こたえなんていらないさ

舞台オタクの観劇感想その他もろもろブログです。

舞台『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage -New Encounter- ヒプステNEの感想

舞台『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage -New Encounter-。
hypnosismic-stage.com
なんと呼ぶのが適切なのかがいまいちよくわからないけど、呼称はなんとなく新生ヒプステ、ヒプステNEあたりになるだろうか。以降、作品タイトルに倣ってヒプステNEと呼ぶことにする。

完全にキャスト起因*1で足を踏み入れることになった、自分にとって全く新しいジャンル・作品だったけれど、
まじで、自分でも信じられないくらい楽しんでいる。ヒプステNE、めちゃくちゃに楽しい!!!

(サムネに使えそうなポスター写真、ブレブレのやつしかなかった……笑)

具体的にどこがどう楽しいのか、感想として一通りまとめた。



作品世界に力ずくで引きずり込む、パワフルなオープニング

一大ジャンルゆえ当然認識はしているが、原作・舞台ともに一切通ってこなかったジャンルゆえ、私の事前知識はほぼゼロ
キャラクターの名前も設定も正直なにもわからないに等しい状態のまま(敢えてその選択をした理由は後述する)、3月1日の私はド緊張して初日の客席に座っていた。
様々な理由から独特に張り詰めたムードだったそのひと時は、しかしあっという間に、熱くうねる興奮の渦に吸い込まれていった。


ドン、とお腹の底に響くような重量感のある効果音で作品は幕を開ける。
どでかいLEDパネルを贅沢に使って、全面に映し出されるクリアな映像。D.D.B(Division Dance Battle)と呼ばれるダンサーチームを背景に、
”ラップバトル”を軸として展開する「ヒプノシスマイク」がどのような世界であるのかが端的に述べられる演出。
その直後、作品のテーマソング「The Tribe of BATTLE EMCEEZ」がド派手にぶちかまされる。

上記のトレーラー映像はショート版でヒプステNEの上演解禁情報として1月5日に世に出たのだけど、
公演の始まる直前にフル尺・8分超の音源配信もスタートしていた。
open.spotify.com

The Tribe of BATTLE EMCEEZ - Single

The Tribe of BATTLE EMCEEZ - Single

  • ヒプノシスマイク -D.R.B- Rule the Stage (-New Encounter- All Cast)
  • J-Pop
  • ¥255
music.apple.com
なので初めて聞く曲ではなかったのだが、生で初めてその披露を全身で浴びた初日の衝撃はちょっと忘れられない。

演劇がかかる箱としては何かと評判が良くないことの多いステラボールだが、ヒプステにはものすごくフィットしていると思う。
ライブハウス仕様のスピーカーによる真正面からこちらを殴ってくるような音圧に襲いかかられ、初日客席の私は否応なしにその世界観に飲み込まれた。
"It's time to Survive or Die
It's time to Countdown
for The Destruction
H.Y.P.N.O.S.Y.S MIC.
天に唾、飛ばす我のMic"

初日客席から自然と巻き起こった歓声と手拍子。ただただ圧倒されて心臓をドキドキさせて、食い入るように舞台を見つめていた。

そこからは怒涛の6ディビジョン、全18名のソロが畳み掛けるように展開する。
3Dアニメーションで踊るキャラクターが映し出されたLEDパネルの奥から、各キャラクターがステージ上に飛び出して来るのだ。
一人目の山田一郎が飛び出てきた時、比喩でなく息を飲んでしまった。
2.5次元とはなにか」を視覚的に叩きつけるような*2、一発で「魅せる」のその手法とエネルギーに圧倒されたのだ。
何年舞台オタクをやってるんだという話だけど、目の前で生身の人間がパフォーマンスすることの持つ力をこれ以上なく突きつけられて、
いい意味での動揺が止まらなくて、オープニングの間じゅううっすら涙が滲むほどだったし、鳥肌が立っていた。
舞台に対してはものすごく角度のついたサイドシートから観ていたから、演出意図が効いた美しい画角では全く無かったんだけれど、それでもその光景は忘れられないものとして私の目に焼き付いた。

私はこのオープニングの時点で「ああ、間違いなく自分にとっての最高のエンタメが新しく始まったんだな」と確信していた。
今振り返っても、あの粟立つような初日のオープニングの興奮を思い出すとものすごく幸せな気持ちになれる。一度きりしかない出会いの瞬間。絶対に忘れたくないな。

バランスよく、わかりやすく展開する本編パート。ミリしらでも全く問題無し

おそらく新シリーズ上演に当たってのこだわりなのだと思うけれど、今作では一気に6ディビジョンが揃って登場する。1チームに3人キャラクターがいるので、その分一人ひとりにかけられる時間はごく短くなってしまうのかな?と思っていたけど、
総じて描き方のバランスがとても取れているように思う。

ヒプステNEのストーリーは原作どおりの展開なのだと聞く。
開催が決定したディビジョンラップバトルに向け、各ディビジョンのチームが結成されていく様子が描かれていくのだが、
舞台上の出来事を追っているだけで各キャラクターの性格や関係性がすんなりと頭に入ってきたので、原作知識が全く無い私でも一切困ることはなかった。
次のディビジョンへの橋渡しというか場面転換やエピソードのつなぎに観ていて全くストレスがないし、
それぞれのディビジョンごとにストーリー展開としての見どころ・起伏がきちんと存在していて、2.5作品の脚本としてかなりよくできていると感じた。(脚本は亀田真二郎さん*3……さすが!)


ちょっとした補足として。
その作品にどう向き合うかは、あくまでもそのお客さんそれぞれの自由に委ねられていると私は思っているんだけど、
個人的には「2.5であるかどうかの前に、舞台として面白いか」を重要視しているところがある。
なのでいわゆる予習として事前知識を入れることを自分に対しては必須としておらず、初見でどういう印象を得てその作品世界を理解していけるかを楽しみにしている節があるんだけど、
ヒプステNEはその点でも本当に好みにハマって楽しめている。
元の作品ファンでなくとも置いていかれる印象は全く無くて、ここを入り口にヒプノシスマイクを楽しんでいけるな、と素直に思えるようなつくり。
新規としてはすごくウェルカム!を感じてその部分でもとても嬉しかったし、一気にリラックスして楽しむぜモードになれた。それも自然とハマれた一因なのだと思う。

「全員大好き!」と叫びたくなる18人のハイスキル集団

これはもう本当に、キャスティングすげ~~~な!と素直に感嘆する気持ち。
今回のヒプステNEは比較的役者としてのキャリアが浅めだったり年齢も若いキャストさんが多い。
そうじゃないキャストさんも勿論いるのだけど(突然の大ベテランが混じっていたりもして)、全体的に今作がはじめましてになる俳優が大半だな、というお客さんは非常に多かったんじゃないだろうか。
私個人で言えば、名前を知っているかどうかは置いておいて、自分の目でちゃんと観たことがある。と自信をもって言えるのが石川凌雅くんと植原卓也くんの2名しかおらず、
各キャラクター以前に、それを演じるキャスト陣についてもミリしらの状態だった。

でも!むしろそれが良かったんじゃないか?と思うくらい。
「よくここまで揃えたな!?」と言いたくなるような18名のハイスキルかつ、つよつよビジュアル集団に迎え撃たれて、初日は本当にたまげた。
予備知識や先入観が一切ない状態で初めてその場に生きるキャラクターに触れる形になったわけだが、
長年この界隈でオタクをやっていると実はそういう機会も滅多になくなってくるので、それがすごく新鮮で楽しめた。
この役者さんならこういう表現をするだろうな、こういうものが観られるだろうな、といった予想が一切ないので、
ある意味では具体的な期待を抱きにくい状態なわけだけど、だからこそよりクリアに、そのキャラクターやキャストの魅力をまっさらに捉えられるような気がして、ものすごく楽しい。
こんな魅力的な役者さんがたくさんいるのか!と優れたパフォーマンスをひたすらニコニコと楽しませてもらっている。
いやまじでみんなすごいし、各ディビションそれぞれに魅力があるので「大好きー!」と叫びたくなってしまう。
この記事では個別には掘り下げないけれど、各ディビションへの感想も書きたいな。


そしてなんといってもダンスが圧巻だったりする。
過去のヒプステを観ていた友人から「ラップは勿論だけどものすごく踊るコンテンツでもあるんだよ~」というのは聞いていたのだが、本当にありえんくらいみんな踊れる。
ここまで全員が粒ぞろいに踊れる2.5作品ってあんまり記憶にないかも……?と思うくらい。
シンプルに上手いダンスを見るのが大大大好きなので、私にとってはヒプステNEはそれだけでも最高コンテンツ!!!なのである。
ラップの巧拙に関しては、当たり前に知見がなさすぎるゆえに判断がつかないというのが正直なところだけど、
素人が観ているかぎりだと「みんな上手だな~!?」ってなる(基本そういうめでたいスタンスなので)。
とはいえ、少なくともリズム感にはだいぶ敏感なつもりなのだが、その観点で気になるようなキャストは誰ひとりとしていない。
あれだけ踊ってラップして……よくそんなことが実現できるな!?と思うような運動量であり負荷なのだけど、
それをキャラクターのビジュアルで・あくまでもキャラクターとしてやりきっているのを見ると、しみじみと「役者ってすごいな……」の気持ちになる。


あとはやはり若い故だろうか、とにかく成長角度が凄まじかった。
公演期間が長めだったのもあり、初日~東京千秋楽にかけての進化がどのディビジョンも強烈で、
観るたびに今日はここが!あそこが!と成長ポイントに出会えるのがとても楽しかった。
みんなが目に見えて自信をつけていく様子がわかって嬉しかったし、板の上でどんどんと自由にもなっていくのを感じて、
作品が深まっていく様子をリアルタイムで追いかけられることの楽しさを久しぶりに味わった。

ラップに詳しくなくてもその魅力を楽しめる、曲の力

ラップミュージックは家族が好きなのでちょっと触れる機会はあったけど自分自身で聴き込んだ経験は全くなく、
元々の音楽の好みからいえば、正直かなり遠い位置にある。
でもそんな状態の私が観ていても、ヒプステNEはものすごく楽しめている。
ラップって音楽・言葉・リズムが渾然一体となっているからこその独特なエネルギーがあるんだなと、今回のヒプステNEで実感した。
客席でリズムを体感するのがとにかく楽しくて心地よい。
テーマソングの「The Tribe of BATTLE EMCEEZ」もだけど、とにかく全編に渡って曲が良い!
セリフのように展開する本編の曲も、2部ライブパートで披露される各ディビジョンの持ち歌も、どれも良い!!と叫びたくなる。


とくに声出しOK、リズムに乗りまくれる2部の楽しさといったらない!!!
ヒプステのオタクはなぜあんなにリンライ(=リングライト)を大量に身につけるのか以前は不思議で仕方なかったんだけど、
通うようになってよくわかった。私もとにかくなるべく光りたくなった(???)。だって、あまりにも楽しすぎて。

シンプルに本編の立ち位置順ではあるが、ライブパートで披露される曲順もすごく好き。
王道ど真ん中で正面から楽しく盛り上げるイケブクロ、クールで危ない魅力をこれでもかと撒き散らすヨコハマ、とびきりキュートにハッピーを届けてくれるCheer up!な感じのシブヤ、
夜を思わせるしっとりした大人の色香で魅せるシンジュク、突き抜けた賑やかさと色気のギャップで大爆発するオオサカ、とにかく客席全員を巻き込むまで容赦しない、パワフルさ全開で殴りかからんとする勢いのナゴヤ
そしてそのあとになだれ込む、全員でぶち上がる再びのフル尺テーマソング「The Tribe of BATTLE EMCEEZ」!!!
本当に目まぐるしいほどカラフルで息つく暇もなく、ひたすらに笑顔で色とりどりのリンライの海で楽しむライブ……こんなの、楽しくないはずがない!!!


これまでペンライトありの2.5現場には大量に通ってきたけど、
舞台の2部パートにおけるペンラさばきってなんとなく独特なレギュレーションがあるきがしていて、
音楽そのものに乗るというか、いわゆる音楽ライブにあるようなリズムへの乗り方は、正直だいぶしづらいところがあるように思う。
「腕でペンライトを振る」ことだけしか想定されてないっていうか……?別にそんな大げさに動かないんだとしても「全身でリズムに乗る」ことは想定されてない気がしてしまい、基本的になるべくじっとしていることが多い。*4
でもヒプステだともっと自然に「音楽に乗る」感覚でライブパートに参加できるのが、個人的にはめちゃくちゃに楽しくてたまらない。
ダンサーさんもガンガンに・多種多様に・しつこいくらいに煽ってくるし笑、各ディビジョンもその特色ごとに客席に色んな呼びかけをしてくれて、とにかく一体感がありまくる。楽しい!
ただ騒ぎたいっていうわけじゃ当然なくて、自然に出したい歓声が楽しく出せる・音楽として盛り上がれるのは、やっぱり体験としてものすごく心が浮き立つものだなと思う。*5
先述した独特の強めのエネルギーがあるぶん、ラップがどうしても苦手という人も少なからずいると思うんだけど(シンプルに耳が疲れちゃうとかは人によってはありそう)、
「ラップは特に詳しくないけど、なんとなくいかつくて敬遠してるかも」くらいであれば、意外に楽しめる可能性があるんじゃないかな?と思う。




New Encountから始まる「新しい歴史」

東京公演は3月17日で15日間・全25ステージを終えた。
初日を観て以降、本当に自分でも驚くくらいヒプステNEに秒でハマってしまい、リセールやら当日引換券やらキャンセル待ちやら……当初よりもだいぶ観劇回数が増えた。
正直なところ、自分がここまでヒプステに向いてるとは思わなかったし、周囲の友人にも軽く引かれるほどだった。それくらい、病みつきになっている。
今週から大阪公演がスタートするが、東京では実施のなかった配信が千秋楽である4月7日に決定しているので、興味がある人は是非見てみてほしい(ABEMAで1週間のアーカイブ付き)。
hypnosismic-stage.com


書いてきたとおり、私はヒプマイ原作に詳しくなく、これまでの舞台シリーズを観てきたわけでもなく、
完全に「新規」の客として今作に通っている。
だからヒプマイ・ヒプステに関してここまで存在してきたことの全てを、文脈を含め、私が新規の立場から完全に理解することは当然不可能だ。
でもそういった意味でも、色んな立場や考え方の人がいて良いと思うし、その人が好きなスタイルで楽しめればいいんじゃないかな。
初日カーテンコールで一郎くんが言ってくれた挨拶の言葉どおりに、私は私の立場から、
こうしてスタートを切ったヒプステNEの「新しい歴史」を、ひとりの観客として一緒に作りながら存分に楽しんでいけたらいいな、と思っている。


どこか”試す”色合いの刺すような空気感だったり、戸惑いや不安……本当に様々な感情がないまぜになっていた、あのぴりついた初日開演前の客席。
それがトリプルカテコではスタオベになった、あの内側から湧き出る熱さの渦巻くような一体感には、本当にグッと来るものがあった。
目の前で力の限り演じる演者と、それを受け取る観客の相互作用で舞台はその日その場に完成するんだなって、しみじみと感動した。


大阪公演もものすごく楽しみ~~~~!!!
もはや楽しみすぎて若干向き合えなくなっているくらい……だって始まったら終わっちゃうんだもん!!!やだよ~!!!

この記事はオタクのテンションでぶっちぎる系というより、意図して真面目気味の文章にしたけど、まぁこれを書いている中の人の本質は ↑ なので、
気が向いたらIQがだだ下がるオタクのぶっちぎり系文章も書くかもしれません。というか、もっと頭の悪いアホな文章をすでに書きたい。笑
ヒプステNE、だいすきだー!!!

