こたえなんていらないさ

舞台オタクの観劇感想その他もろもろブログです。

宝塚花組公演 2022年2月6日 大千秋楽を見届けての感想

今作、感想は下記2本でいったん書き尽くしたぞ!って気持ちだったのですが、懲りずにまたPCを立ち上げてしまいました。
anagmaram.hatenablog.com
anagmaram.hatenablog.com

そうしたくなるくらい、昨日の花組大千秋楽があまりにも素晴らしかったので……!

昨日の大千秋楽は、自宅にて配信で視聴しました。
舞台に立てるこの時間を愛しぬくんだとばかりに、今できる全てを!と、熱く熱く魂を注ぎ込む花組生の皆さんのエネルギー、画面越しでも本当に伝わりました。
2月5日に実際に劇場で見た翌日ではあるのですが、そのたった1日の間にも、お芝居はまた沢山変化していて本当に素晴らしかった!

以下では、再開後からの1週間で感じた「元禄バロックロック」お芝居の変化についてと、感情が翻弄されまくった終演後の柚香さんのご挨拶についてを書きます!

ハッピーエンドの”奥行き”がどこまでも深まった、1週間での進化

千秋楽だけではなく再開後の公演を見ていて感じたことですが、出演者それぞれが自身の役と芝居を深め続けたことによって、物語全体の奥行きがぐっと増したように思います。
陽の部分だけでなく、陰に該当するような部分も表現の色合いがしっかりと濃くなった分、物語の中での悲しみ/喜びの対比がより鮮やかになった感じがします。

土曜の観劇でも感じたことでしたが、その印象にはまずコウズケノスケの変化がとても大きかったと感じました。
彼が時を戻す時計にこだわり続ける根底に、明確に<愛>を失った悲しみが横たわっていることが、いろんな場面からすごくよくわかるようになりました。
コウズケノスケは単なる野心ゆえ、大望を抱くゆえ時計を欲しているのではなくて、ケイショウインと別れ、家族が離れ離れになってしまった状況について「ずっと後悔に苛まれている」からこそ、
神をも恐れぬ夢に向かって突き進んでいくのだなと。
銀橋ソロのタイトルが「過ぎ去りし愛を求めて」なことがとてもしっくりくる一連の描写で、特に千秋楽の迫力、マイティーさん本当にかっこよかったです!!!

そしてその愛ゆえに、コウズケノスケは最後にツナヨシから和解を命じられても、それを簡単には飲み込めないのだということもしっかりと伝わってきました。
クロノスケの「御伽話にございます」の一言を聞いたとき、時を戻せる時計など存在しない=つまり自分が望んだとおりの未来はもう絶対に手に入らないとわかったからこそ、あれほどまでに名状しがたい表情をしているのだなぁと。
そしてどれほどツナヨシの命が飲み込めないのだとしても、それでも、と腹の底から絞り出すように言うあの「…ははっ」が、表情も声も本当に複雑で、大好きでした。
その後のコウズケノスケが愛する人の隣にいられるのだというその点でどうか立ち直り、悔しさもバネにして、新しい未来でもバリバリに手腕を発揮してがんばってくれますように……!
反対に、クラノスケに関してはあの弟君の姿を目にした瞬間に、なんだか憑き物が落ちたみたいな眩しい表情をしていて、あれはクラノスケにとっての救いでもあったんじゃないかな……と感じたのも対照的だったなぁと思います。


また個人的には、くノ一・ツバキ役の星空美咲ちゃんのお芝居が驚くほどに変わっているのがとても印象的でした!
コウズケノスケを慕っているゆえに、実りある知らせをもたらしたカエデにうっすらと対抗心を抱いているのが伝わってくるようになっていたり、
キラに「お父様のこと、好きでしょ?」と尋ねられて以降のやりとりでは、なぜそのセリフを発しているのかの背景が自然と聞いているこちらに浮かんでくるようになっていた気がします。
「それ以上言うと、たとえキラ様でも許しませんよ!」のあのセリフは、
コウズケノスケに実際に想いを寄せているからこそ、彼が「人の思いのわからない人」であることは彼女自身がいちばんよくわかっていて、その切なさの本質みたいなものをずばっとキラに言い当てられたゆえの反応だったんじゃないかなと。
単に「彼のことが好きだから」以上のものが現れてくる一言になっていて、千秋楽の配信では本当に目を見張りました。2月5日のマチネでその片鱗を感じていたけどより説得力が増していて。
その後のケイショウインとのやり取りも、「私の意志でお願いに参りました」そのものの情感が出ていて、本当に素晴らしかったです!
下級生の生徒さんってこんな風にぐんぐんと伸びていかれるのだなぁ、とその進化を目の当たりにして圧倒されました。ひきつづき今後もとっても楽しみな娘役さん……!

主演のお二人の、透き通るように繊細で、どこまでもリアルな愛のやりとり

主演のおふたり、クロノスケとキラの序盤のやりとりについても、コミカルさや無邪気さの分量が減りよりシリアスな雰囲気に寄ったことで、
中盤以降で明らかになる過去に繰り返してきた二人の別れの切なさが、よりくっきりと浮かび上がるようになっていたと思います。

柚香さんのクロノスケは、「なぜだかわからないけど、どうしようもなくキラに惹かれる」その複雑さが、より伝わりやすくなっていたんじゃないかなと。
自分がキラに惹かれるのには明確になにかしらの理由がある、だがそれがわからないという己の中のもどかしさだとか、キラが不穏にも思えるような何かを隠していることに、ほんのりと苛立ちを感じている要素が立ち現れていた気がします。
だからこそ全てを知った後のあの離れ難さ、キラ愛しさに泣きそうになってしまう表情が生まれるんだなと、before/afterの対比が見事でした。


千秋楽の「花火きらきら」は、主演のお二人の愛が、静かに確実に深まっていったことを感じさせる集大成のお芝居となっていました。
銀橋の端と端、離れた位置に立ちながら、お互いに気持ちを確かめ合うように頷き、笑顔を交わしてあたたかく歌を重ね合わせるクロノスケとキラ。
まだ全ての事情をお互いに共有する前なのに、本質的な部分でしっかりと通い合う二人の心が目に見えるようで……
やっぱり最高に大好きな場面。なんて美しいんだろうか。この場面がある時点で、元禄バロックロック、本当に大傑作だと私は思っております。
物語の筋を明かし切る直前の頂点に、カタルシスが予感のように半歩早くやってくるあの構成、見事としか言えなくって。谷先生ありがとうございます!って何度でも言いたくなる。

そして最後の場面、花のおエド(Rep.)で銀橋に走り出るクロノスケとキラ。
千秋楽でも、ここでのお二人の笑顔はまさに満開で、本当に明るくて楽しげで。
はけ際の花道でしっかりとキラの肩を組むクロノスケと、幸せそうに頬を寄せるキラ。
こんな幸せな光景で終わる作品であってくれて本当に良かったと思わずにいられない。
休憩に入るタイミングでは、本当に純度100%の幸福感で満たされていました。

その場に立ち現れる感情のリアルさと、緻密な呼吸の合わせ方がちゃんと同居し得る柚香さんとまどかちゃんのやりとり、素晴らしかったです。
感情の重ね合い方は、物語に通底する愛に呼応するように透き通って繊細で、だけれども確かなものとして存在していて。
相反するものをまとめあう二人の呼吸、これが大劇場お披露目とはやはり思えないほど、ぴったりと揃っていたなと思います。
その魅力を書ききれた気がしないのですが、二人のお芝居、本当に大好きでした!クロキラに幸あれ!!!

「再び愛が花開く」を体現する、花組生のエネルギー

今回、幕開けで柚香さん演じるクロノスケが歌う「花のおエド」の冒頭の歌詞、皮肉なくらいに、あまりにも今の状況にリンクしていました。
再開日に聞いたとき、予めその歌詞を知っていても、劇場で実際に耳にすると沁みてくるものが予想以上でした。

なんたる勝手 でも花はしたたか
いつかまた しれっと咲き誇り
やり直すチャンス 狙ってる
約束の春に 再び愛が花開く

諦めない不屈の精神としかいえないであろう力強さで、舞台上に美しく返り咲き、持ち帰りきれないほどの大きな愛を客席にを届けてくださった花組の皆さん。
どの場面にも、生徒の皆さんの舞台に立てる喜びが溢れていて、見ている間、こちらの心はただただ楽しく浮き立つばかりでした。
百花繚乱のエドの町でたくましく生きる元禄バロックロックの世界の住民たちを見ていると、
「いま生きてることを楽しまなきゃ!」と、こちらは笑顔で思わず頷いてしまう。
帰ってきてくれて、本当にありがとう!と何度でも言いたくなります。
ありがとう花組!!!愛してるよ花組!!!涙

かっこよくて面白くて恋泥棒すぎる、柚香さんのご挨拶

ショーについてはうっかり1.2万字感想を書いてしまっているのでそちらに全て譲りまして、以下は千秋楽のご挨拶について!
見出しどおり!要素が!要素が多いんじゃよ……!(息も絶え絶え)


ご挨拶の話の前に。
まずはなにより、退団者の皆さんが、お客さんの前で千秋楽を全うできたことに一番ホッとしました。
再開後、残された時間が1週間というのは本来の公演期間を考えるとあまりにも短い。だけどそれでも、千秋楽が叶ったことがやっぱり何よりも嬉しかったです。。
4人それぞれのご挨拶を聞いているとき、タカラジェンヌの皆さんは最後の最後の瞬間まで、本当に「清く正しく美しく」なのだなと思わずにはおれませんでした。
胸の内でただただ深い感謝と拍手をもって送り出すことしかできない。
本当に本当に、お疲れさまでした。ありがとうございました!涙


改めて、トップスターさんによる千秋楽のご挨拶についてなのですが、、
ここで見せつけられた柚香さんの進化の途方も無さに、もうこちらは改めてひれ伏すしかないな……という気持ちでいっぱいになりました。

3週間に渡る中止期間、その後に辛くも走りきったこの1週間。
大劇場公演について、柚香さんはトップ就任後、未だに宝塚・東京を揃えての全公演完走をご経験されていません。(そう書くとなんかもう!もう!!!涙 ってなる……)
どれだけ大変だっただろうか、苦しかっただろうかと思うのに、
その最中で全身からはちきれんばかりの「愛」を育て上げ、それを笑顔でこちらに届けてくださるばかりか、
宝塚歌劇全体を俯瞰してのご挨拶をなさっているその姿は、もう後光が差しているように感じる何かでした。たまげました。。

「この大千秋楽をもちまして、宝塚歌劇はしばし公演の見合わせ期間に入ります」と、中止の続いている他組の状況に触れた上で、どうかお元気で待っていてくださいと笑顔で伝えてくださる柚香さん。
今まさに中止期間を過ごしているどの組の生徒さんのことも、それぞれのファンの方のことも、
一気にすべてをひっくるめてどりゃあ!と力いっぱいに愛情たっぷりに抱きしめてくださってるかのようで、
本当に、なんて大きな人なんだろう、いったいどこまで進化してしまわれるのだろう???と、もはやどうしたらいいかわからない気持ちになりました。。涙
あまりにもかっこよすぎる。


そしてその大感動ののちに、今度は大爆笑もさしはさんでくださって……!
大千秋楽をもって花組から専科へと異動される、組長の高翔みず希さんをセンターにお呼びしたあと、組子全員でサプライズメッセージを贈るくだり。
センターは落ち着かないから!とさおたさんが逃げるように元の位置に戻ろうとした瞬間、
「さおたさん!さおたさんさおたさんさおたさん!!!」と本当に爆音で、なおかつ力の入った腰を落としたガニ股で叫んだので、
画面を見ながら本気で大爆笑しました。何がおきたんかと思った。笑
しかも途中勢い余って「さおた!」って呼び捨てになってる瞬間があったのがダメ押しで、本当にしぬほどわらいました……なんなの!!!笑
渾身のデッカ声の甲斐あって、もはやギョッとしていると言いたくなるような表情で静止したさおたさんをなんとかセンターに呼び戻すことに成功し、組子からのサプライズを贈ったあとも、
まだダメです!帰らないで!逃がすものか!みたいな圧たっぷりの笑顔でがしっとさおたさんの手を掴み、
柚香さん「でも次の大劇場公演ではまたご一緒させていただけますので!」
さおたさん「思わせぶりにいなくなったと思ったらすぐに戻ってくるなんて…」
みたいなやりとりを繰り広げるので、ここでももうひと笑いおきました。おふたりとも面白すぎる!!!
さおたさんのあの優しい笑顔、退団者を呼ぶ時のあたたかい声、本当に本当に大好きでした!寂しいけど!退団じゃないからまだ会えるし!柚香さんのいうとおり、次のリストにも出てくださるし!


宝塚ではセンター、0番はあくまでもトップスターのものであるというのが明確な決まりごととして存在しているように思いますが、
その持ち主であるところの柚香さんが、大好きで大切な組の仲間にその場所を嬉々として譲ってバンバン立たせたくなってしまうところ、本当にあたたかなお人柄が溢れていて大好きです!
昨日のさおたさんへのサプライズや花組ポーズのお願いを見ていて、アウグストゥス、ムラでの有観客ラスト2日で華ちゃんさんに銀橋センターを譲ってのご挨拶を促した場面を思い出したりもしました。涙


そして大問題が、一番最後、緞帳前にひとりで出てきてくださった後の場面。
「え、ちょっと待って、私ってこんなにも舞台が好きだったの?宝塚が好きだったの?花組が好きだったの?」と各方面への愛を実感しまくった中止期間の気持ちを伝えてくださり、
お元気でいてくださいとまた言ってくださったその最後。

劇場全体をやや上目遣いで広く見渡しながら両腕をふわっと広げ、そこから一拍置いたのちに、
「…愛してます。」と一言のたもうた。

まじで息とまった。
「なんて!?今なんて!???柚香さんなんて!!???」ってなりました……爆発した。
だって!柚香さん普段あんなに、照れ屋さんなのに!!?という衝撃に襲われました。
柚香さんといえば照れ屋さんやん!!!
ナウオンやらドリタイやらで、下級生や相手役さんから褒められるとすぐに「わー」ってなっちゃってスルーすることに全力になるやん!
華ちゃんさんの爆音大告白に照れすぎて咄嗟にまず「声量が~」って言ってたやん!
もはや「柚香さん=照れ屋の権化」やんけ!!!
そんな柚香さんが!?ダイレクトに過ぎる愛の言葉を、ザ・男役キメキメな感じよりももうちょっと素に近いモードで、そんな風にポロッと言うことなんてある……!?

