こたえなんていらないさ

舞台オタクの観劇感想その他もろもろブログです。

刀ミュ 江水散花雪 感想 / 『隊長』という役割と、その成長~山姥切国広と大包平を巡って~

寝かせすぎてしまった!毎度のことながら!
らぶフェス2022が始まる前に、まじの駆け込みで感想をまとめます!
今回は、まとめられたところから細切れにアップする珍しい試み。どこまで書けるかわからないけど!
あのですね刀ミュの感想あるあるなんですけど、群像劇としてあまりにも見事であるゆえに「何から書いたらいいかわからない!」問題があるんですよ……!笑

まずは今回、山姥切国広と大包平を巡る『隊長』としての成長について書きました。
文章の人格が謎にグラグラなんですが、なんとなく以下本文はである・だ調となっております。
そして以下に展開しているのは、今作を見た筆者の主観たっぷりの「わたしはこの二振りをこう捉えた」という、あくまでも個人の感想のかたまりです!
ゆえに解釈違いも多々あると思われますので、そこに関してはどうぞご容赦くださいね~!




迷う大包平。導こうとする山姥切。先輩・後輩の描かれ方

山姥切国広と大包平、この二振りは本作で非常に対照的な存在として描かれている。
彼らが対話するシーンは非常に多く、そのやり取りの中で両者の特徴の違いははっきりと対比される。
他の刀からも”古参”であると称されるほどに経験豊富である一方、言葉では多くを語らない山姥切と、
まだ本丸に来て日が浅く、刀剣の横綱たる自負心は多分に持っていながらも、その実まだ刀剣男士としては迷うことの多い大包平


大包平は、プライドが高い。
しかし同時に、正面切って己の至らない部分を認め、今の自分はどうすべきなのかを、先輩である山姥切に対して教えを請うことができる素直さをも併せ持つ。
彼には刀として傑作であるその確固たる誇りがあり、素晴らしいもの・美しいものを確かに見定められる審美眼も持ち合わせている。
ゆえに、己自身になにか足りない部分があったとき、それをそのままにしておくことを良しとしない。それが大包平という男なのだと思う。
大包平は、ひたすらにひたむきに、良き隊長であろうと奮闘している。
それは刀剣男士として研鑽を積み重ねようとする、眩しいほどに真っ直ぐな成長の在り方だ。


対する山姥切は、とにかく自分にも目の前の相手にも、ある種の厳しさを持って相対する。
戦えば誰よりも強く、戦闘において傷を負うことも稀だ。出来事の先を読んだようなその振る舞いはときにひどく仲間を翻弄する。そんな彼はいつもすべて自分の中だけで、何か答えを出しているふうに見える。

山姥切がそれほどまでに強く厳しいのは、過去の自分の行動に悔いがあるから。
本作後半で明かされるが、山姥切には出陣の際に仲間を失ったという、痛ましい過去がある。
その仲間の死の責は、当時隊長を務めていた自分にあると考える山姥切は、おそらくは己への失望を深く抱き続けている。
おそらく主からは、仲間の死について強く責められたりは絶対にしていないのだと思う。むしろあの主からは「あなたのせいではありません」というような声がかかっているはず。
それでも山姥切国広は、自分のことがどうしても許せないままでいる。
しかし、彼はそうして過去の失態を悔いたからこそ、古参の刀として本丸で一目置かれるほどに刀剣男士として強くもなり、主から困難な任務も任せられるような存在になった。


そんな山姥切は「お前は俺のようにはなるな」という強い戒めを込めて、距離を以て隊長としての大包平の様子を見守る。
足りない部分に真摯に向き合い、足掻き、さらなる高みを目指そうという大包平の在り方は、おそらくは刀剣男士としてとても好ましく、頼もしいものとして、山姥切の目に映っていたのではないだろうか。
ある意味、期待をかけているとも言える。
だからこそ山姥切は「上から見ているつもりはない。対等な上で、俺のほうが上だ」「俺のことなどさっさと超えていってしまえ」などとぶっきらぼうなことを言ってしまう。
山姥切のそんな(言葉足らずな)叱咤激励は、大包平の資質を見込んでのもの。
これだけ真摯な男なら、判断が困難な局面に置かれたときも仲間をきっと無事に守りおおせるだろうと、おそらく山姥切は考えている。


……ここまでの流れであれば、山姥切は先輩として大包平を(言葉足らずではあれど)真っ当に導いた存在である。
時に伝わりづらい部分はありながらも、本丸の良き先輩として振る舞っていただけ、そのはずだった。
しかし、山姥切が内に抱える思わぬ脆弱性が、物語の最終盤で露見する。

守られるべき「本丸の仲間」。そこにいるのは誰か

過去を悔いながらひたすらに強くなることは、山姥切を決して楽にすることはなかった。
むしろ強くなればなるほど、己の中に他者と分かち合えない領域が増えていったのではないだろうかと感じさせられるものがある。*1
もともとの性質上、口数も多い方ではないだろうし、自己開示が得意だとは当然思えないから、他の古参の刀たちや主もそういう彼の特性を尊重して、「安心して放っておいた」ところがあるのではないかと想像している。ある意味では手のかからない存在、というか。
しかしそうして程よく放っておかれる中で、山姥切が己に向ける苛烈な眼差しは、おそらくは主の預かり知らぬレベルで研ぎ澄まされすぎたのではないだろうか。*2


その結果として山姥切は、放棄された世界に自ら取り残されるという選択をとる。閉じかけた時の流れの入り口から大包平が脱出しそびれないよう彼を力強く外へと押し出し、「いい隊長になれよ!」と叫んで。

彼は、自分の存在を守るべき「本丸」の埒外にあるものとして置いてしまったのだ。しかも、それをいとも当然の行為として、何ら疑問を挟まずに。
それは単なる自己憐憫や自己犠牲ともまた違った行動原理だと思う。
”必ず本丸に無事に帰されるべき、大切な仲間たち”という定義の中に、おそらく山姥切の意識下では当たり前のように自分だけが存在していないのだ。悲しいことに。
これは単に「自己肯定感が低いから」「自暴自棄になってしまったから」といった話でもないと思う。
彼に尋ねれば、きっとごく淡々とした調子で「本丸の仲間に何か危機的状況が訪れたときに、自分は特に優先されるべき存在ではないと思った。それだけだ。」みたいな答えが返ってくるのじゃなかろうか。……なんてことを言うのだ!?(勝手に想像して悲しみながら憤ってしまわざるを得ない。。)
それはまるで、自分でも思わぬほど深く穿たれていた悔恨の念の奥底まで、ふと魅入られて取り込まれてしまった、といったような。


しかしそれをひっくり返したのが、任務中に経験不足からくる不甲斐なさを募らせていたはずの、大包平だった。
彼は渾身の大声でもって「許さん!許さんぞ山姥切国広!」と叫び、閉じてしまったはずの時の流れの入り口を、意志のこもった怪力でえいやとこじ開けてみせる。

大包平は、任務の中で今の己に足りないものを深く自覚していた。
刀剣男士としての戦闘能力、困難な状況の中で皆を導く指針の示し方や、視野の広さ。そういった要素の数々が、自分にはまだ不足していることを痛感していた。
しかしそうして惑い続ける中で、大包平は「お前はそれでいい」と繰り返し先輩の男士たち(山姥切国広と和泉守兼定)に言われ続ける。
伝えられはすれこそ、意味を説明されることのないその言葉に「どういう意味だ?」と苛立ちながらも、素直に”その気持ち”を大事にし続けた結果、大包平は一番大切なことを決して見失わなかった。

それは、「仲間を守る」ということ。
彼らの任務は、言うまでもなく歴史を守ることだ。しかしその上で、命を容易く散らしてしまってはいけない。
モノであり、ヒトである今の彼らは、「命あっての物種」なのだ。それを無くしてしまっては元も子もない。
武人にとっての名誉の死、という言葉が頭の中によぎることも、刀であった彼らにはきっとあるだろう。仲間のための犠牲、それもあり得ることだとも理解はしているはず。
しかしそれでも大包平は、お前の取ろうとしているその行動は間違っていると、山姥切に怒りながら訴えに戻ってくる。
それは、自分に刀剣男士としての大切な学びを多く与えてくれた山姥切国広のことを、間違いなく、当たり前に守るべき「仲間のひとり」だと思っていたから。
自分にその学びをくれた本人が、本丸の仲間という枠組みの埒外にあることを、言葉通りに「許さない」と強く思ったから。
導かれ、育てられるはずだった立場の大包平は、その瞬間に山姥切を大きく救ったのだ。


その大包平の姿に、虚を突かれたような表情を浮かべる山姥切。
あの時の大包平は時の流れの入り口だけでなく、山姥切の心も一緒にぐいっとこじ開けたのだと思う。
意図してかせざるでか、いつの間にかかたく凝っていた山姥切の内面に、
本質的に”仲間である”というのはどういうことなのか、本来は彼自身もわかっていたはずのその事実が、勢いよくあたたかに流れ込んできたのだと思う。
そして山姥切は、大包平の日向を歩くようなその堂々とした在り方をきちんと理解し、心の内で深く尊重していたからこそ、その流れ込んできた真っ直ぐな思いを受け止めることができたんだろう。

隊長の役割は、本丸へ仲間を無事に帰すこと、と山姥切はかつて大包平に言った。
その「仲間」には、隊長である自分も含まれなければならないのだ。
そうでなければ、もしも本丸から山姥切が失われてしまえば、
今の山姥切が仲間を失った自分を許せないのと同じように、仲間たちも己を許すことが出来なくなってしまうのだという事実を、山姥切は素直に認められたのだと思う。

簡単には馴れ合わない。でもきちんと尊重し合う、それが刀ミュの刀剣男士

物語の最終盤。桜田門外の変の後、雪のさなかに山姥切が見せる「……どいつもこいつも」のあの笑顔。
どこか呆れたような、しかし鬱陶しさは感じさせない、気心の知れた相手へ向けられたそんな柔らかさを声に滲ませて、彼はふっと笑み零す。
その様子からは、かつて仲間を失ったその苦しみがひとつ解け、改めて仲間と共に在ることに向き合えるようになった、そんな心境の変化が感じられるようだった。
山姥切の中に流れる時間は、再びゆるやかに動き出したのだ。


己の中にある美学を突き詰めきって目の前の壁を正面突破した大包平の成長と、
十分に広いはずだった視野の中に、実は自分だけがいなかったことに突如気づいた、山姥切の成長。
二振りは「隊長」という役割を通じて、自己と互いへの理解を深め合い、新たな一歩を踏み出した。

お互いのすべてを理解できるとは言えない、でも信頼しあうことはできる。
単純に馴れ合うのでもなく、寄りかかるのでもなく、肩を並べてただそこに在る姿。
経験値の歴然たる差がある者同士、明確な先輩と後輩であっても、そこにあるのは上下関係ではなく、あくまでもれっきとしたひとつの個としての交流なのだ。

まずお互いに対する尊重があり、ぎこちなくても真正面から互いに関係性を築いていく。その様子こそが、ものすごく「これぞ、ミュージカル『刀剣乱舞』だ……!」と感じられて、本当に大好きだった。
これだよこれ、私が好きな刀ミュは~!と胸の内で叫びたくなるような、胸のすく美しい清々しさがそこにあったなと思う。



思いっきり二振りに絞った掘り下げを書いてみました!どうしてもこの話の本文がである・だ調になったのはまんばちゃんのせいだと思う(?)
まんばちゃんと兼さんの関係性も大好きだったのですが、それをうまくこのテーマには盛り込めず!
そしてそもそも、まんばちゃんの歌がうますぎる件についても何も書けてない!笑 あと「いい隊長になれよ!」の表現の変化とか……。
あれもこれも書こうとするととっ散らかって永遠にまとまらないので今回はテーマを超絞りました!
江水の記事これで最後にならないように、頑張りたいな……がんば……れるか!?

その後:2記事目を書きました。
anagmaram.hatenablog.com

*1:さらなる個人的な解釈を付け加えると、まんばちゃんの場合はだいぶ後天的に身に着けた「強さ」だと思うので、刀ミュ三日月の抱えている孤独とは、まただいぶ質が異なる何かだと感じている。

*2:冒頭での審神者との会話における「俺が勝手にやったことにする」という部分。これは何も山姥切が我が身を捨てて放棄された世界に残ることを言っているのではなく、そうなる危険性を放置しながら「放棄された世界」を招き寄せ、経験の浅い刀たちにその恐ろしさを体験させる一連の流れのことを言っているのだと思う。山姥切があんな行動に出るとは主にも予想が出来なかったんじゃないだろうか。

宝塚花組「TOP HAT」を観た感想(柚香光さんのタップ・トップコンビのデュエダンについて)


大遅刻なのですが、去る4月6日に千秋楽を迎えた花組「TOP HAT」の感想を書きます!
わたしが観劇したのは3月なので、本当に大遅刻もいいところ。

kageki.hankyu.co.jp
1935年公開のアメリカ映画を原作としたストーリーであり、筋立てはごくシンプル。
あらすじに書いてあるとおり「勘違いから始まるすれ違い・ドタバタラブコメディ」なお話です。
ヒロインが自分の恋した相手を友人の夫と勘違いする、というあらすじから「つまり、最後には誤解がとけてハッピーエンドになるんだろう!」と想像がつくため、
「良い意味で気楽に楽しく観られそう♪まぁ泣くこともないだろう!」と思って臨みました。

……臨んだんですが!
観劇当日のわたしは予想外に涙を流してしまいました。
その理由は、柚香さんのダンスが、あまりにも素晴らしすぎたから……!

以下、れいちゃんのタップとれいまどトップコンビのデュエダンに潔く絞っての感想を書きます!
(別記事でいろんな生徒さんに触れられたら良いなと思っております!いつもそこまでたどり着けないでいる~たまには頑張りたいよぉ。。)

柚香光さんの踊っている姿は、やはり「奇跡」だと思っていいでしょうか?

