こたえなんていらないさ

舞台オタクの観劇感想その他もろもろブログです。

パワーオブマジック&マッスル!「マッシュル -MASHLE- THE STAGE」マシュステが、舞台として最高すぎた話


本当はもっとはやく書きたかったマシュステの感想!

7月4日に東京国際フォーラムホールCで初日を迎え、7月17日にAiiA 2.5 Theater Kobeで千穐楽となった全15公演の作品。
1ヶ月近く空いて今更にはなってしまいますが、本当に「最高!」と叫んで走りだしたくなるほどの素晴らしい舞台だったので、感想を書きます。

あまりにも好きすぎて、何がどう最高だったのかを言語化しようとすると頭がフリーズしてしまう。それくらい、個人的には心に刺さりまくる舞台でした。
なんというか、語るにおいてとにかく構成要素が多い。情報量が異常ゆえに言語化が難しいという、過去類を見ない珍しい状況になった(ために、感想書くのがここまで遅れた)。
すげえ長くなった(当然のように1万字超えた)ので目次も置いておきます。

ざっくりいうと、どんな作品?

今年の夏のネルケ×ジャンプ演目はこれか~!という位置づけの作品なんですが、つい先日ジャンプ本誌で連載を終えたばかりの漫画「マッシュル -MASHLE-」を原作とする2.5次元舞台です。
mashle-stage.com
原作は、某・魔法学校ものの突き抜けたオマージュ(超えてややパロディ)の世界観をベースとした、わりとシュールよりのアクションバトル漫画です(原作未読で申し訳ないのですが、この認識でたぶんあってるはずと思う)。
今回私は漫画原作は未読・アニメの方を途中まで視聴した状態で観劇しに行きました。

魔法を使えて当たり前の世界の中で、ひとり全く魔力を持たないで生まれてきたがゆえに全てを筋肉の力でどうにかしていく主人公・マッシュ。
その筋肉にまつわる問題解決の表現がいちいちぶっ飛んでるので、アニメを見た段階では「エエ……これどうやって舞台にするの!?」という困惑が先に立っていたんですが、
それが本当にびっくりするくらいに優れた舞台作品になっていたし、予想を遥かに越える面白さだった。
こんなに面白い舞台になるなんて、見るまでは本当に想像ができなかったですし、2.5次元においても近年稀に見るレベルの良作だったと個人的には感じました!


観る前の段階から、スタッフ陣の情報を元にこれは多分面白くなるのでは……?という予感はいちおうありました。
総合演出は松崎史也さん、演出は梅棒の伊藤今人さん。歌詞に三ツ矢雄二さんの名前があり、大きく外れる作品にはならないだろうという予測は立てられました。
歌唱指導のスタッフクレジットも明記されており、振り付けにも梅棒の方々という事前情報の時点で、これは盛大に「歌って踊る系」だぞ、ということもわかります。
ただここまでの時点では、言ってみればよくある2.5次元なのかな?とも。構成要素はいつものネルケお得意2.5次元の系譜といえそうな。
しかし実際に観てみたら、その表現の在り方というかスケール感が、想像以上のものだったんです。

何がそんなによかったの?その要素について語ってみる

……そんなの、「全部!!!(大声)」になっちゃう。本当に全部良かった。すごかった。困ったな。どう説明したら良いんだ。

一言で表現するならば、「このように見せたい、楽しんでほしい」という作り手側の意図が間違いなく客席に届いている作品でした。
構成要素のひとつひとつが素晴らしいのはもちろんなんだけど、それが組み合わさったときの妙といったら。
原作のシュール寄りの笑いを存分に活かす吹っ切ったバカバカしい面白さを体現しつつも、舞台とは総合芸術であることを心の底からしみじみと実感できる……という良作だったんですよ。

それだけクオリティの高いものが観られて、面白くて笑えて元気が出るなんて、本当に最高!!!しかも目当ての推しキャストが!死ぬほどかっこいい!なんてことだ!重ね重ね、最高!!!*1
最初はS席チケット代「12,500円」はかなり高く感じてちょっと怯んだけど、観たらお値段に納得しかなかったんだよね。ちゃんと値段分の価値がありました。
観劇していての満足度が端的にものすごく高くて、楽しい&ハッピーしかない7月でした。生きててよかった~!ってなってた。

以下の細かい説明はどうしてもほぼ観た人向けになってしまい申し訳ないんですが、それぞれの要素で好きだった部分を箇条書きにしてみます!

