こたえなんていらないさ

舞台オタクの観劇感想その他もろもろブログです。

宝塚花組「花より男子」を見て盛大にバグったおたくの感想

あけましておめでとうございます!
きのう、覚悟を決めて宝塚の花男を映像で見ました。
kageki.hankyu.co.jp
事前に予想していたとおり、見た結果無事に頭がおかしくなってしまったので、その感想を勢いだけで書きますという記事です!(そして開き直って道明寺の話しか書けないですごめんなさい~!)




◆前フリ:「そんな恐ろしいもの見てたまるか!」

昨年10月に「はいからさんが通る」をうっかり現地で見てしまって以来、いったい何があったの?という勢いでゴロゴロと柚香光さんおよび宝塚に転げ落ちているわたくし。
参考までに現時点での進捗を申し上げますと、

  • 宝塚友の会:入会済
  • CS専門チャンネルタカラヅカスカイステージ」:契約済
  • 「歌劇」「宝塚GRAPH」年間購読:申込済
  • 花組以外の現地観劇:月組WTT/ピガール狂騒曲、2回見てきました、たのしかった)

…まぁそんなかんじです。いや、進捗順調かよ。
歌劇とグラフが今後たくさん増えそうだなと思い、本棚を買い換えた際にはその2誌がぴったりおさまるサイズの棚を用意したり、年末を前にスカステで録画容量が死にそうだなと思ったので、レコーダーに新たに4TBの外付けHDを設置したりしています。柚香さんが出ている作品の映像もコツコツと集めだしました。そろそろヅカオタを名乗れそうになってきている。どうして???
約2ヶ月で各種インフラを爆速で整えてしまっておりまして、おかげでこの年末年始の休みはたぶんトータルで十数時間は宝塚関係の映像を見てしまいました。(とってもたのしかった!)


そんなこんなで10月以降、様子がおかしくなったわたしに対して、なんだかやたらたくさん花より男子を見てください!」って、Twitterで猛烈に勧めて来る人たちがいらっしゃったのですよ。

なに、花男…?ほほう…道明寺司で、柚香さんが主演だと…?
だいたい想像がつくよ!!!それ、とっても恐ろしいやつだよ!!!(確信)
というわけで「そんな恐ろしいもの見てたまるか!」と言って拒否をし、まぁ時期が来たら見ますね!と逃げておりました。



(全力で逃げようとする様子)

…なのですが、年末にちょうど、WOWOWで放送があったんですよねー。
そうか~放送あるか~ってなると、そりゃあ、せっかくだから録画するよね。
んで正月休み、最終日に時間が空いて暇だなと思った時、見るよね…。
うん、見ちゃったんだよね…。
結果、想像どおりにたいへんおっかない目に遭いました。柚香さんはおっかない。(ほめています)

◆恋する道明寺の破壊力、計測不能

やはりそこは道明寺ですので、つくしから見たとおり、最初は印象最悪な金持ちのボンボンとして、それはまぁにぎにぎしくご登場なさるわけです。
感じ悪くていじめっ子で、ほんっと、最低な奴~!って、言われても仕方ないような。(…いや、それでもかっこいいんだけど)(隠せない本音)

柚香さんが演じていてもそこはもちろんしっかりと、キャラクターとしてはものすごぉく「嫌な奴」なんですけど…しかし。
つくしへの恋心を自覚した後の変貌ぶりが、やばい。
いやなんで急にそんな可愛い???
…すっごかった~~~~。。。びっくりした~~~。。
あまりにもカラフルに息づいているその「恋心」の表現に、見ていて目が飛び出るかと思いました…え…なんであんなことができるの…?
画面越しなのに、映像なのに、TVの中で炸裂しているその恋心を受け取りきれずにキャパを超えてしまい、頻繁に一時停止をはさみながら見る羽目に。。


なんていうか、本当にびっくりするくらい、「男子高校生」なんですよ…。
好きな子を前にしてドキドキして、カッコつけたくて、素直になれなくて、どうしたらいいかわからないその様が、顎が外れそうに可愛くてリアル。
いや、小学生かよ!?って言いたくなるような子供っぽいリアクションをしてみたり。。
そんな中で好きな女の子の隣にいられて、彼女が自分のことを見てる!っていう瞬間には、耐えきれずに心からの眩しい笑みを零し、それこそ全身を使って喜びを表現してしまう…。
2幕頭の別荘に来たぜ!のところとか、俺、牧野のこと大好き!って認めちゃってるからなのか、大はしゃぎで波打ち際で駆け回る大型犬みたくなってたし…可愛さが度を越しとる。落ち着いてほしいになった。


