こたえなんていらないさ

ミュージカル『刀剣乱舞』を実家とする舞台オタクのブログです。推しとご贔屓がいます。

ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」東京公演を見終えての感想その3(ジュリエット・ティボルトについて)

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書いてみたらどんどん長く…!という感じで予定外の「その3」になりました。
今回はジュリエット役・ティボルト役の皆さんについて書きます!




◆ジュリエット・伊原六花さん

わたしが東京で見た大半の公演はりっかちゃんのジュリエットだったんですが、初日からの3週間弱で、本当にどんどんとよくなられた…!って感動しました!
初日に見たときは、特に一幕にまだ硬さがあるように感じられて。きっとあれはお客さんの前で迎える初舞台への緊張だったのだなぁと。
恋に憧れ、親の決めようとする結婚相手には反発を覚え、仮面舞踏会で運命の恋に落ちる。その勢いのままに「式を挙げるの!」とロミオに提案する押しの強さもあったりと、一幕からわりとジュリエットは「強さ」もある少女として描かれている気がするのですが、そこに伴う様々な種類の感情の押し出しが、公演後半で、本当にぐっと鮮やかになられていました。
6月に入って約10日ぶりに観劇したとき、表情の豊かさが段違いになっている!?とびっくり。
「結婚のすすめ」で乳母の話を聞きながら「えぇー!?」と驚いたり、ウエディングドレスをあてがわれて思わずはしゃいでしまう笑顔だったり、くるくると変わる表情が愛らしくて。
ここ、もうちょっと濃く感情が伝わってきたら嬉しいな…と初日を見ながら感じていたところがすっかり様変わりしていて、お客さんの居る場で得るものが本当に大きいのだろうし、何より舞台度胸があるタイプなんだろうなぁ…!と感じました。堂々としているんですよね。


そしてなんといっても歌声がものすごく素敵だなぁと感じました!
比較的高音が得意でいらっしゃるような…?
「結婚のすすめ」での「でも私会ったこともないのよ」や、「結婚だけは」での「我慢できないわ」だったり、バン!とある程度思い切りよく当てにいかないといけないジュリエット独特の高音パートが、一切苦になっていなさそうで。余裕すら感じさせる発声だったのがすごいなぁと。
あとは感情を強く乗せても、しっかりと声量を保って歌いきれるところが素晴らしいなと思いました。
公演後半になって「明日には式を」で両親に反発するりっかジュリエットに毎度もらい泣きしていたのですが、「あなたたちにはわからないでしょう」のところがとても良かった…!
このワンフレーズ、過去に見たどのジュリエットも感情の昂りのあまり声を震えさせていて、そこまではっきりと歌い切る印象はなかったのですよね。どちらかというと、動揺や怒りといった心の激しい動きを表現するほうが演出的にも優先されていたりするのかなと。
でもりっかジュリエット、ここで怒りと悲しさがないまぜになった感情を全力でぶつけながらも、ボリュームも音程もしっかり保って歌いきっていて、すごいな~と感じました。
その声の大きさに両親への憤りがぎゅっと乗っかっているような、すごく圧のある歌声で、とても好きな場面でした。

どうしてもプロフィールを拝見すると、やはりダンスが得意でこの道に進まれたのだろうという印象があるので、ここまで歌がお上手だとは!と本当にびっくりしました。
透き通るクリアな響きが真っ直ぐと伸びていくところ、聞いていてとても気持ちが良いです。


ラストの「ジュリエットの死」は、どんどんと感情の揺れが大きくなっていて…。あの歌、本当にとてつもなく悲しいですよね…(そしてカウントどおりに入れないといけない台詞と動作、いくらなんでも多すぎん!?ってのにも毎度びっくりしてしまう。無茶だよ!なる。)
同じ旋律で、直前までは恋人との幸福な旅立ちを夢見るわくわくとした思いが歌われているので、落差の激しさに打ちのめされる。
ロミオに縋り付くように「あなたの唇 まだ温かい そのぬくもりで私を抱いて」を歌う姿、気持ちがぐっとこもっていてラスト数公演はとくにボロ泣きしました。

ただひたすらにロミオだけを見つめて爆走していくような二幕のジュリエットの力強さが本当に好きなんですが、
りっかジュリエットはその点すごくしっくり来るというか、とてもパワフルなエネルギーを感じました。地元大阪での凱旋公演も、思いっきり楽しんでのびのびとやってほしい~!

◆ジュリエット・天翔愛さん

なんとまだ10代(2001年生まれ!!)の、現役音大生1年生…!わ、若い!!?俳優・藤岡弘、さんのお嬢さんでいらっしゃる愛ちゃんは、なんといっても本物の「お嬢様」感がすごくて、これはあまりにもリアル箱入り娘のジュリエットすぎでは!?ってなりました。いやまじでお嬢様感がすばらしく可愛いー!

