こたえなんていらないさ

主に刀ミュ(ミュージカル『刀剣乱舞』)を愛しながら、舞台まわりをぐるぐるしている人

ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」ロミジュリ2019 全体の感想その1(ロミオ役・ジュリエット役について)

長いようでなんだかあっという間に感じたロミジュリ2019、4月14日に全公演が終了しました。私の見納めは4月13日ソワレの前楽でした。
今回は一度したはずの我慢をひっくり返して、けっきょく東京・刈谷・大阪の全都市に足を運ぶ形になったんですが(おい)、でもそうやって予定をふっとばしたくなるほどにロミジュリの世界が素晴らしくて、本当に大好きな作品になりました。このタイミングで観られたこと、そしてそこに応援しているまりおくんが出演していたこと、全てがとにかく幸せだった!

まずはメインキャストの皆さんとその役について書いてみたいと思います。この記事では主役のロミオ、ジュリエットについて!




◆ロミオ

大野くんのロミオを実際に見てみて、彼にとっての「はまり役」といわれていることに心底納得。とても心のあたたかい、素敵な好青年でした。
なんといっても、あの笑顔の柔らかさ。大野くんのロミオ、お日さまみたいなあたたかい笑い方をしますよね。
ちょっと朴訥としたところというか、ゆってしまえば夢見がちなところのあるおぼっちゃんな様子が、ものすごくしっくりくるというか。ロミオを演じるべくしてミュージカル界にいらっしゃった俳優さんだ!と勝手に思ってしまうほど、本当に似合っていらした。
「バルコニー」の後、後ろ髪をひかれながら部屋に帰っていくジュリエットに、デレデレしながら「うん…うん…」ってうなずいているところとか、お茶目ですごく可愛いところもある、憎めない王子様でした。

大野くんのロミオは、なんというかいい意味での「ふつうの好青年」っぽさがあるからこそ、二幕の悲劇性がものすごく引き立っていたように思います。
わたしがすごく好きだったのが、マーキューシオが死んでしまった直後の「ああ 友よもう二度と声を聞けないのか」のところでして…歌の最後に、マーキューシオの傍らに落ちたナイフを見つめながら「ああ…」って高音をロングトーンで張り上げるところ。
あの声を聞いた瞬間に、ロミオがふいに”別な位相”に飛んでしまったことがわかる気がするんです。死に招かれて足を踏み入れてしまった、あちら側の世界から響いてくる声…みたいな感じがして、前後でのその声の変わりようには、毎回ぞくぞくしていました。

もののはずみで、衝動的に彼が一番やりそうにない「人を殺す」という行為をしてしまうロミオ。その事実がもたらす濃く深い影によって、あれほど朗らかだった一幕とはがらりと表情を変える様子、凄みがありました。その前後の振り幅というかギャップが、見どころのひとつだったなぁと思います!
その絶望の淵に立つ表現が、作品全体を通して、公演が重なるごとにどんどん深くなっていったように感じもして。
大野くんのロミオ、もしかしたら次回の再演でも見られるかな…!?って勝手に期待しているので、また会えたら嬉しい!

ゆうたさんのロミオは2013年版でいちど拝見していたのですが、そこから約5年半ほどが経った今、押しも押されもせぬミュージカル界のトップスターになられましたよね!その輝きがまぶしい…!

わたしがロミジュリ2013以降に見たゆうたさんは、2015・2016年のエリザと、2016年の黒執事くらいなので、お姿を見るのがけっこう久しぶりだったんですが、その間にあらゆる面でものすごくパワーアップしてらっしゃったことを実感しました。そりゃ帝劇センターにお立ちになられるわけだ…ってめちゃくちゃ納得した。
ゆうたさんの声、独特のゆらぎ方をするなと思っているんですが、あの麗しいビブラートのかかり方、大好きです。なんだか楽器みたいな特殊な艶のある響き。それでいて発音はものすごくしっかりしていて、一音一音、ひとつひとつの言葉がとても明快に届く。
そしてダンス…う、美しい。。美しすぎて打ちのめされてしまう。キレがありながらも、ひとつひとつの動きがとにかく流れるようになめらかなんですよね!
あととにかく、スタイルの良さが尋常ではない。いやほんと、何事?って思う。お顔のサイズ、なにがどうなったらああなるの!?美という概念の具現化か?なりました。
大通路前の下手側の席で見ていた日があったんですが*1、まじの目の前に登場した古川ロミオの美しさにびびり倒した。驚きすぎて目をまんまるにしてあほみたいな顔で見つめることしかできなかった…。間違いなく美の化身だった、いいものを見ました。

