こたえなんていらないさ

ミュージカル『刀剣乱舞』を実家とする舞台オタクのブログです。推しとご贔屓がいます。

刀ミュ花影を観て。脚本の変更に、いち古参オタクが思うこと

刀ミュ新作、花影揺れる砥水。
4月30日にTDCホールで迎えた初日、その客席に私もいた。
先に言います、この先に続くのは残念ながら楽しい文章ではないです。そしてめちゃくちゃに長い。

覚悟はして臨んだものの、脚本の変更により大好きな作品シリーズの様相が変わっていたことに、動揺をどうしても隠せない。
率直に言って悲しんでいる今、少しでも自分のなかでけりをつけたく、こうしてブログに文章を書こうとしている。
これはいわゆる”お気持ち”長文と呼ばれるものになろうが、そこは個人のやっているブログなので当然であると開き直って書かせていただく。すべて個人の感想である。*1


そして今花影を楽しめている人を否定する気はさらさらないことも、当然ですが明確に言っておきたい。私は、あくまでも自分の「好き」に対して正直でいたいだけだ。
他人の感受性にまで責任を持つことはできないし、こちらから干渉しようとも一切思わない。あなたはあなた自身の「好き」を、どうか大切にしてほしい。


いわゆる注意書き的なものを最初に書いておく。
以下の前提のため、この人とは合わないなと思われた場合は注意されたい。

  • 今回の刀ミュ花影に対しては明確に「ちょっとこれはどうなんだろう?」と思っている。率直に述べると「面白いとは思えなかった」人間です。
  • 刀ミュは2015年のトライアルから現地観劇勢。本シリーズを追っている人間としては、いわゆる古参の部類に入ると思います。現地で見ていないのは厳島と江おんのみ。
    • わざわざ”古参”という言葉を遣ってこれを書く理由は「これまでの作品シリーズに対する自分の理解が浅かったとはどうしたって思えない……」と感じている背景を述べるためである。
  • 刀ミュの中で好きな刀は、三日月宗近加州清光鶴丸国永・肥前忠広。ゲームでもともと好きだったのは、初期刀:加州清光の他に、一期一振へし切長谷部*2
  • オタクとしての本業はこの10年舞台オタクであり、原作ゲーム及び派生コンテンツそのものへの思い入れは薄め、刀ミュのみを例外的にめちゃくちゃ愛してきた人。舞台オタクかつゲームも当時たまたま遊んでいたことをきっかけに刀ミュに足を運び、いろいろあって今に至る。

脚本は作品の支柱である、その事実の重み

刀ミュの脚本家が変わった。ついに、本公演でも本当に変わってしまった。
それがどういう結果をもたらすのか、覚悟をして臨んだつもりだったけれど、それなりに予想はしていたけれど、やっぱり全然受け止められなかった。
私が愛してきた物語は、もうそこには存在しないことがよくわかる2時間15分だった。


長く刀ミュの脚本をつとめてきた伊藤栄之進さんの書くお話は、とにかく常にひとつの「群像劇」としての在り方が抜群に優れていたと思う。
出陣する6振り(東京心覚だけは例外的に8振り)それぞれについて、スポットのあたる瞬間があり、
彼らが本丸でどういう関係性を育んできたのか/来ていないのか、どういった性格なのか、仲間に見せる顔と一人のときでは何が違うのか、
そういった”人となり”と言うべき点が、舞台上に生き生きと立ち上がっていた。
だからこそ、見終わる頃にはそれまで特に興味のなかった男士のことも含めて「全員大好き!」になってしまうし、
反対にその作品の中に特別に好きな刀剣男士がいる場合はめちゃくちゃのめり込んで見ることができ、その上でそれ以外のメンバーのことももれなく好きになり、誰を見ていてもしっかりと楽しめた。
出陣を経て、何が変化としてもたらされたのか。刀剣男士としてどんな成長があったのか。歴史を守る任務についての捉え方はどう深まったのか。
そういう点が、1部のお芝居の終わりには自然とこちらに溢れんばかりに伝わってきていた。


「歴史」に関する捉え方、つまりは歴史上の人物たちの描かれ方にも、いつも深い愛情が感じられた。
世に語られる歴史上の姿と、実際のその人物とは果たしてどこまで同じであったのか。
よく知られるその実績に隠れて知られていない側面も実はあったのではないか。
歴史の中に名を残す人、儚く命を散らす人、長く生き次の時代を作る人、その立場は様々だけれど、
その誰もに、確かにそこに生きた命があったのだと、
その連なりこそが今という時間を作り出し、刀剣男士たちが守るべき「歴史」となっているのだと、そんなメッセージが伝わってくるようだった。


そういった愛情を以て織りなされる物語の中で遣われる言葉は、
徹底的に選ばれ磨き抜かれていて、決して「語りすぎる」ことがなく、
そこに存在する感情は、一体いまどのような色合いなのか、その行く先やありようを観客が自由に想像することができた。
刀剣男士が、ふと仲間に語りかける理由。返事をした相手が、その時に抱いた気持ち。
飲み込んだその言葉の先に何があったのか、どんな感情が渦巻いていたのか、ぐっと彼らの内側に引き込まれるように、夢中になって彼らの生き様を見ることができた。


作家性には、どうしたって代替性なんてない。
書き手が変わればその世界の色使いが変化するのは当然のことで、
先に挙げたような特徴は、伊藤さんが書く物語だからこそ存在しているものだと、もう重々わかっていた。承知の上だった*3

だからこそ「脚本は変わっているのだ、もうこれまでとは違うのだぞ」と自分に言い聞かせ、ある意味では期待値をぐっと下げてから観に行った花影初日ではあったのだけど、
想像するのと実際の出来事として眼前の出来事を受け止めるのはやはり別問題で、
そうかこういうことになるのか……とちょっと呆然とした思いになっている。

花影を観た私の感想

以下、私が花影を見た結果の感想である。
最初に謝っておく。今作を楽しんだ人は普通に気分を害する可能性が高いので、まず読まないほうがいいと思う。
そしてネタバレしているのでご注意されたい。

  • 6振りの刀剣男士それぞれについて、彼らがどんな性格をしているのか、何を考えてその任務に向かっているのか、お互いのことをどう思っているのか、提示された物語の中から掴み取ることは私には難しかった。つまるところ、彼らがどんな人なのか、正直全然わからなかった。君たちのことを、もっと知りたかった。
  • 一期一振の影打ちと言われる「カゲ」の存在が出てきた時点で、きっと物語はこう帰着するのだろうな、と容易に想像がついて、果たしてその通りになり、終わった。以上、という感じだった。物語の行く末を息を詰めて見守る、といったことは特に起きなかった。
  • 本阿弥光徳の子供時代に聞こえてくる”謎の声”が、彼のその後の人生をマジでそのまま全部言って予言してしまうのには本当にびっくりした。”余白”の消失を最初に感じた瞬間だった。
  • 本丸の主、今までも「一期一振を頼みます」までなら言うと思うけど、そのあと間髪入れずに「彼の支えになってあげてください」なんて言う?いや絶対言わんくない?あの人そういう人だったっけ?*4
  • 唐橋さんの演技の素晴らしさは否が応でもよくわかり、思わず笑ってしまうし見事だなぁと思うんだけれど、結果としてそこに残ったのは光徳の物語だったと感じた。刀剣男士たちの物語は、どのあたりに見い出せばよかったのだろう。
  • 豊臣秀吉がめちゃくちゃ歴史上のステレオタイプ豊臣秀吉に感じられた。伊藤さんが物語の中の存在として新たな家康像を生み出したのと思わず対比してしまうほどに、彼に対してステレオタイプ以外の要素を見つけることが難しかった。秀吉が携えていた物語が見えなかった。
  • 歴史の流れが変わってしまうからと、病から生き延びた鶴松を斬りにいこうとする長谷部と長義を小竜が止めるシーンがあったけれど、二人だって何も「正面から斬りにいく」ほど考えが至らないものだろうか(そこまで浅はかではないのでは)?と思うとかなり違和感があるし、そこへの小竜くんのツッコミの入れ方・対する長谷部と長義のリアクションが、なんだか普通の”いまどきの人”っぽく、付喪神というよりは俗っぽい雰囲気に感じられ……そこにも強めの違和感があった。(特に小竜くん。江水で見ているからこそ余計に。彼ってこういう人でしたっけ???)
  • 一期一振が、どうやってカゲを打破し自身を取り戻したのか、そこに至る動機やきっかけがなんだったのかがよくわからなかったけど、長谷部がその時代に実在する刀としての一期一振にめっちゃ話しかけたから、で良いんだろうか。長谷部といち兄の間には事前にそれほどまでに深い本丸の仲間としての絆が、果たしてあったのだろうか。私にはどうしてもそうは見えなくて、「なんで急に戻って来られたの???」になってしまったし、ていうかみんな、いち兄のこと放置しすぎてない?遅くない……?怒鳴りに行くならもうちょっと早くても良くない?となり、ただただ疑問が渦巻いた。(話の都合上、きっかけとなる鶴松の死が出てくる時間軸まであの状態を引っ張らざるを得なかっただけ、に思えた)
  • 磨り上げられないゆえ具現化した「カゲ」はいち兄よりも大きかったわけだけど、最後の刀の状態の一期一振って、あれは磨り上げられたの、られてないの?どっち?だとしたら身長は???あれ……??(ってなったんだけど、最早私の集中力がなさすぎたのかもしれない……)
  • 長谷部たちがカゲに阻まれて偶然落とすかたちになった毒薬を拾い、それを幼子に飲ませることを以て一期一振が「それが自分にできること」と自分の存在意義を見出すあの流れ、あれは本当にどういうわけなのか???この1点に関しては、私は正直怒りが抑えられない。原作興味はもとから薄いとはいえ、2015年のゲーム開始時点からキャラクターとしては一期一振が大好きな人間としては、ちょっと耐えられないし、理解ができなかった。いや辛いて。自分の存在意義についてそれは一体どういう自覚の仕方なんだよ……いち兄……君の刀剣男士としての役割ってなんなんだ……。
  • 焼刃して記憶がないいち兄の取り扱いについて、いや普通にもっとやりようあったくない?となった。刀だった頃の記憶がない彼が交わす、もとの主の豊臣秀吉との会話、それを活用すれば秀吉のことだってもっと人として掘り下げられたのでは……(いち兄が好きだからこんなに怒ってるんだろうな私、と今更ながら気づく)
  • 今回の部隊がこの6振りであることへの必然性、納得感を醸成してほしかった。今回、彼らが物語の中であまりにもどこか”記号的”な存在に感じられ、観ていてそれがたまらなく辛かった。都合で動かされる存在ではなくて、彼ら自身の意志と感情、つまりは「心」を持った生き生きとした存在として、彼らに出会いたかった。
  • 時間遡行軍との戦い=殺陣の見せ場がここである、というのがこれまでは明確にわかって、刀剣男士ごとに違う曲がついていたりメロディーが同じでも楽器が変わっていたり、といったことにすぐに気づくのがこれまでの常だったのだけれど、どこが殺陣の見せ場だったのかわからないまま終わってしまったのでびっくりした。*5
  • 暗転がめちゃくちゃに多いと観劇慣れしてる人間でも気が散るんだな、と知った(これは伊達双騎でも感じたことである)。


別に泣ければいいと思っているわけでは全くないけれど、刀ミュの本公演を見ていて涙が出なかったのは、流石に初めての経験だった。
同じ満開の桜の花の下で歌われる歌なのに、「キミの詩」と伝わってくるものがこんなに違うことがあるんだ……とびっくりした。それくらい、”物語”から、なにも伝わってこなかったのである。
わたしは、この花影という物語からいったい何を受け取ればよかったのだろうか?と、未だに困惑している。
これはもしかして、とにかく「わかりやすさ」に全振りしたのかな?とも感じた。*6
その結果、私には物語が伝えたいことが一体なんなのか、逆に全くわからなくなってしまったわけだが。。

これまで私が刀ミュの物語で愛してきたのは「余白」であり、行間だったんだなと改めて痛感した。*7
余白が徹底的に塗りつぶされたとき、それを前にした人の想像力は行き場を失うし、そもそも駆動するきっかけすら無くしてしまう。
結果、観ている私の心は、自分でも動揺するほどに全く動かなかった。辛い。

これからの刀ミュはどこへ向かうのか?

私はおそらく、刀ミュを好んで見る観客層の中ではこれまでもだいぶ外れ値で、偏ったサンプルなのだと思う。
ゲームや派生コンテンツに思い入れが浅いのに、刀ミュだけが異常に好き、という刺さり方をしている人は多分あまり多くはないはずだ(同じ舞台作品ではあるけれど、自分の好みとは違うという理由で刀ステも基本的には見ていないくらいだし)。

そのため、今回の変更で真っ先に思い浮かんだのは、「自分はこの作品のターゲットから外れたのではないか?」ということだった。

どういう層か具体的に表現するのは難しいけれど、
刀ミュの物語が培ってきた精神性みたいなものがぶっ刺さって好きにならずにはいられない、我々のような層のことはいったんおいておくことになってしまっても、
その代わりにもっとカジュアルに間口を広げて色んな人に気軽に見てもらえるようにしたい。運営にはそういう思惑があるのかなと想像したのだ。


ところが、である。
後からパンフレットを読んでみたところ、別に意識してそうしたわけでもないように思えて……というところで、今は余計に混乱している。(今回某かのもやもやを抱えている人は、いちどパンフレットを読んで見ることをお勧めする。)
今作のパンフレットでの茅野さんと浅井さんの対談には、別に「わかりやすくしたい」というような話は一切なかったし、そもそも冒頭で茅野さんの口からは「栄之進さんに書き続けてもらえればそれが一番良い」とまで語られていて、本当にどうしたらいいかわからなくなった。。
これは一体、なにが起きているのか。
書き手としてのひとりの天才が去ったというその事実がシンプルにめちゃくちゃに重い、しかしそれをどうすることも難しいという、そういう話なんだろうか。。

「わかりやすさ」、それは本質的な意味合いでの価値なのか?

一方で今回の花影について、わかりやすい、しんどくなくて観やすいといった感想が沢山あるらしいと聞く。それもじゅうぶん理解できる。
皮肉のように聞こえてしまうかもしれないが、「結局のところ、この作品を通して何が言いたいのかわからない」というのは今回私が花影に得た感想になるけれど、
これまでの刀ミュの物語にそっくりそのまま同じ感想を得てきた人もきっと沢山いるはずなのだ。
だからこれはもう完全に「好みの問題」になってくるのだと思う。

時間の経過に伴い作品タイトルがどんどん巨大になり、運営体制にも様々な変化が生まれ、結果として自分の好みの方向性ではなくなっていきつつある……という事象が起きているのだとしたら、それは全然理解できる。
マーケティング的に考えてもあり得る話であり、なにかコンテンツが成熟していくときにはむしろ起きて当たり前のことにも思える。
その結果、作品が自分の好みに合わなくなったのならば仕方ない。こちらから離れていくしかないよね、という話だ。*8
私にとっては自分の想像力が働くスペースが物語に存在することこそが魅力を感じる源泉だけど、
もし反対に、解釈を自分で深めなければいけないことそのものがストレスになる人のほうが観客の中に多いのだとしたら、
そちら側に作劇を寄せていく選択をするのも、頷けることだ。
今回の作品の方向性を歓迎する人たちも沢山いるだろうし、それで成功するならその道もコンテンツ存続のためにはありなのだろう。

しかしパンフレットを読む限り、特にそういったメッセージを見つけることはできない、ように思える。
となると、意図して起こした変化ではないということになり……
もしそうであるならば、シンプルに脚本の持つ「物語の強度」については、運営にもう少し再考してもらえたらなと切に感じた。


2015年のトライアルから始まり、2018年には紅白歌合戦への出場も叶えた刀ミュは、
源氏双騎や歌合乱舞狂乱といった、2.5次元としてはかなり挑戦の色合いの強い作品も次々にラインナップし、
重厚で奥行きのある世界をこの7年半、こつこつ積み上げて作ってきた、と思っている。

私は、刀ミュがお客さんを決して侮らないところが好きだった。
舞台作品として、物語に絶対的な奥行きがあり、見る人によって受け取り方の変わる多面性があったからこそ、
原作のゲームが好きな人、個別のキャラクターが好きな人、日本の歴史が好きな人、私のように舞台がもともと好きな人、
様々な層にアプローチが出来、その裾野を広げていけたのではないだろうか。
解釈に残されていた"余地"の部分があるからこそいろんな立場の人にとって求心力があったし、私たちはその余地に対して想像力をかきたてられ、魅力を感じることが出来ていたんじゃないだろうか。

超人気タイトルの脚本を一人で背負うのは過酷だろうし、さまざまな制約もあるに決まっていて、だからこそチーム制のような方向を模索しているのだろうな、という動きも2019年あたりから見受けられていた。
その前提があったから、メインライターとしては離れることがあっても、監修のようなスーパーバイザー的立場で伊藤さんは残ってくださるのかなと当初想像していたんだけど……

興行としては当然のこととしてコロナの打撃も相当に深いのだと思うし、伊藤さん自身がこの作品から離れることを強く望んだのかもしれないことも、なんとなく想像できてしまう。
でも仮にそうなのだとしても、脚本という作品の支柱であるその精神性は、やはり絶対的に欠いてはならないものだったんじゃないだろうか。
この先どうなっていくのか、どうしても私には不安に思えてしまう。
複雑性を廃した物語は、いったいどこに行き着くのだろう。

「キラキラしている」だけではない、と言い続けるために必要なのは

私は以前から、あくまでも骨太な1部のお芝居があってこその、2部のライブの良さがあると思っている。
2部のことも大好きだけど、それをメインで楽しむ場は真剣乱舞祭として明確に別に設けられているし、
刀剣男士たちの現代での戦いを”ライブ”と捉えた、ある意味では突拍子もない設定を勢いでねじ伏せているこの1部2部構成は、
1部に重厚な演劇を成立させて初めて、説得力をもって届けられるものじゃないかなと思うのだ。

