こたえなんていらないさ

舞台オタクの観劇感想その他もろもろブログです。

チケットが値上がりしすぎてまじしんどいね!という話

シンプルにただそれだけっていう話なんですが、改めて「なんで???」って気持ちが募ったので書きます。

あのさ、本当に
舞台のチケット、値上がりしすぎじゃない???
今更というかもう自明のことにはなりまくっているわけですが、ちょっと昨今の値上がりに耐えられなくなってきて叫びたくなりました。
前々からチケット代の値上がりについては記事にしたいなとは思っていて、そのために過去の自分の半券をデータベース化してみようかな~なんて今年前半くらいから考えてはいたんですが……いかんせん面倒なので、とりあえず今日は客観的データの無いほぼ体感だけの話で失礼します。

元々高かったランクのチケットの値上がり

今年、様々な面で話題になった、ミュージカル「ムーラン・ルージュ!」。
発表されたチケット代には本当に界隈が激しくざわつきました。
はじめて見る、帝劇S席「17,500円」の文字には正直目ん玉が飛び出た。

平日:S席17,000円 A席14,500円 B席9,500円(税込)
土日祝・千穐楽:S席17,500円 A席15,000円 B席10,000円(税込)

お得に見られて嬉しいな~と思っていたA席までも、それまでのS席の値段を払わないと座れない場所に様変わり。
2階最後方のB席が土日になると1万円超え、というのはかなりな衝撃でした。


でも、MR!の場合は……幕が開いてみたらその値段の妥当性に納得せざるを得なかったんですよね。
これは夢か?と思うようなゴージャスにすぎる真っ赤な空間、帝劇がもはやムーラン・ルージュそのものに生まれ変わっていて、観るというより「体験する」という表現が相応しいと言いたくなる、そんな素晴らしい観劇が出来ました。
そりゃ海外からあのゾウさんや風車を持ってきて、キャスト全員個別にフィッティングした豪華な衣装を準備したらまぁ……仕方ないね!と思えて、気持ちよくお金が払えました。*1


しかし!話はそれでは終わりませんでした。
その後に発表された帝劇新作演目、S席が軒並みほぼMR!価格に生まれ変わってしまってるんですね。。
以下はこの秋の新作、ミュージカル・ピカレスク『LUPIN ~カリオストロ伯爵夫人の秘密~』のお値段。

平日:S席16,000円 A席10,000円 B席5,000円(税込)
土日祝・千穐楽:S席17,000円 A席11,000円 B席6,000円(税込)

ここに再び、界隈は大きくざわつきましたよね。。
MR!とは異なり、A席B席が以前の価格帯からほぼ上がっていないのでそこは大きな違いではあるわけなんですけど、いやそれにしても、どうしたS席よ!?という気持ち。
これはなかなか気楽に観に行こうと思える値段とは……やっぱり言えないよねぇ!?
帝劇のS席がここまで遠い存在になるとは思っていなかったので、地味にけっこうなショックを受けています。
今後、観に行くならAかBでいいや、にしかなれなさそうで。。


問題点としては、帝劇に関して言えばS席も範囲が広すぎるんですよね。
前方の端は見切れが生じることが多く、後方列は比較的見やすいけれども距離があることは否めず、S席の中でP~R列あたりを引いた時のがっかり感は正直かなりあります(そしてそういう列って往々にしてキャストのファンクラブ先行で回ってきたりしがち……という体感)。
S席の中でももうちょっとメリハリをつけた価格設定って出来ないもんなのかな!?とはずーーーっと思ってます。X(旧Twitterって注釈入れるの面倒だな)でもその意見をよく見かけますよね。
これほんと、なんとかならないのかな。。各ファンクラブやプレイガイドに席を配分する手間がものすごく上がる、とかそういう事情がありそうなことはなんとなく察するんですが。

来年上演予定のジョジョも同じ価格帯なのですが、興味を持ってくれている「普段舞台を観ない原作ファンの人」に、S席の値段を勧められなくて……A席かB席がいいと思うよ!と正直に言ってしまった。。
新しいファン層を獲得したい狙いもあっての新作だろうに、舞台オタクがビビっているこのお値段、普段舞台に縁のない人にはどう感じられてしまうんだろう?とかなり心配になります。

