こたえなんていらないさ

舞台オタクの観劇感想その他もろもろブログです。

愛のレキシアター「ざ・びぎにんぐ・おぶ・らぶ」東京公演の感想(ネタバレあり)後編

前編ではレキシアターのあらすじと、主要キャストの皆さんについての感想を書きました!
全体への感想を含んだ後編いきます!よかったら前編から読んでね。
anagmaram.hatenablog.com



わたしが今回レキシアターを見に行こう!と思ったのは、もちろん流司くんが出演しているためでした。実際にレキシアターの佐藤流司くんを見ていての感想なんですが、

◆我々が見たかった佐藤流司 is here みたいな気持ちに

なった。ご覧になった流司くんファンの皆さん、なりませんでしたか?わたしはなりました。
最高すぎて言葉にならねえ。

まず役として美味しすぎる。素晴らしすぎる。こきんが生み出した実在しないはずの「ハンドルネーム:ヨシツネ(23)」がなぜかレキシーランドに現れて、カオリコはそんなヨシツネに恋心を抱いてしまい、どうするこきん…!?っていう展開になるんですけど。
つまりは、こきんであるところの山本耕史さんと対峙し続ける役なんですよッ!?ハァ~!!!(感無量)
…だし、まずそもそも、牛若丸だと!?水干にポニーテールだと!?似合う!!かわいい!!!しょっぱならからビジュアル200億点!!!!!!
「LOVE弁慶」をハンドマイク握って歌ってるヨシツネ。五条大橋の上で華麗に舞うヨシツネ。やんちゃに笑顔で刀を振り回しては相手の刀を奪い、歌の途中ではウインクなんかもしちゃうヨシツネ。
そもそも、この登場の一曲目から「やばい、いいところ全部出てるどうしよう」ってなりました。いきなりの魅力全種盛りでほんとに「これは一体」となりました。(つまりは最高と言いたい)

その後、物語の展開の中でヨシツネが扮する歴史上の人物が、あろうことか森蘭丸土方歳三というラインナップでして。いや、ちょっとどうしてくれるの?という気持ちに。
へぇ~森蘭丸!?ほぉ~そっか~美少年が美少年演じちゃったか~仕方ないな~!説得力しかな~い!(思い切りよく大の字)って感じですよもう。…ほんと、どうしてくれるの???
土方歳三に関しては、えぇと、あの流司くんの口から「総司!」って怒鳴り声を聞く日があるとは思いませんでしたよね。動揺せずにいられようか?いられるわけがないよね!??*1
「いや河原さん、これ絶対、ある程度あてがきしたでしょ!?」って客席でもはや笑ってしまってました。

ヨシツネは、本来レキシーランドにいてはならないはずの架空の存在。
それにもかかわらず、なぜかレキシーランドに登場できてしまった彼は、徐々に好き勝手に動き始め、自分が存在する世界を正史へと変えてしまおうと、胡蝶への思いに揺れる明智を利用して、レキシーランドの中で積極的に歴史改変を企てていきます。
そんなふうにものすごく悪さがあって、でも憎めないダークヒーローみたいな役を演じる流司くんは初めて見たんだけれど、こんな役を演じる姿が見られるなんて~となるくらい、まじで超絶似合ってました。文句なくハマってた。

ちょっとした表情の作り方が小憎らしかったり、かと思えばひたすらに可愛かったり…。殺陣やダンスその他諸々の身のこなしは、いや十分知ってたけど、それでもびっくりさせられるくらいに華があって鮮やかで。持てるものを全部使って「どうよ俺、かっこいいでしょ?」って言われてる感覚でした。いや~かっこいいし可愛い。君はやっぱり才能のかたまりだ!
途中、こきんとのやりとりの中で「かっこよすぎて超ごめんな!」ってしかめっ面で怒鳴るシーンがあるんですが、最高すぎて笑いました。そんなセリフ、流司くんの口から何度だって聞きたいわ!!!

でもって、普段刀ミュで見慣れてるのとはまた、殺陣のタイプが違ってるんだよなぁ!?ってところにも激萌えしてしまったりなどして。
あと歌もサイコー!最高だよ!KMTR645の二番の歌い出しの歌い方とか、ほんと最高なのかよ~!?ってなってくるしかった。わっるい顔してちょっと巻き舌っぽい発声しててさ~かっこい~!よくよく見るとこの2行、ほぼ「最高」しか言えてなくて頭の悪さが絶好調だね!

そんでもって、山本耕史さんや八嶋智人さんに、本当に可愛がられていることがカーテンコールとかで伝わってくるんだよ…もうなんかそれだけで「ありがとうございます」と何にかわからない感謝を捧げたくなります。演じてる本人も、絶対絶対、楽しかっただろうし、ものすごく充実感があったに違いないだろうなと…!流司くんにとって、出演できたことがものすごくプラスになる舞台だっただろうなと感じました。観てる側としても本当にハッピーになれる舞台だった。

言いたいことをとりあえず言い切ったので、話を全体に戻します!

◆描かれていたのは、間違いなく「愛の始まりを探す旅」だった

始まってすぐは「いったいこれはどんなストーリーになるんだ!?ついていけるか!?」って一瞬不安になったりもしたんですけど、それは全くの杞憂でした。
見終わってみると、驚くくらいシンプルに、タイトルどおりの世界観なんです。ざ・びぎにんぐ・おぶ・らぶ=愛の始まり、なんですよね。


舞台上に描かれていたのは、何組かの愛のゆくえに迷った人たちのお話でした。
一組目は、恋心を抱く相手に対して、偽りの姿を作って見せてしまったこきんと、その虚像に恋することになってしまったカオリコ。
二組目は、大学時代に恋人同士であり、数十年ぶりに偶然の再会を果たした胡蝶と明智
そして最後は、織田家の家族三人。
父親である将軍に幼い頃にもらった鏃のペンダントを首からさげたままのこきん。帰って来ないことがわかりながらも、将軍への想いを抱きつづけてきた胡蝶。そんな二人の前にいつぶりかわからないくらいの時を経て姿を現す夫であり父親である、将軍。


どこまでもすれ違っていきそうな彼らの関係性、置き去りになりそうな思いは、物語が進んでいくなかで、きちんとお互いに噛み合っていくようになるんです。
そして、その展開を支えているのが、レキシの魅力的な曲の数々。
今回楽曲リストは舞台の公式サイトで事前に公開されていまして、こんなラインナップでした!
www.rekitheater.jp

例えば「きらきら武士」は、曲としてはラブソングというか、武士(誰かはわからんけどとりあえず、武士)に対する恋心を歌ってる側面もある曲だと思うんですよね。私だけに光って、というフレーズがあったり。
それをある種応援ソングのようにカオリコが歌うんですが、そんなカオリコの声援を受けるのは、ヨシツネの暴走を止めるべく、超絶かっこいいモードに確変を遂げたこきんなのです。あの瞬間、ちゃんと舞台上で、「きらきら武士」は二人の恋の歌になってるんですよね…!

「最後の将軍」は、将軍への思いを断ち切ろうと決めた胡蝶が、将軍と明智に向けて歌う歌なんだけど、あの歌詞が、いや失礼な意味ではなくて、あの歌詞がよ!?ちゃんと胡蝶の心情を反映したものとして作品の中に溶け込んでいるんですよ。ちょっと意味がわからんくらい、物語の展開にしっくりきていて。見てない方は「え、どうやって?」って思うと思うんですが、これがほんとなんだよう…!

「古今 to 新古今」は、歌が始まる前に「まぁ言ってみれば、俺は新作のこきん。」っていうヨシツネのセリフがあります。
それを受けた次の茶屋のシーンで、カオリコと偶然相席することになってしまったこきんは、「カオリコはヨシツネに恋してるけれど、ヨシツネは言ってみれば新作の俺だから、つまりはイコール俺、じゃあ今のままでもいいのか?…いや違うか、どうなんだ!?」って感じでどうすべきかわからなくなってしまうんですが、そんなこきんが歌うこの歌の中には「どちらでもいいよ 古今 to 新古今」っていう歌詞があったりする。どっちでも…よくはないよね!?ってなりながら、ここでも歌の見事なリンクに驚きました。


そして歌の演出として出色、というか一番好きだったのは「KMTR645」!
もともとものすごくアガる曲だとは思うんですが、あの派手な舞台セットの中で繰り広げられるクライマックスの殺陣と一緒に聞くKMTR645には、もはや強烈な中毒性がありました。テンションが跳ね上がって、どうしようもなく楽しすぎた…。頭の中がしばらく「きゅっきゅっきゅー!きゅっきゅきゅっきゅー!」にならざるを得ない。

でもそれでいて、この曲は歌詞の途中に「今度生まれ変わったなら君と蹴鞠で遊ぼうか」っていうフレーズがあるのがまた「うっ」となるポイントで…。ここ、本来であればその場に存在しえないはずのヨシツネに対して、手向けられている言葉のように聞こえるんですよね。
なんかこのあたりも、よくここまでもとの歌詞とストーリーを重ねられたな!?と驚愕してました。河原さん、まじで天才すぎないか?って思う。いや、天才がすぎるだろう本当に!?

歌の魅力を活かしつつ、歌詞もそのままに、物語の世界にまるっと取り込んでしまえるなんてどんな離れ業なんだよ!?と思います。それでいて、物語の骨格はものすごくスッキリしていて無駄がないんですよね。
アルカードのときも思ったんですけど、河原さんはシンプルに研ぎ澄まして世界を構築していくことがすごく得意な方なんじゃないかなと。余計なものを排しつつ、魅せることに長けているっていうか。

◆物語を圧倒的に彩る、レキシの音楽の魅力

レキシについては「いい曲だなぁ、にしても不思議な世界観だな、でも曲が謎なくらい良いな…」とうっすら思っているレベルだったんですけど、今回レキシアターを通してしっかり曲を知る機会が得られて、本当に人生においてひとつ得をしたな!って思いました。
だって本当に、魅力的な曲ばっかり。KMTR645はiTunesで買ったし、その後最終的にはアルバムを全部レンタルしました。聞けば聞くほど、好きになりますね…!