でも、物語の強度が以前に比べ損なわれたと感じられる今の状態で、後に続く2部はこれまでどおりの綺羅びやかなライブステージをやっていくんだとしたら、
それではまるで、1部が2部のおまけみたいになってしまう事態に陥りはしないだろうか。
今私が抱いている最大の懸念はここだ。

アイドルそのものを題材にした2.5次元作品だって当たり前に存在するわけで、そうではなくて刀剣男士たちがライブパートを成立させるところに妙があるのに、
そのための前提となる屋台骨=刀剣男士としての彼らを語る物語がスカスカになってしまうのは、あまりにも危険なことに思える。
その先に待ち受けているのは、「単なるイケメンキラキラコンテンツ」に変化して簡単に消費されていく、そんな望まぬ未来に思えてならないし、
それこそが、今まで刀ミュが絶対そうならないように頑張って避けてきた姿なんじゃないだろうか。


これまでの刀ミュは、2.5次元だからと軽く見られらすいような状況にはめちゃくちゃに意志をもって抗ってきたと思っていて(そうじゃなきゃ生まれないだろと思う作品ばかりである)、
見ている立場から私は自信をもって「たしかにキラキラして見えるかもしれないし、実際キラキラはしてるんだけれど、でもそれだけじゃない作品なんです!」って、胸を張って言うことができていた。
でもこの方向性がこの先続いていくとするならば、もう私は同じことを言えなくなると思う。
もし花影しか知らない人に「刀ミュが好きなんですね!」と話しかけられたら、なんと答えていいかわからない気持ちになってしまう。
2.5次元が侮られやすい現状に風穴開けるような気骨と気概がかっこよかったのに、だからこそ出来たことが沢山あったはずなのに。その結果もついてきていたはずなのに。

本当に、大好きだったから

2016年、幕末天狼傳にぶん殴られたことがきっかけで私はこのブログを立ち上げた。
そこから刀ミュにまつわる記事はなんとトータルで70件以上、書いてきたらしい。
anagmaram.hatenablog.com

この7年半で、本公演+各ライブ演目の現地観劇回数はとっくに100を超えた。
そうさせる力が、間違いなくそこにあった。
得た感動をなんとかして言葉にして書き残したい、抗えないその欲求がいつも、刀ミュ作品を観たあとの私を駆り立ててきた。
でも、そういうことも多分この先は起きなくなるのだろう(現に花影で起きていない)ことを思うと、今は本当に身を切られるように寂しく、心から辛い。
私の感情が呼応していたのは、伊藤さんが書く物語に対してだったんだなと、ひしひしと痛感している。


最後に、2019年の「歌合乱舞狂乱」に向けたでじたろうさんと松田さんのCUT対談を引用する*9
今あらためて読んでいたら泣けてしまった。

松田 「『刀ミュ』って、他の作品なら10年かけてやるようなことを2年くらいでやっているわけですよ。ものすごい巻き(笑)。マラソンなのにダッシュしてるみたいなスピードで走ってて『平気?』って思っている人たち、まあまあたくさんいると思うんですけど――」
小坂 「僕はこれしか知らないからな……そうなんですね」
松田 「そう、これ、めっちゃ速いペースで走ってるんです。でも、できれば僕はそのペースのままマラソンを走り続けたい。何も振り落とさずにね。だからそれができるようになるためには知恵もいるし、人の助けもいるし、アイディアも必要だし。ただ闇雲に走っていたら絶対に息切れして苦しくなるから、まだまだこれからです。支え合いながら、ぜひみんなで一緒に走りましょう」

「何も振り落とさずに」。「みんなで一緒に」。
そうさせなかったのはやはり、コロナ禍なんだろうなと思う。
誰が悪いという話じゃなく、正直なところ、明らかに全てはコロナが悪いんだろうな……と感じた。
そこまで思考がたどり着くと、残るのはどうしようもない無力感である。
松田さんがまだネルケにいらしたら、もしかするとなにか違う部分もあったのかな、などと余計な邪推までせずにいられないほどだ。
当然、見えないところでなにが起きているのかは我々にはわからないけれど。
製作委員会の中にはもしかしたらいらっしゃるのかもしれないが、目に見える形としてクレジットに松田さんのお名前も伊藤さんのお名前もない。それが今の刀ミュなんだ。

パンフレットを読む限り、観劇直後の私が当初想定したような「わかりやすくして間口を広げたい」といったような動きは特に起きていないのだとしたら、
余計にどうして?という気持ちが募ってしまう。
抜け落ちた物語の存在感、かつてあったその強度がより強烈に思われて、とても辛い気持ちになる。


私は本当に、ミュージカル『刀剣乱舞』が大好きでした。
もらってきたものは、それこそ両腕に抱えきれないほどに沢山あります。応援したいと思う俳優さんにも、みんな刀ミュを通じて出会ってきた。
その思いの源は、やはりそこで描かれてきた物語の力強さにありました。

これからも刀ミュのことは好きでいたいし、10年続くコンテンツになってほしいって今でも変わらずに思っている。
でも物語から受け取るものがこれほどまでに目減りしてしまうのであれば、今までみたいに心躍らせて劇場に足を運ぶことは、もうどうしたって難しくなるだろう。
同じような感覚の人がどれくらいいるのかはわからないけれど、このままでいい、とは到底思えないし、思いたくはない。
何度考えても、これは単なるこちらの勝手な思い入れだけではないように思うのだ。
そんな一方的なもので、この作品がここまで大きくなれたはずがないから。


作品の奥行きの中に自分の感受性を自由に解き放ち、想像力を働かせ、そこで動いた心のありようをスケッチするように、気の済むまで言葉を遣って感想を紡ぐ。
そんな贅沢な時間の過ごし方を数え切れないほどに味わわせてくれた、かけがえのない作品。
言葉にできないほどの「好き」が、そこには本当に沢山詰まっている。


伊藤栄之進(御笠ノ忠次)さん、長きにわたり素敵な物語をたくさん届けてくださって、本当にありがとうございました。心から感謝しています。
あなたの筆致は私にとって、まるで奇跡のように心に宿る光でした。
生み出される言葉たちに、心尽くしの物語に、本当にいろんなところへ連れて行ってもらいました。

刀ミュの三日月宗近の結末は、どうしてもあなたの本で観たいです。
それだけでも叶う可能性はないのかと、正直まだ諦めきれません……。
戻ってきてくださる未来は、絶対にないのでしょうか。

*1:インターネット上の人格としては顕名で、ある意味ではリスクをとって本音を書いているわけだけど、これは大好きなものに対して私が示せる誠実さの形だと思っている。なので言いたいことは、自分で言いましょう……私は誰かの代弁者になるつもりはないとだけ、強めに意思表示をしておきます。

*2:今まで全く気配もなかったふた振りが同時に出てくることへの動揺と、たぶん伊藤さんならいち兄は書かないだろうなという納得と、この形でならふた振りに正直出会えなくてもよかったと思ってしまう悲しみと。

*3:伊達双騎は現地で観て、この違和感はやはり脚本が違うからなのかなと戸惑いながらも敢えて深掘りはしなかった。その後に青江単騎を観て「これこそが私の愛する物語だ!」と衝撃すら覚える涙を流した。しかしその1ヶ月後に脚本から伊藤さんが離れられることを知り、絶望。「脚本が違うし、本公演じゃないならひとまず観なくてもよいかな」と思い、江おんは刀ミュで初めて現地で観ない=チケットを申し込まない選択をした。全ては本公演を観てからの判断だ。その結果が、今。

*4:アンケートで「本丸の主が言葉足らずだから刀剣男士が苦しむことになるんだ、もっとちゃんと指示を出せ!」的な批判があったんかなとすら思いました正直。……いやさ、描かれてないから指示も出してない、とは限らなくない???????

*5:脚本云々は抜きにして、今回全体的な完成度がいつもの水準に達していないように感じられたのもめちゃくちゃ不思議だった。過去作のバクステの長い稽古期間・厳しい指導の様子を見ているので余計に……本当にどうして?茅野さんらしくない……

*6:幕が上がる前、ステージの上にモチーフですらないどでかい日本刀そのものがでんと構えているのを見て本当にびっくりした。わかりやすくしたいのだとしても、そんな極端な具象に走るのか!?という衝撃。そこまでせんでも流石にお客さんみんな話わかるやろ……刀ミュらしからぬセンスだと思った。つはもののあの幽玄なセットが懐かしくなった。

*7:最低限の言葉で語りに余地を残す伊藤さんの本に、エッセンスとなるワードを明確に散りばめた浅井さんの歌詞の組み合わせが、やはり最強だったんだと思う。塩梅というか、情報量としてのバランスが。お二人の言葉の相互作用は美しいまでに完璧だったなと思う。

*8:それくらいドライに割り切れるほど簡単な「好き」ではなかったんですよ、こちとら、と言う気持ち。頭では理解するが感情が追いつかない

*9:出典:CUT No.415 DECEMBER 2019「原案ゲームとミュージカル、それぞれの生みの親が『刀剣乱舞』への愛と夢を語り合うプロデューサー対談! 小坂崇氣 × 松田誠」

ミュージカル「ジェーン・エア」感想(萌音ジェーン・芳雄ロチェスターを中心に)

身内の激推しを受けて、ミュージカル「ジェーン・エア」を東京芸術劇場プレイハウスにて3月19日マチネ観劇してきました。
キャストの面々から察するに、歌に関しては絶対に間違いがなくて観たいやつ!とは以前から思ってはいたのですが、期待を遥かに超える満足感!本当に行ってよかったです。

ジェーンとロチェスターエドワード)のふたりを中心に、以下に感想をまとめました。

(柱じゃないところのポスターも撮るべきだったなぁ…笑)



上白石萌音さん・井上芳雄さんの組み合わせの良さに脱帽

今更すぎて申し訳ないのですが、なんと相性の良い組み合わせなのでしょうか!?いや、そんなのほんとうに今更だよな!笑
”20も歳が離れている”と劇中で説明されるとおりの年齢差なわけなんですが、
それが申し分ない形で生きてる!?良すぎ!?になって、
「やっぱりダディ・ロング・レッグス*1見たかったわ!」って思ってしまった。それ、今回とおんなじ文脈で絶対に最高のやつだったよね!?

というわけで、私が観たのはWキャストのうち萌音ちゃんのジェーン回。
萌音ちゃんのミュージカル姿を今回初めて観たのですが、とにかくその舞台上での存りようのすべてに心底圧倒されました。

佇まいがごく自然に物語をまとうそのさま、過剰な演出なしに、そこに在るだけで生まれる説得力。
そして何より、ミュージカルにおけるあの歌声の見事さ!

あの小柄な体から「歌」の概念そのものが溢れ出ているようでした。
今そこに心が動くただありのままに、感情が音と言葉になって迸るよう。
滑らかさと透明感が同居していて、あたたかみのあるオカリナみたいな声質が、
時に祈りそのもののように、時に驚くほどドラマティックに、劇場に響き渡る。

一幕、寄宿学校を出て家庭教師の職を得ることを決意したジェーンが歌う旅立ちの一曲。
未来と自由をのびやかに追い求めるその心を高らかに歌い上げる様に、本当に感情が揺さぶられて驚くほどに涙が出てしまいました。
ああgenuineだ、と思わずにいられない歌声そのものだけじゃなく、
ミュージカル的に欲しくなるここぞのボリュームをどん!と出してくれるところ。素晴らしすぎる。
白い襟に真っ黒な飾りのない簡素なドレス姿で、物語の主役をほぼ出ずっぱりで堂々と生ききる萌音ジェーン。あまりにもこの作品に似つかわしい!


そんな萌音ジェーンに対する、井上芳雄さんのロチェスター。(※観ていてどうしても「エドワード」での受け取りが強かったので、一般的じゃないかもですが以下呼称は「エドワード」で書きますね!)
高身長の芳雄さんが小柄な萌音ちゃんと並ぶと、本当にそのお姿が大きくて!
フェアファックス邸の主人たる貴族、どこか風変わりで予測の付かない行動を取る”変人”である「圧」と、
同時になんともいえない子供のような所在なさを湛えていて、一幕のあいだじゅう明かされない謎も相まってその様々な面でのアンバランスさに惹きつけられました。
物語の中における明確な孤児はジェーンのほうなのに、居場所を求めているのは屋敷の主であるはずのエドワードに見えてくる。

そしてお二人が並ぶと、惹かれ合うことにごく自然に納得感が生まれてしまうというか、
熱情ではない、でもとてつもなく運命的な心の通い合いが、ひとりでに立ち上がっていく印象がありました。

「まるでセイレーンみたいに呼ぶから」。そこに宿る真実性に救われた

生きる上で己を苛む不自由さのすべてに倦み疲れていたエドワードにとって、自分の望む心のままにジェーンを求めることは、現実的には絶対に叶わないはずの何か。
それでもジェーンを得たいと願ってしまったことをどう捉えるべきか、道徳的に許される部分とそうでない部分の線引きはどこか、といったことを勿論考えもするのですが、
もうとにかく……「まるでセイレーンみたいに呼ぶから」のあの1フレーズがトータルで描き出したものに、動揺と呼べるほどにやられてしまいました。

このフレーズが登場するのは一幕のラスト、ジェーンとエドワードのデュエット。
舞台の一番奥に立つエドワードと、反対に一番端の位置に立つジェーンが、お互いに呼応するように別々の歌詞に乗せて歌声を重ね合わせて、大きな音の波を作り出す。
嵐や海を思わせる歌詞の中に登場する「セイレーン」という言葉。
そしてそのモチーフは、二幕にこれ以上なくドラマティックに観客を再訪するのです。

その場面について説明するため、以下に二幕のあらすじをざっとまとめます。

ジェーンと結婚しようとした当日、エドワードが実は既婚者であることが明るみに出ます。
ごく若い時分に、持参金目当てでエドワードの父と兄が勝手に決めた結婚でしたが、結婚後すぐに彼女は精神を病み、エドワードはそんな妻の存在を屋敷の上の階に隠して暮らしてきたのでした。
その衝撃的な事実を知らされたジェーンは悩み抜き、どれだけ自分が願おうと、既婚者である事実を知ってもなお彼を愛し側にいることはできない、(宗教的に)その罪は犯せないと決め、エドワードのもとを去ってしまいます。

衝動的に屋敷を出た彼女は一文無しとなってしまい困窮し、路頭を彷徨った末に倒れたところを通りかかった牧師のシンジュンに助けられるのですが、
彼が自分の住まいとして彼女を招き入れたのは、かつてジェーン自身が子供時代を過ごした叔母のミセス・リードの家でした。
そうして数奇な運命のもとに、病におかされていたミセス・リードの最期に立ち会うことになったジェーンは、
過去の諸々に囚われて苛まれるミセス・リードに、幼い頃の自分が友人のヘレンから伝えられた”赦し"を送り、彼女を看取ります。

ミセス・リードの死後のある日、シンジュンは宣教師としてインドに渡るつもりであることをジェーンに告げるのですが、
彼はジェーンに自分の妻となってインドへ共に来るようにと、強引とも取れる態度で結婚を申し込むのです。(あらすじここまで)


以下は超・個人的な感想なのですが、ここのシンジュン、無理すぎポイントに触れまくりで本当に拒否反応MAXになってしまいましてね。。
めちゃくちゃに高圧的に感じられて……結婚に関しても申し込むというより「申し渡す」といった印象だし。
時代背景柄、相手の存在をナチュラルに下に見ているモラハラがすごすぎて一気にしんどさがこみ上げました。
ジェーンの存在について「君は愛のために生まれてきたのではない」の一言なんか、突然の一方的な存在否定が投げつけられていて恐ろしすぎる。
時代背景など鑑みると、非力であり立場のない女性は男性に従うのが当然で、とくに器量が良いわけでもない敬虔なジェーンには宣教師の妻という立場はこれ以上なくうってつけのものだとか、そういうことが言いたいのだと思うんですが、
心の底から「無理!!!インドへは一人で行って、どうぞ!!?」になってしまいまして。
愛されているわけでもないのに、彼は何故自分に妻になれと言うのかと戸惑うジェーンも、
それが運命ならばといった感じで一瞬受け入れそうになるので、「だめ、ぜったい、だめー!!!」って叫びたくなったところで、なのですよ。
そこに届いたのは。

「ジェーン……ジェーン……」

遠い彼方からの呼び声のような、どこから聞こえてくるものなのかわからない、幻のような美しい歌声が、空間にゆらりとたなびいて。
それはまごうことなき、芳雄エドワードのものなわけです。
その声を聞いた途端、はっと我に返ったように、「エドワード!」と声の限りに叫ぶジェーン。

もうこの演出に本ッ当にゾクゾクさせられましたし、何よりも観ていてこちらまで”救われた”気分になってしまった……。
まるで自分を放棄するかのように、愛されなくて当然だ、その価値などないのだからとでも言わんばかりの選択をしかけたジェーンを我に返らせて救ったのは、
現実的にはどうしようもないとわかりながらも、それでも「魂の理解者」として、本心から自分を求めていたエドワードの声。

「まるでセイレーンみたいに呼ぶから」を、あんなふうに二幕で具現化なさいますか???井上芳雄さん!!!になってしまった。
というか呼んでるのは貴方の方だったの……!みたいな。。

そもそも一幕のいちばん冒頭、登場人物たち全員が集まってくる場面で、
エドワードはセット奥の上手、後ろ姿で木の下に佇んで「ジェーン……ジェーン……」と歌っているんですよね。(そしてすぐ姿を消す。)
その場面では「わぁ、そんないきなりカゲソロ*2みたく贅沢に芳雄さんの歌声を使うなんてー!」って思っていたんですが、その存在がまるごと作品の中でリフレインとして効いてくるとは。。
とにかく演出の素晴らしさに唸らされた場面でした。
姿が見えなくても、心どうしがただ必死に呼び合っている。
ジェーンとエドワードの精神的な結びつきが、安っぽくならずに痛いほどの切実さをもって描き出されていて、本当に見事でした。

物語のラストで二人は婚姻関係として正式に結ばれるわけですが、
この二人の関係性は単純なラブロマンスというよりも、孤独な魂の双子同士の呼応、のような描かれ方に思えました。
恋愛感情としての愛というより、人間愛に近い印象*3
二人はお互いの本質の中に、自分自身と響き合うそっくりな部分を見つけた、ゆえに惹かれ合ったように感じました。