道明寺柚香さん、その表現のひとつひとつが、なんていうか本当に鮮やかで、目が惹きつけられてどうしようもなかったです。
1ミリたりとも、その存在が平板になることがない。
役としてリアルに「その場で生きる」力が抜きん出て強い方だなということを、改めて実感しました…。
存在すべてを使って役作り、表現をしていることがわかるというか。
目に浮かぶ表情、その視線の強さ、ちょっとした身振り手振り、なんかもうその佇まい全てで「恋」してることがありありと伝わってきて、本当にたまげた。。
あんなに嫌な奴ではじまるのに、そんな道明寺の恋がうまくいかない様子を見ると、こちらの気持ちが驚くほどに苦しくなってしまう…。
フォロワーさんも言ってたとおり、絶対に幸せになってほしいって、見ながら自然と願ってしまうんです。「あぁ~そんな傷ついた顔しないで!大丈夫!きっとだいじょうぶだから!」って、必死で励ましの声をかけたくなってしまうような。。
つくしでもないのに、こんなふうに気持ちを引っ掻き回されるなんて一体どういうことなんだ…と、見終わる頃にはヘトヘトになっておりました。

◆道明寺さんは踊らないでほしい(それは無理)

その大爆発している恋心のさまだけで、もう見てるこちらはボロボロなわけですが、当然のこととして、めっっっちゃ、踊るんですよね…(うん、宝塚だからね…。)
道明寺は全編通してわりとタイトなシルエットのパンツをお召しなのですが、そういう服着てなんでそんな動けるの!?だし、とにかくキレが凄まじい…
いやもう、柚香さんなのでダンスに関してはそれはそう、という感じなんですけど、でもさ、にしたって~~~
…かっこよすぎる~~~~~…(THE END)

一幕のわりと序盤、攫ってきたつくし(※シンプルに人さらいしててひどい)を、エステやなんやらで変身させるシーンでは、なぜかずっとマイケル・ジャクソン風に踊ってらっしゃるんですが*1、何が始まったのかわからず、ただ圧倒されつつぽかんとして見入ってしまった。
だって、ムーンウォークまでしてたよ?????いやなんでそんなことまでさらっとできる????なにもの???

そもそもがビジュアルの時点で有無を言わさず最強なのに、それで踊られたらもう、たまったもんじゃありません…!となり、とりあえずしばらく「踊らないでほしい」と思いながら見る羽目になった(無理な相談である)。

英徳学園の支配者として君臨する様も、真夏の海に大好きな君と来たぜひゃっほう!も、道明寺司のダンスレッスンも…
場面場面によって、振り付けを通して伝えてくる心情が、また全然違っていることも伝わってきて。。
柚香さんがセンターで踊りだした瞬間の、場の掌握力って、まじで半端ないものがありますよね…
あ~~~もう無理無理、完全降伏絶対服従~~~~!って頭の中で叫びながら、平たくのされたようになりながら見てました。そりゃ頻繁な一時停止も挟むわ。
家だったんで思わず「かっこいーーーー!!?」って笑い声漏らしたりしましたからね。危ないやつ。


あとさ~~~最後の、フィナーレのデュエダン~~~~!!!!
あれ、ほんとなんなの!!?(キレんな)
つくしを演じていた城妃美伶さん(つくしすぎて本人か?なった、かわいすぎる)との、うっとりするような徹頭徹尾”LOVE”に溢れたデュエットダンス。。
柚香さん、デュエダンだと本当に作り出す空気が別なものに変わる!!!それがまたすごい。
相手役の娘役さんのことを全身全霊で包み込もうとするような、いま、ベースに超弩級の愛がありますよね…?ってなるような…
まじでご本人が包容力のかたまりになって、踊ってらっしゃるなとおもう。。
なんであんなふうに、瞬間的に柔らかくてあったかい空気をまとえるの?って、見てて目が点になってしまうんです。驚きすぎて。。
そして問題はそんなデュエダンのラスト。
踊り終わった後に、そっと手を差し出すもなぜかふいっとひっこめた柚香さんに、しろきみちゃんが「え?」って顔になったところ、今度はいきなり強引に手をギュッと掴んで、そのまま満面の笑みで風のように駆け出していったので「この初恋泥棒ーーー!!!」みたいな気持ちになりました。
あれ、見てて萌えすぎて、耐えきれずに顔を覆ってしまったほど。。奴はとんでもないものを盗んでいきました…をひとりで思わずやり始めてしまうほど…いや恋…泥棒…(おちついて)

