近くて遠いお隣の国に、初めて足を踏み入れた!
東京宝塚劇場で、「はいからさんが通る」を見ました。人生初(劇場での)宝塚…!
気づいたらまんまと(?)劇場にこの身が運ばれてしまっていた。いったいどうして?
初めてこのブログを読む方向けに解説しておきますと、この文章を書いているのは
- ここ7年ほど舞台おたくをやっており(入り口は2.5)ミュージカル全般大好きでわりと色々見る
- 俳優さんにれっきとした推しがいる*1
- 宝塚は映像でしか見たことがない
- そのくせはるな檸檬さんの「ヅッカヅカ」を愛読していたため、謎に用語知識だけはある(?)
…みたいな人間です。
そういうやつが書いてる感想なんだな、と色々さっぴいて読んでください!
もしもうっかり出会ってしまったヅカオタの方がいらっしゃいましたら、「オッこんなところに初めて宝塚を見た感想があるぞ!しめしめ」くらいな感じで、面白がっていただけると幸いです…。
◆チケットがお値打ちすぎる。めくるめく夢体験!
…テンプレみたいな見出しになったけど本当にそう思ったんだ!笑
見に行くに至った背景などはあとで書くのですが、見に行きたいと漏らしたところ話がトントン拍子に進み、いつの間にかチケットがばっちりご用意されることになり、最終的にちょっと動揺しました。心の準備が…!
「お前…ついに宝塚を見てしまうのか?」という謎のプレッシャーと、「やばい超楽しみ!!!」のテンションがないまぜになった状態で、東京宝塚劇場に向かったんですが、
もうねほんと、
ちょうたのしかった
はーーーーーーたのしかった…見終わって「たのしかった…たのしかったなぁ…」って50回くらい言ってた。たんのしかったーーー!!!
はいからさんが通る、テーマソングからもうテンションがおかしくなれます。時は大正ロマネスク♪って、そんなの頭から離れなくなるやつ、全員で踊るオープニング、全オタクが好きになるやつ!!!(主語が巨大)
サビ最後の「はいからさんがと・お・る♪」の振り付けとメロディだけで、もうしょっぱなから最高になりました。いやほんとに、最高ですね???
原作の内容はうっすらとしか知らない状態で見たのですが、説明不要の「ザ・古き良き少女漫画!」の世界にとりあえずどっぷりとつかればOKなので、楽しさしかなかったです。
「目が!目が!!視界がつねにたのしい!!!なんだこれは!!!」だった…。
もう衣装が全部かわいい。女学生の袴もメイド服も園遊会のドレスもモガのワンピースも、本当に全部かわいい…
紅緒さんのハチャメチャにおきゃんなところ、も~~ちょ~~かわいくて…一幕で頻繁に着ている黄色い普段着のワンピースのディティールがたいへん。レースたっぷりのヨークに裾の細かなフリルにリボンサッシュベルト、白いレース日傘…!
とりあえず、一幕終わったあとは「チケット代に対して情報量が多すぎる!」って叫んでいました。
「だってあの人数で、あのお衣装で、あのセットで…?このあとまだ二幕とフィナーレあるんですよね!!??なのにチケットこの値段でいいんですか!??」なった。
いやほんとすごい。歴史と伝統に裏打ちされた福利厚生が怖い。
あとそもそもフルカラーのパンフレットがたった1000円なのは頭おかしい!!!
なんていうか、出したお値段に対する満足度が異様に高すぎる。。。まじでびっくりしました。すげえや。
二幕は猛スピードで話が展開してくので、原作を知らないと途中で「ごめんもっかい説明して!」ってならなくはなかったんですが、
でもまぁ文脈がある意味わかりやすく少女漫画なので、そこはだいたいセオリーで理解できてしまうところがあり、勢いで見れました。
そして本編が終わって呆けているところに、まじで間髪入れずにフィナーレ始まるのでビビった…フィナーレの曲がラフマニノフのピアノ協奏曲第二番のアレンジだったのもしぬほどかっこよかったです…何事?なりました。
しかもバージョンが2つあるんですってね!?「軍服が大正バージョンで黒燕尾が浪漫バージョンです!」って教えてもらって「ハーーッ(嘆息)」ってなりました。大正!浪漫!!!(※言ってるだけ)
昨日見たのは大正バージョンだそうです。男役の皆さん、キラッキラのシルバーの軍服がイケ散らかしててやばかったです。いやどうなっとるん。
そしてデュエットダンス…まぶしい…焼かれるッ…!ってなりました。「幸福感を具現化してみました!」みたいな花嫁と花婿で、あまりにもまぶしすぎた…。
華優希さんのドレスが真っ白なだけでなく、ラメが織り込まれているのかな?キッラキラの素材で、本当に光のかたまりみたいで…おふたりが上手側で手を取り合ってぐるぐる回ってるところ、照度が高すぎて目が焼けた…なに…?
