こたえなんていらないさ

舞台オタクの観劇感想その他もろもろブログです。

【※超ネタバレです!】刀ミュ「髭切・膝丸双騎出陣2019」感想【見てから読んでね!】

源氏双騎、7月7日ソワレに行ってきました!(諦めかけてたけど当引買えたおかげで行けた!奇跡だ!)
なんか「ものすごいものを見た」という感想しかとりあえず湧いてこない…びっくりした…

やーーー…とにかくツイッターでのネタバレは厳禁だと思っているので、ブログに引きこもりに来ました。
というわけで、以下全力でネタバレします!!!
言ったよ!言ったからね!ネタバレするって言ったからね!!!
まだ見てない人は、現地観劇だろうがライビュ予定だろうが、以下絶対に読まないでほしい!言ったからね!!!(2回目)
別にネタバレ気にしないです~な人にも、できれば見る前には読まないでほしい…。まじで。あの体験から得られるものを、いちおたくに過ぎないわたしの文章で余分に目減りさせてほしくなどない。頼む。
まだ見ていなかったら、いったんこのページを閉じましょう。そして観劇orライビュ後に、どうぞ戻ってきてください。

というわけで、以下を読むのは観劇済みの人のみor楽が終わったあとで、なにとぞよろしくお願いしますー!

(あとあくまでも1回みたきりの記憶で書いてるから間違ってるところ当然あるので!大幅に間違ってて直せるところあれば直しますね)










…めちゃくちゃ改行した上に普段使わない「続きを読む」まで発動したぞ。もう喋ってもいいかな。(左右を見回しながら)


今回の源氏双騎。これまでとは作品の作りというか、手法が大きく異なります。
なぜならなんと、1時間5分の一部公演中、そこには刀剣男士としての髭切も膝丸も出てきません。
言ってしまえば「刀剣男士キャストが出演しているのに、刀剣男士を演じない」という前代未聞の状態が起こります。
いや、この言い方は正確ではないな…。
正確に表現すると、今回の一部、
「刀剣男士である髭切と膝丸が、(おそらくは本丸の主の命により)曽我物語を演じてみせる」
という状況なんです。…もうさ~~!本っ当にぶったまげたよね!!!
つまりは、ミュージカル刀剣乱舞という世界の中に、<刀剣男士が出てこないミュージカルパート>という、全く新しいジャンルが誕生してしまったわけです。。。
となるとさぁ、もはやこれ「2.5次元なのか!?」ってなるよね?ある意味?!
だってそこに、原作の中に存在するキャラクターである刀剣男士、いないんだよ!!?いや意味わかんなくない!?すごくねぇ!!?
よくぞそんな演目をやってのけようと思いついたな…!という衝撃に襲われてちょっとどうしたらいいかわからなくなりました!(※いい意味で)


そもそも、”双騎出陣”と聞いたとき、我々は果たして「一部ミュージカル・二部ライブ」形式を思い浮かべてただろうかって話もありましてね。
本公演でも真剣乱舞祭でもない演目として、これまでの刀ミュに存在していたのは「加州清光単騎出陣」が唯一でした。
清光単騎は、ご存知のとおり、徹頭徹尾ライブ!ショウ!って感じの演目で、一部衣装で歌われる曲ももちろんありますが、圧倒的な加州清光によるライブパフォーマンスを堪能する作品。
なので当初、源氏兄弟による双騎が発表されたときも、お~つまり、あのダンスバリバリ・歌も抜群な二人による華やかなライブ演目が開催されるんだな!ってみんな予想していたと思うんですよ。
…しかし蓋を開けてみたら、発表された構成は、いつもの本公演と同じ「一部ミュージカル・二部ライブ」の形式。えっどういうこと、それもはや新作じゃん!?なった。笑
さらにその一部の作りも前述のとおり全くこれまでとは違っていて…ものすごい意欲作だと感じました。
ここに込められた覚悟がいかほどのものだったのか、いったいここからどんな新しい地平を目指そうとしているのか…。とどまることを知らない刀ミュの、貪欲なまでの向上心にぞくぞくさせられた。


衝撃がでかすぎてほんとうに頭がぽかんとしてしまい、なにから書けばいいのかわかりません。
物語は超シンプルに「曽我物語」そのもの、と思っていただいていいと思います!なのであらすじ部分は潔くwikiに譲って(おい)、以下は言いたいことを言いたいように、なるべく読みやすく書きますね…!
ついでにwiki貼っておきます。
ja.wikipedia.org


