こたえなんていらないさ

舞台オタクの観劇感想その他もろもろブログです。

宝塚花組「The Fascination!」感想(※ほぼすべて柚香光さんのお話)

先日下記で花組お芝居パートの記事をあげましたが、今日はショー「The Fascination!」の感想です!
anagmaram.hatenablog.com

ショーのほうはポスター画像のURLないんやな!ってなったので秒指定でショー部分の初日映像を貼り付けてみた。
youtu.be

お芝居と全く同じなんですが字数がやばいことになりすぎるので、本当に潔く柚香さん(+まどかちゃん)の話ばっかりしています!!!
もうこいつはそういうやつなんやな!ということで、需要がそこにお有りの方に喜んでいただけましたら、たいへん幸いに存じます!

柚香さんの出ている場面ごとに、ただひたすら書きたいことをぶわー!と勢いに任せて書いております。
(読み返したら「ある愛の伝説」だけ書き忘れたことに気づいたけど、字数の関係でもうこのままいく~!笑)




幕開けに咲き誇る大輪の花/プロローグ

オケピから現れて銀橋センターに立つ柚香さんがパッ!と真っ白いスポットライトに照らし出されたその瞬間、「うわぁ!柚香さんが咲いてる!」って思いました。
花弁をイメージしたという、オペラピンクの鮮やかでフレアのたっぷりとしたお衣装をまとう柚香さんは、まさに存在が花そのもの。
歌いながら優雅にくるりと何度もターンをするたびに、ふわっとまあるく円を描く豊かな裾の広がりは、まさにお衣装の狙い通り、花びらのよう。
圧倒的な存在感を放つ柚香さんの後ろに、組子全員がステージ上は花道までぎっしりと埋めて勢揃いする幕開きは、まさに圧巻でした!
コロナ影響でAB日程に分かれていた公演しか見たことがなかったので、花組の組子全員がステージに立つ演目を見るのは私は今回が初めてだったんですが、
様々な色合いのピンクのお衣装に埋め尽くされたステージの華やかさといったら。
何よりもそこに咲いている、花組生の笑顔の美しさといったら……!涙


銀橋にいる柚香さんはそのまままどかちゃんを優しく迎え、二人で歌いながら背中合わせになったり、最後は乾杯するように手を掲げあったり。
その端々で笑顔で視線を交わし合うれいまどは、とにかくウキウキと楽しそう。
更にそこから下手袖に手を繋いではけていく時なんですが、銀橋を渡り終える瞬間と、袖に入っていく瞬間の2回、必ず!まどかちゃんを振り返るあの柚香さんの優しさが、本当に大好きです。。
そういうちょっとした仕草に相手役さんへの愛が自然と溢れてしまうところ、柚香さんの魅力を語る上では絶対に外せないポイントだなぁと思います……!

その後もどんどん繰り広げられる、洒脱で自然と心が浮き立つような曲調に乗っての銀橋での歌い継ぎと、同時進行で舞台上でメンバーを次々に変えて繰り広げられる、ゴージャスな群舞。
演出の中村先生が「生徒一人一人の顔が見えるように」と考えて作られたという今回のショー、本当にそのとおりで、
とにかく下級生までよくお顔が見えるためどこを見ていても楽しいです!

プロローグの最終盤、お衣装にピンクの羽飾りが増えてゴージャスになって戻ってきた柚香さんのダンスがすごく好きなんですが、
今回のショーはまずここで最初に「柚香さんの体から楽器の音がしたー!」って思いました。だって音、聞こえるんだもん!
初日を見ていたときに、ぐっと踏み出した柚香さんの右足のつま先から「パッパー」ってトランペットの音がね、明確にしたんですよ……。

音ハメとかいう次元を超えて、どこまでも音楽と一体となって、全身をメロディの中に自然と溶け込ませるように踊る柚香さん。
メロディに乗りながら、優雅になめらかに踊る印象が強い今回のショーの振り付けは、
この柚香さんの「音楽と一体化する能力」の突き抜け方が、とても可視化されやすいなぁと思います。。たまらんのです。。見てる間の幸がすごい。
ありとあらゆる楽器の音がするので本当にびっくりしちゃう、だって他の誰を見ていてもそんなふうに感じたことがない。