あれを聞いて「そうか!柚香さんに愛されてるんだ!!!」ってハチャメチャに元気になった人が超多数だと思うので、本当にありがとうございますと思い、そして引き続き混乱し、、
わたくし、一日経った今でも消化しきれておりません!!!あいしてます????ってなってる。

今回の一連の出来事は、あの照れ屋さんの柚香さんが「愛してます」という言葉を思わず言ってしまうほどの心境になるなにかだったのだという事実を思うと胸が詰まるし、
でもそうして愛を全面に出したくなるほどに、今の柚香さんには真ん中にどっしりとぶっとい芯が安定して通っているのだなとわかる嬉しさもあるし、
あとあの……ほんと純粋に、その一連の仕草や声が恋泥棒すぎて……未消化にも程があります!あいしてますって!!!(混乱ののちフェードアウト)

そしてその愛に圧倒され、突然呼び方を変えようと決意する私(※なぜ?)

柚香光さん、もう、本当にすごい方。どこまでも愛のお人だなと思います。
だけど、すごいからすごいんじゃなくて、柚香さんがそうあろうとしているからすごいんだなってことを、とにかく肝に銘じていたくて。

トップスターって元々ものすごく重責を担う立場であり、今は状況の困難さでそこに更に多種多様なものが乗っかりまくっていると思うんですよね。
芸事にだけ真摯に向き合っていても大変に決まっているのに、そこに集中することすら許されないってどんだけ厳しいんだと思う。
未曾有のコロナ禍が直撃するトップスター就任期間を過ごし続ける中、
繰り返し公演中止のダメージをくらいながらも、千秋楽の舞台でアンサーとして爆発させるのが「愛」のみである、その力強い精神力とあたたかな人間力
そこを褒めそやし神格化するかのように感動して、その存在をどこか遠くに置いてしまうのではなくて、
愛を以てトップスターの真髄を体現してくださる柚香さんには、
しっかりと観客・ファンとしての愛を!地に足をつけて、こちらからもどっしり重たくお返ししていきたいなぁと思いました。

その一環として(?)、ただいま呼び方を”柚香さん”から”れいちゃん”に変えてみる個人的チャレンジを実施中です!
だってなんか柚香さんって呼ぶとどんどん距離をとってしまう感じがするから!
敬愛しつつ「なんかすごい人のいるところ」に勝手に置いてしまわないように、れいちゃんとお呼びしてみたい……と思います!(苦戦中)(がんばる)

「本日は…本日まで、本当にありがとうございました!」と言い直してくださったあのご挨拶や、
公演再開後の拍手は、愛そのものが乗っているのでは?と感じるようだったと、そしてそれを「開演前も終演後も、毎日袖で、胸に手を当てて拝聴しておりました」と教えてくださった一言。
本当に胸に沁みました。
こちらからの愛もしっかりと受け取ってくださって、ありがとうございました。観客として拍手をお送りできて幸せでした。

全力で咲き誇る花組を率いるそのあたたかな愛に、これからもついていきます!

れいちゃん大好きです!!!!!
(※書いて自分で動揺したので逃げるように走り去ります!ギャーッ!)

宝塚花組「The Fascination!」感想(※ほぼすべて柚香光さんのお話)

先日下記で花組お芝居パートの記事をあげましたが、今日はショー「The Fascination!」の感想です!
anagmaram.hatenablog.com

ショーのほうはポスター画像のURLないんやな!ってなったので秒指定でショー部分の初日映像を貼り付けてみた。
youtu.be

お芝居と全く同じなんですが字数がやばいことになりすぎるので、本当に潔く柚香さん(+まどかちゃん)の話ばっかりしています!!!
もうこいつはそういうやつなんやな!ということで、需要がそこにお有りの方に喜んでいただけましたら、たいへん幸いに存じます!

柚香さんの出ている場面ごとに、ただひたすら書きたいことをぶわー!と勢いに任せて書いております。
(読み返したら「ある愛の伝説」だけ書き忘れたことに気づいたけど、字数の関係でもうこのままいく~!笑)




幕開けに咲き誇る大輪の花/プロローグ

オケピから現れて銀橋センターに立つ柚香さんがパッ!と真っ白いスポットライトに照らし出されたその瞬間、「うわぁ!柚香さんが咲いてる!」って思いました。
花弁をイメージしたという、オペラピンクの鮮やかでフレアのたっぷりとしたお衣装をまとう柚香さんは、まさに存在が花そのもの。
歌いながら優雅にくるりと何度もターンをするたびに、ふわっとまあるく円を描く豊かな裾の広がりは、まさにお衣装の狙い通り、花びらのよう。
圧倒的な存在感を放つ柚香さんの後ろに、組子全員がステージ上は花道までぎっしりと埋めて勢揃いする幕開きは、まさに圧巻でした!
コロナ影響でAB日程に分かれていた公演しか見たことがなかったので、花組の組子全員がステージに立つ演目を見るのは私は今回が初めてだったんですが、
様々な色合いのピンクのお衣装に埋め尽くされたステージの華やかさといったら。
何よりもそこに咲いている、花組生の笑顔の美しさといったら……!涙


銀橋にいる柚香さんはそのまままどかちゃんを優しく迎え、二人で歌いながら背中合わせになったり、最後は乾杯するように手を掲げあったり。
その端々で笑顔で視線を交わし合うれいまどは、とにかくウキウキと楽しそう。
更にそこから下手袖に手を繋いではけていく時なんですが、銀橋を渡り終える瞬間と、袖に入っていく瞬間の2回、必ず!まどかちゃんを振り返るあの柚香さんの優しさが、本当に大好きです。。
そういうちょっとした仕草に相手役さんへの愛が自然と溢れてしまうところ、柚香さんの魅力を語る上では絶対に外せないポイントだなぁと思います……!

その後もどんどん繰り広げられる、洒脱で自然と心が浮き立つような曲調に乗っての銀橋での歌い継ぎと、同時進行で舞台上でメンバーを次々に変えて繰り広げられる、ゴージャスな群舞。
演出の中村先生が「生徒一人一人の顔が見えるように」と考えて作られたという今回のショー、本当にそのとおりで、
とにかく下級生までよくお顔が見えるためどこを見ていても楽しいです!

プロローグの最終盤、お衣装にピンクの羽飾りが増えてゴージャスになって戻ってきた柚香さんのダンスがすごく好きなんですが、
今回のショーはまずここで最初に「柚香さんの体から楽器の音がしたー!」って思いました。だって音、聞こえるんだもん!
初日を見ていたときに、ぐっと踏み出した柚香さんの右足のつま先から「パッパー」ってトランペットの音がね、明確にしたんですよ……。

音ハメとかいう次元を超えて、どこまでも音楽と一体となって、全身をメロディの中に自然と溶け込ませるように踊る柚香さん。
メロディに乗りながら、優雅になめらかに踊る印象が強い今回のショーの振り付けは、
この柚香さんの「音楽と一体化する能力」の突き抜け方が、とても可視化されやすいなぁと思います。。たまらんのです。。見てる間の幸がすごい。
ありとあらゆる楽器の音がするので本当にびっくりしちゃう、だって他の誰を見ていてもそんなふうに感じたことがない。

柚香さんの場合、ただ単にリズム・拍をぴったりと合わせることに長けているだけじゃなくて、その楽器の音色まで捉えて自分の動きの中に取り込んでいらっしゃるような気がするんです。
ハリのある金管楽器の高音や、クラリネットやサックスの木管楽器のなめらかさ、パァン!と広がるシンセサイザーの力強さ、
そういった楽器ごとの音色の特徴が、その音が発せられる瞬間の柚香さんの動きに乗っている気がして。
その類まれなるご様子に、何度見ていてもハッとさせられてしまいます。大好き!!!

「人ならざるもの」の危険な魅力を存分に発揮/食虫花

危険すぎるやつ……野獣に続いてまた人間ではない柚香さんなわけですが、今回醸し出している「人外」感はまた新たに、ちょっと凄まじいですね。。
ここはムラ序盤と東京公演で、また全然雰囲気が変わった場面でもあるなと思いました。
ムラで一番最初の3公演を見たときは、妖艶な笑みを比較的たっぷりと浮かべていて、ニヤリとしながら明確に意志をもって蝶を捕らえにいっている感じだったんですが、
東京公演ではもっとこう、恍惚とした雰囲気というか、どこかある種のトランス状態のような……自我を宙にふわっと彷徨わせているような、とても不思議な瞳をしていて。
その視線はどこか遠くを見つめているようで、あまり表情を動かすことがなく、その分時折チラリと笑みが横切る時のぞくぞく感が半端ない。
東京公演の最終盤では、踊りながらたまに瞼を伏せる瞬間もあったように思います。
無機質なようでいて同時にエロティックで、なんとも表現しがたい魅力に溢れている!


そして明確に”ジョジョ立ち”イメージと言及された、あの問題の!上腕タトゥーの見える、例の腰の入った危険すぎるポーズですが、
あそこでひたり、と静止しているところ、全くまばたきをしないのですよね。。
いや、怖ー!!!ってなる、まさに人外の存在感。
そこから目だけをすいっと横に動かして、指先だけで動き始めるところは、
獲物=蝶のまどかちゃんを見つけて狙いを定めたことがわかるので「ギャー!」ってなります。まどかちゃん逃げてぇぇ!!!

途中、他の蝶たちの娘役ひとりひとりをふわりと次々に捕らえていくところは、そのひとりずつにごく僅か笑みを見せるのがたまりません。。
あれは笑いかけられる側の娘役の皆さん、内心「ウワァァァ!」ってなるだろうな……とくに下級生!って思ってしまう、それくらいにささやかなのにとっても危険な笑み。だって食べに行ってるんだもんね。。
あそこは蝶の最後のひとりが、退団していく同期であるしょみさんなところにもぐっときます。。涙


そして最後にいよいよまどかちゃんをおびき寄せ、手中に捕らえることに成功し、柚香さんの食虫花は蝶を抱きかかえてせり下がっていくのですが、
スポットライトが消える直前のギリギリ、真っ暗になるほんの一秒前になって満足げにじわっと笑顔を広げ、そのまま舞台上からいなくなるのです。。
「わ、笑った……!」と呆けるこちらはその世界観にやられて、毎度息を止めて見てしまいます……怖いよ~~!!!
そうして笑顔になる直前はまず無表情でぱくっとお口を開くので、ウワー食べる気満々やんけ!!!!ってなるんですよね、まどかちゃん逃げて!(無理そう……美味しくいただかれてしまうのか!南無三!!!)
あれは、ライトが消えるタイミングまで完璧に把握した上で、最後に笑っていなくなることが計算され尽くしているのだと思うので、もう、参りました……!の気持ちです。参りました!

際立つ「心愉しさ」の詰め合わせ/中詰

中詰、始まりの歌手のまどかちゃんがほんっとうにかわいい~~~!!!!!!
お衣装も素敵!ミモレ丈のたっぷりとしたハリのある異素材が重なったスカートも、手に抱いたすみれの花束もとにかく要素が可愛い!
<宝塚の娘役>のエッセンスを凝縮したようなすみれ色のドレスで歌いながらひとり銀橋を渡るまどかちゃん。
ラスト近辺のあの「私の思い」の高音のツヤと伸びが本当に見事です!客席に背を向けているポーズなのがまたかっこいいんだぁ。

そしてそのまどかちゃんの華やかな歌声に誘われるように、柚香さんがステージ中央に一人立つ「すみれに捧げし歌」が始まります。
すみれの花咲く頃」を、ゆったりと落ち着いたアレンジにしたローテンポの旋律に乗り、
この曲そのものを全身で体現するかのような、シンプルなのにとても饒舌な、詩情あふるる柚香さんのひとつひとつの動きは、まるで一編の物語を語るかのよう。
なんでか、見てるとどうしても涙が出そうになるんです。。
その表情は、花組の歴史を繋いでいく確かな自信と覚悟に溢れたような美しさで……
振りの最後にふわっと両手を交互に体の横に配置するその動きだけで、トップスターであることを証明できるような、それほどまでに美しい動きなのです。
柚香さんが今花組のトップスターでいらっしゃることを改めて祝福したくなるような、この世界に感謝したくなるような、そんな大切なひととき。


そこからリズムがぐっと変わり、ジャジーなアレンジでテンポアップする「すみれの花咲く頃」。
耳馴染んだメロディなのに、うわぁこんなの聞いたこと無い~!って気持ちで心が自然と浮き立つのですが、
そのメロディに乗ってステージ前方に進んでくる柚香さんの、まぁ心底楽しそうなこと~~~!!!楽しそうな柚香さんは本当に最高!!!
ここもほんっっとうに、柚香さんの全身から、めちゃくちゃ楽器の音、しまくります。
サックスのぶわんと広がる、質量がありながらも同時に軽やかなあの音色の感じが、柚香さんのダンスとすごくシンクロして聞こえてくる!
途中でチャッ☆と2本指で宙に何か(※ときめきだと思う)を飛ばす振りとか、もう「楽しい~!!!」ってお顔じゅうに書いてある感じで。
そんな柚香さんみてるとこちらも勝手に笑顔になってしまいます。再び、幸がすごい。


そしてその後ステージ上に組子が揃い、その中央で柚香さんとまどかちゃんが組んで踊るのですが、
ここはさっきまでの「楽しい~~!!!」がきっちり二人分になっていてもう手がつけられない、止まらない。なんて楽しそうな二人なの!?
最初の両手をとっての背中合わせターンからスピードが出すぎているし(柚香さん、まどかちゃんのことひねり倒す気か!?ぐらいの勢いで回す笑)、
ターンする時もしゅっとかぴゅっとか音が聞こえてきそう。
柚香さんがまどかちゃんの背中を支えて思いっきり後ろにのけぞらせて、そこからまどかちゃんがグオン!って起き上がってくるところも勢いが付きすぎてて、
見ていて「これそのうち顔ぶつけない!?」って思うくらいでした。
その後間髪いれずにまどかちゃんによる柚香さんのお鼻ツン♪が入るのですが、それを受けた柚香さんの表情も回によって全然違ってて!笑い声漏らしちゃう時もあった!
いや~~~、ほんとに楽しそうすぎてびっくりする!最高!幸せ!!!