現代日本の男子高校生役。宝塚の「魔法」が使いにくい中でも輝く柚香さん

これはあくまでも発展途上の初心者の感想として聞いてほしいのですが、柚香さんの道明寺のすごさがどこにあるのか、昨日からいろいろ考えていたことを書いてみます。

花男は、舞台が現代日本で、主人公たちは全員高校生。ゆってしまえば、わかりやすく「現実と地続き」の世界であると言えると思います(英徳学園みたいな高校が本当にあるかは置いておいても)。
これって、わかりやすく言うと、宝塚的な「魔法」が、使いにくい環境ではないかな、と思ったんですよね。
たとえば歴史もののゴージャスな衣装もなく、描かれているのは過去のどこかの異国でもなく。
構造上、ある種の”ファンタジーとしての別世界が、視界にわかりやすく提示されるタイプの作品ではないので、フィクションを成立させる説得力に、物語の外側の構造の力は借りにくい特徴があるように思います。


詳しいことはわからずに言ってますが、そういった”ファンタジー”の中においての「これが宝塚的かっこよさだ」という文脈は、ものすごく確固たるものとして構築されてきているんじゃないかなと、想像しています。
そしてそこにある種の正解・正統派のようなものも、演じる側と見る側に共通して構築されている部分もきっとあるんじゃないかな…と、初心者はぼんやりと思うわけなんですが、花男っておそらくはその文脈からは、やや外れたところに位置するような作品だと思うんですね。
そうなったとき、たぶん「その作品において体現しなければならないかっこよさ」って、また全然別種の、違うものになっているような気がして。
うまく言えないのですが、構造的な部分に担保された、伝統的な男役としてのかっこよさの「魔法」を決して使いやすい状況ではない中で、それでも見る人を圧倒して惹きつけるような役作りができるとしたら、
それってやっぱり、本人が持っている「演じる力」の確かさによるものなんじゃないかなぁ…と思うのです。
柚香さんは、それがとてつもなく強い方なんじゃないかな、という印象を個人的にものすごく受けています。
役として生きることを徹底して掘り下げる、お芝居の人でいらっしゃるのだな…というような。だからこそ、あんなにも見る人の気持ちを動かすことができるんだろうなと。


わたしははいからさんでドボン!と思いがけずに大海原へのダイブを決めてしまった人間なんですが、ここで書いた内容は、はいからさんを見ていて感じたことにも繋がっています。
柚香さんの演じる少尉、本当に頭がおかしくなりそうに魅力的だったんですが、
劇場ではいからさんを最初に見たときに抱いた感想の芯に、「生き生きとした恋心の表現に惹きつけられた」という感覚がありました。
わたしが柚香さんを好きになった根っこが、たぶんここにあるような気がします。
言わずもがなで最早野暮ですが、お顔立ちの美しさ・スタイル・ひときわ水際立ったダンス…あげればきりがないそういったもの全部ぜんぶ、言葉が追いつかないほどに素敵なことは大前提!として、
それでも、はいからさんでわたしがあれだけ一気に気持ちをぐいっと強引なほどに持っていかれたのは、少尉が紅緒さんを想う、あの繊細な恋心の表現のせいであったように思えるのでした。


…こういう書き方をすると、まるで漫画原作モノでしか真価が発揮できないみたいな風に書いてると受け取られかねない!?(心配性)
それは断じて違います!わたしが言いたいのはそういうことではない!とひとりで念入りに大声で叫びつつですが、
おそらくは宝塚的にややイレギュラーな場においても、それをハンデとせずにむしろ強みに変えてひときわ輝いてしまえる。それが柚香さんの魅力のひとつというか、持っている力の確かな部分なんじゃないかな…と今回花男を見ていて思ったので、それに感動したさまを好き勝手に書いてみました。

なにが言いたいかというと、わたしは柚香光さんが好きだ!(それは言わんでもわかっとる)

逆に、わたしは観劇体験としてこういう入り方をしてるので、これから先の、花組の真ん中に立っている柚香さんのどんな新しいお芝居を拝見できるのか、それがますます楽しみにもなります…!
「どんな姿を見せてくれるのか全然予想がつかない」って、役者さんを応援していてものすごく嬉しいことのひとつだと思うんですよね。
この先に見られるものが、本当に楽しみだなぁー!



わかっちゃいたけど2021年も舞台には変わらず受難が待ち受けていそうで、正直リアルタイムで気持ちはとても苦しいですが、
「NICE WORK IF YOU CAN GET IT」は無事に著作権をクリアしてライビュもやっていただける…!とのことなので、
何らかの形で、その姿が見られますようにと、今はひたすら繰り返すように祈っています。
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1月9日、大好きな人達の初日が重なっていて、そのどちらも無事であってくれと、願うばかりです。

*1:複数のかたから、あれは演出家の先生の好みで…!と背景など教えていただきました