標題のとおりの内容、近々初めて推しと接触の機会がある身内から尋ねられたので、これまでの経験則をもとに、まとめてみました。
これを書いている人は、沼落ちから7年目になる舞台・若手俳優おたくです。…ともなればそれなりに色んな現場は経験してきたので、それなりに役には立つのかもしれない。と思って書いています。(いまいち弱気)
馴染みのない人もいるかもしれないので念のために解説すると、ここでいう「接触」とは、握手やハイタッチなどをしながら、応援している相手本人と話せる機会のことを指します。
なお、わたし個人は推しと接触の機会があると「わーい!」と喜ぶタイプののーてんきなおたくなため、「どうしても推しの前に出たくないのですが、どうしたらいいですか!?」的なお悩みへのアンサーはこの記事ではすることができません。悪しからず…!
ですので以降は、覚悟を決めて推しに会いに行く方向けの記事です。
*
★目次
- 1.なにはともあれ、まず準備。〜接触の形式は何?想定される長さを予想しよう〜
- 2.なぜ時間を予測することが大事なのか ~形式に合わせたコンテンツを用意しよう~
- 3.いざ当日! ~直前まで、現場の様子を見極めよう~
- 4.ついに本番!しかし、ここで問題が起こる。 ~バグるおたく~
- 5.接触を終えたあとの現実との向き合い方
- 6.接触全般のtips
- まとめ
1.なにはともあれ、まず準備。〜接触の形式は何?想定される長さを予想しよう〜
若手俳優界隈でのベーシックな接触のパターンを、以下にひととおり挙げてみました。(※アイドルとかだと、また全然違うと思います!)
予定されている接触はどのタイプ?
1-1.所要時間短め:お見送り
イベント会場から退出するお客さんを、出口付近の廊下などに立った状態で見送ってくれるスタイル。
便宜上接触と呼ぶが、実際のところ数メートル離れた位置で立っている相手から手を振ってもらう、というイメージなので、触れ合いが生じるわけではない。
基本的にこちらが歩きながら見送られるので、話せる時間はほぼないと思った方がよい。
ひとこと挨拶のみでおしまいのつもりで、あくまでも「推しを間近に見られるチャンス!」と割り切ることがオススメ。
とにかく視覚に意識を集中しよう!
1-2.所要時間短め:ハイタッチ
お見送りと近しいことが多い。しかし、たまにハイタッチと言いながら「いや、もはやそれは高い位置での握手なのでは!?」みたいなこともあるので、気は抜けない。ハイタッチ状態で手を握られることもままある。
上記のとおり一番ブレが生じる形式なので、当日の様子を見極めることが肝要。
1-3.所要時間長め:握手
とてもベーシックな接触。平均すると、会話はざっくり2往復くらいできることが多そう。
剥がしのスタイルによって、けっこう大幅に所要時間は左右される印象。
話すことと顔を見ることに必死で、意外に手の感触は記憶に残らないことがある。(逆に手の感覚しか覚えてない、という人もいる模様)
1-4.所要時間長め:お渡し会
写真集、カレンダーなどを渡してくれるパターン。推しからそれらを受け取るタイミングでの会話になる。場合にもよるけど、握手と同じくらいの長さで話せることがわりかし多いような気がする。
触れ合いが生じない、という点では握手より気が楽。
1-5.所要時間長め:サイン会
推しはサインをするので自分の手元に視線が行きがち。そのぶん目が合う時間は短いけど、逆にあまり緊張しないで話せるかもしれない!という利点がある。話せる時間もそこそこあるはず。
あと普段目にする機会のないつむじとかが見られると思います(そこなの?)。
2.なぜ時間を予測することが大事なのか ~形式に合わせたコンテンツを用意しよう~
なぜ最初に時間を予測しなければならないのでしょうか。理由は簡単。
与えられる時間に用意したコンテンツが見合っていないと、確実に事故るからです!
時間が短いとわかっている時に長めの言葉を用意したところで、実際には全てを言い切ることはできません。また、言う内容が長すぎると、相手に聞き取ってもらえない危険性もあります。
そうなると、推しが「えっ?」ってこちらに聞き返してくれたところで、はい時間終了〜!になってしまうことに。もったいないしすごく悲しい。そんなのは嫌だ!