いつも同じことを言ってしまうけど、でもどうしたってそう思う。
れいちゃんのダンスは、奇跡であり神の御業!
もうそれをこの目で観られたことに感動するばかり、になりました。今回も。

原作映画は未視聴であり、フレッド・アステアの名前こそ知っていれど、うっすらとした知識しかない私。
アステアはれいちゃんが敬愛してやまない”憧れの存在”であるという情報と、
後は幼い頃にレーザーディスクで観た「ザッツ・エンターテインメント」の記憶以外は手がかりが何もない状態で観劇したのですが*1
なんかもう本当に、この演目をれいちゃんに当ててくれたことがありがたすぎて。
劇団が、トップスター・柚香光さん本人の夢を叶えてくれたのでは?と思えて、感謝の気持ちしか湧いてきませんでした。


シルクハット(トップハット)にステッキ、この場合は黒燕尾と呼ぶよりもタキシードと呼んだ方がふさわしいのかな?と感じる、フォーマルど真ん中の装いで、
チャーミングに軽やかに、茶目っ気とほのかどころではなく香る色気を湛えて踊る、れいちゃんのジェリー・トラバース。

柚香光さんがタップダンスを見事に踊っているのではなく、あくまでもブロードウェイのスターであるジェリー・トラバースが踊るタップダンスなんですよね。
ダンスの得意なトップスターがスターダンサーの役をやる。こんな説得力を生める組み合わせがあるだろうか!?納得感と素晴らしさに拍手喝采の気持ちでした。


一番感動したのは、一幕の序盤、ロンドンのホテルについたジェリーがホレスの部屋で踊る「NO STRINGS」でした。
ジャケットを脱ぎ、白いシャツに黒いタキシードパンツのシンプルな装いで、愉しげに軽やかに、縦横無尽にステップを踏むジェリー。
まさに”踊らずにはいられない”といった風情、そんなジェリーの周りの空気までが、リズミカルに鮮やかに動きだす。

初見時、このシーンを観ていたら、いつの間にか勝手に涙がこぼれていました。
れいちゃんが全身から醸し出すジェリーの自由闊達な空気感、ステップのひとつひとつ。
そこには過剰も不足も一切なく、これが正解なのだ、まさしくこうあるべきなのだと思わせられるような、パーフェクトと感じずにおれない完璧な美のかたちがそこにありました。
何よりも、心から楽しそうに空気まで動かして見せるれいちゃんの幸せそうな様子に、深く感動しました。


これは私の勝手な感想ですが、れいちゃんがアステアのタップの真髄をつかもうとしたその結晶が一番溢れ出ていたのが、あの場面ではなかったかなと感じたのです。
色遣いが抑制されたモノトーンの衣装と、情景がホテルの一室というあくまでも日常感のある組み合わせであることで、
余計にその存在の特別感、いうなればスター性が浮き上がってくるようでした。
稽古期間に収録されたナウオンでは「No Stringsどころかがんじがらめな感じ」的なことも仰っていたのに、全くそんな素振りもなく。
下の階で眠るデイルに対して「眠りの精になってあげるのさ」と、床の上に撒いた灰の上ですべらかに踊る後半も、胸をぎゅうと掴まれるような美しさでした。
その足元で、タップ音は曖昧にならずどこまでもクリアに鳴り響いて。
静止する瞬間の全身には露ほどのブレもなく、躍動感と静寂とのぞくぞくするほどの緩急。やっぱりあんなの柚香光さんにしか作り出せない何かだと思います。


ジェリーのソロのシーンでもうひとつ忘れられないのが、二幕のほんの僅かな時間にダンスをするくだり。
まだジェリーのことをホレスだと勘違い真っ最中であるデイルが、彼を懲らしめようと自分の境遇について嘘をつきながらジェリーに迫るも(WILD ABOUT YOU)、まんまと返り討ちにあってしまう場面の後にやってくるひとときです。
デイルが自分を好いてくれているのだと有頂天になって、ホレスの忠告を適当に受け流すジェリー。
ひとりになった彼は場面転換のため降りた幕前で、センターから下手側に移動しながら、ごく軽くといった具合に踊ります。

そのシーンを観ている時、どうしてもジェリーが「月明かりの中で踊っている」ようにしか思えなくて、なんともいえずにハッとさせられたのです。
作中でこのシーンについて時間帯についての詳しい描写はなく、物語の進捗を鑑みるに、おそらく月明かりというにはまだ早い時間帯の出来事のようにも思うのですが、
ジェリーを照らし出すスポットライトと、そのダンスが生み出す情感が、どうしても月明かりを思わせる何かで……
それだけ、れいちゃんのダンスが叙情性豊かということだと理解しているのですが、
たぶん1分にも満たないそのごく短い時間が、私の中では絶対に忘れることの出来ない場面として刻み込まれました。
だって、あまりにも美しくて。


装飾が少なければ少ないほど、れいちゃんの本領は逆説的に発揮されていくように思えてなりません。
れいちゃんのダンスは単に抜群にうまいだけじゃなく、そこに常に心が深くしっかりとこもっている。それが何よりも魅力的です。

お芝居によるジェリー本人の心の表現と、れいちゃん自身が持つダンスの技量が高いレベルで融合していたジェリーの姿。これが観られたことにやっぱり感謝しか湧いてこなくなる……!


つぎはトップコンビのおふたりのダンスについて!

息ぴったりすぎるれいまどのデュエダン①ISN'T THIS A LOVELY DAY

ふたりのデュエットダンス、フィナーレを除けば場面としてはふたつかなと思うんですが、そのどちらもとんでもなかった。
ばちばちのタップダンスで魅せる乗馬クラブ(ISN'T THIS A LOVELY DAY)のシーンと、二幕でベニスに移動したあとにやってくるダンスホールでのナンバー「CHEEK TO CHEEK」。

前者はとにかく、躍動感のかたまりであり、ジェリーの罪な男っぷりが際立つシーンでした。
ジェリーが歌っている間、隣で興味のない様子だったはずのデイルがどんどんと絆されていってしまい、ふいっと顔をそむけながらも徐々に口元が解け出すのが、まぁいじらしくて可愛くて!
「ちょっとデイル~!そんな簡単に!ペースを乱されたら駄目……いやでも仕方ないか……これは相手が悪い!」みたいな気持ちになります。
あれはもう、仕方ないよね。デイルさん、ジェリーと出会ってしまったのが運のツキだったのだ!笑


ダンスパートになってからは、二人ともぎゅっとその時間に集中している感じ。今この時を、一緒に楽しもう!というような交歓がそこにある。
まだどこか探り合いをしているようでもありながら、ふたりで今この瞬間を分かち合えることへの歓びが、確実にそこには表現されていました。
パッ!と勢いよく向き合っては、静止し合う瞬間の表情が、二人ともすごく楽しそうで。
仕掛けあっているというか、「オッ、じゃあ次はどう来る?」をお互いに好きに投げかけている感じに見えました。


れいまどの、こういう丁々発止な感じの言葉のないやり取り、大好きなんですよね!
観ていると、板の上のおふたりがあくまでもイーブンな関係性で、一緒に時間を作り上げていることがよくわかるような気がします。
過剰な遠慮も謙遜もなく、良いものを一緒に楽しく作る!というそんな雰囲気があるなぁと思うのでした。*2

息ぴったりすぎるれいまどのデュエダン②CHEEK TO CHEEK

そしておそらくは本作における二人の最大の見せ場である、二幕の「CHEEK TO CHEEK」。
恋心が生み出すときめきの純度が特濃!と言いたくなるとびきりロマンティックな時間であり、同時におふたりの素晴らしいダンスの技量に度肝を抜かれる場面でもあり。

この場面のデイルはまだジェリーをホレスと勘違いしたままなのですが、
妻である(と思いこんでいる)マッジからジェリーと二人で過ごすことを熱心に薦められ、いったん是非を考えることを放棄します。
「いいわ、彼女が気にしないなら、私も気にしない」と、目の前のジェリーに惹かれる自分の心に素直に向き合い、ダンスに誘う彼の手をとります。


そこから二人がタイトルどおり、”頬を寄せ合って”チークダンスを踊る時間の、なんたる甘やかなことか。
「言葉は何もいらない」と、愛をこめてうっとりとした歌声をデイルの耳元で紡ぐれいちゃんジェリー。
その腕の中で、どきりとするほどに美しい恍惚とした表情を浮かべるまどかちゃんデイル。
曲が始まった段階ではフロアを埋めていた他のカップルがいつの間にか姿を消し、歌の終わりとともにダンスホールはジェリーとデイルのカップル、ふたりだけの空間へと変化していきます。


広い舞台上でふたりきり、デュエットダンスが披露されるこの時間、まずはやはり技量的な面で本当に目を見張ってしまいました。見事すぎる。
特にあの、まどかちゃんが縦に180度回転?に近い体勢になる例の瞬間!
「待って!今何をやったのかさっぱりわからない!?」となってしまった、、あれもリフトの一種なんでしょうか?
直前に一瞬勢いをつけて、まるでなにもない空中を駆け上がるみたいな動作をするんだけど、本当にあれは一体なにがどうなって……!?
円盤の稽古場風景にこのシーンが運良く入ったりしてないかな!?無理かな!?笑
絶対にものすごく難しいことは素人にもわかる、でもそれをあくまでも「軽々と」やってのけているように魅せてしまうおふたりに、脱帽でした。
ナウオンでは(おそらくは海外公演の)映像を観て「これは一体なにがどうなって……?」とこちら側と全く同じリアクションをしているまどかちゃんの様子もありましたが、
それをごく短い稽古期間でああして実現してのけてしまうのですから、トップコンビって本当に凄まじい存在ですね。。

芝居とダンスどちらもぴったりと合う、れいまどの呼吸

劇場でこのシーンを観ながら、この演目をリアルタイムで目撃できた幸をしみじみと噛み締めました。
まさしく「夢のような」と言いたくなるこの場面がここまで魅力的に仕上がっているのは、
ジェリー・デイルとしての気持ちの沿い方と、芸名のおふたりとしてのダンスの呼吸、双方がぴったりと揃っているからじゃないかなと感じました。
そのどちらかが欠けていたら、あんなに魅力溢れるシーンにはならなかったんじゃないかなと。

れいまどは、お芝居とダンス両面での呼吸の合わせ方がとにかく丁寧だなと感じます。
そりゃ、デュエットダンスなのだから当たり前ではあるかもしれないけど、単に「難易度が高いものを見せる」というだけに終わらないところがすごいなと思うんですよね。
ISN'T THIS A LOVELY DAYもCHEEK TO CHEEKも、
「確かに振り付けの中には難易度の高い部分がある、でもそれを踏まえて今このシーンではジェリーとデイルとして何を表現したいのか?」というところまで深く深く踏み込んで、作り上げられたシーンなのだなと思います。
たくさん話し合いも重ねられて、お稽古をいっぱいされたのだろうなと。
だからこそ、観ているこちら側はただただうっとりと、夢見心地になれるのだろうなと思います。

書ききれないので駆け足で、その他言いたいことを殴り書く

言いたいことほんとはまだまだたくさんあるので、以下駆け足でざっと行きます!


まず、まどかちゃん、歌がうまい!(それはそう!みんな知ってる!)
「YOU'RE EASY TO DANCE WITH」と「WILD ABOUT YOU」のまどかちゃん、歌の表現力の幅が広すぎてビビりました。
娘役歌唱じゃない喉の使い方?といったらいいんだろうか……声楽全然詳しくないからわからないけど、そういう歌い方もできるんだ~!みたいな瞬間がいっぱいあって。
ちょっと濁った感じの「about you」の歌い方、まじまじカッケ~!と思いました。
歌いこなせる曲の幅がとにかく広くてびっくり。本作はそもそもソロが3曲もある時点ですごすぎる。
せっかくなので、がつんとミュージカルど真ん中!みたいな難曲、今後花組のまどかちゃんでもぜひ聞いてみたいな~!って思っています。
なんというか、まどかちゃんはやっぱりスーパー娘役さんだと思う。
今後のご活躍もとても楽しみです!


あとどうしても言いたい!
ポスタービジュアルにもなっているCHEEK TO CHEEKのデイルのドレス、ほんっっっとうに素敵!大好き!(※ドレスに字数を割いてしまう女S)

少しくすんだ色合いの落ち着いたピンクが、デイルのキャラクターにとてもよく似合っていると思いました。何より花組カラーですし、宙組初演のときは白だったみたいだから、花組での再演用にピンクを選んでくださったのかな!?
裾が大きく広がらないタイトなシルエットはとてもお洒落で、襟元と裾それぞれにたっぷりとついた細めの羽飾りがゴージャス。
リフトやターンで勢いよく裾がぶわっと広がるとダイナミックな見応えもあって、静止している時も踊っている時も、どちらもとても美しい一着だなと思いました。
そしてあのさばきにくそうな裾の構造を我が物にしてあんな難しい振り付けを踊りこなすまどかちゃん、本当にマーベラスッ……!


そして最後に!我らが柚香光さん、相変わらずのとんでもねえモテ男!そして、「恋」がお強い!!!
れいちゃんジェリーの息をするように恋に落ち、同時に相手もあっさりと恋に落とす仕草、やっぱり天下一品でした。恐ろしい。

そもそも柚香光さん、一緒になったら絶対に苦労させられる系の、でも抗えない魅力を携えた男性像がうますぎる問題があります。
今回、ジェリーはアプローチの仕方がぶっ飛んでいてやばい。あんなの自分に自信がないと許されない何かだよッ!
馬を御したことがないくせに一目惚れした女性と二人きりになるチャンスが欲しくて馬車を走らせちゃうジェリー、冷静に考えるとかなりあぶない人。笑
そんな近づき方されたら流石に怖くない!?めっちゃ避けたくならん!?とは思うけど……思うのに。
でもそういうのとりあえず、まぁいいか~!っていつの間にか不問に付してしまえる、あのチャーミングさ。全然よくないはずなのにおかしいな。
やっぱほんとれいちゃんの演じるモテ男はどこまでも、ヒロインを夢中にさせる説得力がありすぎて、ズルい。笑

そしてあの、誤解が解けたあとの「ジェリーだよ」のウルトラロマンティックっぷりには、ほんと腰が砕けました。
あれを聞いてた私の脳内は、

  • 「ねえなんで今名乗る!?アルベルトへの罪悪感を訴えてたデイルの話、ちゃんと聞いてた笑!?」←ツッコミ①
  • 「でもやっと誤解が解けたんだから、もう周りが見えなくても仕方ないか!?」←納得①
  • 「とはいえデイルが既婚者になっちゃった問題はまだ何も解決してないのでは!!?大丈夫!?」←ツッコミ②
  • 「う~~~ん……でもまぁ、とりあえず、二人が幸せそうだからいっか!!!」←納得②、になった。(※全然よくない)

上記のとおり、観ていてツッコミと納得の応酬が起きるほどに破壊力のある、とろけるような「ジェリーだよ」だったんですが、
それに加え、あのテーブルの上での指の絡め方がまた大問題ではなかったでしょうか。いや、色気ェ……
そのタイミングでデイルを見つめながら指をナチュラルに絡め始めるの、見ててほんとドキドキしちゃったな!?
ほんとうに、もう少し自重してくださってもよろしくてよ!?というあれで……あのシーンはオペラ覗きながら「ヴッ」ってなりました。”恋”があまりに強すぎて。

最後にデイルとアルベルトの結婚が成立していなかったとわかったあと、心から愛おしそうにデイルを抱きしめるその仕草にも、同じように「ヴッ」ってなりました。
だって、優しくて深くて強いハグであるだけでなく、同時にその仕草がどこまでも美しいんだもん……勝てないよ!!!
ラストの「デイル!この手を離さないで」っていう声音の、あのにじみ出るような幸福感も大変忘れがたく。。

というわけで、わたくしは今回も柚香光さんの恋心の匠っぷりに、無事完敗いたしました!!!は~~~ほんと、大好き!!!



1記事あたりのボリュームを圧縮することを試みたのですが全然失敗してます。8000字超えちゃった。圧縮とは???
それなのに、他の生徒さんの話全然書けてないんだよ~!でもそれもいつもだよ~!ってなってます。うう、悔しい。
それこそ別記事としてコンパクトにまとめられたらいいのか?!
とりあえずトプハ1記事目はここまで!

*1:タップダンスという存在を多分この映像で知りました。タップの足元のステージがどんどん小さくなっていくやつが子供心にすごく好きだったんですがなんの映画だったのか全然わからない!また観てみたいな。

*2:これは芸事の上では、れい華にも根底には同じ思想が流れていたように思います。つまりれいちゃんの中で理想とするトップコンビ像がそういうものなのかな?と最近思うようになりました。

突撃!隣の妖怪ブログ書き魔(またの名を、実の姉)

舞台を観劇し、その感想を書く。そのためにブログをやっている。
別に書く必要性があるわけでは全くないし、誰かに頼まれたわけでもなく、単に自分の満足のためだけに書いている。趣味100%の活動だ。
だから別に気楽に構えれば良い、好きなときに、書きたいように書けばいい。
そう思うのに、今の私は「感想が書けてない作品が溜まっている……!」と、一人とても焦っている。

これはそんなある日のつぶやきから始まる、とある妖怪ブログ書き魔のお話です。

「感想を書く」という行為、それはなんのためにあるのか?