愛ちゃんのジュリエットはとにかくフレッシュ。ご年齢や経験を考えればそりゃそうなんだけど、そのフレッシュさがここまで明確に魅力となって生きるのは、やはりロミジュリという作品、ジュリエットという役の特殊さだなと…!
逆に絶対に今しか演じられない、表現できないものがキラキラとこぼれ落ちるように現れていて、そこがとても魅力的なのです。
ロミオにも似たような部分があると思うんですが、ジュリエットって成熟してしまうと、きっと演じることができなくなる役だと思うのですよね。
19年の再演時、17年からの続投となった生田絵梨花さんが、17年の自分は19~20歳の年齢で、再演があってももうジュリエットを演じることはもうできないと思っていた、とパンフレットでおっしゃってたのがすごく印象に残っているのですが、この言葉のとおり、どこかに青さや未熟さを残していないと、表現することが難しい要素がぎゅっと詰まった役なのだと感じます。
そこに対して、今の愛ちゃんが持っているものがピッタリとはまっているのではないかなと!
だって、ほんとに本物なんだもん…!
お父様が18になるまで駄目だって言えばおとなしく携帯を諦めるし、お母様に「お前は親の決めた相手と結婚しなくてはならないの」と言われたら、素直に「なぜ?」と尋ね返してしまう。
乳母が「結婚がうまくいくには」と言っているところでは、うんうん、と嬉しそうに頷いていて、「相手を愛しすぎないことよ」と言われたら、信じられなぁい!という目をまんまるにした表情で「ばあや!」と叫ぶ。
本当に素直で、純粋な少女なんだなぁ…ということがとても強く伝わってくるのです。

その素直さゆえ、恋に落ちるときはもう真っ逆さまなのだろうな、という説得力もあって。
ロミオを想う表情のロマンティックさにも、なんともいえない瑞々しさがあって、とにかくピュア!
そして感情が昂ぶるところでは意外に「激情型」なところも感じさせる、内側に熱い炎が燃え盛っていそうなジュリエットでもありました。まだまだ化けそう…!


歌声は艷やかでとても綺麗な声質だなと感じました。
5月末に見たときは、役として湧き上がってくる感情をコントロールしながら歌声と自然と溶け合わせる…というところにまだちょっと難しさを感じていそうな雰囲気がありましたが、
その後が見れていないんですよね…!たまたま、私が見られた天翔ジュリエット回の観劇が東京公演の前半に偏ってしまって。
でも5/29と5/30の二日間だけでも、ちょっと課題と感じられたようなところを丁寧に演じてきっちりと修正をかけてきたなぁという印象だったので、残りの公演期間での進化がとても楽しみです。
無事に上演が叶えばまた大阪で見られるはずなので…!

◆ティボルト・立石俊樹さん

としきくんのティボルトも、実はまだ2回しか見れていない・かつ前半に寄っているので、比較的私が得られた情報が少ないのですが…!
なんというか、本当にとにかく「若い」ティボルト。これは年相応のティボルトだー!という感動がありました。
彼にはとても青臭いところがある。自分の置かれた状況について、まっとうに憤っているというか…なんせ本来であれば輝かしい未来あるはずの若者なので、理不尽さに正面から抗いたいんだと思うんですよね。。
大人たちに翻弄される立場としてのティボルト、復讐の手先になんかなりたくはなかったって言うその言葉に、見ていてものすごく説得力があるといいますか。
吉田くんのティボルトとはまた違う方向性で、見ていてすごくかわいそうになった…。ほんとだよな、どうしてそんなことになっちゃったんだろうな…って思う。。


「今日こそその日」で爆発させる怒りと怨嗟の思いも、若さゆえのブチ切れ方なんだろうなという印象を受けました。
あーもー知らねえ!何があったって知ったこっちゃねぇ!って感じで、どこかやけくそのように衝動的に感情を爆発させているのを感じます。
「決闘」でマキュに挑発されたところの「うるさい!」の怒鳴り声とか、本当に心底キレてんな~と思う。。そこもやっぱり、ものすごく若いー!!!
”子供の頃には夢を見た”というその記憶が、まだそんなに遠いところには行っていないティボルトで、見ていると彼をそんなふうに変えてしまった大人たちが自然と恨めしくなりました…。