反対に、思ったよりも与えられた時間が長くて持て余してしまい、どうしたらいいか分からなくなった…というパターンも起こり得ます。
そのようなことのないように、まずは接触形式から、予想される長さを導き出し、話したいことを組み立てることが重要になってくるのです!
2-1.使うワードは慎重に吟味
おおよその時間が把握できたら、次は言葉選びに移ります。
相手を傷つけるようなことは言わない…みたいなそんな当たり前の話ではなく、意外と大事なのが、「相手にとって聞き取りやすい言葉を選べているか?」ということなんです。
というのも、接触って、コミニュケーションとしてはかなり高度なやつをやらねばならないからです。
- お互い初対面のようなもの(関係性があるわけじゃない)
- 補助となる「文字情報」はない
…という、前提を共有できない状態から突然始まる、ごく短時間の会話、それが接触。
つまりそもそも、きちんと会話を成立させるだけでもハードルが高いといえます。
話のマクラ・導入部みたいなものがなく、いきなり本題に切り込むようなものなんですよね。
日常生活における会話って、目の前の相手がどんなことを投げかけてくるか、なんとなく予測しあって、キャッチボールをしながら進んでいく部分があると思うんですが、接触ではその事前情報に当たるものが一切ありません。
なので、相手が受け止められないような豪速球を投げたり、届かないようなへろへろしたボールを投げてはいけないのです。
シュッとスマートに相手に届く、確実なボールを投げましょう。
2-2.「伝わりやすい言葉」とは?
では「伝わりやすい言葉」とは、具体的にはどのようなものを指すのでしょうか?
わたしがとても大事だなと考えているのが、「脈絡なくいきなりぽんっと投げかけても、相手に意味がすっと通る言葉かどうか?」という点です。
音声→言葉→意味への脳内変換が、なるべくシームレスに行われる言葉が理想。
というのも、文字で見たときと、音声だけで受け取ったときでは、たとえ同じ言葉でも、その伝わりやすさは全く変わってきます。日本語には同音異義語もたくさんあるし。
普段あまり意識しないことではありますが、この点、是非検討してみることをオススメします。
その他にも、
- 前提に詳しい説明がない限り、本意が伝わらない内容じゃないか?
- 良くない例:「この間の~の舞台で◯◯が~なところが△△だったんですけど、それがとっても~でした!」…前提が長い!一番伝えたいことが何だったのか、相手にわからない危険性が高い!
- 相手にとって、聞き慣れてない言葉ではないか?
- 同じ意味でももっと音数が少なくて、かつ聞き取りやすい単語はないか?
などなど、考えてみるべきポイントはたくさんあります。
プレゼン資料に取り立てた意味もなく横文字の言葉を使って周囲を困惑させる営業マンのようなことはせず、
推しに対して使う言葉は変にひねらずに、ごくごくシンプルなものに落とし込みましょう!
2-3.長さは調節できるようにしておく
先述の通り、接触の所要時間は思ったよりも長い/短い、どちらのパターンも考えられます。1往復と思ってた会話が2往復できちゃうとか。反対に本当に一言声をかけておしまいだとか。
なので、理想はコレ!という内容ができたら、そこからプラスマイナス、どちらにも対応できるように、プランBを考えておくとなお良しです。
「できればこの2点を話したいけど、時間的に難しそうだったら優先度の高いこっちだけにしよう」とか、予め考えておくだけでも、だいぶ違います。
上記を踏まえて、よし、事前準備はバッチリだ!としましょう。いよいよ本番ですが、準備は自分の番の直前まで続きます。
3.いざ当日! ~直前まで、現場の様子を見極めよう~
入念に心の準備をしたとして、結局最後は当日の状況に合わせるしかありません。
「じゃあ準備なんて意味ないじゃーん!」みたいな気もしますが、そういうことではないのです。先ほどのプランBまで含めたロープレを脳内で済ませておくと、思わぬ事態にも後悔を残さずに接触を終えられる可能性が高まります!
そのために、当日接触イベントが始まったら、確認しておきたいポイントは下記のとおりです。
3-1.推しのコンディションはどうか?