その後中詰でも、たくさんの生徒さんの銀橋歌い継ぎが!
プロローグ同様、後ろで踊る群舞メンバーがくるくると変わっていくのも楽しくて!見せ場しかないショーだな!?ってなります。
最後はひとこちゃんをセンターとした上級生メンバーでしっかり締める感じの群舞で終わるのですが、
その後にはじまる柚香さんとマイティーさんwithしょみさんの「ザ・95期」の場面。
ここ、初日見てて後ろの階段で歌ってる娘役がしょみさんって気づいた時、思わずびゃ~!って涙でました。。3人での出演はこれが最後なんだ……

ほんのりアラビアンな感じのメロディで、バチバチにかっこよく並んで踊るれいまい。いやこんなの、好きじゃない人いる!!??おらんやろ!!!ってなる。
踊りの空気感からしてもう噛み合い方というか、しっくり来る感じが、お互いに特別なことがわかる気がするというか。。
階段上でスタンバイするときにちらっと視線を絡め合う瞬間から、見ていてもう「あ~~~~!涙」になっちゃう。

グラフ2月号を読んでて笑ったポイントなんですが、「笑顔でれいを追って階段を駆け上がっている日があった」というマイティーさん、
私が東京で見た1月30日ソワレ・2月5日マチネともに、まさにそんな感じに見えました!わりに必ず、笑顔だと思う!笑

そこから華やかな中詰のラスト、「召しませ花を」。
とことん「花」がテーマに据えられた今作、当たり前なのですが花組に本当にぴったりというか、ひとりひとりが咲いていて、もう組全体で大きな大きな花束だ~!って気持ちになります。
ここもまた楽曲がお洒落!一緒に揺れたくなる、すてき!
軽やかにリズムにのる生徒の皆さんひとりひとりが楽しそうで、手拍子しながら幸が溢れてとまらぬ!という思いです。最高。

まばたきも、呼吸すらもしたくない、それほどに集中して見ていたい/ピアノ・ファンタジィ

1988年上演の演目をオマージュとして披露する、その歴史こそが宝塚!という気持ちになりますが、
この「ピアノ・ファンタジィ」が私は今回のショーでやっぱりいちばん好きなのかも……!

ほのかちゃんのピアニストのソロダンスから、鍵盤のロケットへと展開し、
そこから柚香さんを中心とした「ラプソディ・イン・ブルー」が始まるのですが、ここからの数分間がもう、幸せすぎて。


ほぼ原曲そのままのクラリネット・ソロに乗って踊りだす白燕尾の柚香さん。
揺らめくように優雅に音に乗り、ひとり舞うその姿は、舞台上に流れる伸びやかなその音色そのもの。
伸ばした指先で空気をふわんと揺らすような振り付けとか、本当にちょっとした動きでしか無いのに、柚香さんだから見応えのあるものになる。
旋律はピアノにバトンタッチされ、引き続き音数の極めて少ない静謐な空間の中に、柚香さんのダンスがどこまでも豊かに広がっていく。
そこから楽器がバン!と増え、ライトが付き、楽曲のアレンジが変わってアップテンポになる「始まるぞ!」の瞬間。
場面に出演している男役・娘役が全員、本当に堂々とかっこよく踊っていて、
そしてそれを紹介するように手を差し伸べて振り返る柚香さんの姿が、どこかとても、誇らしそうで嬉しそうで。
とにかくまじで全員が素晴らしいー!!!って気持ちでいっぱいなんです……!!!この場面、どこを切り取っても心の底から好きすぎる。


あとまどかちゃんがね!本当にすごいよね!!!
たった一人で舞台に出てきて、またしても限界まで絞られた楽器の少なさで踊るの、ごまかしとか一切効きようがないし……
絶対にとてつもないプレッシャーだと思うのに(トップ娘役とはいえ、あそこまで負荷が娘役ひとりだけにかかることってなかなか珍しい気がして)、
本当に堂々とした笑顔で踊っていて、かっこいい!!!の一言です。可愛くて、同時に最強にかっこいい。見るたびに見惚れてます。
あそこを一人で魅せきることができるのは、本人の実力とかスター性とかいろんな要素がないと難しいと思うのですが、完璧に自分のものにしているまどかちゃん、何度見てもすごすぎる。

そしてその後、男役と娘役が5ペア組んで踊る場面のリフトなんですが、
あの一番最後のやつ、何をどうやってるのか何回みてもよくわかりませんでした!笑
「え、まどかちゃん、柚香さんのどこに乗って……?いや、どこにも乗ってなくない?」みたいな。
なんだろう、腰骨?いやそこ、もはやお腹では?まじでどうやってる???
あれを軽々とやっているように見えてしまうの、本来あるはずの体重をまるっと無視していて、あれはふたりとも体幹が凄まじい強さなのだろうなと感じます。本当にどうやってるの……?笑


1月30日の公演再開日に見た時、ピアノ・ファンタジィの柚香さんはさらに「軽やか」になっていました。
羽が生えているようだってこういうときに使うべき比喩なんだな、と思う感じの。ふわりと全身で美しく宙に舞う。
「舞台に立つことが楽しい」気持ちを凝縮して突き詰めて、そこに生み出された新たな領域は、ちょっとなかなか、辿り着けるとは思い難いもので、
公演中止という厳しすぎる現実を経て戻ってきたときに、力むのではなくて反対にさらにこんな風に進化してくるなんて……と、まさしく度肝を抜かれました。


踊っている柚香光さんを見ていてしか得られない心の栄養素が確実にあって、
私にとってはそれがふんだんに詰まりまくっているのがピアノ・ファンタジィでした。
あまりにも全ての瞬間が見事で、最終的に柚香光さんはラプソディ・イン・ブルーという曲の概念を具現化した存在、この楽曲の化身なのでは?と思うようになりました。

柚香さんのダンスのちょっとした独特のニュアンスというか……音やリズムの捉え方、空気感の作り出し方、これが好き!の連続で、
言葉にできない、実物を目で見ることでしかその魅力が伝えられないかけがえのないものが溢れていて、まばたきどころか呼吸すらしたくないと思いました。
見ることに全集中していたくて、この瞬間すべてを取りこぼしたくない思いでいっぱいになる。
そして最終的に、踊っている柚香さんを見ているだけで勝手に涙が滲んでくる。ああ、これはもう奇跡なんだな、と思いました。

今回オマージュとして取り上げてくださったことに、心から感謝したいです。。
この柚香さんが見られた現実に、本当に幸せを感じました。
オリジナルの1988年上演「フォーエバー!タカラヅカ」はまだスカステで巡り会ったことがないのですが(放送されることもあるかな?)、大浦みずきさんの姿も、いつか見てみたいです。

人が人を想う心のあたたかさが、目に見えて広がっていく/心の翼

花組で、大切に歌い継がれてきたという「心の翼」。
わたしがこの曲を現地で聞くのはこれが初めてだったのですが、心がざぶざぶと洗われるような体験でした。


歌い出し、銀橋にひとり立つ柚香さん。
ソロ歌唱の後半、上手側から順にぐるっと舞台上の組子を見渡すその背中が本当に大きくて、
この状況下におけるトップスターという役目、どれだけ大変な重荷を背負っているのだろうと思うのに、だけどその両腕で抱いているのはまごうことなき「愛」なのだなと感じさせられて、
見るたびに泣かずにはおれませんでした。

真っ白なお衣装に身を包んだ花組生たちが、それぞれに心を込めて歌う姿。
シンプルに「立って歌っている」だけの光景なのに、魂を揺さぶるエネルギーに満ちていて。
ムラ千秋楽の配信でまどかちゃんが泣いていた、あの頬を伝う涙の美しさ、そしてそれを優しく手で拭った柚香さんの仕草も忘れることができません。


真っ青な背景と衣装のコントラストも目に沁みるほど美しく、最後に舞い散る紙吹雪のきらめきが、生徒の皆さんの笑顔や涙に重なって。
そこにあるのはなにか表面的な美しさなのではなくて、心映えそのもの、本質的な人のあたたかさから、生まれる光だったのだと思います。
「嘆きさえも愛しい 息づきだから」とか、歌詞を読んでいるだけで泣けてしまう。
愛されて長く歌い継がれてきた理由がよくわかる名曲だなと思うと同時に、
今回の花組公演の中にこの曲が存在していた意味に、思いを馳せずにはいられません。

あの景色の真ん中に立ち、あたたかく全てを包むこむような慈愛に満ちた表情で歌っていた柚香さんのこと、絶対に忘れないです。
組子のことも客席のことも、ぎゅっと深く抱きしめるみたいな。
その責任や重圧に対してファンはなにもできはしないのですが、あなたがそうして届けてくださる芸事の素晴らしさを、どうか今後も楽しく受け取らせてください!と、ただ静かに願いました。
エンタメがエンタメである、その矜持を守り抜かんとする花組の、柚香さんの姿を見ていて、
ああそうだ、私達観客はそれを純粋に「楽しむ」ことこそが、彼らに愛を返す方法なのだと改めて目を開かされる思いでした。

美しすぎるお顔の記憶に支配される黒燕尾と、愛が加速&過熱するデュエダン/フィナーレ

今回はフィナーレも長いんですよね!ほんとに観劇が楽しかった!
いきなり黒燕尾の話をするのですが、、あの、、、柚香さんが美……。(お察しのとおりここで突然IQが下がりました)


記事を書く前に、見たばかりのはずのマチネの自分の記憶を辿っていたんですが、
他の場面だと具体的に好きな振り付けがたくさん湧いてくるのに、黒燕尾に関してだけ「……あれ、おかしいな?」ってなって。全然振り付けが浮かばないんですね。

たぶんね私、黒燕尾はほぼ顔しか見てない。笑
だって、あまりにも美しいから。。

本当にスタンダードでシンプルとしか言いようのない黒燕尾をまとった柚香さん、
そのシンプルさゆえにお顔のつくりの美しさが輝きいでんばかりで……!
あまりにも美しいので、銀橋に出てくる時に「アッだめです!そんな!近くに来ないでください!」ってなります。(だめではない)(嘘です嬉しいです)
曲がまたさぁ~~~!ひまわりのあの!哀愁に満ちた大人の切なさが溢れ出るメロディーが!
それを英語で歌いながら娘役群舞を背景に銀橋を渡る柚香さん……どうしたってキャパシティを超えてしまうんですよね。。
だって美なんだもの。なんであんなかっこいいか!!?
フォロワーさんともひとしきり盛り上がってしまったんですが、それまでさんざん見ていたはずなのに、あの場面で新鮮にかっこよさに動揺するの、本当になんなんだろうか。笑


前作のジョバイロ群舞も大好きでしたが、今回のフィナーレ群舞もまた、絵作りが本当にかっこよくて~~~!
舞台上に横一列に広がった娘役と、オレンジ色の電飾がまばゆく灯る大階段に対角線を作るように、斜めのラインでスタンバイする男役。
そしてその光景を銀橋の上手端から見つめる柚香さん……この光景の全てが!美しすぎる!!!

このあと舞台上に戻ってからの男役黒燕尾の群舞なんですが、先述のとおり、お顔ばかり見てしまっております……
お正月にあったNHKBSプレミアムでの放送録画を見返しては「あ、うんうん、こういう振り付けしてたしてた!」ってなりはするんですが、
にしたって!一番フレッシュなはずの今日のマチネの記憶で振り付けが出てこなかったの、本当に我ながらどうかと思う。笑
前髪の右側のあのシケが!またたまらんのですよ……いや、なんでそんな美……?(最終的に諦めてしまった顔)
スターシステムそのものを可視化するかのような、ピラミッド型の陣形を大階段下から作り出す男役たち、
そしてその頂点で最後一人だけ脚を折らずにすっくと立ち、ライトの中に振り返る柚香さん。ギャ~~~!!!ですよこんなの。。
さいこうにかっこいい場面をありがとうございました……!


黒燕尾のあとは、トップコンビをのぞいた組子全員での「情熱の花」が始まるのですが、
最初に見た時「え~~!フィナーレなのにまだこんなに色々やってくれるんですか!?」って大喜びしてしまいました。笑 ここ、めっちゃ楽しいよね!
あれ中詰もっかい始まった!?ってなる感じでびっくりしました。
ここも銀橋に出るメンバー、群舞で背景を担うメンバー、まじでどっちを見ていても楽しくって!!!
とくに娘役さんをじっくり下級生に至るまで見られるのが嬉しくて(髪型が本当に個性豊かでひとりひとり違っていて、可愛い!!!)、
花組全体への愛が爆発しそうになります。楽しい・可愛い・かっこいい!!!
個人的には最後の群舞で美羽愛ちゃんが長めにセンター張って踊っているのが大好きです。一見ボブに見えるみたいなあのポニテもメッチャ可愛い~!