舞台美術
  • そもそもの幕開き。歌い踊るアンサンブルの背景に、原作アニメを思わせる映像が、漫画のコマ割りがイメージされた大きなボード状のセットに映し出される。そのセットが「長方形に対して斜めに走る対角線のライン」ですぱっと割れて、その奥にテーマソングを歌う登場人物たちが並んでるってもう……!かっこよすぎるでしょうがよ!?初日はここで鳥肌たちました。これはやばめに面白いものが始まったぞ、という確信がもうこの時点でありました。
  • 集中線やアクション効果のスクリーントーン状の模様があしらわれた漫画チックな背景により、漫画原作作品であることが全面に押し出されつつも、それが不思議なほどに世界観の全貌に溶け込んでいてチープさがない。
  • 舞台中央に回転する機構のセットが配置されているため、場面転換がスムーズに可能になっている。二幕にあるバトルシーンの転換もこの回転セットの大活躍により、とてもスピーディ。
  • 二幕のバトルの見せ場、ハーム・パペットが巨大な実体で登場したときはその迫力に度肝抜かれました。あれ普通は今どき映像でなんとかしようという発想が主流だと思うんですが、映像に頼らずあくまでも実体でやりたかったというこだわりを後日聞いて感動しました。あれは本当に、実セットでやってくれてよかった。
映像&照明

※ここの二要素のコンビネーションが素晴らしすぎてバラして書けないのでまとめてしまいます!