池田さんもまた、才能のかたまりすぎる人材だなって思います…キラーチューンばっかり生み出しながら、なんでそのすべてが歴史モチーフなんだろう!?ってその不思議さにとりつかれてしまうんですけど、理屈やごたくはおいておいて、とにかくいいものはいいんだな~!って気持ちになります。

わたしには音楽の素養が足りてなくて、かつ音楽の言語化にはほんとに不慣れなので、その魅力をどう表現したらいいのかわからないんだけど、明るさが散りばめられたメロディの数々には、心が浮き立たずにはおれない…という感じがします。すごいな~なんであんなメロディ思いつくんだろう。背景にある文脈がすごく気になる。そして本当に、その世界観はいったいどこからわいてくるの…!?
東京千秋楽のカーテンコールには池田さんもいらして、河原さんと一緒に舞台上にあがってくれたんだけど、客席からは自然と歓声と拍手があがっていて、とてつもない愛を感じました。

今回の客席、見た感じのお客さんの比率が、もともとレキシの音楽が好きな人、今回ほぼ初めてその楽曲に触れる人、ざっくりとですがちょうど半々くらいでした。その後者の立場からの感想のみにはなるけれど、そのどちらにとっても、きっとものすごく楽しめる舞台だったに違いない…と観ていて客席でひしひしと感じました!
ふだんわたしは音楽に向ける興味が浅めというか、自分にとっての新しいものに「音楽」というジャンルでは積極的に出会っていこうとするタイプではないので、今回レキシアターを通じてレキシの音楽にちゃんと出会えてすごくラッキーだったなと。

エンディングの「狩りから稲作へ」で、稲穂を降ってる客席と舞台とが自然とシンガロングになっていくの、すごくよかったな…。魅力的なものがぶつかって混ざり合って、そこにいる人みんなが楽しくなれる時間と空気が生まれている。その場にいるからこそ味わえる、一種の多幸感を噛み締めながら「うわぁ、いいものを見た…!」ってしみじみと感動していたのでした。



いろいろと好き放題に書いてきましたが、レキシアターは「多種多様な才能が集いし夢の国で異種格闘技!」って感じの、とにかく豪華絢爛、かつ突き抜けたようにどこまでもハッピーな舞台でした。見ながらどれだけ笑ったことか!
舞台おたくとしても出会えてよかった、見ることができてよかったなぁと心から思った舞台でしたし、流司くんが好きな立場としても、本当に文句なく最高の作品でした。


大阪公演はこの土日のみ、そして公演自体も日曜日で大千秋楽となります!
なんとなくだけど、河原さん映像化にあんまり興味がなさそうとお見受けしているし、今後全く同じメンバーでの再演もまず無理だと思うので、まだこれから見られるチャンスがある人には是非ともオススメしたい…!

東京公演、評判が良すぎてまたたく間にチケットがなくなっていったもんね。幕が開けてからチケットがなくなるのは良い舞台の鉄板なんだって聞いたことがありますし、ほんとにその通りだなって思う。
もし関西近辺で見に行くか迷ってる人がいたら、そうだレキシーランド行こう♪です~おすすめ!(チケットの残状況、全然わからないで言っているけど!)

だいたい5000字ずつという、わけてもそこそこ長文エントリーですが…読んでくださった方ありがとうございました!

*1:佐藤流司くんはミュージカル「刀剣乱舞」で、「加州清光」という沖田総司の持ち刀とされている刀(刀剣男士)を演じています。そんな彼を数年見てきた者からすると、新選組はいろんな意味で大変なモチーフと言わざるを得ないのでした

愛のレキシアター「ざ・びぎにんぐ・おぶ・らぶ」東京公演の感想(ネタバレあり)前編

ブログに書きたいことばかりたまっていて困っているあなぐまです。3月はコンテンツが大渋滞していて本当に大変だった!今すぐ分身してえ!と思ったんですけどできなかったので回してやりくりしました(予定ではなく自分の身を)。
こんなに見たい舞台だけが重なる月もそうそうないんですが、3月まじで忙しかった。でもやばいくらい楽しかった!

そのうちの1本である、レキシアターについてまずは書きます~!
www.rekitheater.jp
タイトルどおりにネタバレしまくるのでこれから大阪で見る人はご注意くださいね!そして長くなりすぎたので、珍しくエントリーを前後編に分割してアップします。



レキシの歌をベースにしたミュージカル…と言っても、いったいどんな作品なのか、さっぱり検討もつかずだったんですが、観たらもう、ひっくり返るほど面白くて。というか、大好きなタイプの舞台でした…!
もともと1回だけの観劇予定だったのが、既に限界に近かったスケジュールに無理やりねじ込んで計3回観てしまったほど。それくらい好きだった。

私はもともと、レキシの歌は詳しいわけではまったくなくて、数曲知ってるかな?レベルでして。レキシアターを見る前の時点で一番好きな曲は「きらきら武士」でした!
あふれる音楽の才能が全部「歴史」に収束して爆発している、あまりにも独特なあの世界を、いったいどうやってミュージカルにするの!?と思ってたんですが、蓋を開けてみると、ほんと「才能と才能の奇跡のコラボレーション!」って感じ。。ゴージャスなびっくり箱みたい。エンタメとして最上級に面白いものを見せてもらえることの、観客としての喜びをひしひしと感じた舞台でした。

◆あらすじ的なもの

筋金入りの引きこもりニート、織田こきん(山本耕史)は、母・織田胡蝶(高田聖子)との二人暮らし。こきんの父(山本亨)はこきんが幼いころに蒸発し、胡蝶は女手ひとつで苦労しながらこきんを育ててきた。
家から一歩も出らずに日がなパソコンを眺めてゴロゴロしているこきんを見かね、胡蝶は引きこもり支援団体の職員である明智藤井隆)を頼り、なんとかこきんの生活を立て直そうと試みるが、こきんは全く聞く耳を持たない。胡蝶が部屋に入ろうとすれば「勝手に入ってくんなよババア!」と怒鳴り、かと思えば「ババアの作ったカレーが食べたい」とわがままをメールで伝えてくる始末。
そんなこきんの最近の楽しみは、歴史オタク、いわゆる歴女であるブロガー、カオリコ(松岡茉優)が更新する動画「ひとり偉人ごっこ」を見ることだった。
ある日こきんは、カオリコのサイトにコメントする中で、つい自分を良く見せようとするあまり、「俺はそんじょそこらの男とは訳が違いますよ」と言ってしまう。それを聞いたカオリコに「そなたはどのような殿方なのじゃ?ここはひとつ、歴史上の偉人にたとえてたもう!」と言われたこきんは、売り言葉に買い言葉のような調子で「ハンドルネーム:ヨシツネ」として23歳のイケメンの虚像(佐藤流司)を作り出してしまう。
そんなこきんは、突然現れたウォルト・レキシー(八嶋智人)なる人物により、「愛の始まりを探す旅」へと無理やりと連れ出される。たどり着いた先は「レキシーランド」。歴史をモチーフにした体験型アトラクションが揃っているという、謎のテーマパークだった。
レキシーランドの入り口でまさかのカオリコ本人と一緒になり、どうしようもないほどに動揺するこきん。
そして、こきんと一緒にレキシーランドへと連れてこられた胡蝶と明智にも、実は単なる「疲れた母親と支援団体職員」ではなく、実は過去に深い縁があって…!?


…と、こういったトーンで本編が始まります。がんばって本編部分をあらすじっぽく書いてみたんですが、作品の冒頭にはメタっぽくさらに導入の映像がありまして。
レキシの池田さんが亡くなったという体でスタートするというまさかの内容なんですが、

  • 弔問におとずれたいとうせいこうさん(遺影の前にいる明らかに欧米人の男女がきょうだいと名乗り、動揺するせいこうさん)
  • 彼の音楽を後世に残すことはできないのか?と嘆く面々の前に「彼の曲をモチーフにしたミュージカルを上演するという手があります」と言いながら颯爽と登場する作演出の河原さん
  • 「でも池ちゃんのソウルを表現できる役者がいないことには…」
  • 「歴史にゆかりのある俳優に、心当たりが一人だけいます!」という前振りから、
  • 「すみません遅くなりました」と駆け足で登場する八嶋さん(BGM:SHIKIBU)
  • そんな八嶋さんの中に、おやおや!?どうやら池田さんのソウルが入ったみたいだよ!よーしじゃあ!はーじめーるよー!

…っていう感じで、舞台がスタートしていきます。説明がんばったけどカオスすぎてあの雰囲気を伝えられてる自信はみじんもない!でもなんかこういう舞台なんですほんとに!笑

あらすじをやっつけですが書けたので、次は魅力のつまった主要キャスト陣の皆さんの感想~!

◆見応えしかない役者陣

八嶋さんが舞台に登場したしょっぱなから、とにかくキレッキレで。これまでテレビでしか観たことがなかったんですけど、常にあのクオリティで面白い方なんだな、、ということを学んだ。
衣装替えもめちゃくちゃ多いし、担当する歌の数もかなりのものです。いわば狂言回し的な役割を担っているので、舞台上でこなすことが本当に大量にある印象なんですけど、アドリブも交えながら圧巻の立ち回りでした。そんなに動く!?って思うくらい、動きなさる!
あとはなによりTakeda'が印象深すぎました。あれを動じずに舞台上にでやってのけるのがすごい。笑
織田は強いなー、って思わず言いたくなるし、白マッチョ強いなー、で地味に内容を変えながら耕史さんをいじってるのが面白すぎました。

そして主演の山本耕史さん…!ジャージ姿の冴えないニート役をあそこまでしっくり来る感じで演じられるなんて…え、ほんとに山本耕史なの!?って思いました。なんべんも。ほんっとうにびっくりする。
…なんだけどさぁ!決めるシーンでの「決め」っぷりがもう、それはそれは憎らしいほどで!そりゃあ自然と拍手も起きるわな!?っていう、唸ってしまうほどの格好良さ。ま、まちがいない…この輝きは本物のスター様や…!って圧倒されてました。
そしてなにより、ビビるくらい歌がうまくていらっしゃる!!!お前、プロを捕まえて何をいうか!って感じなんですが、わたし山本耕史さんの歌聞いたことなかったので!
「え、ええ~~!!?」って客席でのけぞりたくなるほどに美声でいらして…いや意味がわからんすごすぎる格好良すぎる~!!?って思いました。あと顔が圧倒的に美しい。なんだあの鼻筋は。すごい。。ご覧のとおり、語彙が足りなくなりました。
あと「待たせたな。…土方歳三だ」は、反則すぎる!わらったけど!わらったけど反則!八嶋さんからの「お前その役だけは大事にしたほうがいいぞ!」含めて最高でした!!!(組!思い出深いですよね~…)

  • 高田聖子さん

高田聖子さんは河原さん作演出の「THE ALUCARD SHOW」以来に観たんですが、やっぱりすんごくかっこいい女優さんだなと実感!なんであんなに全身でギャグをやりにいくのに最終的にはかっこいいんだろう…。しびれてしまう。存在感っていうか説得力っていうか…!なんでもできすぎる。
そして聖子さんもビビるほどに歌声が素晴らしくて。。涙
聖子さんがソロで歌う「最後の将軍」は、話の展開も相まってあまりの良さにもはや泣いてました。いい歌ですよね…!

