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ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」東京公演を見終えての感想その2(ベンヴォーリオ・マーキューシオについて)

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その1を書いたからにはなんとかしてその2を!という心意気と勢いだけで、平日夜になんとかするやつ。
最初に黒羽ロミオの話を書きたいだけ書き尽くしたので、今回はロミオ以外のキャストの皆さんについて書きたいと思います!
(※推しとのWキャストゆえ…しょうまくんのロミオは配信でしか見られていないので、触れることがおそらくこの先も叶いませぬ…!申し訳ない!涙)
以下、キャストさんごとにどんどん行きます。




◆ベンヴォーリオ・前田公輝さん

今回のキャスティングにはいろいろな驚きがありましたが、その中でも一番驚いたのはごうきくんのベンヴォーリオだったかも!
グランドミュージカルに出演されるというイメージが個人的に全くなかったのもあり、意外中の意外!という感じでした。
シリーズ通して見てはいないんですが、ザワだけはなんとか履修済みだったので完璧に轟としてのごうきくんしか知らず(…あ、映像ですが天てれ舞台も見たか!)、一体どんなベンヴォーリオに?とワクワクしていたのですが、
もうほんと、すっごい良かった~!素敵だった~!!!
愛らしいコミカルさあり、友を思う深い優しさあり。


東京公演の序盤と終盤で、演技がけっこうガラリと変わったような印象がありました。変わったというか、深まった…かなぁ?
冒頭の「ヴェローナ」で見せる、”喧嘩が日常”でしかないワルっぷりはぐんと高まり、同時に二幕でマーキューシオの死とロミオによる殺人を目の当たりにした絶望は、とてつもなく濃くなっていて。
ヴェローナ」自体がとにかく迫力にあふれるナンバーですが、背の高いごうきくんがあのワルそうな笑みを浮かべながらキャピュレットのメンツを煽ってるの、最っ高に治安が悪くてとてもよかった…!
けっこうずっと笑っているのですよね、あの曲。やれるもんならやってみろよ、ってごく当たり前に挑発するような笑い方が超かっこよかった。


そのあとのモンタギュー夫人とのやり取りや、「憎しみ」での台詞のないパフォーマンスのところでは、一転してコミカルに転んでいて。
モンタギュー夫人への「それ以上、追いませんでした!」が、イコール「ごめんなさぁい><!!!」な言い方になるベンヴォーリオは、初めて見ましたw
あとは「マブの女王」での悪ふざけと、「綺麗は汚い」でのキュートなダンスもすっごく可愛い。
なんというか、とにかくノリが良くて若いベンヴォーリオだなと。ロミオに「仮面つければわからないさ」をやってみせるところ、本当に楽しそうだったなぁ。笑


そして二幕で親友が命を落とす現実を突きつけられてからの絶望の表現は、本当に公演後半で深く深くなっていったなぁと感じました。
基本どうしてもロミオ定点してしまってるのでアレなんですが、6/10かな?に見た、マーキューシオの亡骸を抱きかかえる姿が忘れられない。
悲しみにくれていた彼の目の前で、今度はロミオが怒りに我を忘れてティボルトを刺殺してしまう。それを目撃した瞬間、本当に「絶望」としか言えない表情を浮かべていて…。
もう取り返しがつかない、どうしようもない…とひとり目の前の出来事を受け入れられずに呆然としている様子、見ていて胸を突かれるような思いがしました。
だけどその後に、慟哭するロミオに覆いかぶさるようにして強く抱きしめるところは、本当に友を思っての必死さが溢れていて。
最初の頃、あそこでロミオの手を握ることはしていなかった気がするんですよね…。6/10と6/12の公演で、ロミオの手を上からぐっと握りしめてくれていて、宥めるような、繋ぎ止めるようなその様子に泣きました。


あとは前田ベンヴォーリオの「…君に会いに」が絶っ対に笑顔なのが、本当に見ていて辛いです…辛いよ…。
その後の「嘘だーーーッ!!!」の黒羽ロミオの絶叫をまともに正面からくらってしまうのも辛い。ベンヴォーリオ…。。。
ラストの「罪びと~エメ」はわたしの頭がもう駄目になっているので(なぜなら泣きすぎているから)、いつどの回でみたどんな景色なのかがもう思い出せないんですが、
あの悲しみの時間に、自分を律する心を見せてしまうベンヴォーリオなことは、今年の二人に共通していたかも…?とちょっと感じます。だからベンヴォーリオは本当に!存在が辛いんだって~!涙
予想以上に素敵な姿で、大好きなベンヴォーリオになりました。