とにかく最初に確認したいな、と個人的に思っているのはココ。
そもそも体調があまりよくなさそうな日や、複数開催イベントのラスト回で、そろそろ疲れが見える…などなど、いろんなケースが考えられます。
その時は、言おうと思っていたことが、相手のコンディションに見合った負荷の内容かいったん考えてみましょう。リアクションを無理に求めるような内容を投げかけるのも、なんだか申し訳ない気持ちになりますよね。(わたしはなる。)
なので、なんか今日の推し、疲れてるな、しんどそうだな!って感じる時は、より推しに負担をかけないだろう内容にシフトするように心がけています。
自分だけ満足しても、しょうがないですから。あくまでもコミュニケーションなので、相手を思いやる気持ちは絶対に忘れたくないですね!
3-2.時間が押したりしていないか?
イベント運営上の思わぬアクシデントが起こり、予定されていたタイムテーブルが変更になるようなことは十分に考えられます。
その場合、接触にかかる所要時間を縮めるために、予想よりもスタッフさんのはがしがキツめになったり、本来思っていたよりも流されるスピードが速い!みたいなことが起こり得るのです。
また同じ回でも、序盤〜中盤〜終盤で流しの速度が変わっていくことも多々。
接触タイムが始まってみて、なんだか予想と違うな!という状況だった場合は、さっと準備していたプランBにスイッチしましょう。
3-3.その他、当日だからこそ言えたら嬉しい内容があったら回収してみる
これは余裕があったら…という感じですが、
「伝えたい内容に関するワードが、ちょうど直前のイベントで出た!」みたいなラッキーなパターンもあります。
あの話題がさっき出たから、推しの念頭にもあるはず=こちらから投げかけた時にも、言葉としてすっと認識されやすそう、という発想です。
トークショーなど何かしらのイベント後に接触、という時は、このように「AとBの話題で迷っていたけど、イベントでBの話が出たからBにしておこう!」みたいなより戦略的な組み立ても可能です。
以上で、会場の様子も見極められた。推しがまもなく目の前に。いよいよです。
4.ついに本番!しかし、ここで問題が起こる。 ~バグるおたく~
その問題とは、主に緊張です。それに尽きる。いやそりゃそうやろ。だって目の前に推しですよ???
果てしない緊張にやられながら推しの目の前に立ったとき、おたくは下記のようなバグり方をすることがあります。
- 頭が真っ白になる
- だって目の前にいるんだもの
- そもそも、まともに顔が見られない
- ふだんそんな間近に見る機会なんてないんだもの
- 終わった後、一切の記憶がない
- やばい目の前にいる、と思ったことだけは覚えてる
- そんなつもりはないのに苦しそうだったり悲しそうな顔をしてしまう
- しまいにはなんだか逃げるようにその場を去ってしまう
そして気づいたら、自分の番は終わっているのである。…お疲れ様でした!!!涙
5.接触を終えたあとの現実との向き合い方
めちゃくちゃ楽しみにして、緊張して迎えた当日。でも推しと話せる機会はほんの一瞬だけ。
「いや自分、あんなに事前に考えてたやん!?もっと他に言えることあったやろ!あともうちょっとまともに笑顔作れたやろ!バカーッ!!!」…みたいな気持ちになることもある。あるよ!
こんなに短い時間に対してここまで一喜一憂するなんて…みたいな賢者モードになることも正直あるでしょう!
でもまぁそんなこと言わず、せっかくの思い出なので、とことん大切に味わいましょう。
5-1.とにかく、メモる
実際、記憶はすぐに飛ぶ!でも手繰り寄せれば思い出せることもあります!
かけらでもごくごく一部でも、とにかく頭の片隅に残っていることはメモに残そう。手に握ったそのスマホに書き付けよう!
「やばい、近い、かっこよかった、目があった。しぬ」
でもいいんです。ないよりは。
「いきてた」
とかでもいいんです。そうだよ、推しは目の前で生きてたんや。それが事実なんや!