藤井さんに関してはとにかく「一方その頃、明智は!」にめちゃくちゃに笑わされた…!
あれなんであんなに面白いんだろう!?自分で自分を一方その頃!って言っちゃうシチュエーションと、あのセリフの言い方かな…!?毎回間違いなく爆笑が起きていたので、やっぱ笑わざるを得ないですよね!?ってなってました。芸人さんってすげえや…という気持ちに。
それでいて歌がまたよくって~!?といいつつ、墾田永年私財法の「心をこめて歌います!聞いてください!…墾田永年私財法。」の歌ふりもやっぱり有無を言わせない面白さだったし、結論感想が「面白い」に終始してしまった。…面白かったです!笑

ヒロイン役の松岡茉優ちゃん!生で観たのは初めてだったんだけど、やっぱり可愛い…!
ちょっとこじらせ系でもある複雑なメンタリティを持つカオリコの、言ってみれば「めんどくささ」みたいなところがすごくキュートに表現されてて。
完成されすぎてるだろ!?と思う山本耕史さんの歌声に対して、どこかふわっとしてる茉優ちゃんの声のクセのある甘さが、いい対比にもなっていたな~って思いました。
カオリコはベースに育ちの良さがあると思うんだけど、その真っ直ぐさとエキセントリックなところの振れ幅が、茉優ちゃんにすごく似合ってるなって感じた!可愛かった…!

そしてさゆにゃん!乃木坂46井上小百合ちゃん!さゆにゃ~~~ん!!!
さゆにゃんは學蘭歌劇「帝一の國」を愛する者からすると、もはやどこか「うちの子」みたいな感覚さえあって(図々しいぞコラ)、久しぶりに舞台で見られてもうそれだけで超嬉しかったです!!!
「ニンニン!」が可愛すぎて爆ぜる。さゆにゃん可愛いよさゆにゃん。黒いブーツにネオンピンクとネオングリーンのシューレースが可愛いよさゆにゃん。あのTakeda'で全く動じずにマラカス振り続けられるのも可愛いし一休ズの悩み相談でこきんにガチダメ出しされてるのも可愛いよさゆにゃん。
「腰元さん!?」の声の出し方とか、帝一で鍛え上げたコメディエンヌの素質炸裂だねさゆにゃん!は~、本当に相変わらずのかわいさだった、見られてうれしい!もう!大好き~!!!


え?流司くんの話はどうしたかって?…そりゃ~もう、次の記事でめっちゃ喋ります!笑
というわけで後編に続きますー!

拝啓、シブヤノオト様&ミュージカル『刀剣乱舞』様。「記録」が残ることへの感謝を伝えたいエントリー

こんばんは、あなぐまです。ブログに書きたい内容が脳内で渋滞を起こしていて大変です。なんで1日って24時間しかないんだろうなぁ!?
そんな中「この感謝の気持ちをどうしたらいいのかわからない!」となる出来事があったので、見てのとおり、もうよく何がなんだかわからないタイトルで突然ブログを書いています…!(のっけから何)

ええとね、何があったかというと、これです。これなんです。


昨日のお昼に刀ミュ公式のつぶやきでこのお知らせを知り、冗談じゃなく物理的にかたまってしまった。身動きどころか呼吸も止まるわ。嬉しすぎて。いや、本気でびっくりしすぎて。


あの、シブヤノオトPresentsの神回を。ミュージカル「刀剣乱舞」阿津賀志山異聞~2018巴里~のパリ現地公演の舞台裏をとことん丁寧に、つぶさに追ったあの素晴らしい番組を、なんと、このたび、
ほんとうに円盤にしてくださった!!!!!!涙


昨年10月の放送直後、感謝で荒ぶったままの勢いを叩きつけるように、こんなエントリーを書きました。
anagmaram.hatenablog.com


阿津賀志巴里は、本当になんと表現したら良いのかわからない気持ちになる、特別な公演です(もうその理由の詳細はいい加減いいだろうということで省きますが)。色んな気持ちを抱きしめて、全力で駆け抜けたあの8月を、絶対に忘れないだろうと思う。
その夏の思い出の端緒となったパリ公演。私たち観客の目には決して見えてこなかった、その本当の<舞台裏>。それをとてつもなく丹念な仕事ぶりで、かつ予想だにしないアクシデントがあったにもかかわらず、ありがたいほどにただ冷静に記録してくださった番組構成には、本当に感謝しかありませんでした。

↑の放送後のブログで私こんなことを書いていたんですけど、

シブヤノオトさん、素晴らしい番組を本当にありがとうございました。見そびれた人のために是非いつか再放送をお願いします!!!!というかもういっそのことライブストリーミング配信の中身も未公開シーンも全部セットにして円盤にして!売って!!!NHKだと売れないか!?どうですか!?だめですかね!!!?笑

「シブヤノオトPresents ミュージカル『刀剣乱舞』 -2.5次元から世界へ-」を見た感想(刀ミュへの愛が止まらない) - こたえなんていらないさ

いや待ってくれ、これほぼほぼ叶っとる

いや~~~~びっくりした…。驚いた。まさか本当に円盤にしてくださることがあるとは!?涙
なったら嬉しいな~でもNHKの番組だから難しいかな、いやいやでも刀ミュのおたくが円盤出せば絶対に買うことも運営はじゅうじゅうご存知でいらっしゃるだろうからこれは望みがあるのでは…!?とは、思ってはいましたけれども!!!
しかも「未放送シーンを加えた特別編集版」だと…!?
なんなのその福利厚生!?どういうことなの!?そんなに甘やかしてもらっていいんですか!!?(混乱)

しかも!特典ディスクの収録内容のラインナップが、これまた尋常じゃないことになっているんですよ…。
以下は公式サイトからの引用なんですけども、

特典映像は「MUSIC JAPAN」「シブヤノオト」のステージ映像ほか、
「SONGS OF TOKYO」より未放送シーンを加えた全5曲のスペシャルメドレーオリジナル完全版を収録。
さらに「第69回NHK紅白歌合戦」より山内惠介とのコラボスペシャルと、
刀ミュ史上初19振りの刀剣男士が集結した『刀剣乱舞』を加えた、
NHK出演番組をコンプリートしたスペシャル版。

musical-toukenranbu.jp

まてまてまて。
紅白歌合戦って、円盤になるの!!!??!
まじで!?そんなことある!!?公式が紅白の出場の様子を収めた円盤を販売してくださることなんてあるの!??!(興奮のあまり一回立ち上がってまた座る様子)


最初、情報量が多すぎて、お知らせページを見てもその内容がなかなか入ってこずでした。
だってNHK出演番組をコンプリートしたスペシャル版」なんですよ。コンプリート。つまり全部。全部だってよ!!??(わかったよ)
なんと、収録されている一番最初の放送は、2016年2月22日。刀ミュの刀剣男士として、今はなき「MUSIC JAPAN」への、歌番組初出演を果たしたときの映像です…。2016年2月といえば、前年11月にトライアル公演を終え、team三条with加州清光としてCDデビューを果たした直後の時期。阿津賀志山の本公演にむけての準備真っ最中の、まだまだ初々しかった彼ら。「歌番組に出るとか本気!?」って、ちょっと内心ハラハラしながら見守ったことを思い出します。もう3年経ってるんですね…もはや懐かしすぎて、クラクラしてしまう。。

その他の激アツポイントとしては、

  • SONGS OF TOKYOの「ノーカット完全版」が収録される
  • 紅白歌合戦出場会見時の映像も収録される

あたりですね…!

SONGS OF TOKYOは、披露された曲数は5曲とかなり多かったものの、全貌を見ることがこれまで叶っていませんでした。WEBでの配信版では5曲すべてが放送されたかわりにどれもがダイジェストだったし、地上波放送版では2曲”のみ”のフル歌唱映像でした。なので見たいけど見られないシーンがあまりにも多く…とにかく「頼むから!お金払うから!!!ノーカットで見せてくれ!!!」って、本気で願っていたんです。。

↓フルバージョンを切望する様子の例


もちろんNHKホールでの観覧もしっかり応募はしてたんですけど、まぁそうそう当たらないじゃないですか!現地に行ってた人の話を聞くに「えぇ!?そんなことやってたの!?」ってなって、フルで見られないことが本当に惜しくて惜しくて仕方なかったんですよ…。それを…ついに目にすることができるなんて…!涙
そして紅白の記者会見映像。出場を知らされてまだたった数時間後の、心底緊張もしているだろうけど、あの眩しいほどにキラキラした、自信に溢れたみんなのお顔を…改めて拝むことができるのかと思うと…私は…私は…!!!涙


思えば、刀ミュの歩みの本当に初期の初期の頃から、NHKは刀ミュを不思議なほどに贔屓にしてくれてました。
さっきも書いたけど、歌番組初出演が2016年2月というのを考えると、まだ刀ミュが1つのコンテンツとして産声をあげたばっかりで、実績もまだまだここから、というタイミング。その時にそもそもNHKはよくぞ番組に呼んでくれたなと思うし、刀ミュはそこから先に繋げていってくれたな、と思う…。
私たちファンが冗談半分で「こんなに番組呼んでもらえるんだったら、刀ミュいつか紅白にも出れちゃうかもね!」って言っていた、あの始まりの頃の姿から、実際にその夢を果たして晴れ舞台に立った瞬間までを、ひとつの円盤におさめて頂けるだなんて。。。こんなにエモいことがあろうか…!?


そして、なにがそんなに嬉しいかって、そのこれまでの歩みを「記録としてしっかり残す」という判断を、刀ミュ公式がしてくれたことです。
放送された実績は当然なくならないけれど、TV番組は公式でアーカイブ配信でもしてもらえない限り、その時にTVの前にいられた人、録画をしてた人しか、なかなか見られないものだから。
DVD、ブルーレイという明確に残る形で、見たいと願う私たちにその歴史を届けてくれることが、本当に心底ありがたいなと思うんです。
しかも公式自らが手がけたものではなく、外の視点から捉えられた映像っていうのもまた、すごく貴重なことだと思うんですよね…!第三者の側から見たミュージカル刀剣乱舞の歩みなわけですよ…!
「こうやって刀ミュは大きくなってきたんだな」っていうことをダイレクトに感じられるような、成長の歩みを克明に刻んだ一本になりそうで…嬉しい!本当に嬉しいよ~!涙


…という具合で、この大きすぎる感謝の気持ちがどうしようもない!となったため、とりあえずブログに書いてみました。
なんていうかこう…インターネットという大海原に、この感謝を投げ込んでおきたい欲求に突き動かされたんですよね…。だって、この感謝の有り様だって、記録しておかないと反響としては残らないわけじゃないですか!「ありがとう」と思ったその明確なリアクションを、何らかの形で残しておきたい!と思いました!なので書きました!
(※いや、それなら黙ってNHKにお礼のメールのひとつも入れろよとも思いつつ。ちゃんと届けるなら本来そのほうがいいよね。笑)


シブヤノオト様、刀ミュ公式様、この度は本当に本当に、円盤化すすめてくださってありがとうございました!しっかり通販予約済みです!ハ~、ちょう楽しみにしてます!!!(エアリプみたいになってきた)


やっぱり刀ミュが好きでよかった!!!!!!

