
今回のお題は「思い出深い作品」です。
これももう、思いつくものがありすぎて収集がつかなくなるので思い切って絞って、ひとつだけ書きます!
それは、學蘭歌劇「帝一の國」です。
思いが溢れて気合が入りすぎ、16:9の比率でパンフレットなどを敷き詰めた圧の強いサムネ*1を用意してしまいました。笑
このブログでこの作品についてちゃんと書いたこと、実はなかったですよねー。上演当時は別のブログに書いていて(そちらはもう閉じてしまった)。
私の観劇オタクとしての在り方を決定づけた、まさに運命の作品です。
目次
- どんな作品?
- 説明できないんだけど、帝一ってとにかく異様に「面白い」。
- 舞台上と客席の「楽しい!」が完全に一致していた奇跡のような時間
- 愛すべき天才・小林顕作との出会い
- ▼おたよりフォーム(感想をいただけると喜びます)
どんな作品?
「時は昭和!」というセリフに示されるとおり、作品の舞台となるのは昭和の日本。
難関大への進学率がとても高いエリート男子校の中で、将来の総理大臣の座を目指して「まずはこの学校で生徒会長になる!」という野心を熱く抱き、
”どんな手を使っても”上へとのぼり詰めようとする主人公・帝一と、それを取り巻く友人・ライバル・先輩・後輩入り乱れての学園青春ストーリー(…?)です。
舞台としては2014年春に第一章、翌2015年夏に第二章、2016年春に最終章が上演され、
さらにその1年半後となる2017年の真夏に「大海帝祭」というライブ形式で帰ってきてくれて、4年に渡りその世界の面白さを存分に届けてくれました。
原作は、映画化でかなり知名度が爆上がりした古屋兎丸先生原作の漫画。
菅田将暉くん主演で大ヒットしたあの映画化は2017年なんですが、それより前に、実写化は舞台ですでにされていたんだよ~!と、当時めちゃくちゃ大声で宣伝したくなった思い出。笑
それくらい一般受けする形で映画がヒットしまくったことに正直かなり驚いた記憶があります。
でも実はその映画キャストにも、舞台版の主役を務めた木村了くんが堂山会長役で出演している目配せもあったり。
当時、映画化を記念した兎丸先生と監督のトークショーに遊びに行ったりもしましたが、そこは明確に意識してなされたキャスティングだったと聞けて嬉しかった思い出です。
説明できないんだけど、帝一ってとにかく異様に「面白い」。
なぜこの作品が私にとって思い出深いのかというとそれは、
ただただ「あり得ないくらい面白かった」から。
原作から飛び出てきたような完成度の高いビジュアルはまさに2.5そのものなんですが、
演出の手法というか作劇の方向性はとても泥臭く「演劇」的で、そのバランス感が絶妙。
原作のもつちょっとシュールな笑い(美麗な絵柄で繰り広げられる独特のギャグ)が、舞台上では単なる再現ともまた違う新たな形で表現されていて。
原作にどこまでも忠実なところと、舞台ならではの突拍子もない日替わりネタが、信じられないくらい奇跡的に融合していました。
第一章の初日。
幕間休憩に入った途端、建て替え前のPARCO劇場の客席が本当にウワッと熱気をもってざわめきました。
ロビーに出るお客さんたちがみんな「え、これは……めっちゃ面白くない!?」というワクワクした興奮に満ちていて、私も同じ思いを抱く一人でした。
本ッ当に面白いものが始まった!と実感できて、心底ワクワクした。
第一章から最終章、大海帝祭まで、見るたびに本当に呼吸困難になりかけるくらいに客席で爆笑したことは数知れず……
と思えば真正面から感動してしんみりと泣かされたり、とにかくその場に満ちていたエネルギーが凄かった。
そもそもあんなに毎公演笑わされる舞台って、そうそう経験できない。
なんといいますか、言葉にして伝わる類いのものではない説明不能な笑いに満ちていまして……あれはほんと、説明ができないんですよ!笑
そのせいで、当時の自分が書いたレポを読んでも「なんて??」ってなるような謎日本語ばっかりが並んでいます。笑
でもそれも単にギャグをやって笑わせればよいというわけじゃなくて、
ものすごく、ちゃんと「演劇」をやっているという前提のもとに成り立っていて。
今振り返っても、本当に不思議なバランスだったと思います。
なんであんなことが可能だったのかな。その成り立ちの様子も、今振り返るとすごく奇跡のように思えます。
原作がほぼ端折らずに舞台化できるちょうどよい長さだったことや、連載と並行して舞台化が進んだというタイミングの良さなどもおそらくは深く関係していて、なかなか再現性があるものではない気がします。
なにより原作の先生本人がめちゃくちゃ楽しんでくれていて、兎丸先生を含めた作家陣がひとつのクリエイティブのチームとなり、學蘭歌劇「帝一の國」を作り上げていたなぁと思います。
だからこそ「舞台が連載の最終回を追い越して結末を描く」という前代未聞の展開も成立したんだと思いますし。
舞台最終章の終盤、物語の展開が連載を追い抜いた場面に差し掛かった時に抱いた、ここから先に描かれることはまだ誰も知らないのだ……というあの不思議な緊張感も忘れがたいです。
舞台上と客席の「楽しい!」が完全に一致していた奇跡のような時間
帝一を観ていて私が大好きだったのが、客席で我々観客が抱く「楽しい!」という気持ちと、舞台上のキャストから届く「楽しい!」という気持ちが、本当にイーブンだったこと。