そしていよいよ、ラストのトップコンビによるデュエットダンスへ。
歌から始まってここでもまた贅沢を感じる……本当に様々な見どころを作ってくださっているのが、さすが100周年を記念するショー!
ミントグリーンの艷やかなお衣装、ここに来てピンクではなく全然違う色なのでぐっとメリハリがついて、これもまた良き!
まどかちゃんのドレス、フリルの幅がとても大きいし布地もしっかりしていそうなので、スカート捌き難しそうに思うのですが、
難なく美しく踊りこなしているのでこういうところも本当にスーパー娘役さんだな……と嘆息いたします。


ここはもう、どんどん深まっていくお二人のやり取りに釘付けでした!
バチバチしている感じというより、しっかりと矢印を向けあっているというか、「私はあなたを想っています!」同士の、わかった上での駆け引きみたいな感じ。
ここで踊られる薔薇のタンゴは短調の楽曲ですが、ベースにやっぱり「楽しい!」がある感じで。
最後にもうひと場面、見せ場作りますか!よっしゃいきますよ!って具合に、お互いに息がぴったりというか。

そんでもって、柚香さんのまどかちゃんの煽り方がまたすごくって……表現として煽り方でいいのかわかんないのですが、他にうまい言い方が見つけられずにいる!笑
娘役に追いかけられて男役がつれなくする、みたいなパターンのデュエダンは珍しくないと思うのですが、
なんだろう……「もっと来いよ」系デュエダン?笑(なんだそれは)
もっと来いよ!ってほど強くないんだけど、いやでも、うーん、やっぱりあれは来てほしそう。グイグイ迫って来てほしい、まどかちゃん、カモン!!!って感じに見える。笑
ちょいちょい首を横に振ったり、離れたところにいるまどかちゃんに対して指をクイクイってしたりして。いや柚香さんほんとなんなん!??愛が!愛がすごいわ!!!


振り付けでもドキッとさせられる場面が多いこのデュエダン。
背中を反らせたまどかちゃんの後頭部を支えながら、その顔の真上に向かって柚香さんが一瞬ぐっと顔を近づける振り付けがあったりするんですけど、
あれを受け止めるまどかちゃんの胸中はいったいどうなっているのだ!?ってなります、あんなの心臓止まっちゃわない!?大丈夫!!?笑
2月5日マチネでは、上手側にいる後半で柚香さんがまどかちゃんの手を掴んだまますっと引きよせて、手の甲にキスを落とすようになっていましたし。。1月30日に見たときはやってなかったと思うんですが……!?
そのあとのリフト。回転の美しさが見事なのは初日からでしたが、ほどき方がゆっくりとした離れがたいような動作になっていて、
絡めた腕をほどきながら最後に柚香さんを見上げるまどかちゃんの視線がまた!熱い!ヒィーー!!!
銀橋に出る前はお互いにキスを送り合う感じの振り付けなのが最高に好きです!まどかちゃんは両手を差し伸べるように、柚香さんは粋に右手をしゅっと投げる感じで!


2月5日のマチネの出来事なのですが、銀橋に出た後に離れた位置にいる上手側の柚香さんが、またしてもちょっとだけまどかちゃんにむけて首を振り。
そこから先に銀橋0番にたどり着いた柚香さんが、手を差し伸べてまどかちゃんを待ち構えるのですが、
そうして柚香さんが差し伸べた指先に、するりとあわせてまどかちゃんの「顔」が滑り込んできたのです。
伸ばされている手の位置に手がたどり着くならわかるんだけど、え、いや顔!?顔ダイレクトアタックでそこそんな、ジャストフィットいける!?ってなって本当にびっくりした。
柚香さんの手を出した位置も、飛び込んでいくまどかちゃんの間合いも、双方が完璧にピッタリだったのだろうなと。
お互いに相手と呼吸を合わせよう!としているからこそ生まれる、とても芸術的な一瞬で、本当にお見事でした!



私が最初にこの作品を見たのは、実は去年の11月6日なので……ようやく感想をまとめることができました。。
無事に前楽の幕も降り、あとはもう、大千秋楽を残すのみ。


永遠のように思われた公演中止期間を経て、この厳しすぎる状況下で最後の1週間を、舞台上で演じぬくために戻ってきてくれた花組
いったい、どれほどの困難があったことかと思います。
そしてそれを越えた先に、こうして純粋な「楽しさ」だけをパワーアップさせて届けてくれた花組の皆さんが、本当に本当に大好きです。感謝の気持ちでとにかくいっぱいです。

千秋楽の幕が開くことを、最後までしっかり祈ります。明日は配信で見届けるぞ!

愛してるよ花組~!!!

宝塚花組「元禄バロックロック」感想(ストーリー全体とクロノスケ&キラについて)

宝塚花組「元禄バロックロック / The Fascination!」の2本立て。
れいまど大劇場お披露目公演の本作は、東京での長い長い公演中止期間を経て、ついに1月30日、劇場に戻ってきてくれました。
kageki.hankyu.co.jp


始まる前は「忠臣蔵ファンタジー」「クロックロマネスク」の能書きを読んで疑問符ばかりが脳内に湧きまくっていましたが、
見てみると予想していたより全然わかりやすく、そして何より最高のハッピーエンドでした。
時間SFとして破綻しない範囲で話をしっかりとうまくまとめて、その上で上質のラブロマンスを生み出したな!という印象です。
一言でいうとシンプルに「このお話、めっちゃ好き!!!」でした。
特定の観劇回の感想というよりも、まずはお芝居について、作品全体+トップコンビの感想を書きます!
そして私がクロキラに夢中すぎるあまり、本記事ではお芝居中のその他の要素についてまったく触れられておりません、予めお詫び申しあげます。。!

※本当に今更!ではありますが、ガッツリとネタバレしているので以下閲覧はご注意をお願いいたします。




キラが秘め続けた思いと願いが、明かされる前から涙を誘う

愛するクロノスケが仇討ちで死んでしまう未来を変えるため、同じ時間軸をひとりで何度も繰り返し続けるキラ。
キラは物語の中盤までその秘密をクロノスケにも隠し続けているため、「背景は明かさないものの、なぜかクロノスケの事情にやたらと詳しいことだけはわかる」という、謎めいた言動を繰り返すことになります。

「彼女には何か隠されている背景がある。けれどそれが何なのかわからない、でも触れ合っていると、なんともいえずに懐かしい気持ちになる……これは一体何なのだろう?」

隠し事があることは理解しながらもキラに惹かれているクロノスケのそんな心情が、初日観劇時点でのこちら側の感覚とぴったりとリンクしたのが、すごく忘れられない体験でした。

クロノスケ自身が物語冒頭から<時を戻せる時計>を持って登場するので、キラもおそらくその類いの行動をとっていることはもちろん展開として予想はつくのですが、
でも全てが明かされる前に予感だけで切なくなって泣かされたことに、後から本当に驚いたんです。
それって取りも直さず、そこにあるお芝居の力の強さによるものだと思う。そのことにものすごく感動しました。


それを実感した場面は、言わずもがなですが「花火きらきら」です。
屋敷から姿をくらましたキラを連れ戻そうとやってきた父・コウズケノスケ配下のくノ一と、コウズケノスケに復讐を果たしたいクラノスケの二手から追われ、
<時を戻せる時計>の力を使って賭場からなんとか逃げ出したクロノスケとキラ。

追手を振り切った後、クロノスケはキラに対して、どうして自分が持つ時計の秘密を知っているのか、キラは自分の味方だとは言うがいったいどんな事情を隠しているのか、本当のことを教えてほしいと詰め寄ります。
キラはそれを承諾しながらも「でもまずは、せっかくのこの綺麗な花火を見ながら、楽しくデートしましょ!」と笑顔で提案します。
はぐらかされたのかと怒りかけるクロノスケを制して、「違うの!……本当に、夢だったの、ずっと」と、切羽詰まった声色で告げるキラ。
約束でしょう!?とせがむ彼女に気圧されて、クロノスケが思わずデートを承諾すると、キラは「…ぃやったぁ!!!」ととびきりの眩しい笑顔を弾けさせます。
クロノスケはその変化に呆気にとられ、これまでは”寂しく笑っていた”はずのキラが突然明るく笑っている事実に戸惑うのですが、
そう問われたキラは「失礼ね、当たり前です!……嘘、今日だけ。」と笑みを落としてつぶやきます。

ここの一連のまどかちゃんキラのお芝居、本当~~~にグッと来るんです!!!
まだ話の筋を何も知らないはずの初日の段階で、なぜかこのやりとりを見ているだけで自然と胸が締め付けられる感覚になり、
二人が銀橋に出ての「花火きらきら」を聞きながら、自分でも訳のわからないままにぼたぼたと涙を流していました。
予感だけで泣かされるお芝居だったことに、見終わった後にしみじみと嘆息しました。拍手喝采だった。

その後、展開を知った状態での観劇でも、「花火きらきら」の場面では毎回漏れなく泣かされています。
曲自体も魅力的で、明るいのに切ないメロディも本当に秀逸。

花火という存在の儚さに、限られた時間の中に輝く命そのものが重ね合わされているような珠玉の場面だと思います。
銀橋のクロノスケとキラの背景で静かに踊る花組生の群舞も本当に美しい。
たとえどんなに短いひとときでも、同じ時間を生きている事実が重なり合ったその瞬間には、いったい幾程の感情が詰まっていることだろう。
夜空を眩しそうに見上げて笑う二人は、今たしかに隣同士にいる。
でも本来であれば、不慮の別れで永遠に切り離されたはずの関係性だったのだ。なんてことだ……!
物語全体を象徴するようなワードが散りばめられた歌詞も、聞けば聞くほどに切なく、本当に大好きな場面です。


キラにとってあの花火の夜は、クロノスケを救う果てのない旅に出た中で初めて掴んだ成功の糸口、ようやく手にできた到達地点だったのでした。
裏を返せばこの「ずっと夢だった」夏の花火にたどり着く前に、キラはいったいどれほどの別れをクロノスケと繰り返したのだろう……。
その苦しさも終わりの見えない寂しさも、彼女は自分以外の誰とも分かち合うことはできなかったのだと思うと、どれだけ健気で強い子なの、キラ!?ってなってしまう。
でも彼女だって元から強かったのではなくて、閉じ込められていた屋敷からいきなり放り出された形になった最初は、むしろものすごく弱い存在だったはず。
クロノスケにかつて教わったのであろう、からくりの知識をなんとか頭の中に手繰り寄せてまずは時計を完成させ、その後はたった一人で時間を漂う旅に出る。
そうして究極の孤独を背負って戦う日々を繰り返し続ける中で、彼女は強くならざるを得なかったのでしょう。せつなすぎる。。

コミカルなだけじゃない、運命を”リセット”するクロノスケ渾身のフォロースルー

クロノスケはキラから全ての背景を聞いた後、彼女が作り上げた<時を戻せる時計>を「あなたの思うとおりにして」と託された結果、思い切りよく川にぶん投げてしまいます(…ほんとは違うけど笑)。
どうしてもあのシーンは二人のやり取りのコミカルさが全面に出てくるので(だって面白いよね!?)つい忘れてしまいがちになりますが、
あの瞬間に初めて、キラはようやく”独りぼっち”ではなくなったんですよね。

クロノスケが時計を捨てたのは(いや捨ててないんだけど笑)、その言葉どおり、キラを「時間という牢獄」から救い出すため。
キラの告白を聞いたのちのクラノスケは、自分の身の内にこみ上げるキラへの愛しさが押し留められずにどうしたらよいかわからない、といった表情をしていました。

自分がなぜか不思議とキラに心惹かれると思っていたのは、本当は彼女とはずっと以前に巡り会っていたからだった。
そして彼女は人知れず、自分を救うただそれだけのために、文字通りに身を捧げ続けてくれていた。
その重みを噛み締めたクロノスケは、キラの思いに正面から応えて彼女を救う決意を固め、
本気でこの先の未来を変えるべくキラと二人で力強く走り出すのでした。

でもその行き先はバラバラです。
事情を全て知ったそのタイミングで、本当は離ればなれになんてなりたくなかっただろうに(実際のところ離れがたくなりすぎているクロノスケがかわいい)、
これからまだまだ長い未来を共にするために、今は互いを信じて、いったんは別行動を取ろうと決める。
そのなんともいえない二人のバディ感が、すごく好きです!


「だからもう、終わりにするの」と、クロノスケが生きる未来と引き換えに永遠の別離を覚悟したキラの手を、
クロノスケは絶対に離さないと決めた。
キラがたった一人で必死で繋ぎ止めてきた二人の縁。
破天荒に思える手段で現実をぶち抜いてそれを成就させようとするクロノスケは、
キラに負けないくらいに大きくて深い愛情を、全力で返しているのだと思いました。

わかりにくさが丹念に排された、ストレスなく見れるエンタメ良作

イムループものというか時間SFってどうしても話の整合性が気になりがちなところが難しいなと思うのですが、そのあたりの細かい部分はうまいこと処理できている脚本に思えました。
時計を使う本人だけが、経験済みの記憶を保持したままで、過去の特定時点の自分に戻ることができるのかなと理解してます。*1
破綻がないことを大事にしがちな観客なので(よくいるめんどくさいオタク)、そのあたりの理解のストレスが全然ないのが嬉しかったです。
下敷きにしている忠臣蔵の超ざっくりとした知識があれば十分でしたし(というか最初にタクミノカミ様たちが説明してくれるし)、これといって難解な部分はなく、個人的にはとてもスッキリ楽しめるファンタジーだったと感じました。
セットもお衣装もとても華やかでゴージャス、まさにバロック×元禄文化なのね!と言いたくなるような世界観で、幕開けからワクワクさせてくれるカラフルさ。
目にも心にもしっかりと楽しい、満足度たっぷりの演目でした!