むかしから、「需要は未来の自分!」を信念に、わたしは度を越した感想長文ブログを書き続けている。これは今でも本当にそう思う。
あとから読み返すと、その時客席で感じたワクワクした気持ちや、忘れたくない!と思った光景の眩しさが、リアルにぶわっと蘇ってくる。
そうして過去の文章を取り出して味わうたびに、あぁ、書いておいて本当によかったなと感じる。
ありがとう昔のわたし、としみじみ感謝する。
だからどうしても、感想を書き残すことがやめられない。

過去、「舞台の力」というお題で募集のあった雑誌企画にこのブログで文章を書いて応募したことがあり、
anagmaram.hatenablog.com
そしてその文章は後日賞をいただくことができたのだけれど(とても嬉しかった)、
note.com
その時にも引用いただいた書き出しのこの部分に、自分にとっての「感想を書く」背景のすべてが詰まっている気がする。

そんな大好きな存在である舞台の持つ「力」とはなにか?ということを考えたとき、 ちょっと変わった捉え方になる気はするのだが、わたしの回答は、 「観劇後の感想を、とにかくなんとしてでも言葉に書き起こしたくなってしまうこと」である。 それほどまでに大きく感情が動くという事実そのものが、舞台の力なんじゃないかな、と常々思っている。

想像力と一回性と。「舞台の力」をめぐって考えたこと - こたえなんていらないさ

つまりそれは衝動である

どうしても文章にしたいという衝動の強さは、劇場から持ち帰ってきた感情の総量に比例する。
巨大感情を持って帰って来ちゃったんだから、しかたない。あとしまつが必要だ。
面白かった、驚かされた、感情の色合いは様々でも、とにかくそれだけ暴れ狂った感情のかたまりが生まれてしまったら、なんとかして落とし所を見つけなくちゃ!
そのためには文章に乗せ替えないと、外にいったん吐き出さないと!そんな感じ。

そして仮に観劇したとて、さほど心に刺さる部分がないのだったら「うん、楽しかったー!」(完)で済ませれば良いんだけれど、
そもそも好きな人が出ている・好きな人が作っている舞台を選んで観ているので、まずそうはならないことが多い。
劇場を後にしながら、まず胸のうちに「これは感想を書かねば!」という確信が募り出す。

しかし、立て続けに観劇予定を組んでしまっていたり(やりがち)、平日に運悪く残業が続いたりすると、
書かないままの言葉が内側にずっとくすぶったように積み重なっていくことになる。
そうすると、今度は徐々に焦燥感が生まれる。

本来ならば抱いた感想は、即文章にしてしまうのが一番望ましいからだ。鮮度は大事。
感動はすぐさま言葉にしたほうが、絶対に魅力的なものになりやすい。
わたしには、この「ああ、感想が書きたい!でも書けてない……やばい!(焦)」という状態が、往々にしてある。

生れ出づる悩み(=長文)

いや、書きたいならば書けばよいのだ。なのになんで書かない、いや、書けないのか?
それは、文章を書くとものすごく疲れるから。なんて身も蓋もない!
じゃあ、なんでそんなに疲れるのか?
それは、わたしがやたら長文を書いてしまうから、である……。


推しや贔屓が出演している演目の感想だと、わたしは1記事あたり1万字を切ることが、まず絶対にできない。
5000字に収めようと思って始めても、気づいたら8000字、更新ボタンを押す頃には絶対に1万字に到達してしまう。
「今回はさすがに、3500字くらいで」と目論んで、それ通りに仕上げられたことは、過去一度もない。いや、普通に長すぎるんじゃ。

1万字の記事だと、わたしの場合更新するまでに5時間くらい必要だ。
最初の執筆作業に2時間半、同じくらい時間をかけて推敲するのに2時間半。
過去作との対比なども盛り込み、めちゃくちゃ練った刀ミュの記事なんかは、数日間にわたって・10時間近くかけて書いたことも過去にある。

見てきた演目がものすごく面白くて、あまりにも興奮していて、
「たとえ寝不足になっても感想を書くぞ!この衝動を今すぐ書き残さないでいられるか!」と息巻いているときは、その5時間をテンションだけで押し切れるんだけど、
ちょっと体調のコンディションがいまいち……みたいなタイミングの場合、
「今から5時間PCに向き合う」という選択はなかなかとりづらい。
いや、一気に書く必要ももちろんないんですが、一度書き始めると基本的に時計を見ないんです。ぶっ続けでトイレにも立たず数時間書き続けてしまう。
ので、走り出したら止まらない長距離暴走特急が生まれてしまうのだ。なんでなんだろう本当に。

妖怪ブログ書き魔のコールアンドレスポンス

もっと短く書くことができたら。もっと気楽に構えることができたら。
そもそも別に、絶対感想書かなきゃいけないわけじゃなくない?
とかとか、色々考えては悶々とするのだけど、どうしたってこの両手は勝手に1万字をタイピングしてしまうのだ。なんなんだろう。


……みたいなことをここ最近つらつらと考えていたら、姉(id:purplekuina246)がやや近い内容で苦しんでいた。
purplekuina246.hatenablog.com
唐突ですが、ふたつ上の姉はミッチーさん(及川光博さん)のファンで、春~夏にかけて開催されるワンマンショーツアーを全通し、公演単位のレポを書き残すタイプのベイベー*1をやっている。

姉が書いていた内容をかいつまむと、

・楽しみにしていた今年のツアー開幕直前に、時間をめちゃくちゃ取る必要のある超ヘビーな別件文章タスクが爆誕した
・いろいろな事情があって、それは引き受けざるを得ないもの
・並行して数ヶ月のツアーレポを書くと、確実に死ぬ
・つまり、今まで通りにツアーレポを書くのは諦めねばならぬ
・結論:つらい

という状況らしい。以下は姉のブログからの引用である。

例えば参加を4本ほど減らしたり、そもそもレポを書くのを諦めるのなら、バランスをとって同時進行するのは難しくないはず。行くなら全部行きたいし、書かないなら行かないのと同じ、という極端さが、事態を苦しくしているのは明白です。

ベイベーの日記/初日1週間前の隕石、または書かないことは行かないのと同じ - 完全に猫なのさ

なに?わたしか???

落とし所としては、文字数を圧縮する努力をしようと思います。初年度に比べて2021年は色々スキルが上がって持ち帰れる情報量が増えたんですよね、それで少し長くなってしまいがちでした。前後で分けてるけど足したら1万1千字くらいだから、長いよね…。

ベイベーの日記/初日1週間前の隕石、または書かないことは行かないのと同じ - 完全に猫なのさ

この血のつながりがひどい2022か?


姉は悲しんでいるので笑っちゃいけないんだけど、あまりにも他人事とは思えなくて(※実際他人ではない)、めちゃくちゃ笑ってしまった。
こんな極端な行動特性がそんなそっくりなこと、ある???
なんでか本当に謎なんだけど、わたしたち「書かないと死ぬ」系の姉妹らしくて……どうしてこうなったのかは、本当によくわからない。
でもわたしから見ると、のたうつ大蛇のような長文を書くわたしよりも、姉は全然文章をコンパクト・かつ読みやすくまとめることに長けている。リーダビリティはすごく高いし*2、でも足すと1万1千字だったのは「……そっかぁ~」だった。そっかぁ。笑
もうこれは、妖怪ブログ書き魔姉妹であると、名乗らざるを得ないのではないだろうか。


姉とのLINEのやり取りでは、
「2000字を超えたあたりでブザーが鳴って、3000字を超えると金だらいが落ちてくるシステムが必要」みたいな結論になっていた。実装が待たれる。
今回の件をきっかけに、一度真面目に自分にとっての「感想文」の在り方を考え直してみてもいいなぁ、なんて思っています。
本当に書き残したかったことろ、サビはどこだ!?っていうのを突き止めて、メリハリを掴めるように……(※ここで「全編サビなんです!」みたいな過去のわたしからの返事の幻聴が聞こえた)

指向性の一致があまりにも面白かったので、姉のブログに対するコールアンドレスポンスをしました。突撃!隣の妖怪ブログ書き魔。
そうこうするうち、この記事ももうすぐ5000字。
そんなわたしは、この週末こそ花組TOP HATの感想を書きたいです!(金だらいフラグ)

*1:ミッチーさんのファンの愛称、男性ファンは男子と呼ばれる

*2:本人が明かしているので書くと、姉の職業は編集者である。いっぽうの私は野良の妖怪ブログ書き魔です。

古川雄大 The Greatest Concert vol.1 -collection of musicals- 4月2日ソワレ感想(ゲスト:黒羽麻璃央)

先週末の土曜日、古川雄大さんのコンサートにお邪魔してきました!
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www.ken-on.co.jp

昨年夏に開催予定だった本コンサート、約半年後となったリベンジの公演。
昨年の予定を引き継ぐ形でまりおくんがゲストとしてお呼ばれしていたので、4月2日のソワレを見たのですが、もう本当に「楽しかった」の一言で!
1回しか見に行けないのが惜しまれまくります…。
1部/2部構成となっていたので、以下それぞれの感想をまとめます。(長いよ!)

”ミュージカルの歩み”をたっぷりと歌い継ぐ1部

約45分間の1部は、ゆうたさんが衣装替え以外は常にステージ上にいて、MCなしでひたすらお一人(+コーラス)で歌い継いでいくスタイルでした。
今回の会場はステアラ(IHIステージアラウンド東京)だったのですが、
開演時の"Majestic Catsle"へと誘われる映像演出+座席回転が、ステアラならでは!という体験になっていて、没入感たっぷりでとても良かったです。ワクワクした!


真っ白い王子風の衣装で登場したゆうたさんが1曲目にまず歌ったのは、ロミジュリより「世界の王」。
持ち歌は本当にたくさんおありだと思うんですが、それにしても初っ端からなんて贅沢なの~!?と楽しくならざるを得ない!
そこから舞台上で黒い衣装に即チェンジののちに、なんと間髪いれずにエリザベートから「最後のダンス」を披露。
容赦ない振り幅!?と驚きましたが、それもまたコンサートならでは。
もうね、当たり前のことしか言えなくなりますが、歌がうまい。スタイルが良い。お顔が途方もなく美しい。どう考えてもその姿に後光差してる。
ただただ、目と耳が喜びまくりです。
ゆうたさんの歌声、本当に大好き!いや、みんな好きだと思うけど!
コンサートなのでそれをずっと聞いていられるのですから、そりゃあもう、至福でしかないわけです。
よく考えたら去年は出演作を観る機会がなかったので、ゆうたさんの歌を聞くのはたぶん2019年のエリザベートぶりだった。ふつーに間違えてた。2020年の帝劇コンぶりでした。笑 いずれにせよ、耳が喜ぶわけだ~!


1部はこれまでの歩みを振り返るというコンセプトで、過去に出演されるミュージカルの楽曲が沢山披露されました。
そのすべてがわかるわけではもちろんないのですが、やはり大作・大ナンバーが多いので、聞いていてあの作品だなとわかるものも多く、楽曲を知っているかどうかによらず楽しむことができました。

まず驚いたのが、だいぶ序盤で黒執事の楽曲が歌われたこと。
そうか、2.5次元作品も”ミュージカル”の範疇にしっかりと含めてセトリを作っているんだ!と感動し、なるほど最後に出演したカンパニアから1曲?と思っていたら、
その次あたりに今度は同じく黒執事から、「私はあなたの駒となり剣となる」が歌われて。
も~~~めちゃくちゃテンションが上がりました。地に燃えるリコリスのテーマ曲、でいいのかな…?
テンポ早めのあの独特のドコドコ響くような重量感のあるイントロが流れた瞬間、「まじでー!!!」と心の中で喜びを叫びました。
だって本当に、かっこいいよねぇ。。ゆんセバスで再演されたのは2015年らしい。もう、そんなに前なのか。。
「まさか歌ってくれるとは」と感謝でいっぱいの気持ちになってしまった。しかし、それだけでは終わらなかったのだ!

令和の世にまさかそんな……!?予想だにしない曲との出会い

その後ステージ上にゆうたさん不在の間に、ダンサーの皆さんが手に各々シンプルなモチーフが描かれた額を手に抱えて踊るシーンがあり。
最終的に、舞台上にまんべんなく散らばすように配置された額。
実はその額には過去にゆうたさんが出演した作品を象徴するモチーフが描かれていて、絵を順に辿りながらメドレー形式で楽曲を歌い継いでいく、という趣向のコーナーだったんですが、
その中にね、つばめとおぼしき鳥の絵があったんですよねぇ。ステージのちょうど中央あたりに。
「鳥かな?つばめっぽいな、でもなんの作品かな~わかんないな~」ってぼんやり思ってたんですけど、ちょっととんでもなかったですね。

その絵にぱっとスポットライトがあたった瞬間、流れてきたイントロは紛れもなく、聞き間違えようもなく「ヘビーレイン」でした。
冗談かと思った。本当に本心からびっくりしすぎて、まじで死ぬかと思いました。ヘ、ヘビレ……!???


ヘビーレインとは、ミュージカル『テニスの王子様』・通称テニミュ、全国大会 青学VS氷帝の曲で、
ゆうたさんが演じていた不二周助が歌う楽曲です。(※跡部景吾の歌唱パートも一部あります。)
その後のテニミュ2ndシーズンでも3rdシーズンでもカットされることなく残った名曲で、ゆうたさんの不二はその曲を歌ったオリジンな存在であらせられます。
テニミュを過去に通ったことのあるオタクで、ヘビレ好きじゃない人とかいる!?おらんやろ!!?
いや、つばめ=つばめ返し=不二周助て、まさか、そんな……
冒頭の演出で、テニスラケットの絵が出てきたりはしてたけど!でもそれはあくまでもゆうたさんの歴史を表しているものなのかと思っていたのよ。。。

この日は友人と連番していたのですが、突然のヘビレ、驚きすぎて耐えきれずに同時に互いの手を掴みあったほどでした(なお、その友人は4代目をリアルタイムで現地観劇している1stのテニモンである)。
私自身は2ndからテニミュを生で見出したオタクなので、ゆうたさんの不二は映像でしか存じ上げませんが、でもだからこそ、嘘でしょ今これを聞けてしまうの!?という衝撃がやばかった。
こんなことってあるんだ。。と呆けたようになってしまいました。こんなことってあるんだ……。
これ、いつぶりだったんでしょう?過去にライブとかで歌われたことが無きにしもあらず……?のようなことを数年前に聞いた記憶もあるのですが(それも記憶違いかも)、
仮にそうだとしてもものすごく、久しぶりだったんじゃないでしょうか。。えええ……???(おさまらない混乱)
なんかもう「ありがたい」「拝みたい」以外の感情が湧いてこず、ただただ驚きに目を見開いて、ステージを見つめることしかできませんでした。もっとちゃんと歌を記憶したかったけど衝撃に追いつけなかった……
ゆうたさん、とんでもない経験をさせてくださってありがとうございます。。


その後にさらに衣装替えもあり、マリー・アントワネット/モーツァルト!/エリザベートの楽曲が披露されていたのですが、
ここで「愛と死の輪舞」を聞けたのがすごく嬉しかったです。
古川トートの「愛と死の輪舞」、私の中ではですが、他のトートにない独自の魅力があるように感じられる1曲でして……!
ゆうたさんが歌うこの曲からは、トートがシシィを愛してしまうその様子が、とてもビビッドに伝わってくるように思うのですよね。
anagmaram.hatenablog.com
2019年に古川トートを見た時に興奮して↑の感想を書き残しているんですが、
東宝版を見ていて個人的にはどうしてもすんなりとは理解しにくい「トートからの愛」の在り方が、違和感なくすっと入ってきた、それが古川トートの「愛と死の輪舞」でした。
今回コンサートで聞いても、やっぱり涙が出てしまった。それくらい大好き!
今年のエリザも本当~~~に楽しみです(チケットに関しては今から怖くて泣きたいけど)!