柚香さんの場合、ただ単にリズム・拍をぴったりと合わせることに長けているだけじゃなくて、その楽器の音色まで捉えて自分の動きの中に取り込んでいらっしゃるような気がするんです。
ハリのある金管楽器の高音や、クラリネットやサックスの木管楽器のなめらかさ、パァン!と広がるシンセサイザーの力強さ、
そういった楽器ごとの音色の特徴が、その音が発せられる瞬間の柚香さんの動きに乗っている気がして。
その類まれなるご様子に、何度見ていてもハッとさせられてしまいます。大好き!!!

「人ならざるもの」の危険な魅力を存分に発揮/食虫花

危険すぎるやつ……野獣に続いてまた人間ではない柚香さんなわけですが、今回醸し出している「人外」感はまた新たに、ちょっと凄まじいですね。。
ここはムラ序盤と東京公演で、また全然雰囲気が変わった場面でもあるなと思いました。
ムラで一番最初の3公演を見たときは、妖艶な笑みを比較的たっぷりと浮かべていて、ニヤリとしながら明確に意志をもって蝶を捕らえにいっている感じだったんですが、
東京公演ではもっとこう、恍惚とした雰囲気というか、どこかある種のトランス状態のような……自我を宙にふわっと彷徨わせているような、とても不思議な瞳をしていて。
その視線はどこか遠くを見つめているようで、あまり表情を動かすことがなく、その分時折チラリと笑みが横切る時のぞくぞく感が半端ない。
東京公演の最終盤では、踊りながらたまに瞼を伏せる瞬間もあったように思います。
無機質なようでいて同時にエロティックで、なんとも表現しがたい魅力に溢れている!


そして明確に”ジョジョ立ち”イメージと言及された、あの問題の!上腕タトゥーの見える、例の腰の入った危険すぎるポーズですが、
あそこでひたり、と静止しているところ、全くまばたきをしないのですよね。。
いや、怖ー!!!ってなる、まさに人外の存在感。
そこから目だけをすいっと横に動かして、指先だけで動き始めるところは、
獲物=蝶のまどかちゃんを見つけて狙いを定めたことがわかるので「ギャー!」ってなります。まどかちゃん逃げてぇぇ!!!

途中、他の蝶たちの娘役ひとりひとりをふわりと次々に捕らえていくところは、そのひとりずつにごく僅か笑みを見せるのがたまりません。。
あれは笑いかけられる側の娘役の皆さん、内心「ウワァァァ!」ってなるだろうな……とくに下級生!って思ってしまう、それくらいにささやかなのにとっても危険な笑み。だって食べに行ってるんだもんね。。
あそこは蝶の最後のひとりが、退団していく同期であるしょみさんなところにもぐっときます。。涙


そして最後にいよいよまどかちゃんをおびき寄せ、手中に捕らえることに成功し、柚香さんの食虫花は蝶を抱きかかえてせり下がっていくのですが、
スポットライトが消える直前のギリギリ、真っ暗になるほんの一秒前になって満足げにじわっと笑顔を広げ、そのまま舞台上からいなくなるのです。。
「わ、笑った……!」と呆けるこちらはその世界観にやられて、毎度息を止めて見てしまいます……怖いよ~~!!!
そうして笑顔になる直前はまず無表情でぱくっとお口を開くので、ウワー食べる気満々やんけ!!!!ってなるんですよね、まどかちゃん逃げて!(無理そう……美味しくいただかれてしまうのか!南無三!!!)
あれは、ライトが消えるタイミングまで完璧に把握した上で、最後に笑っていなくなることが計算され尽くしているのだと思うので、もう、参りました……!の気持ちです。参りました!