何よりも、新トップコンビ大劇場のお披露目にあたり、ハッピーで明るい話を書きたかったと言ってくれた谷貴矢先生には、感謝の気持ちでいっぱいです。。
見ているだけで気分が自然と明るくなるこういうハッピーなお話を今この厳しいタイミングで見られることが、本当にありがたくて。
<キラキラした多幸感につい泣いてしまうラスト>で終わる作品が、私の中では好みのひとつの型になってるんですけど、今作はそれにドンピシャでもありました。
見終わった後は毎度「……楽しかったな~!!!」と最高にふくふくした気持ちで嘆息してます。谷先生、最高の大劇場お披露目演目をありがとうございました……!

見ているだけで幸せが溢れるカップル、クロノスケとキラ

書き下ろし・スターへの当て書きである完全新作の威力を、今回またしても思い知りました。ふたりとも本当に!魅力的です。
クロキラのおふたりの可愛さに、とにかく愛おしさが溢れまくります。。

柚香さんのクロノスケは、ど真ん中な感じのザ・主人公な造形が何気に新鮮というか、この方向性、わたしはまだちゃんと見たこと無いやつ~!と思ってすごくテンション上がりました。
いやもうかっこいいのは当たり前なのでかっこいい以外のことを言った方が……と思うんですけど……かっこいいですよね(完)。
豪華な刺繍入りマントを羽織ってエドの街をぶらついたり、賭場で時計の力を使って(使えてないんだけど笑)やりたい放題の儲けを出してみたり、女の子を口説いて失敗してみたり。
ちょっぴり退廃的な空気感の中にだだ漏らされるなんともいえない色気が!ウィッグも素敵!!落ちかかる前髪の陰に輝く黒い瞳がうつくしくて!アーかっこいいです……!!!
ひとこちゃんのクラノスケとのやり取りでは、飄々としているだけに見せかけて互いに腹の中を探り合う緊張感がたまらない。
今作では刀を振るう立ち回りもたくさん見られますし、お衣装もいろいろあるし、あとはまさかのメガネまで!!!あの銀フレーム丸メガネ!!!最高すぎて発狂するか思った!!!
あとクロノスケのお辞儀がいちいち「武士だー!」って感じる腰の落とし方なところも大好きです!


でも何より、クロノスケの一番の魅力って、あの根底にある優しさですよね……!
じんわりと心を包み込んでくれるようなあったかさに溢れている。
特にキラが戻ってくる時間軸の前、まだ屋敷に閉じ込められている時代のキラに出会った時のクロノスケが、花火の夜に見せる微笑みが本当に本当に優しい。
心から愛おしいものを見つめる穏やかな笑み。でもまもなく討ち入りという形でやってくる別れを思うその表情には、ほんのりと陰がさしていて。
キラの言う「本当に寂しそうに笑うから」そのものの笑顔をされているので、見ていて心がギュッとなります。。か、悲しいー!ってなる……

討ち入りの日、キラとの別れ際に「遠い遠い時間の果てで、必ずまた会える。その時に、一緒に花火を見よう!」と叫ぶクロノスケは、本心では自分たちにそんな日が二度と訪れないことを知っている。
叶えようのない約束を、祈りのように力強くぶつけるあの瞬間、
クロノスケは自分の大切な人が「命を繋ぐ」ことだけをただ願っていたんだなと思うと、
その展開はもうやってこないものだとはわかっていても、ア゛ーーー!とたまらない気持ちで泣いてしまうのでした。。


そしてまどかちゃんのキラ、ほんっっっっとうに!好き!大好き!キャラクター造形が好きすぎました。
さっきキラの話はたくさん書いたとおりなんですが、情報を全開にできない状態で謎めいた背景に引きを持たせる・説得力を感じさせるお芝居をしないといけない難しさがあると思っています。
つまりは本作の物語の推進力を担う要の存在がキラじゃないかなと思うんですが、そこの表現が本当に素晴らしいなぁと!
大好きな相手だけをまっすぐに見つめるひたむきさが「あなたが好きだから!」とか「でもずるいなぁ、私の好きばかり積みあがっていくのよ」とかのセリフにぎゅっと熱く込められていて、本当にとにかく健気!愛おしい!
そりゃあ全てを知ったクロノスケが離れがたくなってしまうに決まっている~!


まどかちゃんのお芝居全体の印象、昨年の全ツの時ともまた大きく変わった気がしています。
予め完成したものが板の上に展開されているのではなくて、その場に息づいているものがどこまでもリアルに見えるというか。
クロノスケとの細かな掛け合いも毎公演見るたびに違っているし、柚香さんとまどかちゃんが二人でタッグを組んで、新しい表現をバンバン楽しく生み出していることが伝わってきました!

花のおエド(Rep.)で物語のラストに銀橋に走り出ていくところなんか、一度たりとも同じことはしてないんだろうなと思います。
時計捨てた/捨ててないのやり取りも、歌の中での銀橋での掛け合いも、毎度お互いにやんちゃに仕掛けあっていて、
「今日はどう来る?おっ、そう来たか~!」みたいな遊び心に溢れてる様子は、本当に見てるだけで幸せになります。
花道に到着したあとのクロノスケ、毎度容赦なく抱きしめたキラをぶん回すし肩を組んで揺さぶるしで暴れ放題なので、配信されているライブ音源に至っては「キャア!?w」っていうキラのびっくりした叫び声が入っちゃってるのもすごく好きです!クロキラ、ほんと自由で可愛い!

「これが大劇場お披露目なの?」と思うくらいに息ぴったりな新トップコンビ、れいまど

れいまどのコンビ感はなんていうか\仲間~!/っていうムードが強いなぁと見ていて感じます。
「うわーい!(嬉)」みたいな勢いで、わーっと賑やかに手をつないでどこかへ駆け出して行きそうなイメージ。
ニコイチ感といったらいいのか、庇護する/されるといった関係性ではなくて、ヨーイドンで一緒に駆けっこはじめてそうというか。
さらにふたりとも運動神経がよくて悪戯好きなので、思いついたら容赦なくかけっこの途中でもアスレチックとかに勝手に登りだす感じの……どんなイメージだよ!笑
「一緒に遊ぼ~!」と言ったら「は~い!」と言ってくれる、と今作の製作発表で柚香さんがまどかちゃんについて話されていましたが、見ていてもおっしゃりたいことがすごーくわかる感じします。

まどかちゃんが隣にいるときの柚香さん、男役としてのスタンダードなかっこよさをベースとしながらも、そこに思い切り伸びやかな自分らしさがイキイキと出ているような自由な姿に見えますし、
まどかちゃん自身もとても楽しそうで自由闊達な空気感をまとっていて、
なにより端的に言うと、ふたりともめちゃくちゃ楽しそうなんです。そこがすっごく良いな~と!
お二人がタカラジェンヌとしての充実の時を一緒に分かち合いつつ、何よりもまず楽しそうに舞台立っている様子なのが、本当に嬉しく感じます。


ショーの感想でも改めて書くと思うのですが、まどかちゃんが異動して花組娘役トップスターになったこの組み合わせ、納得感しかなくなっています。
夏の全ツはまだ1作目だしそもそも再演で書き下ろしではなかった分、今作での爆発力が特にすごいように感じます。

まどかちゃんはもとの実力の高さに加え、きっとものすごくキャパシティが広い・柔軟性に溢れた娘役さんなんだろうなと本作を見ていて思いました。
トップ娘役としての経験を積んだ状態で、それまでとは全く異なる新しい環境に身をおいたことで、
また改めて「自分らしさ」のようなものをもう一段階引き上げた状態で発揮できているのが、今のまどかちゃんの姿なのかなぁ?と勝手にですが感じています。
見れば見るほど様々な魅力が溢れてくるので、自然と大好きになってしまう。
あとシンプルにものすごく可愛い!どう考えたって、かわいい!!!(大声)

私自身についてはスターの皆さんを組み合わせというよりもまずはひとりの「個」の存在で見る傾向が強いのかなと思っているのですが、
花組トップコンビとしてはもちろん、ひとりの娘役スターさんとしてまどかちゃんのことが大好きになりました。
改めて、花組に来てくれて本当にありがとうございます!
花組で、柚香さんと一緒に充実した時間をこれからも楽しく過ごしてくださいますように!



今作は、大劇場初日からの3公演と1月3日のソワレをすでに見ていたのですが感想が書けていなく、
よ~し東京の公演中にじっくり!と思っていたら予期せぬ中止に見舞われ……。
本当になんて時代なのかと苦しい気持ちはいつまで経ってもなくなりませんが、
それでも再開が叶ったことが何よりも嬉しい。
その「楽しい!嬉しい!」という気持ちをやっぱり一番大事にしたいです。


私は再開日の1月30日ソワレを偶然観劇しているのですが、公演中止の事実を絡めて書くとどうにも巨大感情の収拾がつけられなかったので、敢えてそれ以外の観点のみで書いてみました。
そして潔すぎるのでは……と反省するくらいに、本当にトップコンビにしか言及できなかった~!涙
他のスターのファンの皆様に申し訳ない……でも当たり前ですが、花組が!!!大好きです!!!
ショーも別記事で書きたいのでがんばります。
2月6日の大千秋楽までの継続を、心から祈っています。愛してるよ花組~!!!

*1:時計の持ち主がキラからクロノスケに変わり時間を戻す主体がクロノスケになったら、キラはそれまで時間を繰り返し続けていた自分の記憶を全て失う=事件が起きる前まで時が戻ると、キラはクロノスケの存在を全て忘れてしまうことになるのだと思っています。「…だとしても、じゃあクロノスケが主体となって事件の前まで時を戻すなら、そのままキラのこと助けに行けそうなもんだけど…!?」まで考えてよくわからなくなってきたので、いったんそれ以上はやめました。笑

明日カノ最新シリーズ「洗脳」を最終話まで読んだので、感想をまとめる

ちょっと毛色の違う記事をとつぜんあげます!

皆さんは「明日カノ」読んでますか?
cycomi.com

サイコミで毎週金曜0時に更新される「明日、私は誰かのカノジョ」・通称明日カノを、嬉々として更新日に先読みしている人間です。勿論コミックスは全巻買ってます!
最新シリーズ「洗脳」が1月28日更新分で最終話を迎えたのですが、コメント欄に書き込まれる内容が本当に様々で、読んでいるうちに思わず自分の考えをまとめたくなったので書きます。

※展開について当然のようにめちゃくちゃネタバレをしているので、これから読もうかな~と思ってる方はご注意を!!!




「推しってなんだよマジウケる」について

とりあえずわかりやすいほどに賛否両論!という感じに盛り上がっていたこのワンフレーズについて。
私個人は(日常生活でゴリゴリに推しいるけども)とくに否!とは感じませんでした。その理由は以下です。

最終話、講義が始まる直前に話しかけてきた同級生の女の子に、留奈が「…好きなんだね アイドル?」と話しかける場面があるのですが、
その同級生の持ち物から、彼女にもいわゆる「推し」がいることに気づいた瞬間の留奈は、明らかにぎょっとして青ざめています。
この反応を見て思ったのですが、隼斗の歌い手活動における炎上・その飛び火を経て、自身も開示請求の係争中である留奈にとっては、
推しがいる人たち=ある日突然牙を剥いて襲いかかってくる集団として刷り込まれてしまっているのではないかなと感じました。


シリーズ後半から、留奈がオタクを下に見すぎてる描写がきつい!といったコメントがめちゃくちゃ多かったように思うのですが、
別に炎上前も、彼女はオタクを下に見ているわけでもマウントをとっているわけでもなかったと個人的には感じました。
シンプルにお金の使い方に対する価値観が徹底的に違うだけというか。
なおかつ、炎上後に「ファン・オタク」を十把一絡げにまとめて罵っているような描写も、それこそ「推しってなんだよマジウケる」以前には、とくに見られなかったように思います。

じゃあどうして、留奈は最終的にそんなパンチの効きすぎる一言を繰り出すようになってしまったのか。
留奈の視点から考えると、いわゆるオタク側の感情を類推したり背景にあるものを実際に理解するチャンスって、実は一切なかったんじゃないでしょうか。
隼斗からファンがどういうふうに応援してくれているのかの説明を聞くことはあったし、配信の様子もたまになんとなく見守っていたけど、
別に留奈はバシモトのファンとしてその様子を逐一追っているわけではない。
隼斗が悩んでる風だったオリジナル曲の作曲もできたし、うんうん仕事がんばってるんだろうな~、よかったね!くらいに思っていたら、
ある日突然、そんな意図の一切ない行為を「匂わせだ」と突然叩かれ吊るし上げられ、SNS掲示板で一斉に有る事無い事を書き立てられたわけで、
そこには怒りと恐怖、嫌悪感しか残らなくても当然なんじゃないかなと。

留奈が失ったのは恋愛だけじゃないかもしれない

留奈は炎上の一件で、薄々感じていた隼斗と自分との(おそらくは育ちのバックボーンの)違いに打ちのめされ、その辛さ故にすべてを切り捨てて終わりにしたようにも見えました。

隼斗と自分とは違う、と留奈がひとりで考えるモノローグは複数登場していて、
出会った直後の116話での飲みの場でも「育ちがいいって言うか…人の悪意に触れてこなかったというか…そういう素直な性格っていいよね」と酔っぱらいながら心の声が漏れた感じでつぶやいています。
作曲のきっかけをつくってくれた留奈に、心からの好意でお祝いのワインボトルをサプライズで用意していた隼斗に、
留奈は「世間にはこういう人もいるんだな」とでもいった様に、純粋に胸を打たれていたように見えました。

おそらく、留奈にとって隼斗は「住む世界の違う、光の中に生きる人」でした。
違う背景を持つ者同士だからこそ惹かれあい、時折価値観の違いは感じながらも、恋愛関係としてはあくまでも年相応の明るいものを育んでいたはずの二人は、
見ず知らずの第三者から向けられた悪意のかたまりによって、それを突然解消せざるを得なくなったわけです。
留奈にとっては、もしかしたら今まで知らなかった世界の人と幸せにやっていける可能性もゼロじゃないかも?と思っていた生活に、謎の横槍が入ったような形じゃないのかな。
恋愛関係よりも大きなもの、新しい世界への入り口を徹底的に閉ざされたような感覚になっていてもおかしくないと思う。*1
この経験を以てしてなお、留奈が「推し活」に無条件に肯定的な感情を持てていたら、そっちのほうが不自然じゃないかな、と私は思いました。

