こたえなんていらないさ

舞台オタクの観劇感想その他もろもろブログです。

ロミジュリ2024・りょがヴォーリオの好きなところ②歌とダンスについて


その②、歌とダンスを中心に、りょがヴォーリオの曲ごとの感想を書きます。
正直初日の感想の再放送なところあるけど!
①はこちら。
anagmaram.hatenablog.com





ヴェローナ

ここのりょがヴォーリオは不敵な笑みを浮かべまくり。ちょいワルな表情をチラつかせて、ひたすらにかっこよくその場に居るので……もう……。こんなの冒頭から処理落ちしてしまう。
りょうがくんのダンスのえげつない止めの精度が大好きなんだけど、1曲目からなんとまぁ、それがふんだんに表れまくること!
ぶわっと大きく動きながらも、次の瞬間にはピタリとぶれなく静止して、リズムを鮮明に宙に刻みつけてみせる。かっこ良ッ!!!
「俺達は闘いを止めはしない」のマキュソロの後ろで拳をぶち上げながらニヤッと笑う表情があまりにもかっこよくて毎公演ヒィッとなってた。
「法律なんて気にしない」のティボルトのソロに対して、上手側から「んだそれェ!」って強めにバカにするようなガヤを入れるのもすげーーー好きだった!

りょうがくんは芝居においてもダンスにおいても体の使い方がものすごくうまいなぁと思うんだけど、
スケールの大きいグランミュの世界観の中においてはそれが本当により生きるし、なにより持ち前の華やかさも際立つよね!
ものすごく真剣になにかを憂うような様子を見せたり、キャピュレットを嘲笑するような顔をしたり、「愛する代わりに憎しみが満ちる」で浮かべる表情はとても切なそうだったり……
乱暴で猥雑で、ヒヤリとするような危険とも常に隣り合わせ、でも傍らにはいつも仲間がいてくれる。
様々な感情が複雑かつ同時に去来する、安寧とは程遠い時間。それこそがりょがヴォーリオにとってのヴェローナの日常なのだなと思う。

世界の王

あんなに楽しそうでキラキラしてることってあるだろうか?と思うような、今ここにいることを全力で仲間たちと謳歌する、爆発するような喜びの表現。
間違いなく、あの瞬間は俺達こそが王!なんだよね本当に。誰にも負けないし支配されない、自由でどこまでも羽ばたいていく力に満ちている。

「奴らは気づかない 自分たちが終わりだと」のベンヴォーリオソロで、上手から下手に移動していくところ、
体をじわっと斜めに倒して重心をずらす動き以降、一連の表現から目が離せなくてただずっと見ていたい感覚になる。
板の上での在り方が本当にビビッド。りょうがくんが歌って踊る表現の鮮やかさ、たまらなく大好き。
そこから「俺達は踊りだす」の最後ですこん!と突き抜けるように飛ばしてくれる高音も、聞いてて本当に気持ちが良かった。
”朝から夜まで”のあの時間を表す特徴的な振り付けはもちろんなんだけど、
どっちかっていうとその次に来る、腕を後ろ手に組んでいるところのぶれない体幹と伸びやかな脚の使い方に夢中。
ほんと、あの振り付けをりょうがくんのダンスで見れてるってまじで何?奇跡?になってしまう。奇跡だったよ???


そのあとのマキュソロパートで、ロミオといっしょにふざけてる場面がどっちのロミオと一緒でもほんっっとうに楽しそう。見てて笑顔が止められなかった。
まじでニコイチ感がすごくて、ロミオとぎゅっと距離が近くて仲良しベンヴォーリオなところが強く表れる場面だったと思う。
くるロミオとのペアはもはや何をやってるのかわからない回が多々w
全力ジェスチャーゲームみたいな、勢いでいうと野球拳の冒頭かなにか?ってなるような(ちがうよ)。あれほんと何してた?笑
魚釣りみたいな動きしてることもあったし……?
ゆたロミオとのやりとりでは、ちょうどゆた誕だったときにハイタッチをわざとすかしてきたゆたロミオとの仲良しっぷりに「ギエェ~~!?」になったのも良き思い出……


あとはですね、終盤にダンサーさんも含めみんなで横一列になったあとあたりに、
下手側の立ち位置で後ろにすっと下がっていく動きがあるんですけど、この後ろへの下がり方が好きすぎまして……(細っけぇ)
最初は重心が重ために残ってるんだよね、残しながらも、すっ……って糸に引かれるように滑らかに下がるの、もうね、ここの体の使い方が!!!
どうしてもここを注目して観てほしすぎて、あらかじめ友達に熱弁したほど。「後ろに!下がるから!観て!!!」←流石に意味不明の日本語である。


世界の王はとくに梅芸での歌の進化が素晴らしかったと思う。
歌唱があのメインホールのスケール感に合わせて、ひとまわりもふたまわりも大きくなっていて本当に感動してた。
空間の広さを味方につけているような大きな響かせ方で、すごく気持ちのよい歌唱で。本人の中でも手応えを感じていてほしい成長だったなぁ。
ボリュームもビブラートも申し分なく伸びやかで、1階の奥や3階席まで十分に届き切るような広がりを持っていた。
7月14日は最後のフェイクもほんとにノリノリで聞いたことないようなやつを歌っていたし、これこそが集大成だなぁと思わされる、充実感を極めたような1曲だった。