エドワードもだいぶ身勝手にジェーンに救いを求めたように受け取られかねないところ、そこまでの都合の良さは感じなかったというか、
行動の中身を見ると正直めちゃくちゃな部分も大きいのだけれど、それでも彼をいい加減な奴として糾弾する気にはなりませんでした。
舞台上に紡がれていたのは、ごく危ういバランスの中に奇跡的に成り立っている”純粋な何か”だったように思えて。
それをまとめあげた演出の力も、芝居と歌で魅せきったお二人も、本当にすごいなとしみじみ嘆息しました。

描きたかったのはきっと、「自分として、善く生きる」こと

原作は未読です。事前に芳雄さんのインタビューを読んでいて、キリスト教的信仰心、特に”許し”が背景として大きく横たわっていることを知り、
現代日本に生きる自分にとって果たして素直に受け取りが可能な物語なのか、正直観る前は若干の不安がありました。

実際、序盤の寄宿学校でのシーンでひどい仕打ちを受ける幼いジェーンに対し、
唯一の友人であるヘレンが諭すように歌う「赦すの」という言葉には、まったく頷くことができず。。
「いや、そんなん無理やろ!」としか思えなくて。
信仰心があればそこまで達観することができるの?その全てで、いま手元にある現世の苦しみが本当に救われるの?とどうしても思ってしまったんですよね。

でも、二幕で死の床にいるミセス・リードにジェーンが語りかけた「赦すの」には、
それまでジェーンが自分の人生を通じて得てきた真実の重みがしっかりと乗っていて、ジェーンがそう言うのだから……という気持ちに自然とさせられました。
それは、ジェーンの信仰心が盲目的ななにかなのではなく、自我を以て生きることを追い求める切実さに裏打ちされたものだからなのかな、と。

彼女がまず信じていたのは、自分自身に他ならない。
生きている限り、自分の信じる心の自由を、生の在り方を希求して良いのだと、萌音ジェーンから語りかけられたような感覚になる、そんな作品でした。
ジェーンが与えた過去への赦しもまた、彼女自身の心が決めたことなのだ。


19世紀半ばに紡がれた古式ゆかしい海外の小説を、ここまで現代性をもった物語として異国で届けられるのは、ある種快挙なんじゃないかなと思います。
篤い信仰心と、現代人が当たり前に持つエゴイズムってときに真逆に位置するもののようにも感じられるんですが、
萌音ちゃんのジェーンは現代につながる女性像をその内面に明確に持ちながらも、時代背景を背負う作品の中で矛盾なく生きられている。そのバランス感覚が素晴らしかったです。
ジョン・ケアードさんはテーマとして「その人がその人自身で在ることの尊さ」を真摯に描き出したかったのかなと、そんなふうに感じています。
ジェーンは自分が自分であることを諦めずに他者とかかわり、より善く生きることを懸命に目指した。その道筋の中で、彼女は赦しや愛をその手のうちにあたたかに掴み取っていくのです。

セットと呼べるものはほぼないといえるほどに簡素で、舞台上には荒野を思わせる木々と草花のセット、その他には最低限の机やベッドが時折登場するだけ。
ごく限られた情報量なのに、だからこそ総体として伝わってくるものが大きくなっているように感じました。
二階席から見ていたのですが、床に落ちる照明がどれも大変うつくしかった。
緊張感をもってとても緻密に織り上げられた作品世界に、安心して身を委ねて楽しむことができました。



他のキャストの皆さんも素晴らしかったのですが文章で触れきる体力が……!生でゆきちゃん(仙名彩世さん)の歌声を聞けたのがなにげに初な気がしてびっくり&嬉しかったー!
観に行けてよかったなぁ!と心から幸せなため息をつける作品に出会えた時の喜びよ。
4月1日・2日には配信も決定しているそうなので興味のある方はぜひ。
janeeyre.jp

*1:そもそもなんですけど演出と音楽が今作とおなじなんよ!笑 そんなのますます見たかったわ! https://www.tohostage.com/ashinaga/

*2:これ宝塚用語ですかね?他で聞かないのですが便利なので使ってしまった。カゲソロ=姿を見せずに舞台袖などで歌声だけをソロで届ける演出なんですけど、この時エドワードの後ろ姿は見えているので厳密には違います。ややこしいな!

*3:もしかしたら、原作的にはそれは信仰心がベースになったものなのかもしれないのですが。

ミュージカル「エリザベート」2022年公演の感想② / ルドルフ・フランツ・ゾフィー・トート・シシィ各キャスト感想

①ってつけてたフラグちゃんと回収できるぞ!書くぞー!

エリザ2022-2023公演全体の感想として、(ダブルorトリプルの)プリンシパルキャストの皆さんについて書きました。
といいつつ、推しルキ回のみを観ていた事情により、ルキーニを除く、となっております。まりルキの感想は個別にまとめた以下の①からどうぞです。
anagmaram.hatenablog.com




ルドルフ/ 甲斐翔真さん

しょうまくんはこれまでロミジュリ2021の配信でしか観たことがなく(なんせまりおくんとWのロミオだったので)、実際に舞台姿を生で観るのはエリザが初めてでした。
「ひ弱な皇太子」だった時代から大きく成長を遂げ、健康的で堂々としていて、
熱い心を持った正義感の強いルドルフ、という印象でした。
登場すぐのシーン、父である皇帝と衝突するところの押しの強さや、独立運動でダン!と爆音で足を踏みしめる動きなどの端々に、胆力を感じました。
でも一方で真っ当におぼっちゃま育ちなところがあるゆえ、理想に向かって突っ走りやすい危うさがあるタイプ。
だからこそ、母親の拒絶を受けた瞬間に、真っ逆さまに転落していってしまう。

今まで観たことなかったなぁ!と思ったのは「僕はママの鏡だから」のアプローチです。
途中の「ママだけがパパを説得できる」の歌い方。
あそこでしょまルドは、はっとしてものすごく嬉しそうな表情を浮かべるんですよね。そうだ、その手があった!みたいな。
ママならばパパの意志を変えることができるんじゃないか!?って、あの瞬間に初めて気づくという表現、過去に観たことがなくめちゃくちゃ新鮮でした。
そしてその瞬間的な喜びの感情が、直後のシシィからの拒絶によって粉々に打ち砕かれてしまう急角度の絶望、苦しかったなぁ。。
歌は言わずもがなの安定した歌唱力で、本当に朗々たる!堂々たる!といった歌声だったなぁと思います。
闇広のラストも、これから自分は戦うんだ!という積極的な未来への意志を感じる力強さがあるのが魅力的でした。

ルドルフ/ 立石俊樹さん

としきくんはロミジュリ2021のティボルトぶり!
ビジュアル面や役作りにおいて、なんとなく共通してイメージされやすい青年皇太子としての正統派ルドルフ、といった印象を持ちました。
あのなんともいえないノーブルで甘いお顔立ち、本当にルドルフ向きですよね。
そして甘いだけではなく、そこに翳りがさしていて苦悩の色が強め。
警官に取り押さえられた「ルドルフ…ハプスブルク」のセリフの言い方なんかは、あの瞬間にもう一段階目の覚悟が決まってしまっているようで、
トートがお膳立てした死に向かって素直に吸い込まれていくようなルドルフかなぁと思いました。

歌唱に関してなんですが、公演途中で爆発的に伸びた瞬間があったように勝手ながら感じています(帝劇の折り返し後、11月前半だったと記憶)。
とくに闇広の迫力、主にボリューム面かなぁ?伝わってくる情報量が突如ガン上がりした公演があったんですよ。
たまたま同じ回を観ていた友人も全く同じ感想だったし、
「若手ってこうやっていきなり伸びるんだな!?」ってめちゃくちゃ感動したのを覚えています。
終盤に博多座で観た回でもすごく安定していたし、とても素晴らしかったと思います!
太平洋序曲への出演も控えているし、今後も大きなミュージカルで活躍されていくんだろうな!

ゾフィー/ 香寿たつきさん

2019までに観てきたエリザでも一番馴染み深かったのがタータンさんのゾフィーなので、
私のなかで「ゾフィーといえば」という印象を形作っている方です。
タータンさんは、なんといっても歌声が!大好きです!!かっこいい!
なんでそんなに歌がうまいんですか!?とびっくりしてしまう。
安心して聞いていられるので、その分こちらは好きなだけ「怖いよー!」って思って観ていられる感じ。
とにかく抜群に安定している歌唱力、「皇帝の義務」の「結構ね!」の歌い方なんかもう、それはそれはおっかなくて大好きです。

タータンさんの場合は歌の安定感がそのままゾフィーとしての存在感の大きさに結びついているといいますか、皇太后としての威厳がとても強くて、
最期までブレることなく太后として有り続ける芯の強さがとても魅力的だなぁと。
博多座で観られるつもりだったら全然そんなことなく、御園座ではからずも見納めてしまったのがショックだった~!(キャストスケジュールはちゃんと把握しましょうね!)

ゾフィー/ 涼風真世さん

涼風さんのゾフィー、ほんっと好き……!
とても表情豊かで、涼風さんにしかない独特の魅力があるなぁと思います。
個人的な感想ですが、時おり現れるコミカルな側面が強いところがすごく好きで!

「計画通り」の途中でヘレネを見やって「安産型だわ!」と立ち上がる動きがどことなく大げさだったり、
なんといっても「皇后の勝利」が本ッ当に面白くて大好きでした。笑
面白いって言ったら怒られるかしら……でも面白いんだもーん!
「綺麗な女なら、他にもいます!」のところ、腕全体をつかってぶん!と大きく手招きをしながら若干後ろにのけぞってる!?みたいな動きをしていたり、
博多座公演では「大臣を勝手に任命したぞ」あたりで杖をぐるぐる勢いよくぶん回してましたし、杖で周囲の伯爵たちを打ち据える瞬間にちょっと跳び上がってて。笑

かと思えば、同時に美しさゆえの怖さもあって……涼風ゾフィーがシシィと対峙するとなんかもう、女同士の戦いのひりつきがすごくて!「こ、こえ~!」ってなります。
あとは少年ルドルフに対して一番厳しく接してるのは涼風ゾフィーだなと思うんですよね。
剣の握らせ方に容赦がねえ!!タータンさんは少し恭しく捧げるような渡し方をするけど、涼風さんは「お前が剣を握らないでどうするのです?」って絶対に許してくれない感じがする。。

ゾフィー/ 剣幸さん

観られるはずだった帝劇公演が中止になり、博多座でようやくお目見えが叶いました!
剣幸さんのゾフィーは、根底に「母である」事実がしっかりと横たわっていて、
その厳しさも愛ゆえなのね……と思わされるというか、
本当は優しい人なんだろうなぁ、ちょっとなにかが違えばシシィともうまくいったんじゃないかなぁ、というような気持ちにさせられるゾフィーでした。

配信で見ていた大楽のごあいさつで、小池先生から「人のいいおばさんみたいよって言われて……」と仰っていたのには思わず笑ってしまったんですが、なるほど!?とも思いました。
確かにわかる、根っこが優しいゾフィーだな!?と。小池先生、さすが言い得て妙すぎる。笑
なので私の中で「ゾフィーの死」が一番泣けたのは剣さんでした。
歌詞のとおりに、皇帝であるフランツのことを思い、母としての自分を殺して勤め上げたのだな……とやるせなくなって。
最期は穏やかな気持ちで迎えられたのだろうか……と、トートダンサーたちの黒い翼の中に消えていく姿を見ながら自然と涙が溢れたのでした。

フランツ/ 田代万里生さん

田代さんのフランツは、本当に徹頭徹尾「皇帝」なところが特徴だなと思っています。
皇帝になる運命を背負って生まれ、その運命を疑うことなく、ひたすら真っすぐに帝王教育を受けて育ってきた人という感じ。

その在りようはどこまでも出自に沿って、ひとりの人間である前にオーストリー皇帝であるものとして完成されきっているから、
結婚式でシシィが人目を嫌がり「みんなが見つめているわ」と縋っても、彼女がなにを嫌がっているのかが理解できないし、
「ここは牢獄よ!」とまで泣いて訴えかけられても、「でも母の意見は君のためになるはずだ」って笑顔で言えてしまう。いやそこ、笑顔ちゃうんよ!?ってなっちゃう。

私の感覚では、シシィが宮廷で「ここに私の居場所はない」と感じてしまう元凶をしっかり作ってんなー!と思わされるフランツなので、
ゾフィーに向かって「あなたのせいです」と怒りをぶつけるところなんかは「いや違うやろ!あんたのせいやろ!?」って言いたくなってしまうんですよね。笑
と同時に、ものすごく妻を愛していたのね、、ということもロマンチックにめちゃくちゃ伝わってくるだけに、
「いや、あなたもうちょっと!もうちょっとうまくやれたでしょ!?」みたいな気持ちにさせられてしまう。
ナチュラルボーンハプスブルク家(※当たり前だよ)としての、シシィに向けるどうしようもなく根本的な無理解、何よりそこに全く”悪気がない”のが観ていてより辛くなる。
あくまでも私の捉え方としてですが、田代さんのフランツは、観客に対してシシィの人生の苦しみを浮き上がらせる役割を色濃く担っているような印象があります。
毎度新鮮に腹を立ててしまって申し訳なかったほどです(そうよ私はシシィに肩入れしまくるタイプの女)。

フランツ/ 佐藤隆紀さん

シュガーさんのフランツ、今回たくさん見てめっちゃ好きになりました……!
先述のとおり私はシシィに肩入れするあまり、フランツに対しては基本的に「なんてひどいことをするんだ!」と明確に怒っていた部分があるんですが、
今回のシュガンツを観ているときはその感情が全然湧いてこないことに気づいて本当にびっくりしました。
2015年に初めてエリザを観た時のフランツもシュガーさんなんだけど、その時の記憶もメモも、流石に残ってなく。。
でも私の中でフランツは、言ってしまえばずっと悪者だったんですよ~!笑
しかしそれが、あのシュガーさんの”溢れる愛”そのもの、と表現したくなる歌声のあたたかさ・奥行きの深さに触れたことで、一気に印象が変わりました。

シュガーさんの場合は、自分の中に葛藤もありつつというか、皇帝という役割を引き受ける上で致し方なくその行動に至っている、という側面が強いように思います。
シシィの気持ちも十分理解できてるんだけど、でも皇帝だからできないこともあるんだよね、あれ、もしかしてちょっと口下手なのかな、みたいな……。
ってなると、結局はどっちのフランツに対してもやっぱり「もうちょっとうまくやれたでしょ!?」にはなっちゃうんですけど笑、
シュガンツに関しては「でもフランツだって辛いよな……」って気持ちにさせられてました。

「夜のボート」、心象風景としてはあんなにも大きく腕を広げて、深い愛でシシィのことを待っているのに全く結実することがなく……本当に悲しかったなぁ!
博多座で初エリザ観劇に連れて行った母に「歌声で言ったら誰の声が一番好きだった?」と聞いてみたところ、
即答でシュガーさんだったので、声の魅力が本当にお強いなと改めて思いました。
カムバックしてのフランツだったわけですが、またぜひ次回も続投していただきたいです~!

トート/ 山崎育三郎さん

とても俺様みの強い、「俺、帝王ですが何か?」的なところがすっごくいくさぶさんらしいな!と感じさせられたトートでした。
普段の「え、僕、プリンスだけど?」な感じが、そのままトートにも生かされていると言ったらよいかな……?笑(これも怒られる!?怒らないでください!褒めてますので!笑)
劇評ではナルシズムが強いと表現されていたりもして、すごーくわかる!と思いました。
ほんとそれくらい、とにかく俺様なトート。なんというか帝王であることに多大なる自負心を抱いていそうで。
なのでそのぶん、シシィに袖にされるとめちゃくちゃ怒ってんな!?って印象で、わりと腕ずくで自分のものにしてやる!感もあり、
つまりはそれくらい熱烈にシシィに惹かれているんだなぁという印象を受けました。

あとはなんといっても、原曲キーで歌うことに自らこだわられた「最後のダンス」ですよね!
イントロを聞いた瞬間から「音がちがーう!?」とまずそこにゾクゾクさせられて。
キーが違うと当たり前ですが、印象がだいぶ変わります。より攻撃的な色合いが強まると言ったら良いかしら?
シシィに向かってぐっと距離を詰めてのシャウトには、なんか「もうそのへんで許してあげて!?」ってなるような凄みがありました。ボリュームも半端なかったよ……。

そのいくさぶさんのトートなんですが、予定していた観劇回数、ガッツリ削れてしまいまして……(手持ちチケットの帝劇中止公演が3回あり、そのうち2回がいくさぶトートだった。)
もっと色濃く記憶にとどめておきたかった!!!
私の脳内を検索しても、出力される結果が「俺様」&「原曲キー」しか出て来なくて、おい私!?ってなっているのです、、
それこそラストの表現とかさぁ、もうちょっとなんか覚えておいてよねぇ!!?

エリザ始まってすぐのだいぶ序盤に固めて観てしまったゆえ、私の側に全くといっていいほどに余裕がなかったんですよ。。
悔やまれるがこればっかりは仕方ない。。
次回もきっと演じてくださると思うので!またその時に俺様いくさまトートに会えるのを楽しみにしています!

トート/ 古川雄大さん

ゆんトート、2019の時とだいぶ印象が変わられて!ました!
2019はとにかく、恋心の表現のビビッドさに心を鷲掴みにされておりました。
ロミオだった人のトートだわ!ってなるというか、なんかほんとうにロマンチックなんですよね。恋心が!
2019年に大興奮して感想を書き残していました。
anagmaram.hatenablog.com

今回もその恋心は健在だった……のですが、なんかこう、どえらい偏執的な方向に進化していらっしゃって……?
「めっっっっちゃしつこ!え、しつこいな!?」ってなる感じの、シシィ、なんかちょっとやばい人に好かれちゃったかも感があるっていうか、端的に言うと「逃げて?」ってなるっていうか。笑
自分の中で思いこんでます感がすごいんよ。
「だって俺が見つけて好きだって思ったんだもん!それはもう運命でしょ!?(※人の話聞いてない)」みたいな。
なんともいえない「こーいーしちゃったんだ♪」な雰囲気があってね……(怒らないでください)でもやっぱり、私はゆんトートのそこが好きなんだよな!