◆ベンヴォーリオ・味方良介さん

個人的に彼のお芝居をがっつり見るのは本当に2013~2014年ぶりだったんですが、なんていうかとってもいい意味でミカティだー!!!って嬉しくなってしまう、彼らしさにあふれているなぁと感じたベンヴォーリオでした。
なんだろうなぁ…あの独特の存在感…?なんで板の上での在り方が、彼はあんなに面白いんでしょうか…?笑
ちょっとした台詞回しとか間のとり方で、他の人には作れない面白さを自然と生んでしまうというか。。
ロレンス神父役のカズさんが、公演が始まる前にインスタで「今年のベンヴォーリオは面白系」とおっしゃってたんですが、初日に見たときにその理由がわかったwwwてなりました。
これは流石に初日にしかやってなかったんですけど、物の弾みで!って感じで、モンタギュー夫人に間違えてナイフを突きつけちゃって「ワォ!」って言ってる場面ありましたからね!そんなことある!?笑
「まだ見ぬ恋人!?」ってロミオに尋ね返すときは「…ウワ~ォ。」って言うし、綺麗は汚いで「UFO出現だってよ!」のくだりでは「あれだ!あれに違いない!そうに違いない!」みたいな賑やかしを入れてくるし。
あといちばん笑ったのは、ロミオに出会った乳母が思わず「やっぱりみんなと違う!」と感激して言うところで「そりゃあそうだろ!」って合いの手を入れてたことですね。笑
そりゃあそうだろ!じゃないのよ!いやそんなオタクみたいなこと言わんといて!?なった。いくらなんでも面白すぎるよ!


そして同時に、なんともいえず「治安が悪い」んだよな~!!!笑
今年のベンマキュ、どの組み合わせで見ても2019年の30倍くらい治安が悪化している気がしていて、それはそれとしてすごく好きなんですが、個人的にペアを治安ランク付けしたりしていました(どうして?)。


ヴェローナ」での立ち居振る舞い、ごうきくんは喧嘩なれしてる感じの治安の悪さなんだけど、ミカティの場合はなんていうのか、危険に対する無責任さ?みたいなものを感じて。
調子よく振る舞っているそのすぐ背後に命の危険があったとしてもそれを直視していないっていうか、なにか行き過ぎたものを感じさせるような治安の悪さでした。
比較すると、治安の悪さの仕上がりは味方ベンヴォーリオ>前田ベンヴォーリオだったなと…(だからどうして治安で測るんだよ)。


でもそんな彼は、マーキューシオの死とティボルトの死を境に、まるで別人のように変わります。
その唐突にも思える変貌について、わたしはそこに彼の「後悔」が現れているからなのかなってすごく感じました。
明日をも知れない感じで、その日その瞬間が楽しけりゃいいじゃないか、って勢いに任せて適当に生きていたら、親友の一人は死に、もうひとりは意図せずに殺人者になってしまった。
その事実の重みから、考え方を急激に変えざるを得なくなった、かつてのお調子者の真剣な後悔…のように見えていました。
本当はそんな形で大人にならなくても良かったはずなのに…と思うと、また新しい苦しさがあるなぁ。。
味方ベンヴォーリオが「どうやって伝えよう」の途中で「世界を治める王だった」で、世界の王の振り付けを思わせる感じで拳を正面に突き出すところが好きでした。

ラストの「罪びと~エメ」は、本当に自分の感情を抑え込む系のベンヴォーリオだったなと…!
どのベンヴォーリオで見ても胸が潰れるシーンですが、もっと自分の悲しみを表に出してもいいのに!?と思わずにはいられないような、深いところに何かを抑制したような様子に見えていて。(でも繰り返しですがこのシーンのわたし本当に当てにならないんで…回によるかもしれない…)
思い返すと、親友をふたりも喪ってひとり遺されてしまうベンヴォーリオ、一番かわいそうなんじゃないか…とやっぱり思う。辛い!!

◆マーキューシオ・大久保祥太郎さん

しょうちゃんも、お芝居を見るのはいつぶりだ…?と思って確認したら、出演作の観劇はグランギニョルの2017年が最後のようです!かなりお久しぶり!
とにかく若いのに「なんでも出来る」役者さんとして長らく認識しており、久々の観劇ですがきっと素敵なんだろうな~と思っていたけど、やっぱりとても良かった!やっぱり思ってたとおり、なんでも出来る!
危なげのない狂い方(?)で。日本語がおかしすぎますが。笑

しょうちゃんのマキュはなんていうか安心して見られるマキュだった。ううん…うまく説明ができないんだけど!
大公の甥の血筋をすごく感じるというか。元はやっぱり、とても育ちが良さそうな印象がある。
彼がナイフを愛するのはどうしてなんだろう。なにか自分の存在のよすがにしていたりするのかな…
憂さ晴らしというか、気分転換にちょっと危ないものに手を出しているというか。それで心のバランスをとっているというか。
違うんですけれど、系統としてざっくりとした仲間わけをするならば、19年のまりおくんのマキュと仲間になるだろうなぁ、と感じました。
どこかに深い孤独を抱えたタイプのマキュじゃないかなぁ、と感じるんですよね。
ヴェローナ」でひとりナイフを見つめる目つきは、どこか恍惚としていて。
単に他人を威嚇したいのともまたちょっと違うような。ナイフを持つことで、自分の中に強さや芯を得ようとしているような…やっぱりそういう解釈に落ち着きます。


