こたえなんていらないさ

舞台オタクの観劇感想その他もろもろブログです。

行くことを選べなかった日と、好きという感情

わかっていてチャンスがあったのに選ばなかったときの後悔は深くなる。だとしても、常に全部を選び続けることはできない。


Perfumeのドーム、行かないの?」って何回か聞かれてた。
9月19日、金曜の時点では「お知らせ」の内容はまだ不明。週明けに控えたドーム公演は両日共にチケットには余裕があって、ローチケとぴあを確認したらどちらでも当日引換券が買える状態だった。
22日は平日なので普通に仕事である。行けるとしたら23日の祝日だが私はその日すでに別な観劇の昼公演チケットを取っており、体力的にも財政的にもその後急に17時からの現場を追加で突っ込んで13500円を払うという決断が、できなかった。


そして「多分そうなんじゃないか」と周囲の人から聞いていたとおり、お知らせの中身は活動休止、コールドスリープだった。
当然の帰結として、祝日でありオーラスである23日の当日引換券は完売した。


私は2020年2月26日のドームライブに行きそびれた人間のひとりである。
あの日のチケットは、コロナ禍にエンタメ界隈を襲った悪夢の始まりを象徴するような出来事のなかに、幻となって飲みこまれた。

実はそれ以前に2回、チケットを取っていたのに行けなかったPerfumeのライブがある。*1
それはどちらも単に自分の体調不良が理由だった。なぜか2連続、タイミング悪く風邪を引いて熱を出して行けなくなった。
普段めちゃくちゃ舞台に通っているが体調で現場を飛ばすことは正直滅多に無いため、巡り合わせの悪さにはかなり凹んでいた。

しかもあの2020年の中止のとき、開催ができていた前日、2月25日のほうのチケットは姉に託して自分は見に行っていないという背景もある。
この「見られない」事態が3連続で起きたことで、私にはあまりにも縁がないのかも、そういうふうにも思えてしまった。
人間、無意味にそういう要らない意味を見出してしまうものだよね。


でもそれを踏まえて「今ならまだ行くチャンスはあるけれども、じゃあどうする?」というジャッジを迫られた今回、
私は「行く」ほうの選択をできなかった。


だって私は知っている。どうしても行きたい現場なら、自分は体力も予算も無視してチケットを買い、一目散に走り出していく人間でしかないってことを。
本当に行きたい人はとりあえずドームに向かってなんとかする。
でも今回、そうしていない時点で…という思考で自分を篩にかけているというか、選んでない、それが自分の結論だったのだと冷静に思おうとしている部分もある。
それでもこの後悔はきっと、心のどこかには残り続けてしまうのだろう。

ほぼわかっていてなお選ばなかった結果なのにじわじわと悲しさが輪郭を持ち始めてしまい、今はそれをなんとか処理したくて、こうして文章を書いている。


2010年の初めての東京ドーム公演、見に行ったな。
あまりにも昔だし、この記憶もしかして嘘かな?って不安になったけど、非公開アーカイブにしてる当時のブログを移植したものにちゃんとログが残っていた。
その頃の私はファンクラブに入っていた。
たぶん最後に行った(行けた)ライブは2012年な気がする。
タイミングは失念したけど、多分観劇趣味に本格的にハマり出して少しした頃に、優先順位を考えてFCを継続しなかったんだと思う。
だから私は自分の中で自分をファンとして定義することはできないし、新譜はずっと追っていないから本当になんでもない人間でしかない。

……どうしても、自分の中にあるより濃い、もはやルナティックな「好き」の温度を知っているからこそ、
そうではない穏やかで一般的なテンションの「好き」に対しては、こういうふうにジャッジが辛くなってしまうんだ。これにはオタクの良くないところが現れすぎている。

だけど別に、本当はそんなジャッジなんて要らないのだ。
好きなら好きで、シンプルにただそれでいいのよね。
テレビでライブパフォーマンスを見ていると何故だかどうしても泣けてしまう、私の中で彼女たちはずっとそんな存在だった。きらきらとまばゆく輝く、美しき努力と才能のかたまり。尊敬してやまないマイエタナール女神たち。大好きだ。


あのお知らせを聞いて、どうしようもなくなって、色んな都合をつけて無理を承知で、取るものもとりあえず全国からドームに体を運んでいる、そんな人がきっとものすごく沢山いる。

前からチケットを取って楽しみにしていた人たち、今回急遽の選択をして現地に駆けつけた人たち、その場に集う全員が、
3人と一緒にかけがえのない最高の時間を、どうか笑顔で楽しく過ごせますように。
そしてどうしてもこのタイミングで現地に行くことが叶わない人の心が、なるべく安らかなものでありますように。

*1:2015年の武道館、2019年のLINE CUBE SHIBUYAだった