際立つ「心愉しさ」の詰め合わせ/中詰

中詰、始まりの歌手のまどかちゃんがほんっとうにかわいい~~~!!!!!!
お衣装も素敵!ミモレ丈のたっぷりとしたハリのある異素材が重なったスカートも、手に抱いたすみれの花束もとにかく要素が可愛い!
<宝塚の娘役>のエッセンスを凝縮したようなすみれ色のドレスで歌いながらひとり銀橋を渡るまどかちゃん。
ラスト近辺のあの「私の思い」の高音のツヤと伸びが本当に見事です!客席に背を向けているポーズなのがまたかっこいいんだぁ。

そしてそのまどかちゃんの華やかな歌声に誘われるように、柚香さんがステージ中央に一人立つ「すみれに捧げし歌」が始まります。
すみれの花咲く頃」を、ゆったりと落ち着いたアレンジにしたローテンポの旋律に乗り、
この曲そのものを全身で体現するかのような、シンプルなのにとても饒舌な、詩情あふるる柚香さんのひとつひとつの動きは、まるで一編の物語を語るかのよう。
なんでか、見てるとどうしても涙が出そうになるんです。。
その表情は、花組の歴史を繋いでいく確かな自信と覚悟に溢れたような美しさで……
振りの最後にふわっと両手を交互に体の横に配置するその動きだけで、トップスターであることを証明できるような、それほどまでに美しい動きなのです。
柚香さんが今花組のトップスターでいらっしゃることを改めて祝福したくなるような、この世界に感謝したくなるような、そんな大切なひととき。


そこからリズムがぐっと変わり、ジャジーなアレンジでテンポアップする「すみれの花咲く頃」。
耳馴染んだメロディなのに、うわぁこんなの聞いたこと無い~!って気持ちで心が自然と浮き立つのですが、
そのメロディに乗ってステージ前方に進んでくる柚香さんの、まぁ心底楽しそうなこと~~~!!!楽しそうな柚香さんは本当に最高!!!
ここもほんっっとうに、柚香さんの全身から、めちゃくちゃ楽器の音、しまくります。
サックスのぶわんと広がる、質量がありながらも同時に軽やかなあの音色の感じが、柚香さんのダンスとすごくシンクロして聞こえてくる!
途中でチャッ☆と2本指で宙に何か(※ときめきだと思う)を飛ばす振りとか、もう「楽しい~!!!」ってお顔じゅうに書いてある感じで。
そんな柚香さんみてるとこちらも勝手に笑顔になってしまいます。再び、幸がすごい。


そしてその後ステージ上に組子が揃い、その中央で柚香さんとまどかちゃんが組んで踊るのですが、
ここはさっきまでの「楽しい~~!!!」がきっちり二人分になっていてもう手がつけられない、止まらない。なんて楽しそうな二人なの!?
最初の両手をとっての背中合わせターンからスピードが出すぎているし(柚香さん、まどかちゃんのことひねり倒す気か!?ぐらいの勢いで回す笑)、
ターンする時もしゅっとかぴゅっとか音が聞こえてきそう。
柚香さんがまどかちゃんの背中を支えて思いっきり後ろにのけぞらせて、そこからまどかちゃんがグオン!って起き上がってくるところも勢いが付きすぎてて、
見ていて「これそのうち顔ぶつけない!?」って思うくらいでした。
その後間髪いれずにまどかちゃんによる柚香さんのお鼻ツン♪が入るのですが、それを受けた柚香さんの表情も回によって全然違ってて!笑い声漏らしちゃう時もあった!
いや~~~、ほんとに楽しそうすぎてびっくりする!最高!幸せ!!!


その後中詰でも、たくさんの生徒さんの銀橋歌い継ぎが!
プロローグ同様、後ろで踊る群舞メンバーがくるくると変わっていくのも楽しくて!見せ場しかないショーだな!?ってなります。
最後はひとこちゃんをセンターとした上級生メンバーでしっかり締める感じの群舞で終わるのですが、
その後にはじまる柚香さんとマイティーさんwithしょみさんの「ザ・95期」の場面。
ここ、初日見てて後ろの階段で歌ってる娘役がしょみさんって気づいた時、思わずびゃ~!って涙でました。。3人での出演はこれが最後なんだ……

ほんのりアラビアンな感じのメロディで、バチバチにかっこよく並んで踊るれいまい。いやこんなの、好きじゃない人いる!!??おらんやろ!!!ってなる。
踊りの空気感からしてもう噛み合い方というか、しっくり来る感じが、お互いに特別なことがわかる気がするというか。。
階段上でスタンバイするときにちらっと視線を絡め合う瞬間から、見ていてもう「あ~~~~!涙」になっちゃう。