「決闘」と「マーキューシオの死」で本当はもっとちゃんと語るべきことがあるはずなのに、今年のわたしったら!ロミオ定点のしすぎで…!(まぁ仕方ないんだけれども!)
亡くなっていきかたが、なんていうか清々しいっていうとちょっと違うんだけれど…どこか憑き物が落ちたような雰囲気もあるところが、まりおマキュの仲間だなとおもった理由のひとつです。
動揺して涙を流すロミオのことを、安心させようとしているというか。そして死ぬ間際、ベンヴォーリオのことも、しっかりと気にかけてはいなかったですか?やっぱりどこか、優しさを感じさせるんだよなぁ。。
根幹には良家の子息として身につけた教養とかがありそうな、成長の途中でちょっとグレたけど、そのまま無事に成人できていたら、立派な大人になれたんじゃない…?と思うような青年で。
そういう未来ある命が失われてしまうことへの悲しさが見ていて思わず募るような、素敵なマキュでした。

◆マーキューシオ・新里宏太さん

ベンマキュの中では今回初めて拝見する役者さんでした!(改めて経歴を見て、まりおくんの次の年のジュノンボーイコンテストファイナリストだったのね~!ってなりました)
しょうちゃんのマキュとはわりと対極と言えそうなタイプではないかなと。今年のマキュは対比がとても鮮やかな組み合わせだなぁ!と感じました。…今年はといいつつ、19年はそうちゃんのマキュを200回記念のシャッフル公演で一幕しか見れていないわたしですが…。笑(あとでDVDになってから見ましたが!)

初日に真っ先に感じたのは、すっごく危険なマキュだ~!ってことでした。迂闊に触れたらこっちが怪我どころか命を落とすところまでいっちゃいそうな、かなり尖った鋭さのあるマーキューシオ。
東京公演は中盤でなかなかタイミングが合わなくて、相当久しぶりに東京前楽でふたたび拝見したのですが、その印象はやはり変わらず。
前楽で見たときは、もはや「ヴェローナ」の時点で下手するとティボルトを殺しかねない感じのマキュだなと感じてすごくゾクゾクしました。
すごく刹那的というか、衝動的に身一つで目の前の物事に突っ込んでいきそうな雰囲気。
また体の使い方がとても上手くて、ひとつひとつの動きが自然と目を引きます。全身表現になんともいえない緩急があるのが魅力的でした。
ヴェローナ」が終わった後に下手に捌けていくとき「じゃあなー!」って笑いながらティボルトに言うんだけど、それがまた、怖いんだよね~!


新里くんのマキュからは、寂しさや孤独といった要素よりも、「怒り」をより強く感じました。
何に怒っているのかはたぶん本人もまだ明確にはつかめていないんだけれど、知らず知らずのうちに”憎しみ”に支配されてきた若者として、
周囲の大人たちの身勝手さに、因習に囚われて生きていくしかない自分たちに、不満をつのらせているように感じるんです。

その怒りが爆発しているのが「マーキューシオの死」だったような気がして。
前楽で見たとき、刺されてお腹から血を流している状態なのに、最後に残った力で衝動的に全力で暴れてみせるので、それに本当に驚いてしまった。。
バン!と何度も大きな音を立てて手を叩きつけていて、本当に死んでいくさまが悔しそうでしかなく…。
ロミオに向けた「ジュリエットを愛しぬけ」の遺言も、自分が親友のそばにもういられなくなることへの悔しさが滲んでいるというか、
とにかく今この状況に全力で抗ってやる!こんな現実に納得なんてするもんか!って感じの怒りをぶちまけていて、そしてそのまま死んでいってしまう。。
あの今際の際を見ていると、新里マキュにとっては、めちゃくちゃ無念の死なのだな…と思います。
悔いなく居なくなられても、悔いのかたまりのまま居なくなられても…遺された親友たちにとってはどちらも耐えられないものだけれど…このパターンも相当辛いな。。と感じたのは、今回新里くんのマキュを見ていて得た新しい発見でした。



ベンヴォーリオとマーキューシオだけで6000字使ってしまいました…笑
やっぱりロミジュリが好きなんだよな…!?
「その3」で、ジュリエットとティボルトについて書ければと思います!頑張るー!


▼ロミジュリ2021の感想他記事

  • 5/21初日感想

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  • 黒羽ロミオの感想

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