楽しんでやってる人たちの、それはもう全力の・真剣なバカ騒ぎを、こちらも全力で受け取って涙を流して笑って、舞台と客席とがお互いに「楽しいねー!」って言い合ってるような感覚でした。
こういう作品側とお客さん側のまっとうな感情の交流って、本当に嘘なく成立するんだなってことを教えてもらえた。
帝一を通じて、私は「観客も舞台を構成する要素のひとつなんだなぁ」と実感できたんです。
エンディング曲はいつも楽しいのになぜだか泣けて仕方なくて、多幸感で泣くという感覚を私は帝一で初めて知った。
私が舞台に通うようになったのは2013年の春なんですが、帝一の第一章上演は、ちょうどその1年後でした。
まだ舞台オタクになって間もない頃にこういう得難い体験をさせてくれる作品に出会えたのは、私の舞台オタク人生における最大の幸運だったと今も思っています。
お陰で私の中にははっきりとした「好き」の核が作られました。
自分が舞台を観るうえで大事にしたい感覚は何か?という問いへの強固な答えを、帝一は私に与えてくれた。
観劇の楽しさをこれ以上ないくらいにたっぷりと届けてくれた、大切すぎる作品です。
愛すべき天才・小林顕作との出会い
そして、この作品で演出を担当していたのが小林顕作さんです。*2
帝一で出会って以来、私はすっかり(勝手に)顕作チルドレンを自認しているので、顕作さんが演出する作品は可能な限り現地観劇しています。
本当にあの、楽しすぎる世界観が大好き!!!
あまりにも楽しげな面白がらせ演劇おじさん……第二章と最終章はたしか前楽あたりで顕作さん自身も舞台上に出てきて日替わりネタに参加してたんですけど、そこで本当に嘘でしょというくらい笑わされて。キャストたちも「結局顕作さんが一番おもしろいからずるい!」ってさかんに言っていた気がする。笑
直接舞台に出てこなくても劇中の音声をしれっと担当していたりとかするので、顕作さんの声はまじですぐわかるようになりました。
余談として、こんな出自がある舞台オタクのため、2022年にまるステ(ちびまる子ちゃん THE STAGE~はいすくーるでいず~)にりょうがくんが出てくれたのが正直なところ意味不明すぎて、本当に嬉しかったんだよな~。
「そんな、ファンになった初年度に小林顕作作品への出演を叶えてくれるなんていう奇跡、あるんだ……?」と友達とふたりで呆気にとられました。
私達にとって都合良すぎるよね!?と大はしゃぎしてた。まるステもほんとに最高だったなー。
また、舞台化に際しては劇中でキャストが歌う曲をすべて顕作さんが作詞作曲してるんですが、まじで驚くほどに名曲揃いなんだな~これが!!!
もう憎らしくなるほどに天才的。
第二章からアクセルベタ踏みになった、昭和を意識したパロディソングの数々。イントロや冒頭のメロディーで「これ絶対あの曲だろ!」とわかった時点で吹き出してしまいますし、そこに歌詞が加わるともう「怒られろよw」になるレベルの面白さ。
たとえばレベッカの「フレンズ」を意識したパロディソングはサビが「二人はただのクラスメイト~♪」なんですが、ほんとうに「やかましいわ!」になります。聞いてほしい。笑
歌っているのは佐藤流司くんと佐藤永典くんです。
かと思えばオリジナルで真正面から泣かせてくる名曲も作るので……まじで、すべての曲がいいです!
「CDほしい!」ってアンケートとかでしつこく言い続けてたら、最終章でいきなりCD出してくれたのも本当に嬉しかったな!笑
そんな楽曲たち、さきほどリンクを貼った通りApple MusicやSpotifyでも聞けます。
これはシンプルに名曲の例「ぼくにだってわかっている」。第一章の二幕冒頭に歌われる曲で、大好きだった。
「もしも僕が天使になれたら」は私がシリーズ内で一番好きな曲、第二章の森園先輩、またの名を”物理的天使”によるソロ……
そしてこれはね、どうしたってオザケンのパロディソングですね。元ネタは多分、愛し愛されて生きるのさ、かな?笑
ねーーこれパロディとしてのクオリティが高いの、やっぱり大河元気くんの歌い方のせいもある!寄せすぎやろ!久しぶりに聞いたら爆笑してしまった……
第二章では、当時まだ20歳(であってるよね!?)の佐藤流司くんがオールラウンダーという固定役以外に色々こなすアンサンブル的な役をやっていたり*3(そして帝一の出演がきっかけでりゅうじくんはHAKUEIさんと出会い、それがそのままブロビの活動へとつながっていくのですが)、
まさに「ここに歴史あり!」みたいな気持ちになる演目でもあります。
りゅうじくん演じる久我信士が歌う曲のサビは「盗んだバイクは返そうぜ!」なんですけど、これを含むメドレー曲だけはCDにも入ってなくて……入れられなかったのでしょうか、めちゃくちゃ笑いました。そりゃそうなる。笑
しかしこの曲は大海帝祭でちゃんと披露されまして、そのくだりの久我りゅうじくんがめーーーっちゃ可愛いので、是非見てみてほしい。。
また、ヒロインの美美子役・Wキャストで出演していた、当時乃木坂所属の井上小百合ちゃん・樋口日奈ちゃんのおふたりは、乃木坂卒業後にそれぞれ役者のキャリアを積まれていたりもします。
ふたりともこれが初舞台だったんだよねぇ~!