敬具 (←いちおう)

ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」ロミジュリ 2/24公演の(ごく一点に偏った)感想

「愛か、死か―」究極の恋の物語、再び。
romeo-juliette.com

ドキドキしながら、本当に本当に楽しみにして、去年から待ちわびていたロミジュリ。2月23日から、遂に公演が始まりました…!は、始まってしまった…
私は2月24日の、Wキャスト的には2回目の初日*1を観劇して来たのですが、
…この前振りを書いてみたものの、その次に続けるべき言葉が、うまく思い浮かばないです。。端的に言うと、感極まりすぎた。

えーとこのブログをもしかしたら色んな方が読むかもしれないので、簡単に前提を述べておきますと、

  • 2013年にテニミュをきっかけに舞台にはまりました
  • 今はマーキューシオ役の黒羽麻璃央くんのファンをしています
  • ロミジュリは2013年版を見たことがあります

…という人間が書いております。感想は作品全体よりも、どうしてもまりおくんに関してに、潔く偏ります!



私が過去に見たロミジュリは先述のとおり2013年版(※2011年の再演版)なんですが、その後に演出が刷新された2017年版は見ていなかったので、新演出のロミジュリは初観劇でした。
というか、そもそも2013ってハチャメチャに昔という事実…笑 たしか秋に公演やってた気がするから、5年半くらい前になるのかな(おそろしい)。
なので相当に久しぶりのロミジュリ観劇だったんですけれど、新演出版、すごく好きだなと思いました!
前提として比較対象が5年半前の記憶なのであれなんですが笑、物語から伝わる印象が、よりシャープになった感じがするというか。見る私の理解が変わっただけなのかもしれないけど、登場人物それぞれの行動の背景にある感情が、以前見たときよりもクリアに伝わってくるような印象を受けました。
作品としてはもう、クオリティが保証されていることがわかりきっているので、安心して楽しみに見に行くだけ!という感じだったんですが、その期待を全く裏切らない、素晴らしい世界に出会うことができました…!


2月24日公演のキャストは、大野くんロミオ・木下晴香ちゃんジュリエット・廣瀬くんティボルト・まりおくんマーキューシオ・たつなりくんベンヴォーリオ、でした。

大野くんのロミオ、すっごく「うわぁ、ロミオだ~!」って感じで…なんていうのか、このロミジュリの中で描かれるロミオには特に、夢見がちなところがあっておっとりしている、世間ずれしてないおぼっちゃま的な特徴…があるかなって思っているんですけど、そのイメージがめちゃくちゃハマっていて。ものすごく純朴そうというか、素直そうというか。
あの荒廃したヴェローナの街で出会うのだとすれば、ジュリエットが出会ってすぐに惹かれてしまうのも納得するな!という感じの、まさに正統派王子様。
だけど二幕で絶望の淵に立ってからは、全く違う表情を見せて、歌声もガラリと変わって、自然と目や耳が惹きつけられるロミオでした。
そして晴香ちゃんのジュリエットは、とてもとても美しくて。
なんというか、すごく凛とした、心の強さを感じるジュリエットでした。
恋に憧れるだけではなくて、自分の意思で人生を切り開いていきたい、という強い眼差しを持っているジュリエット。
ジュリエットの音域ものすごく高くてびっくりさせられるんですが、それをしっかり歌いこなしていて、まだはたちなの!?マジで!?と仰天していました。きゅ、99年生まれ…(震)
この二人が並ぶと、本当にめちゃくちゃお似合いだった…!

廣瀬くんのティボルト、まず真っ先にスタイルに仰天する。脚が長すぎる!!??
内側に抱いている「悲しさ」が、怒りの後ろに透けて見える。ジュリエットのことを本当に大切に想っていたんだな、ということが伝わってくる。その燃えるような悲しみの在り方がとても美しいティボルトだなぁ、と感じました。

たつなりくんのベンヴォーリオは、にじみ出る心根の優しさが、より彼を取り巻く悲劇を際立たせているようで、見ていて胸が痛くなりました。
マーキューシオと一緒に悪ふざけはするけれど、羽目を外しすぎることはない彼は、結果的には大切な仲間を一気にふたりとも失ってしまう。
若者たちの中で、たった一人だけ生き残ってしまうという、ある意味とても酷な立場。彼が佇む傍だけには、「死」の影はやってこない…。最後にロミオとジュリエットの亡骸を前に泣き崩れるところ、めちゃくちゃにもらい泣きをしてしまった。


作品は、物語を貫く「死」の姿から始まります。
世界を荒廃に追いやったと思しき核戦争を想起させる映像を背景に、なめらかに、蠢くように舞い踊る「死」。
目深に被った帽子に隠されて、彼の表情を伺い知ることはできない。
心をざわつかせるようなそのシルエットの向こう、薄い幕の奥に透けて見える、ヴェローナの街。
そして徐々に幕が左右に引かれ、そこに突如響き渡る、
「くたばれ、キャピュレット!」
という怒鳴り声。


…ワーーーーーーー!!????!(発狂)
すみません落ち着いて書こうと思ったんですけど全然だめでした!!!!舞台に響く第一声がまさか推しの声だと思ってなかったんで本当に本当にびっくりしました!!!!そんなの無理!!やばすぎる!!!涙
そこからはもはや客席で「ウワァ!!!??出だしからめちゃくちゃ舞台上にいる!!?どうしよう!!??」って感じになってしまいまして…あ~もう突然IQが急降下した文章になっている。だめだ。落ち着いて立て直そうと思ったんですがもうここらで匙を投げて、以降は冷静さのかけらもない文章を書きますねごめんなさい!!!(突然アクセルを全開にした様子)

◆マーキューシオについて

まりおくんのマーキューシオ、めちゃくちゃ好きでした!!!そら推しやから好きに決まっとるやろな!って思うんですけど、ファンの欲目なんだろうとも思うんですけど、なんかもう、そうだとしても、好きすぎた!!!最高だった!!!!!!涙

やや語弊のある言い方だけど、まりおくん、ちゃらついたところがある役は心底似合うと思っているので、マーキューシオの方向性は絶対はまる!と確信していたんですが、もはや予想以上でした…
思った以上に危うさが全面に出ていた。目をぎょろつかせながら、手の中で飛び出しナイフをおもちゃにしてかちゃかちゃと鳴らしては、舌を繰り返しべぇ~と突き出して。
どこか行き過ぎたものを抱えていて、ひとたび火がついたら、そのままぱぁっと勢いよく燃えて消えてしまうんじゃないか、っていう感じの、火花みたいなマーキューシオでした。そしてそのとおりに、あっけなく命を落としてしまうことになるんだけど…
だけどその奥底には、寂しさと優しさが静かに横たわっていることを感じた。


まりおくんはマーキューシオについて、パンフレットで「どんな人間なのかを考えたら、寂しい人間なんだって答えが出てきて」というようなことを述べているんだけど、見ていてそれがすごく伝わってくる気がしたんですよね。
どこに向かっていったらいいのかがわからないまま、ただイライラと自分を持て余しているような。その姿を見て、鋭くてさみしい刃みたいだな、って思いました。

私は2013年にロミジュリを見たときには、なんでいきなりマーキューシオが死んでしまうほどにキレて暴れるのか、その背景がいまいち理解しきれないというか、一連の展開の必然性が自分の中ではぼんやりとしてしまってたんですよね。だけど今回はマーキューシオの心情の流れが、見ていてすとんと胸に落ちてきた気がしました。
マーキューシオが、ロミオとジュリエットの結婚を知った時に怒ったのは、やっぱりそれを「友情への裏切り」だと感じざるを得なかったからなんだろうな、と素直に思えて。

マーキューシオは、モンタギュー家のロミオやベンヴォーリオと親しくしているけれど、彼自身がその血筋の中にあるわけではない。大公の甥である彼には、他の人とは分かち合えない、立場の違いからくる寂しさがあったんじゃないかな。だけれど、ロミオとベンヴォーリオという気心の知れた親友が、彼にとってはきっとかけがえのない居場所、自分という存在の証になっていたんだろうと思う。
でもそんな大切な居場所であったはずのロミオが、敵方でしかないキャピュレットの一人娘と結婚したということを、マーキューシオはなんの前触れもなく突然知らされることになってしまう。しかも本人の口からじゃなく、街に流れる噂を通じて、という形で。
自分をつなぎとめてくれるはずのよすががあっけなく消え去ったことへのショックと、信じていた親友の心を理解できない苛立ちが、そのままキャピュレットへの憎しみへ増幅されながら変換されて、まっすぐに発散していってしまったんだろうな、って思いました。

そうして閃光のように炸裂して勢いよく死んでいってしまうその瞬間には、優しさだけが残っていた。死に際の表情、まりおくん自身が持ってる本質がにじみ出るみたいな、本当に優しい微笑み方をするので、見ていてどうにかなりそうだった…。
マーキューシオのさみしさは、友の腕に抱かれて息を引き取ったことで、きっと幾分か慰められたに違いない、と思いました。


そしてミュージカルですので、とてもとても大事な様子である歌、について。
ロミジュリに関しては…なんといっても、「世界の王」が楽しみすぎたんですよね。。「あれを歌うまりおくんが見られるの?は?まじで?それ現実?」っていうテンションで、楽しみなあまりもはや息ができなくなりそうだったんですけど……も~~~~最高だった!最高だよ!!!うわーん!!!涙

あの曲、ほんとうに言葉に尽くしがたい名曲ですよね…。かっこよすぎ。。聞いていると自然に気持ちが浮き立ってしまう。
「この地上のヒーローはここにいる俺たちだ!」って、あの瞬間の3人は心から信じてたんだろうなって。男の子の集団にしか生まれ得ないような、仲間との繋がりを心底ピュアに信じているからこそ発せられる爆発的なエネルギー。自分たちの生き様を全肯定する勢いに満ちた明るさ。若さゆえの、視界に収まる範囲しか見えていないからこその無敵感。
もともとすごく好きな曲!って思っていたその有名すぎるナンバーを、歌って踊るまりおくんの姿を、ついに私は目にしてしまったわけで…もはや、わが人生に一片の悔いなし…ってなって、一幕も早々のタイミングで、幸せすぎてそのまま砂になって消えていきそうでした。思い出しても胸が苦しいぜ!未だに夢みたいな気持がするよ!
泣きながら手拍子ってできないですよね!途中手拍子できなくなっちゃったよ!