  • オープニングのM4、ちょっとあまりにも良くて。本ッ当にかっこよかった!!!マッシュのセリフ後のイントロと同時に明滅する照明とレーザー、音にピタリとハマっていて何回観てもゾクゾクしました。タイトルが出る瞬間を目指して畳み掛けるようにざぁっと高速で舞台上をなめていく、あの真っ直ぐな青い光の束。音楽とのシンクロ度合いが気持ち良すぎて、見ていると毎回興奮で全身の血が沸騰するようだった。
  • 演出のいまじんさんが何回も仰ってましたが、M4の後半でマッスルズが出てくるところ。「動と静」の対比という感じのあの照明と映像、たしかに意味わからんかっこよさでした。なんなら良さにちょっと泣けるまである。
  • 魔法を扱う作品ゆえ映像頼みになるかと思いきやそんなことはなく、むしろメリハリが意識されていて、ここぞの絞られたポイントできらびやかに魔法が表現されていて見事でした。
  • M3で再び「パワーオブマジック」が始まるときの背景。光がじわっとあふれるように滲み出し、粒となって泡のようにしゅわしゅわと輝く映像表現が特に好きでした!魔法のイメージ映像だと思うんですが本当に美しかった。
  • 全体的に照明が好きすぎるあまり、公演後半になると一幕冒頭や二幕冒頭、他にもいろんなポイントで思わずスポットライトを見上げたりしていました……これまで観てきた作品の中で、間違いなく一番好きな照明でした。
音楽
  • 1作品の中に本当にいろんな方向性のメロディが散りばめられている!ということにまず驚きます。
  • M1の「パワーオブマジック」*2かっこよすぎませんか~~~~!!?本当にかっこいい、かっこいいしか言えないしM4も大大大好きです!!!
  • ソロはキャラクターごとの特徴に合わせた曲調があてがわれていて、みんなそれぞれキャラクターにぴったりですごく良かった。ランスくんのソロがロック調で、役にも中の人にも似合いすぎており嬉しすぎて倒れた。
  • 全体的にキャストの声の持ち味や得意な音域を活かす方向で楽曲を当てています?と思うくらい、全員歌が素晴らしかった。特にりょうがくんのランス、笹森くんのアベルはそれぞれ声質が活きまくりで、ものすごく丁寧に当て書きしてもらったメロディなのでは?と感じたくらいでした。実際のところどうだったんだろうなぁ。
  • M2のじいちゃんソロやM6のフィンくんソロはめっちゃミュージカルになってるし、いや聴き応えありすぎね!?(ところでこの作品、ミュージカルだっけ!?笑)
  • 岡幸二郎さん佐々木喜英さんの美声および歌唱力をバチクソに活かすここぞのメロディラインもお見事でした!
  • ……音源発売してくれませんかね!!!?
歌詞
  • 三ツ矢雄二さんによる作詞でございまして、もう……そんなの!心の中のテニモンが涙を流して大歓喜だよ!!!(三ツ矢先生は3rdシーズンまでずっとテニミュの歌詞をおひとりで書いてらした方。)*3
  • 歌いだしが、「パワーオブマジック 魔法の力は絶対 パワーオブマジック 魔法の力は最高」から始まるんですよ。いやなんなの、そのてらいのないド直球は???「……私、これめちゃくちゃ知ってる!!!」という気持ちになりました。
  • もうその表現手法への抗えない懐かしさで、初日は客席でどうにかなりそうだった。細胞レベルの喜びを感じました。だってこんなの、初めて会うのによく知ってる人みたい……前世で知り合いだった?みたいな。それだけ歌詞の影響力って大きい。
  • 三ツ矢先生の歌詞は本当にわかりやすさがぶっちぎれていて、その振り切りゆえに観劇1回目でも話の内容がびっくりするほど頭に入るし、歌詞が耳に残る。やっぱり唯一無二だと思う。平易な言葉で聞き取りに負担をかけずに、剛速球でその物語の世界観を観客にインストールしてくれます。そんなん三ツ矢先生にしかできん。
振り付け
  • 梅棒のおふたり(含むたわちゃん!)+えりなっちさんによる振り付け!なんかもう、とにかく「ありがとうございます!!!!!!!!!」ってなりました。
  • わたし梅棒の本公演未だに観たことなくて……*4なので聞きかじった知識だけになってしまいますが、「セリフを使わずに物語を音楽に合わせたダンスで表現する」という作劇手法ゆえに、音楽を通じて物語を語る力がものすごく強い振り付けをなさるような印象があるんですね。
  • だからこそ最初は、視界から伝わってくる情報量に圧倒されて「このダンスを通じた表現が『好き』なことしかわからない」ってなるくらいでした。その好きの有り様を、目が情報として受け止めきれなかった。
  • 観ていくうちに振り付けの細かい要素が意識に残って、ここの動きが!あそこの振りが!みたく細かく理解できるようになり、ますます「好き!」が加速しました。好きすぎた~~~!!!
  • ブログ等で明かされた情報を拝見するに、個人的好き・振り付けの犯人はどうやらたわちゃんだった説が濃厚ぽくて、ほんとなんかエモも相まって……巨大感情が湧いてしまう。ありがとうたわちゃん。
  • 観ていて一緒に踊りたくなってしまうような楽しさがありました。合同課外授業とか、振り付けの音ハメ具合があまりにも気持ちよくて!デュエロの試合後の振り付けもホント大好きだし一緒に踊りたい!笑