今回も相変わらず「愛と死の輪舞」でしっかりと泣かされました。
あそこで謎に涙がこみ上げてくるのは2019のゆんトートで初めて経験したんですが、
あのハッとした感じ、愛を見つけてしまった!と喜びに打ち震えているような、初恋の発見といいますか……あの恋心の色鮮やかさが、たまらなく好きなんです。かつてよりしつこくはあったけど。笑
ゆんトートについて書こうとすると結局はそこが一番に来てしまうなぁ。よほど好きなんだろうなぁ。

ラストの「愛のテーマ」はね、、歌が始まった時点でもう既に、その先に待ち受けているシシィとの永遠の別れを覚悟しているようで、その表情に涙が出ます。。
現世の呪縛を解き放つように、黒いドレスを脱ぎ捨てるシシィ。彼女のほうから自分のもとに歩み寄ってきて、万感をたたえて抱きついてきたその瞬間、
本当に心底愛おしそうな表情で目を伏せて、心を込めた甘やかな抱擁を返すのです。
シシィが絶命したあとの暗転直前の瞬間は、虚空に投げ出されたような、でも全てわかっていたことだと受け入れているようでもある表情をしていて。
うううう!思い出したら悲しくなってきた……。
そして何より、名古屋・大阪はひとり全通トートというとんでもない偉業をやってのけていました。本当に凄すぎます!!お疲れ様でした!!!

トート/ 井上芳雄さん

芳雄閣下に拝謁するためには黄泉の国in博多座に飛ばねばならず、そしてその拝謁の権利がまぁ!なんとも入手困難でしたこと!?
わたくし地元が福岡ですので、芳雄さんはまごうことなき地元の大スターなんですけれども……
博多座で観る井上芳雄、良すぎ!?」ってなりました。
いやそれほんとどういう感情?笑
まじめな記事のはずなのにこらえきれず文字をデカくしてしまいました。それくらい衝撃だったんですよ。

いやーーー本当に良かった。井上芳雄トートin 博多座、地元民としては体験として最高に素晴らしかった……

芳雄さん、よくテレビ番組でもミュージカル歌唱を披露してくださいますけど、その時点で毎度「歌がうめーな!」ってなってるんだけど、でも
劇場で観るほうが100倍歌がうまいよね!?
ちょっとどうなってんの!?って気持ちになりました。
最後のダンス、ほんとさぁ、あのさぁ!??だった。「この曲ナニ?私が知ってる最後のダンスと同じ曲です???」みたいな。
いや、でもいちおう過去に観てるはずなのに……。ちゃぴさんがインスタで言ってたけど、どえらい進化なさってましたよね確実に???
そりゃあ井上芳雄だもの、歌で魅了せずにどうします?ではありますけれども、でもちょっとすごすぎて「えええーー???」ってなった。博多座の優れた音響で観たのもいい意味で良くなかった!(謎の混乱)
なんかもうね、芳雄サラウンドって感じ。「これはそういう仕組み?機構で音が出てるのかな???」みたいなアホの会話を観劇後の姉としてました。


そんでね!芳雄トートの何が好きって、ルキーニをご寵愛くださるところです!!!
ルキーニへ示す興味や感情、3人の中で圧倒的に多めで本当にびっくりしたよ!

いくさぶトートには過去にルキーニを通っているからこその「お前は俺の言うことを聞いて当然だろう」的なしもべ扱いムーブ
ゆんトートにはどこか共犯者っぽいちらりとした目配せがあるとそれぞれ思っているんですが、
芳雄トートは……ご寵愛をくださった……という衝撃で、推しがエリザでルキーニ!であるところのわたくし、もう頭の中が衝撃でぐちゃぐちゃになりました。

だって最初の「私を燃やす愛」の時点でさぁ、「ただひとつの過ちは 皇后への愛だ」を歌いながら、ルキーニの頬~顎のあたりに手の甲を滑らせて!??す、すべ!!?うぇ!!?
1月25日マチネで初めて芳雄トート×まりおルキーニの組み合わせでこの場面を観たとき、\ウギャアアアア/って心の中で歓喜の悲鳴を上げていました。
というのも、まりおくんのルキーニのアプローチがですね!?「僕の中でトートへの感情は崇拝に近い」って本人がインタビューで仰ってましてね!?
崇拝強めルキーニに、ご寵愛強めトートをかけあわせたら……そんなの、最高に決まってるじゃんッ!!?だったのよ。
「私が一番見たかった組み合わせ、これじゃん!!?」の巨大感情がまさかの公演最終盤で襲ってくるとおもわず、ちょっと泡を吹きました。。良すぎた……


他に印象的だったのは、「愛と死の輪舞」でシシィを見つけた後の感情が、目に馴染んだゆんトートとは全く違ったところ。
自分で自分を許せないような、俺は何をしているんだ?と自問自答しているような、それでも誇りを以て「返してやろうその命を」と宣言しているその様子。
心ならずもひとりの少女に惹かれてしまった自分に対する怒りと戸惑いがないまぜになったような感情を抱いている複雑さ、観ていて心臓がギュン!ってしました。す、好きだな。。
その複雑性は、ラストの「愛のテーマ」での、シシィを簡単には”抱きしめ返さない(せない)”という、まさかすぎる表現にもつながっていて。
観ててほんと「嘘ぉ!?そんな!そんな……!」になった。切なすぎ!辛!!!
ふたりの別れが一番悲しく感じたのは芳雄トートだったかもしれないな、と今振り返ってて改めて感じました。

え~~~~さみしいな、今すぐもっかい観たいな、困ったな!!?
芳雄さん、まだトートやってくれますよねぇ!?
前楽カテコの「せんせえ!!僕、さいごですかァ!?」の食い下がりが本ッ当に死ぬほど面白かったので、絶対にまだ見られると信じております!笑

エリザベート(シシィ)/ 花總まりさん

本当によくぞここまで。長きに渡り、難役をつとめてくださったことかと、とにかく畏敬の念しか湧いてきません。
お花様のシシィには、もう絶対に彼女にしかなし得ない、完成され磨き上げられた芸術としての凄みがありました。
そこに在るだけで、何の説明もなくエリザベートという人そのものなんだなと、観ている側は当然のように感じてしまう。
佇まいがもうそのまま「物語になる」というか。

その様子はもう、説得力とかいう次元を超えていて、あれは一体どうやったらたどり着ける領域なのだろう?という気持ちにさせられました。
毎公演、本当に命を削って舞台の上に立っていることが伝わってきて。
瞬間瞬間に嘘がなく、全身全霊で本気で向かっている気迫が凄まじくて、ものすごいものを見せてもらっているな、という感覚でした。
そうしてご自身の中でエリザベートという「戦い」を生き抜いている様が、まさにシシィとシンクロしていたのかなと。

配信で観ていた大楽のご挨拶、本当に長い間ありがとうございました、と言葉を詰まらせて、
「私のエリザベート、さよなら~」と、背負ってきたものを宙にふわっと解き放つような動きを儀式的になさっていて。
あぁこれで本当に最後だったんだ、花總まりエリザベートは本当に終わってしまったのだな……と、信じられないような、呆然としたような思いになりました。
私の現地見納めは1月30日マチネ、花總シシィと井上トートの組み合わせラスト回だったんですが、
カーテンコールのお二人がまさに”戦友"といった趣のハグを自然に交わされる様子に、涙が止まりませんでした。

日本におけるエリザベートの始まりを担われた唯一無二の存在。
2020年の全公演中止を経てからの今回のリベンジは「お引き受けできるギリギリのタイミングだと判断した」ともはっきりと言葉にされていて、
観ることに間に合ってよかったと心から思いました。
本当に長い間、素晴らしい時間を届けてくださり、ありがとうございました。

エリザベート(シシィ)/ 愛希れいかさん

ちゃぴさんのシシィ、大大大大大好き!です!本当に!!!
2019年に観たときよりも一回りもふた回りも大きくなられていたような印象でした。
平たく言ってしまえばそれは「自信」なのかもしれないのですが、
エリザベートというタイトルロールとして舞台の中央に立つのは私である」という力強さといいますか、
その役の重責全てを背負い、なおかつそこから高みを目指してみせるのだ、といった覚悟とか気合とか……そういうものが色濃く滲む舞台姿で、それがシシィの造形にぴったりで、本当にかっこよかったです。

友人が「ここまで気が強くて成功しているシシィは初めて見た」と言っていたのが印象的だったんですが、
その気の強さが決して鼻につく感じにはならないのも特徴なのかなと個人的には思いました。
確かにルキーニの言うように、シシィは「ものすごいエゴイスト」なのかもしれず、意志が強すぎるあまりに周囲を振り回す側面も強い人物造形だとは思うのですが、
でも観ていてこちらが嫌な気持ちになることは特になくて。
彼女に向かって心が自然と寄り添っていってしまう求心力があるように感じました。


そしてなんといっても、歌が!素晴らしすぎました。
「私だけに」を高らかに歌い上げる、あの歌唱力の充実っぷり。
何度聞いても心が震え、もう一度聞きたい!と心が渇望してしまう魅力に溢れていました。
くずおれた体勢から始まる「嫌よ 人目に晒されるなど」のフレーズで、キッと鋭く正面を見据える眼差しが怒りに燃えていて
そこから「自由に生きるの」にかけて顔じゅうに笑顔を広げていく流れ。あの力強い万能感と無敵感。
もうほんっとうにかっこよかった。
最後の高音を渾身のロングトーンで思いっきりぶちかましてくれることによって得られる、あのカタルシスたるや!
「私が踊る時」なんかも超超かっこよくて、めっっちゃくちゃ堂々としていて、
観ている間じゅう頭の中を「好き!!!」の感情が駆け巡るシシィでした。大好きです。。
力強さがあると共にどこまでも瑞々しく、舞台上での息づき方がとても色鮮やかで、冒頭に書いたとおり自然とこちらの感情が惹きつけられる引力に満ちていました。

あとはそう、ダンスが得意でいらっしゃるずば抜けた身体能力が生かされまくった各種の体の使い方が素晴らしかったです!!!
「愛と死の輪舞」でくっと糸をで引かれたように動き出すところや、「最後のダンス」で操り人形のように舞う動き、
歌のない場面で、体を使ってああまで見事な表現ができるのかと。しかも輪っかのドレス着てるのに!
あれは本当にちゃぴさんにしか実現できないものだなと思います。毎公演観るのがとても楽しみな場面でした。


出自的にも大先輩のレジェンドと相対し続けるだけで独特の筆舌に尽くしがたいプレッシャーがあるだろう中で、
自分だけのエリザベートを確固たるものとして魅力的に確立させたちゃぴさん、本当に本当に素敵でした。
絶対にまた会いたい!ので、次回のエリザもちゃぴシシィで観られることを祈っています!





……ぶじに記事②は1万字超えたな!笑
このあと記事③があるとしたらそれはもうおまけというか、
「ひとりのオタクが、いかにしてエリザベートというお化け演目と2年半向き合い続けたかドキュメント」になると思います。
そこまで書けたらようやく私のエリザの旅も終われるのかな。。みたいな気持ちがあるので自分の中のけじめ的に書くかもしれません。とりあえず感想はおしまい!

2022-23パンフレットと、帝劇公演期間に日比谷シャンテでゲットした”星のドレス”のコースター

ミュージカル「エリザベート」2022年公演の感想① / 黒羽麻璃央くんのルキーニについて

エリザの話がどうしても書けないままで、気づけばこんなタイミングまで引きずってしまいました!
あのう、もう23年の3月なんですよ。初日はいつだったとお思いで!?
2022年10月9日ですね。5ヶ月前て。。

書けなかった背景だとか演目への思い入れとかそういう周辺の話をしだすと、いつまで経っても本筋まで絶対にたどり着けない!のでそこはばっさりカットしました。
なるべく冷静(?)に、演目を観た上での純然たる感想として、最初にまりおくんのルキーニについてだけ書きます。
(以下なんとなく、文末がですますからである・だに変わります。そういう気分)

2022年10月9日、初日開演前の帝劇前にて




エリザベート」の解釈が変わった年

私にとって、2022年-2023年のエリザベートは「これまで抱いてきたエリザという作品そのものの印象が大きく変わった」エポックメイキングな公演になった。
これまではひたすらシシィの一代記として、あくまでもタイトルロールである彼女の存在そのものに注目して見てきた自覚があるのだけれど、
逆に言うと「シシィの存在に惹きつけられるあまりに、その他の要素や解釈に意識が及びにくい」という側面も自分のなかにあったように思う。

エリザの一幕は、構成としてわかりやすいし、ドラマの起伏が明確で非常に観やすい。
命を落とすはずだった少女時代のシシィが黄泉の世界でトートに見初められ「返してやろうその命を」と、再び現世に送り出される。
その後思いがけない”番狂わせ”により、オーストリー皇帝フランツ・ヨーゼフの妻、つまりは皇后となった彼女は、
古いしきたりや規律に支配された宮廷の中で必死にもがきながら、持ち前の意志の強さで自我を確立してゆく。

一幕のラスト、鏡の間であの有名な肖像画の”星のドレス”を身にまとい、神々しいと表現したくなるほどの美しさで「私が命委ねるそれは 私だけに」と高らかに歌い上げる、あの途方もないカタルシス
そしてシシィは勢いよく扇をかざして自分の顔を覆い隠し、途端に暗転。
何度見てもあの演出には「参りました!」とひれ伏したい気持ちになってしまう。

一方の二幕では、打って変わってシシィが徐々に夢破れていく様子が描かれる。
彼女が溌剌としていたのは冒頭の「私が踊る時」まで。
それ以降は自身の立場の虚しさや、夫の女性関係の裏切りに直面し、失望し、結果的に宮殿に寄り付かなくなっていき、
そのまま”老い”という動かしがたい運命からも逃れようかとするように、ヨーロッパ中を彷徨う。
息子ルドルフを失った後はより深い絶望の中に在り続け、皇帝との間に夫婦の愛を再び分かち合うようなこともなく、ルイジ・ルキーニの凶刃に倒れるまで彼女の放浪は続く。


正直、2019年までの観劇では、私のテンションのピークは明らかに一幕にあった。
シシィの描かれ方と呼応しているので当然なのかもしれないが、二幕は言ってしまえば暗いムードに覆われていて、心が浮き立つような描写がほぼ存在しない。
現世の全てのくびきからシシィが解放され、愛のテーマをトートと共に歌い上げるラストには、一幕とはまた違うカタルシスが当然あるのだけれど、
一方でどうしてもそのラストに向かうまでの感情が見ていてもうまく作れなくて、「あれ、なんか急に終わった……?」というやや置いてけぼりをくらったような印象が、実はずっと拭えずにいた。


でもその印象は、推しであるところの黒羽麻璃央くん演じるルイジ・ルキーニに注目して観ていた2022-2023のエリザで、本当に大きく変わった。
それくらい、ルキーニという役はとてつもなく大きく、物語の受け取り方を観客に提示する重要な役割を担っているのだと、今回改めて気付かされた。

狂言回しという役割の意味と大きさ。役者としての「華やかさ」は、それを演じる上で武器になる

初めて意識的にルキーニを主軸として見たエリザベートは、これまでとは違う、未知の新しい色合いに満ち溢れていた。
最初は「エリザが上演されている」現実に追いつくので精一杯で正直それどころではなかったのだけど、
数回観たあたりで、過去感じていた二幕のわかりにくさとか唐突さがまったく感じられないことに気づき、本当に驚いてしまった。
二幕のラストまでの全体像を一本の軸が通ったものとして、びっくりするほどにすんなりと受け入れることができたのだ。
それは2019年までの観劇では全く得られなかった感覚で、あれ、私はなにをわかりにくいと思っていたんだっけ?となるくらい、その印象の変化は鮮烈だった。
正直なところ、「つまりこれまでの私は、ルキーニの話をちゃんと聞いてなかったのでは……?」と若干反省したほど。笑

ただ、観ている私の意識のポイントが変わるだけでは、ここまで明確に作品全体の印象が変わることもあるまいと思う。
それはあくまでも、役者としてのまりおくんの力の為せるものだったのではないかなと。


初日、SCENE1で第一の尋問~我ら息絶えし者どもが始まった時、そのルキーニとしての立ち姿に本当に目が釘付けになった。
まりおくんには、生まれ持った役者としての圧倒的な華がある。と常々思っているのだけど、
帝国劇場の舞台ど真ん中、エリザベートの世界の中心で、その華は初日から遺憾なく発揮されていた。
その世界においてひとりだけ存在が異質なものであるとはっきりわかるギラついた異物感が漂っていて、その浮き上がり方に否応なしに目を惹きつけられる。
その場に馴染んで溶け込み同質化するのではなく、あくまでも周囲とは違う役割を担う存在として、エネルギーや圧を発散している。
上演時間中、そのパワーの放出はずっと途切れることなく続いていて、ルキーニに注目していると自然と物語の中心に連れて行ってもらえるような、そんな感覚になれるのだ。
「さぁ、とくとご覧あれ!」といったパッと瞬間的に観客の耳目を集めるセリフにとにかく説得力があるし、何より声がよく通るので、語り手としての語りかけがとても聞き取りやすい*1
エリザベートというひとりの女性の物語を語り聞かせる役割を担う上で、まりおくんのこの持ち前の華やかな存在感は、とにかくプラスに働いているように感じた。

押しも押されぬ「帝劇プリンシパル」としての堂々たる歌唱力

更に、公演が始まってから急角度でぐんぐんと進化した歌唱力の存在もとてつもなく大きい。
ルキーニは、どう考えても歌えないとお話にならないレベルに歌にもしっかりと比重の乗った大役である。
そもそもの曲数が多く、民衆に交じる「ミルク」を除けば、役割上誰とも声を合わせて歌わない、つまりはソロばかり。
その中に難曲ばかりが揃っていて、改めてなんて恐ろしい役なのかと震えた。
でもそんな難曲をきちんと自分のものとして、安定して聞かせきるだけの十分な力が、今のまりおくんにはあったのだ。

過去、主にボリュームの面に課題感があったように思う低音域も、難なくビブラートつきで豊かに響かせたかと思えば、
もともと得意だった高音域での「エリザベート」の繰り返しなどは、ここまでうまくなりますか!?と唸ってしまうほど見事だった。
冒頭の「エリザベート大合唱」のラストではそれこそトートと呼応しあうように歌わなければならず、プレッシャーもかかるだろう中、自分らしさも乗せた本当に堂々とした歌声で魅了するようになっていった。
得意音域すぎるのもあって、あそこは本当になんべんでも聞いていたかった。だって、歌がうますぎる!
ほんの少し鼻にかかった甘さのあるもともとの声が、ルキーニとして違和感ないところにうまく着地していたのもシンプルにすごい。
更には芝居の中で”セリフを言うように歌う”ことも実現できていて……ちょっとあまりにも言うこと無しすぎる歌唱なのでは!?と、ファンは最早あっけに取られて観ていた。
ファルセットも自在に操れるようになっていて本当にびっくりさせられたし。。
「そこでは」とか「さあ」とか、細くたなびくようなファルセットでしっかりと音を安定して置きに行けるの、本当にすごい!