まりおくん、「世界の王」に限らず、歌声がとにかく安定していました。いつもと声の出し方違う!!!って大感動しながら聞いてた。歌声が、好きなんじゃあ~!涙
出すところは出す、っていうメリハリもつけられていたような気がする…とにかく、安定していたんですよ…あれだけ実力のあるキャスト陣に囲まれながらも、聞いていて一切の不安がないって、もうそれだけでものすごいこと、素晴らしいことだよね…!!?涙

とりあえずここまでは、言いたいことを早口でぜんぶ言ってみた(ぜえはあ)

◆「グランドミュージカル」デビューを全力でお祝いしたい

私、今回のまりおくんのロミジュリ出演が、本当に本当に嬉しかったんです。

今のまりおくんは、お名前のとなりに「2.5次元」というキャプションがつけられることが、本当にものすごく多い。舞台周りを取り扱ったおなじみの雑誌以外に露出するときは、それが若い女性向けファッション誌であっても、テレビのバラエティーであっても、ほぼ9割の確率で「2.5次元」という単語が添えられています。
まりおくんの俳優デビュー作がテニミュであり、直近では数年間、刀ミュで三日月宗近という中心を担う役を演じ続けているということ、そして昨年末には刀ミュを通じて紅白にも出場しているという状況があることを考えれば、それもまたごく当然のことなのかとは思います。

私自身が、テニミュをスタートラインとして舞台にはまった人間であり、まりおくんを応援し始めたのも大好きな刀ミュがきっかけになっているので、2.5次元は私の心の中のいわば”実家”みたいな存在です。当たり前にそこにあるっていうか。自分の中では、帰る場所なのかもしれないな、と思う。心から大好きだなと思えるし、誇りだって感じさえする、いち観客としての大切な居場所です。
だけどそれと同時に、応援している俳優さんがそのジャンルにだけ閉じた形で、終わっていってほしくはないなってことも、ものすごく強く思うんですよね。

うーん、自分でもどう表現したらいいのか迷うんですが…ものすごく乱暴ですが、わかりやすくするために、「2.5次元作品と、そうでない作品」というめちゃくちゃ極端な分け方をするとしたら、長く俳優生活を続けていく上では、後者に出演する機会もまた、俳優誰しもにとって、ものすごく重要なことだと思うんですよ。ごく当たり前のことを言っている気がしますが。
そしてまりおくんに関しては、本人が「垣根にとらわれずに活躍していきたい」って何度もはっきりおっしゃってるので、私なんかが言うまででもないんですけども。

でも、2.5次元とその他の舞台、その両者のどっちが上だ下だ、っていう単純な図式で語る話じゃないとも思ってるんです。両者を引き比べるとき、当たり前のように2.5次元が下のものとして言及される風潮が根強くあると思うんだけど、そういうことじゃないと思いたいんだよね…。潮目は絶対に変わっているし。このことについてはずっと考えてるけど、うまく説明することができない。。
…という感じで言いたいことをうまく言葉にまとめきれてないんですが、とにかくその「2.5次元ではない作品」の中において、グランドミュージカルという存在は、演劇というジャンルを語る上では、やはりものすごく大きいものだと思うんです。

ターゲットにしているお客さんの層や、作品を描き出す上での手法が大きく異なるからこそ、そこにおいて求められる表現(あえてクオリティという言葉は避けておきたい)もまた、2.5次元とは全然種類が違うはず。
チケットだって本当にお高くて、そうそう簡単に出かけられる金額じゃない。だけど見に行くと、圧倒的な世界観で、観客として打ちのめされるような経験が出来る。あの没入感は他じゃ味わえないものだというのもよくわかる。

その、深くて広大な「グランドミュージカル」という世界に、今のまりおくんが出演するってこと、ものすごく意義のあることだなぁってファンとして勝手に思えてしかたないんです。

私は沢山グランドミュージカルを見ている人間ではもちろんないので、そちらについてわかったようなことも当然言えないんだけど、誰もが知っているようなビッグタイトルにこのタイミングで挑戦するのって、めちゃくちゃに理想的な流れのような気がしてます。
一定の成果を2.5次元という世界では間違いなく出している中で、ある意味まっさらなチャレンジャーとして、未経験の新しい世界に飛び込んでいく。そんな姿を見せてもらえるなんて、ファン冥利に尽きすぎるやつです…。本当に心底幸せだよ…。
どうしても評判が知りたくて、初日のあとについついマーキューシオで感想を検索したりしてたんですが、まりおくんを初めて見るお客さんからの褒めてくださってる声がいくつもあって、本当に本当に嬉しかった。。
いい意味で、初めてまりおくんを見る人の期待を裏切っていたんじゃないかな、って感じます。ゆーて、ものすごい場数は踏んでいるので…あの年齢でなかなかないほどに、鍛えられているので…。武道館やたまアリに立って、センターをはってお客さんの目をひきつけてきた実績があるので!(勝手にほこらしげ)
そこに向かって努力した諸々が、絶対に今に生きている!って、舞台を見つめながら実感しました。ちょっとした仕草や立ち居振る舞いに、自然と目を引くなにかがある気がするんです。なんとなくその場にいることは絶対にしないし、自信なさげにする様子も微塵もなくて、ただ堂々とそこに存在していて。
応援していてこれほどまでに嬉しいことがあろうか!?いや、ない!と断言できる。も~ほんとそれくらいハッピー。全くもって冷静になどなれないのでした。
とくに、24日の公演ではスペシャルカーテンコールで、小池先生がたつなりくんとまりおくんについて、明確に言及してくださったりもして。。新しい息吹として迎え入れて貰っている、青学7代目の同い年の二人が並んでいる姿。私が初めて見たテニミュ、そこにいた二人の大きく成長した姿なんて、そんなの見ていて泣かずにいられるわけがなかったよね…。これがエモいと呼ばれるやつじゃなかったら、一体なんなの!?ってなるよね…涙
「こんな晴れがましい瞬間に立ち会えるなんて、おたく続けててよかった…!」って全力で思いました。誇張じゃなく生きててよかった~~~って、まじで思ってしまったのでした。


…というわけで、ここまで作品全体に関しては全然ちゃんと触れられてないのですが(まじですみません)、とりあえず今のこの荒ぶりを文章にしないと次が見られない!って感じになってたので、勢いよく叩きつけるように書きました!
一箇所にめちゃくちゃに偏った感想で申し訳無さ!なんだけど、それくらい本当に幸せで仕方ない瞬間だったんだ!このよろこびをやきつけたい!!!

まりおくん、ロミオ&ジュリエットのマーキューシオ役、本当に本当に、心からおめでとうー!!!!!!!!


もうちょっと頭が落ち着いたころに、俯瞰した感想も書けたらいいな、って思います。笑
「この人大丈夫かな?」なテンションにお付き合いいただきありがとうございました!

*1:ジュリエットだけトリプルキャストなので、初日は生田絵梨花ちゃん回であと1回あるのでした

崎山つばさ 1st Album「UTOPIA」を聞いたのでその感想

なにげに2月は初更新になってしまった!
刀ミュみほとせ再演、絶賛公演中ですね。もちろん東京公演で既に見てるのですが…感想まとめるのがどうしても難しく、うだうだしていたらあっという間に2月になってました。なのでもう、ええい!感想は凱旋1回目を観てからにしようかな!?となってます。でもぜったいに書くよ~。


前置き長くなりましたが、今日は全然違うお話をば。
このあいだ、ご縁がありましてつばさくんの1stアルバムを頂いたんです。その名もUTOPIA!理想郷!よいひびき!

UTOPIA(CD+DVD)(MUSIC VIDEO盤)

UTOPIA(CD+DVD)(MUSIC VIDEO盤)

そのかわりに私からはまりおくんの写真集を差し上げたよ。そうです、おたくがよくやりがちな推しの交換会をしました!笑 楽しいよね!
黒羽麻璃央写真集 開放

黒羽麻璃央写真集 開放

まりつばなお二人、ほんと好きなんですよ。この二人を見ていると世界平和って感じの気持ちになる。まじで徹頭徹尾ピースフル。おかずくんと俺旅はまごうことなき正義です…!


というわけで(どういうわけで?)、せっかくなのでアルバムを聞いた感想を書いておこうと思います!
もちろん、しっかりとしたファンの立場で書いている文章では全然ないので、とってもお気楽~な立場の人が横から好き勝手喋ってるてきなアレなので!以降の文章はそういう体なんだってことでひとつよろしくお願いします。

◆特に好きだった曲

完全なる個人の好みに基づき、特に好きだった曲をいくつか挙げてみました。

  • UTOPIA

余白のような大きなブレス、その後に続くサビ冒頭の言葉運びと、メロディーの組み合わせがすごく好き!
「広がってゆく」というア行の音で高く始まって、かつ「ユートピア」というこれまたア行の音で終わるのが、にくいな~と。この部分を聞いてる体感が、まさに「広がってゆく」としか言えないんですよね…!音の選び方が考えぬかれてるなって思う。
それでいて、二番のサビは「繋がっている」という、どこか対になるような言葉で始まっているのがまた良い。遠くへ向かって拡散していくだけなのではなくて、目には見えない、だけど確かな関係性が、手元にしっかりと残っているのを感じる。

  • スノーギフト

イントロと間奏のギターがメロウでめちゃ良いですね…。好きだな~!
つばさくんが作詞している歌がいくつかあることは知っていたんですが、その中で一番聞いてみたいなと思っていたやつでした。
結果、聞いていて「…!?」なりました。
え、、推しがこんな作詞してきたら泣いちゃいませんか!!??私はひっくり返った!
歌詞に込めた気持ちについて、ちょうど雑誌のインタビューで読んで知っていたので、余計…。これはいくらなんでも、ファンには染みすぎるやつなのでは!?
安易に寄りかかることを選ばない、孤独を内包するからこその強さ、みたいなものを歌から感じました。そしてその芯には、きっと何よりやさしさがあるんだと思う。
つばさくんの声は「冬」がお似合いになるなぁ…。

  • この「薄情」天空に投げて

タイトルからして強めの言葉が並んでいるとおり、ぐいぐいと力強く、前のめりに飛び出していくような一曲。
これはね~!サビのメロディーがすごく好きだった~!!!個人的な好みのラインに刺さるやつでした。
歌い出しがサビから始まるので、余計に疾走感があるよね。サビはとにかく、マイナーコードで駆け抜けていく気持ちよさがすごい。うん、とにかく、ああいうメロディー進行が、大好きなんですよ!ギュンギュン鳴るギターも良い!…えーん全然うまく言語化できない!笑
手の中に握りしめた自分の気持ちだけを信じて、足を引っ張る余計なものはすべて後ろに振り捨てて、全力で駆けていく、みたいな世界観を感じた。どこか刹那的なその様子も相まって、やっぱりツボにハマった一曲でした。そういうふうに生きていきたさあるよね…(そうなの?)