演者の皆さん全員大好きすぎる問題

……さらに!ここに、まだ触れられてない出演者側の要素がどでかく乗っかるわけですよ。もうほんと全員大好き。LOVEしかない。

マッスルズ
  • 「マッスルズって何!?」ってなると思うんですけど、マッシュの常人離れした筋肉の力を表現するために、今回5人の卓越した身体能力をお持ちのプロのダンサーさんがアサインされています。
  • KRUMPというダンスジャンル、私は全然くわしくなくて今回初めてちゃんと観たのですが、ものすごく!かっこよかった!!!「身一つで勝負!」みたいな潔さをすごく感じるというか、瞬発力が凄まじくて躍動する全身から生命力が弾けてる、スパークしてる!Dリーグのことも知らなかったけど興味が湧きました。
  • 筋肉ムキムキなマッスルズの皆さんがシュークリームの被り物を被り、マッシュの背後にずらりと並んでマッシュの「筋肉」を表すというやり方。絵面からしそもそも面白くてずるいんです。マッシュル原作のシュールさというか、「ええ、そこ筋肉でそうなっちゃうの~!?」という”なんでもあり”感を、舞台上でこれ以上なくうまく表現している手法ではないかと思いました。
  • 舞台って全部その場で表現しきらなければいけないという点では制約があるけれど、そこを更に観客の想像力でカバーできるという利点もあって。その部分にうまくブリッジをかけているというか、これは演出における発明だなって思いました。
キャスト
  • 「はい好き!もう全員天才!大好き!!!」ってなりすぎているので、ここに関しては改めて別で書きたい!だって本当に全員大好き!!!最高なんだもん!!!!!!
  • これは先に書いておかねばなんですが、主演の赤澤遼太郎くんのマッシュっぷりがすごすぎました。あんな冗談みたいに完璧に肉体が仕上がってくることってある!?
  • たまたま私が彼を直近観た別作品がHOLICでの女の子役だったので、本当にギャップにびっくりしました。いやあなた、数ヶ月前まであんなにかわいい女の子演じてたやん!?ってなった。御本人いわく、めちゃくちゃ筋肉がつきやすい体質なんだそうです。にしても!?
  • あのマッシュの姿に説得力があるかどうかで、作品のクオリティが左右される側面は絶対にあったと思うから、赤澤くんはマジですごい。あのシルエットは本物すぎました。あそこまで仕上げきった努力に、心からの称賛の拍手を送りたい……。
  • なんというか、本当に見事なまでに粒ぞろいキャストだったなぁと思います。全員がその役である必然性しかなくピッタリに感じられた。相変わらずネルケのキャスティング能力はずば抜けているなと思いました。ネルケ舞台のいいところが出ていた。
  • ベテランの配置が贅沢すぎる。いや流石に岡さんは腰抜かす。フットワーク軽くオファーを受けてくださって本当にありがとうございます!?になったし、ヒデ様のレイン・エイムズはワンフレーズ歌っただけでテンションが異常に上がりました。あんなんずるいわ。
  • アンサンブルキャストの方が6名いるのですが、ま~~~皆さんダンスもお芝居も本当にうまくて!!!アンサンブル側にもお芝居要素がものすごく多いパターンだったので、板の上にいる全員でマシュステ作ってるな!って感じる大活躍っぷりでした。


……ここまで読んで、マシュステ観てない人、どんなふうに面白かったのか気になりませんでしたか???なりましたよね???
なんと、初日映像の冒頭20分がノーカットでYouTubeに公開されているんだな~~~!!?
「※期間限定での公開となります。」って書いてあるからいつまで見られるかわからないんですけど!
百聞は一見に如かずということで、まぁまずは観てみてください!もちろん現地に勝るものはないんだけどもぉぉ!!!

魔法と筋肉のバトルが、ちゃんと現実のものとして存在している

当たり前に重要なポイントなんですが、見応えを語るにおいてこれも本当にでかいです。
そんなこと可能なのか?って思うんですけど、可能になっていた。すごかったし、何を観ていたのか未だにちょっとよくわからない部分がある。笑

魔法VS筋肉の時点で、どうしたって荒唐無稽になってしまうし現実味も薄くなりそうなのに、なんだか謎なくらいによくわからない説得力がある形で、ちゃんと舞台上に実現されていたんですよね。
先程説明した「マッスルズ」の皆さんが、マッシュの周りを取り囲みあの手この手で”筋肉”のパワーを表現し、マッシュは誰よりもハードな運動量でもって舞台上を走り回り、
そんな彼らと魔法使いたちが正面切って対決するわけなんですが、本当にバトルがびっくりするほどかっこいいのよ……。
もちろん魔法使い同士のバトルもバチバチにかっこよかったです!!!
バトルシーンで組まれているアクション、本当に全部好き。かっこよかった!(しか言えんのかい!笑)
やっぱり、そのベースにあるのが確固たる肉体表現なんですよ。人間への信頼!