ゆるふわMCで開始早々、笑いとともに始まる2部

2部冒頭はダンスパートからスタート。
1部とは打って変わったカジュアルな服装で、ダンサーの皆さんと一緒に軽やかにステップを踏むゆうたさん。
歌ってよし、踊ってよし……本当にどこまでも死角がないよな!!!と唸らされました。そうなんよダンスも素敵。すごいよね……?(すごいしか言えなくなっている人)

そしてここからはMC多めとなったんですが、喋りだすとまぁ、どうしたって面白くて。。
あんなに美しいのに、どこまでもふわっふわしていらっしゃる。
ゆうたさんを見ていると「美の化身がふわふわ喋ってるな」といつも思うんですが、ご自身のファンを前にするからなのか、想像の5倍くらいふわふわしていて、あまりの面白さに笑いが止まりませんでした。

MCパートになり、グッズの白いペンライトを振る客席を嬉しそうに見つめて、手を振り返すゆうたさん。
おもむろに背後にそびえるセットについて「Majestic Castle、雄大な城。」と柱に書かれた文字を読み上げたかと思うと、「これは、”雄大(ゆうた)”を”ゆうだい”と読んでいるわけですが」とおおまじめに解説を入れ始めたり、
「皆さんどうですか!素敵なセットですよね!(客席拍手)……今回が終わったら、もう使わなくなるんでしょうかね。」とスンッしたり、
「ペンライト振ってくださってありがとうございます!あっ持ってなくても大丈夫なんですよ、振ってなくてもありがとうございます、来てくださるだけで……後ろの方も……お一人で2本持ってる方がいますね?一番うしろの方は、お一人で2本持ってますよね?」と突如厳密な事実確認をしだしたり、
センターからすすす…と上手サイド方向に移動して、おお何するのかな?と思ったら、一拍おいて「お元気ですか?」とふわっと話しかけたり……もうね、ほんと面白い!笑


2部の最初の方に歌われた「Dancing Queen」では、ペンライトを使った簡単な振り付けがありました。
ゆうたさん+ダンサーさんを見ていると、なんとなくこうね!とすぐわかるレベル感で、初見の私でも無理なくついていける感じだったんですが、
ゆうたさん的にはおそらく3公演目にして思った以上に踊れている客席に驚いたのか、サビの「You can dance」の歌い出しが笑い混じりになっていたりもしました。笑
「えっもうみんなそんな踊れるの!?」みたいな感じで、すごく楽しそ~に笑ってらして。そのあとのMCでは「素晴らしい!」を連呼している王子様!

淡々+ふわふわ+美のコンビネーションが絶妙な面白さを生んでいて、この存在、どう考えても唯一無二だよなぁ、としみじみしました。
ゲスト呼び込みの直前に、衣装からなにか白いものがヒラヒラとステージ中央に落ちる → それがまさかの脇汗パッドだったくだりには本当に爆笑してしまったし。
MC途中に突然その存在に気づいてしばらくフリーズし、「これは……脇汗パッドかな?なんでここにあるのかな?」と動揺を隠せない笑いとともに、拾い上げてステージ後方に片付けるゆうたさん。笑
「スルーできない位置に落ちてました。……もう落ちてないですよね!?まだ途中でもう1個落ちてくる可能性があるな」「もし落ちてきたら皆さん笑って教えて下さいね、またあっちのほうにやるんで(片付けるんで)!」
本当に、どうしてこんなに面白いんでしょうね!??笑

”スカしてない"後輩が登場、日替わりゲストコーナー

そして2部の中盤にさしかかり、いよいよ日替わりゲストが登場しました。
「まりおはあの(整った)見た目なのに、すごく男くさくて。もっとスカしてもいいのに全然そんなこともなくて……部活は何やってたんだろう。そんなこと言ってないで、早く呼んで本人に聞けって思ってますよね?笑」というゆうたさんの長めの前フリ、
それを受けてどことなく運動部っぽい&後輩感たっぷりの雰囲気で、「よろしくお願いします!黒羽麻璃央です!……野球部です!」と自己紹介して爽やかに現れたまりおくん。
そんなまりおくんを迎えたあとも、ひとしきり「やっぱりスカさないんだよな~」と不思議?不満げ?に繰り返していたゆうたさんでしたが、
「俺だったらスカすんだよな。ていうか、スカしてた笑。……え、ちょっと登場してみていい?呼んでもらっていい?」と告げて、わざわざオケに音楽をもらい、まりおくんの呼び込みによって自ら”スカした”ゲスト登場を披露してくれました。しっかりスカしてて、めちゃくちゃ笑った。
(なお、このスカした登場劇をやったせいで、しばらくおふたりの立ち位置が本来とはかみしも逆になっていた模様でした。笑)


この日ゲストコーナーで披露された楽曲は3曲。
ゆんトート+まりおルドルフでエリザベートより「闇が広がる」
まりおマキュでロミジュリより「マブの女王」
最後はWロミオでロミジュリより「僕は怖い」でした。
いやもう、贅沢すぎて。。こんなの聞かせていただいてよかったんですか状態でした。


闇広は、まりおくんは2020年の山崎育三郎さんコンサートのゲストが初回披露。
その後今年1月にCSで生放送された「プリンスロード生歌スペシャルライブ」にて、小野田龍之介さんトートとも歌っていました。
今回が3回目となり、映像ではなく私自身が生で聞くのは初めての闇広だったんですが、もう、過去イチでうまかった。最高だった。

まりおくん、元々高音が得意だとはいえ、ここまで伸びやかに余裕たっぷりに聞かせられるようになったのだなぁと。。
ルドルフは担当する音域がかなり高めなので、とくに歌の後半にある「今こそ立ち上がる時」なんかは、過去聞いていてもけっこうきつそうに出す人も多い印象があるのですが、
そこもまぁ「余裕」の一言で!めちゃくちゃキレイ。声量もばっちりで、たまげた……。「王座」も完璧だったのよ。。
歌う前のゆうたさんとの会話でもすごく楽しそうだったし、コンサートで緊張しているかなと思いきやすごくリラックスして臨めていそうな雰囲気で。
そしてね、つい忘れそうになるけど、本来はこれは歌わないはずの歌なので!笑(まりおくんはあくまでもルキーニ!)
貴重すぎる組み合わせで、こうして実際に聞ける機会があったことに大感謝です。。
コンサートならではだし、やっぱりエリザといえば私の中では「ルドルフだと思ってた」から始まってるし……いやぁ、感無量だなぁ。


その後に設けてくださったソロコーナーは、ルキーニなのかな?と思っていたんですけど、
「この二人ならば思い出すのは、マーキューシオですよね」的なフリで、まさかの「マブの女王」を聞くことができました。
もうね、ものすごく嬉しかったです。これをセレクトしてくださるとは!全然予想してなかったので飛び上がりそうに驚いた。
3年ぶりに聞くマブの女王、わかってたけど歌唱力の伸びがありありと感じられて。。
これもまた高音の多い楽曲ですが、気持ちいいくらいに伸びる伸びる。
どこか妖しげな曲調と、楽曲全体を通してかなり複雑に展開される旋律。
グランドミュージカルデビューだった2019年は「うわぁすごい、難しそうな曲なのによく歌えてる!」みたいな感想を抱いていた気がするんですが、やっぱり聞き応えが段違いでした。
当時と比べての一番大きな違いは、声量かなぁ……?あとは闇広とおんなじ感想になるんだけど、とにかく余裕があるのですよね。
無理に出そうとしてない高音って聞いていて本当に気持ちが良い。
「もっと聞いていたい!!!」と思ったけどあっという間に終わってしまって、1回しか聞けないなんてもったいない~~!!!と暴れたい気持ちになったほどでした。


そしてラストは、これぞ贅沢の極み。Wロミオでの「僕は怖い」でした。
文章にしたら、ええ……なにそれ夢みたい……?って今改めて感じてしまった、やっぱりあれは、夢だったかな??
ゆうたさんのロミオをまた聞けたことも嬉しいですし、2019年のまりおくんが共演して憧れていたロミオの先輩と、同じ役を経て肩を並べて歌っているというシチュエーションも、ものすごくエモくて。

これはずっと以前から抱いている個人的な印象なのですが、高音のタイプが、ゆうたさんとまりおくんはどこかしら似ているなと思うんです。
弦楽器みたい、っていつも思う。艷やかに揺らめいて、琥珀色をしたなめらかな響きと美しいビブラート。
専門的なことはわからないんですけど、倍音のタイプが似ているのかな……?と感じます。
声量そのものでドンと聞かせるというより、響きが空気中にぐわっと増幅していくような、なめらかな広がり方が、共通した特徴のように思います。
そんなお二人の大好きな声で、大好きすぎる「僕は怖い」を聞けるなんて、そんな贅沢あってよいの?と思いました。
しばらくは交互に歌い継ぐスタイルだったのですが、一番最後の「僕は怖いーーあああーーうぉうおーーー」のところ(説明下手か?)は、二人で向かい合ってぴったりと高音でユニゾン
あまりの見事さに思わず聞きながら手をぎゅっと握り合わせました。だってもう、美しすぎる。歌がうますぎる!!!
そもそもあの自己の内面を表現するような歌唱パートでユニゾン、だいぶ難しいのでは!?と思うんだけど本当に綺麗に揃っていました!
またどこかで聞ける機会があったら嬉しいな。。本当に「幸せ」の一言でした。贅沢だった。ありがとうゆうたさん。。

きっと通じ合うものが多い、とにかく仲良しな先輩&後輩

お二人のトークは、お互いのことがほんとに好きなんだなぁ!とじんわり伝わってくるような仲の良さで、見ていてひたすら気持ちがほっこりしました。
まりおくんがゆうたさんを憧れの先輩の位置においていることは以前から知っていましたが、
ゆうたさんの方もまりおくんのことをこんなに好きでいてくれたのか~!ということがよくわかって、ファンとしてはなんだか無性に嬉しかったです。
ロミジュリ2019のときよりも格段に距離が縮まっていることが伝わってくる雰囲気で。だって、エリザ2020の稽古期間もあったんだものね……!
おふたりによる「トートとルキーニには一緒に歌う歌がないが、小池先生に頼んだらひょっとして作ってくれるのではないか?」的な発言はひたすらおもしろすぎたし(さすがムッシュイケコのコレクションなのよ笑)、
生クリームを一番美味しく食べられるのはクレープ!クレープを一緒に食べに行こう!で意気投合するところはキャッキャしていて可愛かったし、眺めていて幸せを感じる光景でした。

「ヘビーレイン聞けて、ウワァー!ってなりました、興奮しました!」って言ってるまりおくんを見たときはエモに倒れた。。
そうだよね、だって7代目にとってのお手本の代は4代目なわけで、当時絶対的な資料映像として見ていた大先輩のヘビレを生で聞けるって、まりおくんも想像したことなさそうな機会だったかなと。
「え、まりおどこから?」「僕は比嘉からで」「えっ比嘉、一緒じゃん!?」のやりとりも、テニミュによって舞台オタクの命を授かりしわたくし(現地で初めて見たテニミュ本公演はそれこそヘビレのある2nd全氷)、やっぱりここでも「拝みたい」以外の気持ちが湧いてきませんでした。拝んだ。。(オタクあるある、感極まると拝むしかできなくなるの図)


まりおもきっと見た目のせいでチャラチャラしてるとかスカしてるとか思われがちじゃない?と質問するゆうたさんからは、
まりおくんのことを「見た目が整っているゆえに内面を誤解されることが多い(はずの)仲間」として認識していることが伝わってきて、なんかすごくよかったです。笑
地方出身の上京組でもあるし、なにかと共通点が多いお二人なんだろうなと思うんですよね。
それこそ小池先生からの見いだされ方がそっくりなわけですし、ミュージカルの世界にいる上で、二人だからこそ分かち合えるような感情もきっと沢山あるんじゃないかなぁ、なんて。
ロミオという同じ役を演じたあとにこうして一緒に舞台に立てるタイミングがあるのは、まりおくんにとってすごく意味のあることなんだろうなとも思います。

ゆうたさん、いつかクレープを食べにいけた暁には、ぜひお二人のツーショをあげてくださいね!
見切れるシリーズの結果としてクレープだけの写真がインスタに上がる予感しかしなくて、今からちょっと心配しています!笑
どうぞこれからもよき先輩として、まりおくんのことをよろしくお願いいたします!



この日、アンコールで披露されたのはモーツァルト!より「僕こそ音楽」でした。
「どの作品ももちろん好きで選べないのですが、ミュージカルではこの作品がやっぱり一番好きで、この曲が好きで」と紹介してくれたゆうたさん。
歌詞そのものを表現するような微笑みをたたえた表情と、歓びに満ち溢れた歌声と。
歌・音楽を通して、生きること、命、魂みたいなものを、今この瞬間にあますところなく表現するその姿は、本当に「美しい」の一言でした。
あなたが今こうして生きている、その姿が美しい。そんな風に思いました。涙出た。


あっという間の2時間、本当に本当に!楽しかったです。
チケットも機材開放とかでまだ当日券の追加販売があってますし、千秋楽の4月10日は配信もあるので(ゲストは明日海りおさん!)、お時間ある方には心からおすすめいたします!
まりおくんのコンサートゲスト姿を直に見られたこともとてもとても嬉しかった!
去年の中止公演もチケットを取っていたので、こうしてすぐに上演が叶って本当に良かったなぁと思いました。
千秋楽まで引き続き素晴らしい公演となりますように!ゆうたさんありがとうございました~!

宝塚花組公演 2022年2月6日 大千秋楽を見届けての感想

今作、感想は下記2本でいったん書き尽くしたぞ!って気持ちだったのですが、懲りずにまたPCを立ち上げてしまいました。
anagmaram.hatenablog.com
anagmaram.hatenablog.com

そうしたくなるくらい、昨日の花組大千秋楽があまりにも素晴らしかったので……!

昨日の大千秋楽は、自宅にて配信で視聴しました。
舞台に立てるこの時間を愛しぬくんだとばかりに、今できる全てを!と、熱く熱く魂を注ぎ込む花組生の皆さんのエネルギー、画面越しでも本当に伝わりました。
2月5日に実際に劇場で見た翌日ではあるのですが、そのたった1日の間にも、お芝居はまた沢山変化していて本当に素晴らしかった!

以下では、再開後からの1週間で感じた「元禄バロックロック」お芝居の変化についてと、感情が翻弄されまくった終演後の柚香さんのご挨拶についてを書きます!

ハッピーエンドの”奥行き”がどこまでも深まった、1週間での進化

千秋楽だけではなく再開後の公演を見ていて感じたことですが、出演者それぞれが自身の役と芝居を深め続けたことによって、物語全体の奥行きがぐっと増したように思います。
陽の部分だけでなく、陰に該当するような部分も表現の色合いがしっかりと濃くなった分、物語の中での悲しみ/喜びの対比がより鮮やかになった感じがします。

土曜の観劇でも感じたことでしたが、その印象にはまずコウズケノスケの変化がとても大きかったと感じました。
彼が時を戻す時計にこだわり続ける根底に、明確に<愛>を失った悲しみが横たわっていることが、いろんな場面からすごくよくわかるようになりました。
コウズケノスケは単なる野心ゆえ、大望を抱くゆえ時計を欲しているのではなくて、ケイショウインと別れ、家族が離れ離れになってしまった状況について「ずっと後悔に苛まれている」からこそ、
神をも恐れぬ夢に向かって突き進んでいくのだなと。
銀橋ソロのタイトルが「過ぎ去りし愛を求めて」なことがとてもしっくりくる一連の描写で、特に千秋楽の迫力、マイティーさん本当にかっこよかったです!!!