  • frost flower

これもさ~~!?こんな曲を推しに歌われたら泣いてしまいませんか!!?(2回目)
つばさくん推しの皆さん大丈夫でしたか!?いやーびっくりする。びっくりした。これは作詞はつばさくんではないけれど、にしたって!?となりました。
特にさ、「いつかは僕も君の花になるから」って、そんなのダメじゃない…?
ファンならば「何いってんだよォォ!!?すでに花だよー!!!」(号泣)ってなりそうですよね。なると思います。私なら200%なる。というか、普通に聞いててじわっと来た。
なんというか、この曲はつばさくんの声の柔らかさが、特に際立つ一曲だなぁって思いました。
frost flowerというタイトルどおり、ダイレクトに冬を歌った曲なんだけど、寒い季節にほっと胸のうちに届けられた、人の気持ちのあたたかさ、そんなものが浮かび上がってきます。押し付けがましさのないやさしさ、って言ったらいいのかな。
来年もまた会えるように、ってすごくいいなぁ。雪の花びらに乗せて、密やかにそっと放たれるその願いが、叶う世界であるといい。

◆俳優が歌う、ということ

私はこれまで刀ミュでしかつばさくんの歌声を聞く機会がなかったんだけど、その進化は、去年の阿津賀志巴里あたりからビシバシと感じていました。それこそつい先日のみほとせでも「やっぱり、歌うまくなってる!」と実感していた。
なので、やはりアーティストデビューすると当然のことながら一皮もふた皮もむけていくな、すごいな…!とは思っていたんですが、今回頂いたアルバムを通して聞いたとき、歌の実力の伸び以上に印象に残ったのは、予想を超えたその「聴き応え」の深さでした。
なんというか、これは「歌」という形態を通しての、俳優とは別軸での、確固たるひとつの表現活動なんだな、というふうに感じたんですよね。…いや、ごくごく当たり前のことを言っているだけの気がするけども。。


アルバムってまとまった曲数がある分、音楽を届ける側が聞き手に伝えたいと思っている内容が、とてもクリアに立ち上がってくる部分がありますよね。ひとつの世界観を提供してもらえるような感覚があります。
この1枚のアルバムを聞いていると、つばさくんが相当な覚悟を持って音楽活動の道に足を踏み入れたんだなってことが、自然と伝わってくるような気がしたんです。
ただ与えられたものをこなしているのでは決してない、というか。曲によって、けっこう大幅に歌い方も変えているんですよね。
聞いてくれる人に対して、歌うことを通して、自分は「表現者」としてどうアプローチしたいのか。届けたい感情、掴み取りたいものはなんなのか。そういったことを、めちゃくちゃ考え抜いた上でぶつけて来ているんじゃないかな、というふうに思えました。
UTOPIA、まちがいなくひとつの作品として成立しているなって、本当に感じたので。すごいなぁ。音楽活動って、生半可な気持ちで始められることでは当然ないとは思うんだけど、にしたって、こうして形にしてしまえるのってやっぱりすごいなぁ…みたいな気持ちにしみじみとなりました。

私はつばさくんの人となりに詳しいわけでは全然ないけど、そんな私がアルバムを聞いて感じたのは、溢れんばかりの包容力というか…自分が立つべき場所にどっしりと深く根をおろした人だからこそ放てる、力強い優しさでした。
そして、俳優として活動している人の歌声に自然と滲みだす「必然性」みたいなものに触れるのが、私はわりと好きなんだな、とも感じました。それこそこれは、The Brow Beatで活動している流司くんを見ていて感じることでもあります。
やっぱり、何より「表現する」ことを生業として生きている人たちだから。彼らが歌うことを選択したとき、そこにはなにか、どうしてもこれがやりたかった、これじゃなきゃ伝えられなかった、っていう類いのものが、詰まっているような気がしている。そうして、彼らが歌うことに対して見出した意味の表出を、聞き手として受け取ることができるのは、とても贅沢で楽しいことだなと思う。
もちろん歌声だけならば舞台で聞く機会も沢山あるんだけど、役を通さない、素のままの”本人”としての歌声って、やっぱりまた違う重みと魅力があるよね。


…以上、UTOPIAはとても良きアルバムでした、という(かんぺきに外野からの)感想でした!
とちゅうで中途半端に言及しちゃったけど、同じCDというくくりでは、Hamelnの感想もどこかでちゃんと書きたいですー!

「推しが売れゆく世界線」より ― 2019年1月の所感

推しが、売れそうになっている。なんだかとっても、そんな気がする。

当ブログは立ち上げ時より、作品としては「刀ミュ」(ミュージカル「刀剣乱舞」)を推していますが、俳優さんとしては2019年1月現在、黒羽麻璃央くんを推してます。まりおくんを推しはじめてから、ざっくり1年ちょっとが経ちました。
↓推すに至った経緯はここに書きました。
anagmaram.hatenablog.com
今日はそんな推しであるところのまりおくんが、いよいよ売れそうになっているな…と勝手にひとりでしみじみ感じいっている、とあるおたくの冷静さのかけらもないつぶやきです。
※完璧に、たんなる個人の感想(感傷?)です。なので話半分にきくくらいがちょうどいいよ。なんだけど、いてもたってもいられないので、とりあえず文章を書いているよ。

◆そもそも、若手俳優にとって「売れる」ってどういうことだろう

いわゆる「若手俳優」と表現してもピンとこない人は沢山いると思うんですが、私の勝手な定義でいえば、

  • 2.5次元をはじめとする舞台作品を活動の主軸においており、
  • そこそこの頻度で本人にファンが直接触れ合える機会(握手会やファンミーティングなど)を行いつつ、各種お仕事をしている俳優さんたち。

…というような感覚でいいかなと思っています。超ざっくりとですが。まあゆってしまえば、いわゆる芸能人であるにもかかわらず、本人とファンの距離がとにかく近いところがとっても特徴的。
で、この「若手俳優」にカテゴライズされる彼らにとっての「売れる」とはどういうことか、というのを考えると、やはりそれは「世間一般における知名度が大きく上がること」を指すといえるのではないか、と思います。一部の限られたファン層だけに名前を知られているのではなくて、老若男女に幅広く「あぁ、●●くんね、知ってる知ってる」と言われうる存在になる、ということ。
そしてその知名度が上がるためにかかせないのが、やはりテレビになる、というのは2019年現在も、おそらく間違いがなさそう。これだけエンタメの多様性が広がった昨今においても、やっぱりテレビの存在ってハチャメチャにでかいんだな~と感じるんですよね。私自身、全然テレビ見ない人間なのであれなんですが、インターネットを情報のメインソースに「しない」人だって当然めちゃくちゃ沢山いるわけで。
そうなるとやはり、世間的に広く名前を認知されるためには、どうしてもテレビ出演って飛ばせないステップなんだなぁ、と実感します。


で、そんななか。
まりおくん、まじで、めちゃくちゃテレビに出ている。なんかもう、動揺するくらい出てる。
今月に入ってからの出演をざっとまとめてみました。

今週にいたっては、月~金までほぼ毎日、テレビに映っていることになる…。まじか。まじなのか。放送地域が限定されるテレビ神奈川テレビ埼玉含むけど。いや、でも、そうは言っても~!!?です。
おかずくんはドラマ初主演ですしね!共演してる俳優さんも勝手知ったる若手俳優チームではあるけど。TVK、俺旅シーズン4以来、もはやホーム感あるけど。いや、でも、そうは言っても~!!?(※エンドレス)


まりおくんの2018-2019年の年越しは、ミュージカル刀剣乱舞の刀剣男士(三日月宗近)として、紅白歌合戦出場+カウントダウンTVライブ出演を果たすという、とても華々しいものでした。まさに若手俳優界隈においても、間違いなく歴史的快挙としか言えない出来事。
個人的に、紅白が決まった後に「これは、紅白バブル絶対あるよな…」と思ってたんですよね。紅白出場決定が11/14だったので、そこから年明けの番組へのアサインされた可能性も十分あるよね、って気がしてて。その結果が主に主要キー局の番組への出演だったのかな、という気がしなくもない。実際のとこはわからないけど。三日月宗近という真ん中に立つ役を演じる以上、引き合いがきやすい部分も絶対にあるのではないか…と思う。
ポイントとしては、まりおくんの所属事務所、いわゆる大手と呼ばれる芸能事務所ではないので、先輩に対するバーター枠みたいなものが存在しないはず、というところなんです。大手どころに所属してる俳優さんとは環境も条件も大きく違うだろうと思われるところ、一箇所だけではないテレビ局のお仕事できてるのって、純粋にすごいことなのでは…?と思ってしまう。

とにかく1月のこのテレビへの露出っぷりに関しては、なんか一気に来て「ウワァ~情報の波にさらわれる!?」みたいな気持ちだったんですが、その流れの中で周りの友人や家族から、

  • 「ヤフトピのトップにまりおくんの名前みてびっくりした」
  • 「会社の人が有吉ゼミ見たみたいで、まりおくんのこと「知ってる?」って聞かれた」

と言われる、といった事象があり…。あれ、どした?外堀固められてきた?みたいな。
その結果として「推しが売れゆく世界線(の入り口)に今、私は立っているんだな…」みたいな気持ちに、勝手になってしまいました。
いやまぁ、冷静に考えたら全然そんなたいした話じゃないんですけど。でもほんと、動揺してしまったんだよ。なんていうかさ、外の世界(どこだよ)から推しの話持ち出されると、めっちゃびっくりしない?わたしはびっくりした!
ジャンル外の方からすると、たったこれくらいのことでこいつは何をそんなに騒いでいるんだ?感にあふれていると思うんですけど!我々の住む2.5次元若手俳優まわりの世界からすると、とっても大きい変化、なんですよ~~…!!!涙

◆この先「売れていく」未来に向けて

で、正直なところ、若手俳優が売れることって、全然簡単なことではないと思うのです。現実はきびしく、難しいものがある。
何がきっかけになって、いわゆる一般的に名前を知られた芸能人クラスになっていくのか…正直運によるところもめちゃ大きそうで、ほんと~に何があるかわからない世界だと思うんですよね。直近の売れた若手俳優の例だと、やはり志尊淳くんの名前が挙げられると思うのですが(彼もテニミュ出身)、ほんとそんじゅんも、気づいたらいつの間にかめちゃくちゃテレビに出るのが当たり前の存在になってた。彼は2014年にトッキュウジャーで戦隊のレッドをつとめてはいるのですが、その直後からわかりやすく売れてたわけじゃないので、余計に「いつの間に!?」っていう感覚が強いんですよね。

そんなこんなで、目指す先は多分楽な道のりじゃないのだろうとはっきり分かる中で、でもまりおくんにひとつ特徴的なのは、本人が明確に「売れたい」ってはっきり口に出しているところ。
圧倒的に売れたい、スターになりたいって、堂々とファンの前で言ってのけるし、インタビューでもしょっちゅう言ってる。言霊という表現を本人は使ったりもしているけど、敢えてはっきりとそういうふうに口に出すことで、自分を追い込む部分もありつつ、少しでも手元に可能性を手繰り寄せようとしているように思えます。
私はその姿が、ほんとにめちゃくちゃ、好きなんですよ…。(かみしめている)
そういうふうに正面から一見遠そうな目標を言い切ることって、絶対に勇気がいるはず。そこにかける覚悟と、後ろに垣間見える積み重ねてきたものへの自負心。は~~なんなんだ!!??かっこいいな!?ってなります。なる。まじでかっこいい。えらい。すごい。