グラフ2月号を読んでて笑ったポイントなんですが、「笑顔でれいを追って階段を駆け上がっている日があった」というマイティーさん、
私が東京で見た1月30日ソワレ・2月5日マチネともに、まさにそんな感じに見えました!わりに必ず、笑顔だと思う!笑

そこから華やかな中詰のラスト、「召しませ花を」。
とことん「花」がテーマに据えられた今作、当たり前なのですが花組に本当にぴったりというか、ひとりひとりが咲いていて、もう組全体で大きな大きな花束だ~!って気持ちになります。
ここもまた楽曲がお洒落!一緒に揺れたくなる、すてき!
軽やかにリズムにのる生徒の皆さんひとりひとりが楽しそうで、手拍子しながら幸が溢れてとまらぬ!という思いです。最高。

まばたきも、呼吸すらもしたくない、それほどに集中して見ていたい/ピアノ・ファンタジィ

1988年上演の演目をオマージュとして披露する、その歴史こそが宝塚!という気持ちになりますが、
この「ピアノ・ファンタジィ」が私は今回のショーでやっぱりいちばん好きなのかも……!

ほのかちゃんのピアニストのソロダンスから、鍵盤のロケットへと展開し、
そこから柚香さんを中心とした「ラプソディ・イン・ブルー」が始まるのですが、ここからの数分間がもう、幸せすぎて。


ほぼ原曲そのままのクラリネット・ソロに乗って踊りだす白燕尾の柚香さん。
揺らめくように優雅に音に乗り、ひとり舞うその姿は、舞台上に流れる伸びやかなその音色そのもの。
伸ばした指先で空気をふわんと揺らすような振り付けとか、本当にちょっとした動きでしか無いのに、柚香さんだから見応えのあるものになる。
旋律はピアノにバトンタッチされ、引き続き音数の極めて少ない静謐な空間の中に、柚香さんのダンスがどこまでも豊かに広がっていく。
そこから楽器がバン!と増え、ライトが付き、楽曲のアレンジが変わってアップテンポになる「始まるぞ!」の瞬間。
場面に出演している男役・娘役が全員、本当に堂々とかっこよく踊っていて、
そしてそれを紹介するように手を差し伸べて振り返る柚香さんの姿が、どこかとても、誇らしそうで嬉しそうで。
とにかくまじで全員が素晴らしいー!!!って気持ちでいっぱいなんです……!!!この場面、どこを切り取っても心の底から好きすぎる。


あとまどかちゃんがね!本当にすごいよね!!!
たった一人で舞台に出てきて、またしても限界まで絞られた楽器の少なさで踊るの、ごまかしとか一切効きようがないし……
絶対にとてつもないプレッシャーだと思うのに(トップ娘役とはいえ、あそこまで負荷が娘役ひとりだけにかかることってなかなか珍しい気がして)、
本当に堂々とした笑顔で踊っていて、かっこいい!!!の一言です。可愛くて、同時に最強にかっこいい。見るたびに見惚れてます。
あそこを一人で魅せきることができるのは、本人の実力とかスター性とかいろんな要素がないと難しいと思うのですが、完璧に自分のものにしているまどかちゃん、何度見てもすごすぎる。

そしてその後、男役と娘役が5ペア組んで踊る場面のリフトなんですが、
あの一番最後のやつ、何をどうやってるのか何回みてもよくわかりませんでした!笑
「え、まどかちゃん、柚香さんのどこに乗って……?いや、どこにも乗ってなくない?」みたいな。
なんだろう、腰骨?いやそこ、もはやお腹では?まじでどうやってる???
あれを軽々とやっているように見えてしまうの、本来あるはずの体重をまるっと無視していて、あれはふたりとも体幹が凄まじい強さなのだろうなと感じます。本当にどうやってるの……?笑


1月30日の公演再開日に見た時、ピアノ・ファンタジィの柚香さんはさらに「軽やか」になっていました。
羽が生えているようだってこういうときに使うべき比喩なんだな、と思う感じの。ふわりと全身で美しく宙に舞う。
「舞台に立つことが楽しい」気持ちを凝縮して突き詰めて、そこに生み出された新たな領域は、ちょっとなかなか、辿り着けるとは思い難いもので、
公演中止という厳しすぎる現実を経て戻ってきたときに、力むのではなくて反対にさらにこんな風に進化してくるなんて……と、まさしく度肝を抜かれました。