*1:石川凌雅くんを見に行きました

*2:前作のラスト演出が背景にあると思っているのですけど観られてないのでしっかりとした言及は避けます

*3:去年マシュステでその手腕に大変お世話になりました。

*4:ペンライトの本丸であろう一般的なアイドル現場に行くことがないため、これが舞台限定なのかアイドル界隈においても似たようなものなのかはよくわからないけど、舞台の場合は「芝居を静かに観客として観る」ことが前提にあってからのライブなので、このあたりは自然とそういう振る舞いが客側にも染み付いているところはあるし、そうじゃない場合に叩かれやすいのはあると思うし、実際邪魔になることも多いかな……みたいな。なので本当にどんなにノリノリになりたい曲調でも必死に自分を押さえていることが多い。笑

*5:ちなみにですが、東京公演には相当数通った一方で、めちゃくちゃに治安が悪いな……?と思う現場にはとくに当たりませんでした。

るひま「ながされ・る君へ ~足利尊氏太変記~」る太 一部ミュージカルパート・全キャスト感想

どうしても感想を沢山書きたくなる、言語化したくなる作品に出会えた幸せを噛み締めています!!!
サムネがないのも寂しいので、明治座特製・座長御膳with推しのミニのぼり写真を添えておきます。

おいしかったです

二部の感想も書きたいなと思ったのですが、やっぱりその前に全キャストに感想を書くことにしました!だって本当に好きなんだもの!る太!
★以下、記載順はパンフレットのクレジット順に従っております。




相葉裕樹さん/足利尊氏

堂々たる座長!本当に心底、かっこよかった!!!
物語の真ん中に圧倒的な存在感でどん!と居てくださることの安心感がすごかったです。
尊氏は戦の場ではとても強いけれど元から勇猛果敢なタイプではなく、どちらかというとおっとりとしていて穏やかに暮らしたい、だいぶのほほんとした人格。
けっこう描かれ方として難しい人物造形だったと思うんですが、相葉さんが演じることによりその人物像にとても説得力が生まれているなぁと感じました。
頼りたくなるし、どうしたって憎めない。不思議なくらい彼についていきたいと思わされてしまう、なんともいえない求心力に満ちた尊氏だったなぁと思います。天性の人たらしだと思う!!!
あとはとにかく、その存在すべてが美しくて眩しいのです。あの白いマントの神々しさよ。なんとお似合いであることか!?
刀を使ったポージングの一挙手一投足が、本当にすべて絵になる。
刀を構えマントを翻し、鋭い眼光できっと正面を睨みすえて静止したその瞬間、思わずこちらの呼吸も止まりましたよ。。
歌に関しても、大変にハリのある美しい高音を存分に堪能させていただけて幸せでした~!大希くんとのきょうだいデュエットはどの曲も至福のひとときでした。
歌唱シーンはかなり多かったはずですが、8公演目まで難なく歌いきっていて平伏しきりです。さすがすぎる。
とにかく全てにおいて、主人公力が素晴らしかったです。
\よっ日本一!/とか、そういう掛け声をかけたくなるほどの座長っぷりというか……(なんだそれは)
恐れ多くて最終的には「あいばさま」って呼んでたもんな公演期間。あいばさま、本当にかっこよかった。りょうがくんとの共演、嬉しいです。。!

内藤大希さん/足利直義

いくらなんでも、歌がうますぎます!!!!!!その一言に尽きる!!!
うまいとは聞いてはいたが、こんなにうまかったんか……となった。わたしレミゼは2019年に1回しか観たことなくて、そのときのマリウスは三浦くんだったもので、本当にほぼはじめましてで。(一記事目にも書いたけど、のだめミュで初めて歌を聞いたのですが歌唱パートがそこまで多い作品ではなかったため!)
まじでびびったのは公演中盤からさらに歌の迫力が増していったこと。
いったいどういう喉なんだいと目を白黒させておりました。
一幕の中盤、北条高時の御前で尊氏が犬追物を命じられたシーン。
弟を守るために奮起して新田義貞と刃を交える尊氏を見守り、直義が歌うワンフレーズ「仲間の為に戦う時、恐ろしく強くなる!それが足利家嫡男、足利尊氏だ!」のあまりの力強さに、公演終盤はとにかく圧倒されていました。
歌の力が強すぎて、その衝撃に思わず涙が滲むくらいだった。。
間違いなくその歌声が、表現において類まれなる武器になっている役者さんだと思います。
でも同時に芝居も、めちゃくちゃいいよね~~!!!?
自らをどこまでも追い込むような闇落ちの色合いも、後半になるにつれどんどんと濃くなっていって。。本当にすごかった……
既に書いたけど、やっぱり「敵になる存在は根絶やしにしなくては」の凄まじさが忘れられないなぁ。。
その後に続く「そういうことをさらっと言わんでください」の哀しさ。。え~~ん。。。
まじでパラレルワールドで幸せになってほしいよ、足利兄弟。

石川凌雅さん/護良親王

りょうがくんに関しては、1つめの記事後半で大騒ぎしたので主だった感想はそちらに譲ります!!!
anagmaram.hatenablog.com
彼が今まで演じた役でまじで一番好きかもしれん。。(どれももちろん大好きだけど、ここまでのマイベストはマシュステのランスくんでした)
どこがどう好きか、っていうのは上記リンク先で既にたくさん叫んだので具体的な話は省略するのですけど、
まごうことなき「芝居の力」でこちらをとことん打ちのめしてくれたのが、もう本当~~~に、嬉しかったです。。りょうがくんの表現が本当に、だいすきだ!!!

松田岳さん/北条高時吉田定房

岳くん、めちゃくちゃに喉強いんですね!?というのがとにかく印象にのこった。
二部含めかなり喉に負担のありそうな発声をする場面が多かったけれど、全く問題なさそうだったのがすごかった。
高時で一番好きだったのは「聞こえなんだか!……抜け。」の素晴らしい緩急です!
神経質にわめくように張り上げた大声のあとに、静かに低いところで響かせる艶のある「抜け。」は、ズルい!
執権としてやりたい放題で評判もあまりよろしくないのであろう、少々疎まれるような自分勝手な存在としての高時が、よく伝わってくる場面でした。
後醍醐帝の側近・三房のひとりである吉田定房では、また全く違うどこか抜けたお公家さまらしい柔らかい雰囲気をまとっていて、演じ分けがお見事。
冒頭に登場する場面で「そのようにお心を歌われては~!」のところ、大楽で「最近思ったこと」をまさかの啓さんに振ってやらせちゃうのには笑った!!すごいよ!!w
さすが常連!っていう気持ちになりました。初心者からは「るひまってすげえんだな!」になる1シーンでした。笑

前川優希さん/新田義貞

ある意味では物語の中における”噛ませ犬”的役割というか、足利尊氏の強さを描き出すために配置されているキャラクターでもあると思うのですが、
彼自身は己のことをそんなふうに全く思っていないからこそ、その存在感が引き立っていたなと思います。
とにかく、場面場面での居方が美しい。歌詞がそう想起させるのもあると思うのですけど、なんだか後ろに花を背負っているような華やかさがありました。
自分の中に清和源氏の正当な後継者であるという確固たる誇りが存在していて、その名を負う自分だからこそ、やらねばならないことがあるのだと考えている。
その自負心のもとに歌い上げられる「真打ち登場 新田義貞」、しっかりとした見せ場になっていてとてもかっこよかった!
額に矢を受けた最期の「向こうで……待ってるぜ」の去り方は、公演終盤でニュアンスがだいぶ変わったように感じました。
より無念さが滲むというか、それでも最後まで自分の美意識は決して捨てないという誇り高さがあったように思えて印象深かったです。

井澤巧麻さん/北条時行

プリンス☆トキユキって感じの、あの真っ白な王子ビジュがめっちゃお似合いだった~!!!
くどいくらいのマントさばきが徹頭徹尾とてもお上手だった!綺麗!
きっとそういうシャララな感じの動きを丹念にやるように演出指導があったのだろうな~と思いました。
二幕のソロ「いきなりトキユキ」は、もはやアイドルのコンサートだった、たいへんに可愛かったです。
あそこは前列のお客さんにしっかり目を合わせにいくところなんかもマジでアイドルだった。笑
かと思えば、下手側でひとりでコントみたいなことも始めちゃうし、なんていうか……さては彼、なんでもできますね!?
出番のラスト、「北条の意地、ちょっとは見せられたかな!」で、両手に持った刀をカキン!と勢いよく上下に振り払う仕草がとても好きでした。
作中にも思いっきりその呼び名が登場しますが”逃げ上手な若君”としての軽やかさが身上である本作の時行、
とにかく身のこなしにいい意味での重たさがなく、これならたしかに逃げおおせちゃうかもなぁ~と思わせる説得力がありました。

広井雄士さん/風清

嫁入りした登子につきしたがって足利家にやってきたが、実は北条方に通じている忍びである、という設定の風清。
セリフがとても多いわけじゃないのですが、その限られた場面の中で、風清としての感情を滲ませるのがものすごくうまかったなと……!
広井くんはマシュステではじめましてだったんですが、彼のお芝居はとにかく丁寧でその時から大好きなのです!
終盤、登子に対して「私は、その命(めい)はとうに捨てております」と答える場面が、ラスト1日で大きく変化していたのが印象的でした。
「尊氏が戦場にいかねばならなくなるよう、あらゆる手を尽くして災難が降りかかるようにせよ」というかつて命じた内容をお前はまだ実行しているのか、と風清に問いかける登子。
風清は当初、その言葉をひざまずいて聞いているのですが、この場面、前楽から思わず立ち上がるようになるのです。
その様子は、自分の内側に抑え込んできた様々な感情が溢れ出し思わず……といった雰囲気で、
ほんの短いやりとりの間に、どうしようもなく切迫した思いに突き動かされた様子が現れていて、本当に見事だなぁと思った。
「真打ち登場 新田義貞」の歌もすごく安定しているだけでなく、語りかけるような歌い方をされているのがとても好きだった。
めちゃくちゃ若いのに……本当にすごいわ!二部の暴れと違うベクトルで、本当にすごい!(二部は二部で、まじでやばい。その話は追って!笑)

井深克彦さん/ふゆ

楠木正成に命じられ、護良親王を守ることを役割とする伊賀の忍び、ふゆ。
いくらなんでもそんなおっちょこちょいなことある?っていうくらいの抜けっぷりで、漫画チックなドジ100%の役どころがとてもキュートでした。
護良親王が作中で自然な笑顔を見せるのはふゆといる場面だけだったので、わたしにとっては今回二人の並びがとてつもなく癒やしでした……
「こちらにお目通しを。……間違えた。」とか、ある意味とても淡々としたセリフ回しでくすっと笑わせないといけないのって、
何度も繰り返してやっていると難しくなっていきそうな気がするのですが、かっちのふゆは千秋楽までずっとフレッシュだったのがすごいなぁと思います。
なんていうか、何度繰り返しても擦れることがないというか。
今度はお前自身を守ってやれ、と正成に言われて、後ろ髪を引かれるようにほんの一瞬振り返りかけ、でもそのまま駆け去っていくところでは、
ふゆも、もしかしたらどこか居場所を探している存在だったのかな、そのさみしさが護良親王に呼応していたのかな……と感じたりしていました。
護良親王にふゆが寄り添っていてくれてよかった。非業の死に「許さない!」と憤ってくれる存在がいてくれて、本当によかったです。。ありがとう、ふゆ。

丘山晴己さん/上杉重能

すぐそばで尊氏を支える従兄弟、上杉重能。
M1からその美声をたっぷりと聞かせてもらえて嬉しかった~!ミュージカルらしいミュージカルではるちゃんの歌を聞く機会、個人的にありそうでなかなかなかったので!
しょうがないなぁと思いながらも献身的に足利兄弟を支える優しさに溢れていて、身にまとう空気の柔らかさがとても素敵でした。
「いきなりトキユキ」では中盤以降ではるちゃんらしさが存分に発揮されており、センターで踊り狂いながら髪を美しくぶん回す様子には思わず笑った。
上口さん演じる高師直とのニコイチ感がとても好きだったのですが、まさか大楽でチューするとは思わないのよw
「はるちゃん、二部だけじゃなく一部でもやりおったな!?」になって爆笑した。あそこ、前楽から雰囲気だいぶ怪しかったのだけど。笑
かと思えば、最後は悲劇的な命の落とし方をするし……!
直義から「重能が苦しんでいたので」っていうとんでもねぇ理由で殺されてるんだけど、はるちゃんの重能はなんだかそれすらを受け止めていそうだった。
二幕ではそれくらい、直義に対する包容力に溢れる存在だったなぁと思います。

井澤勇貴さん/佐々木道誉

のっけのソロ「DOUYO」めちゃかっこよかった~!!!
わたし井澤さんのことをちゃんと見るの多分初めて(だと思う、、自信ないけど)だったんですが、”バサラ大名”道誉のキャラクターがものすごくお似合いだなと感じました。
周りがどうだとか関係ねえ!俺は俺の思い定めた正道を行くぜ!という堂々とした姿に、とにかく説得力があった。
かぶき者っていうと時代が合わないし違うんだけど、なんかそういう描写をしたくなっちゃう。
とにかく派手で一般的な常識が通用しないけど、本人の中には一本筋が通っている、ということがそのめちゃくちゃな行動の中でしっかりと伝わってくるんですよね。
何目線だよという感じなんですが、歌もうまいし芝居もうまくてなんと実力のある役者さんなのか!?みたいな気持ちになりました。はじめましてが今ですみません……
とにかくちょっとした佇まいというか体の使い方というか、細かなところにまで自然に意識が行き届いている感じで、板の上の在り方が単純に目を惹きました。
足利のピンチに現れて、「ほら来いよ!」って新田義貞を煽る仕草とかめちゃかっこよかったもん。その直後に裏切るけど。笑
また別な作品で出会える機会が楽しみな役者さんでした。

伊藤裕一さん/赤橋守時万里小路宣房

前提としてるひまにはいろんな狂人が出てらっしゃると思うんですが(※だから言い方よ)、ナンバーワン狂い人(くるいんちゅ)は勝手ながら明らかに伊藤さんだと思います!
なんかもう、すごい。伊藤さん。身の内に秘めた静かな狂気が、とにかく面白くて目が離せませんでした。私は昔からこういう人に弱い。見てると簡単に笑う!!!
万里小路の「だってお上全然謝ってないんだもの!」のところは、毎回日替わりで”謝ってなさ”のアレコレを仕込んでいらっしゃいましたが、
世代的にどこに通じるんだよみたいなニッチすぎるやつがあったりして。いや伝わらんだろ!になってた。アンディフグの回あったよね??笑
あのパートは絶対にりょうがくんを笑わせたかったんだろうなぁと思いながら、毎回ニコリともしないで耐えきる護良親王を応援してました。笑(実際一度も笑わなかったりょうがくん、すごいなってなった)
「官軍になろう」の合いの手も、シンプルなんだけどなんであんなに面白いんだろうなぁ!?
「乗っちまおうぜ!」\だ~れにっ?/もだけど、\アひき肉ですッ/言ってるのに初めて気づいた回、客席に沈みました。笑うて。ずるいて。
\つまりはなんなのォ!/だけで、どうしてあんなに面白いんだろうなぁ。。???
千秋楽では護良親王薙刀エアギターに一緒に乗ってくださってとても嬉しかったです!!!笑

加藤啓さん/長崎円喜北畠親房

啓さんも啓さんで、ほんとなんなの!?怖すぎるよ!!!笑
"恩賞を賜りに”やってくる尊氏代理の高師直楠木正成を酔っ払いながら迎えるところ、本番中の舞台であそこまで大人が無軌道に好きに暴れてる場面、本当~~~に久々観た。
まじで、帝一の國毘沙門天さまをやってるときの大堀こういちさん以来だと思う。このたとえが伝わる人がもしいたら、是非エア握手しましょう。つまりは相当だよ。笑
れっきとした実力のある大人が本気で暴れると、マジで手がつけられないことになっておっかないよね!!!っていうのを、本当に久々に思い出しました。あんなんこえ~よ!!!笑
こちとら「あっどーよだ」「どーよだ」「どーよ最近どーよ!」だけで笑えるゲラなので、啓さんはとても恐ろしかったです!
冒頭の「だってあなた今回ソロないんでしょ?」の岳くんへのけしかけは、果たして台本にあったのかどうなのか……!というのがとても気になってます!
あったとしてもなかったとしても、ラストに逆襲されてるの、良すぎたなぁ。