2.5次元及び周辺舞台の値上がり

こっちはこっちで、もっと値上がり事情がエグいかもしれない。
昨今、2.5及び周辺のいわゆる若手俳優が出る舞台に関して、チケット代が「1万円を切る」演目をほぼ、見かけなくなりました。。
例えば、以前は8,800円で観られていたミュージカル『刀剣乱舞』は、今や本公演が11,500円で、ライブ形式の大型公演に関しては12,000円を超える価格帯になってしまっています。

納得のいかない点のひとつは、箱とチケット代が釣り合っていない演目が散見されること。
「いやいや、この箱で1万取るん!?」みたいなケースがちょっとあまりにも多すぎる。
演劇を観るという観点からすると、機能として明らかに足りていなかったりする「これって劇場って呼べる?」みたいな箱であっても、更にその中でほぼ見切れてません?みたいな席であっても、一律12,000円取りまーす!みたいな券売がめちゃくちゃに多いですよね。
せめて劇場を正面から名乗れるところでやってくれよ、それならまだわかるよ……という気持ちになるんですけど。。
シアターミクサやステラボールに1万円超えのチケット代を払うの、本当に納得がいった試しがない。

あとは需給バランスの崩れ方も気になる。
先に挙げたような帝劇演目やいわゆるグランドミュージカルに比べて、2.5周辺の演目は観客の主たる層が圧倒的に若いです。
わたしよりもひとまわり以上も若い女の子たちが沢山いる界隈、どう考えてもそのメインターゲット層の収入に対して釣り合っているとは思えない価格設定になってきているのが、以前からものすごく気がかりです。。
今はまだ良いかもしれないけど、界隈としての持続可能性がものすごく怪しいというか……一過性の焼畑農業みたいなことを繰り返してどんどん先細りになってしまわないか?とガチで心配になります。
コロナ禍で観劇から離れた層は完全には戻っていないと聞きますし、自分がオタクをやっている実感ともそれは一致していて、その結果「上演しても極端に客席が埋まらない演目」が以前より増えているようにも思います。
需要と供給のバランスにしても健全さは欠いているというか……本当にどこに向かってしまうんだろう?と思う瞬間が増えている。

一体どうしてそんなに値上がってしまったのか

これ、背景もよくわからないよね、というのが正直なところではないでしょうか。いやほんと、なんでなん???
物価高が話題になるより一足もふた足も早く、舞台チケットは値上がっていた印象があります。
コロナ禍による大き過ぎるダメージがあったことは理解できるのですが、その後に遅れて世間一般の物価高の波が押し寄せたのもあり、値上げに関しては有耶無耶に納得させられている(※したとはいっていない)みたいな体感があります。
最初はコロナのせいで値上がりしてたんだな……と思ってはいたけど、一席空けの状況はとうの昔に終わっているし、
「なんでかよくわからないけど、チケットは当たり前に高い」という事実……まじでよくわからんなぁと思っています。なんでなんだ。業界に詳しい人がどこかで誰か、納得のいく説明をしてはくれんか。。


私が舞台を観始めたのは2013年で10年前なんですけれど、その時のチケット代ってだいたい6,000円~8,000円台に収まるものが多くて、帝劇S席も12,000円とかだったんです。1万円超えると高級な演目だな!って感じだった。
(本当はここにちゃんとデータを出したいです。。あるんだけどさ)

いわゆる「多ステ」を同じ回数でした場合を、当時と今とのチケット代で比較してみます。
7,800円/枚の同じ舞台を8回観る場合と、11,000円/枚の舞台を8回観る場合。(8回も観るなっていうのは、まぁそれはそうなんだけど一旦置いといてもらって)
前者は62,400円。後者は88,000円で、実に25,600円も差が生じます。
かつての7,800円のチケットなら3枚分の差。
つまり単純に「同じ金額を出しても、以前より明確に少ない回数しか観られない」という、非常に満足感の得られにくい状態になってしまってるんですよね。。
手数料の類も以前よりどんどん上がっているし、実質的なコストの差は上記より更に開いていると思います。