さゆにゃんのことはその後もしょっちゅう舞台で拝見していますし(レキシアターはりゅうじくんと再共演で嬉しかったな)、ひなちまちゃんも来年れいちゃん主演の新感線で久しぶりに観られる気がするので今からすごく楽しみ!
当時、お二人をきっかけとして初めて舞台を観たアイドル畑のお客さんたちが「舞台観るのって楽しい!」ってたくさん言ってくれてたのも、すごく嬉しかった思い出です。
そして朗報!
なんと今は、DMM TVのプレミアム見放題のラインナップの中に學蘭歌劇「帝一の國」シリーズ4作、全部入っています!!!(DMM TVのサービス開始当初から入ってたっけ……!?あると思わなくてびっくりした)
ここまでの説明でもしも興味を持ってくれた方がいらっしゃったら、是非見てみてください!
tv.dmm.com
てかさー、そういえば大海帝祭の千穐楽なんて、まさかのWOWOWで「生中継」やってたんだよ。今考えても意味不明じゃない?どうしてそうなんの?笑
後日友達に録画を見せてもらったら、意味のわからないハイクオリティ画質で本当に中継がなされており、まじで笑った。
こういうよくわからないミラクルをいっぱい起こす演目だったのも追いかけていて楽しいポイントのひとつでした。
大海帝祭やるよー!の解禁も、ジャンフェスで顕作さんの口から直接聞けてめちゃくちゃ楽しかった&ハッピーだったな~。
ジャンフェスネルケステージ速報
— あなぐま (@numa_mistake) December 17, 2016
學蘭歌劇「帝一の國」
大海帝祭ライヴ
2017年夏 開催決定!!!!!
帝一ネルケステージ開始早々にいきなり「今日はみなさんに重大な告知があるんですよ!こーゆーのって先に言っちゃいたいんだよね!もういいかな!言っちゃおっか!」(by顕作さん)つって、ゲストがステージに3人揃って3分後くらいにライブ告知がばーんと出されてお客さん歓喜の悲鳴でした
— あなぐま (@numa_mistake) December 17, 2016
顕作さんは「まだ何も決まってない!俺はひたすら3月からネルケさんにこう、念を送ってただけだから!ようやく決まった!」みたいなことをおっしゃってましたが詳細発表すごくすごく楽しみ( ; ; )最終章から一年半…ほんとうにほんとうにありがとうございます
— あなぐま (@numa_mistake) December 17, 2016
※ちなみにこのジャンフェス、別に推しキャストがいたとかではなく「帝一の國の話を聞きたくて行った」というただの筋金入りの作品ファン行動だったりする。ほんとーに楽しすぎた。
久しぶりに帝一についてじっくり振り返るだけで、なんだか幸せな気持ちでいっぱいになった!!!書いててすごく楽しかった!!!
冷静になると第一章なんてもう10年前の話をしているわけなので……?いや、10年て。笑
楽しいもの、本質的に好きなものが与えてくれるエネルギーって、尽きることがないんだなぁと実感します。
以上、あなぐまアドベントカレンダー2024の7記事目「思い出深い作品」についてでした。
明日更新予定のお題は「こういう人に落ちがちなウィークポイント」です。お楽しみに!
▼おたよりフォーム(感想をいただけると喜びます)
*1:4作分のパンフレットを並べ、隙間をグッズのステッカーと特典ブロマイドで埋め、アクセントに最終章の客席降りでもらえたアクキーと第二章で舞台上から降ってきたお札を添えました。
*2:喜安さんの脚本 × 顕作さん演出、さらにりゅうじくん出演となると、これはつまりじゅじゅステとまったく同じ布陣なんですね。じゅは1作目でものすごく荒れてましたが、ひとこと言わせてくれ!……責められるべきがあるとするなら、それは顕作さんの作劇の方向性を熟知しているはずのネルケの判断だとおもうよ!!!笑
*3:時間軸でいうと、帝一第二章→刀ミュトライアル公演→帝一最終章→刀ミュ阿津賀志山本公演が1年間に詰まってます。テニミュ~ドルステの頃のりゅうじくんはそれはもう凄まじい程の人気だったため(今もだけど)、テニミュで数回観たことがあるだけの私もなんかすげ~子がいるなと認識しており、その後帝一でしっかり出会ったところ「なるほどこいつはすげーや」と納得した。そのため刀ミュもトライアルから観に行きました。