そしてその愛ゆえに、コウズケノスケは最後にツナヨシから和解を命じられても、それを簡単には飲み込めないのだということもしっかりと伝わってきました。
クロノスケの「御伽話にございます」の一言を聞いたとき、時を戻せる時計など存在しない=つまり自分が望んだとおりの未来はもう絶対に手に入らないとわかったからこそ、あれほどまでに名状しがたい表情をしているのだなぁと。
そしてどれほどツナヨシの命が飲み込めないのだとしても、それでも、と腹の底から絞り出すように言うあの「…ははっ」が、表情も声も本当に複雑で、大好きでした。
その後のコウズケノスケが愛する人の隣にいられるのだというその点でどうか立ち直り、悔しさもバネにして、新しい未来でもバリバリに手腕を発揮してがんばってくれますように……!
反対に、クラノスケに関してはあの弟君の姿を目にした瞬間に、なんだか憑き物が落ちたみたいな眩しい表情をしていて、あれはクラノスケにとっての救いでもあったんじゃないかな……と感じたのも対照的だったなぁと思います。


また個人的には、くノ一・ツバキ役の星空美咲ちゃんのお芝居が驚くほどに変わっているのがとても印象的でした!
コウズケノスケを慕っているゆえに、実りある知らせをもたらしたカエデにうっすらと対抗心を抱いているのが伝わってくるようになっていたり、
キラに「お父様のこと、好きでしょ?」と尋ねられて以降のやりとりでは、なぜそのセリフを発しているのかの背景が自然と聞いているこちらに浮かんでくるようになっていた気がします。
「それ以上言うと、たとえキラ様でも許しませんよ!」のあのセリフは、
コウズケノスケに実際に想いを寄せているからこそ、彼が「人の思いのわからない人」であることは彼女自身がいちばんよくわかっていて、その切なさの本質みたいなものをずばっとキラに言い当てられたゆえの反応だったんじゃないかなと。
単に「彼のことが好きだから」以上のものが現れてくる一言になっていて、千秋楽の配信では本当に目を見張りました。2月5日のマチネでその片鱗を感じていたけどより説得力が増していて。
その後のケイショウインとのやり取りも、「私の意志でお願いに参りました」そのものの情感が出ていて、本当に素晴らしかったです!
下級生の生徒さんってこんな風にぐんぐんと伸びていかれるのだなぁ、とその進化を目の当たりにして圧倒されました。ひきつづき今後もとっても楽しみな娘役さん……!

主演のお二人の、透き通るように繊細で、どこまでもリアルな愛のやりとり

主演のおふたり、クロノスケとキラの序盤のやりとりについても、コミカルさや無邪気さの分量が減りよりシリアスな雰囲気に寄ったことで、
中盤以降で明らかになる過去に繰り返してきた二人の別れの切なさが、よりくっきりと浮かび上がるようになっていたと思います。

柚香さんのクロノスケは、「なぜだかわからないけど、どうしようもなくキラに惹かれる」その複雑さが、より伝わりやすくなっていたんじゃないかなと。
自分がキラに惹かれるのには明確になにかしらの理由がある、だがそれがわからないという己の中のもどかしさだとか、キラが不穏にも思えるような何かを隠していることに、ほんのりと苛立ちを感じている要素が立ち現れていた気がします。
だからこそ全てを知った後のあの離れ難さ、キラ愛しさに泣きそうになってしまう表情が生まれるんだなと、before/afterの対比が見事でした。


千秋楽の「花火きらきら」は、主演のお二人の愛が、静かに確実に深まっていったことを感じさせる集大成のお芝居となっていました。
銀橋の端と端、離れた位置に立ちながら、お互いに気持ちを確かめ合うように頷き、笑顔を交わしてあたたかく歌を重ね合わせるクロノスケとキラ。
まだ全ての事情をお互いに共有する前なのに、本質的な部分でしっかりと通い合う二人の心が目に見えるようで……
やっぱり最高に大好きな場面。なんて美しいんだろうか。この場面がある時点で、元禄バロックロック、本当に大傑作だと私は思っております。
物語の筋を明かし切る直前の頂点に、カタルシスが予感のように半歩早くやってくるあの構成、見事としか言えなくって。谷先生ありがとうございます!って何度でも言いたくなる。

そして最後の場面、花のおエド(Rep.)で銀橋に走り出るクロノスケとキラ。
千秋楽でも、ここでのお二人の笑顔はまさに満開で、本当に明るくて楽しげで。
はけ際の花道でしっかりとキラの肩を組むクロノスケと、幸せそうに頬を寄せるキラ。
こんな幸せな光景で終わる作品であってくれて本当に良かったと思わずにいられない。
休憩に入るタイミングでは、本当に純度100%の幸福感で満たされていました。

その場に立ち現れる感情のリアルさと、緻密な呼吸の合わせ方がちゃんと同居し得る柚香さんとまどかちゃんのやりとり、素晴らしかったです。
感情の重ね合い方は、物語に通底する愛に呼応するように透き通って繊細で、だけれども確かなものとして存在していて。
相反するものをまとめあう二人の呼吸、これが大劇場お披露目とはやはり思えないほど、ぴったりと揃っていたなと思います。
その魅力を書ききれた気がしないのですが、二人のお芝居、本当に大好きでした!クロキラに幸あれ!!!

「再び愛が花開く」を体現する、花組生のエネルギー

今回、幕開けで柚香さん演じるクロノスケが歌う「花のおエド」の冒頭の歌詞、皮肉なくらいに、あまりにも今の状況にリンクしていました。
再開日に聞いたとき、予めその歌詞を知っていても、劇場で実際に耳にすると沁みてくるものが予想以上でした。

なんたる勝手 でも花はしたたか
いつかまた しれっと咲き誇り
やり直すチャンス 狙ってる
約束の春に 再び愛が花開く

諦めない不屈の精神としかいえないであろう力強さで、舞台上に美しく返り咲き、持ち帰りきれないほどの大きな愛を客席にを届けてくださった花組の皆さん。
どの場面にも、生徒の皆さんの舞台に立てる喜びが溢れていて、見ている間、こちらの心はただただ楽しく浮き立つばかりでした。
百花繚乱のエドの町でたくましく生きる元禄バロックロックの世界の住民たちを見ていると、
「いま生きてることを楽しまなきゃ!」と、こちらは笑顔で思わず頷いてしまう。
帰ってきてくれて、本当にありがとう!と何度でも言いたくなります。
ありがとう花組!!!愛してるよ花組!!!涙

かっこよくて面白くて恋泥棒すぎる、柚香さんのご挨拶

ショーについてはうっかり1.2万字感想を書いてしまっているのでそちらに全て譲りまして、以下は千秋楽のご挨拶について!
見出しどおり!要素が!要素が多いんじゃよ……!(息も絶え絶え)


ご挨拶の話の前に。
まずはなにより、退団者の皆さんが、お客さんの前で千秋楽を全うできたことに一番ホッとしました。
再開後、残された時間が1週間というのは本来の公演期間を考えるとあまりにも短い。だけどそれでも、千秋楽が叶ったことがやっぱり何よりも嬉しかったです。。
4人それぞれのご挨拶を聞いているとき、タカラジェンヌの皆さんは最後の最後の瞬間まで、本当に「清く正しく美しく」なのだなと思わずにはおれませんでした。
胸の内でただただ深い感謝と拍手をもって送り出すことしかできない。
本当に本当に、お疲れさまでした。ありがとうございました!涙


改めて、トップスターさんによる千秋楽のご挨拶についてなのですが、、
ここで見せつけられた柚香さんの進化の途方も無さに、もうこちらは改めてひれ伏すしかないな……という気持ちでいっぱいになりました。

3週間に渡る中止期間、その後に辛くも走りきったこの1週間。
大劇場公演について、柚香さんはトップ就任後、未だに宝塚・東京を揃えての全公演完走をご経験されていません。(そう書くとなんかもう!もう!!!涙 ってなる……)
どれだけ大変だっただろうか、苦しかっただろうかと思うのに、
その最中で全身からはちきれんばかりの「愛」を育て上げ、それを笑顔でこちらに届けてくださるばかりか、
宝塚歌劇全体を俯瞰してのご挨拶をなさっているその姿は、もう後光が差しているように感じる何かでした。たまげました。。

「この大千秋楽をもちまして、宝塚歌劇はしばし公演の見合わせ期間に入ります」と、中止の続いている他組の状況に触れた上で、どうかお元気で待っていてくださいと笑顔で伝えてくださる柚香さん。
今まさに中止期間を過ごしているどの組の生徒さんのことも、それぞれのファンの方のことも、
一気にすべてをひっくるめてどりゃあ!と力いっぱいに愛情たっぷりに抱きしめてくださってるかのようで、
本当に、なんて大きな人なんだろう、いったいどこまで進化してしまわれるのだろう???と、もはやどうしたらいいかわからない気持ちになりました。。涙
あまりにもかっこよすぎる。


そしてその大感動ののちに、今度は大爆笑もさしはさんでくださって……!
大千秋楽をもって花組から専科へと異動される、組長の高翔みず希さんをセンターにお呼びしたあと、組子全員でサプライズメッセージを贈るくだり。
センターは落ち着かないから!とさおたさんが逃げるように元の位置に戻ろうとした瞬間、
「さおたさん!さおたさんさおたさんさおたさん!!!」と本当に爆音で、なおかつ力の入った腰を落としたガニ股で叫んだので、
画面を見ながら本気で大爆笑しました。何がおきたんかと思った。笑
しかも途中勢い余って「さおた!」って呼び捨てになってる瞬間があったのがダメ押しで、本当にしぬほどわらいました……なんなの!!!笑
渾身のデッカ声の甲斐あって、もはやギョッとしていると言いたくなるような表情で静止したさおたさんをなんとかセンターに呼び戻すことに成功し、組子からのサプライズを贈ったあとも、
まだダメです!帰らないで!逃がすものか!みたいな圧たっぷりの笑顔でがしっとさおたさんの手を掴み、
柚香さん「でも次の大劇場公演ではまたご一緒させていただけますので!」
さおたさん「思わせぶりにいなくなったと思ったらすぐに戻ってくるなんて…」
みたいなやりとりを繰り広げるので、ここでももうひと笑いおきました。おふたりとも面白すぎる!!!
さおたさんのあの優しい笑顔、退団者を呼ぶ時のあたたかい声、本当に本当に大好きでした!寂しいけど!退団じゃないからまだ会えるし!柚香さんのいうとおり、次のリストにも出てくださるし!


宝塚ではセンター、0番はあくまでもトップスターのものであるというのが明確な決まりごととして存在しているように思いますが、
その持ち主であるところの柚香さんが、大好きで大切な組の仲間にその場所を嬉々として譲ってバンバン立たせたくなってしまうところ、本当にあたたかなお人柄が溢れていて大好きです!
昨日のさおたさんへのサプライズや花組ポーズのお願いを見ていて、アウグストゥス、ムラでの有観客ラスト2日で華ちゃんさんに銀橋センターを譲ってのご挨拶を促した場面を思い出したりもしました。涙


そして大問題が、一番最後、緞帳前にひとりで出てきてくださった後の場面。
「え、ちょっと待って、私ってこんなにも舞台が好きだったの?宝塚が好きだったの?花組が好きだったの?」と各方面への愛を実感しまくった中止期間の気持ちを伝えてくださり、
お元気でいてくださいとまた言ってくださったその最後。

劇場全体をやや上目遣いで広く見渡しながら両腕をふわっと広げ、そこから一拍置いたのちに、
「…愛してます。」と一言のたもうた。

まじで息とまった。
「なんて!?今なんて!???柚香さんなんて!!???」ってなりました……爆発した。
だって!柚香さん普段あんなに、照れ屋さんなのに!!?という衝撃に襲われました。
柚香さんといえば照れ屋さんやん!!!
ナウオンやらドリタイやらで、下級生や相手役さんから褒められるとすぐに「わー」ってなっちゃってスルーすることに全力になるやん!
華ちゃんさんの爆音大告白に照れすぎて咄嗟にまず「声量が~」って言ってたやん!
もはや「柚香さん=照れ屋の権化」やんけ!!!
そんな柚香さんが!?ダイレクトに過ぎる愛の言葉を、ザ・男役キメキメな感じよりももうちょっと素に近いモードで、そんな風にポロッと言うことなんてある……!?

あれを聞いて「そうか!柚香さんに愛されてるんだ!!!」ってハチャメチャに元気になった人が超多数だと思うので、本当にありがとうございますと思い、そして引き続き混乱し、、
わたくし、一日経った今でも消化しきれておりません!!!あいしてます????ってなってる。

今回の一連の出来事は、あの照れ屋さんの柚香さんが「愛してます」という言葉を思わず言ってしまうほどの心境になるなにかだったのだという事実を思うと胸が詰まるし、
でもそうして愛を全面に出したくなるほどに、今の柚香さんには真ん中にどっしりとぶっとい芯が安定して通っているのだなとわかる嬉しさもあるし、
あとあの……ほんと純粋に、その一連の仕草や声が恋泥棒すぎて……未消化にも程があります!あいしてますって!!!(混乱ののちフェードアウト)

そしてその愛に圧倒され、突然呼び方を変えようと決意する私(※なぜ?)

柚香光さん、もう、本当にすごい方。どこまでも愛のお人だなと思います。
だけど、すごいからすごいんじゃなくて、柚香さんがそうあろうとしているからすごいんだなってことを、とにかく肝に銘じていたくて。

トップスターって元々ものすごく重責を担う立場であり、今は状況の困難さでそこに更に多種多様なものが乗っかりまくっていると思うんですよね。
芸事にだけ真摯に向き合っていても大変に決まっているのに、そこに集中することすら許されないってどんだけ厳しいんだと思う。
未曾有のコロナ禍が直撃するトップスター就任期間を過ごし続ける中、
繰り返し公演中止のダメージをくらいながらも、千秋楽の舞台でアンサーとして爆発させるのが「愛」のみである、その力強い精神力とあたたかな人間力
そこを褒めそやし神格化するかのように感動して、その存在をどこか遠くに置いてしまうのではなくて、
愛を以てトップスターの真髄を体現してくださる柚香さんには、
しっかりと観客・ファンとしての愛を!地に足をつけて、こちらからもどっしり重たくお返ししていきたいなぁと思いました。

その一環として(?)、ただいま呼び方を”柚香さん”から”れいちゃん”に変えてみる個人的チャレンジを実施中です!
だってなんか柚香さんって呼ぶとどんどん距離をとってしまう感じがするから!
敬愛しつつ「なんかすごい人のいるところ」に勝手に置いてしまわないように、れいちゃんとお呼びしてみたい……と思います!(苦戦中)(がんばる)

「本日は…本日まで、本当にありがとうございました!」と言い直してくださったあのご挨拶や、
公演再開後の拍手は、愛そのものが乗っているのでは?と感じるようだったと、そしてそれを「開演前も終演後も、毎日袖で、胸に手を当てて拝聴しておりました」と教えてくださった一言。
本当に胸に沁みました。
こちらからの愛もしっかりと受け取ってくださって、ありがとうございました。観客として拍手をお送りできて幸せでした。

全力で咲き誇る花組を率いるそのあたたかな愛に、これからもついていきます!

れいちゃん大好きです!!!!!
(※書いて自分で動揺したので逃げるように走り去ります!ギャーッ!)

