こたえなんていらないさ

舞台オタクの観劇感想その他もろもろブログです。

ミュージカル「エリザベート」2019年版を見た感想

見たくて見たくて暴れ倒していた今年のエリザ、ついに見てきたよ~~~ッ!!!

インペリアルシアターッ!(帝国劇場)

…わたーーしだーーーけにーーーー!!!!!!!涙

ついのっけから全力である。エリザがなんの話かわからない人を勢いよく置いてけぼりにしてしまう、ぽかーんな出だしになってしまいました。大好きすぎる演目なためにちょっとテンションが振り切れています。

超有名で超人気の定番ミュージカル演目ゆえ、説明するのも野暮な気がしますが!
www.tohostage.com
美貌でその名を世に知らしめ、ハプスブルク家に嫁ぎながらも奔放に生き抜こうともがき、最後はアナーキストの凶刃に命を落としたオーストリア皇后・エリザベート(愛称シシィ)の一生を描いているのですが、<彼女の死は一体何によってもたらされたのか>という問いかけからスタートする、史実とファンタジーが複雑に融合した作品です。
彼女の人生を翻弄し続けたのは、”黄泉の帝王”トート、またの名を死。
幼い頃おてんばな少女だったシシィは、木登りをしている時に誤って木から転落し、一度命を落とします。死を統べるものとしてシシィのもとを訪れたトートは、自ら思いもよらない形で、突然シシィに恋をしてしまい、結果として彼女の命を奪う代わりに、現世へと送り戻してやるのです。
死の御手としてシシィを見つめ続けるトートと、オーストリア皇后となり自由な振る舞いを封じられても、自分の人生を切り拓こうともがくシシィ。二人は事あるごとに邂逅するけれど、生き抜く力強さを携えたシシィは、死へ誘おうとするトートの手を決してとろうとはしない。
エリザベート殺害の犯人、ルイジ・ルキーニを狂言回しとして、シシィと彼女を取り巻くハプスブルク家の人々の物語が豪華絢爛な世界観の中に描かれるミュージカルです。


…うん、でもまぁ、詳しい説明は公式のURLで読めるので!(説明できた気がしない!すません!)
見てきた本日ソワレのキャストはこちらです!

気のせいかな!?と思ってカメラロール辿ったけど2016年も子ルドは加藤憲史郎くんだった!3年経っても子ルドできるのすごない!?

ここで、いつもつい書いてしまう断り書き的なやつ。(小心者なので)
わたしはいわゆるグランドミュージカルを本拠地にしているおたくではないので、残念ながらそれっぽいことは言えないです!笑
でもエリザはとにかくあらゆるツボに刺さりまくってて。。2015年・2016年に上演されたバージョンを見て「なんだこれ好きすぎるぞ」と思い、2016年以来3年ぶりの再演となる今年も、めちゃくちゃに楽しみにしていたんです…!
まぁそんな感じで、特にミュージカル的に詳しい知識を持って作品を語るってことは決してできないんですが(なので人によっては的外れだったり物足りなかったりするエントリーかと思います)、ただただ好きすぎるので、とりあえず個人的な感想を書きます!





◆古川トートと愛希シシィ、最高に好みでした…

今回のキャストでいう個人的メイントピックは、なんといっても、トートですよっ…古川雄大さんのトートが!ついに!この世に…!ウゥ~!!!
わたしは2015年も2016年も、ルドルフは古川雄大さんで見てたので、ついに満を持してのゆんトート爆誕…ってなってもう…うっきうきのそわそわでした…。(ちなみにトートは2年とも城田優さんで見ました!)
愛希れいかさんもすごく良いよ~!って友達から予め聞いてて、どちらも楽しみにしてたんだけど、
お二人とも、さいっこうに良かったー!!!!!!!涙

エリザ、物語の軸がそうなので当然っちゃ当然なんですけど、私はどちらかっていうとシシィの一代記としてのみ、この作品を受け取ってきたところがあるんですよね。

というのも、東宝版を見ている限りでは、トートとの<愛の物語>っていう印象を受けたことが正直なくて。確かにトートからシシィへの尋常ではない執着心は感じるのだけど、それが恋や愛のたぐいか?と言われると、それはようわからんな…みたいな気持ちがしていた。まぁ、トートは人ではないので一般的な恋心とは違って当然ではあると思うのですけれど。
でも以前、友人に花總まりさんが宝塚でシシィを演じられていた時の映像を見せてもらったことがあって、その時に初めて「あ、ラブストーリー要素確かにあるなぁ」って感じたんですよね。そこで初めて「愛と死の輪舞」」にも納得したといいますか!