特に、公演最終盤の博多座での充実は素晴らしかったなと思う。
井上芳雄さんとの共演がようやく叶ったことも刺激として大きかったのではないか?と個人的には思っているんだけれど、博多座での歌唱には、技術面でそれまでになかった新たな伸びを随所に感じた。
申し分なく安定した音程やボリュームの上に、表現としてこう歌いたいという要素ががっちりと噛み合っているような感覚になる、本当に惚れ惚れするような歌声だった。
現地観劇ラストになった1月30日マチネに聞いた「ミルク」。民衆を扇動しながら自らも怒りに燃えるような鬼気迫る大迫力で、特に忘れられない。

ルキーニは曲のすべてをまともに歌えて始めて評価の遡上に乗るような役だと思うので、
それをここまで堂々とやってのけたこと、ひとりのファンとして勝手ながらとても誇らしかった。
今回初めてまりおくんの舞台姿を観た人が周囲に何人かいたのだけど、
その全員がまずは「歌がうまいね!」って褒めてくれていて、そうかぁ、真っ先に歌唱力に言及されるほど、歌がうまくなったんだなぁ……と、感慨深くならずにはいられなかった。
歌、本当に上手くなられましたね……!

暗殺の動機がどこまでいっても”Un Grande Amore”なルキーニ

まりおくんのルキーニは、エリザベート皇后暗殺の動機が明確に”Un Grande Amore”のせいなのだな、と納得させられてしまうところも特色のひとつだと思う。

地獄の裁判官への申開きとして、なにか口実やでまかせとしてでっち上げて言っているのではなく、
死を司るトートという存在に自分は導かれただけで、暗殺はシシィ自身が望んだものとして起きたのだと、本心からそう信じて主張していそうな雰囲気があるのだ。

ルキーニ自身が生きていた時の本心や感情が、透けて見えるような見えないような、その在り様にじっと目を凝らすけれど本質はどこにあるかわからないような、
なんともいえない多面的で揺らぎのあるその存在は、トートと同じ世界の住人としての暗殺の正当性を思わずこちらに信じさせてしまう力があった。
その点では「狂気」が特色と表現されても良いのかもしれないが、その単語ひとつで評してしまうには、あまりにもったいない複雑さがあるように思う。

今彼の瞳に宿ったのは何色だろう?と、毎度覗き込みたくなるような感覚だった。
シシィを始めとするハプスブルク家の面々に対する嘲りや怒り、「市民よ怒れ!」と民衆をけしかけながら同時にこっそりと浮かべる飄々とした笑い、
トートに対して見せる恭順の姿勢、幼いルドルフへの眼差しにだけうっすらとよぎる、同情や共感一歩手前の僅かな感情の揺れ。
そしてその合間合間にふと現れる、なにも映さない「無」の瞳。

これを語る上で外せないのが、なんといっても「HASS」の凄みではないだろうか。
狂気以外の語彙で表したいと言いつつもうまく言葉が見つけられないんだれけど、シェネラーから軍服への早変わりの時点で、その一挙手一投足がもうたまらない……。
ニヤッと笑みを広げて腰から軍帽をピッと取り出して被るその芝居がかった手つき、
「皇太子は赤新聞に投書している!我々の指導者ではないッ!」の早口で甲高い神経質そうな声、
闇広のイントロの中でハーケンクロイツの旗の後ろに消えていく瞬間にルドルフに向ける、あの表情のバリエーション。
ニヤッと目をかっぴらいた不気味な笑みを浮かべる時もあれば、全くの無のまますっと姿を消す時もあり、どんなに遠い席でも毎度オペラグラスに必死にかじりついて見つめていた。あまりにも好きすぎて。


狂言回しとして明確に観客を引っ張り続ける力がありながら、同時に何を考えているかわからない掴みどころの無さを同居させているところ、
本当に、これはまりおくんならではだなぁ……と毎公演、しみじみと心ゆくまで幸せを噛み締めるように観ていた。
彼のこのお芝居の繊細さ、複雑な織り上げ方が、本当に大好きなので。


その複雑性は、ラストの「悪夢」でぎゅっと凝縮されていく。
フランツが悪夢の中でトートと対話しているあいだ、下手側の階段に腰掛けて俯いている時のまりおルキーニ。
その存在がとつぜん周囲の世界から切り離される様子は、まりおくんの持ち味の真骨頂だなぁ……と嘆息しながら見ていた。
あんなに明確に狂言回しとしての役割を担っていたのに、急にひとりだけぽつんと別な位相に飛んでいってしまう。

そうして自分ひとりの世界にいるルキーニは、目をカッと見開いて首をぐりんと回し、どこにも焦点の合っていない眼差しで、なにかをぶつぶつと呟きながら暗がりの中で徐々に顔を俯けていく。
そこに降ってくるトートの「ルキーニ!早く取りに来い!」の呼び声。
はっと顔を上げたまりおルキーニは、一瞬なにが起きたのかわからないようなぼんやりした表情を浮かべるのだが、その目がナイフを認めた瞬間、顔じゅうにギラリと鋭い光が宿る。
まるでなにか救済を受けにいくかのような感極まった表情でトートを振り仰いだかと思うと、ふらふらとそちらへ歩み寄っていく。
必死に取り縋るフランツの存在など全く目にも入らない様子で、彼の意識はきらめく凶器に向かって一直線に収斂し、そして”皇后暗殺”という幕引きとして結実していくのだ。


あのトートの声により、ずっと世界の額縁の”外”にいたルキーニがぐいっと世界の内側に引きずり込まれて、
その精神が一気にシシィを暗殺した時間軸に巻き戻っていく様子、何度観てもゾクゾクさせられてたいへんに見事だったし、とにかく大好きだった。
最初から最後まで、あぁ、このルキーニにとってはその行動原理が”Un Grande Amore”だったのだなぁと思わせられるアプローチ、それがまりおルキーニの特徴だったように思う。*2


公演期間中色々とあっため続けていた感想を一気に放出したんだけれど、演劇キックの劇評で近いことが書いてあったりして「やっぱりそうだよねー!」と思えてなんだか嬉しかった。
とても読み応えと愛がある劇評だったので貼っておく。

帝国劇場から博多座までの旅路で進化を続ける『エリザベート』上演中! | えんぶの情報サイト 演劇キック

以下引用したここなんかが特に好きで「同意!」しかなかった。

これまでのルキーニ像より、制御できない自身の感情をトートに操られていく一面も見えたのが、黒羽の演じるルキーニとして印象深い。証言が認められて、無罪放免になってもいいのでは?と思わせもするルキーニで、小池の潤色によく叶っている。


ひとまずはこんなところかな。。
もともと大好きな作品が観られる時点ですでに満足しかなかったけれど、
推しがルキーニを演じるという全く新しい観劇体験ができたことにより、自分の中でのエリザベートという作品そのものの解釈が刷新されて、本当に心の底から贅沢な数カ月間でした。


思い入れとかあれやこれやは取っ払って、とにかく”感想”だけを頑張って書いてみたんですけど、どうでしょうかね。。?
いうまでもなく、ここに書かれている諸々はもちろんファンの欲目という可能性が十二分にございますので、そこんところはひとつお手柔らかによろしくお願いいたします。


そんなわけで、かつての秋にうわ言のように繰り返し続けた「推しがエリザでルキーニ」が、ようやく叶った次第です。にしても、お前本当に書くのが遅いよ。あっためすぎだよ。なにを孵化させる気だよ。。

ここに至るまでに本当に、それはもう本当に、いろんなことがありすぎましたよね。

この記事は調子にのって①ってナンバリングしたんですが、エリザ全体についてと、「なんかもうどうにもなんねぇよな!!!」だった2年半分の巨大感情について、別記事も書けたらいいな~と思っています……この先の体力次第!

追記:ぶじ②がかけた
anagmaram.hatenablog.com

*1:この点に関しては、推しの声ゆえにあまりに耳に馴染みすぎていて私が聞き取りやすいだけなのでは…!?とまで考えたけど、普段あまり舞台を観ない友人からも同様の感想をもらったため安堵した。

*2:前楽の配信で初めて上山竜治さんのルキーニを観た時、同じ役でもここまで違うものなのか!と本当に新鮮だった。上山ルキーニは、明確に意志を持ってシシィを暗殺しに行っていて、その動機や辿ってきた感情の道筋が二人のルキーニで全く違うことがよくわかり、Wキャストって本当に面白いな!と改めて思った。

2022年の観劇とイベントまとめ

あけましておめでとうございますになっちゃった。
年末バタバタしすぎててもうやんなくていっかな?!まで思ってたんですけど、これやっとかないと後で自分が困るんですよねー!ので、まとめました。
このブログでまとめ始めてからは6年目、観劇オタクとしては10年目、だいぶ大雑把になってきておりマチネソワレの記載もなくなり、もう面倒なので配信のみのものはフルカットしました。……なんかどんどん雑になんね!笑

1月

1/3 花組 元禄バロックロック/ The Fascination!
1/30 花組 元禄バロックロック/ The Fascination!

2月

2/5 花組 元禄バロックロック/ The Fascination!

3月

3/5 月組 今夜、ロマンス劇場で / FULL SWING!
3/6 刀ミュ 江水散花雪
3/12 刀ミュ 江水散花雪(マチソワ)
3/13 刀ミュ 江水散花雪(マチソワ)
3/21 太田基裕カレンダーお渡し会
3/26 花組 TOP HAT(マチソワ)

4月

4/2 古川雄大The Greatest Concert(ゲスト・黒羽麻璃央
4/7 宙組 Never Say Goodbye
4/9 黒羽麻璃央のやりたいこと全部やりますDVDお渡し会 2-3部
4/13 花組 冬霞の巴里
4/29 The Parlor

5月

5/3 アマネギムナジウム オンステージ
5/15 真剣乱舞祭2022 愛知(マチソワ)
5/17 ミュージカルるろうに剣心京都編
5/21 ミュージカルるろうに剣心京都編
5/22 ミュージカルるろうに剣心京都編
5/25 真剣乱舞祭2022 宮城
5/28 ミュージカルるろうに剣心京都編

6月

6/5 花組 巡礼の年 / Fashionable Empire
6/7 ミュージカルるろうに剣心京都編
6/11 ミュージカルるろうに剣心京都編
6/18 ミュージカルるろうに剣心京都編
6/19 ミュージカルるろうに剣心京都編
6/23 真剣乱舞祭2022 幕張
6/24 ミュージカルるろうに剣心京都編
6/24 真剣乱舞祭2022 代々木
6/25 真剣乱舞祭2022 代々木(マチソワ)
6/26 真剣乱舞祭2022 代々木(マチソワ)

7月

7/2 花組 巡礼の年 / Fashionable Empire(マチソワ)
7/10 星組 めぐり会いは再び / Gran Cantante!!
7/16 黒羽麻璃央バースデーイベント1-3部
7/17 黒羽麻璃央バースデーイベント1部
7/17 舞台「呪術廻戦」
7/23 舞台「呪術廻戦」
7/24 舞台「呪術廻戦」
7/30 及川光博ワンマンショー GROOVE CIRCUS
7/31 及川光博ワンマンショー GROOVE CIRCUS

8月

8/9 刀ミュ 伊達双騎出陣
8/13 石川凌雅27thバースデーイベント1-2部
8/14 巡礼の年 / Fashionable Empire
8/22 ACTORS☆LEAGUE in Baseball

9月

9/10 パタリロ!〜ファントム〜
9/10 ミュージカル「ダブル・トラブル」
9/11 月組 グレート・ギャツビー
9/14 刀ミュ にっかり青江単騎出陣
9/17 舞台「炎炎ノ消防隊」-地下からの奪還-(マチソワ)
9/18 舞台「炎炎ノ消防隊」-地下からの奪還-(マチソワ)
9/19 舞台「炎炎ノ消防隊」-地下からの奪還-
9/23 舞台「炎炎ノ消防隊」-地下からの奪還-(マチソワ)
9/24 舞台「炎炎ノ消防隊」-地下からの奪還-
9/25 舞台「炎炎ノ消防隊」-地下からの奪還-

10月

10/2 舞台「炎炎ノ消防隊」-地下からの奪還-(マチソワ)
10/9 ミュージカル「エリザベート
10/10 ミュージカル「エリザベート
10/11 ACTORS☆LEAGUE in Basketball
10/15 ミュージカル「エリザベート
10/22 黒羽麻璃央3rd写真集お渡し会
10/22 花組 フィレンツェに燃える / Fashionable Empire
10/23 花組 フィレンツェに燃える / Fashionable Empire(マチソワ)
10/30 ミュージカル「エリザベート

11月

11/3 ミュージカル「エリザベート
11/10 ミュージカル「エリザベート
11/13 ミュージカル「エリザベート
11/19 ミュージカル「エリザベート
11/20 菊池修司バースデーイベント(ゲスト・石川凌雅)

12月

12/10 ミュージカル「エリザベート」愛知
12/11 ミュージカル「エリザベート」愛知
12/15 ちびまる子ちゃん THE STAGE はいすくーるでいず
12/16 ちびまる子ちゃん THE STAGE はいすくーるでいず
12/17 ちびまる子ちゃん THE STAGE はいすくーるでいず(マチソワ)
12/18 ちびまる子ちゃん THE STAGE はいすくーるでいず(マチソワ)
12/22 ちびまる子ちゃん THE STAGE はいすくーるでいず(マチソワ)
12/24 ちびまる子ちゃん THE STAGE はいすくーるでいず(マチソワ)
12/25 ちびまる子ちゃん THE STAGE はいすくーるでいず(マチソワ)
12/28 リーディングステージ「クリスマス・イブのおはなし」
12/31 及川光博年忘れスペシャルライヴ2022「ゆくミッチーくるミッチー」



まとめまして、正直引きましたー!笑
「チケットの枚数」という意味では、なんときりよく100でした。ひゃ、ひゃく!?初の3ケタ、当然過去最多です。
最初は94くらいだったんだけど忘れてるやつめっちゃ出てきて……あのさぁ!そりゃ、疲れんのよ!!!笑
疲れた疲れた言ってた1年だけど、これで疲れないほうが不自然だからね!?
特に5-7月のきちがいっぷり本当にどうかしてると思う……我ながら怖い、何をどうしたらそんなスケジュールになんの?
そもそも異種格闘技が過ぎる。宝塚、グランミュ、2.5全部見る人は沢山いるとは思うけど、この演目のごちゃつきかた×「回数」の人って、多分なかなかいないと思うんだよな。。お前はめちゃくちゃさんか???
「へーそっかー!これくらい稼働すると100になるんだー!」って学びがあった。データは嘘をつかないよ!
というか、まとめてみて初めて「なるほど、そりゃあ疲れて当然だわ」って思ったので、やっぱり可視化って大事ですよね。仕事脳やめな。

2022年の教訓を生かして、2023年は「無理をしない」を心にかかげます。本当に色んな意味で!
とにかくもう、純粋に「楽しい」ことだけやる!後のことはもう俺はしらん!!!

2022年は「好き」にまつわる周辺事情、あらゆる方面で変化が目まぐるしかったりゴタついたり純粋に困難なことが多かったり……心があっちこっちに意図しない形で動きまくり、結果ひとりで謎に疲弊するのことの多かった1年でした。
思ってもみないことばかりが、これでもかというくらいに起きた年。

特に公演中止方面に関しては、正直しんどいことが多すぎました。コロナ禍3年目にして、明らかにいちばんきつかった。

2022年に中止になったチケットはちょうど10枚ありました。花組7枚にエリザ3枚。
内訳が激重で、この件に関してはどうしようもなくて蓋をしています……*1
夏に永遠に損なわれたものを、結局修復できてないまま時間だけが過ぎていった気がしてる。
ちょっと運悪くいろんなことが重なってしまい、私にはどうしても、取り戻せなかったものもあります。その話は、詳しくはしないけれど。

正直なところ、年が変わって「2022、ようやく終わったかーー!!!」という感覚があるほどで……よく生き抜いた!偉い!セルフ褒め!!!

だけど、その中で出会った楽しいかけがえのない時間たちはやっぱりどこまでも奇跡のようにきらめいていて、
まだこういう気持ちになれる部分が残っていたんだなって驚くような嬉しい出来事も沢山あって。
自分の中に生まれるポジティブでハッピーな感情だけを、とことん見つめてやっていこうな!って決意を年末に新たにしたりもしました。*2
だって、ただただ、楽しくいたいんだよ。本当に、それだけなの。そのための趣味なんだもの。

あとは本当に、友人各位に感謝!
沢山救われ、支えられた年でした。珍しいほどに頻繁に激病みを発動して自分にうんざりしたけれど、折に触れ話を聞いてくれたり、逆に何も触れずただ楽しい時間を共有してくれてありがとうございました。こんな私と友達でいてくれるみんな、大好きだよ……(重)


必要な距離を置くことも覚える、本質的に意に沿わないことからは潔く手を引く、結局はそれが自分のため。自分に過剰に期待したり、向けられる期待に応えようとするのはもうやめます。
具体的には書きにくいあれこれがあまりに多過ぎて、妙に不穏になってしまうんだよな!笑

落ち込んだりもするけれど、わたしは元気です!よ!
そして後悔も、どこにもないです。


2023年も見たいものを好きに見て、会いたい人にたくさん会いに行く1年にしようと思います。
とはいえ、現場数はさすがにあと30、せめて20くらいは減らしたい。
嘘に聞こえますが、そろそろ度の過ぎた多ステを見直したいと思ってるんですよね。……うん、我ながらしっかり嘘に聞こえるな!笑
一応はそのつもりで、ほどほどにやっていきます!