踊っている柚香光さんを見ていてしか得られない心の栄養素が確実にあって、
私にとってはそれがふんだんに詰まりまくっているのがピアノ・ファンタジィでした。
あまりにも全ての瞬間が見事で、最終的に柚香光さんはラプソディ・イン・ブルーという曲の概念を具現化した存在、この楽曲の化身なのでは?と思うようになりました。

柚香さんのダンスのちょっとした独特のニュアンスというか……音やリズムの捉え方、空気感の作り出し方、これが好き!の連続で、
言葉にできない、実物を目で見ることでしかその魅力が伝えられないかけがえのないものが溢れていて、まばたきどころか呼吸すらしたくないと思いました。
見ることに全集中していたくて、この瞬間すべてを取りこぼしたくない思いでいっぱいになる。
そして最終的に、踊っている柚香さんを見ているだけで勝手に涙が滲んでくる。ああ、これはもう奇跡なんだな、と思いました。

今回オマージュとして取り上げてくださったことに、心から感謝したいです。。
この柚香さんが見られた現実に、本当に幸せを感じました。
オリジナルの1988年上演「フォーエバー!タカラヅカ」はまだスカステで巡り会ったことがないのですが(放送されることもあるかな?)、大浦みずきさんの姿も、いつか見てみたいです。

人が人を想う心のあたたかさが、目に見えて広がっていく/心の翼

花組で、大切に歌い継がれてきたという「心の翼」。
わたしがこの曲を現地で聞くのはこれが初めてだったのですが、心がざぶざぶと洗われるような体験でした。


歌い出し、銀橋にひとり立つ柚香さん。
ソロ歌唱の後半、上手側から順にぐるっと舞台上の組子を見渡すその背中が本当に大きくて、
この状況下におけるトップスターという役目、どれだけ大変な重荷を背負っているのだろうと思うのに、だけどその両腕で抱いているのはまごうことなき「愛」なのだなと感じさせられて、
見るたびに泣かずにはおれませんでした。

真っ白なお衣装に身を包んだ花組生たちが、それぞれに心を込めて歌う姿。
シンプルに「立って歌っている」だけの光景なのに、魂を揺さぶるエネルギーに満ちていて。
ムラ千秋楽の配信でまどかちゃんが泣いていた、あの頬を伝う涙の美しさ、そしてそれを優しく手で拭った柚香さんの仕草も忘れることができません。


真っ青な背景と衣装のコントラストも目に沁みるほど美しく、最後に舞い散る紙吹雪のきらめきが、生徒の皆さんの笑顔や涙に重なって。
そこにあるのはなにか表面的な美しさなのではなくて、心映えそのもの、本質的な人のあたたかさから、生まれる光だったのだと思います。
「嘆きさえも愛しい 息づきだから」とか、歌詞を読んでいるだけで泣けてしまう。
愛されて長く歌い継がれてきた理由がよくわかる名曲だなと思うと同時に、
今回の花組公演の中にこの曲が存在していた意味に、思いを馳せずにはいられません。

あの景色の真ん中に立ち、あたたかく全てを包むこむような慈愛に満ちた表情で歌っていた柚香さんのこと、絶対に忘れないです。
組子のことも客席のことも、ぎゅっと深く抱きしめるみたいな。
その責任や重圧に対してファンはなにもできはしないのですが、あなたがそうして届けてくださる芸事の素晴らしさを、どうか今後も楽しく受け取らせてください!と、ただ静かに願いました。
エンタメがエンタメである、その矜持を守り抜かんとする花組の、柚香さんの姿を見ていて、
ああそうだ、私達観客はそれを純粋に「楽しむ」ことこそが、彼らに愛を返す方法なのだと改めて目を開かされる思いでした。

美しすぎるお顔の記憶に支配される黒燕尾と、愛が加速&過熱するデュエダン/フィナーレ

今回はフィナーレも長いんですよね!ほんとに観劇が楽しかった!
いきなり黒燕尾の話をするのですが、、あの、、、柚香さんが美……。(お察しのとおりここで突然IQが下がりました)