その結果、何が起きるかというと「本当に観たい演目以外は見送る」「本当はもう1回観たいけど我慢する」という状況がめちゃくちゃたくさん生まれています……。

これは舞台オタクと会話すると全員が100%言うことなんですけど、前みたいに気軽にあれもこれも観られない。本当は観たかったな、と感じる演目がどんどん増えていってしまう。
私はどちらかというと本心では「なるべくいろんな演目を観たい」派なんですが、同時にバカの多ステ民でもあるため、いよいよその両立が難しくなってきていますし、多ステをある程度諦めないといけない局面に来ているなぁと感じてます(これは正直オタクとしての死活問題でもある)。
今年の前半はフットワーク軽めにいろんな演目を観に行ってたけど、その結果「いや、これ絶対ムリじゃね?」という結論に達してしまった。。
どれも観てよかったと思う演目ばかりなのですが……来年同じ行動を取れるかというと絶対にNOな雰囲気があって本当につらい。
なんでだよ~と嘆いたところでチケットの値段が下がるわけじゃないので意味も特にないんですけど、ちょっと本当にしんどいな!?って思ったので体感を叫びたくなりました。。

じゃあせめて、できる努力をしてはくれないものだろうか?

物価高や人手不足に伴う値上がりがあるとしたら、それはもうしょうがないのも理解するんです。
でもじゃあせめて!もうちょっとお客側のことを考える要素、増やしてくれても良くない?と思います。
具体的には、チケットの価格を座席からの見え方に見合った設定にするとか。
高い席には高いなりの見え方、安い席にはそれなりの見え方、
それくらいの努力は……本当に今後業界には考えていってほしいなぁと思います。
有料最速先行でものすごい後ろの席を回してくる(最終的にそれより前の席が売れ残っていたりする)みたいなのもやめてほしいし、
ちゃんと劇場としての機能が担保された箱でだけ上演をしてほしいです。
私はまだ該当したことがないけど、「見えない」で有名になってしまった某・本来劇場ではない箱でかかりつづける人気演目があるとか、正直おかしいよなと思いますもん。
この間Twitterで類似の話が回ってきたけど、舞台って演目を「観に行く」ことが目的で、こちらはそれに対する対価としてチケット代を払っているはずなのに、
それが全うされない状況が当たり前とみなされているのって冷静に考えるとやっぱりものすごく変だと思うもの。。


私はコロナ禍真っ只中のときも舞台を観ることを絶対に諦めたくないなという気持ちをしつこく灯し続けてたんですが、
今年に入ってから、そうやって抱いていた思いを向こう側から棄却されるような、言ってしまえば大きく裏切られるような出来事が続いたりもしていて、ちょっと色々と厳しいなと感じます。。
いち企業が興行主になるのではない製作委員会方式の場合はどうしたって演目ごとに解散していくし、興行を打った瞬間がなんとなかなればそれでよく、”その先”につながるかどうか・未来がどうなっていくかは正直二の次だったりするのかなぁと感じるところがあって、
このあたりの健全化って一体どこを頼ったらいいんでしょうね。
やっぱりネルケか?ネルケプランニングなのか!?そこんとこどうですかネルケさん……。


私は本当に観劇が大好きで、そこは一生変わらないだろうなと感じるので、舞台を観なくなる日は多分絶対に来ないんですけど、
だからこそ舞台を取り巻く色々は、健やかであってほしいなぁと願っています。
未来が潰えたりしてほしくはないので、どこか当たり前に観客側に不健全な形で負担を強いたりする状況は、多少なりとも変わっていってくれたらなーと感じるのでした。
チケットの値上がりは本当にオタクとしての死活問題なわけですが、なんとか楽しく生き延びていきたいものですね。。値上がりつらいね!!!同好の士のみんな、がんばろうね~~~。。。

*1:ただMR!に関しては、私がたまたまS席の中でも運良く相当いい位置で見れたというのもある。S席前方サイドの見切れはしんどかったと聞きますので……