◆歴史がわからない私VS曽我物語

…この勝負、今回もミュージカル刀剣乱舞の圧勝~!!!!!
つまり「歴史がわからなくても全然問題なく楽しめる」世界が、今回もそこにはちゃんとありました。

いわゆる予習として、wikiをさら読みするくらいしてみてもいいのでは?って思ったんですけど、でももうせっかくならと思い、これまでどおり「準備ゼロ」で潔く見に行きました。もはや、これは歴史に死ぬほど疎いわたしの開き直りです。笑
いやね、ほんっとうに、このブログでもなんべんもしつこいくらい書いてますが、刀剣乱舞というゲームを遊んでいてなお、わたし引くほど日本史に疎いんですよ。。
なんだけど、そんな状態の私でも、刀ミュの物語を味わう上で支障を感じたことは今まで一回もないんです。
なのでむしろ、前提知識ゼロの状態で臨んでどこまで理解できるかを確認したい気持ちもあって、「なるほど曽我物語なんだな!(ただし中身はわからない)」とだけ思って今回も会場へ向かいました。


その結果、やっぱり見る上で、歴史の知識がないことは一切問題にならなかったです。しっかり楽しめた!
だって私、曽我物語になんで源氏兄弟の太刀が関係あるのかすら、わかってなかったんですよ。それでも楽しむのに支障なかったんですよ!すごいよね!(いばるんじゃねえ)

なんとわたくし、「たしか義経は、頼朝との関係が回復することを願って、お前を箱根権現に奉納するよね」っていう感じの、つはものに出てくるあの兄者のセリフだけで、今回のストーリー後半を理解したんですよ。これ、地味にすごくねえ?
まさに「刀ミュで学ぼう歴史上の逸話」状態です。開き直りが過ぎてだんだん恥ずかしくなってきた。笑

「あ、箱根の別当から授けられた太刀が膝丸なのか!*1その点で兄弟刀に縁のある物語だったのか!」ってわかった瞬間、話がすとんと繋がって感動を覚えた…。(御笠ノさん、こんなファンでほんとすいません…)
しかし、これくらいなにもわかってない残念な体たらくな人でも、ちゃんと楽しめるように作られている今回の物語なんです。一番大事なのはそこですよ!
だからこそ私は刀ミュを信頼してるんですよね。歴史がわからない人を置いてけぼりにしない姿勢。
いやぁ、源氏担の人ならば常識だったし、なんでサブタイトルが「~SOGA~」なのかも一瞬でわかったんだろうな~。すごいな~。

◆「G線上のアリア」が使われた背景がしりたくてしにそうです

今回いろんな場面で度肝を抜かれまくって大変だったんですが、その中でもトップ3に入る驚きがコレだな…。
一部も二部も、劇中のBGMに、バッハのG線上のアリアが使われていて。ほんとうにひっくり返りそうになった。
既存の名曲を演出の一部に使用したのは、私が把握している限り、阿津賀志巴里二部の冒頭、イントロダクションパートのダンサーさんによるパフォーマンス部分だけ。あそこで使われた「幻想即興曲」以外には、既存曲の使用はなかったと思う。
あのときは「パリで公演する演目だから、パリに縁のあるショパンの幻想即興曲を使ってるんだな」っていう理解をしてたんですよ。現地のお客さんに向けた一種のサービス的要素もあるのかな、と。
なんですが、今回のバッハの唐突さ!!!まーじでびっくりした!
でもそこに違和感がなさすぎて…あの美しすぎる旋律が、和の世界での哀しいきょうだいの仇討ちを描いた物語に、なんともいえない寄り添い方をしていて…なによりその調べに乗る、加納さんの途方もなく美しい舞姿よ。。。
観劇後、G線上のアリア曽我物語との間に関連性を見出そうと必死になったのですが、一切思いつきませんでした。笑
バッハの生きた時代と曽我物語の時代とでは当然数百年の開きがあるから、同時代云々という話でもないし、G線上のアリア自体、曲にくっついた有名なエピソードって特にないですよね。当然バロックの名曲に仇討ちのエピソードがあるはずもなく…!?笑
純粋に、演出としてハマると思われての選曲なのかな。なにか分かる人がいたら是非教えてください!

◆真正面から「演劇」を演りに来られた感動がすごい

なんというか…。2.5次元の範疇に収まらないものを作ってきたな、と思って本当にぽかんとしてしまいました。
見ながら、自分に古典芸能への造詣がないことが悔しくなったりもして!
曽我物として歌舞伎の定番演目になっているのだという曽我物語、わたしに歌舞伎を理解できる素養があればどれだけ染み込み方が違ったか!と思って。ここは心底悔しかったですね!

