席時に対しては約半数に抑えられた客席。そこから得られるチケット収益は、当然元の半分程度になるだろう。公演の収益の柱になっているグッズも、混雑を避けるために現地では販売がされない。

どう考えても興行的には厳しいに決まっていて、その中での全公演配信にかかるコストと、配信から得られる収益のバランスが、どうかとれるものになりますように、この配信の試みが、明確に公演側に収益面でメリットのあるものでありますようにと、本気で願わずにはいられない。

 

…その上で。自分自身の体験に、この状況がもたらすものを考えたとき。

「その作品を受け取る最初の体験を、劇場での観劇ではなく、果たして「配信」に置き換えることはできるのか?」という点、ずっと考えているけれど、結論が出ない。

すごく見たいけれど、やっぱり見たくない…というような葛藤がどうしてもあるのだ。

 

 

実のところ、初日配信を見たいと感じる自分の動機を紐解いてみたときに一番の理由として上がってくるのは、「ネタバレに遭う前に確実にこの目で見ておきたい」というものだった。

 

なぜネタバレを避けたいのか。それは自分にとっての「最初の」瞬間の感慨を、少しでも目減りさせたくないという気持ちによる。ネタバレへの許容度合いは個人差が大きくなってくる部分だが、わたしはその中でもかなり極端にネタバレを嫌がるほうだと思う。

たとえ"再演"の演目だとてそれは同じで、初演時とは演出がどう変わったのかとか、音楽が新しくなっているだとか、キャストの演技が成長しているだとか…とにかくその全てについて、わたしは自分の目で見るまで、前情報をとにかく一切入れたくない。

なのでこれまで(=コロナ以前)は、可能な限り初日に近い公演チケットを手に入れるように尽力していた。そして自分にとっての「マイ初日」観劇を終えるまでは、SNSでは単語やアカウント単位のミュートなどを駆使して、ネタバレに被弾しないよう自衛を徹底してきた。初日からの数公演に入る人の人数は当然限られたものだから、その自衛で乗り切ることは特に問題なくできていたように思う。

しかし、これからは違う。見ようと思えば誰でも手元で初日を味わえるのだ。当然、わたしにとってネタバレと感じられる感想はどこにでも溢れるだろう。その中で自分が劇場に足を運ぶ日まで、果たして情報を入れずに乗り切ることは可能だろうか?SNSを一切見ないで過ごせばなんとかなるかもしれないが、環境は以前とは大きく異なることに、どうしても留意は必要になってくる。

 

 

と同時に、「せっかく確実に体験できる「初日」を、みすみす見逃してしまって良いのか」という気持ちも、自然と頭をもたげてくる。

この全てが簡単ではない環境下での幕開けを、そこに詰まっているだろう挑戦や努力が、表現として結実し、初めて世に出るたった一度きりの瞬間を、画面越しとはいえ見届けるチャンスが平等に目の前に用意されているのに、それを行使しないなんて、あまりにももったいないのではないか…?と。

 

 

つまるところ、わたしは自分にとっての「配信」と「生の観劇」の体験価値の違いを、まだ明確に捉え切れていない。そこが悩みの根幹である。

その作品に初めて触れる機会は、自分にとってはたった一度きりのものだ。それを生の観劇から配信に置き換える決断は、やはり簡単には進めることができない。

配信と生の観劇、その両者が同じものではない以上、観客としての捉え方がイコールにはならないのは当然だろう。これまで数年間ずっと、実際に足を運ぶことにいちばんの重きをおいておたくをやってきているから、「現場」が失われ続ける現実に、未だに慣れることができていない。

 

それでもここまで迷うのは、自分の中において、配信と生の観劇との捉え方の間に、なにか必要以上の断絶を生んでしまっているのではないか…?とも正直なところ感じるからだ。

「前と同じ」を望めない以上、これまでと全く同じ観劇体験の価値を追い求めてばかりでは、なにか"行き止まり"のようなものを迎えてしまうのではないか。

ある程度の価値観の転換をもって、「劇場で見ているわけではないけれど、配信で見る初日もれっきとした初日だ」と、まずは捉えてみる努力が必要なのではないか。そんな風にも思うのである。

 

…でもこれは、「生の観劇」にしかない魅力や醍醐味を徐々に諦めることに繋がっていく考え方のような気もしていて、そこがどうしても怖いのだ。

どこか詭弁のように聞こえるかもしれないけれど、それでも「劇場で、直接作品を見たい」という欲求、そこからくる自分の中でのこだわりは、そう簡単に手放してはいけないものなのではないか。

