こたえなんていらないさ

主に刀ミュ(ミュージカル『刀剣乱舞』)を愛しながら、舞台まわりをぐるぐるしている人

【お題】「シュガー・ラッシュ:オンライン」を見た感想 ~思った以上に「ビター」な物語

タイトル通り、この間珍しく映画を見たんですが、せっかくなのでお題で書きます!

公開2日目くらいに見終えていた旦那さんから「インターネットが好きなら見たほうがいいよ!」と言われ。いやいや、そんなざっくりした勧め方ってあるか?笑 と思いつつ、仕事始めの1月4日、退勤後に一人でふらりと映画館に行きました。
結果、私はインターネットが好きなので、見てよかったです!(素直かよ)
以下はネタバレをふんだんに含むので、話を知りたくないよ~な人は読まないでくださいね!




◆思った以上に「ビター」な物語

映画の感想は、私の中ではこの一言に尽きました!
新しいものが大好き、いつでもワクワクしていたいヴァネロペと、今のままで楽しく暮らしていければ満足なラルフ。
そんな正反対の組み合わせの二人は、勝手知ったる、言ってしまえば範囲のごく限られたアーケードゲームの世界から、無限と呼んで差し支えのない広がりを持つインターネットの世界へと飛び出していく。
見る前まで、私は「結局ヴァネロペはラルフと一緒に元の世界にいることを選ぶんだろうな」と思ってたんです。「新しいもの、楽しいものは沢山あるけど、やっぱり自分に馴染んだ世界がいいよね」という帰結が、このタイプの物語としては一番考えやすいかなぁと。
でも、全然そうじゃなかった。わりにビターな味わいの物語でした。


まず、二人のすれ違いの描き方がけっこうハード。
私は完璧にヴァネロペに感情移入して見てたんですけど、ラルフから「ここは俺たちの居場所じゃない、早く帰ろう!ずっと一緒にいようぜ、当然だろ?」ってすがられればすがられるほど、いや、そんな一方的に決められても…私にはやりたいことがあるから!って感じになってくヴァネロペの気持ち…超わかる…って勝手になってました。
こちらを100%信頼してるがゆえの、純真無垢な気持ちで全力で迫ってこられると「うん、ちょっといったん落ち着こうか」みたいな対応をしたくなる気が、どうしてもする…。
絶対に裏切らないと思われている、ある意味ではものすごく「期待」を含んだ感情。それを一切の遠慮なくこちらに向けられることのしんどさ、重さ…みたいなものが、ラルフの姿を通じて描かれている気がしました。そう感じるのは私が極端に同調圧力が苦手なせいもあるかもしれないけど。笑
こうだよね!おんなじだよね!って迫られると「それはわからん」って逃げ出したくなるところがある…いや、もちろん、ヴァネロペのリアクションはそこまで辛辣じゃ全然ないんですけどね!笑
自分の希望を他人から規定されるのって、わりにきつい状況かなぁと思うんだよね。


そんなラルフの「親友と一緒にいたい、離れたくない」という不安定な気持ちは、とあるアクシデント(というには必然の展開かな)により、インターネット世界における脆弱性とみなされて、ラルフウイルスとして拡散してしまいます。
ここの描写がまた強烈で…!
ラルフの抜け殻のような、目玉のない粘土で出来た人形みたいな巨体が、ヴァネロペを求めて無数にインターネット世界を徘徊し始めます。彼らがヴァネロペを見つけるなり「Friend?」と言いながら笑って手を伸ばし、群れをなしてこちらに向かって走ってくるあの様子。あれほんと、心底恐ろしすぎた…。
欲望のすさまじい発露というか。ヴァネロペに執着する気持ちがそのまま実体化してどんどん増幅していく様子、とてもえぐみがあった。
…なんだけど、そんな恐ろしい、決して正視したくないともいえそうな光景を見て、ラルフは静かに言うんですよね。
「こうして見ると、俺かなりしつこいな。これじゃお前から絶交されても当然だ」って。
ごく淡々と、ぽつりとこぼす感じに言われるこのセリフが、すごく印象的だなと思いました。
俺はこんなことしない、あのウイルスは俺とは関係ない!って目をそむけるパターンも多分考えられると思うんだけど、そうではなくって。
あの瞬間、ラルフは自分を客観視できただけでなく、自分の恐らくはいちばん弱いところを、まっすぐ事実として受け止めることができている。
そんなラルフの心は、暴走を引き起こしてしまうほどに素直すぎるところはあるんだけど、同時にとても「強くもある」んだなって思いました。


最終的にヴァネロペは「時折シュガー・ラッシュの世界に帰りつつ、インターネットの中で出会ったスローターレースの世界で過ごすこと」を選びます。
ラスト近辺、スローターレースの世界に改めてヴァネロペが旅立とうとする時、ラルフが

The world is waiting for you, kid.