大山真志さん/楠木正成

まさしくんを舞台で見るの個人的にちょ~~~~久しぶりだったのですが、やっぱり歌!めっちゃうまかった~~!!!
歌声の奥行きというか、響きの深さにびっくりです。聞いていて心地よかった!
まさしくん、その場にいてくれるとめちゃくちゃ安心感がある存在だなぁと感じました。どっしりと支えてくれそうな。いや、見た目の話ではなく!……ごめん、それもあるけど!笑
普通に考えれば取らないであろう選択をしてしまう正成の豪放磊落なさまが、とても似合っていました!
原田さんとのきょうだい、歌が上手いのとなんともいえずジャンルが似通っていて本当に最高にぴったりだったなぁ。
「だって俺たちは車借……、つまり、運送屋ですよ?」の後に出てくる青白ストライプの正成を観た初回、下手前方の席だったこともあって本当に爆笑しましたw
いやさ、場当たり見学会の時も「まさしくん、どうしてあんな佐◯急便みたいな衣装着てるんだろう?」と不思議に思ったんだよね。思ったんだよ。いやあってたんかい!爆笑
啓さんの親房からの笑いの波状攻撃をもはや泣きそうな顔をしてこらえる(そして最終的にはこらえられない)を見て、こちらも死ぬほど笑ってました。本当にあのシーンはお疲れ様すぎる!!笑

辻本祐樹さん/北畠顕家

顕家さま、かっこよかったですね~!!!
公家の狩衣をモチーフとしつつも、戦いの場に出る存在であることを示すようなハイブリッドな感じのお衣装が、めちゃお似合いだったしかっこよかった!
「政治はこれより京が担う!」の右手の差し出し方がすごく好きでした。なんつかこう、慇懃無礼というか違うな、居丈高って言ったらいいかな?どこまでも高圧的な態度がたまらん。あれは様をつけてお呼びしたくなる。
あそこのシーン、手のひらがね、下を向いてる回と上を向いてる回があったんだよッ!下に向けるほうが多かったかな!?指の形がとても綺麗だったんです!
あとはなんといっても、殺陣ですよねぇぇ!まぁじでかっこよかった。
空中に刀を投げてキャッチし、そのまま向きを変えて構え直すあの一連の仕草の迫力ったら!
わたし28マチネだけ観劇できてないんですけど、そのあとの7公演全部成功してたし、たぶん全部キャッチできてるんだよね!?すごすぎる。
舞台中央で尊氏と刃を交わして、二人同時に後ろに飛び退る動き、ドセンで観た回そのシンメの動きの美しさに息を呑みました。
吉野での散り果て方も体の使い方がとても見事で、斬られた一瞬にバッと身を開いてそのまま崩れていく様子に毎回注目してしまいました。かっこよかったよう。

原田優一さん/楠木正季

原田さんも拝見するのをすごく楽しみにしていて、期待にたがわずさいこ~だった!!
原田さんの好きなところはずばり、顔から伝わってくる情報量の多さです。笑
今回演出を担っていらっしゃることもあり、個人としての出番がとても多いわけではなかったと思うんですが、些細な場面であっても絶妙なインパクトを残すのが心憎い。
ちょっと目を動かすだけでなんであんなにいろんなことが伝えられるんだろう!?ってなる。そしてシンプルに、面白い。笑
あとはとにかく、セリフも歌も、異常なまでに聞き取りやすいです!!!
「兄貴!いいのか もののふがドン引き」以降のソロパート、一回目ですべてが聞き取れたもんなぁ。
まさしくんとのきょうだいデュエットが多かったですが、お二人の声が重なったときの重厚感は目を見張るものがありました、本当にとんでもなく贅沢ミュージカルだったなぁ。

上口耕平さん/高師直

師直、かっこよかった……いや今作、かっこいい人が多すぎません!?
足利家の執事なので、白黒モノトーンのお衣装で胸元にはリボンタイがついてるのですが、
最終的にそのあしらいを酔っ払い親房から「あっこれはこれは、ブラックジャック先生!」って叫ばれてたのにはマジで爆笑しました。
はるちゃんが公演期間にXで言ってた「◯◯にしか見えない」っていうの、あれブラックジャックのことであってた?笑
師直さん、二幕の「不信感」がやはり最大の見せ場だったと思うのですが、
あそこの振り付けってもしやご自身でなさってる……?も~~まっじで最高だった!!!かっこよすぎる!!ずっと見ていたいタイプの体の使い方だった……
上口さんのダンスは前からちゃんと見てみたくて、今回やっとその機会に恵まれて嬉しかったのです。
天性のダンサータイプの人が心置きなく踊り倒してる場面って、本ッ当に観ていて目が喜ぶ。心が満たされる!!!
ラストの「高く!」のヒーカップ(であってるかしら)ぽい歌い方で締めるところもめちゃかっこよかった。
ミュージカルとはいえ、場面的に拍手できないのが惜しかったけど「不審感」はほんと拍手したかったです。
また別な舞台でお目にかかりたいなぁ。かっこよかったよう。

ROLLYさん/後醍醐天皇

今作の後醍醐天皇はものすごくクセの強い存在として登場していましたが、ゆえにギターを抱えているところもすごくしっくり来てしまうというか。
M1終わってタイトルドーン!出た後にいきなりエレキギターで出てくるインパクトったらなかったです。
あそこのフレーズは基本となるメロディを多分徐々にアレンジを増やしながら弾いてらして、公演終盤はけっこうアドリブがマシマシになっていた!毎回聞くのが楽しみでした!
聞きながら思わず「りょうがくん、演奏間近で聞けて嬉しかっただろうな~!」ってニコニコしてしまった。裏でROLLYさんとギターのお話できてたらいいなぁ。*1
後醍醐天皇、流石に歴史に疎いわたしでも授業を通じて覚えているくらいに印象深いというか、なんともいえず強烈な人物として意識に刻み込まれていたので、
KISSとまではいかないけどけっこうゴリッとしたメイクを施された、ある意味でのキワモノ感もある描かれ方には、なんだかとても納得感がありました。
その行動原理にどこか捉えどころのない部分が、ROLLYさんの歌唱や佇まいで自然と浮かび上がってくるというか。
作中でも、周囲に対して「よくわからない」と思わせる存在だと思うんですよ。
そもそもが”お上”なわけで、常人の理解をどこか超えた存在であるという点が見事に表現されているなぁと感じました。

水夏希さん/登子

パンフレットの座談会にもあるとおり、登子ってすごく難しい人物のように思うのですが、
水さん演じる登子は、自分の中にある激しい愛憎を持て余しながらも最終的にはその全てを引き受ける芯の強さがある、とても魅力的な人物でした。
夫を深く愛する心、同時に一族を攻め滅ぼされたことを強く恨む心。
おそらくは自分でもその相反する感情の行先をどうしようもなく、だからこそ彼女は「あらゆる手を尽くして、あの人に災難が降りかかるようにして」などと、とんでもないことを風清に申し付けたりする。
それを受けた風清は「えっ」と思わず絶句しますが、人の心って善悪で二等分できるようなものでも、理屈でどうにかなるようなものでもなく、どこかに矛盾を抱えるもので……
本作での登子は、その矛盾を否定することなく提示している点で、とても人間らしい存在として描き出されているように思います。
延元の乱を終えて鎌倉に戻ってきた尊氏を迎える頃の登子は、全てを達観したような、凪のような静けさを湛えていました。
その直前、風清の語りの背後にたなびくように流れる歌声はどこまでも物悲しくて……
自らが戦場に出ることはないぶん、当時の女性は運命の全てを主に婚姻関係に左右されることとなり、己の行く末をその手で決めることはまずできない。
望むと望まざるとに関わらず戦いに明け暮れる日々を送ることになる尊氏だけでなく、
妻としてその隣にいた登子も、翻弄される運命の中で、自らの立場で静かに戦い続けていたのだろうなと、水さんの登子を見ていてそんなことを考えました。


わーい気づけば久々1万字!笑
書きたいことを並べたら勝手に完成した!っていうタイプの記事なので、本当に書きたい気持ちが強かったんだな~としみじみする。
る太、まじで楽しかったです!!!らぶ!!!
二部の感想も、たぶんなにかしら書くと思います!

*1:ギタリスト歴13年、りょうがくんのギター演奏の腕前はなかなかにハイレベルなのです!絶対ギタートークしててほしいよ~!

るひま「ながされ・る君へ ~足利尊氏太変記~」る太 一部ミュージカルパートの感想(足利尊氏&直義兄弟と護良親王について)


2023年のラスト4日間は、明治座のるひまで過ごしました。
る太、最高~~~~に楽しかった!!!!!!!!
2023年の様々な疲れが全部チャラになるくらいの最高現場で年越しできてハッピーすぎた。
長年「なんか年末に頭のおかしい演目をやってんな……」とその存在を認識は当然しつつも遠巻きにしてきたわけですが(※言い方)、この度ついに足を踏み入れることになったその結果、秒で適応した。
それはそう、だって私はトンチキが大好物だから!!!
年末にこんな良質なトンチキを浴びられて幸せしかないな!!!という気持ちで、ただいまキマりきった澄んだ眼差しで2024年を迎えています。

前楽およびカウントダウン公演のアーカイブ配信は1月6日まで観られるのでもしかしたらこれから!という方もいるかもですが、以下話の筋について普通にネタバレをしますのでご了承ください!
あと一身上の都合により、半分くらいは護良親王の話です!(後半の内容はりょうがくんファンじゃないとつまんないと思う、すまんやで!!!)
あっあと一部別にトンチキじゃないんだ!問題は二部!!!なんだけど二部の話は特にこの記事には書いてませんすみません!笑




びっくりするほど「ミュージカル」!厚みのある歌声を存分に浴びる2時間15分

るひま年末の祭りシリーズ、一部のお芝居パートはストレートだったりミュージカルだったりが年によって違うそうですが、2023年はがっつりとミュージカル。
メンツを見れば一目瞭然だったわけではあるのですが、それにしたって!あまりにも歌がうまい。ただの本格ミュージカルが明治座で上演されてた。

なんといっても主演・足利尊氏役の相葉裕樹さまと弟である足利直義役の内藤大希くんのきょうだい。この二人がとにかくやばい。
ありえんクオリティのきょうだい美声デュエット、存分に歌声で客席を殴ってくださるので幸しかなかったです。ただただ聴き惚れた。
歌がうまい人が多すぎて、こんなに安心して聞けるミュージカルもそうそうないよ……と思うような贅沢さで、
”ミュージカル”としての期待値を正直そこまで高く持っていかなかったため(なにぶん初参加で作品の方向性もよくわかってなかったので)いい意味で期待値を裏切られました。
まさしくん原田さんの楠木きょうだいの厚みのありすぎるデュエットに、
高師直の上口さん・上杉重能のはるちゃんの安定感ありすぎるハーモニーが物語をどっしり支えます。
その他、歌の出番がものすごく多いわけではないという皆さんもとにかく全員がしっかりと聞かせてくれて、
極めつけにROLLYさんの生ギターまで。ねえほんとになに!?この最高ミュージカルは!?になった。
ミュージカル大好き人間としては年末にこんなご褒美みたいな歌声ばっかり聞けることあるんだ!ってこれだけでもう有頂天でした。歌が、うますぎる!!!

思い合うのに、永遠にすれ違う兄弟の哀しさ~尊氏と直義~

物語は、太平記をベースとして足利尊氏が時の人として世を上り詰めていく様子を描いているわけなのですが、
イケテツさんの脚本はとてもわかりやすく、重度の歴史音痴のわたしでも難なくついていけました。始まる前は話がわからんかもしれんの覚悟までしていたけど、杞憂だった。
漢字の名前を覚えるのもハチャメチャ苦手なんですが、なんか全然苦労せずすっと入ることができた!

以下は公式サイトからの作品紹介の引用ですが、
taihenki.com

鎌倉末期から室町初期までのたくさんの戦が描かれた軍記もので、
戦国武将たちは「兵法書」として読んだと言われる「太平記」。
しかし描かれていた数々の戦とは対照的に、タイトルは「太平」。「太平」とは、世の中が穏やかであること。
「平和」を望むものです。「太平記」は一人の作者によって描かれたものではなく、
何人もの作者たちによって編纂されました。
江戸時代になると「太平記読み」と言われる僧や、この「太平記」を元に二次創作を行った劇作家たちの手により芝居となり、庶民たちにも広まり大人気となりました。かの「忠臣蔵」も、実は「太平記」の派生物です。

太平記自体、解釈の余地が幾重にも生まれるような存在、二次創作の源にもなっていたというところから、
より自由に想像の翼を羽ばたかせつつ歴史の世界に遊んでみよう!みたいな狙いのつくりになっている作品かな?と受け取っています。


本作の尊氏は、さしたる野心もなく、名を挙げることや家名を守ることへのこだわりも大して持たないけれど、人に頼られるとノーと言えない、ひとたび仲間のためと思えば即奮起して相手を打ちのめせる圧倒的な強さを持つ時代の寵児として描かれます。
そんな尊氏を隣で支え続ける弟・直義は、清和源氏の名の下に、足利による天下取りを真っ当に望む武士の鑑。
行動原理のすべてが「兄上のために」である直義は、誰に頼まれたでもなくただ己の信ずるところに従い、どんどんと行動を苛烈なものにエスカレートさせていき、兄にとって障害となるであろう者の命を、躊躇なく奪っていきます。
そうして直義はひたすら兄を思って己の行動を選び続けるのに、それに対する尊氏は「もうやめよう」「帝をこれ以上追い詰めたくない」と、他の誰かを案ずる言葉を繰り返すばかり。
兄と弟、互いが互いを想っていることは明白なのに、その目指すところや本質はどこまでも平行線をたどり続けます。


物語の後半で、「敵になる存在は根絶やしにしなくては」と歌うときの直義の恐ろしさといったらなかった。
「それはやりすぎだ」と止める兄に「もう後には退けない」と返す直義。
公演後半戦では、もうここで必ず泣かされるようになっていました。内藤大希くんの歌の力が、ほんとうに凄まじかった。
相葉さん演じる尊氏が光そのものであればあるほど、その眩しい輝きの影の中に立つ直義は、闇の中に吸い込まれていく……。

冒頭とラストでふたりが身につけている衣装モチーフ。
尊氏が星・直義が月なんですが、
自らの力で輝きを放つことのできる恒星と、隣で光を受けなくては決して輝くことのない月、という対比になっていることに痺れました。
センター属性に惹かれる人間なので最初はあいばさまの尊氏に夢中になってたんだけど、折り返すあたりで直義視点で観始めたらしんどさ100倍になってほんとびびった。。
なんといっても、ないとーさんの歌声が回を追うごとにどんどん凄くなっていくので……いやどんな喉!?
彼の歌声をしっかり聞くの実は初めてだったのですが*1、ほんとうに恐れ入りました。。まじで贅沢ミュージカルだったなぁ~~。

「何度繰り返しても」果たして二人は同じ結末にたどり着くのか?