記事を書く前に、見たばかりのはずのマチネの自分の記憶を辿っていたんですが、
他の場面だと具体的に好きな振り付けがたくさん湧いてくるのに、黒燕尾に関してだけ「……あれ、おかしいな?」ってなって。全然振り付けが浮かばないんですね。

たぶんね私、黒燕尾はほぼ顔しか見てない。笑
だって、あまりにも美しいから。。

本当にスタンダードでシンプルとしか言いようのない黒燕尾をまとった柚香さん、
そのシンプルさゆえにお顔のつくりの美しさが輝きいでんばかりで……!
あまりにも美しいので、銀橋に出てくる時に「アッだめです!そんな!近くに来ないでください!」ってなります。(だめではない)(嘘です嬉しいです)
曲がまたさぁ~~~!ひまわりのあの!哀愁に満ちた大人の切なさが溢れ出るメロディーが!
それを英語で歌いながら娘役群舞を背景に銀橋を渡る柚香さん……どうしたってキャパシティを超えてしまうんですよね。。
だって美なんだもの。なんであんなかっこいいか!!?
フォロワーさんともひとしきり盛り上がってしまったんですが、それまでさんざん見ていたはずなのに、あの場面で新鮮にかっこよさに動揺するの、本当になんなんだろうか。笑


前作のジョバイロ群舞も大好きでしたが、今回のフィナーレ群舞もまた、絵作りが本当にかっこよくて~~~!
舞台上に横一列に広がった娘役と、オレンジ色の電飾がまばゆく灯る大階段に対角線を作るように、斜めのラインでスタンバイする男役。
そしてその光景を銀橋の上手端から見つめる柚香さん……この光景の全てが!美しすぎる!!!

このあと舞台上に戻ってからの男役黒燕尾の群舞なんですが、先述のとおり、お顔ばかり見てしまっております……
お正月にあったNHKBSプレミアムでの放送録画を見返しては「あ、うんうん、こういう振り付けしてたしてた!」ってなりはするんですが、
にしたって!一番フレッシュなはずの今日のマチネの記憶で振り付けが出てこなかったの、本当に我ながらどうかと思う。笑
前髪の右側のあのシケが!またたまらんのですよ……いや、なんでそんな美……?(最終的に諦めてしまった顔)
スターシステムそのものを可視化するかのような、ピラミッド型の陣形を大階段下から作り出す男役たち、
そしてその頂点で最後一人だけ脚を折らずにすっくと立ち、ライトの中に振り返る柚香さん。ギャ~~~!!!ですよこんなの。。
さいこうにかっこいい場面をありがとうございました……!


黒燕尾のあとは、トップコンビをのぞいた組子全員での「情熱の花」が始まるのですが、
最初に見た時「え~~!フィナーレなのにまだこんなに色々やってくれるんですか!?」って大喜びしてしまいました。笑 ここ、めっちゃ楽しいよね!
あれ中詰もっかい始まった!?ってなる感じでびっくりしました。
ここも銀橋に出るメンバー、群舞で背景を担うメンバー、まじでどっちを見ていても楽しくって!!!
とくに娘役さんをじっくり下級生に至るまで見られるのが嬉しくて(髪型が本当に個性豊かでひとりひとり違っていて、可愛い!!!)、
花組全体への愛が爆発しそうになります。楽しい・可愛い・かっこいい!!!
個人的には最後の群舞で美羽愛ちゃんが長めにセンター張って踊っているのが大好きです。一見ボブに見えるみたいなあのポニテもメッチャ可愛い~!