*1:エリザの感想が書けずじまいなのはもう、そういう病なのでそっとしといてやってください。書ける気がしない。博多座まで終わった後に書くかもしれないし、やっぱり何も書けないかもしれない。どうしたらいいかわかんないんですよ。。

*2:まるステは最高!

まるステ大好き!ありったけの感謝を込めて、キャスト全員への愛を叫ぶ

もう数日経つというのに、「まるステ、終わっちゃったんだな~……」という気持ちが止まらなくて。。
本当に本当に楽しかった最高舞台、まるステ。大好きすぎるのでまだしつこく文章を書こうと思います。
それ以外にもう、この気持ちの行き場が見つからないんだ……!


というわけで、まるステもう本気で大好きだからキャスト全員に一言書くやつやります!こんなの久しぶり!!!
だってもう、まるステの役者陣、全員シンプルに「芝居がうまい」
映像で楽のアーカイブ配信を見ていて改めて思ったんですけど、あの場にいる全員、お芝居うますぎ問題。

声や喋り方をアニメに寄せて表現する努力がすごいのはもちろんなんですが、本質はそこじゃなくて、
根本的なお芝居がものすごくしっかりしている、実力派揃いにも程がある!っていう天才キャスティングだったなぁと思います。
ただただ純粋に、その場で感じたことを掛け合いやちょっとしたコミュニケーションに乗せていく様子が、どのシーンを見ていても楽しくて。。
教室でのマイクの入らないやり取りはみんな本当に毎公演違うことをしていたし、そこからキャラクター同士の関係性が見えてくるところとかもあって、まじで舞台上のどこを見ていても楽しすぎました。。愛しかないんだよ~~~この舞台!!!


以下、パンフレット掲載順に、2年B組/中落ちマグロ水産高校/大人チームお三方に、一言ずつ書きます!!!
全員書いたら余裕で1万字超えました!超長いから覚悟して読んでね!笑




佐奈宏紀さん/花輪和彦

大天才ーー!!!座長にほんと拍手喝采!スタオベ!!!
さなちゃんの花輪クン、本当に最高しかなかった!!!
まじで大好き。見ていて目がハートになった。クレバーでスマートガイでハンサムでRich☆すぎました。てんさい。
しらす高校の制服ってブレザーでしたっけ?になる優雅すぎる着こなしで、学ランをビシッと整えたり、
髪の毛をふわりと撫でたり……仕草のひとつひとつがものっすごく絵になりまくってました。くどいくらいのウィンクとか投げキッスが全部しっくりくるの本当にすごい。あんなん恋する。しました。まじ恋泥棒!

教室での金井先生大暴れのシーンでは座席位置的に主な被害者になってましたがw、
あそこだけ花輪クンの中からさなちゃんが思いっきり見え隠れしてるのも大好きでした。めちゃくちゃ唾飛んでくる回が何回かあって「うっわ!w」叫んでたりするのほんと気の毒でありつつ爆笑だった……楽がまさにそれだったよね!?笑

セリフ量はおそらく一番多かった?と思われます。
それが常に聞き取りやすくて噛むこともないし、それでいてずっとあの「花輪クン」スタイルの喋り方を貫いていて。さなちゃん、ほんと天晴れだったよ!!!
たしかにキザでかっこつけではあるけれど、それにちゃんと根拠があるというか、育ちの良さからくる人柄の真っ直ぐさがものすごく魅力的に滲み出ている花輪クンでした。あんなん絶対さなちゃんにしかできん!!!
かと思えば、歌謡ショーの「ン゛ロ゛ォォラ゛アァァ゛ッ」のくせ強すぎる歌唱で笑わせてもくれて(歌うめーのよ笑)、かっこいいのにお茶目でキュートで……まるステの花輪和彦に死角なし!って感じでした。ほんとスタオベです。ありがとうさなちゃん!!!
そして25日の公演では、山根くんアクスタ芸でたくさんたくさん愛を込めてくれて、本当にありがとうございました。。感謝しかない!涙

佐川大樹さん/丸尾末男

これまたキューーーート!!!な丸尾くんだったなぁぁ!!!
教室の一番まえの席にちょこんと腰掛けているシルエットがまず可愛らしかったんですが、
みんなが杉山くんを口々に褒めそやしているときの「くぅぅ……ズバリ、ジェラシーでしょう!」て感じの表情だったり、
大野くんがバリバリのヤンキーになって現れたときの、エリートたるものここで引くわけには!みたいな自信に溢れた忠告だったり、
いろんな表情のバリエーションがあって、ただ真面目なだけではない丸尾くんの色んな面が見られて本当に可愛かったです。
ハングリーのために部室を勝ち取ってくれた影の功労者としてみんなに胴上げされる「ズバリ、嬉しいでしょう!」のところ、ああいう形で丸尾くんにスポットライトがあたる脚本、心憎いな~!と。本当にみんなに見せ場を作ってくれていたよね。

個人的には独特過ぎるダンスが本当にツボりましたw
友達のツイートを見て私も見るようになったのだけど、なんというかあくまでも「丸尾末男」としてのダンスというか、永遠にぎこちない動きしてて……!
楽の配信映像の「ハイティーン・ブギ」では、「一瞬マジにお前を抱いた(Ah…)」のあのセクシーなキメ、まさかの丸尾くんがピンで抜かれるという奇跡が起きており!笑
あのメンツの中でたぶん一番マジにお前を抱かなそうなキャラよ!!?ってなったんだけど、映像として面白すぎて爆笑しちゃった……すんげぇ目をキラキラさせてて、何とも言えないどきまぎした表情浮かべてて、ほんっっとうに!表現が!細かい!!可愛い!!!
改めてここでも「まるステのキャストまじでみんな天才!」って叫びそうになりました。
25日楽の「Get ready」で、山根くんがいるはずの場所に向けてくれていた笑顔が本当に優しくてあたたかだったこと、絶対わすれません。。心に沁みるようでした。ありがとう。。

松島勇之介さん/浜崎のりたか(はまじ)

はまじーーーー!!!!!!
まつしまくん、あまりにも「はまじ」だった。元気いっぱいで嫌味がなくて、ちょっとおバカでお調子者で……
めちゃくちゃハマってるキャスティングだよね!?って思いました、ファンの人からしても見ていて嬉しすぎるやつだったのでは?と勝手に思うほど。
ハングリーに対して熱い想いをたぎらせるあまりちょっぴりメンバーを置いてきぼりにする勢いの強さだったり、
なんかこう……「はまじだな!?」って思わせる説得力。あれ、まつしまくんってはまじだった???ってなった(混乱)。
もうね、存在がはまじ。まつしまくん本人も、もんのすごく楽しそうでしたよね!
永沢君のハガキに対しては毎回「つまんねぇ!ボツ!」って頑張って言ってたけど、さとちゃんの暴れがやばすぎて、実際のところ後半はほぼ毎回机に突っ伏して笑ってたよねw
あと「俺は宿題はできないけど、道は見えてます!」の笑顔があまりにも堂々として曇りがないので、毎度心の中で「いや宿題はやれよ!w」って思わず突っ込んでました。笑

まつしまくん自身はボケより断然ツッコミの人材なわけですが、ハングリーの決意表明のシーンは、矢田ちゃんと優作くんの強烈タッグによる笑いの波状攻撃に全く太刀打ちできてなく、吹き出してセリフが言えないこと多数だったのも大好きでしたw 翻弄される後輩で可愛かったわ……
日替わりとか割となんでも乗り切れる(主に勢いで)のイメージが強かったので、あんなんなるのは珍しいなと思った!あそこまでやられっぱなしになるのは、ほんと先輩たちがひどいよね!笑
25日楽の「Get ready」でいちばん最後「Get ready, Get ready, yeah~~~!!!」のタイミングで学ラン内ポケットから山根くんアクスタ取り出してくれてありがとう。。泣きました。。はまじ、本当にいいやつ。。

あと公演中にやり続けてた武田鉄矢さん*1のモノマネ、あれってつい先日のご自身のバースデーイベントで掴んだ芸でしたよね?w
たしか当日「思ったよりうまくできた!」的な、今後使っていこ~!的なことを言ってたきがして。実際クオリティ高かったよ!!笑
いきなりけん玉はじめて一回も成功できなかった(※かたや一発で成功する花輪クン)も面白すぎたしな。。
はまじとしての賑やかさ、舞台上に最高の華を添えてくれてました!!!

矢田悠祐さん/藤木茂

矢田ちゃんがこんなにおもしろいなんて私、知らなかったよ……!!!
普段私がみている作品で不思議な程になかなかご縁がなくて、下手するとテニミュぶりの可能性がありましてね!!?(マジで?って思ったけどたぶんそうなのよ)
もうさ~~~~~、、藤木君、本当に面白い!!!

なんといってもハングリーの決意のシーンですよ。あのベテランによる好き放題の暴れ!!もう「いいぞもっとやれ」と思いながら見てた。笑
初日時点では「キーボードで返事をする」だけだったけど、2公演目から、小杉くんの決意の裏で突如オリジナルメロディを奏で出して無事にはまじを爆笑させたんですが、
そこからは日替わりでありとあらゆる暴れをしていらっしゃいました。笑

一番の事件はメトロノーム爆弾」だと思うんだけど……あれ、ぜったいわざとだよね!!?


シーンが始まってすぐくらいから「カチカチカチカチ……」ってメトロノーム音が鳴り響いてて、
花輪クンが「待って、時限爆弾が仕掛けられてないかい?」って言い出した時点で爆笑だったんだけど、
藤木君「僕のピアノから聞こえる~~!!!」って叫ぶもんだから……「そりゃそうだろ!!!」ってホントお腹痛くなったし、笑いすぎて涙出ました。。

返事をスーパーマリオのスター獲得→1upの効果音から無敵スター状態のBGMに変えた回が私が見た中で2回あったんだけど、もう伝説すぎる。(そのうちの初回は小杉くんのセリフに重ねたのが謎に「Summer(菊次郎の夏)」だったので、ねぇ本当に勘弁して?になりました。客席を笑い殺す気??)


さらに24日マチネは戦場のメリークリスマス仕掛けてきたからね。やりよったよね…。笑
返事の時点でイントロ数音を奏でてたので「これ絶対戦場のメリークリスマスじゃん!?」って思ってたら、満を持して小杉くんのセリフにかぶせてあの有名すぎるメロディを弾き出したの、本当に反則でした。。クリスマスだけに。。

キーボードでの暴ればっかり書いちゃったけど、普段の矢田ちゃんの声からは想像できないほどの「藤木君」の声を出してて、まじですげぇな!?でした。
ちょっとおどおどした感じの喋り方というか、ちょっと猫背な体の揺らし方の表現がまぁ見事で!
「……なんで移動したのぉぉ~~!?」とかほんと面白かったな……
そんでもって歌うと爆・イケボに豹変するの、中の人を知らないで見た人からすると相当に混乱するやつだったと思いますw
永沢君とのコンビ感も完璧すぎました!さいこう!!!

佐藤永典さん/永沢君男

「よっ!芸達者!!!」ってリスペクト100%の声かけしたくなるような天才がここにも。。さとちゃん~!!!
さとちゃんは今回原嶋くんと並んで、小林顕作演目3作目(帝一/パタリロ!/まるステ)だったのですが、彼は本当にすごいよ。。
声の出し方や目線の動かし方だけで、どことなく嫌味な雰囲気がにじむ、なんともいえない「永沢君」感が素晴らしかった!!!
ハガキ職人に憧れるパートでは、あの大堀さんを笑わせるほどの狂気じみた動きを次々繰り出してて、
日を追うごとに教室の後ろで見守ってるキャストが耐えられなくなって笑ってるの含めて最高すぎました。笑
先生に対して「ください、ください~」って腕でカモン!の動きしながら言うところ、千穐楽では何をどうしたんか「ください」が手の動きも相まって「寝なさい~」の概念の赤子をあやす動きになってるの、わけわからんしヤバすぎてマジで笑いすぎて涙でた。怖ッ!!!笑

さとちゃんの永沢君は、どのシーンでも徹頭徹尾、永沢君だったのがすごいな~って思います。
声の出し方も立ち居振る舞いも、永沢君がそこにいる感が強くて。安定感が抜群だったな。
それでいてすごい優しくもあるんですよ!教室に駆け込んで息を切らしている山根くんの背中さすってくれたり。。
ラストの「おしゃれなカフェでしょ!」のユニゾンを受けて、「あーはい、その通りだよ」の、やれやれ!って返し方もパーフェクトすぎたし……

かと思えば、2部の歌謡ショーではほんとどうかと思うほど笑わせてもくれてw
プレイバックPart2は毎公演笑い続けました。なんであんな面白いん!!?(永沢君のあおり運転については公演期間中にブログを書き残しておいてよかったです!笑)
更にそのあとのMCタイム、まじでやりたい放題だったよね!?
永沢君として「お前らー!あとで全員、抱いてやるぜー!」が成立するの、あんなのさとちゃんだけだよw
夢島玲ちゃん(帝一の國)のときもほんと意味不明なくらいに面白かったんですけど、彼はやっぱりさすがでした!!

原嶋元久さん/富田太郎(ブー太郎)

はらしまくんのブー太郎はとにっっかく明るくて、cuuuuute!!!でしたね!!!
学ランの中に着ている黄色いシャツがぴったりだなと思う感じの、どこまでも日なたの存在でした。まっすぐに親分コンビを尊敬していて、二人のことが大好きで……
大野くんがグレて教室に登場してからのシーンは、ずっと苦しげな表情をしていて、二人のやり取りを見ている顔がとても辛そうでした。。
だからこそ、大野くんが自分を取り戻したあとは本当に顔じゅうで笑っていて、「お供しますだブー!!!」のガッツポーズが、どこまでも晴れやかで。
あんなの、見てて「よかったなーブー!」って言ってあげたくなる。。

大野くんに合わせて「バリバリに新調した」短ランでの登場シーンは、はまじと小杉くんにからかわれて教卓の周りをぐるぐるしてましたが、
最初に「カッチーンブー!!!」って言うのがすんげぇ可愛くて好きでした。
小杉くんの腹筋にパンチしていってぇ~!!ってなったり、はまじが黒板を引っ掻くフリをするのを見て「やめろブー!」って慌てたり、ワタワタのバリエーションが毎回違くて。
ヤンキーのフリをやめた大野くんが教室に入ってきたあとの「え?親分、なんすかその格好……」のところは、毎度不憫かわいくて笑ってました。
流れが決まったシーンできっちり笑いをとっていけるのがベテラン(な方に入るよね)の力だなぁって思ったり!

わりと立ち位置が山根くんと隣なことも多くて、杉山くんを励ますように言う「親分、何サボってるんですか!」の前で、毎回山根くんの方を見てニコッとしてくれるのが好きでした。千穐楽でもちゃんと、山根くんがいるはずの場所に視線を送って笑顔を作ってくれていた……
親分たちの夢を聞いて心から嬉しそうにキラキラの笑顔を浮かべるブー太郎、見ていてこちらも幸せになりました。

川﨑優作さん/小杉太

筋トレマニアとして目覚めた小杉くん!!!ほんとうに「気のいいヤツ」だったな~!!!
楽のキャスト紹介で顕作さんが「セリフが少ない分、セリフがたくさんある感じに見えるように、というオーダーに見事に応えてくれました」って言ってて、たしかに!?ってなったんだけど、そう感じさせない存在感の出し方が素晴らしかったなぁと思いました。

小杉くんも、なんといってもやっぱりハングリーの決意。あそこで途中からいろんな料理を作るようになったよね。これ、まるステ見てない人にとっては心底意味不明な文字列すぎる。笑
最初は「腹を括った」をシンプルに「腹が減った」「ハラミを食った」みたいな言い間違えるパターンにしてたんだけど、
わあぁぁぁぁ!!!ってドラムセットで暴れたあとにドンツクドンツク言いながら徐々にいろんな料理を仕上げるように変化してました。
エビチリてんしんはーん!とか、チンジャオロースー!もあったような気がします……?笑

24日の「酢豚にパインをドーーーン……俺は今、意見がわかれることをやった。」には本気で爆笑しました。ようそんなん思いつくよね!?
前楽は「豚キムつくって水でジャーーーッ!!!」で、あれ料理、どうなったん?て思ってたら「……俺は今、豚キムチを台無しにした。」だったので「ですよね!?ww」になってしまったし。本当にうめえ。笑

グレた大野君にビビるハングリーのふたりが、小杉君の筋肉を頼って盾にしようと隠れていたり、夜道を走って警察から逃げきったところでは足が攣ったはまじを助けてあげたり、
食べることが大好き、でもそれだけじゃなく仲間を守ってあげられる器の大きさが素敵な小杉くんでした!

歌謡ショーでは永沢君の大暴れを受け取って回収し、さらに笑いを乗っける「さよなら」前のMCパートもお見事でした!
「一皮剥けたな?……玉ねぎだけに~!!!」については「それ、自信あるんだろ?」って最終的にはまじにバラされてるのも良すぎたよ。笑
教室で山根くんとたくさん仲良くしてくれてありがとう!!!筋トレやらせてる回とかあっちむいてホイしてる回とかあって、見てて本当に楽しかったです!!!