宝塚花組「The Fascination!」感想(※ほぼすべて柚香光さんのお話)

先日下記で花組お芝居パートの記事をあげましたが、今日はショー「The Fascination!」の感想です!
anagmaram.hatenablog.com

ショーのほうはポスター画像のURLないんやな!ってなったので秒指定でショー部分の初日映像を貼り付けてみた。
youtu.be

お芝居と全く同じなんですが字数がやばいことになりすぎるので、本当に潔く柚香さん(+まどかちゃん)の話ばっかりしています!!!
もうこいつはそういうやつなんやな!ということで、需要がそこにお有りの方に喜んでいただけましたら、たいへん幸いに存じます!

柚香さんの出ている場面ごとに、ただひたすら書きたいことをぶわー!と勢いに任せて書いております。
(読み返したら「ある愛の伝説」だけ書き忘れたことに気づいたけど、字数の関係でもうこのままいく~!笑)




幕開けに咲き誇る大輪の花/プロローグ

オケピから現れて銀橋センターに立つ柚香さんがパッ!と真っ白いスポットライトに照らし出されたその瞬間、「うわぁ!柚香さんが咲いてる!」って思いました。
花弁をイメージしたという、オペラピンクの鮮やかでフレアのたっぷりとしたお衣装をまとう柚香さんは、まさに存在が花そのもの。
歌いながら優雅にくるりと何度もターンをするたびに、ふわっとまあるく円を描く豊かな裾の広がりは、まさにお衣装の狙い通り、花びらのよう。
圧倒的な存在感を放つ柚香さんの後ろに、組子全員がステージ上は花道までぎっしりと埋めて勢揃いする幕開きは、まさに圧巻でした!
コロナ影響でAB日程に分かれていた公演しか見たことがなかったので、花組の組子全員がステージに立つ演目を見るのは私は今回が初めてだったんですが、
様々な色合いのピンクのお衣装に埋め尽くされたステージの華やかさといったら。
何よりもそこに咲いている、花組生の笑顔の美しさといったら……!涙


銀橋にいる柚香さんはそのまままどかちゃんを優しく迎え、二人で歌いながら背中合わせになったり、最後は乾杯するように手を掲げあったり。
その端々で笑顔で視線を交わし合うれいまどは、とにかくウキウキと楽しそう。
更にそこから下手袖に手を繋いではけていく時なんですが、銀橋を渡り終える瞬間と、袖に入っていく瞬間の2回、必ず!まどかちゃんを振り返るあの柚香さんの優しさが、本当に大好きです。。
そういうちょっとした仕草に相手役さんへの愛が自然と溢れてしまうところ、柚香さんの魅力を語る上では絶対に外せないポイントだなぁと思います……!

その後もどんどん繰り広げられる、洒脱で自然と心が浮き立つような曲調に乗っての銀橋での歌い継ぎと、同時進行で舞台上でメンバーを次々に変えて繰り広げられる、ゴージャスな群舞。
演出の中村先生が「生徒一人一人の顔が見えるように」と考えて作られたという今回のショー、本当にそのとおりで、
とにかく下級生までよくお顔が見えるためどこを見ていても楽しいです!

プロローグの最終盤、お衣装にピンクの羽飾りが増えてゴージャスになって戻ってきた柚香さんのダンスがすごく好きなんですが、
今回のショーはまずここで最初に「柚香さんの体から楽器の音がしたー!」って思いました。だって音、聞こえるんだもん!
初日を見ていたときに、ぐっと踏み出した柚香さんの右足のつま先から「パッパー」ってトランペットの音がね、明確にしたんですよ……。

音ハメとかいう次元を超えて、どこまでも音楽と一体となって、全身をメロディの中に自然と溶け込ませるように踊る柚香さん。
メロディに乗りながら、優雅になめらかに踊る印象が強い今回のショーの振り付けは、
この柚香さんの「音楽と一体化する能力」の突き抜け方が、とても可視化されやすいなぁと思います。。たまらんのです。。見てる間の幸がすごい。
ありとあらゆる楽器の音がするので本当にびっくりしちゃう、だって他の誰を見ていてもそんなふうに感じたことがない。

柚香さんの場合、ただ単にリズム・拍をぴったりと合わせることに長けているだけじゃなくて、その楽器の音色まで捉えて自分の動きの中に取り込んでいらっしゃるような気がするんです。
ハリのある金管楽器の高音や、クラリネットやサックスの木管楽器のなめらかさ、パァン!と広がるシンセサイザーの力強さ、
そういった楽器ごとの音色の特徴が、その音が発せられる瞬間の柚香さんの動きに乗っている気がして。
その類まれなるご様子に、何度見ていてもハッとさせられてしまいます。大好き!!!

「人ならざるもの」の危険な魅力を存分に発揮/食虫花

危険すぎるやつ……野獣に続いてまた人間ではない柚香さんなわけですが、今回醸し出している「人外」感はまた新たに、ちょっと凄まじいですね。。
ここはムラ序盤と東京公演で、また全然雰囲気が変わった場面でもあるなと思いました。
ムラで一番最初の3公演を見たときは、妖艶な笑みを比較的たっぷりと浮かべていて、ニヤリとしながら明確に意志をもって蝶を捕らえにいっている感じだったんですが、
東京公演ではもっとこう、恍惚とした雰囲気というか、どこかある種のトランス状態のような……自我を宙にふわっと彷徨わせているような、とても不思議な瞳をしていて。
その視線はどこか遠くを見つめているようで、あまり表情を動かすことがなく、その分時折チラリと笑みが横切る時のぞくぞく感が半端ない。
東京公演の最終盤では、踊りながらたまに瞼を伏せる瞬間もあったように思います。
無機質なようでいて同時にエロティックで、なんとも表現しがたい魅力に溢れている!


そして明確に”ジョジョ立ち”イメージと言及された、あの問題の!上腕タトゥーの見える、例の腰の入った危険すぎるポーズですが、
あそこでひたり、と静止しているところ、全くまばたきをしないのですよね。。
いや、怖ー!!!ってなる、まさに人外の存在感。
そこから目だけをすいっと横に動かして、指先だけで動き始めるところは、
獲物=蝶のまどかちゃんを見つけて狙いを定めたことがわかるので「ギャー!」ってなります。まどかちゃん逃げてぇぇ!!!

途中、他の蝶たちの娘役ひとりひとりをふわりと次々に捕らえていくところは、そのひとりずつにごく僅か笑みを見せるのがたまりません。。
あれは笑いかけられる側の娘役の皆さん、内心「ウワァァァ!」ってなるだろうな……とくに下級生!って思ってしまう、それくらいにささやかなのにとっても危険な笑み。だって食べに行ってるんだもんね。。
あそこは蝶の最後のひとりが、退団していく同期であるしょみさんなところにもぐっときます。。涙


そして最後にいよいよまどかちゃんをおびき寄せ、手中に捕らえることに成功し、柚香さんの食虫花は蝶を抱きかかえてせり下がっていくのですが、
スポットライトが消える直前のギリギリ、真っ暗になるほんの一秒前になって満足げにじわっと笑顔を広げ、そのまま舞台上からいなくなるのです。。
「わ、笑った……!」と呆けるこちらはその世界観にやられて、毎度息を止めて見てしまいます……怖いよ~~!!!
そうして笑顔になる直前はまず無表情でぱくっとお口を開くので、ウワー食べる気満々やんけ!!!!ってなるんですよね、まどかちゃん逃げて!(無理そう……美味しくいただかれてしまうのか!南無三!!!)
あれは、ライトが消えるタイミングまで完璧に把握した上で、最後に笑っていなくなることが計算され尽くしているのだと思うので、もう、参りました……!の気持ちです。参りました!

際立つ「心愉しさ」の詰め合わせ/中詰

中詰、始まりの歌手のまどかちゃんがほんっとうにかわいい~~~!!!!!!
お衣装も素敵!ミモレ丈のたっぷりとしたハリのある異素材が重なったスカートも、手に抱いたすみれの花束もとにかく要素が可愛い!
<宝塚の娘役>のエッセンスを凝縮したようなすみれ色のドレスで歌いながらひとり銀橋を渡るまどかちゃん。
ラスト近辺のあの「私の思い」の高音のツヤと伸びが本当に見事です!客席に背を向けているポーズなのがまたかっこいいんだぁ。

そしてそのまどかちゃんの華やかな歌声に誘われるように、柚香さんがステージ中央に一人立つ「すみれに捧げし歌」が始まります。
すみれの花咲く頃」を、ゆったりと落ち着いたアレンジにしたローテンポの旋律に乗り、
この曲そのものを全身で体現するかのような、シンプルなのにとても饒舌な、詩情あふるる柚香さんのひとつひとつの動きは、まるで一編の物語を語るかのよう。
なんでか、見てるとどうしても涙が出そうになるんです。。
その表情は、花組の歴史を繋いでいく確かな自信と覚悟に溢れたような美しさで……
振りの最後にふわっと両手を交互に体の横に配置するその動きだけで、トップスターであることを証明できるような、それほどまでに美しい動きなのです。
柚香さんが今花組のトップスターでいらっしゃることを改めて祝福したくなるような、この世界に感謝したくなるような、そんな大切なひととき。


そこからリズムがぐっと変わり、ジャジーなアレンジでテンポアップする「すみれの花咲く頃」。
耳馴染んだメロディなのに、うわぁこんなの聞いたこと無い~!って気持ちで心が自然と浮き立つのですが、
そのメロディに乗ってステージ前方に進んでくる柚香さんの、まぁ心底楽しそうなこと~~~!!!楽しそうな柚香さんは本当に最高!!!
ここもほんっっとうに、柚香さんの全身から、めちゃくちゃ楽器の音、しまくります。
サックスのぶわんと広がる、質量がありながらも同時に軽やかなあの音色の感じが、柚香さんのダンスとすごくシンクロして聞こえてくる!
途中でチャッ☆と2本指で宙に何か(※ときめきだと思う)を飛ばす振りとか、もう「楽しい~!!!」ってお顔じゅうに書いてある感じで。
そんな柚香さんみてるとこちらも勝手に笑顔になってしまいます。再び、幸がすごい。


そしてその後ステージ上に組子が揃い、その中央で柚香さんとまどかちゃんが組んで踊るのですが、
ここはさっきまでの「楽しい~~!!!」がきっちり二人分になっていてもう手がつけられない、止まらない。なんて楽しそうな二人なの!?
最初の両手をとっての背中合わせターンからスピードが出すぎているし(柚香さん、まどかちゃんのことひねり倒す気か!?ぐらいの勢いで回す笑)、
ターンする時もしゅっとかぴゅっとか音が聞こえてきそう。
柚香さんがまどかちゃんの背中を支えて思いっきり後ろにのけぞらせて、そこからまどかちゃんがグオン!って起き上がってくるところも勢いが付きすぎてて、
見ていて「これそのうち顔ぶつけない!?」って思うくらいでした。
その後間髪いれずにまどかちゃんによる柚香さんのお鼻ツン♪が入るのですが、それを受けた柚香さんの表情も回によって全然違ってて!笑い声漏らしちゃう時もあった!
いや~~~、ほんとに楽しそうすぎてびっくりする!最高!幸せ!!!


その後中詰でも、たくさんの生徒さんの銀橋歌い継ぎが!
プロローグ同様、後ろで踊る群舞メンバーがくるくると変わっていくのも楽しくて!見せ場しかないショーだな!?ってなります。
最後はひとこちゃんをセンターとした上級生メンバーでしっかり締める感じの群舞で終わるのですが、
その後にはじまる柚香さんとマイティーさんwithしょみさんの「ザ・95期」の場面。
ここ、初日見てて後ろの階段で歌ってる娘役がしょみさんって気づいた時、思わずびゃ~!って涙でました。。3人での出演はこれが最後なんだ……

ほんのりアラビアンな感じのメロディで、バチバチにかっこよく並んで踊るれいまい。いやこんなの、好きじゃない人いる!!??おらんやろ!!!ってなる。
踊りの空気感からしてもう噛み合い方というか、しっくり来る感じが、お互いに特別なことがわかる気がするというか。。
階段上でスタンバイするときにちらっと視線を絡め合う瞬間から、見ていてもう「あ~~~~!涙」になっちゃう。

グラフ2月号を読んでて笑ったポイントなんですが、「笑顔でれいを追って階段を駆け上がっている日があった」というマイティーさん、
私が東京で見た1月30日ソワレ・2月5日マチネともに、まさにそんな感じに見えました!わりに必ず、笑顔だと思う!笑

そこから華やかな中詰のラスト、「召しませ花を」。
とことん「花」がテーマに据えられた今作、当たり前なのですが花組に本当にぴったりというか、ひとりひとりが咲いていて、もう組全体で大きな大きな花束だ~!って気持ちになります。
ここもまた楽曲がお洒落!一緒に揺れたくなる、すてき!
軽やかにリズムにのる生徒の皆さんひとりひとりが楽しそうで、手拍子しながら幸が溢れてとまらぬ!という思いです。最高。

まばたきも、呼吸すらもしたくない、それほどに集中して見ていたい/ピアノ・ファンタジィ

1988年上演の演目をオマージュとして披露する、その歴史こそが宝塚!という気持ちになりますが、
この「ピアノ・ファンタジィ」が私は今回のショーでやっぱりいちばん好きなのかも……!

ほのかちゃんのピアニストのソロダンスから、鍵盤のロケットへと展開し、
そこから柚香さんを中心とした「ラプソディ・イン・ブルー」が始まるのですが、ここからの数分間がもう、幸せすぎて。


ほぼ原曲そのままのクラリネット・ソロに乗って踊りだす白燕尾の柚香さん。
揺らめくように優雅に音に乗り、ひとり舞うその姿は、舞台上に流れる伸びやかなその音色そのもの。
伸ばした指先で空気をふわんと揺らすような振り付けとか、本当にちょっとした動きでしか無いのに、柚香さんだから見応えのあるものになる。
旋律はピアノにバトンタッチされ、引き続き音数の極めて少ない静謐な空間の中に、柚香さんのダンスがどこまでも豊かに広がっていく。
そこから楽器がバン!と増え、ライトが付き、楽曲のアレンジが変わってアップテンポになる「始まるぞ!」の瞬間。
場面に出演している男役・娘役が全員、本当に堂々とかっこよく踊っていて、
そしてそれを紹介するように手を差し伸べて振り返る柚香さんの姿が、どこかとても、誇らしそうで嬉しそうで。
とにかくまじで全員が素晴らしいー!!!って気持ちでいっぱいなんです……!!!この場面、どこを切り取っても心の底から好きすぎる。


あとまどかちゃんがね!本当にすごいよね!!!
たった一人で舞台に出てきて、またしても限界まで絞られた楽器の少なさで踊るの、ごまかしとか一切効きようがないし……
絶対にとてつもないプレッシャーだと思うのに(トップ娘役とはいえ、あそこまで負荷が娘役ひとりだけにかかることってなかなか珍しい気がして)、
本当に堂々とした笑顔で踊っていて、かっこいい!!!の一言です。可愛くて、同時に最強にかっこいい。見るたびに見惚れてます。
あそこを一人で魅せきることができるのは、本人の実力とかスター性とかいろんな要素がないと難しいと思うのですが、完璧に自分のものにしているまどかちゃん、何度見てもすごすぎる。

そしてその後、男役と娘役が5ペア組んで踊る場面のリフトなんですが、
あの一番最後のやつ、何をどうやってるのか何回みてもよくわかりませんでした!笑
「え、まどかちゃん、柚香さんのどこに乗って……?いや、どこにも乗ってなくない?」みたいな。
なんだろう、腰骨?いやそこ、もはやお腹では?まじでどうやってる???
あれを軽々とやっているように見えてしまうの、本来あるはずの体重をまるっと無視していて、あれはふたりとも体幹が凄まじい強さなのだろうなと感じます。本当にどうやってるの……?笑