そしていよいよ、ラストのトップコンビによるデュエットダンスへ。
歌から始まってここでもまた贅沢を感じる……本当に様々な見どころを作ってくださっているのが、さすが100周年を記念するショー!
ミントグリーンの艷やかなお衣装、ここに来てピンクではなく全然違う色なのでぐっとメリハリがついて、これもまた良き!
まどかちゃんのドレス、フリルの幅がとても大きいし布地もしっかりしていそうなので、スカート捌き難しそうに思うのですが、
難なく美しく踊りこなしているのでこういうところも本当にスーパー娘役さんだな……と嘆息いたします。


ここはもう、どんどん深まっていくお二人のやり取りに釘付けでした!
バチバチしている感じというより、しっかりと矢印を向けあっているというか、「私はあなたを想っています!」同士の、わかった上での駆け引きみたいな感じ。
ここで踊られる薔薇のタンゴは短調の楽曲ですが、ベースにやっぱり「楽しい!」がある感じで。
最後にもうひと場面、見せ場作りますか!よっしゃいきますよ!って具合に、お互いに息がぴったりというか。

そんでもって、柚香さんのまどかちゃんの煽り方がまたすごくって……表現として煽り方でいいのかわかんないのですが、他にうまい言い方が見つけられずにいる!笑
娘役に追いかけられて男役がつれなくする、みたいなパターンのデュエダンは珍しくないと思うのですが、
なんだろう……「もっと来いよ」系デュエダン?笑(なんだそれは)
もっと来いよ!ってほど強くないんだけど、いやでも、うーん、やっぱりあれは来てほしそう。グイグイ迫って来てほしい、まどかちゃん、カモン!!!って感じに見える。笑
ちょいちょい首を横に振ったり、離れたところにいるまどかちゃんに対して指をクイクイってしたりして。いや柚香さんほんとなんなん!??愛が!愛がすごいわ!!!


振り付けでもドキッとさせられる場面が多いこのデュエダン。
背中を反らせたまどかちゃんの後頭部を支えながら、その顔の真上に向かって柚香さんが一瞬ぐっと顔を近づける振り付けがあったりするんですけど、
あれを受け止めるまどかちゃんの胸中はいったいどうなっているのだ!?ってなります、あんなの心臓止まっちゃわない!?大丈夫!!?笑
2月5日マチネでは、上手側にいる後半で柚香さんがまどかちゃんの手を掴んだまますっと引きよせて、手の甲にキスを落とすようになっていましたし。。1月30日に見たときはやってなかったと思うんですが……!?
そのあとのリフト。回転の美しさが見事なのは初日からでしたが、ほどき方がゆっくりとした離れがたいような動作になっていて、
絡めた腕をほどきながら最後に柚香さんを見上げるまどかちゃんの視線がまた!熱い!ヒィーー!!!
銀橋に出る前はお互いにキスを送り合う感じの振り付けなのが最高に好きです!まどかちゃんは両手を差し伸べるように、柚香さんは粋に右手をしゅっと投げる感じで!


2月5日のマチネの出来事なのですが、銀橋に出た後に離れた位置にいる上手側の柚香さんが、またしてもちょっとだけまどかちゃんにむけて首を振り。
そこから先に銀橋0番にたどり着いた柚香さんが、手を差し伸べてまどかちゃんを待ち構えるのですが、
そうして柚香さんが差し伸べた指先に、するりとあわせてまどかちゃんの「顔」が滑り込んできたのです。
伸ばされている手の位置に手がたどり着くならわかるんだけど、え、いや顔!?顔ダイレクトアタックでそこそんな、ジャストフィットいける!?ってなって本当にびっくりした。
柚香さんの手を出した位置も、飛び込んでいくまどかちゃんの間合いも、双方が完璧にピッタリだったのだろうなと。
お互いに相手と呼吸を合わせよう!としているからこそ生まれる、とても芸術的な一瞬で、本当にお見事でした!



私が最初にこの作品を見たのは、実は去年の11月6日なので……ようやく感想をまとめることができました。。
無事に前楽の幕も降り、あとはもう、大千秋楽を残すのみ。


永遠のように思われた公演中止期間を経て、この厳しすぎる状況下で最後の1週間を、舞台上で演じぬくために戻ってきてくれた花組
いったい、どれほどの困難があったことかと思います。
そしてそれを越えた先に、こうして純粋な「楽しさ」だけをパワーアップさせて届けてくれた花組の皆さんが、本当に本当に大好きです。感謝の気持ちでとにかくいっぱいです。

千秋楽の幕が開くことを、最後までしっかり祈ります。明日は配信で見届けるぞ!

愛してるよ花組~!!!