いや~だってさぁ、兄弟にとっての仇である工藤祐経の姿、あれは完璧に歌舞伎から来ていますよね?
一人だけすごく「芝居がかった」ふうの出で立ちなのですよね。獅子のような長いカツラ、思いっきり隈取ふうのメイクもしているし。
工藤祐経にはセリフもありませんし、「仇」としての色合いを強烈に打ち出す上で、あのビジュアルはものすごくインパクトがあって最高でした。
(↑配信見て訂正、ラスト兄弟に討たれる殺陣のところは普通にセリフありました!失礼)
あとマントをバッサァ!翻して踵を返すところ、わたしは髑髏城の天魔王を思い出してしまった…(脳内が混乱するあまり、いろんなものが混ざっている)
クライマックスでの兄弟との殺陣では、血しぶきに見立てた真っ赤な花びらが足元から数回勢いよく吹き上がるんですけど、それもまたあっぱれ!って言いたくなるような演劇的な美しさだった…。


そして兄弟の母親/語り部を演じた、加納さんの女形…。み、見事すぎて…言葉を失いました。
「よくぞ」と何度も思った。よくぞ、こんなすさまじいものを、2.5次元演目のお客さんである我々の目の前に提示してくださいました、と。圧倒された、という言葉では言い表すのに足りない。
型として完成された、見事なまでの「女性」の表現。磨き抜かれた技って、それだけで見る人の目を奪うよね…。
兄弟の母親が、物語を俯瞰して語る「語り部」として過去を振り返っているときは、顔の前に黒い薄衣を垂らして死者であることを表現するそのシンプルな手法にも、本当にゾクゾクさせられました。

なんていうか、トータルとして「演劇」らしくあることに真っ向勝負してるんだよね…!た、たまらん…!
刀ミュがお客さんを侮っていたらこんなスタイルの作品、とてもじゃないけど上演できない。
観客側の受け止め方を信頼しているからこそ、冒険をしてくれたんだよな…って思って、そこへの信頼感にもまたぐっと来てしまったり。。あぁ~!涙


ここまで書いて、楽しみにとっておいた下記の記事の茅野さんコメントを読んだんですけど、ボロ泣きしました。観客として、受け止め方が間違っていなかったことがわかって、本当に嬉しい…。
是非読んでみてください。どんな思いで作られた演目なのか、すべての答えがここにあります。
enterstage.jp

◆三浦宏規と高野洸。とどまることを知らない爆発的な「若者」の力

もう、このお二人は…。このお二人に関しては。
大いなる才能に愛されながら、その上で高みを目指して努力していく力を持つ、規格外の若者たち。
君たちは、輝ける未来に向かってひたすらに走り出していけばきっともう、それだけでいい。結果が絶対についてくるし、なんなら時代だって作れるわ!そんなふうに改めて感じました。20歳と21歳の化け物めいたその実力に、まじで打ちのめされたわ!


台本を渡された時、ふたりはきっとめちゃくちゃに戸惑ったことだろうと思う。
だって演じるのが髭切・膝丸ではなく、曽我物語のなかの一萬と箱王なのだもの。
お客さんにどう受け止められるだろうという不安や、演じたことのない日本の古典を題材とした世界観に、悩まなかったはずはない。
でも二人共が、ほんとうにのびのびと、自分たちに今できる最大限を、もしかしたらそこへのプラスアルファも乗っているかもしれない、素晴らしい表現を、舞台上で見せてくれていました。


もうね、一部の最初に兄弟たちが歌う一曲目から、謎の涙が流れてしまった。
てふてふ。かりがね。ふたりの顔中にひろがる、あどけない幸せそうな笑顔。

純粋無垢だった幼子たちは、突然かつ理不尽に、敬愛している父親を殺されてしまう。
父上にはもう会えないの?と嘆く箱王と、いつかきっと仇を討ってみせると、幼いながらに決意する一萬。
嘆いてばかりだった箱王は、勇ましい兄の姿を見るうちに、自分も強くならなければと思うようになり、剣を教えて欲しいと兄に願い出ます。
ここからの幼いふたりの、見よう見まね、といった感じのあどけない稽古の様子にも、ぼたぼたに泣いてしまって…!
刀の扱いがおぼつかない箱王に堂々と「違う、こうだ!」って教える一萬の剣筋だって、まだ隙だらけで愛らしいのです。。