舞台における正攻法と言いますか、まずは生身の人間の力でどう表現するかが考え尽くされていたと思います。
マッスルズの活躍により、肉体的に「人が人を持ち上げる」形で高さのある肉弾戦が随所に登場していたのですが、ワイヤーなしで空中に人がいる状態を表現するのもよく考えたらすごいことだし、ワイヤーアクションと違って事前準備がほぼ要らないのでテンポ感がとにかく速いのもよかった。
アクションとダンスが渾然となってひとつの表現になっているのも、なかなか他では見られない魅力だったなぁ。
マッスルズに囲まれた真ん中で戦うマッシュのかっこよさったらなかったです!

もうこれは観てもらわないことには説明困難すぎるやつなんですが、本当に舞台の上で、パワーオブマジックとパワーオブマッスルが炸裂していました。見事だった。
総合的にどう見せるか・どう面白くするかが徹底的に追求される中で、
その場に生きた者として存在する演者の肉体表現を第一に考えられている演出って、もうそれだけで信じられる。

これらの要素をひとまとめに束ね上げた、演出・伊藤今人さんの愛と力量

それがとにかくすごかったの一言に尽きるのだろうなぁと、見終えた今しみじみと思います。

今回、作品の幕開けから千穐楽後までの間に、キャスト陣やいまじんさんによる振り返りのスペース・Youtubeライブ・インスタライブ等の配信が豊富にありました。
それだけ座組側がみんなで語りたくなる作品だったのだなぁという点にもぐっと来るのですが、それらを聞いている中で「やっぱりあそこはそういう狙いであってたんですよね!?」みたく答え合わせになる瞬間がいっぱいあって。
観ていてここが好きだなぁ、気持ち良いな~と感じていた部分が漏れなく「狙って」作られたものだとわかり、いやお客さんの感情を狙い通りに持っていける手腕と予測力、すごすぎない!?ってビビったんですよね。。
具体的に例を挙げるなら、マッシュの「それができない世の中なら」のセリフで止めてM3オープニングのイントロ入れる→「ブッ壊すしかないでしょ、グーパンで。」で間髪入れずにM4に繋ぐ流れとか、一幕のラストに敵であるレアン寮を登場させるシーンはスポットライトが逆光で顔がわざとよく見えないところとか。
それ、狙い通りの効果が観客にものすごく届いてましたよ!?ってなりましたもん。観てる側の「楽しい!面白い!」が的確に撃ち抜かれている感じ。

特に、千穐楽後のとある配信でいまじんさんが「今回、実は純粋な暗転が一度もない」と仰っているのを聞いたときには「ですよね!!?」って叫びそうになりました。
暗転を使わずに、回転するセットの効果をメインとして場面転換がテンポよく進んで行くので、本当に観ていてあっという間に感じるし、ダレる瞬間が一切ないんです。
よほどうまく使ってくれない限りは、私暗転が割と苦手だったりします。。やっぱりどうしても集中力が途切れてしまうので。
あれだけ場面を詰め込んだ2時間40分なのに、工夫の積み重ねで一切暗転なしで物語を組み上げきったのは偉業だなと感じました。

ものすごく当たり前のことだなとは思うんですが、やっぱり演出の果たす役割ってとても大きいというか*5、いやそりゃそうか当たり前だな……なんですけど、演出ってつまりはその作品の羅針盤ですよね。
その導きが的確ならば、ここまで作品として観客に与える「面白さ」って狙い通りに作れるんだ、それを実現してしまえるんだなって、改めて感動してしまったくらい。
梅棒の本公演、今度こそ絶対観に行こうと思いましたし、いまじんさんが他の作品で演出を担当されることがあるなら観てみたいなって思いました。

そこには確かな「信頼」があった。ゆえの、とてつもない面白さ

今回先述の様々な配信や、SNSでのキャスト陣の声を聞いたり、また自分が現地で体感したこととして大きいのは、
ものすごく「信頼する力」の強い座組だったんだな、ということ。