1月30日の公演再開日に見た時、ピアノ・ファンタジィの柚香さんはさらに「軽やか」になっていました。
羽が生えているようだってこういうときに使うべき比喩なんだな、と思う感じの。ふわりと全身で美しく宙に舞う。
「舞台に立つことが楽しい」気持ちを凝縮して突き詰めて、そこに生み出された新たな領域は、ちょっとなかなか、辿り着けるとは思い難いもので、
公演中止という厳しすぎる現実を経て戻ってきたときに、力むのではなくて反対にさらにこんな風に進化してくるなんて……と、まさしく度肝を抜かれました。


踊っている柚香光さんを見ていてしか得られない心の栄養素が確実にあって、
私にとってはそれがふんだんに詰まりまくっているのがピアノ・ファンタジィでした。
あまりにも全ての瞬間が見事で、最終的に柚香光さんはラプソディ・イン・ブルーという曲の概念を具現化した存在、この楽曲の化身なのでは?と思うようになりました。

柚香さんのダンスのちょっとした独特のニュアンスというか……音やリズムの捉え方、空気感の作り出し方、これが好き!の連続で、
言葉にできない、実物を目で見ることでしかその魅力が伝えられないかけがえのないものが溢れていて、まばたきどころか呼吸すらしたくないと思いました。
見ることに全集中していたくて、この瞬間すべてを取りこぼしたくない思いでいっぱいになる。
そして最終的に、踊っている柚香さんを見ているだけで勝手に涙が滲んでくる。ああ、これはもう奇跡なんだな、と思いました。

今回オマージュとして取り上げてくださったことに、心から感謝したいです。。
この柚香さんが見られた現実に、本当に幸せを感じました。
オリジナルの1988年上演「フォーエバー!タカラヅカ」はまだスカステで巡り会ったことがないのですが(放送されることもあるかな?)、大浦みずきさんの姿も、いつか見てみたいです。

人が人を想う心のあたたかさが、目に見えて広がっていく/心の翼

花組で、大切に歌い継がれてきたという「心の翼」。
わたしがこの曲を現地で聞くのはこれが初めてだったのですが、心がざぶざぶと洗われるような体験でした。


歌い出し、銀橋にひとり立つ柚香さん。
ソロ歌唱の後半、上手側から順にぐるっと舞台上の組子を見渡すその背中が本当に大きくて、
この状況下におけるトップスターという役目、どれだけ大変な重荷を背負っているのだろうと思うのに、だけどその両腕で抱いているのはまごうことなき「愛」なのだなと感じさせられて、
見るたびに泣かずにはおれませんでした。

真っ白なお衣装に身を包んだ花組生たちが、それぞれに心を込めて歌う姿。
シンプルに「立って歌っている」だけの光景なのに、魂を揺さぶるエネルギーに満ちていて。
ムラ千秋楽の配信でまどかちゃんが泣いていた、あの頬を伝う涙の美しさ、そしてそれを優しく手で拭った柚香さんの仕草も忘れることができません。


真っ青な背景と衣装のコントラストも目に沁みるほど美しく、最後に舞い散る紙吹雪のきらめきが、生徒の皆さんの笑顔や涙に重なって。
そこにあるのはなにか表面的な美しさなのではなくて、心映えそのもの、本質的な人のあたたかさから、生まれる光だったのだと思います。
「嘆きさえも愛しい 息づきだから」とか、歌詞を読んでいるだけで泣けてしまう。
愛されて長く歌い継がれてきた理由がよくわかる名曲だなと思うと同時に、
今回の花組公演の中にこの曲が存在していた意味に、思いを馳せずにはいられません。

あの景色の真ん中に立ち、あたたかく全てを包むこむような慈愛に満ちた表情で歌っていた柚香さんのこと、絶対に忘れないです。
組子のことも客席のことも、ぎゅっと深く抱きしめるみたいな。
その責任や重圧に対してファンはなにもできはしないのですが、あなたがそうして届けてくださる芸事の素晴らしさを、どうか今後も楽しく受け取らせてください!と、ただ静かに願いました。
エンタメがエンタメである、その矜持を守り抜かんとする花組の、柚香さんの姿を見ていて、
ああそうだ、私達観客はそれを純粋に「楽しむ」ことこそが、彼らに愛を返す方法なのだと改めて目を開かされる思いでした。

美しすぎるお顔の記憶に支配される黒燕尾と、愛が加速&過熱するデュエダン/フィナーレ

今回はフィナーレも長いんですよね!ほんとに観劇が楽しかった!
いきなり黒燕尾の話をするのですが、、あの、、、柚香さんが美……。(お察しのとおりここで突然IQが下がりました)


記事を書く前に、見たばかりのはずのマチネの自分の記憶を辿っていたんですが、
他の場面だと具体的に好きな振り付けがたくさん湧いてくるのに、黒燕尾に関してだけ「……あれ、おかしいな?」ってなって。全然振り付けが浮かばないんですね。

たぶんね私、黒燕尾はほぼ顔しか見てない。笑
だって、あまりにも美しいから。。

本当にスタンダードでシンプルとしか言いようのない黒燕尾をまとった柚香さん、
そのシンプルさゆえにお顔のつくりの美しさが輝きいでんばかりで……!
あまりにも美しいので、銀橋に出てくる時に「アッだめです!そんな!近くに来ないでください!」ってなります。(だめではない)(嘘です嬉しいです)
曲がまたさぁ~~~!ひまわりのあの!哀愁に満ちた大人の切なさが溢れ出るメロディーが!
それを英語で歌いながら娘役群舞を背景に銀橋を渡る柚香さん……どうしたってキャパシティを超えてしまうんですよね。。
だって美なんだもの。なんであんなかっこいいか!!?
フォロワーさんともひとしきり盛り上がってしまったんですが、それまでさんざん見ていたはずなのに、あの場面で新鮮にかっこよさに動揺するの、本当になんなんだろうか。笑


前作のジョバイロ群舞も大好きでしたが、今回のフィナーレ群舞もまた、絵作りが本当にかっこよくて~~~!
舞台上に横一列に広がった娘役と、オレンジ色の電飾がまばゆく灯る大階段に対角線を作るように、斜めのラインでスタンバイする男役。
そしてその光景を銀橋の上手端から見つめる柚香さん……この光景の全てが!美しすぎる!!!

このあと舞台上に戻ってからの男役黒燕尾の群舞なんですが、先述のとおり、お顔ばかり見てしまっております……
お正月にあったNHKBSプレミアムでの放送録画を見返しては「あ、うんうん、こういう振り付けしてたしてた!」ってなりはするんですが、
にしたって!一番フレッシュなはずの今日のマチネの記憶で振り付けが出てこなかったの、本当に我ながらどうかと思う。笑
前髪の右側のあのシケが!またたまらんのですよ……いや、なんでそんな美……?(最終的に諦めてしまった顔)
スターシステムそのものを可視化するかのような、ピラミッド型の陣形を大階段下から作り出す男役たち、
そしてその頂点で最後一人だけ脚を折らずにすっくと立ち、ライトの中に振り返る柚香さん。ギャ~~~!!!ですよこんなの。。
さいこうにかっこいい場面をありがとうございました……!


黒燕尾のあとは、トップコンビをのぞいた組子全員での「情熱の花」が始まるのですが、
最初に見た時「え~~!フィナーレなのにまだこんなに色々やってくれるんですか!?」って大喜びしてしまいました。笑 ここ、めっちゃ楽しいよね!
あれ中詰もっかい始まった!?ってなる感じでびっくりしました。
ここも銀橋に出るメンバー、群舞で背景を担うメンバー、まじでどっちを見ていても楽しくって!!!
とくに娘役さんをじっくり下級生に至るまで見られるのが嬉しくて(髪型が本当に個性豊かでひとりひとり違っていて、可愛い!!!)、
花組全体への愛が爆発しそうになります。楽しい・可愛い・かっこいい!!!
個人的には最後の群舞で美羽愛ちゃんが長めにセンター張って踊っているのが大好きです。一見ボブに見えるみたいなあのポニテもメッチャ可愛い~!


そしていよいよ、ラストのトップコンビによるデュエットダンスへ。
歌から始まってここでもまた贅沢を感じる……本当に様々な見どころを作ってくださっているのが、さすが100周年を記念するショー!
ミントグリーンの艷やかなお衣装、ここに来てピンクではなく全然違う色なのでぐっとメリハリがついて、これもまた良き!
まどかちゃんのドレス、フリルの幅がとても大きいし布地もしっかりしていそうなので、スカート捌き難しそうに思うのですが、
難なく美しく踊りこなしているのでこういうところも本当にスーパー娘役さんだな……と嘆息いたします。


ここはもう、どんどん深まっていくお二人のやり取りに釘付けでした!
バチバチしている感じというより、しっかりと矢印を向けあっているというか、「私はあなたを想っています!」同士の、わかった上での駆け引きみたいな感じ。
ここで踊られる薔薇のタンゴは短調の楽曲ですが、ベースにやっぱり「楽しい!」がある感じで。
最後にもうひと場面、見せ場作りますか!よっしゃいきますよ!って具合に、お互いに息がぴったりというか。

そんでもって、柚香さんのまどかちゃんの煽り方がまたすごくって……表現として煽り方でいいのかわかんないのですが、他にうまい言い方が見つけられずにいる!笑
娘役に追いかけられて男役がつれなくする、みたいなパターンのデュエダンは珍しくないと思うのですが、
なんだろう……「もっと来いよ」系デュエダン?笑(なんだそれは)
もっと来いよ!ってほど強くないんだけど、いやでも、うーん、やっぱりあれは来てほしそう。グイグイ迫って来てほしい、まどかちゃん、カモン!!!って感じに見える。笑
ちょいちょい首を横に振ったり、離れたところにいるまどかちゃんに対して指をクイクイってしたりして。いや柚香さんほんとなんなん!??愛が!愛がすごいわ!!!


振り付けでもドキッとさせられる場面が多いこのデュエダン。
背中を反らせたまどかちゃんの後頭部を支えながら、その顔の真上に向かって柚香さんが一瞬ぐっと顔を近づける振り付けがあったりするんですけど、
あれを受け止めるまどかちゃんの胸中はいったいどうなっているのだ!?ってなります、あんなの心臓止まっちゃわない!?大丈夫!!?笑
2月5日マチネでは、上手側にいる後半で柚香さんがまどかちゃんの手を掴んだまますっと引きよせて、手の甲にキスを落とすようになっていましたし。。1月30日に見たときはやってなかったと思うんですが……!?
そのあとのリフト。回転の美しさが見事なのは初日からでしたが、ほどき方がゆっくりとした離れがたいような動作になっていて、
絡めた腕をほどきながら最後に柚香さんを見上げるまどかちゃんの視線がまた!熱い!ヒィーー!!!
銀橋に出る前はお互いにキスを送り合う感じの振り付けなのが最高に好きです!まどかちゃんは両手を差し伸べるように、柚香さんは粋に右手をしゅっと投げる感じで!


2月5日のマチネの出来事なのですが、銀橋に出た後に離れた位置にいる上手側の柚香さんが、またしてもちょっとだけまどかちゃんにむけて首を振り。
そこから先に銀橋0番にたどり着いた柚香さんが、手を差し伸べてまどかちゃんを待ち構えるのですが、
そうして柚香さんが差し伸べた指先に、するりとあわせてまどかちゃんの「顔」が滑り込んできたのです。
伸ばされている手の位置に手がたどり着くならわかるんだけど、え、いや顔!?顔ダイレクトアタックでそこそんな、ジャストフィットいける!?ってなって本当にびっくりした。
柚香さんの手を出した位置も、飛び込んでいくまどかちゃんの間合いも、双方が完璧にピッタリだったのだろうなと。
お互いに相手と呼吸を合わせよう!としているからこそ生まれる、とても芸術的な一瞬で、本当にお見事でした!



私が最初にこの作品を見たのは、実は去年の11月6日なので……ようやく感想をまとめることができました。。
無事に前楽の幕も降り、あとはもう、大千秋楽を残すのみ。


永遠のように思われた公演中止期間を経て、この厳しすぎる状況下で最後の1週間を、舞台上で演じぬくために戻ってきてくれた花組
いったい、どれほどの困難があったことかと思います。
そしてそれを越えた先に、こうして純粋な「楽しさ」だけをパワーアップさせて届けてくれた花組の皆さんが、本当に本当に大好きです。感謝の気持ちでとにかくいっぱいです。

千秋楽の幕が開くことを、最後までしっかり祈ります。明日は配信で見届けるぞ!

愛してるよ花組~!!!

宝塚花組「元禄バロックロック」感想(ストーリー全体とクロノスケ&キラについて)

宝塚花組「元禄バロックロック / The Fascination!」の2本立て。
れいまど大劇場お披露目公演の本作は、東京での長い長い公演中止期間を経て、ついに1月30日、劇場に戻ってきてくれました。
kageki.hankyu.co.jp


始まる前は「忠臣蔵ファンタジー」「クロックロマネスク」の能書きを読んで疑問符ばかりが脳内に湧きまくっていましたが、
見てみると予想していたより全然わかりやすく、そして何より最高のハッピーエンドでした。
時間SFとして破綻しない範囲で話をしっかりとうまくまとめて、その上で上質のラブロマンスを生み出したな!という印象です。
一言でいうとシンプルに「このお話、めっちゃ好き!!!」でした。
特定の観劇回の感想というよりも、まずはお芝居について、作品全体+トップコンビの感想を書きます!
そして私がクロキラに夢中すぎるあまり、本記事ではお芝居中のその他の要素についてまったく触れられておりません、予めお詫び申しあげます。。!