そうしてお互いを支え合って成長する二人は、自分が前を向けるのは、凛としていられるのは、お互いがいるからだと本人には伝えずに思っていて…。そんなの泣いちゃうよ、やめてくれよ!!?ってなった。泣いた。(そりゃそうなる)
というか、1時間5分ほぼ泣きっぱなしになってしまいました。。


途中で箱王は箱根の寺へと出家させられ、兄弟は離れ離れになってしまいますが、彼らが心に誓った仇討ちを忘れることはなく…青年に成長した二人は再会し、母親の元へ揃って仇討ちへの赦しを請いにいくのですが。
ここが一番、泣いたよね…当たり前だけど!!!
「舞をひとさし、歌をひとふし」
交互に披露される、ふたりによる舞と歌。それぞれに詰まる哀切が、胸を締め付けられるように美しくて…
最初は「どうしても仇討ちをするというのならおまえたちとは縁を切ります」と言っていた母も、二人の熱意に心打たれて、最終的には「仇討ち、立派につとめていらっしゃい」と送り出すのでした。
有難き幸せ…と咽び泣く二人…いやほんと、もうほんと。無理だよ。どんだけ泣いたらいいん!?


このチャレンジングすぎる演目が、おそらくは高すぎると言えそうなハードルが、役者の能力を爆発的に伸ばす瞬間に立ち会ったような気がしました。
三浦くんと高野くんになら、絶対に出来ると思って茅野さんはこの作品を託したのだろうし、御笠ノさんは脚本を書いたんだと思う。
逆に言うと、今のふたりにしか演じられない役でもあるかもしれない、と思いました。
幼子も若武者も、眩しすぎるほどの若さと才能によって、他にない説得力が与えられている気がした。

◆舞台上に結集する各種美術班の力がやばい(語彙がなくなってきた)

まず今回、入場してセットを見て、動揺しましたよね。な、なんだこれは…と。
これまでの刀ミュの本公演では、形は変われど、ごくシンプルなセットのみが使われてきました。
言ってみれば、そのセットそのものは「特別な意味」を持っていないというか。場面ごとに如何様にでも違うものとして捉えられるようなタイプのセット。
それなのに今回は、ステージの後方~中央いっぱいに、朽ち果てた屋敷のようなセットが組み上がっているんですもの…。あちこちに草が生い茂っていたりして…
「えっちょっとまってなにこれ、今からなにが始まるの」ってなったよね、まじで。。
あの全景、ちゃんと正面から見てみたすぎる!
さすがにサイドからだと全貌がよくわからない部分も多かったので(役者が立つ位置によっては当然死角になる瞬間もあったし)、楽の配信で正面からの映像を見るのがものすごく楽しみです…!


あと美術面で度肝を抜かれたその他のポイントに、ヘアメイクさんのおそろしい技術がありますね。

幼少期のふたりの、ごくかわいらしいちょろりんと鳥のしっぽのように短く結ばれている髪の毛が、歌の途中に役者自らの手でしゅるりと解かれた瞬間に、美しいまげに変貌するんです。(ポニーテールというわけにいかず、調べたんだけど総髪でいいのかしら?!)
髪の毛が魔法のように流れ落ちた瞬間、本っ当にびっくりした…エッ嘘やろどうなってんの!?ってなった。
手品みたいに一瞬で髪型を変えて、成長した若武者になったことを表現してみせるんですよ!
座っていた席がサイドシートだったこともあり、手を後ろにやって髪を解き放った瞬間がわかりやすく見えて、本当に息を呑んだし興奮した。すごすぎ…。
そして二人とも、その結い上げた髪型があまりにも似合ってぶっ倒れそうになる。。いや、美しすぎるだろ!!!(大声)


あと衣装。衣装!!!どれも、ものすごく華やか。。若々しさにあふれている!今までの刀ミュの衣装で見たことのないタイプのものがたくさん…いや、そりゃ一部のつくりがああだからそうなるのは当然だけども!笑
二部も含めると、めちゃくちゃ衣装替え多かったですよね!
武士の道と僧の道と、兄弟で進んだ先が異なるので、成長したふたりの衣装が対になっているデザインなのに微妙に違うところにもぐっと来ました。。
兄は袴だけれど、弟は旅装束に近いような、脚絆をつけたようなスタイルに近くて。

二部衣装はとりあえず「背中」です。背中。いやー。背中、ついに源氏兄弟も出しちゃったかー(観念)
半分だけどぞんぶんに見せつけられる背中。ふたりとも、まぁ美しい筋肉をお持ちで…目が焼かれるかと思った…
二部冒頭の、兄者はロングコート、弟はやや丈短めのジャケットって対比もさいっこうですよね!?
白と黒で半々のラメラメしいジャケット。やりすぎなくらいにゴージャスで…うう~、あの衣装のお写真って売ってもらえないんですかね!!?