今回のストーリーに加えられていた捻りは、尊氏の歌の中に「どうやら彼はループしている?」と思わせるフレーズが含まれること。
幕開けのM1の時点で尊氏のソロパートに「この結末から逃れたくて 幾度も流れにあらがい続けた」というフレーズが登場するため、冒頭の時点でだいぶ「おや?」と思わされるのですが、
物語としてそこの構造をしっかりと描き出すというよりは、なにがしかの可能性・雰囲気の提示に留めるくらいの描写にての幕切れとなっています。
個人的にはこの余地がある・余白がある描かれかたゆえ、実際のところ何がどうなのか?というのはこちらが自由に想像できるのが嬉しかった。*2


ラストシーン、由比ヶ浜での尊氏・直義の二人の場面はM2と共通しており、
このときの尊氏は明らかに繰り返しの2回目(以上のどこか)であることが提示されます。

二人の会話も1回目とは異なる内容で展開していくのですが、これを見ながら、
「もしや、直義は直義で同じように繰り返しをしているのではないか?」
「兄をもり立て天下を取らせるという強い意志のもとに、結局は同じ運命に突き進んでいくのではないか?」

みたいな考えがよぎってしまいまして……。
そう考えるとなんかもう、しんどすぎた。その光景が、あまりにも明るくまぶしい光の中に描きだされるので。
もしも万が一、繰り返しの中でいつか何かがうまくいって分岐点が生まれるなら、もうその先のパラレルワールドの歴史の中でふたりとも幸せになってほしい……
「宿命も置いて行く早さで」以降のふたりのハーモニーが心底美しく、その旋律がキラキラと希望に満ちているからこそ、観ているこっちは涙が止まらなくなってしまう。
俺は幸せになるからお前も幸せになれ、ってさ、本当さ、お兄ちゃんさ~!!!涙


もし何度繰り返したとして、また同じ結末にたどり着くのだとしても。
それでも、”最高の始まり”は何度やってもいい。
だって今は二人で並んで、こうして笑っていられるのだから。
どこまでも晴れやかな尊氏の笑顔を見ていると、その時間をかえがえのないものとして「ただ、今を生き抜く」ことの力強さや、祈りみたいなものを、とにかく強烈に感じました。泣いた。
たとえ運命を変えられないのだとしても、そこにある想いや願いは誰にも奪えないのだと、それこそが生きている証なのだと。そんなことを語りかけられたように思います。

孤独とさみしさを内に秘める悲劇の皇子、護良親王

さて今回、わたくしは石川凌雅くんを見るためにるひまデビューを果たしド年末に明治座へ通い倒したわけですが、
護良親王!!!ねえ!!本当に!!!つらい!!!
めちゃくちゃ辛かった。かわいそうすぎる!つらい!!!!!!そして、大好き!!!!!!


倒幕を企てる時の天皇後醍醐天皇の第一皇子である護良親王
彼は武士でもなく公家でもなく、天皇の直系であり、いうなれば他の誰とも立場の違う存在です。
そんな彼のよすがはつまり、同じ血筋の父・後醍醐天皇しかいないわけですが、後醍醐天皇は徹底的にと言いたくなるくらい、親王のことを顧みない。
息子がどれほど父上を慕わしく思い、その願いのために身を粉にして働こうとも、報いてくれることはないのでした。

己を追い込むような強い眼差し。常に険しく凛々しい表情を浮かべ、歩む時も決して後ろを振り返らず大股でのしのしと歩みゆく彼。
りょうがくん演じる護良親王は、その佇まい全てで、物語の中における己の孤独を訴えかけてくるようでした。
彼を見ていると、常に本当に独りぼっちで孤独な存在であることが、どうしようもなく浮き上がってくるように思えた。

かと思えば、彼は不意にその内側の柔らかな本質を溢れさせる。
後醍醐帝の筆跡を真似て偽の綸旨をばらまくように忍び・ふゆに命じたあと、一人になった彼は、
「これでよろしいですよね、父上」と、どこか頬を上気させるような初々しさで、真っ直ぐな瞳でその場にいない父に語りかける。
父の目指す理想のために自分にできることがあるならば何でもする、だからどうか、こちらを振り向いてほしい。
まっすぐに父に向ける柔らかな私募の念を、強固な意志の鎧で包み、護良親王は自分の信ずる判断で独り戦っているのだった。
そのアンビバレンツ、危うさみたいなものが本当に……ねえ~~~!!!!ってなる。涙

りょうがくんのお芝居のアプローチも、主にラスト1日でけっこう変わったように感じています。
硬質な強さや勇ましさが全面に押し出されていた前半日程にくらべて、
31日のラスト2公演は、どこか脆く、内に抱える優しさがすぐに表に滲み出す青年に思え、より切なくなりました。


征夷大将軍に任ぜられるもわずか1年でその座を終われ、囚われの身となった護良親王は、
その存在がこの先足利にとっての障害になると判断した直義の手によって、その命を奪われてしまいます。
「これだから武士は。殺すという選択肢を、簡単に俎上に載せる」
自分を殺しにやってきた直義と対峙したときに冷静に放つこのセリフが、本当に好きだった。。
護良親王には護良親王の、確固たる信念があるのだということが静かに伝わってきて。
彼は国を憂う父の想いへの共鳴があってここまでやってきたのであり、歯で刃を食い折って「お前ら武士にはないものだ!」と吠えるくらいに、その執着心は揺るぎなく強固なもの。


しかしその抵抗虚しく、護良親王はその命を刃に散らし、自分の最期を京へ伝えるようにふゆへ言い残して果てます。
その後舞台上ではすぐに盆の回転により場面が転換し、尊氏が後醍醐帝へ北条時行征伐の許しを直訴するシーンに変わるのですが、
全体での4公演目を観たあたりで護良親王の最期が辛すぎるあまり、しばらく冷静に次のシーンの話を追うことができませんでした。それくらいに感情を持ってかれてた。
これ、観劇してても自分としてはけっこう珍しい現象なので割とびっくりする出来事でした。
ちょうど初めての2階席ですべてをクリアに観られたためというのもあるとは思うのですが、一身に背負っているその悲哀に徹底的にやられてしまって。
まぁ今のわたしがりょうがくんを冷静に観られているとは思わないのでファンの欲目というやつが存分にあることは理解しつつも、
でもなんていうかほんとうに……あんなに強く勇ましいのに、同時に寄る辺のなさのある、どうしようもないほどのその本質的なさみしさに、観ているこちらの心が染め上げられていくようだったのです。
そうまでこちらの心を動かしてくれることが嬉しかったし、そういう瞬間のために舞台、通ってるんだよなと思えて……まじで年末の舞台がる太でよかった。幸せだなぁと思った。


さて、真面目な話ができたので、ここからIQを一気に3くらいにするのですが、

一大事!助けて!!!~ビジュアルが大天才~

今回の!護良親王!!!ビジュアルが強烈に、それはもうばかみたいにかっこよかった!!!!!
ありがとうございましたるひまさん、本当にあれはなんですか!?!
金髪ロングヘアのハーフアップってなに!!?どういうこと!?似合いすぎててこっちの網膜焼き切れる!!!
いきなり薙刀ぶん回した時点でかっこよすぎてもうライフはゼロなのに、その後さらに鉄扇で戦うって、あの、それは……あの……
推しに鉄扇で戦われて命散らされて無事なオタク、おる?おらん。
ちょっと全てにおきましてその描かれ方が最高すぎて、感謝の意を述べる以外にできないのであります。本当に、ありがとうございます。。

1年のラスト締めくくり現場でこんなご褒美みたいなとんでも美麗超絶かっこいいビジュアルが襲ってくることって、あるんだね……。
今回、ご縁あって直前の場当たり見学会にも参加させてもらえたのですが、場当たり、衣装付きだったんですよね。(考えたことなかったけど、場当たりってそうなの?そうかも、早替えとか小道具確認とかあるもんな)
りょうがくんどこかな~って見てたら、いやなんかどうみても、金髪ロングヘアの人っぽくて「嘘だろ……?」になり、マジでめちゃくちゃ動揺したしその時点でもう年末の優勝を確信してしまった。結果、大優勝でした。アンケート書くので本編ビジュでの舞台写真をどうか売ってくださいませ~!!!


基本笑顔をうかべることのない護良親王は、かっち演じる忍び・ふゆとのやり取りが唯一のほっこりパートだったわけですが、
「じゃあ、出方もわかんない?」とかはふゆの仕草を真似てみるようになったりしてて、とにかくかんわいかった~。。。
最初の「……あのさ!令旨って大事なもんだから、落とさないでよね!」の言い方も、基本的には「あのさぁ!」を大きく張り上げる感じだったのが、
大楽だけしっとり諭すような語りかけかたになってて。
「本当にドジなんだね!かわいいね♪…よしよし♪」にはギャーになりました、いやあんたが可愛いわ!なる。なるよ!
そしてここ、楽だけちょっといつもと違う動きをしたので、いきなりトキユキの背景で落ちた照明の中でじっとするところの直前で、まさかの鉄扇が差していた帯から落ちるハプニングがあったんですよね*3
かといって歌のあいだじゅう動くわけにはいかないだろうし、うわ~ヒェ~こりゃどうなる~!?と思って固唾を呑んで見守ってたのですが、
直義が現れて照明がONになるタイミングで、護良親王は素早く顔の向きは変えずに手探りだけで足元に落とした鉄扇をつかみ取って右袖の中に握り込んだので「グッジョブ!!!!!!」となりました。


あとは最終盤の突然のアドリブについて!!!
今回、いくら遊びたくても役どころとしてキャラは崩しにくいだろう、アドリブとかもやりにくいだろうな~と思っていたら、楽日に急に暴れ出したのにはびっくりしました!笑
前楽で探りをいれる→大楽でより遊びを出して完成形を出してきたの、8公演あってよかった!!!みたいな気持ちに。公演がもっと長かったらより色々遊べてただろうな~!!!
前楽の登場シーン、謎の阿波おどり系ステップを踏みながら出てくる→「親王!?どうしたんですか親王!?」→スッ……とそのままセリフに入ったんだけど、
そのあと出てくる万里小路の伊藤さんが「さっきのあれ何なんですか?袖で演出家がすごい顔して見てましたけど?」っていうのを聞いてぎゃ~!なりました。笑
すごい顔ってどっちの意味だろうな!原田さん的にOK!?NGどっち!?ってすごいハラハラしたんだけど(※この舞台においてアドリブNGとかあるんだろうかというのは置いといて笑)、
大楽はより遊んでステップに歌を付け加えて出てきたので爆笑してしまった。その後も父上のギターに合わせて薙刀エアギターかましてて本当にびっくり!
基本的にアドリブの方向性が「父上大好き!!!」が溢れてる内容だったので、全然アリに思えました!!!爪痕のこしたよねナイスファイト!!!(※あくまでも、ファン目線ですが!笑)
あと尊氏の背後に忍び寄る怨霊フェイスが本当に心底恐ろしすぎて大好きだったんですけど、30日からその後に高師直とあっちむいてホイし始めたのには笑ったw
目ん玉落ちるんじゃないか?っていうくらいのかっぴらき具合で、目がどでかい人があそこまで見開くとほんと迫力、あるよね……。

二部ふくめ、最初はどこまでやっていいのかの迷いや遠慮があったんだろうなと思うんですが(そりゃ~そう)、まじで最終日に急に覚醒したというか一枚殻を破った感じがあって!見ててすごく楽しくて嬉しかったな。
いろんな意味で試される・幅の広がる現場だったと思うのですが、今回出演してくれてファンはほんと~~~~に、嬉しかったです。さいこう。



全体的に本当に良質なものを見せてもらえて全力で楽しむことができ、しっかりと物語の力で感情も揺さぶられて、2023年は最高の観劇納めができました。
個人的な話だけど、物語の中の登場人物の感情描写によって泣けたのが本当に半年ぶりとかだったので、自分の感受性が死んだわけじゃなかったんだな~ということに安堵するなどし、
やっぱり好きなもの・心に響くものだけ観ていたいな。という決意も新たにしたのでした。2024年の誓いである。


でね、二部の話なんだけど、、ねえあのカオスに書ける感想ってある???笑
何を言語化しても「誰にも何もつたわらない」ものしかできないきがするんですよマジで。なので書くかどうかを迷っているところです!笑
すごいよあのトンチキ。いくらなんでもあれは、他に類を見ないよ。
カウントダウン公演なんて何がどうなってたのか本当にわからないよ。どうしたらあんなことになるの???
だって二部23:15にはじまって1:15に終演したからね??カウントダウンに差し掛かるタイミングで既に進行押しすぎて流石の鯨井さんも大慌てだったからね!?
死ぬほど楽しみましたし本当に酸欠になるくらい笑った。毎公演爆笑だったけど間違いなくカウントダウンが一番やばくて、深夜帯だったのもあって本当に頭がおかしくなりそうでした。マジでなんだったん???笑


とりあえず一部パートについては、未来の自分のために忘れたくないと思ったところのみを集中して叩きつけたので、このたびはごくごく局地的な感想になってしまい大変申し訳ありません。
でも本当に!!!皆さん本当に素敵でした!!!!!!!
10年以上続いてきた演目ゆえの充実度、あたたかさをたくさん感じました。
年の瀬の明治座全体にあふれる楽しげな空気がたまらなくハッピーで、ここに連れてきてもらえてよかったな~ってなった!マジでありがとうなりょうがくん!
またご縁があるといいな~~と願っているのでまじめにアンケート書きます。るひまさんに大感謝~~!!!

追記:一部ミュージカルパートに関して全キャスト感想を書きました。
anagmaram.hatenablog.com

*1:ないとーたいきさんのはじめましてはつい最近ののだめミュなんだけど、真澄ちゃんは歌の場面が多いわけではなかったので!

*2:楽を見終わった後にパンフを読んだのだけど、イケテツさん曰く「この二人に幸せになってほしいなと思って、マルチバースの世界でのそういう未来を匂わせています」とのことだった。うう~!涙

*3:楽で小道具が落ちる系のハプニング地味に多いね2回目だね!今おもうとマシュステ大楽とそっくりな出来事だったねコレ。どっちも回収ちゃんと間に合ってすごい

2023年下半期に見たものまとめ

今年も残りもうあと僅かということで、下半期をまとめます!
6月末に書いた上半期はこちら。
anagmaram.hatenablog.com

※月をまたいで観劇したタイトルは最初の月だけに記載しています。いわゆる俳優個人のイベント系は書いていません。回数も略。

6月

※下半期って言ったのに、なんで6月が入ってくるかっていうと

ムーラン・ルージュ!」ザ・ミュージカル

プレビュー明け本初日を姉の代打で上半期記事書いたあとに観に行ったため。
この日はB席から観たんですが、帝劇に足を踏み入れた瞬間からもう口をあんぐりと開けてました。
真っ赤!話には聞いてたけど本当に、真っ赤!!!
B席のかなり端の方から観たのですが、それでも十分に「体験」した気持ちになれた。
その日その瞬間にパリのムーラン・ルージュで起きていることをお客として目撃している気持ち。
話の筋はものすごくシンプルだし特筆すべきことはいい意味で起きないからこそ、その体験に集中できるというタイプの作品だと思う。
美術にこれでもか!とお金をかけて、徹底的に世界観を作り込んでいるゆえ作り出せる贅沢な空間と時間。
8月にも観劇したんだけど2回とも芳雄クリスチャン望海サティーンだったので、2024は別キャストでも観てみようと思います。
橋本さとしさんのジドラーの「サティーン、口紅、もう少し…」には、本当にぶわっと泣かされたなぁ。

7月

舞台「マッシュル - MASHLE- THE STAGE」マシュステ

マシュステ、最高だったよ~~……!!!
私の2023年下半期はマシュステのためにあったんだよなぁ。そう思うと、下半期のピーク、あまりにもはええなぁ。笑
来年の続編、ランスくんは出るしキャス変もないと信じてます。頼む。頼むよ!!!涙
本当に楽しかったし幸せだったし、2.5次元が好きでよかったと思わせてくれる、あまりにもよく出来てる快作でした。
詳しくは書き散らした記事のほうでどうぞ。
anagmaram.hatenablog.com
anagmaram.hatenablog.com

及川光博ワンマンショー「踊って!シャングリラ」

こちらも記事を書きましたのでそちらを貼ります!
anagmaram.hatenablog.com

8月

リーディング・シアター「四つの署名」

観劇したのは8月6日の鈴村さんとぴろちゃんの回。
6月に観たダーウィン・ヤング以来、身内でぴろちゃんブームが巻き起こったために観に行ってるのですが、
彼は本当に声がいいよねぇ。。あととにかくスーツが似合う。
新聞を読んでるシーンで台本を新聞みたいに持ったりする芝居の細かさにはびっくりした。

舞台「千と千尋の神隠し

初年度見送ったのを後悔してたところに華優希さんがリンを演じられることになり、喜び勇んで御園座まで行きました!
しかしこの日、豪雨影響の翌日で新幹線が大遅延。まだ新幹線に乗ってる間に上演が始まったのは初めての経験でした。
名古屋駅につくなり「御園座までお願いします!!!」と叫んでタクシーに飛び乗るも、一幕には20分遅刻!
それでも本当に、「わざわざ名古屋まで観に来てよかった」と心から思いました。
本当に、舞台として素晴らしかった。ジョン・ケアードさんは天才なのですね……と当たり前のことを言いたくなるほどに、良かった。
ちゃんと感想を書き残せていないことをだいぶ悔やんでいるので、萌音ちゃんの千尋と宏規くんのハクに感動しまくった当日のポストを代わりに貼ります。華ちゃんさんのリンは言わずもがな、最高でした!きっぷのいい役本当に似合う、大好きッ!!



