こたえなんていらないさ

舞台オタクの観劇感想その他もろもろブログです。

2年目のブロビ野音「The Brow Beat ~KLAXON PARTY 2019 at 野音~」に行ってきた感想

Wake up, Snow White!
今年でめでたく2回目となった、ブロビの日比谷野音ライブに行ってきました!

このブログで触れるのは初めてなので、ちょっとだけ解説をします。
thebrowbeat.jp
The Brow Beatは、俳優の佐藤流司くんがボーカルをつとめるバンドブロジェクトです。プロデューサーはHAKUEIさん。楽曲プロデュースだけではなく、ゲストボーカルとして密に参加もなさっており、ライブにも必ず登場されます。
2018年1月1日リリースのデビューアルバム「ラグナロク」を引っさげての1stツアーから、勢いそのままに、去年のゴールデンウィークにはデビューからわずか5ヶ月という爆速で、1回目の日比谷野外音楽堂でのライブを敢行。
活動2年目となった今年も1月~2月にかけてのツアーを無事に終え、2年連続となる野音ライブが開催されました。
私自身は、1年目はツアーほぼ全部に行き(地方も大阪以外行ってた)、2年目の今年は東京でのツアーオーラスだけ、というなんか極端な感じなんですが、ブロビの活動をしている流司くんが普通に好きで、というかそもそも曲がどれも好きなので、今年の野音もとても楽しみにしていました。


心配されていた天気も無事に持ちこたえ、最終的には若干の晴れ間も出るくらいに。暑さもなく、今年も絶好の野音ライブ日和になりました。
本気で雨を覚悟していたので助かった!流司くん的には雨ふらせたかったと思うんだけど!笑
今年の席はCブロックでしたが、野音のあのすり鉢状の構造は本当に見やすい。心底見やすい。なのでどこで見ていても楽しいです。

普段は舞台の話ばかりしているので、音楽の感想は書き慣れておらず…。レポのようなものは書けないんですが、印象というか、ごく個人的な流司くんに対する感慨を書き留めておきたいと思います。*1バンドサウンドについて語れる語彙をもたないので、まっとうなライブの感想を求めている人には不向きのエントリーです…!



そもそもこれはライブの感想なのか?みたいな曖昧な話を最初にします。

ブロビの曲、いろんな色合いの曲があるけれど、でも通奏低音としてものすごく独特に「生と死」を感じる世界観だなぁと思うんですよね。
悲観的とか厭世的とかそういうたぐいのものではなくて、ただ純粋に、すぐそこに当たり前にあるものとして、「死」という存在を捉えているような気がするんです。
ラグナロクの頃からそうだったけど、Hamelnではさらにそれが鮮明になった気がします。
それが顕著なのが「ドミノ」と「睡蓮」かと思うんですけど、そのどちらも作詞は流司くん自身なんですよね。
ラグナロクでいうと「Unlost」もそうだなと思う。


俳優として、普段は演じることを通じて表現している彼が、歌を歌うという新しい表現手段に向き合い、さらにそこで自分の言葉を使って歌詞を作る経験をすることになった時に、メインで選んだテーマが「生と死」であること。
音楽を通じて表現されうる感情って、本当に無数にあると思うんだけど、その中で流司くんが選んだのは"メメントモリ”だったという事実。
おそらくは、とても個人的な、外から踏み込むべきではないところに、彼の中で死というものに向き合った経験からくる、語らずにはいられない独自の感情があるのだろう。
1stアルバムがリリースされた時から、そんなことをずっと考えてブロビの曲を聞いていました。


そんななか、今回のアンコールの一曲目が、数日前に配信限定シングルでリリースされた「灯篭流し」だったんです。
ステージ中央に客席から見えないように仕舞われていた、明かりのついた灯籠を屈んですっと取り出してから、静かに低音を歌い始めた流司くん。
その灯籠を手にする一連の仕草を見た時、あぁやっぱり俳優だなぁ、と強く思った。曲にのせている物語が、その動きから自然に見えた気がして。
「灯篭流し」って、あかりを灯した灯籠を川に流して亡くなった人の魂を慰める、という風習ですよね。だから本当にそのものズバリ、死について向き合っている歌なわけです。
作詞に加えて、作曲も流司くんが初めて手がけた曲で、改めてど真ん中に死を扱ったことの意味をいろいろ考えたりもしていたのですが。


今回、灯篭流しの後のMCで、流司くんがぽろりとこんなことを言ったんです。

「いつかは絶対に別れる日が来ますからね。僕と皆さんも。人はいつか必ず死ぬので。」

その喋り方はごくごく自然、気負いなく自分の中にある当たり前の言葉を発しただけ、という風だったけど、
この言葉を聞いた時、本当に刺し貫かれるような衝撃があった。


いやほんと、そうなんだよね。
わたしたちにもいつか絶対に、お別れをするときがくる。
でもだからこそ、今こうして同じ時間を過ごせていることがこんなに楽しくて嬉しいんだよね、って思ったら、勝手に両目から一粒ずつ、ぽろっと涙がこぼれていた。
だって、本当にびっくりした。
事実としては当然のことだけど、言葉として聞くと、とても強い。
人はいつか必ず死ぬ、ということ。いつかは必ず、会えなくなる日が訪れる、ということ。
それをごく淡々と、当たり前のこととして、フラットに発した流司くんを見ていたら、どうしていいかわからない気持ちになった。