今日着てた服のここの飾りが可愛かった(※顔がちゃんと見られなくて服に視線が逃げていたときの例)とか、やたら目元の笑いじわばかりが印象に残ってるとか、初めて間近でホクロをみたなぁ…とか、断片でもなんでも良い。
自分だけが見た推しの記憶、それだけで価値があるのです。とりあえず記録にしましょう、そっと自分のためだけに書き残しましょう。
わたしはたいていスマホのメモにばばっと書き起こします。言い回しまで細かく覚えていたい!とある種執念のようなものを発揮して書く。このタイミングで手を振ってくれてたな!とか、細部まで覚えていたらなるべく全部書いておきます。(※あくまでも自分が読めればいいので、SNSにあげることはしません。)
そうしておくと何が良いかって、疲れたときや落ち込んだとき、読み返して元気を出すことができる!これはマジ。
せっかくの貴重な機会なのですから、誰のためでもなく将来の自分のために、かけらでもいい。記録に残しておきましょう!
5-2.可能なら身内に叫びを聞いてもらおう
LINEなどで聞いてくれる家族友人がいたら、どんどん聞いてもらいましょう。先程の出来事は現実だったのだ、ということを、あらゆる手段でしみじみと噛みしめよう!
わたしはいつも親しい友人にLINEで報告して、帰宅してから夫に無理やり聞いてもらっています。(そこ話すんかいとよく驚かれるんですが、聞いてくれるので遠慮なく話します)
また、SNSに上がる接触レポに関しては、おたくは往々にして他人と比べてしまい、心に悲しいダメージを負う傾向があるので要注意です。
自分にはその気があるなと自覚している人は、むやみに他の人のレポを検索したりしないようにしましょうね。
自分にとって大切な時間が過ごせたのだから、人のことはどうでもいいじゃないか。そこは割り切って、いっそのこと見ないようにするのもオススメです。他でもない、自分にとっての思い出をなによりも大切に。
6.接触全般のtips
以上が全体の流れです!以下はtips、マイルールのようなものをご参考まで。
6-1.相手視点を忘れない
一番はやっぱりこれですね。相手の立場に立って状況を俯瞰する余裕を持ちたい。
なので、言いたいことを一方的に投げつけて終わりにならないようにしたいな、と常々思っています。時間が短いからこそ…。
だってこちらにとっては一瞬ですが、推しは一度に数百人と会話してるわけで。それで疲れない人ってたぶんあんまりいないはず、と思うんですよね。なので負担をかけたくないなぁという気持ちが一番強いです。
あとは当たり前のことですが、相手が言われて嬉しいだろうこと、プラスに受け取ってもらえるだろうことを選ぶようにしています。
自分が伝えたいことが、相手が言われて嬉しいことかどうか…についてもちろん確証はないし、まぁその正解がわかったら苦労しないんだけど、なるべくなら言われて嬉しいことを言いたい!と思う。
なので雑誌やWebのインタビューなどで、そういう「言われて嬉しい情報」のヒントがないかは、丹念にチェックするようにもしています。
6-2.相手のタイプに合わせてみる
あとはお話しする相手=推しのタイプによっても、左右される部分は大きいです。
- サービス精神のかたまりで向こうからガンガン話題を提供してくるタイプ
- じっくりこちらの話を聞いてくれようとするタイプ
- とにかく楽しい時間を過ごそうぜ!的に、その時の空気に合わせて自由に振る舞うタイプ
…などなど、特徴はいろいろです。
もし自分の推しの傾向がわかるようだったら、そちらに合わせてみるのも良いと思います!
まとめ
接触が嫌い・苦手な人もけっこういると思うんですが、冒頭でも触れたとおり、わたしは「推しと話せるなんてさいこー!超ハッピー!」と思うタイプのごくのんきなおたくです。
接触は、普段決して交わることのない世界線が繋がるというか、推しと自分との特異なアクセスポイントだと思っているので、その機会にしかできない経験は、ありがたくしておきたい。
あとはファンに対してニコニコやさしくしている推しの姿をひたすら見てるのも好きでして…その光景だけでもしあわせになる…。なんて優しいんだ!いい子なんだ!となって好きがあふれる。まじで見てるだけで幸せ(おめでたいな~)。
なんにせよ、ファンと近い距離でお仕事をするからこその苦労や負担も絶対にあるはずなんですよね。
「それを選んでなお、更にこういう会える機会をつくってくれてほんとにありがとう!」という気持ちを忘れないようにしたいな、と思いながら、接触イベントに出かけています。
あなたと推しとの接触が、幸せで心楽しいものでありますように!
*1:このときは握手会だったんですけど、ちゃんと聞き取ってもらえました。そりゃそうか。だって俳優って、転職活動はまずしないよな、って思って…笑