…なんだけどっ!!!
今回ゆうたさんのトートを見て、ラブストーリーとしてのエリザの姿を、私個人としては初めて東宝版で把握できました。それが自分の中でけっこう衝撃的に大きな変化だったので、このエントリーを書くきっかけになりました。

なんていうか、、ゆうたさんのトート、とても真っ当にシシィに恋をしている…!ものすごく、ロマンチックなんですよ…!
決してベタベタしているとかそういう意味ではなくて、、本当に突然、自分でもコントロールが出来ない範疇で、シシィの存在に囚われてしまったんだろうなぁという感じで…。
なんだろうなあ、見ていて意外なほどに表情が!お顔つきが!雄弁に感情を物語る系のトートだったの!!!
直近だとロミジュリでゆうたさんを見たんだけど、その時とも当然違っている魅力が炸裂していて。。好きすぎた…。あんなの見られるなんて幸せすぎた。
ロミジュリの時、ゆうたさんのロミオは、とにかく死に愛されるロミオであることが特徴だと思って見てました。その時もすごく好きだったのでロミオ役については詳しめに感想を書いたりしました。
anagmaram.hatenablog.com

そんなふうに、独特に陰のある美しさを持ち味とする彼が<死>そのものを演じたら、一体どうなるんだろう!?って思ってたんですが、

  • ただただ、似合う。似合う以外に語彙が見つからなかった
  • あまりにも美。徹頭徹尾、美。美しすぎる。オペラ越しに美貌で殴られた

…っていうところまではある種予想どおりでした。でも、

  • シシィに真っ当に恋をしている

っていうのは正直全然想像してた方向性じゃなかったので、「ウワァ~!?」と頭を抱えて転がりましたわ…(興奮した)。


彼は帝王というだけあるのだから、思いのままにならないことなど、本来はきっとないはずなのです。そもそも生きている人間に振り回される必要なんてないはず。
それなのに、シシィを現世へ戻す決心をして以来、彼はずっと手に入らない愛を求めて彷徨うことになる。
愛と死の輪舞の「禁じられた愛のタブーに」って歌詞があまりにも似合いすぎてッ…!
あともーーー、本当にどんどんばかすか歌がうまくおなりになりますね!!?
最後のダンスのいちばんラストのシャウトなんか、かっこよすぎて「ヒィィィ」って背中を椅子に張り付かせました。。ゆうたさんの声ほんとスキナンダヨーー!!!
今まで聞いた中で一番ハリが強い歌い方をしている気がしたけど、それもやっぱり”帝王”ゆえんなのかな!?ロミオのときはもっと青年っぽい若いゆらぎを感じさせる歌声だったので!


今回、ゆうたさんのトートを通じて特に印象が変わったのは、二幕の「私が踊る時」でした。
フランツを説き伏せ、反目し合う皇太后ゾフィーとの対決に打ち勝ち、子育てを自分の手に取り戻したシシィ。ハンガリー王妃となった戴冠式のあとに「勝ったのね」と高らかに宣言し、あなたとはまだ踊らない、とトートの手を勝ち誇った笑顔で拒絶するのですが、その時シシィに手を差し伸べているトートの後ろ姿に、なんともいえない切なさが滲んでいて…。
シシィが思い通りにならないことにいらつくというよりも、彼女への恋心が成就しないことへの苦しさみたいなものを強く感じさせられて。うわ、こ、恋してんじゃん…!?ってなって、初めて「私が踊る時」で泣いてしまった。。
トートに感情移入してエリザみたのは本当に初めてだわ。。
もちろん、今回の二人の組み合わせで見てもこの曲においては<対決>の色合いは感じるのだけど、そこにロマンチックな要素が解釈として入ってきたのが、自分の中でものすごく新鮮でした!


