こたえなんていらないさ

ミュージカル『刀剣乱舞』を実家とする舞台オタクのブログです。推しとご贔屓がいます。

ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」5月21日初日公演を見た感想(主にロミオについて)

ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」、通称ロミジュリ。10周年記念となる5度目の公演の初日の幕が、5月21日に開きました。
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最初にかんたんに説明を添えておくと、梅芸・ホリプロ・TBS・東宝の4社主催で公演されるロミジュリは、今回の上演で10周年の節目を迎えるのですが、
それにあたってメインを務める若手のキャストが一新され、とてもフレッシュな顔ぶれになっています。
グランドミュージカルに初挑戦なメンバーがとても多く、若返り方にびっくりした方も多いのでは。
とくに前回上演の2019年版が、わりと盤石の布陣と言えそうなキャスト陣で、どこか決定版のような雰囲気があったので、前回との対比がけっこう鮮やかです。

この記事を書いている人は、今回Wキャスト主演のひとりとしてロミオ役を務める黒羽麻璃央くんのファンなので、本記事は以降8割くらいほぼロミオの話ばっかりします!


◆全体的な感想

今回の上演にあたり、演出や美術はほぼ2019年版が踏襲されています。
舞台セットの使われ方は大きく変わる部分はなかったように思いますが、主に背景として使われる映像だけはガラリと変わっていて、荒廃したヴェローナの街について、より具体的なビジュアルが打ち出されている印象です。
今回ダンサーさんも新しく出演される方が多いのですが、前回から続投されている方も勿論いて、その中でモンタギュー・キャピュレット両家の所属が変わっていたり、はたまたおんなじだったり…といったアレコレに気付くのが楽しかったです。
大人組のキャストの皆さんも変わらず続投・役をチェンジしての出演の方がいらっしゃったりと、演出や振り付けが基本同じとはいえ、やっぱり全く新しいロミジュリでした。
とにかく舞台から伝わってくるエネルギーが本当に大きい!幕開けのナンバーである「ヴェローナ」の迫力が、本当に大好きです。
19年に目の前で展開するその世界観のスケールに心を撃ち抜かれたことを懐かしく思い出しながら、あぁ、またヴェローナに戻って来られて嬉しいな…としみじみ思いました。


早速ですが、ロミオ以外のメインキャストの皆さんの初日の感想です。

まずはジュリエット役の伊原六花さん。本来であれば、昨年WEST SIDE STORYシーズン3でマリア役でミュージカルデビューを果たすはずだった彼女も、今回がようやくの初舞台となりました。
ダンスがとても得意な方とのことですが(惜しいことに!ジュリエットってダンスシーンはないのですよね)、歌がすごく良かった!
透き通ったクリアな声質が真っ直ぐに飛んでくるようで、年相応のフレッシュさが魅力的で。
とくに二幕に目を惹きつけられました。
追放されて街を出て行くロミオを涙の中に見送ったのち、両親に真っ向から反抗し、ロレンス神父のところへ飛び込んでいく流れの二幕は、急に感情が覚醒したような印象がありました。運命を変えてみせるという強い決意が滲んでいて。
もしかしたら初日の一幕はまだ緊張も強かったのかな…?と思ったりもしたので、これからどんどん深まっていくお芝居が楽しみです!


ティボルト役は立石俊樹さん。
とにかく「ものすごく人気がある…!」という印象の存在だったんですが(最近では黒執事で3代目セバスチャンを演じられていました)、彼がまさかグランドミュージカルに、しかもティボルトで出演するとは!とキャスト発表時はとても驚きました。
実際に見てみると、声の甘さがティボルトには不利なんじゃないか!?と一瞬思いそうになるも、歌唱力が抜群に高くて、あの難しいティボルトの歌を自分のものにできていたので、キャスティングに納得!にすぐに変わりました。
テニミュ3rdの幸村しかわたしは見たことないんですが、本ッ当にお顔が美しいですよね…。
そしてなんというか、実際の年齢的な側面も含めて、感情の動きがとても「若い」ティボルトだったのが印象的でした。
まだ諦観には至っていない、若さそのままのクリアな苦しみを感じて。幼さが残る強がり方というか…とにかく若い!
19年の廣瀬友祐さんのティボルトからは強い孤独と悲しみを、渡辺大輔さんからは名家の子息としての誇りを受け取ったことを覚えているのですが、それともまた全然違っていて。
声量もすごくあるので、決闘の前後での怒りの表現なんかがすごくハマっていてかっこよかった~!ファンの方はこのご出演、きっとすごく嬉しいんじゃないだろうか!