…流司くん本人はその後すぐに「真面目な話は続けられないんですよ~続けられないんだよな~!」って言いながらぱっとモードを切り替えて、なんでもない風になってたんだけど、私は衝撃を受けたままに、しばらくぼんやりとしてしまった。高速で勝手に色んなことをぐるぐる考えてしまって。

流司くんがこれまでの人生で感じてきたこと、今直面しているかもしれないこと。
そういうことの全ては、こちらには絶対にわからないけど。慮ることもうかがい知ることも、出来るとは思えないけど。
でもそういう本人にとってすごく切実なものをどこかに抱えながら、人前に立って表現することを選んでくれるから、わたしたちはその姿を通じて、同じ時間を共有することができるんだよね。
そう考えていたら、一緒にいられる「今」があってくれることのありがたさが胸に迫って。
自ら選んでこうして目の前に立ってくれていることが、そもそもどれほど貴重であるか。


そんな具合に、私が一人で勝手にうわぁ…と動揺しきっているところに、
「まぁそういう別れが来ることを歌ってるんですけど、でも前向きに歩いていこうっていう明るい曲なので」と言って次に紹介されたのは、「睡蓮」でした。

もがきながらも前を向くことを<選ぶ>意思の強さを歌う声が、まだ少し明るい、夜の始まりの空の下に響く。
<命は風に乗り旅をする 命は歌に乗り旅をする>という、歌詞カードには乗っていない、シンガロングする箇所を、何度も繰り返して歌うように客席に促す流司くん。
夜風の中に溶けていく客席の歌声が、ものすごく胸に染みた。
席が遠かったから、どんな表情をしていたのか細かくは見えなかったけど、このときの流司くん、すごく充実したお顔をしているように見えた。時折マイクを客席に向けて、少し頷きながら聞いていた。最後は、客席の歌声に自分のハモリを乗せて。


同じ時間はずっとは続かないし、色んなことが変わっていくのも、もう痛いほどわかっている。
でもだからこそ「今」を全力で大事にしたいし、好きなものや好きな人に会える時間の貴重さを、ちゃんと噛み締めていたい。
この一連の時間に、そのことを改めて強く思いました。


そしてその後に、MCで流司くんが結びとして言ってくれたのは、
「まぁ結論として言いたいのは…明日からも頑張ろうぜ。」
だったんですよね。
明日からも頑張ろう、なんてダイレクトな単語、流司くんから聞いた記憶がわたし個人的にはないような気がしてて。いや勿論、そういうことを言ってくれることも普通にあるかもしれないけど、だとしてももうちょっと、飄々としてる瞬間も多い気がしてて。
だから余計、まっすぐに、今回のその言葉がどかんと胸のど真ん中に飛び込んできた。


生きてるとどうしたって色んなことがある。だけど明日からも頑張ろうって言ってくれて、本当にありがとう。


以下は特に印象深かった曲!
セトリは全く記憶してないので順番は気にしないでください~!

一曲目何かなぁ、と思ってたらまさかのメビウスでびっくりした!
Hamelnの中ではラストに来ている曲なので、ライブ冒頭に来るとは思ってなかったんですよね。
Browbeatと対になるなぁとも感じる、未来へ思い切り駆け去るような、ちょっとだけ切なさを帯びたキラーチューン。
曲の魅力及び感想を言語化しようとしたら「好き」しか出てこなくてびっくりしている…。好きです!

  • 日本

二曲目…だったかな?と思う!もうイントロの時点で、ずるいくらいに客席全員でぶち上がります。去年はそれこそライブ1曲目だったりもしたものね!
この曲がなければ、ブロビは生まれてないんだよなと思うと、本当に感慨深いんですよ…。
流司くんとHAKUEIさんが出会うきっかけになった曲。
學蘭歌劇のおたくなので、すすめいちおくひのたまっだッ!って叫べるの、ただただ嬉しい。

  • Snow White

ライブで聞くとこれまためちゃくちゃアガる一曲ですね。
イントロの「Hi!!! Hi!!!」は勿論だけど、サビの「Hi-ho!」も客席から叫ぶように煽ってくれたので楽しかった!全力で腕突き上げて「はいほー!!!」した。goddamn!
HAKUEIさんの高音が綺麗なんですよね~!
向かい合って歌ってる二人、もうすっかり阿吽の呼吸って感じでした。
お二人の関係性が最早親子みたいだなと思うことがあるんですが、HAKUEIさんがものすごく流司くんを可愛がっているし、流司くんが慕っていることも伝わってくる。ライブパフィーマンス中の二人の信頼関係が垣間見える瞬間がすごく好きです。