せんちひなんてそりゃ~みんな大好きだけど、個人的にものすごく大切に思っている作品なので、舞台という形でまた新しく出会い直せたことがとても幸せに感じられました。
来年は博多座に親を連れて観に行く予定です!!!

ゲキ×シネ 劇団☆新感線「薔薇とサムライ2 海賊女王の帰還

これは生の舞台じゃなくゲキシネなんですが、ものっっすごく楽しかったので入れさせて…!!!
映像であることを忘れるくらいに、終始引き込まれて観てました。あまりにも面白かった!
ドルビー上映のタイミングまで待ったのも良かったかも!
石田ニコルちゃんがあんなに歌えるって知らなかったし、生瀬勝久さんのくどさは舞台にこそぴったりだなと思ったし、
何と言っても天海祐希さんの存在のすべてから醸し出される圧倒的な説得力。
古田新太さんはなんかもう、ズルい。笑
なんで上演当時観に行ってないの!!って思ったけど、調べたら普通にエリザとどん被りでそりゃ~無理だな!とわかった。
最高のタンスには本当にもう怒られろよ!?wwと思いました。

9月

花組 鴛鴦歌合戦・Grand Mirage!

ほぼ1年ぶりに劇場現地で花組を観ました。
まどかちゃんの台詞回し、キュートすぎて胸がキュンキュンした。
れいちゃん演じる礼三郎さんはとにかく人格者で素敵だったのだけど、もっと真ん中をどかんと張る役でも良いのに!?なんて控えめなトップスターなんや!?と思ってしまったりした。
小柳先生の作品づくりは心がぽかぽかするし花組生がみんな楽しそうでそれは最高だった。のだけれど、「真ん中を張るべき人のための作品」という点を謎なくらいに叶えて貰いづらいのはなぜだったのだろう……?
芝居心がありすぎると逆にそうなることもあるのかもしれない。
グラミラはとにかくシボネーが心に残りました。2階S席から観ていたんですが、一糸乱れぬ動きで舞台上を塗り替える花組生のダンスの練度に感動した。

れいちゃんと花組への気持ちをわたしはどうしたらいいか1年あまりの間わからないでいたわけですが、
anagmaram.hatenablog.com
ここに来て単なる自分の内側の問題ではなく、外からやって来る事情により本格的にどうすべきかわからなくなってしまうとは思わなかったよ。本当に。
今の自分自身が足を運ぶことを選びにくくなっていることとは別に、
舞台に立つ人もファンである人も、様々な形で関わるすべての人の心身の健康が守られることだけを、とにかく祈っている。

アメリカの時計

こちらも身内の矢崎フィーバーによる観劇。
いわゆる小劇場っぽい作品をかなり久しぶりに観た。
アメリカ人にとっての世界恐慌って本当に大きな出来事なんだなぁと思う。
第二次大戦で国土が直にダメージを負ってない分、国民に通底する挫折や傷つきの記憶として最も強烈に記憶されて遡るのはそこになるのかなぁ、などと考えたりする。
1920年代を扱う作品は戯曲によって本当に色遣いが様々に違っているのも面白い。

刀ミュ すえひろがり 乱舞野外祭

期間中、2回行きました。
こっちも楽しむために行っているのでそりゃ楽しかったのですが、
天候・交通手段を中心とした自分たちでコントロールできない事象に振り回され続けることへの疲労感がやばかった、というのが率直なところ。
冷静に考えて、観客側にエンタメを「観る」ための負担を、ちょっと過剰に強いすぎではなかったか?と思うのですね。
大雨が一回もなかったのは豪運にして幸いでしたが、本格的な雨が降ってもおかしくはなかったし。
現地に足を運ぶ客としては、エンタメを享受するための負担は大きすぎない範囲で普通に楽しみたい、それは別に怒られない感覚なのではないか、と思う次第である。
千秋楽は配信で観てたんだけど、最終日に来て笑っちゃうほどの晴れで、もうこれ以上はないだろ!みたいな富士山がドローン空撮でパッキリ映し出されたのはすごかったです。

すべてを正直に書くならば。
徹底的にライブに振り切った構成の中、これまでの私が抱いてきた「刀ミュ」への感情をつなぐ唯一の接点は、今剣がソロで歌い出す「キミの詩」ただ一つになっていた、と感じました。
長年愛してきたこの作品シリーズに対する、わたしにとってのひとつの答えです。*1
しゅんやくんのあの芝居には本当に泣かされた。やっぱり彼はすごい、脱帽した。

10月

リーディングシアター「アドレナリンの夜」

思った以上にちゃんとホラーだったので「やだよぉ~!」と思いながら観た。笑
上演前、貞子ふうの足を引きずった女性が客席通路から舞台上に上がってジャーーーン!!!!とキーボードを鳴らした後、普通にBGMを担当しだしたのにはすごいびっくりしました、いやピアニストさんになにやらせとる!?w
普通に芝居のうまい役者に怖い話を聞かされる回じゃん!となり、始まってしばらくちょっと後悔したくらい(の、ホラー苦手勢)。
4人でオムニバス2周した後に、”劇場”という場を生かした設定で最終話を展開する引き込み方、面白かったです。

ACTORS☆LEAGUE in Basketball 2023

舞台ではないんですけどラインナップに入れときます。
バスケ、めちゃくちゃ楽しかった~…!!すんごい「ガチ」の試合で逆にびっくりしてしまうくらい。
普段は役者をやっているみんなが全力でスポーツをする姿を観ることに喜びを感じているので、あの~本当に、観客としてはこういうのがいいですね~~~。
Everyone thinks so!!! でしかないと思うんだけど、ど~~ですかね!?本当にね!!!*2
たぶんアクターズリーグ自体が一段落なのはわかってるんだけど、この形ならバスケは来年も続いてくれないかな。
ラストの「夢の先へ」を歌うくるむくんの歌唱力が1年前に比べて爆上がりしていて、マジでびびりました。くるむくんさん、あんたもすげ~~~!!!

ミュージカル「のだめカンタービレ

のだめミュ、観てよかった。本当にめちゃくちゃ良かった!!!
ものすごく好きな原作が舞台になる経験が実は私はそんなになくて、のだめが初めてかも?と思ったんですが、
「原作が大好きだとそうか、舞台化ってこういう気持ちになるんだ……」とだいぶ新鮮でした。(※なんでそれで長年2.5界隈のオタク、やってる?)

主演含め、17年前(!?)のテレビシリーズキャストを複数連れてくるという、ある意味では反則レベルの力技を使いつつ、
でもちゃんとミュージカルとして成立させる堅実な舞台作りがなされていて。
宏規くんの千秋先輩、最高でした~~~~!!!ラヴ!!!
わたし千秋先輩が少女漫画の好きな男性キャラクター人生オールタイムベスト3に入る人間なので、キャストが発表されたときは「え~~~顔のタイプが違うー!!!」って真っ先に思っちゃったんですが(ごめんなさい)、
それを上回る”俺様力”で、もうね~原作ファンとしてなんの文句もなかったです!拍手喝采だった。
樹里ちゃんののだめ、歳をとらなさすぎて真剣にどういうこと???という気持ちになった。マジで、どういう魔法???可愛すぎて涙出る。。
有澤くんの峰はあまりにも似合いすぎでわらっちゃったし、内藤くんの真澄ちゃんはしっかり乙女でキュートだし、ゆきちゃんの清良は美しくてかっこよかった(ただ、音楽祭が全カットなので、原作/ドラマ未履修の場合は登場の背景がわからなかった気が。ちょっと勿体なかった)。
ペトルーシュカのシーンは……!「そんなことがあっていいのか!?」と思う贅沢さでもう目が点になりました。跳躍のたびに宙で静止するの……?*3
続編やってほしい!!!ぜひ!!!パリ編が観たいです!!!

11月

舞台「Grave Keepres」

舞台上に役者4人しか出てこない(黒子もいない)舞台作り、閉塞感のある箱庭っぽい作品設定の雰囲気ともマッチしていてとても良かったし、
演者4人の芝居の噛み合い方も観ていて心地よかった。
と同時に、私は本当に骨の髄まで脚本厨なんだな~~~~~~~というのをもはや落ち込むくらい実感してしまった。愛せる脚本に、出会いたい。
感動の中心にどうしてもシンプルに「物語」としての出来を置いてしまうところがある上、とくにファンタジーの見方が厳しいんだろうと思います。
いや~~~……ファンタジーの肝って、やっぱり「世界観の構築と提示」なのでね。
物語る前提となる外枠がしっかりしてることって、ファンタジーとしての面白さの絶対条件だと思います。
その場の役者の声ではない、録音による音声部分の芝居やセリフにだいぶ気になるところがあったり(ライトの声の不自然さとか)、
バトルが全部虚空との戦いなのは、流石に勿体なかったような!?
役者は全員すごくよかったです。主題歌を踊るりょうがくんの美しさとかっこよさ、マジで涙出る。この世で一番好きなダンス踊る人ー!!!

ミュージカル・ピカレスク「LIPIN ~カリオストロ伯爵夫人の秘密~」

終始、何を見せられてるのか本当によくわからなかったけど、全体的にこんなに荒唐無稽なのに、ちゃんと成立することってあるんだ?と思いました。笑 面白かった。
歌える人たちが本気で面白いことばっかり歌っている。

すごく勝手な感想ですが、ゆんがとても一皮むけた感じというか、吹っ切れてる印象を受けました。(帝劇単独初主演、おめでとうございました!)
彼があの類まれなる美しさの中に持っている「面白さ」を存分に発揮してるのが、もうサイコー!って気持ちになりました。
そんでさ、まりおくんのさ~~~細かい表情の演技がさ~~~やっぱり好きだし身のこなしの美しさが存分に観られて、踊ってくれて、あ~~~!!!涙 って気持ちなのに、
「俺はルシファー!!!」って歌ったとき、本当にどうしようかと思いました。かっこいいのに面白いってどういうこと???
黒き鷲を空に放つのやめてもらっていい??だった。卑怯者の矜持、わかったよ!!!笑
全体の3公演目が初回観劇だったんですけど、一幕終わり直前の小西シャーロックの「私のハートを盗んだな!」で、もうわたしの腹筋は本格的に駄目でしたし、客席もめちゃくちゃ笑っちゃってたし……
ジュマペールルパン!って自己紹介されてることに気づいた時もおもしろすぎて無理だった。
大阪・福岡あたりの地方公演で大ウケしそうな演目に思いました。笑

12月

演劇ドラフトグランプリ2023

去年は観ていないのでこのイベントは初見なんですが、面白かったしちゃんと楽しめた!*4
ここまでバラバラになるかと思うくらい、見事なまでに色合いの違う5組の作品。
わたしが一番好みだったのは劇団 品行方正の「愛のシンクロ」でした!
スラップスティックなドタバタコメディだけどヒューマンドラマみたいな、ああいうのに本当によわい。いつかアーカイブ始まったら愛のシンクロのために買うと思う。
終盤、みんなで寝っ転がってシンクロナイズドスイミング(って今言わないんだよね、のくだりもあったけど)の脚を宙に突き上げる動きを始めたあたりで、もう涙が出るくらい笑った。

贅沢だなと思ったのはジャンプ・マガジン・サンデー・チャンピオンの編集長が審査員としてその場に来てくださっててコメントを沢山聞けたこと。
フィクションを見ることに長けた人たちの視点からの言葉、どれも興味深く聞きました。人間を超えた多忙スケジュールの方々だろうによくぞ来てくださったよね!?

武道館で芝居を見る非日常感・特別感の楽しさと、そうはいっても芝居はまぁまぁ見づらい!というジレンマが、難しいなとは思いました。笑
アリーナ最後方だったので、観てても無意識にモニター眺めちゃってるのに気づいてね。やっぱりちょっともったいない気持ちにはなったよね!
まぁイベントと割り切って、もうそれはそれとして!って感じでお祭りっぽく楽しむのが正解だと思います。楽しかったので来年あって推しがいたら行くと思う。

ONE SONG LIVE 2023

……いやーーー、楽しかったな~~~~!!?
本業役者の4人が半年かけて作り上げたバンドライブ、クオリティがすごく高くて、何より全員楽しそうで、
単体で記事書けるなって思うくらいに楽しんだけど、うん書いてないね……。勿体ないね!?
表で感想をフッ軽に書き残せなくなったことの弊害を感じている。
セトリのラインナップが彼らの年代を考えるといい感じにちょっと渋くて、それもまたよかったなぁ~。
一夜限りなのが勿体ないなと本気で思ったので、うまいこと予定をどうにかしてまた4人でライブやってほしいです!ぜひ!絶対!
純粋な楽しさだけを届けてくれる機会って貴重だし幸せだし。友達と二人でいい一日を過ごせた。

舞台「ジャンヌ・ダルク

3回目の上演だそうです。脚本は中島かずき
主演のジャンヌ役は堀北真希有村架純→清原果耶ときていて、もう、わかりすぎるラインナップー!
エキストラ100人ってどういうこと??と思ったんですが、ほんとうに舞台上に100人いてびっくりした。
前方客席をがばっと潰して奈落を前方に作ってるのですが、そこから「湧いてくる」と言いたくなるようなスピードと量で兵士役の人たちが出るわ出るわ。
ほぼドセンの位置だったこともあり、物量で攻めてくる戦闘シーンは凄まじい迫力でした。ちょっと逃げ出したくなるほど。

ものすごくダークな演出というか、音楽も当時の旋律を活用した重々しいもので……結果、観劇後珍しいくらいに落ち込んで帰りました。
体調があまり良くなかったのもあったんだと思うんだけど、ジャンヌの最期を観ているのがシンプル辛すぎて……
冒険活劇でカラッと終わらない中島かずき脚本が初めてだったので、予定外のダメージを受け止めきれなかったというのもある。
でもな史実考えるとな、そりゃそうなるしなかないんだよな……(まだ若干落ち込んでる)

フレンチロック・ミュージカル「赤と黒

観に行きたい気がする、と思い直前にチケット手配しました。
芸劇プレイハウスの規模感や空気にとてもピッタリで。
照明・美術・衣装などすべての要素が噛み合っていてウェルメイド……と豊かな気持ちになれた。
主演の宏規くん、マジでどんどんすごい役者になっていくな!?とまたびっくりさせられて!
本格バレエ仕込みのダンスを引っ提げてテニミュ→刀ミュで鮮烈な印象を残してからの今なわけですが、
歌にもここまでの強みというか、どんどん才能が伸びる余地があったんだねぇとしみじみ。。
センター属性に弱いオタク人生をやってるので、やっぱり真ん中に立つ力の強さに惹かれるのかな。
「俺を見ろ!」って臆せず発することのできる度胸と実力、主役を張るに当たっては当然ながら重要ですよね。
そういうわけで彼の舞台姿が最近すごく好きなので、来年はナビレラも観たいしボレロも観たいです!