隼斗・バシモトはもうちょっと早く覚醒してほしかった

仮にですが、留奈が付き合っている間に隼斗から「こういうファンの人からの言葉がすごく嬉しくて…」みたいな具体的な話を聞いていたりしたら、
留奈の中での「推し活」の印象もまた少しは違ったものになっていたかも?とは思うのですが、おそらくですがその機会もなかったんじゃなかろうか。
というのも、たぶん留奈と付き合っていた時点の隼斗は、自分を叩いてくるのではなく、純粋に楽しく応援しているファンの存在に対しては、あまり深く思いが及んでいなかったように見えます。
留奈と付き合うきっかけになった最初の炎上が足かせとなって、本質的に自分がファンに何を届けていきたいのか、なぜ配信者をやっているのかがわからなくなり、迷走しているように見えました。


最終話の1話前で、グループとしての初ライブを終えた隼斗のもとに届いた1通のDM。
「まつもと」と名乗るファンの長文メッセージは、どこまでも「バシくん」を思いやるもので、
炎上に関する謝罪配信を受けてなお「バシくんの隣に誰かがいてバシくんのことを支えてくれていたら嬉しいな…と思います」と結ばれていました。*2

それを見た隼斗は「っ……」と顔を歪ませ、「ほんと……何やってんだろ俺……」とひとりこぼします。
あの瞬間に隼斗は初めて、人前に立ってパフォーマンスをする自分の活動の意義・それを受け取る先にいるひとりひとりのファンの存在に、
正面から向き合えるようになったんじゃないかなと感じました。

このメッセージを見る直前、同じグループのメンバー(みの)から「活動者としての自覚持って欲しいだけ」と隼斗はお説教をされているのですが、
それも踏まえて、自分がやってきたことを振り返るきっかけが、あのまつもとからのメッセージだったんじゃないかなと。
活動の過程で凹んだメンタルを立て直してくれた留奈と出会い、しかし最終的にその関係が駄目になってしまったことまで含めて「何やってんだろ俺」だったんじゃないかなぁと。

だって、みのが言う通り、隼斗に「配信者・バシモト」としての自覚がもう少し確固としてあったのなら、
今の自分にどういうファンがいるのかを冷静に把握し、その上で避けるべき行動がなんであるのかも判断できていたのでしょう。
もしそうであれば、炎上の発端となった留奈のお店のアカウント「伊織」からのバシモトへのフォローも「そういうのはファンが怪しんで危ないから即止めて!」って言えただろうし、
写真をアップするときは念の為声かけてね、みたいなコミュニケーションも予め取れていた=あのタイミングでの破局は避けられたんじゃないかなと感じました。*3


留奈は活動者ではないし、推しがいた経験もない。
そんな中で一方的に圧倒的な悪意だけをぶつけられたら、そりゃあ留奈は「推しってなんだよマジウケる」にもなるよね、と思ったのでした。
その間を取り持てるのはたぶん隼斗の役割だったけど、それはとくに機能しなかった。なぜなら隼斗自身に自分の活動についての迷いがたくさんあったから、ではないかなと。。
彼自身、自分の行動について中途半端な自覚もあるゆえに、正面切って留奈を引き留めることもできなかったんじゃないかな。
メンバーも留奈との付き合いそのものに対して苦言を呈する人はいなかったですからね……隼斗自身がなんとかしたければなんとかできたかもしれない。
一方で彼女を傷つけたことも、炎上でグループ活動に迷惑がかかったのもどちらも事実。
「何やってんだろ俺」のあとの隼斗はきっと覚醒したんだと思うので、せめて色々が無駄になってないっぽいのは救いだったかも(最終話、登録者数増えて新曲も作れているっぽかったので)。
そもそも隼斗は留奈と付き合って気持ちも安定してうまく行きだした部分があったから、それに比べて留奈は……と思うと、悲しいんだよなぁ。。

プロローグ/エピローグについて

第一話の冒頭に、けっこうキツめの言葉で展開されるモノローグ。

服も容姿も 愛情だって 自分が幸せになるための手段であって 目的じゃないでしょ
その価値観”洗脳”されてるよ

連載期間ストーリーを読み進めながら、私にはどうしても「このモノローグ、主人公・留奈の言葉としては受け取りにくいな……?」という違和感がずっとありました。

留奈はたしかにいわゆるオタクではなく、好きなアイドル・歌い手・俳優などに、わかりやすく言えば「入れ込んで」お金を使う消費行動をとった経験のない子です。
でもだからといって、作中での留奈はそういったいわゆるオタクたちの経験を「バカみたい」といった視点では、決して捉えていなかったように感じていたんですよね。
単に「知らないから理解できない」だけなのであって、それを特に悪し様に捉えている事実はなかったように思います。
隼斗の歌い手・バシモトとしての配信コメントを見守る時に、「なんだかファンのみんなすごく熱いね…」とびっくりして素朴につぶやく場面もありましたが、
あれも別に「顔も見せてないで声だけなのにこんなに沸いてんのウケるww」みたいな体では全くなくて、え、こんな世界があるの!?何!?という純粋な驚きだけだったと感じました。


でも今回最終話の展開と、ラスト1ページに展開されたモノローグを読んで、この違和感がようやく解消されました。
シリーズ第一話のモノローグはもしかして、
最終話、もしくはその少し先の未来にいる留奈の声だったのかな?と考えると、ものすごくしっくりくる気がしたのです。
物語の最終地点を冒頭に持ってきた構成だったのかな、と、最終話を読み終えて感じました。

ラストで留奈は、消費行動についてとりあげた、おそらくはマーケティング関係の講義を受講しています。
彼女の手元には消費の心理や人心掌握術について調べている様子が伺える本もありました。
留奈はこのストーリー「洗脳」で得た一連の経験から、人が消費行動に走る心理をどこまでもシビアに掘り下げていくことに決め、
その結果として、消費行動全般を全力で皮肉った言葉として放っているのが、第一話のモノローグだったのかな、と考えると腑に落ちました。
他の読み方があるかな……と考えたけど、私にはこれしか思いつかなかった!

主人公・留奈はどこに向かうのか

20歳そこそこの女子大生ながら、<お金>を生きる上での第一義に置き、すべてを割り切ったような価値観のもとに夜の仕事で大金を稼ぐ留奈。
先程すこし触れたとおり、最終話の留奈はなんだか不安になるタイトルの本ばかり複数、図書館で借りていることがわかります。
そのラインナップがこちら。

・大学で起業した僕の生き方(←わかる)
・孤独な人程、成功する(←ちょっと悲しいけど、わかる)
・教祖ビジネス(←うん???)
・人を操る対話術(←やめて!???!)

隼斗のファンを巡るあれこれに加えて、信頼していた元バンギャの夜のお仕事の先輩・菜々美さんが「レター先生」というなんだかよくわからない存在に心酔していることを知ってしまったり*4
留奈はとにかく「自分以外の何かに全力で仮託する・大金を使う」心理状態について「いい加減にしてくれよ!なんなんだよさっぱりわからねえ!!!」といよいよ叫びたい気持ちになったのかもしれません。

自分も仕事を通じてお客に完璧な幻想を作り上げて売っている自覚は明確にあった様子の留奈だから、
それをスキル・ノウハウとして掘り下げていったら何が生まれるんだろう?という方向に興味の舵を切っている様子が伺えます。
さらにはそこに、自分の生活を多少なりとも破壊した他者の感情を解き明かしたい意図もあるんだろうなと思います。

隼斗との関係を失う原因になったファン側の暴走を見た留奈は、
自分はそういう心理状態や消費行動を掌握する側にうまいこと回って、最終的に存分にお金を稼ぎつつ、もしかしたらある種の復讐を遂げてやる、くらいの青写真も描いているのかもしれないなと。
ラストにあるとおり、もしも「ホントの神は推しが好きな自分」なら、その究極体として誰かから憧れられる「神」を兼ねた自分を、留奈は目標に置いているのかな、と。*5


留奈が、なにか幼少期・家庭環境まわりに複雑な事情を抱えていること自体は、端々の描写から明らかでした。
まだごく若い学生の身で、奨学金を返しても余るほどの大金を夜職で稼ぎ、それでもお金が目減りしていくことの不安に苛まれる場面もありました。
一方で、彼女がどうしてそこまでお金に執着せざるを得なかったのかその理由が具体的に描かれたわけではなかったため、「主人公に共感できない」という感想も集まりやすかったように見えましたが、
全てを一から十までつまびらかに書けば良いというもんではないと思うし、個人的には造形としては十分つたわるものはあったように思います。

今回のヒロインとしての留奈は、このストーリーでどこまでも「孤独を深めた」存在であるように私には見えました。
前シリーズまでのヒロインたちが、今まではちょっと違う外界に一歩を踏み出す雰囲気だったのに対して(前章ヒロイン・萌の変化があまりにも劇的で鮮やかだったのもある)、留奈の変化はそれとは対比的で、より己の内側に潜っていったような印象があります。
むしろ自分とは明らかに違う存在・隼斗との決定的な断絶を経て、やっぱり自分は自分の世界でひとりで生きていくしか無いんだ、というあまり良くない方向への学習を積んでしまったように思えるのがつらい。
雪あたりともっと踏み込んだ会話ができたなら、ふたりは良い理解者どうしとしての関係を育めるんじゃないかなぁと願っていたりするのですが。。
コメントで留奈が復学していることが何よりのハッピーエンドだと書いている人がいたのには、たしかにそうだよな、、と思った。
個人的にはゆあと同様で、この先に何らかの形で幸を掴んでほしすぎるヒロインでした。留奈に幸あれ。。

最後におまけ・心音(ぽぽろ)について

ぽぽろちゃんは……あかんタイプの闇オタクへの超進化、今すぐやめて~~!!!!!笑
最終話、4ヶ月経ってあっという間になんだか垢抜けて、わかる10代の女の子ってほんと急にきれいになるよね、ってしみじみ思ったら「アンチじゃありません」と名乗るド直球そのもののアンチ垢稼働させてんの、それはさすがに草!!!
そっちに行ったらダメだよ!!!戻ってきな!!!!!……ってなった。
「いってきまぁす」の光そのものの笑顔の下に、ちょ、おま、なにとんでもない闇抱えてんねん!なる。。涙
頼むから、誰か彼女を止めてあげて!!!
こういう感じでオタ活を深めていってしまった場合、どこかで方針転換できるチャンスってあるんだろうか。。。私にはちょっと思いつかない。
まつもとさんのような光のオタクに仮に出会っても、今のぽぽろの状態だと内心で当たり前に見下すんだろうしなぁ~~。。おい~~ぽぽろ~~~!!!(若者が闇落ちするのつらい)



2月頭に次章予告ののち、そこから1ヶ月は休載期間になるとのこと。
毎度ものすごいボリュームの取材量なことがわかりますし、をの先生まずはゆっくり休まれてください!
また次章も楽しみにしています!

*1:それ以前にお金に異常に執着するあまり、留奈は隼斗との関係継続に不安がある様子もあったので、勿論すべてが炎上のせいではなかったですが、別離がいつか来るにせよもうちょっと違う形にはなったはず……

*2:コメントでは疑う声が多かったけど、流石にまつもとさんとつながったりはしてないと思います。。せめてそこはそうであれ、バシよ!?笑

*3:「人前に出る仕事なんだからそういう行為は怪しまれて当然、見つかったらファンは燃やして良し!」と言っているのでは全くなくて、自分の提供している商品価値と消費者が何を望むか?を俯瞰した視点で捉える力がないと、ひどく損をしてしまうお仕事なんだろうな、という意味です。

*4:あのレター先生のくだり。留奈は唯一心を許して相談できる人がいた!と思った矢先、その相手もまた自分を他所に預けた存在だったことに恐ろしさを感じたのではないでしょうか。飲みから帰ってきた翌日の留奈が鏡を見て「酷い顔」と言っているのは、菜々美さんからレター先生に勧誘されそうになったことへのショックを表しているのかなと思いました。

*5:コミックス9巻にも入ってる116話で留奈が落ち込む隼斗に対して「神様じゃあるまいし!一人の人間なんだから!」って明るく言ってるセリフがあって(アプリ内だとサムネにもなってる)、最終話まで読んだあとにここを読むとすげ~~~つらい気持ちになった、二人にはお互いのためにうまくいってほしかったなぁ。。足りない部分を補いあう未来もあっただろうに。

2020年に失われた2作品が帰ってくる。ミュージカル「るろうに剣心 京都編」&「エリザベート」上演決定に寄せて

今週はなんだか突然、信じられないほどにハッピーなとんでもない週になりました。


2020年に上演予定だったミュージカルのビッグタイトルが2本、
今年帰ってくることが相次いで発表されました。
1本目はるろうに剣心 京都編」、5月~6月にIHIステージアラウンド東京で。
2本目はエリザベート、10月~来年1月にかけて、帝劇・御園座・梅芸メインホール・博多座をめぐるツアーとして。

どちらも、応援している黒羽麻璃央くんが出演予定だった作品。
2作品ともに2020年に1公演も上演叶わずに全公演が中止となり、そこからもうまもなく、2年の月日が流れようとしています。


2作品の上演決定を受けて、もうただただ、嬉しいです。
今それ以外の言葉が思いつかない。叫び出したい&走り出したいほどに嬉しい!!!
本当に、おめでとうございます!!!
あまりにも嬉しくて、脳内で紙吹雪や餅を撒きながら横断幕をかかげて踊っているような状態なのですが(どんなだよ)、
もう何をやっててもどうにも落ち着かないので荒ぶる気持ちそのままに、こうしてブログを書いております。


まずはるろ剣京都編から!
www.ruroken-musical.com

2020年の夏に全公演中止の発表がされたとき、「当初予定していた演出の実現が、コロナ禍の状況下では難しい」といった旨が、演出の小池先生からは中止の理由のひとつとして告げられていました。
見せ方において美意識のすさまじく高い小池先生にとっては、納得のいかないものはお客さんに提示できないだろうな……と思ったことを覚えています。
小池演出 in ステアラなんて、どう考えても見応えしかないに決まっていて。純粋にミュージカルを好きな人間としてその世界を見てみたかった!と悔しすぎたのですが、今年改めて見られることに。やったぜ!!!