って言うんですけど…このセリフめっちゃ好きだった。
世界がお前を待ってるぞ、だから行けよ。って…。最終的にそんな言葉までを親友にかけられるようになっていたラルフ。うー、ほんとうに良いセリフだなぁ。
the worldはきっとそのまま、the Internetなんだろうな。
少しずつ遠ざかりながら、お互いの姿が見えなくなるまで、体を低い位置までぎゅーっと折り曲げて、笑顔で手を振り続けてる姿*1、二人共めちゃくちゃかわいかった。。


離れ離れになった二人は、その後それぞれの場所から、TV電話(っぽくホログラム映像を通じて会話できる装置)を使って話します。お互いの近況をひとしきり報告した後は、じゃあまたね、とあっさり笑顔でバイバイをする。
ひとたび友達になれば、「ずっと一緒にいなくても、一緒にいられる」ことを、二人はインターネットという新しくて巨大な世界を通して学ぶのでした。
ヴァネロペは自分の本当にやりたいことを外の世界に見つけ、ラルフはヴァネロペの存在に無意識に寄り掛かり続けていたことに気づき、自分の時間の過ごし方を見直していく。

「友達のことも、暮らしてきた世界も大切だけど、やりたいことを思いっきりやってみたい」
「ずっと一緒にいられたら嬉しいけど、そのために友達の夢を潰しちゃいけない」

自分の欲求をスタートラインとして、その真ん中までお互いに歩み寄ることが出来た二人は、自分たちにとっての理想の友情のかたちを手に入れられたと言えるんじゃないかなぁ、と思いました。
シャンク(超かっこいい)がヴァネロペに言う、友達だって別なものが好きでいいのよという意味の言葉、本当にそのとおりだよなぁ、と思った。(めっちゃいいセリフだったのに記憶あやふや~!吹き替え版の予告だと「親友でも違う夢を見ることもある」なんだけど、字幕版どんなだったか、ぜんぜん思い出せないや…)
違うものが好きでも共感できることは沢山あるし、反対に同じものを好きだってわかりあえないこともいくらでもある。
「大好きな友だちが大事にしてるものを、自分も尊重できたらいいよね」っていうメッセージがあるように私には思えて、ある意味ではすごく「大人向け」の物語だったように思います。大人同士だって、時にそれを実践することは難しいから。

◆インターネットって楽しいよね!

わかりやすくインターネット大好き!な毎日を送ってるので、劇中に登場する各種サービスの表現だけで私はなんかもう嬉しくなってニヤニヤしちゃいました。Twitterのしかくい鳥かわいかった。
検索結果をポチ!するとシューン!って瞬時にスケルトンのカーゴみたいなものが体の周りで立ち上がって、びゅーん!って遷移先まで連れて行かれる表現好きだった!(←オノマトペに頼りすぎ)
あと「ウケる~!」って思ってたのが、ラルフウイルスが最終的に無効化された現場がGoogleのてっぺんだったこと。見栄えのする最終ステージはやはりそこか!みたいな。他のサービスけっこうボッコボコにされてたけど、さすがGoogle先生、しっかり生き残ってる~!なりました。そもそも、周りにくらべて圧倒的な高さのビルとしてそびえたっていたし…笑
ある程度バズった人に向けて「コメントは読まないほうがいい」って伝えるのは、天下のディズニー様が作る映画の中でも真理なのですね…!って震えたり。
他に面白かったのは闇のインターネットの表現ですね。足を踏み入れた瞬間「母親の旧姓も社会保障番号もありますよ」だったのには笑ってしまった。
ヴァネロペとラルフがメインで行動するインターネットの世界はとにかく明るくてキラキラしていて、白とブルーを基調にしつついろんな色で溢れていて、すごく賑やかな様子に描かれているんだけど、それに対応する闇の世界もちゃんと用意されてるところが、うん、すごく…インターネットだ!って思いました。(頭の悪い感想)


そして忘れちゃいけないプリンセス~!やっぱプリンセスのシーン、最高だった~!ディズニーによる渾身のセルフパロディだなって思いました。
「じゃあもうひとつ質問。いつも大きな男性によって守られてる存在、って思われてる?」
っていうプリンセス陣からの質問に、思いっきりYesと答えたヴァネロペに対して、
「ならあなたもプリンセスね!!!!!」
っていうユニゾンが起こるところ、最高にスカッとした。ヒュー!そう来たか~!さすが今の時代!と思いました。そうだよねプリンセスにも色々あるよね、みんな事情やら都合やら抱えてるだろうし…みたいな気持ちに。誰よりも夢を担う存在であるはずのプリンセスの「舞台裏」を、こうまで堂々と自前で描いてみせるディズニーの懐の深さよ…となりました。
普段、観た舞台の感想を書く時に「男らしい」という表現を使うことすら私はためらうことがあるんですけど、純粋な性差がある事実とジェンダーで色分けされた世界の線引きってほんと難しい。
プリンセスに憧れる女の子が今も昔も沢山いることも、プリンセス自身がもしかしたら自分たちの在り方に「まぁこれも役割なのよね」と思ってるかもしれないことも。どっちが良い悪いではなくて、そのどちらの方向も否定しない形で映画の中では描かれているように、私は感じました。



よく考えたら私シュガラの1作目を見てなかったのですが、物語の導入部分がスムーズだったので、特に話を理解する上で支障は感じなかったです!
あと原題、RALPH BREAKS THE INTERNETなんですね。…いや、それまんまやん!?ネタバレやん!??ってエンドロール見てわらってしまった。良いタイトル~!…でもよく考えたら、もともとラルフはゲームの中では建物を破壊する悪者キャラクターなわけだから、今度はそんなラルフがインターネットを壊すよ!って意味なのか!?って今感想書いてて気づきました!(遅い)
ハッ!!!あと最後の”pancake, milkshake”が一番笑ったかもしれない…あそこ、突然のトラウマ製造機になってた…笑 めちゃくちゃおもしろかったな…。


普段あほみたいな長文しか書いてないので、たまには全然違うテーマで文章書くのも楽しかったです。
読んでくださった方ありがとうございました。ヴァネロペかわいいよヴァネロペ~!



sponsored by 映画「シュガー・ラッシュ:オンライン」(12月21日公開)
映画「シュガー・ラッシュ:オンライン」の感想 #シュガラお題

*1:どうしても私の脳裏には「カーテンコールの最後、幕が降りきるギリギリまで体を折り曲げて手を振ってくれる役者さんたち」の姿がよぎったのでした