こたえなんていらないさ

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愛のレキシアター「ざ・びぎにんぐ・おぶ・らぶ」東京公演の感想(ネタバレあり)後編

前編ではレキシアターのあらすじと、主要キャストの皆さんについての感想を書きました!
全体への感想を含んだ後編いきます!よかったら前編から読んでね。
anagmaram.hatenablog.com



わたしが今回レキシアターを見に行こう!と思ったのは、もちろん流司くんが出演しているためでした。実際にレキシアターの佐藤流司くんを見ていての感想なんですが、

◆我々が見たかった佐藤流司 is here みたいな気持ちに

なった。ご覧になった流司くんファンの皆さん、なりませんでしたか?わたしはなりました。
最高すぎて言葉にならねえ。

まず役として美味しすぎる。素晴らしすぎる。こきんが生み出した実在しないはずの「ハンドルネーム:ヨシツネ(23)」がなぜかレキシーランドに現れて、カオリコはそんなヨシツネに恋心を抱いてしまい、どうするこきん…!?っていう展開になるんですけど。
つまりは、こきんであるところの山本耕史さんと対峙し続ける役なんですよッ!?ハァ~!!!(感無量)
…だし、まずそもそも、牛若丸だと!?水干にポニーテールだと!?似合う!!かわいい!!!しょっぱならからビジュアル200億点!!!!!!
「LOVE弁慶」をハンドマイク握って歌ってるヨシツネ。五条大橋の上で華麗に舞うヨシツネ。やんちゃに笑顔で刀を振り回しては相手の刀を奪い、歌の途中ではウインクなんかもしちゃうヨシツネ。
そもそも、この登場の一曲目から「やばい、いいところ全部出てるどうしよう」ってなりました。いきなりの魅力全種盛りでほんとに「これは一体」となりました。(つまりは最高と言いたい)

その後、物語の展開の中でヨシツネが扮する歴史上の人物が、あろうことか森蘭丸土方歳三というラインナップでして。いや、ちょっとどうしてくれるの?という気持ちに。
へぇ~森蘭丸!?ほぉ~そっか~美少年が美少年演じちゃったか~仕方ないな~!説得力しかな~い!(思い切りよく大の字)って感じですよもう。…ほんと、どうしてくれるの???
土方歳三に関しては、えぇと、あの流司くんの口から「総司!」って怒鳴り声を聞く日があるとは思いませんでしたよね。動揺せずにいられようか?いられるわけがないよね!??*1
「いや河原さん、これ絶対、ある程度あてがきしたでしょ!?」って客席でもはや笑ってしまってました。

ヨシツネは、本来レキシーランドにいてはならないはずの架空の存在。
それにもかかわらず、なぜかレキシーランドに登場できてしまった彼は、徐々に好き勝手に動き始め、自分が存在する世界を正史へと変えてしまおうと、胡蝶への思いに揺れる明智を利用して、レキシーランドの中で積極的に歴史改変を企てていきます。
そんなふうにものすごく悪さがあって、でも憎めないダークヒーローみたいな役を演じる流司くんは初めて見たんだけれど、こんな役を演じる姿が見られるなんて~となるくらい、まじで超絶似合ってました。文句なくハマってた。

ちょっとした表情の作り方が小憎らしかったり、かと思えばひたすらに可愛かったり…。殺陣やダンスその他諸々の身のこなしは、いや十分知ってたけど、それでもびっくりさせられるくらいに華があって鮮やかで。持てるものを全部使って「どうよ俺、かっこいいでしょ?」って言われてる感覚でした。いや~かっこいいし可愛い。君はやっぱり才能のかたまりだ!
途中、こきんとのやりとりの中で「かっこよすぎて超ごめんな!」ってしかめっ面で怒鳴るシーンがあるんですが、最高すぎて笑いました。そんなセリフ、流司くんの口から何度だって聞きたいわ!!!

でもって、普段刀ミュで見慣れてるのとはまた、殺陣のタイプが違ってるんだよなぁ!?ってところにも激萌えしてしまったりなどして。
あと歌もサイコー!最高だよ!KMTR645の二番の歌い出しの歌い方とか、ほんと最高なのかよ~!?ってなってくるしかった。わっるい顔してちょっと巻き舌っぽい発声しててさ~かっこい~!よくよく見るとこの2行、ほぼ「最高」しか言えてなくて頭の悪さが絶好調だね!