ベンヴォーリオ・マーキューシオのペアは、初日は味方良介さん・新里宏太さんのペアでした。
ミカティはまじでテニミュぶり(まさかの2014年以来!?)に見たので本当にお久しぶり…!なんですが、ロレンス神父役の石井一孝さんが「今回のベンヴォーリオは面白系」と言っていたのがわかる…ってなる感じで、なんかこう…絶妙に面白い!笑
なんだろうか、あの独特の存在感!?ちょっとした表情の付け方というか、その場での在り方にどうしてもクスリとさせられてしまうというか…この感覚、ちょっと懐かしいってなってしまった…。
19年の木村達成くんも三浦涼介くんも、かなり優しい系ベンヴォーリオだったから余計になのか、すごく新鮮です。私のしらないベンヴォーリオいる!ってなりました。うっかりモンタギュー夫人にナイフをつきつけないでほしい。笑
新里宏太さんは、とにかく「危なさ」が光るマーキューシオでした!本人がナイフそのものみたいな鋭さで、迂闊に関わるとこっちが怪我しそう!って感じの。
体のキレがとにかく鮮やかで、ダンスシーンも「決闘」の戦い方も、なんとも言えない切れ味というか、スピード感が魅力的でした。
あとなんていうか、とりあえずこの初日ペアの感想としては、ヴェローナの治安が19年比で30倍くらいは悪化してる感じで、それも含めて最高でした。笑

初日に「死」を演じられたのは小㞍健太さん。死の振り付けをされていたご本人が5回目にして舞台上にご登場!という流れだそうで…!
「死」を務めるどの方を見ていても思いますが、体を動かし、踊りとして表現する上での技量が、本当に凄まじい方々ですよね…。人間ってこんな動きできるんだ…って19年も思いながら見ていた記憶。
初日のわたしがあまりにもロミオに釘付けだったせいで、19年の観劇時よりも死をちゃんと見られていない!ので、次回以降もう少し視野を広く持ちたい!

◆可愛らしさと眩しさでこちらを動揺させる一幕の黒羽ロミオ

そして、ロミオの話になるのですが…
一幕の印象、一言で表すと、ものすごく、可愛かった…。
「エッロミオってこんなに可愛かったのか!?」ってびっくりした。ロミオに可愛いイメージ、これまで抱いたことなかったよ!なんだろうね、あの愛おしくなる青年、もはや少年感は!?ふわふわキラキラしてて…一幕、とにかく眩しすぎた。動揺しました。
まりおくんが演じるのだから、さぞやめちゃモテの人が現れるんだろうな~!とは思っていたんだけど、なんかそれともちょっと違う…よりナチュラルさが抜きん出ているというか。
受け取る印象がとても柔らかくて、日だまりみたいなあったかいロミオなんです。。


登場シーンである「いつか」では、まだ見ぬ恋人、運命の恋に想いを馳せる憧れがとにかく瑞々しく、こぼれ落ちる笑顔がまぁ甘くて…出てきた瞬間から、文句のつけようのないロミオがそこにいました。
自分を探しているモンタギューの仲間たちの中に「やぁ!」と朗らかに現れる「世界の王」直前のシーンでは、その笑顔だけで周りの空気を一瞬で和やかにしてしまう、天性の優しさが溢れて。

そして、仮面舞踏会でジュリエットに出会った「天使の歌が聞こえる」では、まさに歌詞そのままの「ついに出会えた」の爆発するような歓喜が、とてもビビッドでした。
歌の最後のキスシーンより前、ロミオがいちどキスをしようとして、驚いたジュリエットが身を引くシーンがあるんですが、あそことかほんと思わず口づけようと体が勝手に動いてしまったことに、ロミオ自身が驚いているようで。恋心の走り出し方、とてもとても純度が高い…!