「大好きな舞台を、どうしても劇場で見なければ嫌だ!」というしつこいほどのこの気持ちは、舞台というエンターテインメントがこの先も続いていく上で必要な何かなんじゃないのか。大袈裟に言うと、そんな風にも感じるのである。

 

 

一方、公演を打つ運営側は、確実に変化している。それは変化を"余儀なくされた"というのが正しいのだと思うけれども、そうして圧倒的に不自由な環境に置かれた中でも必死にできることを探し、こちら側に懸命にエンタメを届けようとしてくれている。

だとしたら、それを受け取る自分の側の変容もまた、自然と必要になっていくんじゃないか。そんな感覚があるからこそ、わたしは初日の配信を見るか見ないか、滑稽なほどに悩んでいるのだと思う。

 

 

この感じでいくと、わたしはたぶん初日直前のギリギリまで、しつこく迷い続けるような気がする。

しかしそれも、すべては無事に幕が開いてこその話だ。

 

ほんの1〜2ヶ月前に比べても、舞台作品が予定通りに上演できる勝算はなんとなくだが高くはなってきているような気もするけれど、それでも安心なんて出来るはずがない。

ほんの数日で、世界が大きく変わってしまうことを、わたしたちはもう何度も経験してきた。

あり得たはずの演目が無くなる瞬間には、もう嫌というほど立ち会っている。悔しいけれど、だから絶対なんてどこにもない。

 

まずは、幕末天狼傳の初日の幕が、どうか無事に上がりますように。

これももう、飽きるほど繰り返されてきた言葉になってきたけれど、でも本気で、それだけを祈っている。

祝・推しが月9デビューした/SUITS season2(スーツ2)第6話

タイトルのとおりです。
このたび!
推しの黒羽麻璃央くんが!月9デビューしました!!!

www.fujitv.co.jp

解禁されたときの騒ぎっぷりといったらなかったです…。げ つ く。いやいや。すごすぎるでしょ…!!!
ドラマのゲスト出演ってこんな直前に発表なのね!?という驚きもありつつ、解禁から放送までの1週間は、本当にソワソワしっぱなしで過ごしました。

◆事前にやったこと

とりあえず、前話を予習しました!

フジテレビの番組ってTVerじゃ見られないよなと思ってたら、プラットフォームがFODなんですね。
前週ぶんは無料で見逃し配信をやっているとわかり、事前にありがたく視聴しました!
fod.fujitv.co.jp

もともとアメリカ版のドラマがあり、それを下敷きとした日本版であるというところも含め、タイトル自体は前から知っていたんですが、見たことはなかったんですよね。
つまりシーズン1の知識が一切無いため、基本情報が抜け落ちた状態でいきなり5話を見ましたが「OK、おおよそわかった!(たぶん)」みたいな状態にはなれました。
人生において連ドラを見る習慣がほぼないまま過ごしてきてるんですけど、ドラマって思いっきり途中から見てもなんとな~くついていけるように、構造として大丈夫なように作られているんだなぁと実感。
甲斐弁護士(織田裕二さん)の秘書、玉井(中村アンさん)がわけあって事務所を去り、その後任としてやってくるのがまりおくん演じる新秘書・小笠原くん…とのことで、玉井さんはどういう経緯でいなくなっちゃうのかなぁと思って気軽にみていたら、その理由が予想以上にヘビーだったのでかなり胃が痛くなりました。。そ、そんな~!?だった。
もっとこう、「もう、ボスには付き合いきれません!」っぽいかんじの、喧嘩別れ的なやつなのかと思ってた…。けっこう取り返しがつかない理由だった。。まじか…。*1
という衝撃を受け、この流れで後任秘書は荷が重いよな!?と思いつつ、予告を見る限りは映像に出てくるシーンがないので、ちらっとの出演だろうと当たりをつけました。

とりあえず色んな意味での心の準備ができたので、見ておいてよかったです!

◆そして迎えた放送当日

なんなら前日の夜からソワッソワして、月曜日は仕事中気もそぞろになるくらい…Twitterでは無意味に「推しが月9」を繰り返すbotと化していました。

小笠原くんについての紹介文をとりあえず繰り返し読むのですが、

小笠原は掃除、整理整頓など完璧にこなす秘書ですが、生け花などやり過ぎてしまう一面も。

掃除、整理整頓なるほど。生け花。……生け花?