綺麗は汚い

この曲は、振り付けが、あまりにも可愛い!!!あんなのずるい!!!わかっていても見るたび新鮮に幸せなダメージを受けてしまう可愛さ。
表情がくるくると移り変わるりょがヴォーリオの魅力が存分に発揮される一曲だなと思う。
視線をあちこちに配ってR&Jダンサーのみなさんとたくさん絡むんだけど、本当に終始”楽しそう”なんだよねぇ……。
群舞の一部になって場面を作ることって2.5のお芝居だとかなり珍しくなってくるので、
ああいう演出で表現するのもきっと本人的にはすごく楽しかったんじゃないかなぁと思う。
おちゃらけた感じというか、お調子者っぽい生き生きとしたりょうがくんの軽みが、とても生きる楽曲。

「ロミオの気持ちを掴むのは難しい」で乳母に対してほぼ毎回ウィンク飛ばしてるのも大好きだったし、
「一夜明ければどんな夢も醒める」でスキップするみたいなリズムの乗り方で上手から下手にジグザグに移動する鮮やかさも大好きだった!滑るように移動しながら指でずっとリズム取ってるの。
ここは「醒める」の「る」の音のビブラート入りの処理もだいっすき!

そのあとの「どんなイケメンでも」のくだりを聞いて、え何?イケメン?俺のこと?どぉ~?みたいなニヤつきからのキメ顔をしてみせるけど、
周りのガールズからは「いやぁどうかな…」「さぁ…?」みたいな微妙~~なリアクションしか得られないのも、適当にあしらわれてて良すぎた。いまいちモテきらない不憫なりょがヴォーリオくん!
最後の「あばたもえくぼさ」で自分の頬を左右の手で交互にぴしぴし指差す動きと、恋なんて♪で片手ハート作りかける動きも最高に可愛かった!!!

街に噂が

なんと言ってもですよ、この曲は上手から出てくるイントロの動きのえげつない音ハメですよ???なんなんですかあれは。
スマホを掲げながらの関節を強調するようなカクカクとした動きの全部が音にハマってて、
最後のジャン!の一音にあわせてバン!って両腕を開くの……そのリズム感、まじでどうなっとる?そんなイントロでの表現みたことなさすぎて、初日からびっくりしっぱなしだった。
だってどう考えてもそんなベンヴォーリオ過去におらんもの。(というかベンヴォーリオにここまでのダンサータイプがかなり珍しいんだと思う!?)

この曲の歌いだしは、おそらくはなんとなく、以前からほんの~りと感じる安定して出すのがもしかしたら少し苦手な中音域……だと思うのだけど、
序盤にちょっと苦労したかなと思う回もあったものの、東京折り返したあたり以降は全然心配することなく安心して聞いていられた。
声の出し方をものっすごく訓練したんだろうなぁ……ととてつもない努力を感じるポイントのひとつ。。

この曲も群舞の一部となって情景を作るタイプの曲。
りょうがくんは体の使い方がむしろダンサーさんたちに近いから一見ものすごく馴染んでいるけど、でも同時に浮き上がっても見えてくる相反したところがものすごく好きだった。
割に序盤の「どうなんだ!」あたりで、体の前で一度両手のひらを打ち合わせるようにしてから、額のあたりからゆっくり右手を下ろしていく動きが好きだったな……速度コントロールが音楽に合っていて……。

決闘

お芝居についてはさんざん書いたので歌についてでいくと、
この曲も最初は苦労が見受けられたところがどんどん進化していった1曲。
モンタギュー3人で「おー!」×4回を伸ばすところと、誰もが自由に生きる権利がある、の上の音。
ここは東京序盤と梅芸では別人レベルに変わっていたなと思う。
運動量もめちゃくちゃにあって芝居もかなり感情を高ぶらせる場面なので、声のコントロールはより難しくなるんだろうなと感じるんだけど、
どう処理すべきかみたいなことをきっと色々研究したんだろうなと勝手ながら。

狂気~服毒

ここはとにかく、存在感の出し方が最高に好きだった!!!
度を失った両家の陣営に取り巻かれて真ん中で右往左往するときの身のこなしや、受け取った勢いをいなすようなかわし方に、どうしたってこれまでの主演経験が生きているなぁと感じた。
あれだけ明確に”一対多”の情景になるのに絶対に周囲に埋没しないし、
人々の渦の中心にいることで、逆に自分に注目を惹きつけられる動き方ができていてすごい(と思って私は観てた)。
「復讐の血は滾る」のラスト「血は滾る」5音で足踏みがうっすら音ハメになりかけてるのもあまりにもりょうがくんだった。
それもあくまでも曲想の表現の豊かさゆえといいますか。音楽の中に巻き込まれた上での、情況との一体感の表出が本当にうまい。

「みんな狂っている」の「る」のファルセット+ビブラートは驚くほどに美しくてとにかくよく響いており、
初日に聞いた時ほんとに感動したんだけど、ここは公演中すっごく安定していて、私が観た中で危なげがあったことは一度もなかった。何回でも聞きたい~!と思った場面。
あとはジュリエットの服毒後のキャピュレット夫人の嘆きの場面、
上手端でクソッ…!って感じで憤りに拳を強く打ち下ろす動きも、ものすごく音ハメされてたことを申し添えておきます!