石川凌雅さん/山根つよし

……山根くんはさ~~~!!!涙
散々別記事に数千字かけてLOVEを叫んだので、もうそのリンク貼りますね!?笑(オイ)
anagmaram.hatenablog.com

あのね!本当に大好き!!!山根くん!!!世界一かわいい!!!!!!
ロスがロスすぎてやばいんです。予期せぬ形で見納めてしまったこともあり、ちょっとどうしていいかわからんレベルのロスになってます。
本当に、今すぐ山根くんに会いたい。。。

自分の意見をちゃんと表明できる意志の強さ、臆せずに本音を口にできる心の頑丈さ、
クラスメイトの一挙手一投足を見てびっくりしたりニコニコしたり、細かく移り変わる豊かな表情、
ひとたび踊りだすと手のつけられない爆裂ダンサーっぷり。もう全部全部、大好きです。
「そりゃあそうさ、大野杉山コンビの杉山だもん!」でちょっぴり唇をとんがらせているお顔や、
「随分イメージチェンジしたね?」で言葉を選びながらも思わず笑っちゃう素直さや。
あんなに見たかった姿だけが舞台上に溢れ続けている時間、本当に夢だったんかな?って思います。夢でした……!!!
以上、山根くんに関しては話を終えることができないため、詳しくはリンク先の8000字記事のほうにてお願いします……!笑

橋本祥平さん/大野けんいち

大野君!!!……いくらなんでも、かっこよすぎんか!!?
しょうへいくんも、とにかくしっかりとした役者のキャリアに裏打ちされた「流石!」の一言なお芝居だったわけですが、もう本当、大野君でしかない!!すげえよ……
細かい表情のお芝居が素晴らしすぎてですね。。
杉山くんに最初に「お前らしくねえぞ」って言われたあとのハッとした目つきとか、
おじいちゃんに「いや……ごめん、なさい」って呟くときの逡巡からの本音とか。本当に、芝居がうますぎる。

しょうへいくんが大野君を演じたことで、物語がグッと締まる説得力が生まれていたなって思うんですよね!!!
すき焼きを拾い集めるくだりはちょっと笑いも混じってくるシーンなんですけど、
あの自分でも自分をどうしようもない苛だち、だけどそこに降ってくるおじいちゃんの言葉の優しさに本質が覗き出す、その心の在り方の複雑さの表現が素晴らしかった。

杉山君との星空の下でのやり取りはもうね。。あんなん、涙なしには見られんのだ。。
「まだ間に合うかなぁ。自分の夢に」ってセリフは、最終的に涙をどこか堪えるようにこぼしていて……
あんなにずっと「うるせぇ、俺に構うな!」って言い続けていたのに、素直になれた瞬間に「待ってろよ、俺たちの夢!」って、大野君のほうから”俺たち”っていう複数形での表現を選ぶのが本当にたまらなくて、毎回だーだーに泣いてました。
大野君が心からの笑顔を取り戻したんだなってわかって本当に嬉しかったし、その後の”無敵のふたり”っぷりにはもう……もうね!!!涙
大野君と杉山君が好きじゃない小学生女児とか、おらんのよ。。
本当に、見ていて子供の頃の気持ちをたくさん思い出してしまう、そんな素敵なコンビだったね。。

あとはもう、アクションのかっこよさが異常だね!!?
中落ちマグロ水産高校を冒頭でこてんぱんに叩きのめすところも、後半で呼び出されての勝負シーンも、まぁなんと豊富にアクションがあることか!?
大野君のハイキック美しすぎん!!?あんなん漏れなく恋するやろ!?とくに上手側の席にいたら、漏れなく恋ですよね!?
運動神経良すぎません~!?ってなった。いや~~、しみじみとかっこよかった……。

千穐楽の歌謡ショーでは、もうすべてが吹っ切れて「ブー太郎!!!」って笑顔で叫びまくってブー太郎をけしかけてるのも、なんかすごい良かった……。ニッコニコで楽しそうだったし、こっちも楽しかったよ~大野君~!!!涙

GAKUさん/杉山さとし

真っ直ぐで熱くて頼りがいがあって、最高かっこいい杉山くん!!!本当に熱い男だった、いいヤツすぎた!かっこいいよ~~!!!
今回まるステ見ていて一番お芝居の進化を感じたのは、間違いなく杉山君だったなって思っています。
セリフ量は多分花輪クンの次に多いし、わりと長台詞も多くて。
1~2公演目にあったほのかな硬さが、最初の週末に差し掛かったあたりからほんとうにぐんぐんと自然になっていて、
そこからはGAKUくんが杉山君として何かを掴んだんだな!?って思ってしまうようなお芝居の深まりが本当に素晴らしかったです。
段取りがあるからとかじゃなく、今ここで気持ちが動くからこういうお芝居になる、っていうナチュラルさと説得力が生まれまくっていたなって。

最初のブー太郎との「大野、元気にしてっかな?」の一言も、最初の方はすごく朗らかに大声で「大野、元気にしてっかな!」だったのが、
後半では「なぁ……大野、元気にしてっかなぁ?」って、ちょっと寂しそうというか、遠くにいる親友がどうしてるか気にかける声色に変わってて。
大野君とガチンコでやり取りをする「流れ星!」からの一連のシーンは、
どんなに拒絶されても俺は絶対に諦めない、だって俺たちの絆はそんなもんじゃないから、ってまっすぐに信じて気持ちを正面からぶつけ続けるその気概に、見ていてものすごく感情を揺さぶられました。
一番好きだったのは「それが全部無駄だったって、……いっそのこと、その口ではっきり言ってくんねぇかよ。」でした。
そこを叫ぶんじゃなくて、静かに噛みしめるように発する緩急。
最後の希望を託すかのように、親友の目を見て逃げずに自分の信念を伝え続ける、その勇気。
それを聞いた大野君の心がちゃんとこじ開けられるのも納得、となるような、本当に真摯で心のこもったセリフ回しだったなあって思います。良かった……
とくに千穐楽は、二人にとっての集大成だな!と思わせられる掛け合いで。。めちゃくちゃに称賛の気持ちを送りたくなる!本当に良かった!!!
Get readyの「君は間違ってない」には、杉山君から大野君に込められたメッセージを感じたりもしてしまうのでした。

千穐楽の「恋人がサンタクロース」は、本当に何回も何回も山根くんがいるとおぼしき下手袖の中を笑顔で覗き込んでくれてて(配信映像でも確認できました)、
まじで優しかった……杉山君、ありがとうねぇぇ~~~!!!涙

石田隼さん/青木翔

青木様!!!!!!!笑
隼くんが面白い俳優さんだっていうのは別作品でたくさん姿を見ている友達から聞いてはいたんだけど、いやほんっとうに天才だな!?って思う面白さでした……
何がすごいって、あんだけ面白いことをやっておきながら絶対に自分では笑わないところね!?すごくねぇ!?
和太鼓の効果音にあわせて階段を降りてくるだけであんなに面白いって、ほんとうに何なの???
千穐楽では、ついに花輪クンから一秒たりとも目を逸らさずに百万円の束をダララララララ!!!ってめくったのには笑ってしまいました。(角度的に見えなかったけど絶対さなちゃん笑ってたと思うw)
「ちゃんと、話し合ったほうがいいかなって、伺ったって感じなんで……」の表情の作り方とかほんとにズルすぎるよw
あそこ毎公演笑い起きてるのもすごかったな~。

大野君のおうちにお邪魔するところの一言も毎回細かく変えてて、一番笑ったのは「あ、段差気をつけてくださいね!」「わしの家じゃよ!」のやり取りだったかもw
あそこで「あっ、見事な山が見えますね~!あれなんですか?」「富士山。」「ああ、富士山~!立派ですね~!」とか、わざとらしすぎて最高だったな!富士山がわからん清水の高校生、おらんだろ!笑
「ポリ公には気ィつけな」とかはめちゃ凄みのあるかっこいい声をだすのに、ベテランに翻弄される「紫Tシャツぐんだ~~ん!!!」のところは一転して甲高い声になってて、その緩急もうますぎました。
紫Tシャツ軍団の人数が減ったことへのコメントも「あ、老衰。」「寿命。」「星になった。」っていろんなバリエーションがあったよね!笑
総長として尊敬され愛されてる理由がわかっちゃうな~って思う、なんとも魅力たっぷりの昭和のヤンキーをありがとう!

後藤大さん/黒岩準

ここにもめちゃくちゃおもしろい俳優さんおった……てなりました、なんなの!?まるステ、人材が豊富すぎるよ!
後藤くんはお友達の推しなので、面白い俳優さんらしいことは知ってはいたんだけど……ここまでとは!!!
わたしがちゃんと見たことあるのって、テニミュの仁王とパタリロのマライヒだけなんですが、いやーーーー、黒岩くん、かっこいいのに面白かったw
あんなにビジュアルモンスターなのに!?っていうギャップがまたすごくて。
お顔の小ささ、どないなってます!?って思うよね!?
またその小顔っぷりに似合いすぎる長めのウルフカット+長ランのコーディネートで、本当に抜群すぎるスタイルの良さが引き立っていらっしゃった~~~!

その美しさなのに、舞台上にいる時間のざっくり半分くらい白目剥いてませんでした???笑
あんなに美しく白目を剥ける俳優さん、私他に見たいことないや……てなりました。名人芸か???
あと超ハイクオリティの犬の唸り声ね。笑 青木様に「落ち着け!」って言われた後に「ガウウッ……」って急に唸るから、初めて聞いたとき爆笑してしまった。トータルで存在が狂犬だった。笑
かと思えばダンスはキレッキレなんですねぇ!!?Get readyのサビでセンターはってらして、「いや振り幅!?ギャップ?」になり本当に驚かされました。
すごい目をぎゅーって瞑った笑顔で走る振付踊ってるところはめちゃくちゃキュートだった!
かっこよくて面白くて鬼のようにスタイルが良くて、トータルとしてなんて情報量の多い面白い俳優さんなのかと……長年の友人が推してる存在なのも、もはや納得しかなかったよ!!!笑
楽のカテコ、隼くんと並んでわりとちょっと涙滲んでた?ように見えたのも、なんだかちょっぴり意外でした。イキってるけど不憫で憎めない悪役、最高だった!

福島海太さん/白田嵐

海太くんもわたし多分お芝居としてはテニミュぶりに見たきがする(四天宝寺の小春ちゃん)!
彼もまたとにかく芸達者の極みでした。中落ちマグロ水産高校、集まったキャストが強すぎて最高のチーム感出まくってましたね……!
この間アクターズリーグinバスケでチアリーダーとしてたかのくん率いるダンスチームにいて、ダンスうまいよな~!?って思って見てたんだけど、ちょっとしたセリフの間に重ねる体の使い方がすごくうまくて、あ~ダンスが得意な俳優さんならではのテンポ感だったなって!
花輪クンにはめられて警察署に行っちゃうところの「なんか、雰囲気のある方々だね☆あなたがたは?」のセリフの言い方とか、絶妙~~~!ってなりました。
「柔道三段!剣道四段!」で大野君に即・ぶちのめされる気の毒さとか、笑いを担う存在としての仕事が完璧だったなって思います。
第二の子分として黒岩君に命令されて出撃するたびにしっかりボコられて帰ってくる王道のやられ役っぷり、最高でした!

もうね、中落ちマグロ水産高校、まとめて愛しかないよ!みんな最高!!!可愛くて面白くて憎めない敵役を本当にありがとう!!!

大高洋夫さん/西城秀治(ヒデじい)

本当に「愛」に溢れまくっているヒデじいでした……!涙
花輪クンのことを、お仕えしお支えする存在としてだけではなく、
守り育てるべき青少年として見つめている、その眼差しが本当にどこまでもあたたかで。
ふたりの間にある確固とした信頼関係、とてもとても大好きでした。
書割のロールスロイスには笑いながらも、車内でのあのやり取りにはどうしたって涙させられてました。
あとから振り返れば、日常の中の本当に些細な会話だったのだろうけど、花輪クンにとってはきっと後からとても大きな意味を持つ時間だったんだなって、そんなことが伝わってくるシーンで。
何気ない日常の光景だからこそ、振り返るとそのかけがえのなさが光るような。。
花輪クンにヒデじいがいてくれてよかったなぁって、見ていてたくさん思いました。
ジェントルマンとして、人生の先輩として、出過ぎることはしないけれど、それでいてそっと全てを包み込んでくれているような愛の在り方が最高のヒデじいでした……!

大堀こういちさん/金井先生

大好き!大堀さん!!!また舞台で拝見できて、もうほんと~~~~~に嬉しかった!!!
私は大堀さんが仕掛ける笑いへの耐性がゼロどころかマイナスなので(自分でもどうかと思う)、あの地獄のようにしつこい笑いに耐えられないキャストを見ているところまでがセットで、本当に幸せになりました。笑
大堀さん、なんで出てくるだけであんなに面白いんだろうか……?
人生経験を積んだ紫Tシャツ軍団として出てくる「指圧の心は母心(※って何??昭和の元ネタあります?笑)」のシーン、
体の使い方がもう完全に帝一でいうところの毘沙門天なので、センターに座ると笑いすぎてどうにかなりそうでした。無理。
それでいて、みんなに恐れられつつも愛されてる先生としての威厳はちゃんと出してくるし、もう、その振り幅が、マジでにくいんだよな~!?ってなった。
帝一が大好きな友達と共にふたたび顕作さん演目で大堀さんが見られただけで、私にとってはもう本当に幸せな冬でしたよ!!!

酒井敏也さん/大野くんのおじいちゃん

もうとにかく、チャーミング!の一言につきる酒井さんのおじいちゃん。
思い悩むそのエネルギーをグレた見た目で表出させるしかない孫のことを、叱るでもなく責めるでもなく、ただ優しく受け入れて、程よく放っておいてくれるあの優しさ。

おじいちゃんが大野くんを叱るのは、ヤンキーの格好をしてつっぱっていることにではなく、家に来てくれた友達(じゃないけど)を怒鳴って追い返すことに対してのみ。
本来は、仲間思いで心根の優しいはずの愛する孫・けんいちが、なにかに苦しんでいるその様子にただ心を痛めているおじいちゃんは、
「お前は何も悪くない」の全肯定の一言を大野くんに投げかけます。
初日見たとき、この一言だけでもう、涙が出ました。
まるっきりの子供ではないけれど、それでもやっぱりまだ「守られる」存在である高校2年生に対して、明確な大人として伝える言葉が、お前は何も悪くない、なのが。。
大人として理想というか、あるべき愛の傾けかただよなって感じて……。
あのおじいちゃんの優しい「ごめんな。」に対してなら、大野くんも思わず素直に「いや、ごめん……なさい。」になってしまうのも、わかる。。


お三方ともに、舞台上にいてくださるだけでなんともいえない安心感や包容力がにじみ出ていて、なんて的確なベテランの配置なのか!?と思うとともに、
それでいて紫Tシャツ軍団としてはあれだけ淡々と笑いに振り切ってくださるの、本当に最終的に「愛」しかない!でした。ありがとうございました。。

境秀人さん/高橋陸人さん/斎藤一誠さん/松本建吾さん(紫Tシャツ軍団その他)

アンサンブルキャストとして、舞台上を色々な形で彩ってくださった4名の皆様!
楽カテコの顕作さんからの紹介で、斎藤さん松本さんは「今回が初舞台です!」って紹介されているのにもグッと来てしまった。。
お芝居パートだけじゃなく、歌謡ショーでも一緒に沢山歌って踊ってくださってて、
本当に舞台上にいる全員でまるステを作り上げているんだな~って実感する日々でした!
としやさんの乗ったソリを押してる境さんの溌剌とした笑顔とか、目がにこーってなくなる感じの陸人くんの可愛さとか、ショーにも色々思い出があるよ……
あそこに集う全員に感謝しかありません!!!



久々に、常軌を逸した長文を書きました。明らかに気が狂っているので字数カウントは見なかったことにしてます。「~くん」と「~君」表記の揺れを直す余裕もない!笑

銀劇に集ってるオタクたちも、まじでみんないい感じに楽しそうに狂っていて、本当に最高の舞台でした。
こんな夢みたいな演目、あるんだな~って。久しぶりにこの感覚を味わえて、一年のラストにありえんくらいの元気をもらえました。

全16公演、正直ガチで全通したかったですが労働もあるのでそうもいかず、年の瀬☆限界社会人ムーブでできる限りの12公演入ったんですけど、悔いはありません!
願わくは、またみんなに会えないかな……と!続編希望です!!!

最高の冬を、ハッピーでしかない夢みたいな時間を、本当にありがとうございました。
まるステは最高!
大好き!!!あいしてる!!!

前楽の座長が天才だった写真を添えて〆。

ド年末にきちがいの長文読んでくださってありがとうございました!
(最初に書いた1記事目も貼っておきます~)
anagmaram.hatenablog.com

*1:まつしまくん福岡出身だからこそのセレクトかなってつい思ってしまうところがある笑

まるステの山根つよし君が世界一可愛かった話と、12月25日の思い出

濃密に過ぎた10日間があっという間に終わり、ちびまる子ちゃん THE STAGE 『はいすくーるでいず』:通称まるステは12月25日クリスマスの夜に千穐楽を迎えました。
(楽の一日に起きた出来事は最後にちょっと書きます。)

この記事ではもう気の済むまで、「まるステの山根くんが可愛い」話をします!
大抵そうなんだけど、このたぐいの記事を書くときの私、「可愛い!好き!!!」を数千字に引き伸ばしただけのものを書くので以降はそういうつもりでご覚悟のほどよろしくお願いいたします。笑
※作品全体の感想は一記事目からどうぞ!
anagmaram.hatenablog.com





お芝居パートについて:”気弱そうに見えて筋の通った”を体現する、友達思いの真っ直ぐさ

……山根くん、好きだったな~~~!!!
いきなりの感極まり。りょうがくんの山根くんのお芝居、本当に好きだったな!!!