そしてそんな帝王の愛を受けることになるシシィのれいかさん!愛称は「ちゃぴ」さんだと教わったのでもうちゃぴさんで書くね!
…ちゃぴさんのシシィも、本当にめっっちゃくちゃに良い!!!!!!
一幕の弾けるような若々しさも、徐々に羽をもがれてゆく二幕の重苦しさも、本当にどちらも素敵で…
歌声も抜群に素晴らしかった~!!!
歌や場面によって声音を変えるというか、明確な歌いわけもしないといけないし、音域は半端なく高いし、リーヴァイさんはなんて難しい譜面を用意するんや…って見るたびに思うんですけど、どれものびのびと歌いこなしていて、聞いてて大好きになるシシィの歌声でした。
年を重ねるごとに、自分の自由を貫くためにある意味では傲慢さを身にまとっていくシシィ。天真爛漫な少女時代の表情も、したたかさを身につけ、自信を漲らせて嫣然と微笑む皇后たる姿も、どちらも魅力的に演じられていて、叶うならちゃぴさんでもう一回みたいです。。
自分の中にシシィという存在が染み込みきっているのだろうなぁ…と思った。間違いなくそこには説得力がありました。美しくてかっこよかった…!

◆あとはひたすら、エリザの好きなところを書きますのコーナー

まとめる気がないことがありありとわかる見出し。ま、まとまらないんよ…。

  • 音楽が好き…!

なんなんだろうこの魅力。。なんでこんなにぶっ刺さるのかなぁ!?
私自身の音楽に触れた原体験が圧倒的にクラシック育ちだからのせいもあるのかな、とはちょっと思うんですが、クラシックをベースにするけど妙にキャッチーさを感じさせるメロディばかりですよね。引きが強い。ウィーンからやってきたメロディたち…うっとりしてしまうぜ…。
「第一の尋問」~「我ら息絶えし者ども」からして、とてつもなくやばくないですか…?
シンコペーションでおりていくマイナーコードでぶち上がり、その後メジャーコードにがらりと転調するあのダイナミズム。。今日もあそこ鳥肌立ちまくった…!
「ミルク」も「キッチュ」も、最強にかっこいいよね~!!!

エリザは主に音楽のせいにより、特に一幕はほぼずっと泣く、みたいなわけのわからん人間になってしまうんですが、その中でもやっぱり出色なのは「私だけに」ですよねーーーー!!!…と思っています。どれかひとつだけ好きな曲を選んで、って言われたら、迷わずにこれを選ぶ。
最初はピアノだけの静かな伴奏に、徐々に弦楽器と管楽器が加わってゆき、最終的に華々しく打ち鳴らされるドラムスから一気に盛り上がっていくラスト…そして満を持して張り上げられる、シシィの劇中で一番のハイトーン。このカタルシスはなんぞ!!?
どこを見渡してもドレス!っていうシーンが多い中、真っ白い飾り気のないネグリジェ姿でぽつんと立ったシシィがひとりで歌うという演出もまた刺さる…!!!
身を飾るものが何もなくても、彼女の魂こそが眩しく光り輝いているのだ、ということが端的に伝わってきて、もう襟元までぼったぼたに涙を流して泣いてしまいます…。(オペラグラスを外したくないのでハンカチが持てなくて…涙は流し続けるしかなくなるのであった。)
あの曲を聞いてる瞬間、ミュージカルが好き!エリザが好き!ってなって、客席に座っていられる幸せで爆発しそうになる。いやほんと、実はそれくらいこの演目が好きなのでした。。