そんでもって、山本耕史さんや八嶋智人さんに、本当に可愛がられていることがカーテンコールとかで伝わってくるんだよ…もうなんかそれだけで「ありがとうございます」と何にかわからない感謝を捧げたくなります。演じてる本人も、絶対絶対、楽しかっただろうし、ものすごく充実感があったに違いないだろうなと…!流司くんにとって、出演できたことがものすごくプラスになる舞台だっただろうなと感じました。観てる側としても本当にハッピーになれる舞台だった。

言いたいことをとりあえず言い切ったので、話を全体に戻します!

◆描かれていたのは、間違いなく「愛の始まりを探す旅」だった

始まってすぐは「いったいこれはどんなストーリーになるんだ!?ついていけるか!?」って一瞬不安になったりもしたんですけど、それは全くの杞憂でした。
見終わってみると、驚くくらいシンプルに、タイトルどおりの世界観なんです。ざ・びぎにんぐ・おぶ・らぶ=愛の始まり、なんですよね。


舞台上に描かれていたのは、何組かの愛のゆくえに迷った人たちのお話でした。
一組目は、恋心を抱く相手に対して、偽りの姿を作って見せてしまったこきんと、その虚像に恋することになってしまったカオリコ。
二組目は、大学時代に恋人同士であり、数十年ぶりに偶然の再会を果たした胡蝶と明智
そして最後は、織田家の家族三人。
父親である将軍に幼い頃にもらった鏃のペンダントを首からさげたままのこきん。帰って来ないことがわかりながらも、将軍への想いを抱きつづけてきた胡蝶。そんな二人の前にいつぶりかわからないくらいの時を経て姿を現す夫であり父親である、将軍。


どこまでもすれ違っていきそうな彼らの関係性、置き去りになりそうな思いは、物語が進んでいくなかで、きちんとお互いに噛み合っていくようになるんです。
そして、その展開を支えているのが、レキシの魅力的な曲の数々。
今回楽曲リストは舞台の公式サイトで事前に公開されていまして、こんなラインナップでした!
www.rekitheater.jp

例えば「きらきら武士」は、曲としてはラブソングというか、武士(誰かはわからんけどとりあえず、武士)に対する恋心を歌ってる側面もある曲だと思うんですよね。私だけに光って、というフレーズがあったり。
それをある種応援ソングのようにカオリコが歌うんですが、そんなカオリコの声援を受けるのは、ヨシツネの暴走を止めるべく、超絶かっこいいモードに確変を遂げたこきんなのです。あの瞬間、ちゃんと舞台上で、「きらきら武士」は二人の恋の歌になってるんですよね…!

「最後の将軍」は、将軍への思いを断ち切ろうと決めた胡蝶が、将軍と明智に向けて歌う歌なんだけど、あの歌詞が、いや失礼な意味ではなくて、あの歌詞がよ!?ちゃんと胡蝶の心情を反映したものとして作品の中に溶け込んでいるんですよ。ちょっと意味がわからんくらい、物語の展開にしっくりきていて。見てない方は「え、どうやって?」って思うと思うんですが、これがほんとなんだよう…!

「古今 to 新古今」は、歌が始まる前に「まぁ言ってみれば、俺は新作のこきん。」っていうヨシツネのセリフがあります。
それを受けた次の茶屋のシーンで、カオリコと偶然相席することになってしまったこきんは、「カオリコはヨシツネに恋してるけれど、ヨシツネは言ってみれば新作の俺だから、つまりはイコール俺、じゃあ今のままでもいいのか?…いや違うか、どうなんだ!?」って感じでどうすべきかわからなくなってしまうんですが、そんなこきんが歌うこの歌の中には「どちらでもいいよ 古今 to 新古今」っていう歌詞があったりする。どっちでも…よくはないよね!?ってなりながら、ここでも歌の見事なリンクに驚きました。


そして歌の演出として出色、というか一番好きだったのは「KMTR645」!
もともとものすごくアガる曲だとは思うんですが、あの派手な舞台セットの中で繰り広げられるクライマックスの殺陣と一緒に聞くKMTR645には、もはや強烈な中毒性がありました。テンションが跳ね上がって、どうしようもなく楽しすぎた…。頭の中がしばらく「きゅっきゅっきゅー!きゅっきゅきゅっきゅー!」にならざるを得ない。

でもそれでいて、この曲は歌詞の途中に「今度生まれ変わったなら君と蹴鞠で遊ぼうか」っていうフレーズがあるのがまた「うっ」となるポイントで…。ここ、本来であればその場に存在しえないはずのヨシツネに対して、手向けられている言葉のように聞こえるんですよね。
なんかこのあたりも、よくここまでもとの歌詞とストーリーを重ねられたな!?と驚愕してました。河原さん、まじで天才すぎないか?って思う。いや、天才がすぎるだろう本当に!?