◆まとめとして

お気づきのとおり一部の衝撃がでかすぎて二部にほとんど触れられてない!(刀ミュ新作のあとはいつもこうなるお約束)
すでに長文になってしまったので唐突にまとめにはいります!


全く新しい挑戦となっていた、今回の双騎出陣。
一部だけ見た後は、正直戸惑いのほうが多かった人が大半なのではないかな?と私は感じてます。
だって、双騎出陣見に来たのに、そこに髭切も膝丸もいないんだもの。そりゃあ動揺しないほうがおかしい。


だけど二部が始まってちょこっとだけMCコーナーになったとき、二人はこんなことを言うんです。
「主、驚いたかい?」
「そりゃあ驚いただろう。なにせ、俺たちがいきなり子供になって登場するのだからな」
※ここで子供時代の様子を兄者に振られてやってみせる膝丸(客席からは大喜びの歓声)
「兄者もやったらどうだ」
「いや、僕はいいよ。」
「…やらないのか?」
「本当にやらないよ。」
「…これは、やらないやつだな。」(※めちゃくちゃ笑った)

そんな笑ってしまうやり取りの後に、
「しかし俺たちも流石に驚いた。曽我物語を演じることになったのだからな」
的なことを、膝丸が言うのです。
ここでようやく、心がほっとしたお客さんは多かったのではないだろうか。


一部のミュージカルは、三浦宏規と高野洸が演じていたんじゃない。
髭切と膝丸が、ミュージカル本丸の主に命じられて演じていたものだったんです。*2
だから、一部にもちゃんと、髭切と膝丸は舞台上にいたんですよ。


刀ミュやそもそも2.5次元に馴染みのない人からすると、いや演じてるのは役者でしょ、なにがそんなに問題なの?って感じる部分かもしれないんですが、私はこの一言があるかないかの違いは本当に大きいと思います。
受け止め方が絶対に変わる。
この一言によって、ちゃんと「刀ミュ」としての世界の中に成り立った物語なんだってことがわかる。そこが守られているんだっていうメッセージをこちらに明確に届けてくれたその心遣いが、私はとても嬉しかったんです。
もともと舞台に縁がなく、刀ミュで初めて観劇に出かけるようになった人たちが、今回の演目を見たらどれほど戸惑うかということも、ものすごく考え抜かれているように思えて。
刀剣男士を愛している人からしたら、自分が見に来たはずの大好きな刀がそこに登場しないって、本当に大事件だと思う。
かといって、新しい挑戦への試みをやめてしまうわけでもなくって。
お客さんがついてこられるかどうかをケアしながらも、高みを目指すことには一切の妥協も遠慮もしない刀ミュが、私は本当に心底大好きだなって思いました。
その本気があるからついていきたくなるし、見せてもらえるものを信頼して受け取れるなって思う。



観劇する前から、ツイッターのTLに一切ネタバレの類が流れてこないので「びっくりするほどネタバレ配慮されてんな!?」って思ってたんですけど、見に行ってその理由がわかった。
二部のラストに兄者から「くれぐれも、ネタバレには気をつけるようにね。わかった?…いい子いい子。」と言われるくだりがあったので、心底納得しました。笑 そりゃ~守られるわけだわ!なった。


賛否両論、といった面ももしかしたらあるのかもしれないんですが、私は源氏双騎出陣、大好きでした。
というか全然そこまで書ききれなかったけど、わたし刀ミュつはもの好きすぎてこじらせてるくらいなので、久しぶりにそことつながる世界に出会えたこともめちゃくちゃ嬉しかった。

エンタメを、刀ミュを好きでよかった!とまた改めて思わせてくれたことへの感謝でいっぱいです。
14日の配信も、本当に楽しみ!!!

*1:今回の作品中で、その太刀が明確に「膝丸」と呼称されるわけではないです、念の為。つはものでも、真実その箱根権現に奉納された太刀が膝丸であったのかどうかについては明示されていませんし、あくまでも”伝承”の範囲内に収めた絶妙な表現だったように思いました

*2:その判断の根拠は、双騎一部の開演15分前・及び5分前のアナウンスが、スタッフさんの音声ではなく「ミュ本丸の審神者の声だったため」です。その形式は、本公演ではなくらぶフェスと同じである=つまり双騎一部はミュ本丸による、ある種の催し物である、ということが言えるのではないかと感じました。