どうやって伝えよう

私は過去こんな歌唱をこの曲で聞いたことがない。
これほどまでに「芝居」が色濃く伝わってくる曲だと認識したことがかつてなかった。
どうしたってシンプルに「歌いあげる」ことによって泣かせてくる曲だと思っていたから。


りょがヴォーリオの「どうやって伝えよう」は、本当に歌詞の言葉そのままに、彼の感情がこちらの内側に流れ込んでくる感覚になった。
一言一言、ワンフレーズごとにベンヴォーリオがその瞬間に抱いている感情そのものが、まっすぐにひとかたまりになってこちらに届いてくる。
そうか、今彼は「どうやって伝えたらいいか、わからない」んだ。
大切な親友にこの悲しすぎる事実をどう伝えるべきなのかがわからないんだ……と、強烈にその事実をわからされる、そのことに衝撃を受けてしまう歌唱だった。
言葉がこんなに粒立った状態で飛び込んでくる、そんな歌だったんだ!?という驚きが止まらなくて。
わたしは間違いなく、りょがヴォーリオを通してこの曲に出会い直したと思う。


「君の命より大切な 恋人が自ら命を絶ってしまったことを」に差し掛かる時は、その「命を絶った」という事実を自らが口にしたことで改めてショックを受けているようだったし、
そのあとに続く「どうやって伝えよう……」は本当に惑いの最中にぽつんと放り出されてしまったようだった。
ものすごく丁寧に、語りかけるように歌い紡ぐりょがヴォーリオ。
マーキューシオを思って歌うとき、どこか眩しそうに、慕わしそうに宙を見上げる眼差しや、
「この街にはもう光は差さない」で顔の前に手をかざして、言葉通り自分の顔に影を落としてみせる表現の繊細さ。
どこまでも血が通っていて、その瞬間に息づいている生きた感情が、メロディーに乗り丹念に送り出されていく。


序盤、どうしたらいいかわからないという困惑を歌っていたりょがヴォーリオは、
「それを伝えるのはこの俺しかいない」に到達するにあたり、明確に己の中で覚悟を決め、決意を固めた雄々しい表情へと顔つきを変えていく。
ここにかけての、感情と歌唱双方ががっちりと噛み合ってクレッシェンドしていく様が本当に見事で。
「子どもの頃から何も隠さずに話してきた」で柔らかく手を広げているときはほんのりとした微笑みすら浮かべていて、
そうして積み重ねてきた自分たちの時間の確かさを、ひとり大切に愛おしんでいるかのようだった。
「この俺が 伝えよう」のラスト、深くうつむいた顔を正面に向けたときの眼差しの強さ。
何度も自分に言い聞かせるように頷いて、手を握り合わせ、親友のために役割を果たしに行くと誓う。
ここで見せた感情の完成が、その直後のロミオとの邂逅で実を結ばずに崩れ去っていくところまで含めて、本当に素晴らしい一片の表現だった。


この曲は初日から完成度はとても高かったというか、明確にりょうがくんが「やりたいこと」が形になりきっていたように思う。
だけど更にそこからの伸びや成長がみられたところが、本当に凄かったのだ。

とくに今回は新国立中劇場→アイリスホール→梅芸メインホールと劇場サイズが後半にいくに従って大きくなっていったので、
それに合わせて歌唱スケールがしっかりと拡大していったのが見事だった。
最後に聞いた7月14日の「どうやって伝えよう」は、どうしたって絶対に忘れられないと思う。
あの著名な曲を、ほかでもない梅芸メインホールで、りょうがくんの素晴らしい歌唱で聞くことができる、そんな未来があったんだな。
この先ふとしたときに思い浮かべる「どうやって伝えよう」が、りょうがくんの歌声になったことがまだちょっと信じられないし、ものすごく嬉しい。
そんな経験をさせてくれたことに、改めて感謝しかない。

本当に大好きだったし、事前インプットかなり濃いめのいちロミジュリオタクとしても、自信を持って「素晴らしかった」といえる表現だった。見事でした。
りょうがくんが本作で見せてくれた役者としての成長を象徴するようなこの1曲。
ひとりの観客として体験できたその記憶を、いつまでもそっと大切にし続けたいなと思う。それくらいに愛おしくて、特別なひととき。



まとめとかも特になく再び言いたいことを放りだしただけになってしまった!
自分の中の感慨みたいなものも色々あって書いてはいたけど、なんかノイズに思えてけっきょく全部取っ払ってしまいました……
体力が続くようでしたらほかプリンシパルキャストについても書きたいと思います。