そしてあの甘いマスクに甘い声。「ヴェローナ」で出てきてもやっぱりとんでもなくお顔が美しいし、素のご本人の姿を考えると、本来どう考えてもロミオに近いタイプ。
特に声質の甘さはティボルトには不利に働いてしまわないか!?とも思ったんですが、そこは歌の力で見事にねじ伏せてましたね!
ティボルトのソロ、3曲とも容赦なく難曲だと思うんですよね。音域も幅広い、そして高音が多すぎる!
歌の難易度ではロミジュリの中でも一番の役ではないかなと思うのですが、グランドミュージカルデビューであってもその難しさに対して堂々と渡り合っていて、とてもかっこよかったです。
ソロに関して言うと、としきくんのティボルトでは「本当の俺じゃない」が一番好きだったなぁ。最初に書いたとおりなんですけど、本当に嫌だー!って泣いているようで…
膝を落としてうずくまるようにして張り上げる声。まだ本来は大人の庇護下にあるべき年の青年なのでは?という気持ちになります…(ところでティボルトってロミオとは同い年なんだろうか。それともちょい上なのか?)
それなのにあんなに悪ぶっちゃって…。。自由な未来を閉ざされてしまった若者の悲嘆は、とても辛い。


ロミオに刺されるところは、どうしても私がロミオをガン見してしまうがゆえ、どんな表情で死んでいくのかが見られていないのは惜しすぎるな。。
東京でほとんど見られなかった代わりに、大阪・名古屋はほぼすべてとしきくんのティボルトなので、次の観劇を楽しみに待ちたいです。序盤は私の中に余裕がなさすぎて、どうしても記憶がおぼろげだ…!涙

◆ティボルト・吉田広大さん

というわけで、赤坂ヴェローナの大半は吉田ティボルトと過ごしたわけなのですが、もう吉田くんに関してはとにかく!歌がうますぎる!!!
感想を検索してても「あの歌の上手い人はどなた!?」って驚いてひっくり返っているミュージカル観劇勢がたくさんいらした印象です。
私も今回初めて拝見したんですが、上手すぎて、な、何事~!?ってなりました。
たっぷりとした声量を自由自在にあやつって、高音も低音もなんでもござれ!という感じのダイナミックな歌唱。
「本当の俺じゃない」のフェイクがまー、すごい!いやそこでそんな音出すー!?っていう高さをガンガンに攻める。
他に印象的だったのは一幕の「ティボルト」のラストです。「俺は…!ティボルト」でファルセット寄りの発声からはじめ、最初は静かに細くたなびくように、しかし伸ばすにつれてクレッシェンドをかけてブワッと膨らませて締める。見事すぎる。。
これだけ自由に歌えたら気持ち良いだろうなー!と思ってしまうような素晴らしさでした。聴き応えが半端ないよ~。拍手するのが楽しかった!


そして吉田くんのティボルトは、とても優しい人なのだと思う…。
本来普通に優しい男の子だったはずなのに、憎しみの街で過ごす中で気づけば少しずつねじ曲がり…でもそれでも、心の奥底にはまだ変わらない純粋なものが残っていそうで。
としきくんのティボルトが見ていてかわいそうになるのは「若さゆえ」なんですが、吉田くんのティボルトの場合はこの「優しさゆえ」にでした。
一人でいろんなことを抱えて苦しんで来たんじゃないかな、という…。
ただ一人触れられぬ、愛しい従姉妹のジュリエット。おそらく彼女に対しては、本当に愛をもって、優しく穏やかに接してきたのだろうなと感じます。
でもそれが、敵の家の一人息子に奪われたとあっては…。
大切なはずのジュリエットをたとえ苦しめることになろうとも、復讐をせずにはいられない。
「遠く遥かな日から」愛していたと告げることで、自分のこともジュリエットのことも徹底的に傷つけることになるのだろうけれど、悲しみに灼き尽くされたティボルトには、もうそれしか見えないんだろうなと。。
いやほんと、全員かわいそうだよ!!!!!!!ってなってきた…。


回数がけっこう見られたので、吉田くんのティボルトに関しては、ロミオに刺されるところの顔をちゃんと見ることができたんですが、
本当に「信じられない」というような顔で倒れていくんですね…。何が起きたのかわからない、なぜ?という疑問を顔中に浮かべて、どうっと倒れてしまう。
あの命の断ち切られ方、マキュとは違う辛さがありますよね…しかもマキュとは異なって、なにも言い残さないまま死んでいってしまうし…!?

予定通りいけば、吉田くんのティボルトにはあと1回は会えるはずなので、またあの美声を聞けるのが楽しみです~!



予定外の3記事でしたがなんとか書き終えたー!やりきったー!!!
あとは本当に、大阪・名古屋での公演が無事に上演されることを祈るばかりです。。
自分が見る見ないに関係なく、とにかく大好きなこのカンパニーに全公演をやり遂げてほしい気持ちでいっぱい。どうかどうか、叶いますように!!!


▼東京公演の感想その1:黒羽ロミオ編
anagmaram.hatenablog.com


▼東京公演の感想その2:ベンヴォーリオ・マーキューシオ編
anagmaram.hatenablog.com