その後、バルコニーで衝動的に「僕と結婚してくれ!」って叫ぶところ、「今、なんて言ったの?」とジュリエットに聞き返されて、自分でもびっくりしているみたいでした。本当に、彼にとってもすべてが急激すぎる展開で、感情に理性が追いついていないのだとわかります。
「そうか、僕はいま目の前にいるこの女の子と結婚したいんだ!」って、尋ね返されたことで、自分自身の思いを実感しているようでした。
その思いを噛み締めから改めて告げる、一転して静かに響く声の甘さ。。み、見事だなぁ…。。
一幕ラストの「エメ」のドラマティックさの中には、これから彼女を愛していくんだという力強い誓いが詰まっているようでした。

◆運命に飲み込まれる狂気が光る二幕の黒羽ロミオ

しかし、印象はまた二幕で大きく変わります。
二幕のロミオから伝わってくるのは、仲間と断絶してしまうひりついた孤独、
親友を失った悲しみ、衝動的な怒りと憎しみ、人の命を奪った自分への悔恨と憎悪、それでも残るジュリエットへの想い。
そして大切な人を喪ってしまった果てのない絶望と、死をもってまで全うしようとする、強い愛。


運命の恋人との出会いからほんの僅かの間に、ロミオの人生は濁流に押し流されるかの勢いで変化していきます。
突如として暴力的に訪れる悲劇の中で翻弄されるロミオの感情は、本当に短時間で目まぐるしく移り変わるのですが、
そのひとつひとつが曖昧に流れ去ってしまうことがなく、しっかりと説得力をもってこちらに届いてきました。


特に、「マーキューシオの死」からの展開が出色でした。
あの姿を見ていて、黒羽ロミオにとっては、ティボルトを刺し殺してしまったのは本当に事故なのだと思った。
純粋さ故に、感情が極端なほうへ振れてしまった結果、
マーキューシオを喪った悲しみが瞬間的に憎しみに転換されて、自分でも思いもよらないような形で爆発してしまったんだなと。

「代償」の間じゅう、ステージの真ん中で縮こまって打ちひしがれるその様子は、ティボルトを殺してしまったことに、何より自分自身が強くショックを受けているようでした。
小さく舞台上にうずくまり、身を固くしているロミオは、固く握りあわせた両手を、ずっと小刻みに震わせていて…。
人を殺めてしまったことを認めたくない、衝動的にそんな愚かな振る舞いをしてしまった自分のことが信じられない、という絶望の奥底に落ちたロミオ。

そんな彼の歌い出す「憎しみ~エメ リプライズ」の凄まじさったらなかったんです。
だって、最初はこの世に希望などないという風に真っ暗闇に塗りつぶされていたようなその瞳が、途中で「ジュリエット…」と呟いた瞬間に、明確にきらっとした光を取り戻すんですよ!
見ていてそれがはっきりとわかって、もう本当に鳥肌が立った。。最後に零すような「エメ…」の一言に至るまでの流れ、もはや恐ろしかったですもの。

暴風雨のように荒れ狂う運命と自分の感情の双方に翻弄される中で、彼が見出した、たったひとつの希望であり生きる意味、それはジュリエットへの愛。
逆に言えば、もうそれ以外はすべてを失ってしまった彼が「引き裂けない」と絞り出すように言う、その追い詰められた気迫と覚悟。
ただ”優しくて可愛い”だけなのではないロミオを、明確に刻み込んだ二幕のここまでの流れは、圧巻の一言でした。


小池先生はまりおくんの演技を「とても繊細」だと評価なさっていますが、なんというか、見ていてとても受け取る情報量の多いロミオだなと感じました。
まりおくんの全身から、今ここに息づくロミオとしての心のありようが色鮮やかに伝わってくるので、行動のひとつひとつに唐突さや無理がないのです。


ロミオが背負う物語は広く知られたものだと思いますし、主役だからこそどこかに王道のような、正解のようなもの…共通見解のようなものが生じやすい役のように感じるのです。
だけどまりおくんのロミオは、どこかにあるそういった正解を探して置きに行くようなものじゃなくて、ただそこに「生きている」
今この瞬間、ロミオはこう感じているからこのように動く、その連続で。
自分がファンであることを差し引いても、本当に引力が強いというか…感情が嘘なくそこにリアルに息づいているからこそ、観客をぐいぐいと引っ張っていく力のあるお芝居でした。あっけにとられながら、ただただ、引き込まれました。
これは完璧にわたしの好みなんですが、この「役として生きる」力が強い役者さんが、ほんっとうに大好きなので…
ロミオとしてこれだけ繊細で奥行きのあるお芝居を見せてもらえたこと、心からファン冥利に尽きました。
初日からまた変わっていく部分もあると思うんですが、それがすべて、その日まりおくんのなかでロミオとして心が動いた結果なのだと思うと、もう見る前からどの回も楽しみになってしまいます!