原作の山根くんのことを思い出したりしながら見ていたんですが、本当にキャラクター紹介に書かれている通りの人物像だなぁと思いました、山根くん!
(原作ではわりと頑固というか、怒ると手がつけられない的な描写もありましたよね。アニメではちょっと極端に描かれてたような記憶も蘇ってきたりした。)

クラスの仲間の気のおけないやり取りの中でも、そんなことないんじゃない?それはちょっと違うんじゃない?と思ったら、曖昧にせずにちゃんと自分の言葉を口にする意志の強さが山根くんの特徴。

「浜崎くんのギャグがつまらないのはいつものことさ」という永沢君の一言に乗っかって軽口を叩き合うクラスメイトたち。
でもそこに「浜崎くんは僕たちのクラスのムードメーカーだよ?」って投げかけるのが山根くんなんだね。
「つまんねぇ!ボツ!」ではまじに一蹴された永沢君のラジオ投稿ネタのハガキには「いや、でも僕はそんなに悪くなかったと思うけど……」と腹痛を抱えながらも健気に意見表明したり、
周りがどう思うかではなくて、あくまでも自分がどう思うかを軸にして行動できる芯の強さがある人物像が伝わってくる山根くんでした。


その真骨頂は金井先生への直訴でしたが、藤木君の歌詞ノートが投げ捨てられてからの一連の時間で、徐々に変わっていく表情が大好きでした。
反射的にそれは違う!と心の中に湧いた思いを最初は堪え、でもやっぱりこれは間違ってる、僕はそうは思わない、って決意して明確に立場が上の人に反論しにいくところ、
山根くんが内側に持っている勇気と芯の強さが現れていて、とても好きだったな。
その後のクラスのみんなが「かっこよかったぞ山根ー!!!」って口々に褒めそやしてくれる優しさと、
ホッとしながらそれを嬉しそうに受け止める山根くんの笑顔が、どちらもとてもあたたかでした。


中落ち鮪水産高校の番長グループに絡まれるシーンでは、助けに入ってくれた花輪くんの意見に賛同するようにそうだそうだ!って感じにブンブン頷いていたり、
百万円を要求されて「ひゃくまんって……」と小声でつぶやいたり、
その後の僕たち仲良しです!揉めてません!のフリをしに握手を求めてくる白田くん黒岩くんにはガチガチにビビり散らかした表情を見せたり……もうとにかく全てが可愛かった。。
というか、あの花輪くんに救われる山根くんの絵面が良すぎましたね。。あそこの花輪くんはかっこよすぎて正しく少女漫画だったよね!笑


ラスト、みんなが夢を語るシーンでは、目を輝かせて星空を見上げて、本当にきらきらとした瞳でお医者さんになる夢を叫んでいて。
山根くんはちょうど立ち位置がセンターで夢を叫ぶのもあって、その絵面になんともいえない眩しさがあって大好きなシーンだったな。
友達思いの山根くんが描く夢、ちゃんと叶うといいな、胃腸の調子ともうまく付き合っていけたらいいな*1……って思いながら見つめていました。


教室の奥の方の席にちょこんと座って、周りのみんなや先生の話を聞いている表情がくるくると移り変わるその様子、あ~~~お芝居をずっと見ていたいな~!って気持ちになりました。
もうね、本当にね!笑顔が!優しくて!!!可愛かったね!!!
クラスのみんなとのやり取りの中にいろんな種類の笑顔があったし、なにより本当に「楽しい!」が溢れていて、見ていて幸せな気持ちになってました。


ここまでは比較的冷静になれそうだった(ほんとか?)お芝居の話を、まずは先に書いたよ!
あのね、大変だったのはね、

山根くんの、ダンスが……!(突然の語彙消失)

もうね、本当にやばかった、たいへんだった、見たいものが潤沢に見られすぎて、まじでしぬかとおもった……。

山根くんを演じる石川凌雅くんは、今年上演された刀ミュ「江水散花雪」で本格的な役者デビューとなった俳優さんです。
昨年11月まではダンスボーカルグループでの活動を数年間されていた経歴のため、つまり歌とダンスはお手の物なのだな!というのを、我々は江水→らぶフェスの流れで存じ上げた次第なわけですが。
こちらのブログには、刀ミュ肥前くんに沸き倒した記録がしっかりと残されてもおりますが、
本当にもう、りょうがくんが踊っている姿が大好きになってしまって……「ええ~~踊ってるところ、もっと見たいよ~~~!!!」と常々思っておりました。(※6月のブログ、開き直ったタイトルすぎて自分で書いときながら笑っちゃった)
anagmaram.hatenablog.com


今回のまるステね、まじでありえんくらい踊る。
間違いなくこの冬の銀劇で、あんたの夢叶えたろかスペシャが起こってた。びっくりした。
数えたんですけど、1部のお芝居パート+2部の歌謡ショーで、トータルまさかの7曲も全力で歌って踊る姿が見られてですね……?
「え、なに?夢???」てなったよね!!?
いや正直、小林顕作さんの演目なので歌って踊ることはわかってた!!!
歌唱指導・振付の先生の存在もクレジットで明記されていたので、わかってはいた!!!
でもまさか、こんなにたくさん見られるとは思ってなくて、本当に本当に嬉しすぎたんです。
夢かと思った……。あれ??やっぱり夢だったかな???見たいものとして都合が良すぎたんだよな???
まって、トータルで本当に夢だな、だって小林顕作演目にりょうがくんが出ていて歌って踊ってたのか……そうか、夢だな!!!(混乱)(※現実だよ)


初日、オープニングの「TOKIO」でもうめっためたになりましたよね!
だってこの数ヶ月、ずっとめちゃくちゃ見てみたかったやつでしかなくて……
もうどう言語化したらいいのかわからないんですけど、りょうがくんのダンスのすべてが本当に好きすぎるんですよ!!!
なんなんでしょうか。あのすべての拍が可視化できる感じのリズム感とアクセント。体の使い方がもう本当に!!好き!!(根底にある運動神経の良さ!!!)
「この世にこんな好みのダンス踊る人いるんだーーー!!!」って叫びたくなる感じの……この好き加減、もはや言語化できないことに気づいて若干諦めてきました。。
でもね、ここまではいちおう、肥前くんのときに散々わかってたことではあるんだけどさ、
今回肥前くんと何が違うって、全力笑顔なのよ!!!!!!

肥前くん以来、御本人の人となりについてもそろりそろりと理解が深まった(つもりが友人と同時にドボンしたため爆速で色々掘り下げてしまった)結果、
りょうがくんご自身は本来ものすごく陽のキャの方であることは明確でして、、
「待って?それなのに!?普段あんなに笑顔なのに、肥前くんのときはそれを全封印してたの!?すごすぎん!?一体ぜんたいどうやって!?」みたいな気持ちに、あとからなりまくったりしたわけなんですけど、
今回はさ、本来お持ちの笑顔を全力・全開!にしてOKだったので!!
結果、眩しさで目が、目が……!!!ってなりましたよねマジで。目が。。ありがたき幸せです。


1部のお芝居パートの時点で、TOKIOハイティーン・ブギ→Get readyでなんと3曲も!爆踊りが見られて天国だったんですけど、
もうさ、特にラストのGet readyがさ!!!涙
あ~~~思い出したら書いてて涙出てきたな……。

「壁など突き破って」で、ぶちぬいてやるー!って勢いでグーパンチを笑顔で繰り出すのみならず、客席をめちゃくちゃ見ようとしてくれたり、
「何も間違ってない」の明確に貫く意志の強さの表れだったり、
本当に歌詞のとおりに空を飛べそうなエネルギーときらめきが全身から満ち溢れていて、なんなんだろう?この衝撃的なほどの眩しさは?って、最早あっけにとられながら見てました。発光してるんか!?て思ったもん。。舞台上で発光する役者さんっているよね!!?間違いなく光ってたわ山根くん……

ちょうどGet readyの山根くん立ち位置ゼロズレの席で同じくりょうがくんファンの友人と連番した回があったんですが、
休憩に入って客電がついた状態で無言で顔を見合わせたら、お互いボロボロ泣いていたというシンクロが起きました。笑
「眩しさのあまり涙が出た」としか言えない体験だったので、本当にびっくりした。。
忘れられない光景だったし、友達と共有できてよかった大切な思い出になりました。。
作品の世界観の詰まった歌詞、"夢を追う姿"をまさに今体現しているようなりょうがくん本人の在り方ともどうしてもダブって見える部分があって、あんなの絶対、忘れられない。本当に幸せな景色でした。

”アイドル・山根つよし”がもうどうにも止まらない歌謡ショー

そしてお芝居のあとは完全に”ショー”に振り切られた2部ですが、もうね、アイドルと化した山根つよしを止められる人は、誰もいなかったよね。。
すんごいことになってた。徹頭徹尾・爆踊りです。やばいです。本当に……これは……息も絶え絶え……(本望)

最初の山本リンダメドレーから情報量が多すぎて!?ってなってたんだけど、
公演が終盤になるに従って、イントロのステップ増やしまくってたよね?いやめちゃくちゃ動くやん!?なった。
あとさ、わたしの記憶違いでなければ1回指笛鳴らした回あるよね!?いつか忘れたけど!たぶん最初の土曜日かな?たまげたわ!!!笑
1,2公演目は平日夜だしまだお客さんもさぐりさぐり、みたいな空気感があったなか、
3公演目あたりで劇場の様子や自分の立ち位置から見える景色も掴んだとみえ、より一層アイドルとして全開になったとお見受けいたしました。
もうさ~~ほんっっっとうに楽しそうに歌って踊るので……見てて幸せしかなかったです。
何度も言うけど、夢が叶いまくってたんだよなぁ!!?っていう気持ちが新たになった。書いててやっぱり泣けてきた~~~。。


もうショーは徹頭徹尾やばいのでどこを切り取っても大変でしかないんですけど、
ていうか!ギター!ギターまで見れたよ!!!イルカにのった少年!!!
原作を知っている人にはおなじみ、山根くんといえば城みちる城みちるといえば「イルカにのった少年」なので、セトリが出た時点で山根くんが歌うことはわかってたんだけど、ギターまでついてくるとは思わなんだ。。
そうなんですよりょうがくん、ギターもめちゃくちゃお上手なんですよ!ほんと多才すぎてびっくりするよね!!!
らぶフェス代々木後半のセトリで、まさかのエレキギターを抱えて出てきた肥前くんの衝撃も記憶に新しいですが、マジでギター、お上手なんですよ……
「りょうがくんが爪弾くギター音が、また聞けた~!(しかも松島くんとのデュオで!?*2)」という喜び!からのギター即オフ → やっぱり全力アイドルダンス!の緩急にやられまくりました。。
あのイルカイメージのふりつけ、可愛すぎるよね。。キュッキュッって感じの腕の動き。
そんでもってさ~~最後のアウトロさ~~~!振付にあわせて下手→上手にウィンク飛ばしたりもしててさ!!!
本当にアイドル山根つよし、誰にも止められない。。


あとまじでびびるくらい客席をくまなくご覧になりますね!?でした。
目に見える範囲のうちわ全部見てるでしょ!?って思いながら見てました、すごすぎる。
公演期間中のりょうがくんが突然「コンタクトの度数上げたら遠くまで見える、すご~い!」みたいなツイートをしたときは、友達とふたりで「これは…3階席のうちわまで見えてるよって意味でOK?」と思わず確認しあったほどでした。絶対見えてそう。笑
今回、公演日によってお客さんの入り具合にも若干の変動がありましたが、その入り方にあわせて同じ曲でも視線の配り方変えてるのがわかって、匠の技なのか???になってた。
結論として、「自分のことを見に来たお客さんを絶対笑顔にして返す!!!」の気概が、まじですごかったです……。プロ意識の塊。。そこにある意志と優しさにやられた。
「いくらなんでもやさしすぎん!?」って思うくらい優しくて、その上で本人常に超絶楽しそうですごかった……ノンストップアイドル、山根くん。。


ダンスの話に戻るんですが、クリスマスソングメドレー最後の「恋人がサンタクロース」も大変に命が危のうございました。ええ。
今回全般的にそもそも振付が好みすぎたんですけど、マジでかんわいかった!この曲!!!もう全部の動きが好き!可愛い!!!
わりと覚えやすくもある振付だったので、楽しすぎるあまり公演途中からペンライトの振り方をおもっきし振付に寄せて振っておりました。(※1本だけだし、周囲の迷惑にならんレベルのうっすらなのでご安心ください笑。最後の土日とかけっこううっすら踊ってるお客さん増えててたのしかったな~!)
この曲の中でとくに好きだったのが「プレゼントを抱えて」の”プレゼント”のところで、手首ひねりながら左右交互にサムズアップ飛ばしつつステップ踏む動きだったんだけど、
それだけに飽き足らず、山根くんったらここでもたまに自主的にメニュー追加してウィンク飛ばしてましたからね!ギャーッ!!!アイドル!!!
そんなのばっかり見られるなんて、まじで「夢」でしかないんだよ……わたしはこれが見たかったんだよ……。
しみじみ、嬉しかったなぁ。。。見たかったものがこれ以上ない形で存分に見られるという、マジで最高に幸せな冬でした。あれ、夢だった……???(この人、さっきからループしてる???)



最後に、楽日の出来事について、すこしだけ。

楽日、12月25日の出来事。

今回のまるステのこと、私は数年来の友人と共に、公演発表時点から本当にどうかと思うほど楽しみにしていて、
12月24日も友人と3人でそれはもう賑やかに楽しく過ごしておりました。
りょうがくんファンの友達と一緒に「あの爆踊りが見られるの、もうあと2公演なんだねー!!!さみしーねー!!!」って言い合ったりなんかして。


楽日となった12月25日。
りょうがくんの体調不良が発表になり、山根くんは演出変更にて急きょ声だけでの出演の形に変更となりました。
開演の1時間前に公式で出たお知らせを見て、真っ白なままの頭でとりあえず友達と予定通りに合流して、でも友達の顔を見たら涙が出てきて。

前楽はまず開演前の顕作さんのご挨拶の時点でボロボロ泣いて、山根くん登場のシーンで公演グッズの山根くんアクスタを取り出してくれた花輪クンの気遣いに涙腺をやられて、
山根くんのいるはずのTOKIOの立ち位置を見て不在を痛感し、また涙が止まらくなって……
本当にいろんな気持ちがこみ上げる観劇になりました。

いないけどちゃんといる、山根くんの声、そしてそこにいるかのように背中をさすってくれたり手を差し伸べてくれる2Bのみんなの優しさに胸がいっぱいになって、
むしろ笑いにも変えてくれる主に花輪くんによるアクスタ芸にあふれる愛に、泣きながらもあまりの面白さに爆笑して、
Get readyの2回目Bメロ、みんなが肩組むところどうするのかな……て思ったら、肩は組むけど山根くんぶんのスペースをちゃんと空けてくれていることに、また泣いて。

お芝居でもショーでもありとあらゆる理由の涙が流れたけど、でも同じくらい笑顔にもなりました。
ものすごくさみしくて、だけどやっぱりまるステは、楽しかった。


千穐楽では、声だけの演技の間合いがよりブラッシュアップされていて、クラスのみんなとの呼吸の合い方も上がっていて、
顕作さんが「皆さんのあり余る想像力で山根くんの姿がきっと見えてきます!」って言っていたとおり、うん!なんかもう、山根くんの姿、見えたな!って思ったシーンいっぱいありました。

これで最後なんだなって思いながら見たGet readyでは、24日までに力一杯見つめつづけた、あのキラキラした笑顔を山根くんがいるはずのスペースに思い浮かべていたんだけど、
最初のBメロで横1列にならぶタイミングで、本来隣にいるはずの山根くんの位置を見て本当に優しい笑顔を浮かべてる丸尾くんに気づいて号泣し、
ラスサビで学ランの内ポケットからアクスタを取り出して両手で掲げてくれたはまじを見て号泣し……
カンパニー内に溢れだしているたくさんの愛が、本当に本当にあたたかで、嬉しかった。
歌謡ショーでも、恋人がサンタクロースの杉山くんが、下手側を見るタイミングで本当に何度も笑顔で舞台袖の中を覗き込んでいて、
あぁ、つまり山根くんがそこにいるんだな、見てくれてるんだな……とわかって、もうめちゃくちゃに泣かされました。


ラストのカテコは昼夜ともに衣装だけつけてメイクは無しの状態でりょうがくんも出てきてくれたのですが、
楽では笑顔を見せてくれたことが、とても嬉しかったです。万全ではない中なのに、出てきてくれて本当にありがとう。。
最後の顕作さんのキャスト紹介のとき、顕作さんがりょうがくんに「頑張ったよ!」って声かけてくれたのにも、また泣いた。


本当に、どれだけ悔しかったのだろうと、こちらからは想像することしかできない、
でも私はこの日を見に来られて嬉しかったし、ちゃんと楽しかったし、
でも最後の日にやっぱり、山根くんに会いたかったよね!って……
そんなふうに複雑だけど、同時に確かに幸せでもあって、
とにかくまるステが本当に大好きだな!!!って、繰り返し繰り返し、思い続けた一日でした。
言葉にならないけれどきらきらとしたものが胸の中にいっぱいに溢れて、
泣いてるけど笑顔にもなれて、なんかもうよくわからない!だけど幸せだなって、そう思いました。

この作品に関わったすべての人に、心からの御礼をお伝えしたいです。まるステに出会えてよかった。



本当に、いろんなことがあります。同じ一瞬は二度とない。
儚さと表裏一体の、今ここに生きている証を刻み込む舞台という芸術形態が、わたしはやっぱり大好きです。
個人的に、言葉に尽くせぬほど激動だった2022年の締めくくりに、こんなふうにハッピーで優しくて楽しさしかない演目に出会えたこと、本当に幸せでした。
また会えたら嬉しいな……!続編、ワンチャンありませんかね?
ちびまる子ちゃん35周年記念の演目なことは重々承知ですが、この感じならもしかして続編、いけたりしません!?笑
それくらい、まるステは最高!!!また会いたい!!!


最後にりょうがくんへ!
全16公演本当に本当にお疲れ様でした、そして10日間、世界一可愛い山根くんに出会わせてくれて、楽しい時間をたくさん過ごさせてくれて、ありがとうございました!!!
どうかまたすぐに元気な姿で会えますように!



追記:まるステ3記事目を後日書きました。
anagmaram.hatenablog.com

*1:腹痛ってもうある程度もう付き合ってくしかないもんね、、ってお腹の調子悪くなりがちな持病持ち勢はめちゃくちゃ感情移入して見てしまいました、山根くんの胃腸に平穏あれ。

*2:まるステ2日目になってようやく「待ってこれどんなBurn Outなん?」なって面白すぎてそこでも笑ってしまった。。笑