あとは今回見てみて、自分の中でなんとなくイメージしていたより、数段朗らかなロミオだったのが意外でした。少年の雰囲気がすごく強いというか、若々しかった。ベンヴォーリオへの返事の「まだ見ぬ恋人なんだ~」とか、言い方がすごく可愛らしくて。
…なのですが、やはり、ゆうたさんのロミオ…どうしたって「死」に愛される、死の方から惹きつけられるような、そういう得も言われぬ陰がありますよね…!その陰があるからこそ生まれる独特の美しさは、絶対に彼にしか出せない、唯一無二の魅力だと思う。
特に「僕は怖い」が、本当に国宝指定してほしいような素晴らしさだった。歌声も、”死”とのダンスの掛け合いも、どれをとっても文句のつけようがなくて、うわ~んこんなの何度でも見たい…!ってなりました。後半、上手側で死に体を支えられてふわりと宙を漂うように一回転するところとか、まるで重力を感じないみたいな身軽さで。最後に座り込んで歌う高音も圧巻でした。
たぶんゆうたさんがロミオを演じるのは絶対に最後だったと思うから、今年見られて本当に良かったです!

  • 正統派王子と、運命を背負った王子

大野くんのロミオは、本来であれば幸せに生きていけるはずだった、まっとうな王子様という感じがします。だけれど思いもよらない形で、本当にボタンの掛け違いみたいな形で、悲劇の只中に真っ逆さまに落ちていくことになる。
一方でゆうたさんのロミオは、どこかで最初から悲劇が運命づけられているような気がするんです。時間が経つにつれ、徐々にその道筋が収束していき、定められた通りまっすぐに、死が彩る物語の中へと吸い込まれていく…そんな感じがしました。
大野くんのロミオは二幕でがらりと色合いが変わるんだけど、ゆうたさんのロミオは一幕の時点から既に、ぴったりと死が寄り添ってきているといいますか。
そのアプローチは全然異なっているのに、それぞれがロミオとしての説得力をしっかりと携えていて、ダブルキャストの醍醐味を感じました!どちらも正解なんだなって思うし、二人とものことが本当に好きでした。このダブルキャストの組み合わせは、今年で最後だったろうな…!涙

◆ジュリエット
  • 木下晴香さん

晴香ちゃんのジュリエットは、とにかく芯の強い、しっかりとした女性だったなと感じます。
3人の中で一番大人びて感じた。パンフレットによると「大人びている」というのは2017年から言われていたことだったようですが、実際に見た結果として、本当にそう思う。
なんていうか、盲目的に恋するのではなくて、自分の人生を自分で切り開いていきたい!っていう、強い意思を感じるジュリエットだったように思います。
親に逆らわずにいい子を保って生きてきたジュリエットが、初めて絶対に譲れないものに出会った。それはロミオとの恋であり、その愛を貫くために、彼女はものすごいエネルギーを見せる。
決して状況に流されてるわけじゃない。ひとつひとつ、自分の考えを持って選んでいっている、そんなジュリエット像が、晴香ちゃんの姿から浮かび上がってきていました。

歌はもー、すっごかった。聞き応えが半端ない…!そしてまだ20歳と知ってひっくり返りました。
高音になっても決して揺らがない、ハリのある美しい響き。「芯の強い」ジュリエットと感じるのは、この歌声によるところも大きいのかも。(ジャスミン役も、本当におめでとうございます!)
東京序盤は、歌うことと演じることでいくと、歌にどうしても比重がよっているところがあるのかな?って見ていて感じたんですけど、大阪公演の終盤で見たときはその印象が大きく変わりました。
感情の揺れ動きが、よりダイレクトに歌声に乗るようになっていて。2回目のジュリエットであり、公演もラストに差し掛かるっていうタイミングでもまだまだ進化していくんだな…!っていうところに、若さの底力を見ました!