色々混乱して、見終わったあとこうなった。
宝塚って何!!??(宝塚だよ)
— あなぐま (@numa_mistake) October 11, 2020
(宝塚だってば)
◆「生で見てはいけなかった」はずの…
あの、、そしてね、、、ちょっとブログを書く上で論点ををずらそうとしてたんですけど、
もういさぎよく諦めますね?
少尉むりかっこいい
いやずるい~~~~あれはずるい~~~~~いや、無理でしょ…
柚香光さん演じる伊集院忍少尉が。。わけわからんくらい、かっこよすぎて。。。詰んだ…(詰むな)
「そんな少女漫画な人いる?!」ってなった…見た目が少女漫画じゃん…存在が少女漫画じゃん!!!!!!!!
あの少女漫画独特の線の細さ(しかもドイツハーフ!)を、そんな絵から抜け出た感じでできますか!?…できるんだ!!?だった。
「うーんこれは宝塚じゃないとできない表現だわ」と、見事すぎて天を仰ぎました。なるほど、こういうことか~という説得力があった…。唸ってしまう。
この世に存在しないタイプのかっこよさってそういうことね!と。男役にしかないかっこよさってこれを言うのか…!と。
だって、何!?あの足の長さと顔の小ささ!?なにがどうなったらそうなるの!??ブーツを履いてる御御足の長さと細さ…。スタイルがおばけだった。
途中で軍帽をピュッと投げるところはずるすぎてずるかった。
銀橋を歩いてこられると「アッだめですこっちに来ないでください」になりますね。…なにをいっているのか?
そして、真っ当な少女漫画のヒーロー的「恋心」の表現なさり方が…やばかったです…ウアァ…。
声ににじませる恋心の在り方が素敵すぎた…みたいなことを初見で言いますか普通。そういうとこだぞあなぐま。お前はそういうこと言うからかんたんに沼るんだぞ。(セルフ説教)
なんというのか、紅緒さんを想うセリフのひとつひとつが、陽光みたいなあたたかさを含む声で、いやちょっと、存在があまりにも光すぎんか!?なりました。
いやーーーほんとに…紅緒さんに対する包容力が…なにそれ…おそろし…いやかっこ良…すご…。。。
主人公のヒロインに対してなにがあっても愛を貫く様子が、少女漫画のヒーローにしかないやつだ…ファンタジーの具現化だな!?夢かな!?って。
まじでほんと、
生で見るんじゃなかった…!(顔を覆う)
— あなぐま (@numa_mistake) October 11, 2020
ほんとこう思った。ほんとさ~!おまえはなんでそんなに迂闊なんだよ~!!!わかってたのになんで行ったんだよ~~~!!!
(見たかったから…)
◆見に行く前になにがあったのか
いや別になにもないんです、なにもないんですけど…
映像で過去に見たことのある宝塚の演目についてここらでちょっと解説します。
実のところ、映像できちんと見たことのあるその内訳がものすごく偏ってまして、「ポーの一族」(2018年花組)と「エリザベート」(2014年花組)だけなんですね。
もはやそのラインナップ、小池先生のおたくである。
(数年前に、友人から花總まりさんが娘役時代に出演されていた映像も貸してもらって見たのですが、何年の公演なのかは失念…!)
ポーの一族は、だいぶ前に会社の先輩がスカステ焼いてくださったのを見たんですが、後日自分でブルーレイを買いました。(理由:好きすぎて)
エリザベートは東宝版に並々ならぬ思い入れがあり、日本初演の礎になった宝塚版もどれかはちゃんと見ておきたいなと思い、フォロワーさんのおすすめにありがたく乗って2014年花組を買ってめっちゃ楽しんだ、というのがわりと最近の話です。
「スターアングルって何…すげー!」ってなったりして楽しみましたマジで。福利厚生すごいな~!