約6年、この趣味を続けてきて思うんですが、2.5次元若手俳優をとりまく環境の潮目は「明らかに変わった」というふうに、個人的には感じてます。2018年は絶対にターニングポイントだったと思う。それこそテレビの中での2.5次元の取り上げられ方が、前はもっと笑いを含んだイロモノ扱いであることが多かったけど、茶化さずに正面から説明してもらえる場面が明らかに増えています。なので言ってしまえば、チャンス到来、な部分は絶対にあると思ってる。
そしてそれを、まりおくん自身も感じてるんじゃないかなって、超勝手にですが思ってて。「今なら(売れることが)実現できるかもしれない」っていう、冷静な読みみたいなものも、まりおくんを見てるとなんとなく感じる部分がある。
出来ないことを目指そうとしているわけじゃなくて、実現可能なものとして売れる未来を、見つめているのではないかという気がする。テレビに登場するときに彼は最近「2.5次元の王子様」というキャッチコピーを背負ってることが多いんですが、その言葉に多分プラス要素もマイナス要素もごちゃっと色々乗っかっていることもわかったうえで、もう清濁併せ呑んでまるごと引き受けながら突っ走ってみせるぜ!みたいなふうに、私には見えてしまう。名前を覚えてもらうために使えるものはときに逆手にとっても使っていくけど、でもその中で自分が成長の糧にしてきた2.5次元というジャンルが真っ当に評価されるように貢献したい、というような気概を感じる。
なんかもう、心底かっこいいです…。

こんな感じで、「推しが売れる」日が、もしかしたら今年中には訪れるのではないか…と、ファンの欲目全開で思っている次第です。
このなんて表現したらいいかわからないソワソワ感を、今限定のものとして文章にしておくのも面白いかな、と思いまして。だってほら、ほんとに推しが売れたらもう書けない内容なわけですよ、売れていきそうなときに感じてることって。だから今の状況や感覚を、観察日記的に、四半期に1回くらいの頻度で書いたら面白そうじゃないかなと思いました。…四半期に1回にしては、初回書くタイミングが1月って早すぎねぇ!?笑

そんな中でおたくお約束のやつとしてあるのが「売れていくのが、嬉しいけどさみしい!」というアレです。
いやほんと、めっちゃ売れたら、すごく嬉しいけど超さみしいだろうな。と思う。
本当に本当の売れ方をしてしまったら、つまりは早晩、会えなくなるんだろうと思うし…えぇ~そんな!?まだ推しはじめて1年しか経ってないのに~!!?ってなる部分すごくあるけど、でも!何より本人が売れたいと言っているから!そうなる未来が来てほしい~!!!涙
だってそう思って応援する以外に、他にファンができることなどない…!!!さみし~とか言ってる場合じゃない、でも、さみし~!でも、売れてくれ~!…みたいな感覚で脳内を転げまわりながら、日々を大袈裟にすごしています。何がどうなるかもわからんのに!笑


で、そもそもなんですけどね。…売れるにしろなんにしろ、なにより健康第一でがんばってほしいです!!!元気がいちばん!!!
…どうした、めっちゃ唐突な結びでいったいなんなんだ?と思われた方もいるかもしれないんですが、えーん、実は1/25に、まりおくん体調不良につき予定してたニコ生を急遽おやすみにします、ごめんなさい!っていうお知らせがマネージャーさんからあったんですよ。そしてそれにめっちゃ動揺してしまったのでした。えーん…
沢山お仕事をがんばりたい気持ちで多少の無理は織り込み済みで駆け抜けているのだろう、と思う一方で、ちゃんと息継ぎできる時間も取っててくれたらいいな、と強く思った次第!
なんかこう、、、ほんと、こういうとき、まじでファンにできることなど!なにもないよね!!!しってた!!!!
なにもないので、とにかく陰ながら!健康を!回復を!祈る!!!…みたいな気持ちです。
ファンミ直前だから大事をとってのお休み要素が大きいのかな、とも思いつつ、とにかく元気になってくれたらうれしい。たくさん寝てご飯を食べてくれ。たのむ。とりあえず土曜のファンミ大阪にはグリーン車で移動してくれ、の気持ち。


というわけで、1月の所感は「推しがめっちゃテレビ出て動揺してたら、体調不良のお知らせを受け更に動揺し、結果として健康の大切さを痛感した」って感じになりました。なんなの。
日曜日はファンミ東京なんですが、ものすごく楽しみなんだけど、むりはしないでくれ~!!!ってなってます。ウウ。
はー、ほんと好き勝手書きました。徹頭徹尾、個人の感想のみでお送りしました!!!

アイアシアターの閉館に寄せて ~好き嫌いだけじゃ語れない場所~

2018年12月31日付けで、AiiA Theater Tokyo(通称:アイアシアター)が、閉館を迎えました。
現時点で「2.5次元作品に親しんでいるけど、アイアシアターという名前に馴染みがない」という人は、おそらくあまりいないんじゃないかと思う。
個人的にもかなりいろんな感情が詰まりまくっている劇場である、このアイアシアターという存在について、どうしても記事にしたいので書いてみます。




◆アイアシアターの歩み

そもそも、アイアシアターはずっと2.5次元専用劇場だったわけではありません。私が舞台を見始めた2013年の時点では、まだ違いました。
このあたり、日本2.5次元ミュージカル協会の歩みともイコールになっている部分がある気がしたので、大雑把ですが調べられる範囲でまとめてみました。
なおアイアシアター単体の歩みはWikiの該当頁を見ていただくといいかと思います。

時期 できごと
2007.4 マッスルミュージカル専用劇場「渋谷マッスルシアター」として開業(その後、2011年5月に閉鎖)*1*2
2012.9.15 アイア株式会社により「AiiA Theater Tokyo」として開業*3*4
2013.3 日本2.5次元ミュージカル協会」発足(※以降「2.5D協会」と略記)*5
2014.8 2.5D協会が、アイアシアターを2015年3月から「2.5次元ミュージカル専用劇場」として運用することを発表*6
2015.3 2.5次元ミュージカル専用劇場としての運用がスタート(当初予定:2016年3月までの1年間限定)。伴って正式名称が「AiiA 2.5 Theater Tokyo」となる
2016.2 2.5次元ミュージカル専用劇場としての運用が2017年4月末まで正式に延長決定*7
2017.2 2.5次元ミュージカル専用劇場としての運用が2018年4月末まで正式に延長決定*8
2018.6.1 AiiA Theather Tokyoが2018年12月31日付で閉館することが発表*9
2018.6.11. 2.5次元ミュージカル専用劇場としての運用が2018年10月末で終了となることが発表*10
2018.10.31 2.5次元ミュージカル専用劇場「AiiA 2.5 Theater Tokyo」としての運用終了
2018.12.31 「AiiA Theater Tokyo」閉館


「アイアシアター」という劇場が存在したのは、2012年9月~2018年12月の約6年3ヶ月間、そのうち2015年3月~2018年10月の約3年8ヶ月間が、2.5次元ミュージカル専用劇場として運用されていた、ということになります。

そもそも、ず~っと個人的に気になっていたのは、アイアシアターが建っている場所についてでした。だってあそこ、国立代々木競技場の敷地内、つまりは国の所有地内、ってことで多分あっているんですよね…?
アイアシアター公式サイトの住所表記も下記のようになっていて。(サイト自体、もしかしたら近い将来見られなくなっちゃうかもだけど。。)

アイア 2.5 シアタートーキョー
〒150-0041
東京都渋谷区神南2-1-1 国立代々木競技場
渋谷プラザ

そしてこの「渋谷プラザ」っていうのは、どうやら第二体育館近くの広場のことを指すようなんですね。Wikiの国立代々木競技場の頁に下記の記載がありました。(国立代々木競技場の本体サイトには説明を見つけられず…。)

渋谷プラザ
第二体育館の南側、渋谷駅方面に面する広場。渋谷公園通りに面する。

…じゃあそもそもなんで、マッスルミュージカルは代々木競技場の敷地内に劇場を建てることになったのか、ってことはめっちゃ気になってます。土地の権利は借地権で、国が貸してたってことでいいのかな。軽く検索するくらいじゃこの経緯はちょっとわからなかった。背景事情を知ってる人がいたら教えていただきたい気持ちです!笑

何がきっかけか思い出せないんですが、以前からうっすらと「アイアシアターはなんでかしらんけど国の所有地内にあるっぽい」ってのは頭にあったので、2020年の東京オリンピック開催が決まった時点で、あ、じゃあ本格的にアイアシアターの寿命決まるのでは…?って思ってた。なので正式な閉館のお知らせを聞いたときも「あぁ、ついに来たか~」って気持ちになったことを覚えています。

◆とある舞台おたくにとっての「アイアシアター」という存在

ここからは、超個人的な感傷がもりもりのお話です!

まず、「アイアシアター、好きでしたか?」って聞かれると、私はなんて答えたらいいのかわからない気持ちがします。好きとも嫌いとも言えない存在、って感じ。
「劇場」という、演目がかかるハコとして見たときは、設備面での数々の理由により、決して好きとは言い切れなかった。
でも、あまりにも思い出深い複数の演目と強固に結びついた場所なので、そういう意味では絶対に嫌いにはなれなかった存在…。
なんというか、愛憎半ば、みたいな。いやそんな大袈裟な?って感じですが、本当になんともいえない感情があるんです!
そして私の中では、現時点で一番たくさん足を運んだ劇場でもあります。私がアイアで観た演目(イベント含む)を並べてみました。

  • 2013年

8月 THE ALUCARD SHOW
11月 亜雌異人愚なグレイス

  • 2014年

5月 D-BOYS -10thどこ-10years プレミアム D-live
7月 D-BOYS 全員集合握手会
11月 THE ALUCARD SHOW(再演)
12月 ALTARBOYZ Christmas Special

  • 2015年

7月 學蘭歌劇「帝一の國」第二章 決戦のマイムマイム
11月 ミュージカル「刀剣乱舞」トライアル公演
11月 ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!」

  • 2016年

3月 學蘭歌劇「帝一の國」最終章 血戦のラストダンス
6月 ミュージカル「刀剣乱舞」~阿津賀志山異聞~
8月 ライブ・スペクタクル「NARUTO」(再演)
9~11月 ミュージカル「刀剣乱舞」~幕末天狼傳~(凱旋含む)