舞台「呪術廻戦」

今年のじゅじゅステも観てきましたが、ものっっっっっすごく演出の方向性が変わっていて本当にびっくりしたよ。
私は小林顕作チルドレンなので前作大好きなんですが、観劇に来るお客のマジョリティ層を考えれば、覇権ジャンルの作劇としてはどうしたってこっちが正解なんだと思う。*5

そういう意味では、総じてかなり見易くなったのではないでしょうか?
二段になっている八百屋舞台への最小限の映像投影と、紗幕を役者の「前に」出さない工夫、歌う場面を絞ったことなど、
考え抜いたアップデートを感じたので、前作が合わなかった人にも薦められる気がしてます。個人的にはだけど。

東堂ができる役者は小柳心くんしかいない!ってキャスト発表前からマジで勝手に思ってて現実になったのですが、葵ちゃん本当に素晴らしかったー!!!
笑いの要素を東堂にぎゅっと寄せてたのは原作のトーンからして納得感がある。
期待しかなかった「※存在しない記憶」が始まった瞬間、もうお腹抱えて笑いました。そこだけしっかり歌にすんの心憎い!あと実写の高田ちゃんちゃんと背が高くてすごい!
二幕の野球大会もわらいじんで駄目でした。というわけで、存分に顕作さんが暴れられる演目が来年観たいです!
話としてもシリアスになりすぎないタイミングで見やすいパートだと思うし、いやほんと、すごくよかったよぉ~!!?


このあとの年末は、

る・ひまわり「ミュージカ・る『ながされ・る君へ~足利尊氏太変記~』」

で年越しの予定です!
るひまに自分が呼び出される日が来るとは本当~~~に思わなかった。もう、めちゃくちゃに楽しみ。笑
うちわ作ってるだけで既に楽しくなっちゃって……これを機にまったく把握できていない南北朝時代に、少しでも詳しくなりたいなと思います!



今年もきっと何かを忘れています!
載せていないイベント系も含めて全部の現場を数えると、途中で適当カウントになったのでわかんないけど「90以上100未満」だと思う、多分*6!という感じで、結果去年とさほど変わらんかったな……。舞台だけだと30演目くらいで思ったより多くなかった。
自分にとっての当たり演目との出会いは圧倒的に上半期に集中してたかも?

来年どうするかはちょっと色々考えています。(考えてるだけでなにも変わらないという説もあるが)
2023年は個人的にはけっこう試練を感じたというか、興行主体の舞台界隈と客としての自分との間の信頼関係を問い直したくなったというか。。
コロナ禍が業界に与えたダメージが、思いっきり表に出てきた年だったように感じています。
それを実感した上で、自分はまだオタクを続けていくのかどうか?みたいな。難しいよねぇ。

諸手を挙げて舞台、大好き!と叫んでいられる自分がだいぶ薄まっていることにけっこうなショックを受けてもいるんだけど、それくらい個人的にダメージを受けた年だったんです。そのことの大半についてはどこにも何も書いていないわけですが。。
楽しいと感じられる瞬間を大切に、そのために自分が取るべき行動はなにか、というのを冷静に捉え直す必要性を感じています。バカでいるだけで幸せになれる時代は残念ながら終わったようだ(わたしの中での話)。
「書くこと」の難しさも同時に浮かんで来たりで*7、どうにも歯切れの悪い記事の閉じ方になってしまいましたが、私は楽しい観劇をまだまだ諦めたくないよ!
持続可能性をシビアに見つめながら、心躍らせることのできる時間を大切に、生きていきたいですね。

*1:「役者を観たい」気持ちだけが駆動力になって観に行くことになった刀ミュは、これが初めてだった

*2:3チーム制になっていた時点で私は今年の野球は見送りましたが。その後のあれこれは皆さんご存知のとおりであり、悲しくなったわけです

*3:このあたりで私は踊る三浦宏規がけっこう好きなのでは!?と自覚しだした。クラシカルなよりバレエに近い動きが好きみたい。道理でいまなわけだ。

*4:ドコモの電波死にすぎてて現地にいたのに投票参加出来なかったのには笑いましたが…電波なくて投票できない勢けっこういたよね!?w

*5:ただその分、今年はリピートしなくてよいか!って思ったので自分の好みの正直さに自分でも驚いた。

*6:後日ちゃんと数えたら2023年こそぴったり「100」だった。全く減ってない完全なる横ばいでした、解散!!!

*7:まじで「何も書かない」ようになってしまったなと思う。書いてないことがしぬほどあります。令和のアフターコロナオープンインターネット、本当に難しい!

チケットが値上がりしすぎてまじしんどいね!という話

シンプルにただそれだけっていう話なんですが、改めて「なんで???」って気持ちが募ったので書きます。

あのさ、本当に
舞台のチケット、値上がりしすぎじゃない???
今更というかもう自明のことにはなりまくっているわけですが、ちょっと昨今の値上がりに耐えられなくなってきて叫びたくなりました。
前々からチケット代の値上がりについては記事にしたいなとは思っていて、そのために過去の自分の半券をデータベース化してみようかな~なんて今年前半くらいから考えてはいたんですが……いかんせん面倒なので、とりあえず今日は客観的データの無いほぼ体感だけの話で失礼します。

元々高かったランクのチケットの値上がり

今年、様々な面で話題になった、ミュージカル「ムーラン・ルージュ!」。
発表されたチケット代には本当に界隈が激しくざわつきました。
はじめて見る、帝劇S席「17,500円」の文字には正直目ん玉が飛び出た。

平日:S席17,000円 A席14,500円 B席9,500円(税込)
土日祝・千穐楽:S席17,500円 A席15,000円 B席10,000円(税込)

お得に見られて嬉しいな~と思っていたA席までも、それまでのS席の値段を払わないと座れない場所に様変わり。
2階最後方のB席が土日になると1万円超え、というのはかなりな衝撃でした。


でも、MR!の場合は……幕が開いてみたらその値段の妥当性に納得せざるを得なかったんですよね。
これは夢か?と思うようなゴージャスにすぎる真っ赤な空間、帝劇がもはやムーラン・ルージュそのものに生まれ変わっていて、観るというより「体験する」という表現が相応しいと言いたくなる、そんな素晴らしい観劇が出来ました。
そりゃ海外からあのゾウさんや風車を持ってきて、キャスト全員個別にフィッティングした豪華な衣装を準備したらまぁ……仕方ないね!と思えて、気持ちよくお金が払えました。*1


しかし!話はそれでは終わりませんでした。
その後に発表された帝劇新作演目、S席が軒並みほぼMR!価格に生まれ変わってしまってるんですね。。
以下はこの秋の新作、ミュージカル・ピカレスク『LUPIN ~カリオストロ伯爵夫人の秘密~』のお値段。

平日:S席16,000円 A席10,000円 B席5,000円(税込)
土日祝・千穐楽:S席17,000円 A席11,000円 B席6,000円(税込)

ここに再び、界隈は大きくざわつきましたよね。。
MR!とは異なり、A席B席が以前の価格帯からほぼ上がっていないのでそこは大きな違いではあるわけなんですけど、いやそれにしても、どうしたS席よ!?という気持ち。
これはなかなか気楽に観に行こうと思える値段とは……やっぱり言えないよねぇ!?
帝劇のS席がここまで遠い存在になるとは思っていなかったので、地味にけっこうなショックを受けています。
今後、観に行くならAかBでいいや、にしかなれなさそうで。。


問題点としては、帝劇に関して言えばS席も範囲が広すぎるんですよね。
前方の端は見切れが生じることが多く、後方列は比較的見やすいけれども距離があることは否めず、S席の中でP~R列あたりを引いた時のがっかり感は正直かなりあります(そしてそういう列って往々にしてキャストのファンクラブ先行で回ってきたりしがち……という体感)。
S席の中でももうちょっとメリハリをつけた価格設定って出来ないもんなのかな!?とはずーーーっと思ってます。X(旧Twitterって注釈入れるの面倒だな)でもその意見をよく見かけますよね。
これほんと、なんとかならないのかな。。各ファンクラブやプレイガイドに席を配分する手間がものすごく上がる、とかそういう事情がありそうなことはなんとなく察するんですが。

来年上演予定のジョジョも同じ価格帯なのですが、興味を持ってくれている「普段舞台を観ない原作ファンの人」に、S席の値段を勧められなくて……A席かB席がいいと思うよ!と正直に言ってしまった。。
新しいファン層を獲得したい狙いもあっての新作だろうに、舞台オタクがビビっているこのお値段、普段舞台に縁のない人にはどう感じられてしまうんだろう?とかなり心配になります。

2.5次元及び周辺舞台の値上がり

こっちはこっちで、もっと値上がり事情がエグいかもしれない。
昨今、2.5及び周辺のいわゆる若手俳優が出る舞台に関して、チケット代が「1万円を切る」演目をほぼ、見かけなくなりました。。
例えば、以前は8,800円で観られていたミュージカル『刀剣乱舞』は、今や本公演が11,500円で、ライブ形式の大型公演に関しては12,000円を超える価格帯になってしまっています。

納得のいかない点のひとつは、箱とチケット代が釣り合っていない演目が散見されること。
「いやいや、この箱で1万取るん!?」みたいなケースがちょっとあまりにも多すぎる。
演劇を観るという観点からすると、機能として明らかに足りていなかったりする「これって劇場って呼べる?」みたいな箱であっても、更にその中でほぼ見切れてません?みたいな席であっても、一律12,000円取りまーす!みたいな券売がめちゃくちゃに多いですよね。
せめて劇場を正面から名乗れるところでやってくれよ、それならまだわかるよ……という気持ちになるんですけど。。
シアターミクサやステラボールに1万円超えのチケット代を払うの、本当に納得がいった試しがない。

あとは需給バランスの崩れ方も気になる。
先に挙げたような帝劇演目やいわゆるグランドミュージカルに比べて、2.5周辺の演目は観客の主たる層が圧倒的に若いです。
わたしよりもひとまわり以上も若い女の子たちが沢山いる界隈、どう考えてもそのメインターゲット層の収入に対して釣り合っているとは思えない価格設定になってきているのが、以前からものすごく気がかりです。。
今はまだ良いかもしれないけど、界隈としての持続可能性がものすごく怪しいというか……一過性の焼畑農業みたいなことを繰り返してどんどん先細りになってしまわないか?とガチで心配になります。
コロナ禍で観劇から離れた層は完全には戻っていないと聞きますし、自分がオタクをやっている実感ともそれは一致していて、その結果「上演しても極端に客席が埋まらない演目」が以前より増えているようにも思います。
需要と供給のバランスにしても健全さは欠いているというか……本当にどこに向かってしまうんだろう?と思う瞬間が増えている。

一体どうしてそんなに値上がってしまったのか

これ、背景もよくわからないよね、というのが正直なところではないでしょうか。いやほんと、なんでなん???
物価高が話題になるより一足もふた足も早く、舞台チケットは値上がっていた印象があります。
コロナ禍による大き過ぎるダメージがあったことは理解できるのですが、その後に遅れて世間一般の物価高の波が押し寄せたのもあり、値上げに関しては有耶無耶に納得させられている(※したとはいっていない)みたいな体感があります。
最初はコロナのせいで値上がりしてたんだな……と思ってはいたけど、一席空けの状況はとうの昔に終わっているし、
「なんでかよくわからないけど、チケットは当たり前に高い」という事実……まじでよくわからんなぁと思っています。なんでなんだ。業界に詳しい人がどこかで誰か、納得のいく説明をしてはくれんか。。


私が舞台を観始めたのは2013年で10年前なんですけれど、その時のチケット代ってだいたい6,000円~8,000円台に収まるものが多くて、帝劇S席も12,000円とかだったんです。1万円超えると高級な演目だな!って感じだった。
(本当はここにちゃんとデータを出したいです。。あるんだけどさ)

いわゆる「多ステ」を同じ回数でした場合を、当時と今とのチケット代で比較してみます。
7,800円/枚の同じ舞台を8回観る場合と、11,000円/枚の舞台を8回観る場合。(8回も観るなっていうのは、まぁそれはそうなんだけど一旦置いといてもらって)
前者は62,400円。後者は88,000円で、実に25,600円も差が生じます。
かつての7,800円のチケットなら3枚分の差。
つまり単純に「同じ金額を出しても、以前より明確に少ない回数しか観られない」という、非常に満足感の得られにくい状態になってしまってるんですよね。。
手数料の類も以前よりどんどん上がっているし、実質的なコストの差は上記より更に開いていると思います。


その結果、何が起きるかというと「本当に観たい演目以外は見送る」「本当はもう1回観たいけど我慢する」という状況がめちゃくちゃたくさん生まれています……。

これは舞台オタクと会話すると全員が100%言うことなんですけど、前みたいに気軽にあれもこれも観られない。本当は観たかったな、と感じる演目がどんどん増えていってしまう。
私はどちらかというと本心では「なるべくいろんな演目を観たい」派なんですが、同時にバカの多ステ民でもあるため、いよいよその両立が難しくなってきていますし、多ステをある程度諦めないといけない局面に来ているなぁと感じてます(これは正直オタクとしての死活問題でもある)。
今年の前半はフットワーク軽めにいろんな演目を観に行ってたけど、その結果「いや、これ絶対ムリじゃね?」という結論に達してしまった。。
どれも観てよかったと思う演目ばかりなのですが……来年同じ行動を取れるかというと絶対にNOな雰囲気があって本当につらい。
なんでだよ~と嘆いたところでチケットの値段が下がるわけじゃないので意味も特にないんですけど、ちょっと本当にしんどいな!?って思ったので体感を叫びたくなりました。。

じゃあせめて、できる努力をしてはくれないものだろうか?

物価高や人手不足に伴う値上がりがあるとしたら、それはもうしょうがないのも理解するんです。
でもじゃあせめて!もうちょっとお客側のことを考える要素、増やしてくれても良くない?と思います。
具体的には、チケットの価格を座席からの見え方に見合った設定にするとか。
高い席には高いなりの見え方、安い席にはそれなりの見え方、
それくらいの努力は……本当に今後業界には考えていってほしいなぁと思います。
有料最速先行でものすごい後ろの席を回してくる(最終的にそれより前の席が売れ残っていたりする)みたいなのもやめてほしいし、
ちゃんと劇場としての機能が担保された箱でだけ上演をしてほしいです。
私はまだ該当したことがないけど、「見えない」で有名になってしまった某・本来劇場ではない箱でかかりつづける人気演目があるとか、正直おかしいよなと思いますもん。
この間Twitterで類似の話が回ってきたけど、舞台って演目を「観に行く」ことが目的で、こちらはそれに対する対価としてチケット代を払っているはずなのに、
それが全うされない状況が当たり前とみなされているのって冷静に考えるとやっぱりものすごく変だと思うもの。。


私はコロナ禍真っ只中のときも舞台を観ることを絶対に諦めたくないなという気持ちをしつこく灯し続けてたんですが、
今年に入ってから、そうやって抱いていた思いを向こう側から棄却されるような、言ってしまえば大きく裏切られるような出来事が続いたりもしていて、ちょっと色々と厳しいなと感じます。。
いち企業が興行主になるのではない製作委員会方式の場合はどうしたって演目ごとに解散していくし、興行を打った瞬間がなんとなかなればそれでよく、”その先”につながるかどうか・未来がどうなっていくかは正直二の次だったりするのかなぁと感じるところがあって、
このあたりの健全化って一体どこを頼ったらいいんでしょうね。
やっぱりネルケか?ネルケプランニングなのか!?そこんとこどうですかネルケさん……。


私は本当に観劇が大好きで、そこは一生変わらないだろうなと感じるので、舞台を観なくなる日は多分絶対に来ないんですけど、
だからこそ舞台を取り巻く色々は、健やかであってほしいなぁと願っています。
未来が潰えたりしてほしくはないので、どこか当たり前に観客側に不健全な形で負担を強いたりする状況は、多少なりとも変わっていってくれたらなーと感じるのでした。
チケットの値上がりは本当にオタクとしての死活問題なわけですが、なんとか楽しく生き延びていきたいものですね。。値上がりつらいね!!!同好の士のみんな、がんばろうね~~~。。。

*1:ただMR!に関しては、私がたまたまS席の中でも運良く相当いい位置で見れたというのもある。S席前方サイドの見切れはしんどかったと聞きますので……

自分と宝塚歌劇の適度な距離感について考えていた

そう、ずっと考えていたのです。
考えていたら、そうこうする間に、
花組トップコンビの退団が、発表になりました。

……アアーーーーーー!!!!!!