◆こちらの予想を遥かに超えてきた歌声の進化

そして一番伸びていた!と感じたのはやはり、歌でした。
ロミオはとにかく曲数が多い。ソロありデュエットありダンスナンバーあり、曲調もキーも様々で、ひとつの作品の中にあらゆる要素が詰まっています。
2019年に観劇しているとき、古川雄大さん・大野拓朗さんのロミオを見ながら「ロミオ役ってこれを歌いこなせるレベルの役者さんでなければ務まらないんだな…」と感じ入っていたほど。
その難曲を、まりおくんはどう表現するのだろう?と思っていたんですが。いやーーー本当にたまげた…。だって、歌がうまい!!!
いやお前、主演さまを捕まえてなにを言うか!なんですけど!ファンとしても予想がつかなかったほどに、全方位に歌の力が伸びていなさって…!
もともとの持ち味である、ツヤのある高音はより自由度を増して、比較すればおそらく以前は苦手であった低音域は、とにかくボリュームも響きも段違いに安定し、
自分が「歌いたい」と思うように表現を操れるところに、到達していることが伝わってきて。


一番びっくりしたのは「僕は怖い」でした。
ロミオのソロの1曲目であり、それまでのポジティブで生の喜びに溢れた場面から空気が急転直下する、この先のロミオを待ち受ける死を示唆する、運命的な楽曲。
身も蓋もないことを言うと、めっちゃ難しい曲だと思うんですよ!ごまかしがきかない。
あまりにも有名でお客さんたちも楽しみにしている場面のひとつだと思うし、そもそも歌いながらの「死」との絡みもあって。
正直に言うと見る前は、もしかしたらまだ、本人にとってはチャレンジングな要素なのかも、とちょっとだけ思っていました!ファンとして。
なんだけど、そんなの本当にとんでもなく失礼な心配だった。すっごかった…!

あの最後の「怖い」。なんせ”イ”の、一番喉が開きにくい音でのロングトーンですよ。あっれが、本当に、「ギャーーーッ」って心の中で叫びたくなるほどに凄かった。
完全に劇場を掌握する、その気迫のこもった声量がズガン!とこちらに突き刺さり、次の場面である仮面舞踏会が始まっても、しばらく頭が追いつかないほどでした…。客席で呆然としてしまった。
そもそもなんですが、この曲で提示されてる世界観に飲まれてしまって。本当に死ぬことが怖いんだと心から叫んでいるような、畏怖心が滲んだ声と表情と。
「もうほんとごめん!ちょっと心配なんかしててごめん!そんなの全然必要なさすぎた!!!」ってなりました…。ファンとして出直してきます!になりました。


他の曲でも、とにかく「歌+感情」を一体とした表現が存分に発揮できているのですよね…。
曲によって出すべき声、使うべき技術を切り替えているというか。レッスンと稽古を本当にたくさん積んだのだということがわかる…
元々の素地がある人が地道に努力を重ねたら、歌ってこんなに技術的に伸びうるものなんだって知りました。
「歌わなきゃ」にならずに、自然と感情に溶け込ませた歌を届けつつ、でもやっぱり歌としてのクオリティも重視されるという…ほんとミュージカルって難易度の高いことを役者に要求してるよね!?
それをしっかりとやってのけているまりおくんの姿は予想の遥か上を行っていて、いい意味でめちゃくちゃに打ちのめされました。
もう本当に、なるべくたくさんの人に聞いてほしい、見てほしいまりおくんのロミオなのです…!涙

◆その背景にある、2020年に叶わなかったもの

レベルアップの様子が今回はちょっととんでもなく、観劇後は「予想のつかないものを受け取って勢いよく転んでしまい起き上がれない」みたいな精神状態になっていたんですが、
それはやはり、まりおくんが2020年に公演が叶わなかった作品の準備で身につけていたものが、それだけ大きかったということだと思いました。


全公演中止となってしまった2020年版「エリザベート」で、ルキーニを演じる予定だったまりおくん。
衣装をつけての舞台稽古まで終わっている中での、全公演中止の決定。あとは本当に、お客さんに見てもらうだけだった作品。
昨年秋に開催された山崎育三郎さんのコンサートにゲスト出演する中で、唯一「キッチュ」だけを聞くことができ、その片鱗を感じることはできていたのですが、わたしたちには、その全貌はわからないままでした。
anagmaram.hatenablog.com
エリザのために、まりおくんは半年以上前から他の舞台のお仕事を入れないようにして、準備に時間を使っていました。
その頃から含めると、実に一年半以上の時間が経過しているんですよね。
今こうして、ロミオとしてこんなに素晴らしいものを届けられるほどに、見えないところで進化をなさっていたんだな…と思うと、ようやくその姿が見られたことが、言葉に尽くせぬほど嬉しかったです。