  • CLOWN

去年の野音前に配信されて、ライブで初披露だった曲でしたよね!これもすごい好きなんだよな~。
ホーン隊の、ビッグバンドに近いようなジャジーなイントロがスタイリッシュでかっこいい。
「この歌詞に出てくるスペードの姫は皆さんのことですよ」って飄々と言ってのける流司くん、ハァ好き。と思った思い出(※これは豊洲PITオーラスの記憶)
”踊りましょう”っていうサビの歌詞、野音で聞くのにぴったりだなぁって思う。

  • Brilliant Transparency

この曲もすごく好きなんだ~!(おい全部好きしかいっとらんやんか)
だってBrilliantって単語にTransparencyを繋げるって、すごく過剰だと思いません…?
Transparencyの修飾にBrilliantを持ってくるのが、といったほうが正確か。とにかく、そのごてっとしているタイトル含めて、良い…。
この時は背景のスクリーンにPV映像が時々会場のカメラと切り替わるかたちで流れていたので、金髪に青い瞳の流司くんと、目の前の黒髪猫目メイクの流司くんが同時に見られたのでお得感がありました。笑

  • サザンクロス

HAKUEIさんが今日のために作ってきたという新曲!
流司「AメロやってBメロやってサビやって、AメロやってBメロやってサビやって、Dメロやってサビやって…みたいな曲やりまーす!」
HAKUEI「いや、大体の曲がそうですよ。笑」
流司「騒ぎたい人のための曲なので、騒ぎたい人は思いっきり騒いでもらって。今日はぴしっと行儀よく気をつけして聞いてる!って人はそのままで大丈夫なんですけど、心臓にだけは気をつけてくださいね!びっくりするかもしれないんで!」
…っていうアオリから入ったんだけど、なんか、ものすげ~曲だった!!!すげ~!でした!笑
歌詞もスクリーンに出てたんだけど、Aメロの流司くん、驚きの徹頭徹尾デスボイス!!!
漢字表記の熟語だけが、ひたすら連呼される。「大罪」って入ってたのは覚えてる!あと「変態」って言ってた!(へ、変態!?なったのでそこは明確に覚えている)
サビは普通に歌ってたけど声の切り替え大変じゃない!?ってなったしとにかくびっくりした!でも騒ぎたい人のための曲、がぴったりな、ウォ~!って勢いで乗れる曲で楽しかったです。



ダブルアンコール、ラストは「Browbeat」でした。
この曲、ラグナロクの中で一番好きなんですよね。
タイトルどおり、ある意味ではバンドを象徴する曲でもあるなと思っていて。だからラストは絶対これだよなと思ってはいたけど、最後に聞けるのはやっぱり嬉しい。
今年も去年と同じように、イントロで勢いよく金テープがバーン!と飛びました。
夜空いっぱいににテープがパァッと散りひらく様子が好きすぎて、今年も「うわぁ~」って思わずばかみたいに見上げてしまった。
風に流されてきらめきながら、舞い落ちていくその光の帯越しにステージを見ていたら、勝手に自分の顔に笑顔が広がっていくのがわかった。

今という時間をとどめおくことは誰にもできない。
でもだからこそ、こんなに楽しい気持ちが無限に湧いてくるんだ。


ブロビ、活動始まった最初はファンの側も手探りで。わたしもそうだけど、ロックは普段全く聞かない人も多いし、どんな感じになるのか正直想像がつかない~って中でツアーが始まった印象でした。
だけど2年目になった今は、ファン側にもすっかりブロビの音楽を聞く様子が「板についた」っていうか。全体の場を包む雰囲気としてなんというか妙な力が抜けたし、親密にもなったように感じます。
それぞれが好きにリラックスして、楽しみやすくなったように思う。
時間の経過でそうやって環境が育ってきたことにぐっときたし、そもそもカバー曲なしで、オリジナル曲も全部やりきれないくらいのライブができるようになったことにも感動した。

めちゃくちゃ今更書きますが、ブロビは曲が良いんです~。良いんですよ!!!
どれを貼るか迷ったけど「ヘヴィ、オルタナティブで骨太なサウンドから軽快なロックまで」の振れ幅がわかる2つを貼っておきます!

The Brow Beat「Snow White」【OFFICIAL MUSIC VIDEO [Full ver.] 】


The Brow Beat「アイリス」【OFFICIAL MUSIC VIDEO [Short ver.] 】


その中で、野音でのライブは特別でした。都心ど真ん中の屋外という環境がもたらす、独特の開放感がやはり素晴らしいです。
徐々に外の空気や空の色が変わっていくのを感じながら、体に風を受けながら音楽を聞くのって、すごく贅沢だなぁと思う。
ライブって全身で音楽を浴びる楽しさがそもそもあるけど、あの環境にいると、より五感をフルに使って時間を味わえる気がする。あの充実感は、ほかでは得られない!
楽しすぎて、今年も体感ものすごくあっという間でした!

来年はなんとバースデーライブをはさみつつのZeepツアー、からの渋谷公会堂2daysとかいう、とんでもないスケールでの公演が決定しててたまげます。いや~すごい。

来年も野音に行けたらいいな!

*1:ブロビのボーカリストとしてはRyuji名義なんですけれど、名義の違いに関して書くべきことをきちんと整理できる程には私の理解が足りてないという意味も含めて、文章の中では流司くんで通しました。