で、ポーに関してなんですが、原作が好きだったので、シンプルに見てみたい気持ちが当時からありました。たいそう話題になっていましたよね。
とはいえ、超人気演目を馴染みのない人間がそうそう見に行けるもんでもないので、当然見る機会はなくそのままになっていた…という事情があったんですが、先述の先輩にディスクをいただいてありがたく拝見し、小池先生演出+原作文脈で、ものすごく楽しんで見ました。
…その中でね。「あーーーこれは絶対にまじまじと見たらダメだ」と思ったのが、ほかでもない、柚香光さんだったんですよねぇ…。
なんていうか、本能が敏感に危険を察知した…。
びっくりしたのがフィナーレの映像で。「ちょっと待ってくれ、アランの時とちがいすぎない!?なんでいきなりそういう感じ?!」ってひっくり返りまして…いやだってウインクとかまじおっかなくない!?噛み付くようなウインクってこのことか!と膝を打った。かみついてた。んぎゃー。
トップの明日海さんがどちらかというとなんともいえずノーブルな感じでいらしたので(だとしてもエドガーとの振り幅には驚かされるのですが)、その対比というか、いい意味でのケレン味みたいなものに驚いて、とりあえず見なかったことにしたんですよね…。華がやばい。
いや~おっかないおっかない。近寄ったら大変なことになる!と思って、そっと心のなかにしまいこみました。
そしてその後、トップに就任されたというのは普通に舞台おたくをやっていると風の便りで耳に入ってくるので(※不思議だけど入ってくるのよね)(※それはお前がうっすら気にしているからでは?←)、
「あ~~~~なるほど了解しました!近寄りませんね!」って思ってたんですよね。思ってたのよ。
なのに、なんでホイホイ見に行ったんだろうね!!!?
昨日のソワレ以降、頭の中を少尉が通りすぎるので、「通らないでほしい」ってなっています。(※少尉ははいからさんではない。)
友人の友人がヅカオタで今回チケットを用意してくださったんですが、「なんで今まで宝塚見てなかったの?」って言われるほどでした。
このリアクションの良さ、連れて行き甲斐がありすぎたそうです。ヘヘッ。
舞台おたくを長年やっていると「オタク的二親等」には必ずヅカオタの方がいるような気がします…!笑
見に行って楽しむだけですごく喜んでもらえて私まで嬉しくなりました。歓迎されるのってありがたい。笑顔で沼に誘われている事実からは目をうまく逸らしつつ…
とはいえね!本当、生身の人を好きになるおたくをやって久しいので、自己に対する傾向と対策はもういやというほどわかっているので、いのちだいじに過ごします!笑
「総員!守れェーーーーッ(財布を)」ってかんじです。いやほんとうに。命がいくつあっても足りなくなるからっ…
一緒に見に行った友人とは「たまにいく別荘地としよう」という約束を交わした。
家訓:宝塚は軽井沢で別荘地!
たまに遊びに行かせてください!!!(いくんかい)
◆つまり、それくらい、楽しかったです
…という感想でした!(どんなだよ)
あそこまで「お客さんを絶対に楽しませる、キラキラしたものだけを見せる!」っていう、ある種執念のようなプライドで作り込まれている劇場空間、他に類を見ないような気がしました。
前提として”観劇”なんだけど、普段慣れ親しんでいるミュージカルとはやっぱりどこか違う体験。
独特の完成された世界観、本当に面白いな…と思います。
開演前のアナウンスやパンフレットで述べられる「ようこそお越しくださいました」っていう日本語が好きすぎます。
非日常への丁寧ないざないに、手を引かれるまま身を委ねればよい完璧な夢の空間がそこにある。そしてそれはやっぱり、長く培われてきた時間の為せる技なのだろうなと…。
100年を超える伝統を守ってきた矜持の在り方は、やっぱり外から見てもかっこいいです。
春に予定されていた公演は、スケジュールが何度も何度も変更され、大劇場では公演中止を経たりもして、そこからの今回の、東京公演なんですよね。
親の仇か何かのような風当たりの強さに晒されていたエンタメ全体の中でも、常に凛としている印象だった宝塚のその姿勢には、舞台が好きなおたくとして、勝手に力をもらっていた瞬間がありました。
この先だってどうなるかわからないし、興行にとっては苦しい状況が続いているのも事実だと思うのですが、
こうして実際に足を運んで、その輝きをお客として受け取らせてもらえたことは、これも勝手にではあるけれど、とてもとても嬉しい出来事でした。
東京での公演が無事に千秋楽を迎えられることを、心から祈っています。
素敵な時間をありがとうございました!たぶんまた行く!黒燕尾見なきゃ!!!(フラグ)