いくちゃんのジュリエット、今回とても出演回数が限られていたので、もしかしたら1回も見れないかも!?って思っていたんですが、運良く2回観劇することができました。
彼女が出ている他のミュージカルを見たことがなかったので、アイドルとしての限られたイメージしか持っていなかったんですけど、実際に見てみて本当に驚かされた。
あの華奢な体から、あんなに強い声が出るなんて!?ってびっくりしたよ。声質をどういう単語で表現しよう?と思うと「強い」って言いたくなる。なんかねぇ…明るく響きながら周りの空気を弾き飛ばすような、不思議な強さがあるんですよ!ビブラートの抑揚がとても大きいですね。

いくちゃんのジュリエットに特徴的だったのは、恋する乙女らしい可憐さだったかなぁって思っています。3人の中で、一番無邪気に恋そのものを信じていたような気がする。
恋を純粋に夢見ているからこそのエネルギーが、溢れんばかりに感じられました。「陽」のオーラをまとっているなぁという印象です。
バルコニーでの表現も、「二人の出会いを祝うかのように」のあとの息の飲み方が、溢れ出てくる喜びを押さえられない!っていう感じで。顔中に笑顔が広がって、恋の喜びが爆発していた。
ロミオからの「君の携帯教えて!」に対する「持ってないの」の言い方もすごくあっけらかんとしてて。総合的に見て、一番あどけなさが残るジュリエットだったなぁと思います。
テレビや雑誌でお見かけする印象からは、そのお人形のように整ったお顔立ちから、大人びた雰囲気で演じるのかなってなんとなく勝手に想像していたのですが、むしろ逆のアプローチ、朗らかな恋する少女らしさの表現がメインだったのでそこも意外でした!
アイドル活動との両立はどう考えてもものすごく大変だと思うんだけど、その中であれほど堂々とした立ち居振る舞いが出来るの、本当にすごいことだなと。
あといくちゃんの東京千秋楽になった3月3日、カテコの世界の王でセンターで踊るところも見られて嬉しかったです!ちょっと照れながらも楽しそうな笑顔でパーフェクトに振り付けを踊ってて、とにかくめっちゃ可愛かった!

わたしが一番回数を見たのはわかなちゃんのジュリエットだったはず!
ミュージカル初出演とは思えない上手さに、若いのにさすがのキャリアを積んだ女優さんなだけある…!と感動しました。
歌、ものすごくうまかったです!いい意味でまだ荒削りというか、ミュージカル歌唱とはまたちょっと違う、とても生っぽい歌声なところがあるんだけど、でもそれがまた恋をしたてのジュリエットの少女性にしっくり来ている気がしました。でも音域はバッチリだったし、ほんとにすごくたくさん努力して、レッスンを重ねてきたんだろうなと思った。声質がとても柔らかいですよね。まろやかで、包み込むような歌声だった。

あとわかなちゃんに特徴的なのは、やっぱりお芝居の上に自然に歌が乗ってくることじゃないかな?と思いました。まず最初に感情を表現するお芝居があって、その上に歌声がある、という感じ。土台がとてもしっかりしていて、歌うことに集中してお芝居がないがしろ、ということが絶対にない感じ。表情がとにかく豊かなんですよね。