※本当に今更!ではありますが、ガッツリとネタバレしているので以下閲覧はご注意をお願いいたします。




キラが秘め続けた思いと願いが、明かされる前から涙を誘う

愛するクロノスケが仇討ちで死んでしまう未来を変えるため、同じ時間軸をひとりで何度も繰り返し続けるキラ。
キラは物語の中盤までその秘密をクロノスケにも隠し続けているため、「背景は明かさないものの、なぜかクロノスケの事情にやたらと詳しいことだけはわかる」という、謎めいた言動を繰り返すことになります。

「彼女には何か隠されている背景がある。けれどそれが何なのかわからない、でも触れ合っていると、なんともいえずに懐かしい気持ちになる……これは一体何なのだろう?」

隠し事があることは理解しながらもキラに惹かれているクロノスケのそんな心情が、初日観劇時点でのこちら側の感覚とぴったりとリンクしたのが、すごく忘れられない体験でした。

クロノスケ自身が物語冒頭から<時を戻せる時計>を持って登場するので、キラもおそらくその類いの行動をとっていることはもちろん展開として予想はつくのですが、
でも全てが明かされる前に予感だけで切なくなって泣かされたことに、後から本当に驚いたんです。
それって取りも直さず、そこにあるお芝居の力の強さによるものだと思う。そのことにものすごく感動しました。


それを実感した場面は、言わずもがなですが「花火きらきら」です。
屋敷から姿をくらましたキラを連れ戻そうとやってきた父・コウズケノスケ配下のくノ一と、コウズケノスケに復讐を果たしたいクラノスケの二手から追われ、
<時を戻せる時計>の力を使って賭場からなんとか逃げ出したクロノスケとキラ。

追手を振り切った後、クロノスケはキラに対して、どうして自分が持つ時計の秘密を知っているのか、キラは自分の味方だとは言うがいったいどんな事情を隠しているのか、本当のことを教えてほしいと詰め寄ります。
キラはそれを承諾しながらも「でもまずは、せっかくのこの綺麗な花火を見ながら、楽しくデートしましょ!」と笑顔で提案します。
はぐらかされたのかと怒りかけるクロノスケを制して、「違うの!……本当に、夢だったの、ずっと」と、切羽詰まった声色で告げるキラ。
約束でしょう!?とせがむ彼女に気圧されて、クロノスケが思わずデートを承諾すると、キラは「…ぃやったぁ!!!」ととびきりの眩しい笑顔を弾けさせます。
クロノスケはその変化に呆気にとられ、これまでは”寂しく笑っていた”はずのキラが突然明るく笑っている事実に戸惑うのですが、
そう問われたキラは「失礼ね、当たり前です!……嘘、今日だけ。」と笑みを落としてつぶやきます。

ここの一連のまどかちゃんキラのお芝居、本当~~~にグッと来るんです!!!
まだ話の筋を何も知らないはずの初日の段階で、なぜかこのやりとりを見ているだけで自然と胸が締め付けられる感覚になり、
二人が銀橋に出ての「花火きらきら」を聞きながら、自分でも訳のわからないままにぼたぼたと涙を流していました。
予感だけで泣かされるお芝居だったことに、見終わった後にしみじみと嘆息しました。拍手喝采だった。

その後、展開を知った状態での観劇でも、「花火きらきら」の場面では毎回漏れなく泣かされています。
曲自体も魅力的で、明るいのに切ないメロディも本当に秀逸。

花火という存在の儚さに、限られた時間の中に輝く命そのものが重ね合わされているような珠玉の場面だと思います。
銀橋のクロノスケとキラの背景で静かに踊る花組生の群舞も本当に美しい。
たとえどんなに短いひとときでも、同じ時間を生きている事実が重なり合ったその瞬間には、いったい幾程の感情が詰まっていることだろう。
夜空を眩しそうに見上げて笑う二人は、今たしかに隣同士にいる。
でも本来であれば、不慮の別れで永遠に切り離されたはずの関係性だったのだ。なんてことだ……!
物語全体を象徴するようなワードが散りばめられた歌詞も、聞けば聞くほどに切なく、本当に大好きな場面です。


キラにとってあの花火の夜は、クロノスケを救う果てのない旅に出た中で初めて掴んだ成功の糸口、ようやく手にできた到達地点だったのでした。
裏を返せばこの「ずっと夢だった」夏の花火にたどり着く前に、キラはいったいどれほどの別れをクロノスケと繰り返したのだろう……。
その苦しさも終わりの見えない寂しさも、彼女は自分以外の誰とも分かち合うことはできなかったのだと思うと、どれだけ健気で強い子なの、キラ!?ってなってしまう。
でも彼女だって元から強かったのではなくて、閉じ込められていた屋敷からいきなり放り出された形になった最初は、むしろものすごく弱い存在だったはず。
クロノスケにかつて教わったのであろう、からくりの知識をなんとか頭の中に手繰り寄せてまずは時計を完成させ、その後はたった一人で時間を漂う旅に出る。
そうして究極の孤独を背負って戦う日々を繰り返し続ける中で、彼女は強くならざるを得なかったのでしょう。せつなすぎる。。

コミカルなだけじゃない、運命を”リセット”するクロノスケ渾身のフォロースルー

クロノスケはキラから全ての背景を聞いた後、彼女が作り上げた<時を戻せる時計>を「あなたの思うとおりにして」と託された結果、思い切りよく川にぶん投げてしまいます(…ほんとは違うけど笑)。
どうしてもあのシーンは二人のやり取りのコミカルさが全面に出てくるので(だって面白いよね!?)つい忘れてしまいがちになりますが、
あの瞬間に初めて、キラはようやく”独りぼっち”ではなくなったんですよね。

クロノスケが時計を捨てたのは(いや捨ててないんだけど笑)、その言葉どおり、キラを「時間という牢獄」から救い出すため。
キラの告白を聞いたのちのクラノスケは、自分の身の内にこみ上げるキラへの愛しさが押し留められずにどうしたらよいかわからない、といった表情をしていました。

自分がなぜか不思議とキラに心惹かれると思っていたのは、本当は彼女とはずっと以前に巡り会っていたからだった。
そして彼女は人知れず、自分を救うただそれだけのために、文字通りに身を捧げ続けてくれていた。
その重みを噛み締めたクロノスケは、キラの思いに正面から応えて彼女を救う決意を固め、
本気でこの先の未来を変えるべくキラと二人で力強く走り出すのでした。

でもその行き先はバラバラです。
事情を全て知ったそのタイミングで、本当は離ればなれになんてなりたくなかっただろうに(実際のところ離れがたくなりすぎているクロノスケがかわいい)、
これからまだまだ長い未来を共にするために、今は互いを信じて、いったんは別行動を取ろうと決める。
そのなんともいえない二人のバディ感が、すごく好きです!


「だからもう、終わりにするの」と、クロノスケが生きる未来と引き換えに永遠の別離を覚悟したキラの手を、
クロノスケは絶対に離さないと決めた。
キラがたった一人で必死で繋ぎ止めてきた二人の縁。
破天荒に思える手段で現実をぶち抜いてそれを成就させようとするクロノスケは、
キラに負けないくらいに大きくて深い愛情を、全力で返しているのだと思いました。

わかりにくさが丹念に排された、ストレスなく見れるエンタメ良作

イムループものというか時間SFってどうしても話の整合性が気になりがちなところが難しいなと思うのですが、そのあたりの細かい部分はうまいこと処理できている脚本に思えました。
時計を使う本人だけが、経験済みの記憶を保持したままで、過去の特定時点の自分に戻ることができるのかなと理解してます。*1
破綻がないことを大事にしがちな観客なので(よくいるめんどくさいオタク)、そのあたりの理解のストレスが全然ないのが嬉しかったです。
下敷きにしている忠臣蔵の超ざっくりとした知識があれば十分でしたし(というか最初にタクミノカミ様たちが説明してくれるし)、これといって難解な部分はなく、個人的にはとてもスッキリ楽しめるファンタジーだったと感じました。
セットもお衣装もとても華やかでゴージャス、まさにバロック×元禄文化なのね!と言いたくなるような世界観で、幕開けからワクワクさせてくれるカラフルさ。
目にも心にもしっかりと楽しい、満足度たっぷりの演目でした!


何よりも、新トップコンビ大劇場のお披露目にあたり、ハッピーで明るい話を書きたかったと言ってくれた谷貴矢先生には、感謝の気持ちでいっぱいです。。
見ているだけで気分が自然と明るくなるこういうハッピーなお話を今この厳しいタイミングで見られることが、本当にありがたくて。
<キラキラした多幸感につい泣いてしまうラスト>で終わる作品が、私の中では好みのひとつの型になってるんですけど、今作はそれにドンピシャでもありました。
見終わった後は毎度「……楽しかったな~!!!」と最高にふくふくした気持ちで嘆息してます。谷先生、最高の大劇場お披露目演目をありがとうございました……!

見ているだけで幸せが溢れるカップル、クロノスケとキラ

書き下ろし・スターへの当て書きである完全新作の威力を、今回またしても思い知りました。ふたりとも本当に!魅力的です。
クロキラのおふたりの可愛さに、とにかく愛おしさが溢れまくります。。

柚香さんのクロノスケは、ど真ん中な感じのザ・主人公な造形が何気に新鮮というか、この方向性、わたしはまだちゃんと見たこと無いやつ~!と思ってすごくテンション上がりました。
いやもうかっこいいのは当たり前なのでかっこいい以外のことを言った方が……と思うんですけど……かっこいいですよね(完)。
豪華な刺繍入りマントを羽織ってエドの街をぶらついたり、賭場で時計の力を使って(使えてないんだけど笑)やりたい放題の儲けを出してみたり、女の子を口説いて失敗してみたり。
ちょっぴり退廃的な空気感の中にだだ漏らされるなんともいえない色気が!ウィッグも素敵!!落ちかかる前髪の陰に輝く黒い瞳がうつくしくて!アーかっこいいです……!!!
ひとこちゃんのクラノスケとのやり取りでは、飄々としているだけに見せかけて互いに腹の中を探り合う緊張感がたまらない。
今作では刀を振るう立ち回りもたくさん見られますし、お衣装もいろいろあるし、あとはまさかのメガネまで!!!あの銀フレーム丸メガネ!!!最高すぎて発狂するか思った!!!
あとクロノスケのお辞儀がいちいち「武士だー!」って感じる腰の落とし方なところも大好きです!


でも何より、クロノスケの一番の魅力って、あの根底にある優しさですよね……!
じんわりと心を包み込んでくれるようなあったかさに溢れている。
特にキラが戻ってくる時間軸の前、まだ屋敷に閉じ込められている時代のキラに出会った時のクロノスケが、花火の夜に見せる微笑みが本当に本当に優しい。
心から愛おしいものを見つめる穏やかな笑み。でもまもなく討ち入りという形でやってくる別れを思うその表情には、ほんのりと陰がさしていて。
キラの言う「本当に寂しそうに笑うから」そのものの笑顔をされているので、見ていて心がギュッとなります。。か、悲しいー!ってなる……

討ち入りの日、キラとの別れ際に「遠い遠い時間の果てで、必ずまた会える。その時に、一緒に花火を見よう!」と叫ぶクロノスケは、本心では自分たちにそんな日が二度と訪れないことを知っている。
叶えようのない約束を、祈りのように力強くぶつけるあの瞬間、
クロノスケは自分の大切な人が「命を繋ぐ」ことだけをただ願っていたんだなと思うと、
その展開はもうやってこないものだとはわかっていても、ア゛ーーー!とたまらない気持ちで泣いてしまうのでした。。


そしてまどかちゃんのキラ、ほんっっっっとうに!好き!大好き!キャラクター造形が好きすぎました。
さっきキラの話はたくさん書いたとおりなんですが、情報を全開にできない状態で謎めいた背景に引きを持たせる・説得力を感じさせるお芝居をしないといけない難しさがあると思っています。
つまりは本作の物語の推進力を担う要の存在がキラじゃないかなと思うんですが、そこの表現が本当に素晴らしいなぁと!
大好きな相手だけをまっすぐに見つめるひたむきさが「あなたが好きだから!」とか「でもずるいなぁ、私の好きばかり積みあがっていくのよ」とかのセリフにぎゅっと熱く込められていて、本当にとにかく健気!愛おしい!
そりゃあ全てを知ったクロノスケが離れがたくなってしまうに決まっている~!


まどかちゃんのお芝居全体の印象、昨年の全ツの時ともまた大きく変わった気がしています。
予め完成したものが板の上に展開されているのではなくて、その場に息づいているものがどこまでもリアルに見えるというか。
クロノスケとの細かな掛け合いも毎公演見るたびに違っているし、柚香さんとまどかちゃんが二人でタッグを組んで、新しい表現をバンバン楽しく生み出していることが伝わってきました!

花のおエド(Rep.)で物語のラストに銀橋に走り出ていくところなんか、一度たりとも同じことはしてないんだろうなと思います。
時計捨てた/捨ててないのやり取りも、歌の中での銀橋での掛け合いも、毎度お互いにやんちゃに仕掛けあっていて、
「今日はどう来る?おっ、そう来たか~!」みたいな遊び心に溢れてる様子は、本当に見てるだけで幸せになります。
花道に到着したあとのクロノスケ、毎度容赦なく抱きしめたキラをぶん回すし肩を組んで揺さぶるしで暴れ放題なので、配信されているライブ音源に至っては「キャア!?w」っていうキラのびっくりした叫び声が入っちゃってるのもすごく好きです!クロキラ、ほんと自由で可愛い!

「これが大劇場お披露目なの?」と思うくらいに息ぴったりな新トップコンビ、れいまど

れいまどのコンビ感はなんていうか\仲間~!/っていうムードが強いなぁと見ていて感じます。
「うわーい!(嬉)」みたいな勢いで、わーっと賑やかに手をつないでどこかへ駆け出して行きそうなイメージ。
ニコイチ感といったらいいのか、庇護する/されるといった関係性ではなくて、ヨーイドンで一緒に駆けっこはじめてそうというか。
さらにふたりとも運動神経がよくて悪戯好きなので、思いついたら容赦なくかけっこの途中でもアスレチックとかに勝手に登りだす感じの……どんなイメージだよ!笑
「一緒に遊ぼ~!」と言ったら「は~い!」と言ってくれる、と今作の製作発表で柚香さんがまどかちゃんについて話されていましたが、見ていてもおっしゃりたいことがすごーくわかる感じします。

まどかちゃんが隣にいるときの柚香さん、男役としてのスタンダードなかっこよさをベースとしながらも、そこに思い切り伸びやかな自分らしさがイキイキと出ているような自由な姿に見えますし、
まどかちゃん自身もとても楽しそうで自由闊達な空気感をまとっていて、
なにより端的に言うと、ふたりともめちゃくちゃ楽しそうなんです。そこがすっごく良いな~と!
お二人がタカラジェンヌとしての充実の時を一緒に分かち合いつつ、何よりもまず楽しそうに舞台立っている様子なのが、本当に嬉しく感じます。


ショーの感想でも改めて書くと思うのですが、まどかちゃんが異動して花組娘役トップスターになったこの組み合わせ、納得感しかなくなっています。
夏の全ツはまだ1作目だしそもそも再演で書き下ろしではなかった分、今作での爆発力が特にすごいように感じます。

まどかちゃんはもとの実力の高さに加え、きっとものすごくキャパシティが広い・柔軟性に溢れた娘役さんなんだろうなと本作を見ていて思いました。
トップ娘役としての経験を積んだ状態で、それまでとは全く異なる新しい環境に身をおいたことで、
また改めて「自分らしさ」のようなものをもう一段階引き上げた状態で発揮できているのが、今のまどかちゃんの姿なのかなぁ?と勝手にですが感じています。
見れば見るほど様々な魅力が溢れてくるので、自然と大好きになってしまう。
あとシンプルにものすごく可愛い!どう考えたって、かわいい!!!(大声)

私自身についてはスターの皆さんを組み合わせというよりもまずはひとりの「個」の存在で見る傾向が強いのかなと思っているのですが、
花組トップコンビとしてはもちろん、ひとりの娘役スターさんとしてまどかちゃんのことが大好きになりました。
改めて、花組に来てくれて本当にありがとうございます!
花組で、柚香さんと一緒に充実した時間をこれからも楽しく過ごしてくださいますように!



今作は、大劇場初日からの3公演と1月3日のソワレをすでに見ていたのですが感想が書けていなく、
よ~し東京の公演中にじっくり!と思っていたら予期せぬ中止に見舞われ……。
本当になんて時代なのかと苦しい気持ちはいつまで経ってもなくなりませんが、
それでも再開が叶ったことが何よりも嬉しい。
その「楽しい!嬉しい!」という気持ちをやっぱり一番大事にしたいです。


私は再開日の1月30日ソワレを偶然観劇しているのですが、公演中止の事実を絡めて書くとどうにも巨大感情の収拾がつけられなかったので、敢えてそれ以外の観点のみで書いてみました。
そして潔すぎるのでは……と反省するくらいに、本当にトップコンビにしか言及できなかった~!涙
他のスターのファンの皆様に申し訳ない……でも当たり前ですが、花組が!!!大好きです!!!
ショーも別記事で書きたいのでがんばります。
2月6日の大千秋楽までの継続を、心から祈っています。愛してるよ花組~!!!

*1:時計の持ち主がキラからクロノスケに変わり時間を戻す主体がクロノスケになったら、キラはそれまで時間を繰り返し続けていた自分の記憶を全て失う=事件が起きる前まで時が戻ると、キラはクロノスケの存在を全て忘れてしまうことになるのだと思っています。「…だとしても、じゃあクロノスケが主体となって事件の前まで時を戻すなら、そのままキラのこと助けに行けそうなもんだけど…!?」まで考えてよくわからなくなってきたので、いったんそれ以上はやめました。笑