宝塚をきっかけにブログを読んでくださる方は大変お久しぶりです。そうでない方は、今さぞ戸惑われていることでしょう……。

花組トップスター柚香光さんが好きな気持ちにまつわるよしなしごとを、本当に久しぶりにこのブログに書きます。
なんでそんな久しぶりになったのか、みたいな、この1年あまりの本当に個人的な逡巡をまとめているだけなので、うーん、、たぶんそんなに読まなくてもいいやつです。笑
私がながいこと宝塚に関して無音になっていた背景が気になる方は、そのまま以下をどうぞ。




私と宝塚

私が宝塚歌劇と出会ったのはコロナ禍1年目、2020年の10月です。
東京宝塚劇場で「はいからさんが通る」を初めて観劇しました。
宝塚花組公演「はいからさんが通る」を見た@東京宝塚劇場 - こたえなんていらないさ

敗因は「少尉がかっこよすぎたこと」です。それに尽きる。
当たり前のように、私はすごい勢いでれいちゃん(当時は柚香さん呼び)に転げ落ちたのですが、あまりに衝撃がすごすぎて、当時こんな記事を書いていました。
anagmaram.hatenablog.com

そこから月日は流れ……というわけなのですが、
この1年くらいは、実は自分にとっての宝塚歌劇に対する適切な距離感を探っているような、そんな期間でした。
ちょっと長いですが、先に貼った記事からの引用です。
2020年当時の私は、宝塚を「大海原」にたとえていました。

気づけばわたしは、見知らぬ景色を前に、ひとり呆然と佇んでいました。 目の前に広がっているのは、美しく光をたたえる真っ青な海。 ざぶんと波が打ち寄せる波打ち際で、とりあえず途方に暮れていると、 通りすがりの人が「ここから先どう過ごすかは、あなた次第ですよ、好きになさい」と優しく微笑み、そっと立ち去っていきました。 さて、どう過ごしましょうか。 海を眺めるだけで満足ならば、砂浜にパラソルを立ててデッキチェアに寝そべっていてもよい。 はるか沖の波頭のちらちらした輝きにぼんやりと見惚れていてもよいし、気が向いたらちょっと靴を脱いで、浅瀬でパシャパシャ水の感触を楽しんでもよい。 もうちょっと欲が出たら、浮き輪を取り出して沖に浮かんでみてもよいし、決意ができたらいきなりモーターボートを持ち出して水面をかっ飛ばしてもよい。 今のわたしは「この大海原で、どういうふうに遊んでもらっても構いませんよ」と、鷹揚に手招きをされている気持ちなんです。

「宝塚」という沼、もとい大海原を前にしたオタクの逡巡~検索の禁じられた世界で~ - こたえなんていらないさ

結論から言うと、21年~22年の私は
「いつの間にかすごく積極的にボートに乗って果敢に海に漕ぎ出していく結果になってたけど、ちょっと途中で思い直して波打ち際に戻ってきた」みたいな感じだったんですよね。
どういうこっちゃ。笑

「掛け持ち」から見える世界

私はいわゆる掛け持ちの激しめなオタクです。舞台を中心に同心円状に広がる世界に、どこまでもご機嫌に出かけて行ってしまう。
世間で言われる「ジャンル」の垣根が少なくとも私の中にはまじで存在しないので、本当に「舞台であればなんでも観る」オタクとして完成されつつあります。
それと同時に、生身の人を応援するのがどうしても好きな性質もあるため、心を込めて応援したい対象が常時複数名いる、気の多い(くせに、愛が重めの厄介な)人間でもあります。
更に、いわゆる推しの出演作に関しては、度を越した多ステをしてしまうタイプです。

そんな人に新たに宝塚なんて放り込んだら……「大変そうだなオイ」って思いません?
ええ、とっても大変でした。

私が宝塚に近づいてみてしばらくしてから思ったのは、「……これ、掛け持ちするもんじゃねぇな?」というシンプルすぎる真実。
少なくともトップスターを明確に贔屓と思い定めて行動するのは、掛け持ちだとあらゆるリソースのやりくりがめっちゃ大変です。それはどう考えても、当たり前にそう(時間的にも資金的にも!)。

私の場合は組み合わせ?取り合わせ?も難しかったのかもしれない!
観に行きたい対象がどちらも舞台主軸であるゆえに、どっちの公演スケジュールが先に決まるのかとか、そういうところが難しすぎました。
例えば年1でツアーの時期が固定で決まっているタイプの推しとかだとまだ予測はある程度できそうですが、
舞台を主戦場とする俳優が対象の場合、スケジュールなんてまじでわからんのよ。まじでなんも見えんのよ。笑

ガチの掛け持ちをやっていた期間(主に21年~22年夏までの1年半)は、どうしようもないダブルブッキングはなぜか奇跡的に起こさずに掻い潜って切り抜けたんですが、
謎の野生の勘が働いていたとしか思えない。
どうしてアウグストゥス/クルビとロミジュリ2021を並走できたんだろう?自分でもさっぱりわからん。
なんでなんとかなったのか全然わからないけど、でもなんか、なんとかなったんだよな…。得難い経験だった気がします。笑


ただ、掛け持ちが大変なだけだったらまだ違ったのかもしれないけど、
運命みたいなものに抗えずに負けてしまった部分があります。

わたしが乗り越えられなかったこと

それは、公演の中止です。

1年前の、「巡礼の年 / Fashionable Empire」東京公演の中止が、どうしても乗り越えられませんでした。

公演アーカイブに「※7月30日~8月14日11時開演、8月20日~9月3日の公演は中止となりました。」の文字があるけど、まともに上演できた期間がここまで短いことはあるんだろうか。やっぱり、他にないですよね……。


遅れに遅れた東京初日は、8月14日にやっと開いて。
私は本当にたまたま、まじで偶然でしかないのですが、その日のソワレのチケットを持っていました。
焦がれ続けた作品世界との再会。ようやく開いた幕をフォロワーさんと喜び合って、あの素晴らしすぎる物語の世界に、心ゆくまで涙を流した。


だけど、1週間も経たずに公演は再び中止となり、その後千穐楽の1公演のみの上演しか、叶いませんでした。
私は大劇場に2回遠征していて、観劇回数としてはムラで3回確保済みだったのですが、結局その後東京公演を現地で観ることはできませんでした。8月14日が、東京での最初で最後の観劇になりました。


もう大丈夫だと胸を撫で下ろしたところに、正面から冷水をぶっかけられた感覚。
1週間、また1週間と延びていく中止期間。もはや千穐楽が上演できるのかも定かなものではなかった。

その期間をすごすことがあまりにもしんどく、その当時の私は、いったんこの作品から、花組から自分の意識を離すことを選びました。心を守りたかった。
だって、めちゃくちゃ好きだったんです。巡礼の年。あんなに素晴らしい作品があるなんてと今でも思う。


そしてやってきた東京公演の千穐楽
自宅で配信を鑑賞していたんですが、やっぱりつらくて、正直あまり記憶がありません。ものすごく泣いたことしか思い出せない。

最後のご挨拶で、れいちゃんはとても険しいと言いたくなるような表情をしていました。
そしてその中で「こうして、皆様がお心を寄せて、手を離さないでいてくださるから」といった表現の言葉をおっしゃいました。

それを聞いたときに、私は「あ、ダメだ」と思ったんです。
なぜならその時の私は、明確に心を寄せてはいなかったから。手を離し切っていたから。


一緒に苦しむことができなかった。自分がつらいのが嫌だったから、そうすることから全力で逃げた。その自覚があったので、どうしたらいいかわからなくなってしまった。
別に誰に何を言われたわけでもないんだけど、その瞬間に私は、どうしても自分を許すことが出来なくなりました。
もともと掛け持ちの物理的な大変さに疲弊していたこともあり、あぁ、私には応援しているなどという資格はないんだなって、バカ真面目なので本気で思い詰めてしまったんですよね。
同時に「何いってんだこいつ」と、心底くだらない気持ちで自分を冷静に見つめるもう一人の自分もいたんですが、
も~いいや、今の私にはどうにもできん……と、フェードアウトする方向に舵を切りました。

もう、ヘトヘトだったんです。
どれだけ必死で公演の無事を祈っても無駄なことに、疲れ果ててしまった。


その後、それはそれで向き合うと大変すぎるリベンジの東宝エリザベートもあり、本格的にメンタル面のリソースが枯渇していたというのもあります。(※こっちはこっちで帝劇が中止になり、2022年は本当に精神が死にました。
契約していたスカステも解約して、定期購読していた二誌も解約し、友の会のカードだけほそぼそと残す形にひっそりとチェンジしました。
更に去年はおたく本職の(?)舞台俳優の方に、勢い目覚ましい新たな若手の推しが増えたこともあって、もうい~やそっちに全振りしようっと!の生活を選択し、今に至る、という感じです。

最後にれいちゃんの舞台姿を観たのは全ツ「フィレンツェに燃える」だったんですけど、ちょっとあれは正直……作品と自分の好みが明確に合わなかったんだなぁと思います。1975年ぶりの再演は……受け取りが難しかったな!?
そしておしゃ帝については……これも控えますが、本当~~~~~に思うところがありすぎるのもあって(書かないけど太字にせずにはいられないくらいのなにかではある)、
う~ん、なんかこう、いろいろタイミングというか運?が合わなかったのもあるかもしれないですね。今振り返ると。

切っても切り離せない文化とシステムと

乗り越えられなかったこととしては、実はもう1点あります。
ネットに書いたら怒られることは一切ここには書かないので安心してほしいんですけど笑、
知っている人にとっては周知の事実として、宝塚歌劇を取り巻くシステムは、本当にものすごく独特です。
もはやそれは連綿とつづくひとつの文化であり、外から見たときの常識がどうとかそういう世界ではないところまで達していたりもする。

私はいわゆる宝塚から見たときの「外部」と称される舞台に長年親しみがあるゆえに、
その文化的な側面に染まり切ることも、どうしてもできませんでした。ここには明確な挫折があったとも言える。

これはね、もう向き不向きだったり自分のポリシーだったり、そういう部分なので本当に仕方ないです。
合わないなら自分で離れるしかないたぐいのもの。
私が一番叶えたいのは「劇場現地で舞台を鑑賞する」こと、シンプルにただそれなんだけど、
文化的な側面にコミットしない限り、それこそが一番難しくなってしまう……というのが。。
本当に独特だなぁと思うんだけど、もはやそれこそが宝塚らしさと言えそうな気もするし、こればっかりはどうしようもないです!
それを理解した上で、自分がどうしたいかを選んだのは私なので、後悔とか文句とかも特になくて。チケットもないけどしょうがないよ、うん。笑


そういった背景があるために、れいちゃんの退団が発表になった今現在、わたしが有している宝塚のチケット確保の手段は、潔いまでに「ほぼ・無」となっています。
一瞬シルバーになったけど来年はレギュラーステイタスに落ちているはずの宝塚友の会一本と、あとは各種貸切で、なんとかするしかない!なんたる心もとなさか!笑
東京はほぼ無理だろうと思うので、平日でいいから大劇場で最後1回、生で観られたらいいなと思っているので、そのために頑張ります。母も連れていきたい。。

好きな感情を規定する必要はない

そんなこんなで、なんか不要にマイナスだったりネガティブだったりするものがにじみ出るのも嫌だったので、
ここ半年以上、宝塚についてはほぼ話題にのぼらせることがない状態が続いていました。
Twitterに関しては宝塚をきっかけにフォローしてくれている方も相当数いるのも知ってます。こいつ全然話さなくなったなって思ってたと思います。申し訳ない。
余計なことを言って、他のかたの「好き」の邪魔をしたくありませんでした。

自分でも「まじで話題に出さんやん」って思ってはいたんだけど、
ただ、言葉にしないからどうとも思ってないわけじゃなくて。


一回好きになったものって、やっぱり絶対に消えないし、無くならないんですよね。


はいからさんで本当に心が信じられないほどキラキラしてコロナ初年度でひしゃげた精神が生き返ったこと、
華ちゃんさんと愚直に真摯に紡ぎ上げた絆とあふれる愛、
まどかちゃんとタッグを組んで築いてきたきらめくほどの充実の時間、
れいちゃんが踊る姿を観ているときだけに流れる涙。

私が自分の心で受け取って刻み込んできたものは、何も変わっていないし消えていません。
いちど蓋を開けたら、一気に溢れてきてどうしようもない。今なにがしかの踊ってるれいちゃんの映像観たら泣いちゃうから、みたいけどみられない。


来月、東京宝塚劇場でれいちゃんと花組のみんなを観ます。去年の10月に全国ツアーを観に行ってから、気づけば約1年ぶりになりました。
ずっと心を砕いて見つめ続けてきた皆さんと、私のこの半端なスタンスから見えるものは絶対にもう当たり前に違っているはずなので、
そのことが誰かを不快な気持ちにさせないことを願うばかりですが、
とりあえず私は自分が感じること、好きな気持ちだけに向き合って、自分なりに静かに大切にできたらなぁと思っています。


れいちゃんの舞台姿が大好きだ。まどかちゃんとの奇跡みたいなコンビが大好きだ。


れいちゃんとまどかちゃんのお二人が、最後まで納得のいく、楽しくて充実した時間を過ごせませすように!
そしてこれから贔屓の退団に向けての時間を過ごすことになる皆さんの心が、どうか少しでも明るく穏やかなものになりますように。

マシュステのランス・クラウンくん(キャスト:石川凌雅くん)が徹頭徹尾優勝していた話

前回の記事を読んだマシュステ友達から「ランスくん要素が少ない!?」ってびっくりされたんですけど、安心してください。
1記事まるまるランスくんにあてないと字数が大変なことになるからね!わけといたよ!

マシュステのランスくんが好きすぎる。

という話を今からだいたい6000字くらいかけてします。
以下、演じている役者さんにフォーカスしたお話が大半です!念のため。

★ビジュアルが優勝

そもそものビジュアル解禁時点で大優勝していましたね。もうこの件については説明終わりで良い気がしているよ。だってかっこいいもん。
いやかっこよすぎん!?かっこいいですね!!!かっこよかったです!!!(完)
mashle-stage.com
なにがすごいて本当にこのまんまで板の上にいらっしゃいましたからね。糸川さんのチームが作るウィッグはやっぱり完成度がダンチ!