いや生け花、どんなシチュエーションなの?なにがあったの?と疑問が渦巻く脳内ですが、見てみないと何もわからない!笑

そうして息を詰めるように夜9時を迎え、Twitterでうめきながらその時を待ちました。

小笠原くんの登場シーンはここだ!(※時間表記は録画によるものです!)

①初登場・0:13:43あたりから

マカオに飛んだものの、とんぼ返りしてきた甲斐と鈴木(中島裕翔くん)のふたり。カジノでのトラブルに見舞われたクライアントの社長を救うべく、二人が今後の対応について会話をしている最中に、画面左からライトグレーのスーツ姿が爽やかにフレームイン…!

「すみません、甲斐先生ですよね。本日から甲斐先生の秘書をつとめさせていただきます、小笠原と申します。」

出たーーーーーー!!!?????

リビングで思いっきり「ギャーーーーーーー」と声を出しました。推しが月9にいる!!!!いたよ!!!ほんとにいたよ!!!!!涙

やる気に溢れる小笠原が、さっそく引き出しの中まで整頓しておきましたと告げると、にこやかだった顔の甲斐の表情はすっと固くなり、そのまま無言で執務室へと消えていく。
それを聞いて「引き出しの中?」と呟いた鈴木の顔は、完璧に「あーあ…(やっちゃったな)」と言わんばかり。
まずかったかと察知して「あの…」と声をかける小笠原に、前の秘書が辞めたのがショックだからとフォローをいれる鈴木。

「とりあえず…ランチ行ってきて!」「かしこまりました!」

その後、甲斐を追いかけて「彼、人は良さそうですし、それに…」と言いながら執務室に入った鈴木弁護士を待ち受けていたのは、窓際に飾られている、小笠原による見事な生け花だったのでした。


…推しが月9に出てきて引き出しの中まで整頓して生け花を残してかしこまってランチに出かけていった!!!(要約)


②0:30:37頃~0:31:11頃

さいきんツキに見放されてる、とこぼす甲斐に、例えば?と鈴木が水を向けると、甲斐は執務室の外に視線を送る。
そこには、受話器を片手に焦った様子で書類を繰る小笠原くんの姿がッ…!
「そりゃ玉井さんと比べれば誰だって…」とフォローを入れる鈴木。鈴木先生優しいな!!?
そりゃ~そうですよ!だって前任者の引き継ぎなしでなんかすごく癖のありそうな人の秘書をやっているので!そんななかで小笠原くんはきっとよくやっているのだと思います!!!(断定)


その後、甲斐の執務室内で会話をつづける甲斐と鈴木。
話の流れの中で「銃を突きつけられたら、こっちは爆弾を投げつけてやればいい」と勇ましく言う鈴木に呼応するように、「爆弾ッ!?」とひっくり返ったような驚いた声が響く。
そこには執務室の入り口で、書類を手にハの字眉でビビっている様子の小笠原くんの姿が!
「(えーっと…)」と間をとったのち、思いついたように、ほいっと手にしていたラグビーボールをとつぜん小笠原に放る鈴木。
「えっ、ヒャッ、、エッ!??!」とテンパりながらも、なんとかボールをキャッチする小笠原くん。…からかわれている~~!!!!
その後小さな声での「あ、ごめんやっぱこれ」「え?」「大事なやつだから」という鈴木と小笠原の会話が聞こえてきます。つまりボール取り上げられた。kawaii。大事なラグビーボールをいきなり入り口から入ってきたばかりの人に投げつけたらダメですよ!!!小笠原くんが手にしていた書類は無事だったかしら…!?


以上が小笠原くんの出番でした!!!…可愛かったです!!!!!!!


あと①と②は別の日の出来事なので、小笠原くんのスーツのスタイリングが違うんですね!

①はライトグレーの無地のシンプルなサマースーツ。襟元のステッチが素敵です。タイはスーツよりもうワントーン明るめ、こちらもすっきりとした無地のグレー。つやっとしていて素材はシルク混でしょうか。

②はチャコールグレーのチェック地、①よりは少しだけカジュアルな印象のスーツ。タイは黒に近い濃いネイビーに、ドット状の白い織模様。初日とは異なって、ややざっくりとした風合いのネクタイです。

まりおくん、めちゃくちゃスタイルおよろしいので、それはまぁスーツが似合うんですけど!SUITSだけに、どんなどちゃイケスーツ姿で出てくるのかな~♪って思っていたら、どちらかというとキャラクター的に「可愛さ」が際立つスーツ姿でした…!
あともうあれですよ。どこにだしても恥ずかしくない爽やか好青年っぷり、さっすが~!!!(拍手喝采
①も②も、基本的には同系色でシンプルにまとめているとても品の良いコーディネートで、”秘書”という立場を表現したものだったのかなぁと思うなどしました。
2着とも体のラインにピッタリ沿っていて、すごく似合ってた!!!