  • 2017年

3~4月 ミュージカル「刀剣乱舞」~三百年の子守唄~(凱旋含む)
5月 ミュージカル「刀剣乱舞」真剣乱舞祭2016 上映会
5月 ライブ・スペクタクル「NARUTO」~暁の調べ~
7月 舞台「黒子のバスケ」OVER-DRIVE

…2018年はなんと、ゼロだったのでした。おちゃろくとかダンデビとか見てないもんな。最後に見たのは意外にもくろステなのか!そして思ったとおり、演目の偏りがひどい。笑
演目総数は17と少なめ、一方で観に行った回数はざっと数えると多分70回くらい。演目数と回数のこの大きな乖離は、愛するあまりに通い倒した帝一と刀ミュを含むためですね…!
座席は最後列の21列以外、1列から20列まで、サイドにもセンターにも本当にあらゆる場所に座ったので、座席からの見え方は網羅したと言えると思う。それくらい、慣れ親しみ過ぎた劇場です。


そんな私がアイアシアターを「劇場」としては好きになれなかった、と言ったのは、やはり設備面によるものが大きいです。
一番嫌だったのは「音漏れ」でしたね…!
音漏れというか、逆の現象。「上演中の劇場内に、劇場外の音が聞こえてくる」という、わりに信じがたい現象です。そんな事態が発生する建物が劇場を名乗って良いのか?と本気で思ってた。
私が遭遇したのは、とある演目の、音楽のない静かなシーンでの出来事。登場人物二人が向き合って会話を交わすその最中に、めちゃくちゃ明確に、外を走る街宣車の音声が入ってきたんだなぁ…。
あの時の「没入していた世界から無理やり現実に引き戻された」がっかり感はちょっと忘れられないです。その後、ラストシーンにかけて集中しきれないままエンディングを迎えてしまった。まじで怒りを覚えましたもん。同様の現象は、その後にも運悪く何回か出くわした。
(でもこれ、2.5次元ミュージカル専用になった後半期には遭遇しなかったので、それはそれで不思議なんですよね。工事してた気配もなかったように思うので。とくに刀ミュに通ってる人からも、あんまり聞いたことなかったんだよなぁ?私が見かけなかっただけかもしれないけど。)

そしてアイアシアターといえば、この音漏れの他にも。
パイプ椅子ともまた違う、なんともいえない座り心地のかったい青いシート。同じ列に、ちょっと大きめのリアクションで笑うタイプの人がいると、真隣じゃなくても自分の椅子までがグラグラ揺れるという「4DXだったっけ!?」なびっくり現象。下手壁際のサイドシートに座ると断続的に聞こえてきて集中力が削がれまくる、壁の向こうからの「ゴォォ…」という不気味な空調音。驚くほどに多発するマイクその他の音響トラブル。ここはいつまでも仮設なんだろうか、、と感じてしまう、あの独特のトイレ。
そして出演しているキャスト陣の写真やバクステ映像に楽屋が写らない、写っても常に”屋外”の景色しかないことから察せられる、「舞台裏の設備環境、たぶんめっちゃ過酷なんじゃね?」という悲しい確信…。

そんなこんなで、プラスとマイナスどっちの印象がもともと強い?って聞かれると、私にとっては「マイナス」の印象がどうしたって強い場所でした。

2.5次元ミュージカル専用劇場としてのアイアシアター

2014年に「アイアシアターを2.5次元ミュージカルの専用劇場にする」って発表された時に、真っ先に「やだな」って当時の私が思ってしまったのは、上記に挙げたようなお粗末と言わざるを得ない特徴を持つ劇場が、2.5次元のメイン現場になるという事実そのものについてでした。
なんていったらいいのか…「2.5次元なんだから、まぁこの程度の設備で足りるんでしょ」って、対外的にも思われやすくなるのでは、という感覚があって。2.5次元が侮られることの、ある意味”裏付け”になっちゃうんじゃないかな、みたいな気持ちになったんですよ。観に来る側のお客さんのことも、出演してるキャストのことも、なんだか見くびられてるみたいな気持ちにもなった。
何よりも、大好きな「帝一の國」が、まだ閉館までには余裕のあったパルコ劇場から、アイアシアターに上演場所が移ることが確定してしまったので、余計に嫌だったんですよね。
そもそも「日本発2.5次元ミュージカルを世界へ!」と銘打って海外からのお客さんを迎える場所としては、あまりにも恥ずかしいんじゃないのか…!?と心配になったりもしていました。
当時はまだ、演目をしかける側が、どんな風に考えて2.5次元作品を育てていこうとしているのか、明確に語られた内容を見る機会が少なかったので、運営側への不信感みたいなものも割と明確に持ってました。正直なところ。
2014~2015年当時、ネルケや2.5D協会からの「観客側に向けて」という意味での明確な発信は、そこまで積極的にはなされていなかったような印象があります。(もっと別な層、ビジネスパートナーになる側には、たくさんされていたのかもしれないけど。)


でもここ1年くらいの間、2.5D協会の発起人で代表理事でもあるネルケ松田さんの発言が、いろんな形でフューチャーされるようになり、インタビュー等でその考え方を詳しく知ることのできる機会が、かなり増えました。
なので、かつては伝わって来にくかった作り手側の思いや狙いみたいなものが、段々と今になって、わかるようになった部分が大きくて。

そうして松田さんを始めとする作り手側のいろんな発信にふれる中で、むしろ劇場不足が深刻なものとなっている今、たとえ不完全な環境ではあっても「専用劇場」という場所を押さえ続けていたその努力は、ものすごく先見の明がありすぎる行為だったんだな、と思うようになりました。
恐らくは、他の劇場を使うより、使用料はかなり安く抑えることができたはず。その分いろんな演目を実現させ、外に送り出すことのできる可能性は、きっとぐんと上がったのだと思います。その半面、演目のクオリティが玉石混交になる事態を呼びやすくなった部分も、正直あるとは思うんだけど。
でも、2.5次元というひとつのジャンルを伸ばしていく、この先も存続させる、育てていく…ということを本気で考えた時に「ジャンルの伸び盛りの時期に、専用劇場を持っていた」というのは、本当に意味のあることだったんじゃないかと思う。

アイアシアターが「AiiA 2.5 Theater Tokyo」として運営されていたこの3年半あまりの時間は、たぶん2.5次元作品の歩みを将来的に振り返って見た時にも、きっとすごく特筆すべき期間になるんじゃないかなと感じています。
観に来るお客さんの裾野がぐっと広がり、世間的な知名度や、演目ひとつひとつの大きさが、ぐんぐんと伸びていった時期。
本当にこの数年で、ひとつのジャンルの隆盛を目の当たりにしているなという思いが強いのですが、そうしてジャンルが飛躍に向けて全速力で走っていく時期において、「不完全なハコ」であるアイアは、専用劇場としては、ある意味ぴったりだったのかもしれないな…という思いがするんです。もちろん、振り返った今だからこそ感じることだけど。
伸び盛りでまだ未完成なものが、不完全なハコで輝く、ということ。それはもしかしたらこれ以上ないくらい、絶妙にマッチしていたソフトとハードの組み合わせだったのかもしれない、今となってはそんな風にも思えてくる。
演劇はお客さんの想像力が働いて初めて成立するもの。だからこそ、その想像力が解き放たれる場所になる劇場には、作品に集中できる快適な環境であってほしい。アイアシアターには正直そこが大きく欠けていたんだけど、だけどそれをカバーしてなお作品は輝くことができていたし、観客として楽しい時間をすごすこともできていた。それは、2.5次元演目が持っている、伸び盛りならではの、爆発的なエネルギーがもたらしていたもの、なのかもしれません。

◆好き嫌いだけじゃ、語れないけれど

アイアシアターには、渋谷駅から行く派と原宿から行く派がいたけど、わたしは毎回、渋谷駅から向かってました。暑い日も寒い日も、本当に何度も、公園通りをてくてくと登った。一人で、時には友人と連れ立って。緊張しながら、ワクワクしながら。
急いでいる時に走ったりすると簡単に汗だくになっちゃうあの坂。時間に余裕があるときは、ドキドキした気持ちをなだめるように、わざとゆっくり歩いて進んだ。何度か横断歩道で止まる時、周りにはすでに同好の士が沢山いることが、持ち物なんかでわかってた。
坂を登りきった交差点で、あの赤い外壁と窓ガラスの外観が見えてくると、「あ~またアイアに来たんだな」って実感が湧いた。
刀ミュのキャンセル待ちでは、劇場前のスペースでいつも長い長い列を作って、あのカラフルなキャンセル待ち券をうけとった。当落発表をまつ間は、東武ホテルの中のプロントで友達とおしゃべりしながら時間を潰した。
終演後に興奮で頭がふわふわしすぎて、テラスの階段で足を踏み外しかけたことも何度もある。
ソワレを観に行く時に、マチネ終わりのお客さんとあの横断歩道ですれ違うと、劇場から出てきてこちらに向かってくる人が、みんなそれぞれ幸せそうな、本当に楽しそうな、キラキラした顔をしていた。


11月と12月にそれぞれ、2件のこんなツイートをしました。

  • 11月のツイート

  • 12月のツイート


アイアシアターが閉館を迎える日と、刀ミュが2.5次元演目として初めて、NHK紅白歌合戦に出場した日。このふたつの「2018年12月31日」っていう日付が揃ってたことには、どうしたって、感慨深いものがありすぎました。
だって、ツイートした画像のとおり、本当にまじでただの隣同士なんですよ、アイアシアターとNHKホール。紅白直前のどうしようもなくウロウロした気持ちのまま、渋谷で用事を済ませる前にどうしても目の前まで行きたくなって、2つを並べて、視界におさめたのでした。
もう、あのワクワクした気持ちでこの坂を登ることもないんだな…って思いながら。
17時すぎ、よく晴れた冬の夕暮れ時、信号の青い光とか空の色とか…いろんなものが相まって、撮ってよかったな…て思う写真になりました。レンズの汚れ写っちゃってるけど。iPhoneSEだから画質にかなり限界あるけど。そもそもツイート内で誤字してるけど!笑
普段、4桁のいいねとかRTとかまずあり得ないので、それだけ同ジャンルに身を置く人にとっては「わかる…」って思ってもらえたツイートだったんだろうな、と思います。


2.5D協会のプレスリリースによると、新しい専用劇場の運用も目指されているのだということです。*11今後のためにも、ぜひ実現したらいいなぁと願っています。そのあかつきには是非、劇場としての設備はグレードアップした場所で…!


アイアシアターが、とある舞台おたくに残したもの。その全てを美化することは出来ないけど、だけどそこで過ごした時間は、間違いなく、かけがえのない何かでした。そこで観た景色は、私にとって一言じゃ説明できない、大切すぎる思い出になったものばかりです。


好き嫌いだけじゃ語れない場所だけど、やっぱり最後はお礼を言いたい。
さよなら、そしてありがとう、アイアシアター。君のことはいろんな意味で忘れない。