今回の役どころ、肥前くんに続いての「クール系・笑わないキャラクター」でした!
中の人的には表情のベースが笑顔なんじゃないかな?と思うくらい常日頃ニッコニコしてらっしゃるタイプ。つまるところ、あきらかな陽キャのかた。*1
それなのに、本編では本当に徹底して「スン」を貫けているのがまじですごい。。どういうこと?って未だに新鮮にびっくりする。俳優さんってすごいなぁ~になる(シンプルすぎる感想はやめな)。
たまに事故りかけて必死で笑いを堪える瞬間などもあり、それはそれで(本人的にはアクシデントなので不本意だと思うんだけども)大変に可愛かったです。


最大の事故はやっぱり東京千穐楽、魔法薬学のマンドラゴラのシーンでフライパンにおたまを盛大にぶち当ててしまったところ。
もともとあのシーンは校長+レアン寮の歌がメインであり、アドラ寮がエプロン姿で実習をしている様子はあくまでも”背景”のはずなんですけど、
そこで盛大に「カーーン!!!!!!」とコントみたいに美しいタイミングでフライパンVSおたま音が響き渡ってしまい、
それをまた間髪入れずにドットくん(山田ジェームス武くん)が\スパン/とはたいたツッコミを入れたもんだからまぁ大変。
ランスくん、目をぎゅーーっとつむる勢いでプルプル小刻みに震えながら吹き出すのをこらえて顔面を守りきり、なんとか最終的にいつものドヤな感じで薬を完成させてました。すまん、客席で死ぬほど笑った。笑

みさっちゃん(レモンちゃん)となみおさん(ラブちゃん)のインライで後日聞いたところによると、
実は公演途中から「フライパンとおたまをぶつけても音がならないように加工が追加されていた」らしいです。
「最初は音を立てないように細心の注意を払いながらやってて、でも一回すっごい音させちゃったことがあって…笑いが起きて大変だった」とのお話で、…あの回かぁ!笑 てなってました。


ビジュアルからアクシデントが可愛い話にそれてしまったけど笑、今回、本当に最高ビジュすぎました。。
いやだってかっこよくない???結論出てるからここからそんなに広がることがないのですけど……(そうですか)
あとイーストン魔法学校の制服、ほんっとに似合いすぎてた~!憧れの魔法使い~*2!!!
シャツ+細身のパンツ+ネクタイにローブ!フルセットを着こなしているその全身のバランスが美しい!スタイルの良さ、優勝!!!
走ったり踊ったりするとローブがふわっと広がってスレンダーな全身のラインが見えたり見えなかったりするのがまた、よかった~。
ちなみにローブ、おそらくゴムバンドで背負うような構造になってたみたいですね(両腕を通す輪っか状のバンド+背中を横に走るバンドの3点で支えている構造だと思う)。
めちゃくちゃ激しく動いてもまず脱げることはない機構で、すごく工夫がされているんだろうなぁと見てて思いました。

★歌が優勝

今回、歌唱力の伸びにめちゃくちゃびっくりしましたー!「こんなふうにも歌えたんだー!?」ってなった。
いやもともとうまいほうだなと思っているしそもそも歌声大好きなんだけど、なんかちょっとこれまでとは違う段階にあるような歌唱に聞こえました*3
とにかく驚くほどに、声量がしっかりとある。ユニゾンの中でもはっきり聞こえるし、ソロパートになった瞬間、本当にすこん!と抜ける感じで歌声が勢いよく耳に届くので、聞いていてとても気持ちよかったです。


劇中で担当しているソロはいずれもロック調だったんですが、それがまたランスくんのキャラにもりょうがくんの声質にもものすごくぴったりだと思いました!
なんというかすごく、おりゃー!!!という気合が必要な場面というか、俺には貫きたい信念がある!っていうのを高らかに宣言するようなシチュエーションでのソロなので、
堂々とぶち抜いていく歌唱が必要になると思うんですけどそれが完璧だった。場面にしっかりと合っている歌唱。
後日いまじんさんにも「凌雅、気合の入るときの歌、良いんだよね~!」って褒められていたの、わかる&嬉しい~!!!ってなりました。
ソロのときは盛り上がりのタイミングで全開になる照明もものすごくかっこよかったので、いつも頃合いを見計らってオペラ外して、肉眼でその全景を楽しんでました。

今回はとにかく「お腹から声が出ていること」がとてもよくわかったので、そっかつまり、これは歌がまだまだ伸びるということだ……!となり、ポテンシャルにすごくニヤニヤしています。将来有望すぎる。楽しみだー!!!
「立ち止まるわけにはいかない!」の吠えるようなビブラート、めっちゃ好きだった……あとワース戦の「人間の価値とは関係ない!」のロングトーン
めっちゃアクションしながらの歌で激しく動いているのに、声量が途切れないしそもそも声がブレないことにもすごくびっくりしたんですよね。
絶対になにか新しい扉開いたんだろうなって観ていて思いました。


あと、これはすごく個人的に感じたことなので話半分に聞いておいてほしいんですが、
ソロの歌いだし「アンナ 俺の妹」のメロディラインがやや鬼門寄りというか、本人にとって声のコントロールが一番難しい音域なんじゃないかなってちょっと思ったんですよね。
地声と裏声の切り替えなのか、どの出し方が一番安定するのかが絶妙に難しい音域なのではないか?という印象。(ちょうど喉が閉まりやすい高さなのか?とか色々考えたんですが、声楽は専門じゃないのでもちろん全然わからない)
それまでの全員歌唱の楽曲ではめちゃ調子良く歌えていただけに、歌唱としてのレベルがそこだけ急に低くなってしまう惜しさが初日段階にはあったんですけど、
ここのパートの歌い方も、東京折り返すあたりですでに明らかに上達していました。掌握した感じがあった。
妹を想う感情を込めないといけない部分でもあり、色々考慮する要素も多かったと思うんですけど、明らかに「もっと良くする!」っていう意識で臨んでいたのが伝わるような気がして胸熱でした。
いやーーほんとにランスくんの歌、よかった。これからもっといろんな歌を聞いていきたいな~って思った!相変わらず期待しかない!!!

★ダンスが優勝

ダンス!!!ダンスですよ!!!ダンスが!!!!!!
これが見たかったオブザイヤー!!!と叫びたくなる最高のやつでした。本当にありがとうございました。
良すぎたあまり、振り返ったときの満足度がすごくて……「あれ、2023年下半期、もう余生でいいのでは?」って一瞬本気で思ったくらい(流石にそれは嘘)。


歌って踊るりょうがくんの撮れ高(?)としてはたぶん過去一!間違いなくナンバーワン演目だったと思うんですけど、
梅棒のあの!情報量の多い振り付けを踊るりょうがくん、ただただ最高でしかなかった。。!!!
とにかく振り付けの方向性と御本人の素質、両者の相性が抜群に良かったと感じています。

彼のダンスはとにかく音・メロディを可視化する力がものすごく強いなと常々思っており。
音と一体となる力がすごく強いというか、その場に流れる音楽を本当に全身を使って余すところなく表現できてしまうんですよね。
さらに音ハメの精度が常にエグくて、リズム感も抜群……といった特徴が、とてつもなく生きる振り付けでした今回。ヒィ。もうほんと、好きすぎてつらい。
もう見れないことがつらい!!!!!!ってなってくる、ウワーーー!!!!!


好きなところいっぱいあるんですけどね!もう言いたいやつ全部書いとくわね!!!(※以降、読む人の大半を置き去りにするコーナーです)

  • M1の「パワーオブマジック」のサビ2回目、センター下手寄りで「パワーオブマジック 魔法の力は絶対 パワーオブマジック 魔法の力は最高」を踊ってるときの全身表現。
    • 公演期間、耐えられずに「もうその形が好き!」って言ってた。全身でダイナミックに動く!止まる!その形がSUKI!!!!!!!
    • ……形とは???ってなると思うんですけど、踊るその全身が「パワーオブマジック」の形に見えて。。見えるんだよ!!!もう!全身が、その歌詞+メロディの形になってるの!!!アー!!!
  • M4の「魔法よりも優れたものこの世にはない そんなものがあったなら見せてほしいね 魔法の力が頂点 世界一の魔法使いは誰だ パワーオブマジック その上にあるのは真っ青な空だけ」。
    • フレーズの抜き出し、長いて。笑
    • もうね、劇中でここが一番好きです。散々検討したけどNo.1は間違いなくキミだったよ。本当にここ好きすぎて泣けます。しんどい。
    • 一連の振り付けの中で、柔らかく宙にたゆたうような動きと、俊敏に空間を切り裂くような動きが交互にやってくるので、本当にメリハリがすごい。
    • いつだってりょうがくんのダンスは視線の使い方までが”ダンス”なのだ。踊りながら視線を指先に向けて大きく動かしている、その様子でももう「アーーーー」ってなる……のべた自分の指先がたどる世界を見つめているんだね……世界観!いや世界観の表現!その一瞬で!?ってなる。泣いちゃう。感受性が豊かすぎるよりょうがくん。
    • とにかくここも音ハメがえぐい。「まーほーうーのー!」の動きが全力全身であんなに大ぶりなのに、絶ッッッ対に拍に遅れない。
    • 最後の「パワーオブマジック」の”マジック”で振りに合わせて指した杖の先をギュン!って音がしそうな強い視線で射抜いていたのも忘れられない。その一瞬に意志をもって刻み込む、眼差しの強さ。
  • M4ラストの「行くぞ行くぞ前進!準備はOK!」から一番最後までの流れ。
    • あの、ジャンプ高すぎませんか!?だった。高くね!!?
    • 「感じてほしいこのパワー!」、ここは音ハメがもはや異常値だった。ジャンプ込みでそんなに大きく動いてるのに、ねぇなんでピタッと止まれるの!?合わせられるの!?
    • 「かん/じて/ほしい/この/パワー」でアウフタクトふくめて5拍なんですけど、その5拍が全部くっきり輪郭を伴って目に見えてました。
  • 一幕ラストの「信じられるのは己の力のみ」で、舞台後方から上手前方に進んでくるところ。
    • 脚をすべらすようにしてリズムを取る→がくっと体重落とした後にすっと滑らかに体重移動している、その一連を中心で支えている体幹の強さ!?になる。体の使い方が美しすぎる。
    • あとここは表情!表情が!やってやるぞな感じが!!!歌詞通り、己の目的のために孤独な戦いを積み重ねるつもりでいたランスくんが、”仲間を得た”あとのお顔をなさっているなぁと思いました。涙
  • 二幕ラスト、マッシュが「魔法界で輝く人間の肉体~♪」の劇中唯一のソロを歌っている後ろでアドラ寮1年が踊っている場面。
    • ……ここさ~~~!??歌詞でいうと”輝く”のあたりかな、額に手の甲を当ててちょっと上を見やる瞬間があるんですけど、そこでうっすら入れるウェーブが本ッ当に美しく、またその時に浮かべているやや微笑にも近い不敵な表情がたまらなく。。りょうがくんがするあのどこか眩しそうな表情いつみても本当にやられる。好きすぎてしんどい。
    • 東京も神戸も、楽近辺の公演はここのランスくん踊りながらうっすら口パクで歌ってたと思います……。アアー。。。
  • カーテンコール、一番ラストに再びの「行くぞ行くぞ前進!準備はOK!」するところ
    • 弾むように踊りながら、隣のマッシュに行くぜ!来いよ!って感じの煽る動きをしているんですがここの二人のやり取りが本当に好きでしたーーー!!!!いい顔してるーーー!!!


そう、肥前くんに完敗した私の弱点は、言うまでもなくダンスなのである。
表現手法がなんであれ全部好きなんだけど、それでもやっぱり踊っている姿が一番刺さるというか、抗えずに好きなのかな~と感じます。
踊ってるランスくんにまた会いたいよ~~!!!絶対続編やってくれぇぇぇ!!!

★お芝居が優勝

15公演という短い公演期間でしたが、その中でも目に見えて、それはもうぐんぐんと音を立てるようにお芝居が深まっており、相変わらず頼もしいな~!?って思いました。

ランスくんって自分からグイグイ周りに関わっていくタイプではないし、初登場のときは主人公に対する敵みたいな状態だし、
自己開示をものすごくするかというと全くそういうわけでもない……という、どちらかというと「受け」のお芝居が主軸になるキャラクターだなと思います。
自分から仕掛けられないぶん、セリフがない場面をどう埋めるかとか、どう周囲に働きかけるか、みたいな難しさもあるように感じるのですが*4
そのあたりは本当に自然に「役としてそこに在る」ことが当たり前にできつつ、
まとっている空気がだんだんと変わっていったというか……

うまく言語化しきれないのですが、アドラ寮のみんなと仲間になるbefore/afterでまとうものが、公演後半になるとよりはっきり変わったように感じました。
公演後半のランスくんは、”一人なんだけど一人じゃない”というか、
あくまで前提としては自律心のある独立独歩の存在なのだけど、
その上で新しく「仲間」と認めたメンバーとどう一緒にいるか……という接続性がより明確に見えるような気がしました。(つたわるのだろうか、この説明で。。)


そうして関係性ができたあとのランスくん、マッシュを中心としたアドラ寮の同級生たちに対してどこか世話焼き係みたくなっているところもあって。
自らの優秀さ・魔力の強さを自覚しているランスくんだからこそ、ほっとけないというか無意識に引っ張っていってあげている感じが滲んでいて、いじらしくて優しい。
その中でツッコミを担当している課外授業の場面「違うそれじゃないコインのことだ!」「直に入れるな不衛生だ!」のパートは、
つっこむ相手であるマッシュもどんどん自由になっていってたし、その場に生まれる呼吸でお互いにやり取りをしているのがわかって、板の上での充実感が伝わってきてました。


神戸の大千穐楽でのマッシュとのバトルは、ロケットを引きちぎって持っていくマッシュの動きでまさかのロケットが壊れてしまうという大きめのアクシデントがありましたが、
それを受けての二人の会話がものすごく自然だったことに感動してました。
役としてそれまで生きてきた積み重ねがあるからこそ、ごく当たり前に口から出てきた言葉、という感じでアドリブの応酬からきちんと話が進んで行ってた。
アクシデントの回収として普通にめちゃくちゃ面白くて爆笑しちゃったというのもありつつ、何よりお芝居の完成度自体がものすごく高かったのが素晴らしかったなと思います!

愛する妹、アンナを想うシスコンお兄ちゃんの強烈な自己紹介だったり、
ドットくんのソロ中にまったく歌を聞かないでロケットを見つめ「アンナ…」って想いを馳せちゃってるところなどは、期待されるかっこよさとの落差みたいな部分がしっかり表現されていました。
いわゆる残念要素として捉える部分もしっかり目に持つイケメンの役割を明確に果たしてた!
一言でいうとはまり役だったのかな。いや違うな、はまり役にしたのは紛れもない本人の努力だ!
本当に素晴らしかったよ、りょうがくんのランスくん。


ダァ!あとあれだ!お芝居でいうと、潜入してきたイノセント・ゼロが化けている状態としてのランスくんの演技も、すんばらしかったですねー!!!
体の使い方も含めて全然ランスくんと違うんだもんな。目の色からして違う。
指の立て方とか背中の翻し方とかさ、、細かいところの意識の配り方があまりにも「良い」ので、あの、お芝居の才能ありすぎませんか!?って思います。
役者としての正式なデビューが2022年の1月ってほんと、どゆことォ~!!?(思わずラブちゃんになっちゃう)



だいたい6000字くらいを見込んで書き始めたんですが残念!8000字超えてた!笑
りょうがくんの演じた役だと、もしかして私ランスくんが一番好きなのでは?と今回思ったんですが、とにかく本ッ当によく似合っていたし、御本人の持ち味や良さが生きる役でした。
まじで続編、絶対に叶ってほしいです。頼む!!!全力でお待ちしています!!!
魔法と筋肉の世界で、絶対にまたランスくんに会いたい!!!

*1:私は(俳優の推しとしては)陽キャめちゃモテ委員長が好きです。

*2:りょうがくんはハリポタが大好き(でもシリーズ全部知ってるわけじゃないらしいのがおもしろい。笑)

*3:有料FC配信の内容なので明記は避けますが、こんな風に歌えるかものきっかけエピを聞いて胸熱でした。環境がそうさせたなら本当にまだまだ伸びるポテンシャルしかない!

*4:受けの芝居に関してはやっぱり最初に肥前くんで掴んだものがものすごく大きいというか糧になっているんだろうなって思います