◆推しが月9にいた(再掲)

…というわけで、推しが、月9にいました。幻じゃなかったよ!!!
昨日は興奮しすぎて放送後しばらく放心状態になりながら登場シーンをリピート再生していました。ブログ書くどころじゃなかった。笑


そして「裕翔くんと喋った!!!!!!」というのが、個人的にかなり嬉しかったポイント…!
というのも、友人が数年来のHey!Say!JUMPのファンなので、これまでの人生で一度もジャニーズを通ってこなかったわたしも数年来うっすらとした一方的な親しみがあり、実は昨年末にはドームコンサートにも連れて行ってもらったのです。
いわゆる天井席と呼ばれる東京ドームの2階後方から、その日わたしが双眼鏡で追い続けたのは裕翔くんでした。いや、だってかっこよくて。
終わった後に友人から「双眼鏡ずっと使ってたよね、誰のこと見てたの?」って聞かれて思わず「なんでわかった!?」って焦って返したんですが、そらわかるわな。笑
…いや、だって、わたしが言うまでもなく、裕翔くんものすごくかっこいいよねぇ!!?
そんな二人が並んだら、こりゃめちゃくちゃ絵になるな~俺得すぎるな~並んでくれないかな…と、ニヤニヤ楽しみにしていたんですね。
なんというか、おふたりともお顔の系統的にはわんこ顔、かつ揃って高身長の恵まれたスタイル、つまりはすっごく毛艶のいい美しい大型犬ツーショットだな…と思って勝手に楽しみにしてたんですけど、まさかの出会い頭で思いっきり会話した。いきなり叶ってびっくりした。
おふたりは同じ93年生まれ、身長は揃って180センチ台。
エーンもっと並んでくれ~!!!の気持ちが止まらなくなりました。来週、チャンスないかなぁ~!涙
…あと秘書なのに、よく考えたら甲斐せんせーと今のところまだ会話がない!初日に視線はあっていそうだけど!!!笑
おふたりの会話も見たいです…!

◆来週以降について

小笠原くんの登場については、扱いとしては「ゲスト」である・「6話”から”」となっているため、7話以降もどこかで姿を見るチャンスはありそうです。
撮影はあっという間に終わったのですが、というまりおくんコメントもあったので、ボリュームとしては、もうワンチャン、ちらっと見られたらよいかな…?という予想をしています。見られますように!
話の展開的に、玉井さんが戻ってこないことはまずあり得ないでしょうしね…!
来週玉井さんはまた登場するようですが、予告を読む限り「事務所に戻るつもりはない」と言っているようなので、さてどうなる…!?


先述のとおり、予備知識ゼロで臨んだので、前話の履修以外にとりあえずWikiを読んだりもしたんですが、
「名前を冠した共同代表なのに、なんで幸村と上杉はそんなに仲が悪いんだろう」というのが最大の気になりです。上杉はシーズン1で追放されたのにシーズン2で戻ってきたって書いてあってびっくりした。いやまじで、色んな意味でなんでそんなことになったの!?笑 気になりすぎてシーズン1見たくなってきた。
あとそもそも鈴木先生の弁護士としての存在の仕方、サギ弁護士ってどういうこと…?と思ったら、そんなに危険なやつなんかい!?とこれにもびっくりしてしまった…!
つまり、わりとみんなで積極的に危ない橋を渡る事務所なんだな!ということはわかりました!(そうなの?笑)…コンプライアンスとは!?笑
個人的に見ていて色々と面白すぎるポイントが盛りだくさんというのもあり*2、せっかくなので、このままラストまで追いかけようと思いました。



…というわけで、あまりにもめでたい推しの月9デビューでした。
情報解禁系のなかでもトップクラスにでかいやつだったので、これでもかというくらい浮かれ騒ぎました。は~楽しかった…!
なんたって今後月9に出演する機会があっても、デビューは1回きりですからね!

まりおくん、改めてSUITSご出演、本当におめでとうございました!!!
推しが月9!!!!!

*1:証拠書類の破棄はダメというか、ダメ以前の問題で、いいはずがないので混乱しました。自分のミスを隠したいというより「自分のありえないミスのせいで甲斐先生を追い詰めてしまった」罪悪感のためだろうと思って見ましたけれども。

*2:昔の話ですが、小笠原くんと同じお仕事をしていた過去があります…。笑