わたしが特に好きだったのは、「結婚のすすめ」で乳母の歌を聞いているときの表情の変化。
「死んだ亭主は浮気ばかり」に対しては「ええっ!?」って驚いて口元に手を当てたり、その後うんうん…と上目遣いで注意深く乳母の言葉を聞いたり、「愛してなければ傷つかない」と言われると、「そんなぁ!」とちょっぴりふくれっ面のような表情をしたり。一連のその移り変わりが、とてもチャーミングでした。
あとは二幕の「明日には式を」の怒りの表現!両親に対して「あなたたちにはわからないでしょう」と言い募るところ、震える声にこもった怒りの強さが、客席にも鋭く伝わってきて、すごく好きでした。
「ジュリエットの死」で最期を迎える時は、おなじ「ロミオ、ロミオ」という呼びかけなのに、ロミオが生きていると思っている時と、死んでしまったことがわかった後で、本当に全然声が違う。
この深い表現力が絶対に強みだなぁと思ったので、また別なミュージカルでも姿を見てみたいです!

  • 「誰が一番好き?」…なんて選べないジュリエットたち

年齢もごく近い3人なんだけど、本当に三者三様に素晴らしかった、という一言に尽きます!
みんな可愛くて歌がうまくて…!も~、全員だいすき!!!

ジュリエットは、演じることの出来る期間がロミオ以上に短い、とても特殊な役のように思います。
特に、2017からの続投となったいくちゃんは今回のパンフレットで「もうジュリエットを演じられることはないと思っていた」と言っていたんだけど、その理由が見てみたらすごくよくわかった。
ジュリエットって、成熟した女性ではなく、あくまでも「少女」なんですよね。
どこかわがままだったり、世間知らずなところだったり…お嬢様育ちゆえのちょっぴり厄介かもしれない側面を持ってはいるけれど、でもその胸の内には、とても強い愛の力を秘めている。
この人と決めた相手への恋心だけを抱いて走り出したが最後、決して後ろを振り返らないというか、むしろ振り返ることをまだ知らない、というのに近いような。
自分たちを取り巻く政治的な状況などには一切目もくれずに、ジュリエットはただ一目散に、ロミオへ向かって駆け出していく。
ある点ではとても向こう見ずな部分があったり、人としてのアンバランスさがある、若さゆえの未熟さをもつキャラクターだからこそ、年齢を重ねてから演じることは、どうしても難しいんだろうなと思いました。
その意味で行くと、やはり続投組の晴香ちゃん・いくちゃんのジュリエットはこれがラストっぽいかなぁと思ったし、逆に今回がデビューだったわかなちゃんはまだ次回も出演がありえるんじゃないかな?とも。繰り返し再演が続いている演目とはいえ、このキャスティングはきっと今年限りと思うと、いろんな組合わせで観られたことがすごく贅沢だったなと感じます。

そして、今回の個性がバラバラなジュリエットたちに共通していたのは、なによりも「品があること」だったんじゃないかなと思います。
なんて表現したらしっくり来るかな…って考えたんだけど、上品さ、なんだよね。若いだけじゃだめで、やはり名家の一人娘に相応しい姿が求められるような気がするんだけど、3人ともそこが自然と備わっていて、凛とした佇まいがとても素晴らしかった。
このあたりって作ろうとして出せるようなものでもないと思うから、あの自然な上品さ、間違いなくジュリエットとして選ばれた方々なんだな…ってことを実感したりしました。
もっかい言ってしまうけど、やっぱり3人ともが大好きだったよ~!可愛かったし、歌がうまかった…こうして思い返すと、どうしたってロスになる!涙



主役のみなさんについてはこんな感じ!と無理やりまとめて終わります。書けば書くほどロミジュリが好きだ~!ってなってしまう。…好きなんだよう!
あとはせめてティボルトとベンヴォーリオと、なによりマーキューシオの話が当然ながらしたいです。
公演期間にタイムリーに更新できないのって、需要という意味では文章としての価値が下がるしいかんなぁとは思うんですが、でもだからって書かないと何も残らないから!しつこく書いていくぞー!

*1:ロミオは客席から登場するのでした。劇場によって位置は微妙に変わるけど、下手側の横の大通路から現れてそのまま下手側の通路を歩いて舞台に上がります