このメンバーなら絶対にできる、やれるぞ!という自分たちへの信頼と同時に、お客さんのこともとても信頼してくれていたんじゃないかなと。
真摯に面白いものを作れば絶対に観客には届く、そのためにやるべきことは全部やる!といった感じの覚悟の決まり方が、すごく伝わってきたというか。
妥協なく誤魔化しもなく、本当に面白いものを作ってみせるというプライドと、それを客席に届けたいという思いがとにかく嘘偽りなく真剣だったことが、作品を観ていて熱烈に伝わってきました。
バカバカしさみたいなところを含めて全力&本気というか。思いっきりバカをやりきることで面白くなる!っていうその精神性、本当に昔から大好きなやつです。。


個人的に、この上半期はなにかと疲れることが多くて。
興行側からそれこそ”信頼されていない”ことにまつわるつらみがどっと押し寄せる出来事*6なんかもあったので、
マシュステを観ていて、「あ~私、やっぱり舞台が好きでよかったな、特に2.5のことまだ諦めなくてよかったな……」と、どこか救われたような気持ちすら湧きました。
自分が大好きなものが、大好きな形をしていてくれることってこんなにも嬉しいんだなと、感謝の気持ちでいっぱいになりました。

2.5次元ってやはり作劇がどこか特殊で、その原作の世界観をどう”再現”できるかがどうしても至上命題になりがちな部分があると思います。
でも同時に舞台作品単体としても面白いものじゃないといけないわけで、そこのさじ加減だったりバランス感覚がとても難しいと思うのですが、
マシュステはそこを正面から”舞台としての面白さ”でぶち抜いて来てくれて、本当に嬉しかったし大好きだった。
原作が好きな人からの評判も上々に見受けられたし、かなり幸せな部類に入る舞台化プロジェクトだったんじゃないかなと感じてます。


惜しむらくは、とにかく公演期間が短かった!
火曜に始まり土日を挟んで翌週の火曜にはもう東京公演が終わってしまうというコンパクトさは、興味を持ってもスケジュールを合わせるのがなかなか難しい。。
リピーターや口コミで埋まるためには、土日が最低2回は必要なところあると思うんですよね。
周りでも気になる、観たい~と言ってくれる友人は多かったのですが、タイミングが合わなかった声を複数聞きました。。
本当はもっとたくさんの人に観てもらえるチャンスもポテンシャルもあったと思うので、勝手に悔しさまで湧いてます!!!
もちろん幕開け後に十分評判で広まったほうだとは思うのだけど、でもやっぱ悔し~!!!笑
この短さだとリアルタイム性をもって感想をまとめるのもなかなか難しくて、結局だいぶ空いた今になってしまったよ。


トータルの観劇体験がこれほど幸せなものとして残ることって、正直そうそうないんです。もうこれは完全なる”当たり作”でした。
演じている側も観客もお互いに「楽しい!」が溢れている、最高の夏を過ごせました。完全燃焼してしまったのでもう既に夏をやりきった気持ちでいっぱいだよ。笑
マシュステに出会えて本当~~によかったです!
絶対にまたこの魔法と筋肉の世界に遊びに行きたいので、続編、全力でお待ちしていますね!!!

*1:今回はランス・クラウン役の石川凌雅くんを観に通い倒しました。ランスくんあまりにも最高すぎて絶対に寿命延びた。

*2:明かされてないので実は曲名わからないんですけど、便宜上パワーオブマジックと呼びます!仮タイトル「魔法の力」って言ってた……?笑

*3:テニミュを好きな人のことを「テニモン」と呼ぶのももうめちゃくちゃ古い言い回しなんですが、私はテニミュ2ndシーズンのせいで2013年に舞台オタクになったため、そのスタートラインはまごうことなきテニモンなのでした

*4:私が梅棒の名前を初めて意識したのは2019年の「愛のレキシアター ざ・びぎにんぐおぶらぶ」です。「刀狩りは突然に」の振り付けが特に好きだった思い出。エーステは実は未履修なんだな。

*5:もちろん脚本も要素としてはものすごくデカいんですけど、原作ものの脚本って原作を知らないときは評価がしづらいので今回は敢えて言及をしておりません!

*6:刀の話ではないよって念のため書いておきますね