そりゃあ、びっくりしても当たり前だったなと。だって2020年の舞台スケジュールがまるごと空いてしまった結果、ミュージカルは19年のマーキューシオ以来、2年ぶりだったのですから…!
その空白の大きさを思うと新たに目眩がしそうな思いにもなったのですが、でもそれよりも、今こうして念願叶った舞台姿が見られることが幸せです。
本当に、幕が開いてよかった。

◆改めて、2021年版に寄せて

「ジュリエットを愛し抜け!」と最期に言い遺して亡くなっていくマーキューシオ。
そうして託された言葉どおり、ロミオは「愛し抜いた」結果として、ジュリエットの後を追い、自らの命を絶ちます。ロミオとジュリエットの死は、ヴェローナの街の人々に、憎み合うことを悔いさせ、長年の両家の争いに終止符が打たれます。

19年にマーキューシオを演じていたまりおくんが今年ロミオを演じている現実は、2年前に自らが託したその”バトン”をある種受け取っている姿にも見えて、どうしたって、ものすごく感慨深いです…。
まりおくん自身がインタビューの中で「ロミオとして精一杯ジュリエットを愛し抜こうと思います」と度々口にされているのにも、きっと過去に演じた記憶がつながっているからなんだろうなと。


19年のロミジュリは、まりおくんがミュージカルに、そして小池先生に出会うきっかけとなった作品でした。
その中で見られた姿があまりにも眩しくて、どうかここからミュージカルの世界への道が開けていってほしい…!と強く願った作品に、今年主演として帰ってきてくれたことが、本当に嬉しくてなりません。
anagmaram.hatenablog.com
2年前はグランドミュージカルデビューを全力でお祝いしたいという気持ちで感想を書き残していたけれど、こんな未来が待っていようとは。
カーテンコールでの挨拶では、きっと個人としての達成感や去年果たせなかったことへのリベンジの思いもあるはずだけれど、その個人的感慨ではなく、あくまでも「座長」としての言葉を選んでいたことにも胸打たれました。
「本日こうして無事にこの作品の幕を開けることができましたが、それは普段から気をつけて生活をなさっている皆さん(客席)と、支えてくださるスタッフの皆さん、そして役者の頑張りで叶えられたものだと思います」
といったような内容の挨拶を1回目のカーテンコールでしてくださったんですが、そこでの言葉の選び方も個人的にはとてもまりおくんらしいなぁと思うものでした。

演じる側の方々は、どうしても立場上、周囲や足を運んでくれる観客に向けた言葉を述べられることが多くなると思うんですが、そこに最後に「役者の頑張り」という言葉を選んでくれたことが、なんだかすごく嬉しかったのです。
見てほしい気持ちと、見たい気持ちが、劇場でちゃんと重なったのだなと感じることができたというか…。
1年以上、わたしたちはただ「待っている」ことしかできなかったけど、でも待ち続けていてよかったなと、心から思いました。



そもそも「初日を楽しみにする」という感覚を抱くのが至難の業になってしまった今、
以前のような混じり気のない楽しい気持ちだけを手にできる日は、まだ相当に遠いもののように思えますが…だからといって、今を諦めることはできないので。

初日を観劇したあとも、まだどこか心がうまく解放できないような、感情がバラバラに散らばっていてそれぞれの反応が遅れてやってくるような状況にちょっと苦しんではいるのですが、
でもその過程も含めて、今ここに息づいている舞台を観客として受け取れる喜びは、やはりなにものにも代え難いです。
現状を良しとすることは当然できないししたくもないけれど、それでも観劇を愛する者として、今という瞬間に向き合うことをやめたくないな、と思います。


まりおくん、新生ロミオとしての堂々たるデビュー、本当におめでとうございます!
2021年のヴェローナが、どうか1日も長く、1公演でも多く、劇場に息づきますように。
千秋楽が千秋楽のままに幕を下ろすその日を心から願って、これからの公演を、安全に気をつけながら思いっきり楽しみたいです。

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赤坂ACTシアター名物の大ポスター

▼2019年版ロミジュリの感想
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