この2年、日本ではブロードウェイ等と異なり舞台上演を完全に止める判断はなされなかった分、コロナ禍における上演ノウハウが本当に膨大な量として積み重なってきていると感じます。
とてつもない苦労と工夫を重ねて、日々幕を上げ続けてくださる作り手の皆様……。
2020年に諦めた演出効果としてどのようなものがあったのかはわからないですが、小池先生は今ならきっと見せたい世界が作れると感じてらっしゃるのかなと思うので、
ステアラでぐるぐる回るるろ剣ワールドが、とにかく楽しみです!!!


まりおくんは本作で、究極の悪役・志々雄真実を演じます。
るろ剣はまりおくん自身が好きな”No.1マンガ”として何度もタイトルを挙げている作品であり、志々雄を演じられることを本当に喜んでいるのが伝わってきていたので、
絶対に上演されてほしい!と願っていた作品でした。

志々雄は全身が包帯に巻かれ、顔はほぼ目と口しか見えない役どころで、言ってしまえば見目麗しい姿を完全に封印することになるわけです。
その分、ひたすらに役者としての本質的な力で存分に暴れまわってくれるのだろうなと思うと、もう、楽しみで楽しみで。。
「推しの悪役見たくないオタクなんているか!?いないだろ!!!」と、お決まりのでかい主語を振りかざしてしまいたくなるほどです。
絶対絶対、楽しいに決まってるもんなぁぁ!!!嬉しいな~~~!!!って転がりまわりたくなる。。嬉しい!!!


そしてこのハッピーすぎるお知らせに大いに沸いてから、なんとたったの2日後に、今度は大ボスが帰ってきました。
www.tohostage.com

いや~~~。。ついに、エリザだよ~~~~。。。
嬉しさのあまりに茫然自失、みたいな状態です。
ちょっとどうしたらいいのか本当にわからない。。


もともと、2019年の秋に、エリザベート2020のキャストが解禁されたとき、私はそれはそれは喜びに狂い倒しまして、
anagmaram.hatenablog.com

でもそのすべては、2020年の4月、本来の初日まであと数日というタイミングで、一度完全に失われました。
anagmaram.hatenablog.com

それ以来、私の中では「2020/4/11」という日付が永遠に忘れられないものになってしまった。
まりおくんが史上最年少ルキーニとして、帝国劇場デビューを果たすはずだった日。
そして2020年は、本来ならば東宝エリザベートの20周年の節目でもありました。


言わずもがな、「エリザベート」はあまりにもビッグタイトル。
出演者には一流ミュージカルスターばかりが名を連ねており、再演を組もうにも、スケジュールやら何やらのやりくりが難しいことは想像に難くない。
1~2年じゃ戻ってくることはできないだろうなと、その時からもう気長に待つしか無い覚悟はしていました。
同じく2020年に全公演中止になったミス・サイゴンは、昨年の段階で早々と2022年の上演が発表になっていて、次はきっとエリザだ……!と念じていたんですが、
実際今回再演が叶うタイミングは、本来の上演時期からは”約2年半後”となります。
本当にここまで、長かったなぁ。。


2年前の春。衣装付きでの通し稽古まで終わっていて、劇場入りもしていて、あとはもうお客さんに見てもらうだけ……という状態で、すべての停止を余儀なくされたエリザ。
私達がそれを目にすることはついに叶わなかったけれど、
でもたしかに演目として積み上げてきた時間がそこにあった、稽古を経て作り上げられたものがあった。
そのことを大事にしたくて、ただただ「なかったことにはしたくない」と、ひたすらにそればかり思い続けていたことを覚えています。
だからあの春、演目を思うブログの結びの言葉には、See you again, someday! という言葉を選んでいた。


観客って、基本やっぱりなんにもできなくて。
大好きなその世界が予定どおりに訪れてくれる日を、ただ信じてじっと待つことしかできません。
実際この2年を振り返ってみても、改めて「なんにもできないよな」ってしみじみ感じます。猛威を振るうウイルスの前に、観客はどこまでも無力です。
素晴らしいエンタメを提供してくれる人たちの輝きを、愛をもって一心に受け取る、それだけ。

だけど、とにかく忘れずに待っている、それだけはちゃんとできたんだなぁと、そんなことを思いました。
待つ間になにがしかの理由で、離れてしまうことだってあるわけです。
諦めずに待っていて、本当に良かったなぁ。


ルキーニと志々雄。本来ならば2020年のまりおくんが演じていたはずの、大きな大きな2つの役。


ルキーニも志々雄真実も、絶対に見られる!なくなったりはしない!って信じて願い続けてはいましたが、
こうして実現してみると、もう訳わからなくなるくらいに、ただただ嬉しいです。
シンプルに「嬉しい!」それだけになってしまう。
実際のところもうそれ以上言うこともないくらいなので、なんだかその嬉しさをどこまでも引き伸ばしただけ……みたいな文章を書いてしまった!笑


本当に今年は、まりおくんにとって「リベンジ」の1年なのだな!って思います。
お仕事情報の解禁があまりにもなく、昨年秋頃からずっとソワソワし続けてはいましたが、これが隠されていたんじゃあしょうがないよね~!って気持ち。


去年ようやくロミジュリで本格的なミュージカル出演が叶い、そこで救われた気持ちも大きかったですが、
2020年に積めたはずの経験がまるごと吹き飛んでしまっている事実には、どうしても悔しさを感じる場面もありました。
ファンですらそうなのだから、ご本人の気持ちはいかばかりか、と思うわけです。
それをようやく。
すべてをぶつけて、まりおくんが板の上で思いっきり晴らせる機会がやってくるのだなぁ。
本当に本当に、良かった!!!涙


2020年にたくさん感じたあの言葉にできない様々な思いは、
今年劇場でしっかりと客席に座って、楽しさの中にきらきらと散らして昇華させようと思います。

2作品の上演決定を、心からお祝いしたいです。おめでとうございます!
あ~~~もう、本当に嬉しい!!!!!今はとにかく、それだけ!!!!!

「推しが結婚したおたく」になったので、その日の感情を書き残す

どうもこんばんは。
……開設から7年目に入ったこのブログ、2022年に入って最初に書く記事が「推しの結婚」についてだなんて、誰も思わないじゃん???
あなぐまです。


というわけで、推しが!推しが!!!
数年来応援している、推しであるところの黒羽麻璃央くんが!
このたび桜井ユキさんと、
ご結婚あそばされました!!!!!


「推しが結婚したらその時お前は」というシミュレーションを私はなぜか昔から念入りにやりつづけており、
2年半くらい前からこの件については検討済みなんですが(なんでだよ)、
anagmaram.hatenablog.com

…かといって、どれだけ殊勝なことを述べていても、受け入れられなくてのたうち回るのかもしれない。こればっかりはその日が来てみないとわからないな~と思う。 でも心づもりをしておくことは別に無駄ではないような気がするので、勢いに任せてだぁっといろいろ書いてみました。 誰かを応援するって、奥が深いです。

とある若手俳優おたくが「もしも自分の推しが結婚したら」について思わず考えました - こたえなんていらないさ

「こればっかりはその日が来てみないとわからない」
いやもう、本当にな!よう言うたな!
今日こそその日 だよ!なんでだよ!!!

というわけで、過去の自分からのバトンを受け取ってアンサーを書いていきたいと思います!
面白がりですいません、だって推しの結婚なんてなかなか経験できないよ、これを記録せずにどうするんだ!?の気持ち!!!笑



推しが結婚するとおたくはどうなるか①過去の自分に答える

  • Q.どうだった?

A.びっくりした。
当たり前なんだけど、本当にびっくりしました。とりあえずそれしか出てこない。
弊社は13時からお昼休みなんですが、13時ちょうどに推しのツイート通知からTwitter見て、ほんとにストンと腰抜かしました。したたかに床に膝を打ち付けた。
だって急!?いや、急!!?そりゃそうなるんだけど、急!!???

まりおくん、このさきの具体的なお仕事内容告知がまだなので「そろそろ舞台の、ミュージカルの解禁、来ないかな~!」って昨年からず~~~っと首を長くして待ってたんですが、
いや解禁、そっちかい!っていう!
そっちかい!びっくりしたよ!!!
こんなにびっくりすること、そうそうないよ!2022年の驚きぶっちぎり1位でもういいよ!笑

  • Q.仕事を休むと決めていた件については?

この件については冒頭にリンクを貼った記事にも過去さんざん書いてたんですけど、
わたくし、「推しが結婚を発表したら次の日は仕事を休む」とかねてからかたく心に決めておりました。

それを踏まえての結論。
A.まぁなかなか、そうも行かない(それはそう)(当たり前)(社会人だからね)

きょうは数時間だけ早退させてもらいました。今すぐ休めって言ってくれたしょくばのひとたち、ありがとう……
いや、正直なところ、これほど自分が信頼できない日もなくて。当たり前か?
ほんととんでもねえミスをやらかしそうでした。笑
信頼できない状態の自分で働くほうが迷惑かかるわ!と思ってしまうほど。そもそもびっくりしすぎてお昼ごはん食べられなかったので、手が震えだしたのと頭痛がしたのがよくなかった!
たぶんなんとかミスはしていないと信じて、明日はふつうに働きます。笑


それほどしつこく「仕事を休む!」って言い張っていたのは、推しの結婚とはきっとそれくらい自分にとっての衝撃的な出来事だと思ってかかったほうがいいぞ、という意味のやつだったんですが、
ここに関しては間違いなくそうだなと実感しました!
推しのいる人は是非ライフハックとして「推しが結婚したら、私は仕事を休むぞ!」って決めておくといいと思います!笑
先述の記事にも書いたけど、実際休むかどうかより、自分の心持ちを客観視する術として有用だな~って思うので。
そのせいなのか、今回の私、比較的受け身が取れてしまった気がするんですよね……?いやそんなことある?なんの訓練???笑

  • Q.推しからのファンクラブ向け報告メッセージについて

これも先述の記事で、FC向けにほんのちょっと早く教えてくれたらとってもうれしい、みたいなことを書いてたんですが、
A.Twitterばっか見ててFCメールに気づけませんでした(おい)

たぶんツイートとほぼ同時にメール配信したっぽいかんじ。うぅ~!!!涙
数十分経ってからメール届いてることに気づいたものの、「いや、こんなん見たら絶対泣くわ……」と思い夜になってから恐る恐る開いたのですが、案の定、泣きましたよね。。
Twitter/インスタに投稿されたのは連名の署名入りタイプ文のメッセージでしたが、FCの方はまりおくんからの手書きメッセージでした。
もうさ、泣くよねーー!!??
ありがとうーーーーってなった。。。うう。。ありがたいな……。

  • Q.他に何か得た知見はありますか?

A.自分が好きなものを食べると元気が出るので良いです。
きょうは焼き肉にいきました。みんなも是非「推しが結婚した日」用のご飯やおやつを考えておこう!!!!!!


  • Q.その他ネタは?

A.フォロワー数が増えた
……いや、減るんじゃなくて!!?って爆笑しておりました!なんで!?笑(お前が自分を面白がっているからでは?)

推しが結婚するとおたくはどうなるか②その日が来てみてわかったこと

で、実際に経験してみるとどうよ!?って話なんですが…
ショックとはちょっと違った。
なんかですね、人生で味わったことのない感情がわきました笑
これまじで、類似の経験が過去にないです!思い当たらない!!!


応援される側と、応援するファン側との関係って、なんていうか他にない独特のものなような気がしていて、
「仕事の姿や仕事にかける思いを我々は色濃く共有するけれど、生活、もっというと人生を共有することが、絶対にない関係性」なのだなと、私は常々思っています。
……そんな人、どう考えても推し以外にやっぱりおらんのよ。笑

例えば「仕事」をフックとして自分の職場の人間関係を考えてみても、それはお互いに自分の「生活」における登場人物ではあるわけで。
なので、今と類似の感情が湧く場面が、全く思いつかず……これは、皆さん経験してみてほしいです!
そういう名前のつかない感情がゴンゴン湧き上がってます!笑
落ち込むという意味のショックではないけど、明らかに「ショック状態」ではあるんだと思います。うむ。


ただ今回、めちゃくちゃびっくりはしたんだけど、同時にものすごくスピーディに納得した自分もいました。
本件の交際は全然知らなかったけど、そういう意味ではなくて、「若くして結婚!」って展開、ある程度予想のつくものではあったんですよね。
結婚した、って聞いて「あ~~~~そうか~~~!うん、なるほど、わかる~~~~!」っていう納得感がものすごくあって、腑に落ちるところが強かったというか。


それがなんでかというと、まりおくんは結婚願望がだいぶしっかりとあることを、以前からインタビュー等でこちら側に明かしていました。
自分にとっての大切な人と家庭を作りたい思いの強さを、ファン側もけっこう長い間存じ上げていたんですよね。
いろんなインタビューなどでそのあたりの気持ちを繰り返し聞くたび、そうなのであればちゃんとその願いも叶うといいなと、こちらからも自然と思っておりました。

そうは言っても人気商売でかなり難しい局面もあるだろうし、なかなか一筋縄ではいかないだろうけど、でもご本人が「人生において幸せでありたい」って真っ直ぐに言うとおり、とにかくそうなってくれ!こっちからも願っている!!!という思いが強かったのです。
純朴な青年なのだなと感じるようなその側面に触れるたび、職業柄、そういうごく普通の幸せを早い段階で手にするのはけっこう難しいのかもしれないことが、むしろ勝手に切なくなるほどだったといいますか。
人前にでるお仕事って、本当に大変だから。


そんなような背景があったので、勿論驚いてひっくり返りはしたんですけど、青天の霹靂的なものはあんまりなくて、内容にはめっちゃ納得する、が結論でした。
個人的には30代超えたらさくっと結婚するんだろうな~と思っていたので、予想より数年早かった!!!って感想が、一番大きいかもしれないな。
なんとなく、32歳くらいで結婚するんだろうな~って、思ってた!違ったわ、もっと早かったわー!!!