  • 強さが招く孤独と、絶望と

そもそもが、シシィの生き様に惹かれてしまう…。
諸刃の剣のようなその強さに、自らの身を焼かれるようになりながらも、それでも前に進み続ける…っていう人物造形がもう言わずもがなで私は好きすぎるのですが…
シシィには、自分勝手な面ももちろんたくさんあるんだけどね。。わかっちゃいるんだが、絶対に好きにしかなれないんだよな~…。
でもそんなシシィも、最初から周囲を突っぱねて我儘に生きる気なんてなかったはずなんですよね。
「あなたが側にいれば」でフランツを愛にあふれたまなざしで見つめる彼女の笑顔には絶対に嘘はなかったし、フランツだってシシィを孤独に追いやるつもりはなかったんだよな…って思う。
この二人のすれ違いも悲しくて、その後に待ち受ける展開を思うと、一幕の「あなたが側にいれば」も号泣シーンになってしまうのだった…。
同じような理由で冒頭の「パパみたいに」もめちゃ泣きだし。パパからの「アデュー、シシィ」が、リプライズ含めてもうダメです。
孤独に苛まれるルドルフに対して、頑なに手を差し伸べることができなくなってしまっている彼女を見ても、なんでか責める気持ちになれなくて…っていう私はシシィに肩入れしすぎなんだろうなぁ!
でもそれで言うと、以前見たときは「フランツお前、妻に迎えたんだから責任もって守ってやれよォ!?」ってそればっかり思ってたけど、今はフランツのことも同じように責められないっていうか、かわいそうに思えてきてて…これは単に、見る側の私が以前より大人になったのでしょうか。。笑

  • 視界がドレス天国…

わたし、ドレスが好きなんです…。特にその背景とか理由とかで思いつくものはないんだけど(ないんかい)、ドレスというものを見るとテンションが爆上がりしてしまう。
服飾史的におそらくハチャメチャ正しいのだろう色とりどりのドレスが、これでもか!とばかりに出てくるエリザ、それだけで目が幸せなのです。。
パニエがぱんぱんに入っているシルエットも、ドロワーズがちらりと見える幼いシシィが着るすとんとしたワンピースも、人生の後期にシシィが着るヴィクトリア調スタイルのバッスルドレスも、全部大好き…。。。
シシィ付きの女官たちの装飾の押さえられたシックなドレスも好きだし、ゾフィーの重厚すぎる威圧感満点のドレスも好き!
宮殿に戻ったシシィがルドルフを拒絶してしまうところの、ダークグレーのファー付きのドレスとベールつきのトーク帽も…ルドルフのお葬式の真っ黒なレースのベールも…!ウゥ~!全部好き~!!!…って具合に、ドレスが好きです。笑
もちろん一番好きなのは星のドレスなんですけどね!
有名な肖像画の装いをそのまま衣装に仕立ててあるあのドレス。2015年にはじめて見た時は「ウヒョ~~!?肖像画と同じだ!!?」ってそこにまず大感動しました。
望む生活についての確約をフランツから勝ち取った彼女が、光り輝くばかりの美しさで笑みを湛える、あの一幕のラスト。
最後にバッ!と扇を顔の前にかざすあのシーンに、ばかみたいになってビャー!って泣いてしまう…今日も泣きました。。あの演出、心底天才だと思う…。



だいたい5000字で打ち止めようと思っていたのに、エリザが好きなところ、ちゃんと言語化したことなかったので、書き始めたら止まらず大変なことになってしまった。笑
というか、世界史好きには刺さるに決まっている世界なんだよな。。
背景にずっと吊り下がっている巨大な双頭の鷲のレリーフにそもそもテンションが上がってしまう。そしてそれがカラフルに点滅するところが、ちょっとおもしろくてまた好き。

あーーーー、やっぱり自分が好きって明確にわかっているものを見ると、ものっすごく元気がもらえる!と思いました。
観劇後は楽しすぎて幸福感に頭ふわふわになるあまり、帰り逆方向の電車に乗りそうになった。電車に乗れなくなるのは観劇後の舞台おたくあるある(だと思う)。
このエントリーで全然触れる余裕がなかったんですけど、初めて見た京本くんのルドルフもものすごく素晴らしかったですし、成河さんのルキーニはやっぱ最高でした。
7月にまた観劇にいくのでそれも楽しみ…!たつなりくんのルドルフを見たらまた別な意味での感動に襲われてしまうよ…!ようやく見られる花總まりさんのシシィも楽しみ!

はぁ、とくにまとまってないけど、好きなことを好きなように書いたから満足したー!笑