歌の魅力を活かしつつ、歌詞もそのままに、物語の世界にまるっと取り込んでしまえるなんてどんな離れ業なんだよ!?と思います。それでいて、物語の骨格はものすごくスッキリしていて無駄がないんですよね。
アルカードのときも思ったんですけど、河原さんはシンプルに研ぎ澄まして世界を構築していくことがすごく得意な方なんじゃないかなと。余計なものを排しつつ、魅せることに長けているっていうか。

◆物語を圧倒的に彩る、レキシの音楽の魅力

レキシについては「いい曲だなぁ、にしても不思議な世界観だな、でも曲が謎なくらい良いな…」とうっすら思っているレベルだったんですけど、今回レキシアターを通してしっかり曲を知る機会が得られて、本当に人生においてひとつ得をしたな!って思いました。
だって本当に、魅力的な曲ばっかり。KMTR645はiTunesで買ったし、その後最終的にはアルバムを全部レンタルしました。聞けば聞くほど、好きになりますね…!

池田さんもまた、才能のかたまりすぎる人材だなって思います…キラーチューンばっかり生み出しながら、なんでそのすべてが歴史モチーフなんだろう!?ってその不思議さにとりつかれてしまうんですけど、理屈やごたくはおいておいて、とにかくいいものはいいんだな~!って気持ちになります。

わたしには音楽の素養が足りてなくて、かつ音楽の言語化にはほんとに不慣れなので、その魅力をどう表現したらいいのかわからないんだけど、明るさが散りばめられたメロディの数々には、心が浮き立たずにはおれない…という感じがします。すごいな~なんであんなメロディ思いつくんだろう。背景にある文脈がすごく気になる。そして本当に、その世界観はいったいどこからわいてくるの…!?
東京千秋楽のカーテンコールには池田さんもいらして、河原さんと一緒に舞台上にあがってくれたんだけど、客席からは自然と歓声と拍手があがっていて、とてつもない愛を感じました。

今回の客席、見た感じのお客さんの比率が、もともとレキシの音楽が好きな人、今回ほぼ初めてその楽曲に触れる人、ざっくりとですがちょうど半々くらいでした。その後者の立場からの感想のみにはなるけれど、そのどちらにとっても、きっとものすごく楽しめる舞台だったに違いない…と観ていて客席でひしひしと感じました!
ふだんわたしは音楽に向ける興味が浅めというか、自分にとっての新しいものに「音楽」というジャンルでは積極的に出会っていこうとするタイプではないので、今回レキシアターを通じてレキシの音楽にちゃんと出会えてすごくラッキーだったなと。

エンディングの「狩りから稲作へ」で、稲穂を降ってる客席と舞台とが自然とシンガロングになっていくの、すごくよかったな…。魅力的なものがぶつかって混ざり合って、そこにいる人みんなが楽しくなれる時間と空気が生まれている。その場にいるからこそ味わえる、一種の多幸感を噛み締めながら「うわぁ、いいものを見た…!」ってしみじみと感動していたのでした。



いろいろと好き放題に書いてきましたが、レキシアターは「多種多様な才能が集いし夢の国で異種格闘技!」って感じの、とにかく豪華絢爛、かつ突き抜けたようにどこまでもハッピーな舞台でした。見ながらどれだけ笑ったことか!
舞台おたくとしても出会えてよかった、見ることができてよかったなぁと心から思った舞台でしたし、流司くんが好きな立場としても、本当に文句なく最高の作品でした。


大阪公演はこの土日のみ、そして公演自体も日曜日で大千秋楽となります!
なんとなくだけど、河原さん映像化にあんまり興味がなさそうとお見受けしているし、今後全く同じメンバーでの再演もまず無理だと思うので、まだこれから見られるチャンスがある人には是非ともオススメしたい…!

東京公演、評判が良すぎてまたたく間にチケットがなくなっていったもんね。幕が開けてからチケットがなくなるのは良い舞台の鉄板なんだって聞いたことがありますし、ほんとにその通りだなって思う。
もし関西近辺で見に行くか迷ってる人がいたら、そうだレキシーランド行こう♪です~おすすめ!(チケットの残状況、全然わからないで言っているけど!)

だいたい5000字ずつという、わけてもそこそこ長文エントリーですが…読んでくださった方ありがとうございました!

*1:佐藤流司くんはミュージカル「刀剣乱舞」で、「加州清光」という沖田総司の持ち刀とされている刀(刀剣男士)を演じています。そんな彼を数年見てきた者からすると、新選組はいろんな意味で大変なモチーフと言わざるを得ないのでした