最終的に、推しが結婚したおたくはどうなったか

あくまでも私の場合なんですが、
最終的には、「なんてかっこいい人なんだろう!!???」という感動が新たにやってきてしまいました。
結論、惚れ直している……!(※頭の中身がおめでたい指数200%)


だってこれ、なかなかできる決断じゃなくないです!!?
同じ三日月宗近*1とはいえど、鈴木拡樹くんとはご年齢もやっぱり結構違いますし。
まりおくんのお仕事のポジションで28歳の今結婚するって、業界的に見てもだいぶ早い方だと思うんですけど、
「周囲から見てどうなのか」みたいな物差しじゃなく、今のお二人にとってその結論が自然だから結婚しよう!って決断にまっすぐ至れるところが、本当にすごいなと。

単に若くてイケメンだから人気があるのではなくて、まりおくんはしっかりと表現・お芝居の実力で今の地位を掴み、「俳優」として歩んできたのだし、この先もっと進化を遂げようとしているし……何より「俳優として正面から評価される存在でありたいし、そうあれる」と思うまりおくんの自負心や覚悟が、今回の決断にも表れているような気がしました。
なので今のこのタイミングのご結婚、いや、めちゃくちゃかっこいいな……?ってならざるを得なかったです!
常々パイオニアでありたいというまりおくんだけど、そのとおりの行動なのだな~と。え~~~かっこよすぎるな!???

個人的にはなんですけど、「結婚したとて、別にこれで離れていかないよね?」って、腹を据えてファンを信頼してくれているような気もしたのでした。
なんていうのかな~、「俳優」としての自分を見てもらいたいし、見てくださってると思っています!って気持ちが伝わってくるような気がして。
……そうだよー!(勝手にレスポンス)


桜井ユキさん、わたしが知ったきっかけは「だから私は推しました」という2019年放送のNHKのよるドラで(まじでめちゃくちゃに面白いので再放送してくれ~!)、
www.nhk.or.jp
そのときに「お芝居がうまくて素敵な女優さんがおる!!!」と思ってお名前を知ったことを覚えています。いやほんと、このドラマ面白いのよ!!!おすすめです!

わたしが認識したために意識に入ってくるようになっただけなのかもしれませんが、ユキさんはこのドラマ以降で地上波ドラマへのご出演が増えていらっしゃったような印象があって、
「リコハイ!!」のお知らせを知ったときもわーいユキさんと共演だ~と嬉しかったし、リコハイ自体が面白かったし、お二人が仲良さそうで楽しくて、
なんかもう結論「良」しかねぇな!!!???となってます。
……え~~~!!??めちゃくちゃ嬉しい!!!!!(驚きすぎて、喜びが遅延している様子)


(うわーん!!!)


当日の結論は、こんな感じに落ち着きました。
もちろん受け取り方には個人差があって、「無理なのでちょっと時間をくれ」って人もめっちゃたくさんいると思うし!
元気でない人は思いっきり寝込んだり甘いもの食べたりしよ!!!焼き肉もおすすめ!!!
わたしは若干面白がりに振れすぎなところはあって反省もしてるんですけど!なんかどうしても、こうなっちゃうんですよ。笑

あっけらかんとしていられることが正しいとは全然思っていないので、人には人の乳酸菌!の気持ちで、それぞれご自愛いたしましょう!
私もほんと3日後には寝込んでるかもしれないし!笑

そして毎日はつづいてく

丘を越え僕たちは歩く*2……みたいな気持ちです。いや~~~もう本当に、人生なんだなぁ。

私にとってまりおくんは、兎にも角にも「幸あれ」と思い続けてきたお人で、
そんな大好きな人が、人生をともに歩みたいと感じる素敵な人と巡り会って、ひとつのゴールの形に至ったこと、
どうしたって本当に本当に嬉しいし、心からおめでたいことだなって思います!

わたしたちファンは、仕事面の充実を支えられることもあるのかもしれないけど、まりおくんの人生を支えることはできないから。
それは身近にいる特別な役割の人が担うものだってずっとずっと思っていたから、なんか最終的にやっぱりものすごく嬉しくて、勝手ではあるんだけれど、なんとなくホッとしました。


まりおくん、ユキさん、
このたびはご結婚、本当に本当におめでとうございます。
お二人のこれからが幸多からんことを心からお祈りしています!
きっととても素敵な家庭を築かれるのだろうと思っております!


まりおくんの新しいお仕事の姿を見られる日が、私は引き続き、とてもとても楽しみです!
婚姻ステータス以外に、首を長くしまくっているお仕事情報の解禁も、しつこく待ってますのでどうぞよろしくお願いします!!!笑

*1:とつぜんの「三日月宗近婚姻合わせ」が起きたの、本当に面白くなってしまった……なぜ?おめでたいお日柄だとして、いやそこ揃う!?笑 ひろきくんもご結婚本当におめでとうございます!

*2:今回の件、頭の中のテーマソングが「ぼくらが旅に出る理由」に決定しました。なんかもうこれ。人生!!!かつて自分の結婚式の退場曲につかったせいかもしれない。

2021年の観劇とイベントまとめ

晦日じゃなくてもうちょっと早く書いてもいいのに、どうして毎年12/31になるんだろう。笑
2021年を振り返ります!
主に宝塚で配信を色々見たので、去年と同じく★=現地、●=配信/ライビュで印をつけてみた。
マチネソワレは回数カウントに必要なとこだけ書きました。

◆1月

1/9 ★ミュージカル『刀剣乱舞』 壽乱舞音曲祭(初日)
1/10 ★ミュージカル『刀剣乱舞』 壽乱舞音曲祭(ソワレ)
1/11 ★ミュージカル『刀剣乱舞』 壽乱舞音曲祭(ソワレ)
1/13 ★宝塚花組 NICE WORK IF YOU CAN GET IT(マチソワ)
1/16 ★ミュージカル『刀剣乱舞』 壽乱舞音曲祭(マチネ)
1/17 ★ミュージカル『刀剣乱舞』 壽乱舞音曲祭(マチソワ)
1/22 ★ミュージカル『刀剣乱舞』 壽乱舞音曲祭(マチソワ)

◆2月

2/6 ●宝塚花組 NICE WORK IF YOU CAN GET IT
2/11 ★ポーの一族(マチソワ)
2/14 ★宝塚宙組 アナスタシア

◆3月

2/4 ★結婚しないの!?小山内三兄弟
3/8 ★ミュージカル『刀剣乱舞』東京心覚
3/13 ★ミュージカル『刀剣乱舞』東京心覚
3/14 ★ミュージカル『刀剣乱舞』東京心覚
3/27 ★笑ゥせぇるすまん THE STAGE
3/28 ★宝塚雪組 f f f -フォルティッシッシモ-~歓喜に歌え!~/シルクロード~盗賊と宝石~

◆4月

4/4 ★笑ゥせぇるすまん THE STAGE
4/11 ★黒羽麻璃央ファンミーティング2021(1~3部)
4/18 ★宝塚星組 ロミオとジュリエット
4/24 ★宝塚花組 アウグストゥス-尊厳ある者-/Cool Beast!!(マチソワ)

◆5月

5/4 ●エリザベート TAKARAZUKA スペシャル・ガラ・コンサート(スペシャルver)
5/10 ●宝塚花組 アウグストゥス-尊厳ある者-/Cool Beast!!(宝塚大劇場千秋楽)
5/15 ●瀬戸かずやスペシャルライブ Gracious!
5/18 ●華優希スペシャルライブ 華詩集
5/21 ★ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」初日
5/23 ★ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」(ソワレ)
5/27 ★ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」(マチネ)
5/29 ★ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」(ソワレ)
5/30 ★ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」(ソワレ)

◆6月

6/5 ★ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」(ソワレ)
6/6 ★ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」(ソワレ)
6/10 ★ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」(マチネ)
6/12 ★ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」(東京千秋楽)
6/20 ★宝塚花組 アウグストゥス-尊厳ある者-/Cool Beast!!(マチネ)
6/26 ★宝塚花組 アウグストゥス-尊厳ある者-/Cool Beast!!(ソワレ)
6/27 ★宝塚花組 アウグストゥス-尊厳ある者-/Cool Beast!!(ソワレ)

◆7月

7/3 ★宝塚花組 アウグストゥス-尊厳ある者-/Cool Beast!!(マチネ)
7/4 ●宝塚花組 アウグストゥス-尊厳ある者-/Cool Beast!!(東京宝塚劇場千秋楽)
7/9 ★ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」(マチネ)
7/10 ★ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」(マチネ)
7/11 ★宝塚宙組 シャーロック・ホームズ-The Game Is Afoot!-/Délicieux!-甘美なる巴里-
7/11 ★ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」(ソワレ・大阪千秋楽)
7/17 ★ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」(ソワレ)
7/17 ★ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」大千秋楽
7/20 ★ACTOR'S☆LEAGUE 2021
7/25 ★宝塚月組 桜嵐記/Dream Chaser

◆8月

8/14 ★もしも命が描けたら
8/15 ●宝塚月組 桜嵐記/Dream Chaser(東京宝塚劇場千秋楽)
8/22 ★もしも命が描けたら
8/27 ★宝塚花組 哀しみのコルドバ/Cool Beast!!
8/28 ★宝塚花組 哀しみのコルドバ/Cool Beast!!(マチソワ)

◆9月

9/4 ★宝塚宙組 シャーロック・ホームズ-The Game Is Afoot!-/Délicieux!-甘美なる巴里-
9/11 ★宝塚花組 哀しみのコルドバ/Cool Beast!!
9/12 ★宝塚花組 哀しみのコルドバ/Cool Beast!!(マチソワ)
9/18 ★演劇調異譚「xxxHOLiC
9/20 ★黒羽麻璃央28th Birthday Party大阪(1~2部)
9/25 ★黒羽麻璃央28th Birthday Party神奈川(1~2部)
9/27 ★ミュージカル『刀剣乱舞』静かの海のパライソ(初日)

◆10月

10/2 ★ミュージカル『刀剣乱舞』静かの海のパライソ(ソワレ)
10/3 ★ミュージカル『刀剣乱舞』静かの海のパライソ(ソワレ)
10/10 ★宝塚雪組 CITY HUNTER-盗まれたXYZ-/Fire Fever!
10/16 ★ミュージカル ニュージー
10/24 ★ミュージカル マドモアゼル・モーツァルト
10/30 ★ミュージカル『刀剣乱舞』静かの海のパライソ(ソワレ)
10/31 ★ミュージカル『刀剣乱舞』静かの海のパライソ(ソワレ)

◆11月

11/3 ★ミュージカル『刀剣乱舞』静かの海のパライソ(ソワレ)
11/6 ★宝塚花組 元禄バロックロック/The Fascination!
11/7 ★宝塚花組 元禄バロックロック/The Fascination!(マチソワ)
11/23 ★ミュージカル グリース

◆12月

12/13 ●宝塚花組 元禄バロックロック/The Fascination!(宝塚大劇場千秋楽)
12/26 ★ミュージカル フィスト・オブ・ノーススター ~北斗の拳
12/30 ●ACTOR'S☆LEAGUE 2021 延長戦オンライントークイベント



音曲祭が2021年の頭の出来事っていうのがもはやピンとこないレベルで太古の記憶になりつつあります。
こうしてまとめると「ロミジュリを見ないと死ぬ」って感じの人になってましたが、本当に今年は「推しがロミオ」大事件に尽きました…。生きててよかったになりまくった。
5月後半から7月までの気の狂い方、後から振り返ると我が事ながら引いてしまう。その詰め込み方、そりゃあヘトヘトにもなるわ!
ロミジュリと花組のはざまで全力疾走するしかなかったのでこんな仕上がりになってしまった。

作品数は宝塚を見るようになった影響で増えまして、22本でした。
全体的に「いやお前ようこの状況下でそんな見たな」と思うような回数なんですが、わたしが今年払い戻しの憂き目にあったチケット、実は1公演だけだったんです。かなり少ない方だったと思う。
今年はたまたま、そういう巡り合わせだったみたい…去年との差よ。
新幹線の乗り方を完璧に思い出した1年でもあったなぁ。

推し・花組以外でも、見られてよかった~!と心から思う作品に出会えた豊作の1年でした。
ニュージーズとマドモアゼル・モーツァルトは本当に見に行けてよかった。
ポーの一族はこの目で見られる日が来るのか?と信じられない思いだったし、北斗の拳も出来ればもう1回見たいくらい面白かったです。
ついでに書くと見られなくて悔いが残ったのは、ジェイミーとストーリー・オブ・マイ・ライフです。どっちもホリプロミュージカルだな!


結局のところ、すべては感染状況次第…の日々が続いていますが、舞台おたくとしては永遠にしぶとく生きてやる!と改めて心に誓います。舞台が好きだ!
同時にメリハリもつけようと思う。色々と…。お金もちゃんと貯めます。ほんとだよ!笑
そして来年こそ、まりおくんの帝劇デビュー・リベンジが叶うといいな。


2022年もなるべくたくさんの舞台の幕が、予定通りに上がり続けますように。
今年もたくさんの楽しい思い出をありがとうございましたと、心からの感謝を込めて。
皆様もどうぞ良いお年を!